第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、パーパスである「人が活きる社会の実現」に向け、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をミッションとして、すべての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現を目指しております。

当社は1945年、設立の主旨に賛同した技術者たちが、資金、技術、労働力を提供し合って「協同の工業・岡村製作所」としてスタートを切りました。その創業の精神は、「創造、協力、節約、貯蓄、奉仕」の5つの言葉からなる社是と、これを受けた「基本方針」により企業文化として定着し、「よい品は結局おトクです」をモットーに、お客様のニーズを的確にとらえたクオリティの高い製品とサービスを社会に提供することに努めてまいりました。これらは、「オカムラのDNA」として、現在のオカムラグループの経営と事業活動に受け継がれております。

企業理念である「オカムラウェイ」は、ミッション(経営姿勢)、オカムラ宣言(めざすありたい姿)、私たちの基本姿勢(大切にする価値観)の3つで構成され、全ての根幹には、「人が活きる」という視点があります。

サステナビリティの重要性がますます高まる新しい価値観の中、一人ひとりが「活きる」ことこそが社会課題の解決につながる。その信念と使命感のもとに、オカムラグループは、すべての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現を目指しています。なお、「オカムラウェイ」を通じた活動や取り組みについては、当社ウェブサイト(URL https://live.okamura.co.jp/)に掲載しております。

持続的な成長に向け、新たな需要の創出と変化に対応できる経営基盤強化をはかるとともに、事業を通じた社会課題解決に取り組んでまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、2024年3月期から2026年3月期までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2025」を策定しております。なお、直近の業績および事業環境を踏まえ、2025年5月9日に定量目標を上方修正しております。

 

① 中期経営計画2025で目指すもの

・新たな需要の創出

時代の流れを捉え、提案力と製品力を磨き、「需要創出型企業」への変革を加速する

変化に対応できる経営基盤強化

-人財育成と働きがいの向上:キャリア形成支援と専門人財の育成、働きがい改革の推進

-デジタル技術活用の加速:「経営」「事業」「業務」へのデジタル技術活用の加速とDX人財育成

-多品種変量生産への対応:環境の変化に対応する生産システムの変革による競争優位の維持・強化

-市場に根ざした海外事業の展開:M&A、現地有力パートナーとの提携・合弁による地産地消型事業の展開

事業を通じた社会課題への取り組み

事業を通じた社会課題への継続的な取り組みと2050年カーボンニュートラル実現に向けた地球環境への長期的取り組みの着実な実行

 

② 2026年3月期定量目標(括弧内は修正前)

・売上高    3,300億円  ( 修正前 3,250億円以上 )

・営業利益    270億円    ( 修正前   270億円   )

・営業利益率   8.2 %    

・ROE     10.0 %   

 

③ 投資と株主還元の基本方針

・成長に向けた投資

戦略投資枠として500億円を設定し、既存事業の強みの維持・強化と新規市場・事業開発にバランスよく投入する

・株主還元

配当性向は、前中期経営計画より引き上げ、40%以上を安定的に維持する

自己株式の取得は、投資の実行状況や外部環境等を踏まえ柔軟に対応する

 

 (3) 経営環境及び対処すべき課題

① 事業環境の変化

今後の日本経済は、ウクライナ・中東情勢を巡る地政学的リスク、中国経済の停滞長期化、米国における通商政策の影響懸念など、先行きは極めて不透明な状況となっております。また、金利ある世界の定着による資金調達コストの増加、諸資材の高騰、持続的な賃上げ等が見込まれ、インフレ経済への対応が経営の重要課題となっております。

このような事業環境のなか、イノベーションを創出するための新しいオフィスへのシフトや、流通業における人手不足、サステナビリティ対応等による社会・市場の大きな変化を捉え、新たな需要の創出を目指してまいります。

 

② 各事業における対処すべき課題

主力のオフィス環境事業につきましては、コロナ禍を経て、時間と場所を選ばない働き方と共に、コミュニケーションの重要性が市場全体に再認識され、コミュニケーションの活性化を図るオープンオフィス化の需要の波は広まっております。また、日本市場全体の課題である人財確保の解決策として、オフィス移転・改装を選択する機会は拡大しており、「行きたくなるオフィス」づくりは、継続して旺盛に推移すると予想しております。

このような状況のもと、当社の強みである未来の働き方の研究成果と豊富な納入実績を通じた知見に基づく提案力、時代の変化を先取りした製品開発により新たな需要を創出し、売上高、営業利益の拡大を目指します。

 

