第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府や日銀による経済政策や比較的好調な米国経済に支えられ、企業業績や雇用環境に底堅さがみられるものの、中国をはじめとする新興国経済の先行き不安、中東情勢や各地で発生するテロ、イギリスのEU離脱、アメリカの新政権など、不安定な国際情勢の影響を受けて、景気動向は不安定な状況で推移しました。

 このような状況のもと、当社グループでは、新たな経営体制のもとで、積極的な販売施策を推し進めるとともに、不採算事業の撤退、主力事業の経費圧縮に取り組み、収益の確保を目指してまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は59億7千8百万円と前連結会計年度より1億3千8百万円減少したものの、営業利益4千7百万円(前年同期 営業損失4千7百万円)、経常利益2千8百万円(前年同期 経常損失8千2百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2千4百万円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失1億5千1百万円)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

(文具事業)

 国内個人消費につきましては、インバウンド需要には一服感がみられましたが、いわゆるコト消費の盛り上がりを受けて、万年筆や万年筆インクの売上が好調を維持しました。しかしながら、法人ギフト市場をはじめとした低価格品の販売は振るわず、売上高40億7千2百万円(前年同期比2.5%減)となりました。収益につきましては、自社製品の売上増加や経費節減、昨年実施した天応工場の減損に伴う減価償却費の減少などにより、セグメント利益4千9百万円(前年同期 セグメント損失8千7百万円)となりました。

(ロボット機器事業)

 ロボット機器事業につきましては、北米市場への販売は比較的好調だったものの、国内販売が低調で、期末にかけて、定評ある食品容器のラベルインサート装置の受注等がありましたが、売上高19億6百万円(前年同期比1.8%減)となり、セグメント損失2百万円(前年同期 セグメント利益4千万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて4億3千8百万円減少し、10億5千2百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1億4千3百万円の支出(前年同期1百万円の収入)となりました。主な増加要因は、減価償却費2千6百万円、仕入債務の増加額2千万円等で、主な減少要因としては、前受金の減少額1億2千1百万円、売上債権の増加額5千5百万円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは1億円の支出(前年同期は6千1百万円の収入)となりました。主な増加要因としては、差入保証金の回収による収入1千9百万円、主な減少要因としては、有形固定資産の取得による支出6千5百万円、無形固定資産の取得による支出4千6百万円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは1億5千1百万円の支出(前年同期は2億4千4百万円の支出)となりました。主な減少要因としては、短期及び長期借入金の返済による支出1億5千万円などであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前年同期比(%)

文具事業(千円)

2,720,230

101.3

ロボット機器事業(千円)

1,521,820

95.6

合計(千円)

4,242,050

99.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前年同期比(%)

文具事業(千円)

1,159,153

90.9

ロボット機器事業(千円)

合計(千円)

1,159,153

90.9

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ロボット機器事業

979,302

47.4

490,999

48.1

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.文具事業においては、見込生産を行っております。

(4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前年同期比(%)

文具事業(千円)

4,072,219

97.5

ロボット機器事業(千円)

1,906,640

98.2

合計(千円)

5,978,860

97.7

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、継続して重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度は、営業利益及び経常利益は確保したものの、親会社株主に帰属する当期純損失は24百万円でした。

当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当期(平成28年12月期)におきましては、売上高59億7千8百万円と前期に比べ2.3%の売上減となりました。文具事業においては、新製品の発売遅れなどが影響し、売上高が減少したものの、セグメント利益は確保しました。ロボット機器事業においては、中国子会社の撤退による売上原価削減が寄与したものの、競争激化による販売価格下落等の影響で収益率が悪化したこと、海外子会社においては、売上高は微減でしたが、競合による単価下落の影響等により、セグメント損失を計上する結果となっております。