商環境事業につきましては、人手不足を背景とした店舗の省人・省力化、従業員が働きやすい環境整備の需要は、地域、業態を問わず旺盛に推移すると予想されます。また、環境配慮などの小売業における社会課題の解決が、提案における重要度を増しております。

このような状況のもと、当社の強みである店舗什器、冷凍冷蔵ショーケースを始めとする豊富な製品と、提案からアフターサービスまでの一貫したサービス機能とお店づくりにかかわるデザイン・研究開発の体制を活かして、環境負荷低減やフードロス削減等を代表とした小売業が抱える様々な課題を、お客様に寄り添い、共創して解消していくことで、売上高、営業利益の拡大を目指します。

 

物流システム事業につきましては、物流施設の作業員不足を背景とした省人・省力化関連の需要や倉庫内の高密度保管・高効率搬送による物流費低減の需要が旺盛に推移すると予想されます。

このような状況のもと、物流システムの統合インテグレーターとして、経営課題解決コンサルティングから保守サービスまでの一貫した体制を充実させ、事業規模拡大と利益確保を目指します。また、先進技術を用いた差別化製品の研究・開発に取り組んでまいります。

 

生産性・効率性の向上につきましては、変化する需要に柔軟に対応できるスマートファクトリーを目指して、生産供給体制を強化してまいります。販売・生産・物流が全社一丸となり、在庫回転率向上を目的としたサプライチェーン改革を推進いたします。効果的な投資と継続的な改善活動により、生産性の向上を図るとともに、品質に対する全社的な管理体制を再構築し、効率性と安定供給の両立に取り組んでまいります。また、安全・健康に働ける職場づくりを土台とし、全社にわたる人財育成と働きがい改革の実践、デジタル技術活用も含めた業務効率化への取り組みを一層強化し、競争力の向上に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティに関する考え方及び取組

当社グループは、パーパスである「人が活きる社会の実現」に向け、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をミッションとして、すべての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現を目指しています。「人が活きる社会の実現」には、サステナビリティを中心に捉えた事業活動が重要であるとの認識のもと、事業活動の経済的側面と同時に社会的側面・環境的側面の重要性を認識し、「オカムラグループサステナビリティ方針」を掲げ、企業の社会的責任を果たす経営に取り組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

※オカムラグループサステナビリティ方針

https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/policy/sustainability_policies.pdf

 

① ガバナンス

代表取締役を委員長とし、各事業本部及びコーポレート部門を統括する執行役員により構成されるサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会ではマテリアリティ(経営の重要課題)に関する年度計画を策定・審議・承認し、関連部署への展開を図ると共に、重要課題に関する当社グループ全体の取り組みを推進・サポートし、進捗をモニタリングしています。また、気候変動・生物多様性、人権等を含む当社グループのリスク全般(機会・脅威)について、経営・財務等への影響を考慮し現状リスクの再評価及び新規リスクの抽出・評価を行うとともに、重要リスクの特定と見直しを行っています。詳細は、「事業等のリスク」をご参照ください。

これらの審議・決定事項及び活動実績は取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っています。

 

サステナビリティ推進部は、サステナビリティ委員会の事務局として委員会の運営を行うとともに、委員会で承認された事項について社内の各組織を通じて事業活動へ展開し、定期的にフォローを行っています。

また、全社横断のサステナビリティ推進プロジェクトにおいて、各事業本部の推進フォロー及び従業員への活動の浸透を図っています。

 


 

 

各会議体の構成と実績

 

メンバー

実績

開催数

2024年度(90期)の主な審議事項

サステナビリティ

委員会

委員長:代表取締役 社長執行役員

委員:事業ユニットを所管する執行役員、コーポレート担当執行役員、コーポレート各部長及び委員長が指名した者

年2回

3月・9月

・マテリアリティに関する年度計画

・インターナルカーボンプライシング導入の件

・TNFD開示について

・DE&I関連の取り組み

・人権対応

・社会貢献活動

・リスクマネジメント

サステナビリティ

推進プロジェクト

レビューボード:サステナビリティ推進担当役員

プロジェクトリーダー:サステナビリティ推進部 部長

メンバー:事業ユニット 戦略担当部門、コーポレート部門(コーポレートコミュニケーション・人事・総務・法務リスクマネジメント・購買・サステナビリティ推進)

年2回

5月・10月

・サステナビリティ委員会報告

・サステナビリティ活動表彰応募と結果報告

・社内浸透活動

・社会貢献活動

・マテリアリティ(経営の重要課題)のKPI進捗報告

 

 

② 戦略

当社グループは、「人を想う」ことで培ってきた3つの強み、「顧客との信頼関係」「顧客課題解決力」「確かなものづくり」をさらに磨き、「人が活きる社会の実現」を目指しています。2023年5月発表の「中期経営計画2025」では、事業を通じて社会に貢献するとともに持続的な企業価値の向上を目指す姿勢を明確にしています。

「人が活きる社会の実現」にはサステナビリティを中心に捉えた事業活動が重要であるとの認識のもと、マテリアリティ(経営の重要課題)を特定し、4つの分野で取り組みを推進しています。

「責任ある企業活動」を経営基盤とし、「従業員の働きがいの追求」によって一人ひとりが活き活きと働きがいを感じるとともに、「地球環境への取り組み」を実践することで、サプライチェーン全体を通じて環境負荷を低減していきます。事業活動を通じて「人が活きる環境の創造」を実践することにより人が活きる社会の実現に貢献します。

重要課題への活動を推進し、社会に貢献するとともに持続的な企業価値の向上を目指します。

マテリアリティ(経営の重要課題)の特定と見直しのプロセスについては、「オカムラグループサステナビリティレポート2024(P.13)」をご参照ください。

https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/report/pdf/2024/Okamura_SR_2024_ALL.pdf

 

 

 

・マテリアリティ(経営の重要課題)

 


 

 

・マテリアリティのリスクと機会

 

分野

人が活きる環境の創造

重要課題

リスク

機会

取り組み

モノ・コトづくりのクオリティの追求/イノベーションの推進と新しい価値の創出

・他社との差別化ができず、過度な価格競争にさらされる

・既存の市場の縮小・衰退による売上減等

・ブランド価値の向上によるファン層の増大

・新たな需要創出による社会課題の解決と持続的な成長

・オカムラ独自の基準による製品へのマーク表示

・働き方・働く場に関する調査・研究等

安全な製品・サービスの提供

・製品の欠陥等による製造物責任賠償による損害、ステークホルダーからの信用失墜

・確かな品質と安全性を追求した製品開発によるステークホルダーからの信頼獲得

・国際品質保証規格ISO9001による品質マネジメントシステムの運用

・技術技能訓練センターでの人財育成 等

 

 

分野

地球環境への取り組み

重要課題

リスク

機会

取り組み

サーキュラーエコノミーの推進

・資源枯渇の助長、廃棄物処分場のひっ迫、自社CO2 排出量 スコープ3(カテゴリー1)の増大

・上記によるステークホルダーからの信用失墜

・環境配慮型製品の開発、製品のロングライフ化、使用済み製品の資源循環、廃棄物削減等による環境への貢献

・自社CO2排出量 スコープ3(カテゴリー1)の削減

・上記の取り組みによる製品・サービスの付加価値向上

・環境長期ビジョン「GREEN WAVE 2030」

・サーキュラーデザインに基づく製品・サービスの提案

持続可能な自然資源の利用と保全

・生物多様性損失による自然災害リスクの拡大、自然資源供給の不安定化 等

・持続可能な資源利用と供給チェーンの最適化により、生物多様性保全に貢献

・上記の取り組みによる製品・サービスの付加価値向上

・自然との共生に向けたアクション「ACORN(エイコーン)」活動

気候変動問題への貢献と

カーボンニュートラルの実現

移行リスク

・炭素税等の規制導入、環境配慮型原材料・資材切替等によるコスト増

物理的リスク

・気温上昇に伴う植生・生態系の変化による自然資源供給の不安定化、調達価格の高騰

・自然災害に伴う社会事業拠点の被災、社会インフラの損害、サプライチェーンの分断による事業活動の停止、機会損失、復旧のための費用負担の増加

・気候変動緩和・適応製品の開発、販売拡大による環境への貢献。自社CO2 排出量スコープ3(カテゴリー11)の削減

・カーボンニュートラル達成施策による顧客訴求

・セクター・業界の枠を超えたパートナーシップの構築

・オカムラグループ気候変動情報開示(TCFD)

・生産事業所での再生可能エネルギーの利用

・RE100、日本気候グループリーダーズ・パートナーシップ(JCLP)への加盟

 

 

分野

従業員の働きがいの追求

重要課題

リスク

機会

取り組み

Work in Life 

(ワークインライフ)の推進

・エンゲージメントの悪化による生産性・創造性の低下、離職の増加等

・安全配慮義務違反による事故、罰則、賠償金支払

・ハラスメント行為など人権侵害による係争コストと賠償金支払

・上記によるステークホルダーからの信用失墜

健康と安全に配慮した職場環境の構築、働きがい改革の推進による、従業員満足・エンゲージメントや生産性・創造性の向上

・働きがい改革 WiL-BE 2.0※の推進

・エンゲージメントサーベイの実施

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

多様なバックグラウンドを持つ従業員の採用と育成により、多様で柔軟な企業文化が醸成され、イノベーションが促進される

・ダイバーシティ採用の実施

・仕事と育児の両立支援制度・仕組み構築

キャリア形成支援と

専門人財育成の強化

人財の確保と育成が不十分な場合、事業運営能力が低下する

従業員の成長・キャリア開発に向けた取り組みにより、専門知識とモチベーション向上が促進され、企業成長の原動力となる

・オカムラキャリアジャーニーの推進

 