平成27年12月に新執行部を発足し、平成28年5月に中期経営計画を公表し、その計画に基づく実行施策を実施してきました。組織のスリム化、業務内容を見直しての経費節減、既存資産を見直しての資産効率の向上等を目指し、一定程度の実績をあげてまいりました。平成29年度は中期経営計画の2年目にあたる重要な年と認識しておりますので、「会社経営の基本方針」に沿って、計画達成に向け努力を続けてまいります。

 

4【事業等のリスク】

(1) 受注額の変動

 ロボット機器事業におきましては、国内外の設備投資状況に連動して受注額が大きく変動します。当社では安定した需要のある食品容器関連や医療機器関連業界への自動機の受注に注力して参ります。

(2) 海外市場での売掛債権管理

 文具事業及びロボット機器事業においては、東南アジア、米国市場へ積極的に販売促進を行いますが、それにより売掛サイトも長期化しやすく、カントリーリスク、為替リスクを含めた総合的な債権管理の強化がより一層必要となります。

(3) 新製品の開発

 文具事業におきましては、少子化が依然進行しており筆記具業界は競争が激化しております。このような中で新製品が市場から支持を獲得できるか否かが売上に直結します。市場ニーズは多様化しており、また、製品のサイクルが年々短くなってきております。このような中で新製品をタイムリーに市場へ投入できるかどうかが将来の成長と収益に影響を与える可能性があります。

(4) 棚卸資産の緩動化

 文具事業では製品サイクルの短縮化、ロボット機器事業では技術革新による仕様変更が今後も引き続き、製品のみならず原材料についても緩動化の可能性があり、今後一層の在庫管理が必要となります。

(5) 有利子負債と利子負担

 運転資金につきましては、主に銀行借入等によっております。有利子負債は低下傾向にありますが、平成28年12月末の借入金残高は11億9千6百万円であり、金利情勢、その他の金融市場の変動が業績に影響を与える可能性があります。

(6) 原材料等の調達

 当社グループは、樹脂材、金属材などを原材料として使用しております。これらの原材料が予期せぬ経済的あるいは政治的事情により、予定していた単価で安定的に調達できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(7) 海外拠点のリスク

 当社グループでは、海外市場での事業拡大を重点戦略の1つとしており、海外では為替リスクに加え、不安定な政情、金融不安、文化や商習慣の違い、特有の法制度や予想しがたい投資規制・税制変更、労働力不足や労務費上昇、知的財産権保護制度の未整備等、国際的活動の展開に伴うリスクがあります。

 当社グループでは、アメリカ、EU、東南アジアに海外販売拠点を構築し、海外リスクに留意したグローバル事業展開を進めてまいりますが、各国の政治・経済・法制度等の急激な変化は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 情報システム

 当社グループは、重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、情報システムに対して適切なセキュリティを実施しておりますが、停電、災害、ソフトウェアや情報機器の欠陥、停止、一時的な混乱、内部情報の紛失、改ざんなどのリスクにより営業活動に支障をきたした場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(9) 大規模災害に関連するリスク

 当社グループの生産、販売拠点において地震、台風等の大規模災害が発生した場合には、生産設備の破損、原材料部品の調達停止、物流販売機能の麻痺等により、生産拠点の操業停止等が生じ、生産販売能力に重大な影響を与える可能性があります。

 

(10) 継続企業の前提に関する重要な疑義について

 当社グループは、継続して重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度は、営業利益及び経常利益は確保したものの、親会社株主に帰属する当期純損失は24百万円でした。当該状況により前連結会計年度に引き続き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 このような状況に対応するため、当社は諸施策を実行しておりますが、これらの対応策の実現可能性と成否は、市況、需要動向、他社製品との競合等の影響下による成果に負っており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社は、その製品において『最高の品質』を追求することにより、『顧客満足度の最大化』を目的に研鑽を重ね、その継続的な努力により『SAILOR』ブランドの価値向上をはかるとの経営理念に基づき、開発型メーカーとして常に新しい開発製品を世に送り出し、世の中に貢献していくことを目的に、積極的な研究開発活動を行っております。