(注)詳細については「(3)人的資本に関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

分野

責任ある企業活動

重要課題

リスク

機会

取り組み

公正・透明・誠実な行動

・法令・コンプライアンス違反によるステークホルダーからの信用失墜・業績悪化

倫理的な事業活動を通じたステークホルダーからの信頼獲得

・研修実施

・内部通報制度の適正な運用

リスクマネジメントの強化

・急激な社会環境変化による事業活動の停止や機会損失

リスクへの予防的対応と計画、リスク対応による安定的な操業、ステークホルダーからの信頼獲得

・災害対策、秘密情報管理、情報セキュリティ対策の実施

適切な情報開示とステークホルダーとの対話

・株主・地域住民・顧客などさまざまなステークホルダーとのトラブルによる信用失墜、操業停止、損害賠償の係争コスト、賠償金支払 等

・透明性の高い情報開示を通じた投資家の信頼・投資意欲の向上

・市場ニーズや期待に応える製品やサービス開発

・地域からの信頼を得ることで、生産事業所・拠点で安定的に操業

・サステナビリティレポート、統合報告書の発行

・ステークホルダーエンゲージメントの実施

 

 

③ リスク管理

事業等のリスク」に記載の通り、当社グループのリスク全般について合理的にコントロールし、リスクがもたらす損失の最小化または機会の最大化を図るよう、サステナビリティ推進活動と有機的に結び付けて、計画的に推進しています。リスクマネジメントの有効性の向上を図るため、サステナビリティ委員会において、当社グループのリスクマネジメントに関する各種事項の決定ならびに有効性評価及び改善指導を行っています。

また、サステナビリティの計画的な推進を目的として設置した、サステナビリティ委員会の事務局であるサステナビリティ推進部が、リスクマネジメント事務局としても関わっており、リスクマネジメントの運営を支援・推進しています。

 

④ 指標と目標

「人が活きる社会の実現」にはサステナビリティを中心に捉えた事業活動が重要であるとの認識のもと、マテリアリティ(経営の重要課題)を特定し、「人が活きる環境の創造」「従業員の働きがいの追求」「地球環境への取り組み」「責任ある企業活動」の4つの分野で取り組みを推進しています。

重要課題は、サステナビリティに関する各種ガイドライン、評価機関の調査項目、社内の方針や規範、社内外のアンケート・ヒアリング等多様な視点を統合し、ステークホルダーにとっての重要性と当社グループにとっての重要性を定量的かつ定性的に分析し、特定しました。

また、特定した重要課題を着実に実施するため、各課題それぞれにKPIを定め、年度毎の目標値を設定してその達成に向けた取り組みを推進、サステナビリティ委員会·サステナビリティ推進プロジェクト等の推進組織の中で、取り組みの進捗についてモニタリングしています。なお、「人が活きる環境の創造」についての様々な活動の進捗は、中期経営計画の進捗(KPI)と同一に管理しています。

詳細については「オカムラグループサステナビリティレポート2025 (サステナビリティ推進 指標と目標)」をご参照ください。

https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/ 

 

・重要課題のKPIと2024年度目標・実績、2025年度目標

a. 分野:地球環境への取り組み

重要課題

KPI

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

サーキュラーエコノミーの推進

省資源・廃棄物削減による資源循環の推進

生産系廃棄物等排出量 社内完成高あたり前年度比1.0%の原単位低減

原単位前年度比3.4%低減

生産系廃棄物等排出量 社内完成高あたり前年度比1.0%の原単位低減

製品開発における環境配慮型企画と設計推進

環境配慮販売製品の管理指標の設定と実態把握

管理指標を設定し月次で進捗状況を把握

環境配慮開発製品の管理指標の設定と実態把握

持続可能な自然資源の利用と保全

森林資源の持続可能な利用の推進

木材利用方針に基づいた合法性の再確認

FSC維持審査で軽微な不適合1件

合法木材確認フローの構築

環境影響度の低減

水資源使用量 
社内完成高あたり前年度比1.0%の原単位低減

原単位前年度比9.5%低減

水資源使用量 社内完成高あたり前年度比1.0%の原単位低減

気候変動問題への貢献と

カーボンニュートラルの実現

地球温暖化防止対策の推進

・温室効果ガス排出量低減

・燃料系エネルギー使用量低減

グループ全体でスコープ1+2排出量2020年度比20.0%削減

・工業用燃料使用量 

 5年度平均1.0%低減

・車両用燃料使用量 

 5年度平均5.0%低減

CO2排出量2020年度比33.5%削減で推移

・工業用燃料使用量

 5年度平均1.1%低減

・車両用燃料使用量

 5年度平均15.3%低減

グループ全体でスコープ1+2排出量2020年度比36.0%削減

・工業用燃料使用量 

 5年度平均1.0%低減

・車両用燃料使用量 

 5年度平均5.0%低減

エネルギー生産性向上

省エネ法対応によるエネルギーの効率利用

・生産系エネルギー消費原単位 社内完成高あたり前年度比1.1%低減

・事務所系エネルギー消費原単位 総人員あたりのエネルギー消費原単位維持

・生産系エネルギー消費原単位 前年度比4.0%低減

・事務所系エネルギー消費原単位 前年度比2.0%低減

・省エネ法対応によるエネルギーの効率利用

・生産系エネルギー消費原単位 社内完成高あたり前年度比1.1%低減

・事務所系エネルギー消費原単位 総人員あたりのエネルギー消費原単位維持

 

 

b. 分野:従業員の働きがいの追求

重要課題

KPI

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

Work in Life(ワークインライフ)の推進

従業員満足・エンゲージメントの向上

・エンゲージメントスコア向上

・重点改善項目の設定

・エンゲージメントスコア「Bレーティング」達成

・重点改善項目の設定、改善施策の実施

・エンゲージメントスコア向上

・重点改善項目の設定

・改善施策の実施

・Dレーティング組織の改善

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

女性従業員比率

23.0%

22.7%

23.0%

女性管理職比率

7.0%

7.3%

7.5%

新卒女性採用比率(大卒)

40.0~ 50.0

41.9%

達成済みのため、2025年度より目標管理せず

男性育休取得率

65.0%

69.2%

70.0%

(男性育休+配偶者出産休暇)取得率

100.0%

101.9%

100.0%

障がい者雇用率

2.58

2.32

2.50%

キャリア形成支援と

専門人財育成の強化

育成面談実施率

100.0

97.0%

100.0%

強みにつながる専門職への各種施策の実施

各事業本部の戦略に沿った専門人財育成のプログラム企画運営

・DXラーニングプラットフォームの実施

・施工管理技士の講習実施

・デザイン思考習得のためのオカムラシンキングの開催

・必要資格の抽出

継続して各事業本部の戦略に沿った専門人財の育成プログラムの企画運営

オカムラ ユニバーシティ受講アンケート「今後のキャリアに活かせる」

受講者の95.0%が今後のキャリアに活かせると回答

受講者の92.2%が今後のキャリアに活かせると回答

受講者の95.0%が今後のキャリアに活かせると回答

 

 ※報告対象範囲:連結グループに属するすべての会社では行われておらず、記載が困難であるため、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

c. 分野:責任ある企業活動

重要課題

KPI

2024年度目標

2024年度実績

2025年度目標

公正・透明・誠実な行動

サステナブル調達調査実施率

取引金額ベースで70.0%

取引金額ベースで70.0%以上
 達成

取引金額ベースで70.0%以上
 達成

サステナブル調達 実地監査 実施率

ハイリスクサプライヤーに対して100.0

ハイリスクサプライヤーに対して100.0%

ハイリスクサプライヤーに対して100.0%

人権教育(社内)の実施と充実、サステナブル調達との相乗効果

購買関連部門へ教育継続

継続実施

購買関連部門へ教育継続

入社時及び新任役職者向けコンプライアンス教育実施率

100.0

100.0%

100.0%

コンプライアンス研修の充実

コンプライアンス研修の充実

全社コンプライアンス研修(4回/年)実施

その他課題別研修の実施

全社コンプライアンス研修(3回/年)実施

その他課題別研修の実施

リスクマネジメントの強化

BCP(災害)構築

・災害対応マニュアルの見直し

・BCP(災害)構築

・BCPに合わせる形で災害対応マニュアルの見直しを継続中

・BCP(災害)構築完了。2025年度から運用予定

・災害対応マニュアルの見直し

・BCPの広報・周知

適切な情報開示とステークホルダーとの対話

ステークホルダーとの対話継続と取り組みへの反映

ESG関連各外部有識者とのステークホルダーダイアログ実施

継続実施

・ESG関連各外部有識者とのステークホルダーダイアログ実施

・投資家との創造的対話

 