当連結会計年度における各セグメントの研究開発活動は以下の通りであります。なお、当連結会計年度の研究開発費は、文具事業6千5百万円、ロボット機器事業3千1百万円合計9千7百万円となっております。

 

(文具事業)

文具事業につきましては、『顧客満足度の最大化』を達成するため、高機能・高品質かつ安全性に配慮した製品の開発を行ってまいります。当社に強みのある中高価格帯ボールペン・シャープペンシルの導入をはかり、国内外市場への売り込みを強化してまいります。また、前期にご好評をいただいた万年筆インクにつきましても新開発を進めてまいります。

 

(ロボット機器事業)

ロボット機器事業の研究開発活動としましては、主力製品の射出成形機用取出ロボットにつきまして新機種の開発を進めてまいります。当社製品の特長である高精度、高耐久性はそのままに、より「操作性・高速化」を追求してまいります。ユーザーインターフェイスであるコントローラー・CPUを改良し、一層の使いやすさを追求するとともに、アーム及び可動部の軽量化に取り組み、超高速取り出しと省エネを実現してまいります。

さらに、既存技術を応用した射出成形付帯装置の開発改良に取り組み、拡販を進めてまいります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当連結会計年度の財政状態

当社グループの当連結会計年度の財政状態は、現金及び預金につきましては、前期14億9千6百万円から当期10億5千7百万円と4億3千8百万円減少いたしました。

売上債権につきましては、前期11億1千9百万円から当期11億6千7百万円と4千7百万円増加いたしました。たな卸資産につきましては、前期14億3千8百万円から当期14億3千3百万円と4百万円減少いたしました。

仕入債務につきましては、前期8億1千万円から当期8億1千1百万円と、ほぼ横ばいでした。

これらの結果、総資産は51億3千1百万円と、前連結会計年度末に比べて3億8百万円減少し、負債合計は32億9千4百万円と、前連結会計年度末に比べて2億6千3百万円減少しました。純資産合計は前期18億8千1百万円から18億3千6百万円と、前連結会計年度末に比べて4千4百万円減少しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

文具事業におきましては、インバウンド需要には一服感がみられましたが、いわゆるコト消費の盛り上がりを受けて、万年筆や万年筆インクの売上が好調を維持しました。しかしながら、法人ギフト市場をはじめとした低価格品の販売は振るわず、売上高40億7千2百万円(前年同期比2.5%減)となりました。

ロボット機器事業につきましては、北米市場への販売は比較的好調だったものの国内販売が低調で、期末にかけて定評ある食品容器のラベルインサート装置の受注等がありましたが、売上高19億6百万円(前期比1.8%減)となりました。

この結果、当社グループ全体の売上高は59億7千8百万円と前期より1億3千8百万円の減少となっております。

 

②営業利益

文具事業におきましては、セグメント利益4千9百万円(前期セグメント損失8千7百万円)となりました。これは、自社製品の売上増加や経費節減などによるものです。

ロボット機器事業におきましては、競争激化や材料費の上昇によりセグメント損失2百万円(前期セグメント利益4千万円)となりました。

この結果、全社では、営業利益4千7百万円(前期は営業損失4千7百万円)となりました。

③経常利益

支払利息等を支払った結果、2千8百万円の経常利益(前期は経常損失8千2百万円)となりました。

④親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等を支払った結果の親会社株主に帰属する当期純損失は2千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1億5千1百万円)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

  キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載しております。

 

(4) 継続企業の前提に関する事項

当社は、継続して重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度は、営業利益及び経常利益は確保したものの、親会社株主に帰属する当期純損失は24百万円でした。当該状況により前連結会計年度に引き続き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

このような状況に対応するため、当社は以下の施策を実行し、基幹事業の経営基盤の強化を行い、収益力の強化を図ることにより、当該状況の改善を実現できると考えております。

 

1. 企業方針及び会社経営の基本方針

当社は、開発型メーカーとしてその製品において『最高の品質』を追求することにより、『顧客満足度の最大化』を図るべく研鑽を重ね、その継続的な努力により『SAILOR』ブランドの価値を向上していくことを企業方針としております。