 

 

(2)気候変動及び生物多様性への対応(TCFD・TNFD提言への取組)

当社グループは、気候変動によるリスクと機会に関連する事業インパクトの評価、それに基づくKPIの設定及び具体的な対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に不可欠であると認識し、2021年4月にTCFD提言への賛同及び情報開示を行っております。

2022年度にはサーキュラーエコノミー(循環経済)の概念に基づいた「サーキュラーデザイン」の考え方による製品開発を実施し取り組みをスタートいたしました。

また、2023年度には従来の2℃未満のシナリオ分析からより野心的な1.5℃シナリオによる分析を行い、気候変動によるリスクと機会の見直しを行い、2024年度は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた移行計画についてより具体的な検討を行い、温室効果ガス排出量削減ロードマップを可視化いたしました。

 

また、生態系サービスの基盤である生物多様性の損失は、「自然災害のリスクの拡大」「作物・森林・その他自然資源供給の減少」「感染症発生リスクの拡大」を及ぼす重要な課題との認識のもと、事業活動における環境負荷低減に積極的に取り組んでおりましたが、自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会などをより広い視点から統合的に評価するため、TNFDのフレームワークを用いて分析を行い、2025年6月にTNFD情報開示を行いました。今後、TNFDのフレームワークに沿って、戦略及び指標・目標を検討、決定していく予定であります。

※オカムラグループ TCFD・TNFD 提言に基づく情報開示

https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/report/pdf/2025/okamura_TCFD_TNFD_250624.pdf 

 

① ガバナンス(気候変動・生物多様性共通)

オカムラグループでは、サステナビリティ戦略の立案・推進等を適切にマネジメントするために、サステナビリティ委員会を設置しています。

サステナビリティ委員会では、気候変動に加え、自然資本や生物多様性の損失を含む、サステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定、それらの対応に係る年度計画を策定、審議・承認し関連部署への展開を図ると共に、重要課題に関するグループ全体の取り組みを推進・サポートし、進捗をモニタリングしています。

社長執行役員を委員長とし、サステナビリティ推進部長を気候変動及び生物多様性に関する責任者に任命して、TCFD・TNFD提言対応を含む気候変動・生物多様性リスク・機会に関する取り組みを推進しています。また、これらの結果は定期的に取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っています。

詳細については「(1)サステナビリティの考え方及び取組 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略(気候変動)

2030年の社会や規制動向などを予測し、バリューチェーン全体を対象に事業や財務に影響を与える気候変動関連リスク・機会について、短期から中期経営計画の対象期間を含む中長期の視点で、幅広く洗い出しを行っています。その中でリスクとして識別した事象は、移行リスク(政策・法規制、技術、市場、評判)、物理的リスク(急性、慢性)に分類し、さらに当社事業に便益をもたらす事象は、機会として分類しています。その上で洗い出したリスクと機会について「発生の可能性」と「財務影響」の観点でその重要性を評価しています。

気候変動関連リスク・機会の分析では、当社の温室効果ガス排出削減目標に整合する1.5℃シナリオを含む、下記シナリオを選択しています。

 

・参照シナリオ

1.5℃

4℃

出所

NZE: Zero Emissions by 2050 Scenario

STEPS: Stated Policies Scenario

IEA (2023年)

RCP1.9

RCP8.5

IPCC (2021年)

 

 

サステナビリティ部門が、経営企画部門・リスクマネジメント部門・総務部門・人事部門などと協議し、特定したリスク・機会について、まず定性的に事業インパクトを整理、集約した上で、それぞれの財務インパクトを算定しています。

重要なリスク・機会についてはサステナビリティ部門が事業部門と協議し、対応策を検討の上、実行しています。また、サステナビリティ委員会で審議、承認されたリスクは、必要に応じて重点対応リスクとして認識し、各リスクオーナーが顕在化した場合の事業への影響度を分析して対応策を策定し、実行に努めています。

TCFD提言が示す気候関連リスク・機会の枠組みに基づき、当社バリューチェーンにおける気候関連リスクを抽出し、「発生の可能性」と「財務影響」の二軸の観点で、重要な気候関連リスクを特定しています。

2050年カーボンニュートラル実現に向けた移行計画についてより具体的な検討を行い、スコープ1・2について温室効果ガス排出量削減ロードマップを可視化しました。長期の時間軸のもと実行可能な道筋を示し、再生可能エネルギーの活用、省エネや新技術の活用による温室効果ガス排出量削減活動等の取り組み推進につなげています。また、2025年度よりインターナルカーボンプライシングを試行的に導入します。生産設備更新の際に、CO₂削減効果に設定価格を掛け合わせ、CO₂削減効果を金銭的に評価し、低炭素設備投資を促進します。

 

・オカムラグループの気候関連リスク

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・2030年を想定した財務影響及び当社の対応方針

シナリオ

区分

内容

財務
 影響*

想定
 時期*

当社の対応方針

1.5℃
シナリオ

移行リスク

政策・規制

Ⓐ炭素税等の規制導入によるコスト増

・カーボンプライシング政策動向のモニタリング

・再生可能エネルギーへの切替や自家消費型太陽光発電設備の導入

・省エネ設備・高効率設備への切替

・インターナルカーボンプライシングの導入による低炭素設備投資の推進

Ⓑ規制対応に伴うコスト増

短~中

・環境規制動向のモニタリング

・冷凍冷蔵ショーケース省エネ化とフロン代替対策の実施

Ⓒ気候変動問題に関する情報の開示や、事業戦略への反映が不十分であることによる、株主等のステークホルダーから訴訟を提起されるリスク

短~中

・事業を通した社会課題への取り組みの実施と定期的な進捗モニタリングの実施

技術

Ⓓ環境配慮型原材料・資材切替による安定調達のためのコスト増

短~中

・複数調達先、複数地域による安定調達と適正価格での調達の実施

・代替品、代替メーカーへの変更の検討

Ⓔ冷凍冷蔵ショーケースで脱フロン対応など新技術の開発・取り込みを他社に先駆けられ失注するリスク

中~長

・冷凍冷蔵ショーケース省エネ化とフロン代替対策の実施

市場

Ⓕ鋼材・アルミ価格高騰による調達コスト増

・原材料メーカーや業界の市場動向のモニタリング、代替原材料の検討

評判

Ⓖ環境取り組み遅延・説明不足による顧客信頼低下

短~中

・環境長期ビジョン「GREEN WAVE 2030」に沿った取り組みの推進

4℃
シナリオ

物理的リスク

慢性

Ⓗ天然資源に由来する木材原材料が、気温上昇などの気候変動等に伴う植生・生態系の変化に伴い、供給が不安定・不可能になるリスク

・複数調達先、複数地域による安定調達の実施

Ⓘ物流センター・工場内の労働環境が悪化し従業員が熱中症にかかるリスクや、人財の確保が難しくなるリスク

・職場環境の改善、働き方改革の推進

1.5℃
シナリオ

機会

資源効率

効率的輸送によるコスト減

中~長

・適正在庫水準維持による効率的輸送の実現

・物流ネットワークの再編による輸配送効率の向上、低燃費車両への代替

サーキュラーエコノミーの実現による環境負荷低減への貢献

使用済み製品や廃棄部材のリサイクル材料を使用した製品の開発

中~長

・クローズドリサイクルによるサーキュラーエコノミー構築の推進

・サプライチェーン企業との連携強化

・製品のロングライフ化、省資源化、リユース・リサイクル率向上

エネルギー
 源

化石エネルギーリスク低減

中~長

・再生可能エネルギーへの切替や自家消費型太陽光発電設備の導入

・省エネ設備・高効率設備への切替

再生可能エネルギー比率向上に係る対外訴求

中~長

・計画的な再生可能エネルギーへの切替や自家消費型太陽光発電設備の導入

製品及び
 サービス

気候変動緩和・適応製品の需要拡大

中~長

・社内独自の環境基準を策定した環境配慮製品「GREEN WAVE」の拡充

レジリ
 エンス

工場新設・増設に伴うBCP対策

中~長

・生産品目変化への対応力と成長を支える安定供給力の強化

 

*財務影響 小:3億円未満 中:10億円未満 大:10億円以上  想定期間 短:1年未満 中:5年未満 長:5年以上

 

 

・温室効果ガス排出削減ロードマップ(排出量の推移と今後の取り組み)

 


 

 

・オカムラグループにおけるインターナルカーボンプライシングの基本設計

目的

移行計画達成への施策

GW2030、2050カーボンニュートラル達成に向けて、脱炭素設備投資を促進する

低炭素投資の推進

CO₂排出量をコストとして認識することで、環境負荷の少ない投資や事業活動を促進する

設定価格

15,000円/t-CO₂

国際エネルギー機関(IEA)先進国の炭素価格に基づき設定
 (30年に140ドル/t-CO₂、50年に250ドル/t-CO₂予測)

 

 

 

③ リスク管理(気候変動・生物多様性共通)

気候変動及び生物多様性に関するリスクは、当社グループのリスクに含まれています。詳細は、「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標(気候変動)