基本方針は、次のとおりです。

①社会・文化の発展に貢献

社会のニーズを取り入れ、最高の書き味をお届けするとともに、「手書き」文化に貢献します。

②顧客満足度の最大化

高機能・高品質及び洗練されたデザインの製品をお客様にお届けするとともに、全社を挙げて、お客様満足の最大化に努めます。

③ステークホルダーと信頼関係の構築

効率的な経営、業績の成長を目指し、ステークホルダーに信頼される企業に成るべく努めます。

④従業員の尊重

活気ある職場を構築し、従業員一人一人の特性や能力が発揮できる環境を作ります。

⑤信頼される経営

法令、規則、定款、社内規程を遵守し、透明性の高い社内統治、適正な開示により、広く社会から信頼される企業を目指します。

 

2. 中期経営計画の実施

当社は、上記の基本方針を踏まえ、主力の文具事業、ロボット機器事業の2事業に、限られた経営資源を集中していくことで、より市場性の高い、高品質な製品を供給してまいります。研究開発を強化し、自社製品の販売比率を上げていくことで、一層の利益拡大を目指します。

 

○基本戦略

①当社の得意分野、競争力のある分野に、経営資源を集中します。

②研究開発を強化し、独創性に富む製品を提供して参ります。

③組織をスリム化し、変化する市場に対し迅速な経営判断に努めます。

④積極的な海外戦略を実施し、海外売上の拡大を目指します。

⑤国内市場におけるシェアを拡大します。

⑥業務内容を見直し、一層の経費節減を進めてまいります。

⑦既存資産の見直しを実施して、資産効率の向上を目指します。

 

○事業部戦略

(文具事業)

①万年筆の拡販

・万年筆の魅力を伝え、万年筆を使ってもらうための施策を積極的に実施していきます。

・万年筆インクの新開発を進め、万年筆を使う楽しさを増大させます。

・生産能力を拡大し、リードタイムを短縮することで、お客様にタイムリーに製品をお届けする体制を整えます。

②ボールペンの拡販

・中高価格帯の製品ラインナップを充実させ、幅広い顧客ニーズに応えていきます。

③OEM製品の拡充

・OEM製品の拡充により、生産設備の効率化を図ります。

④研究開発の強化

・顧客目線の製品開発をいたします。

・書き味に定評のある油性ボールペンの新製品開発をいたします。

⑤海外市場の強化

・万年筆、万年筆インクを海外市場へ積極的に売り込んでいきます。

・海外代理店の新規構築と既存代理店との一層の協力体制を確立していきます。

⑥収益改善の強化

・生産性を高め、コストダウンを実現していきます。

・品質の向上に努め、メーカー価値を向上させていきます。

 

(ロボット機器事業)

①取出機の強化

・壊れない取出機というSAILOR品質を維持し、一層の向上を目指します。

・全軸ラック&ピニオン駆動により耐久性及び樹脂製ラックにより静音性を向上させます。

②営業の強化

・顧客、成形機メーカーに担当者を割り振り、対話による情報収集をします。

・営業力強化の為、説明資料を充実させ、ブランドを高め顧客対応力を取得します。

③研究開発の強化

・メーカー目線でなく、営業担当者との同行により情報収集し、顧客目線の製品開発を行っていきま

 す。

・無線機能、自動制震制御で他社との差別化を実現します。

・環境に配慮した省エネロボット、7軸駆動の標準化を実施します。

・超高速機の拡張性を高めます。

④海外市場の強化

・海外子会社との技術、製品情報共有(連結決算重視)による子会社販売力の強化を行います。

・海外代理店の新規構築と既存代理店の定期訪問を行い協力を強化していきます。

⑤収益性の強化

・生産性を高めてコストダウンを実現(高品質は維持)していきます。

・顧客と定期点検契約等を結び、アフターサービスや工事関係の収益増強をします。