当社グループではオカムラグループ環境方針を定め、GREEN(環境配慮)のWAVE(波)を自ら起こし、その波に乗るという「GREEN WAVE」の考えのもとに、目指すべき方向性を示した環境長期ビジョンを10年ごとに策定し、すべての事業活動で経営資源を活用して環境負荷低減を実践しています。2021年4月に2030年度を見据えた環境長期ビジョン「GREEN WAVE 2030」を策定し、取り組みを進めています。「GREEN WAVE 2030」は、温室効果ガス排出量の削減・エネルギー生産性向上・水資源使用量の削減・生産系廃棄物の排出量原単位削減等の定量目標と、製品開発や販売での環境負荷低減などの定性目標を設定しています。

スコープ1・2については「2030年度に2020年度比50%削減」「2050年に実質ゼロ」、スコープ3については「2030年度に2020年度比25%削減」の目標を設定し、2022年8月に国際的なイニシアチブSBTiによるSBT認定を取得しました。

再生可能エネルギーの活用、省エネや新技術の活用による温室効果ガス排出量削減活動等の取り組みを推進し、2050年カーボンニュートラルを目指します。

気候変動に関する指標及び目標は、当社グループの重要課題に組み込まれています。詳細は、「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ④指標及び目標 a. 分野:地球環境への取り組み」をご参照ください。

また、詳細は「サステナビリティレポート」に記載し、当社ホームページ等で公開しています。

  https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/

 

項目

対象範囲

基準値

目標年度

目標内容

2024年実績

排出量

削減率

スコープ1・2

グローバル

40,402t-CO₂

(2020年度)

2030年度

50%削減

26,864 t-CO2

33.5%

2050年

実質ゼロ

 

 

(3)人的資本に関する考え方及び取組

当社は創業以来、経営の基本方針において、従業員を共に企業を繁栄させる協力者でありチームの一員と捉え、「創造・協力・節約・貯蓄・奉仕」を社是に、人を中心とした経営を行ってまいりました。創業の精神を踏まえ、「人が活きる」ことを経営理念として掲げながら、持続的成長を支える従業員のエンゲージメント向上に向けて人財育成と働きがい改革を一段と進め、従業員一人ひとりが自分らしく活き活きと働くことができることで、環境の変化に対応できる「強いオカムラ」を目指してまいります。

 

①  ガバナンス

人的資本に関しては、当社グループのサステナビリティに関するガバナンスの中に組み込まれており、サステナビリティ委員会において重要課題のKPI進捗を把握しています。

オカムラグループでは、人財戦略を有効に進めるため、事業戦略に必要な組織形成や人的配置などを担うことを目的に、2024年より各事業本部に責任者の「ビジネスパートナー」として、HR担当を設置しました。コーポレートHR担当(経営企画部・人事部・人財開発部)と合同で月に一度「HR担当者会議」を開催し、各事業本部とコーポレート部門が密に連携することで経営戦略実現に向けた人財戦略を推進しています。

 


 

この会議では、全事業本部共通の取組の認識を合わせ、HR担当の優れた取組を他の事業本部HR担当へ水平展開するとともに、各施策を進めていく上での困りごとを共有し、協力してその解決を図っています。また、従業員の働きがいを向上するための活動「働きがい改革 WiL-BE2.0」で得られた意見・結果はWiL-BE推進委員会で提言し、委員会メンバーである役員による討議を経て、各施策の改善に取り組んでいます。HR担当者会議とWiL-BE推進委員会が連携することで、より実現性の高い取組を実施し従業員のエンゲージメントの向上を図っています。

 

② 戦略

オカムラグループは中期経営計画2025において、経営基盤の強化における重要なテーマとして「人財育成と働きがいの向上」を人財戦略として策定しています。「人財育成」と「働きがい改革」を両輪として、従業員と会社がともに成長することを目指して、さまざまな人事施策を展開しています。

 

 

・従業員一人ひとりが活き活きと働き、WiL-BE(注)を実現できる環境づくりを通して、エンゲージメントを高め、最大限の成果を発揮することによって企業価値を向上させる。

・経営戦略を実現するために必要な人財ポートフォリオを構築し、採用、育成、評価、処遇、配置の人財サイクルによって従業員一人ひとりの成長とキャリア形成を図る。

・全社一体で最大限のパフォーマンスが発揮できる組織の構築と人財の配置を行い、オカムラウェイ(経営理念)の浸透とチームワークの強化で経営目標を達成する。

 

 

 

(注)当社では働き方改革を「WiL-BE(ウィル・ビー)」と名付けて推進しています。「WiL-BE」は当社が提唱する「Work in Life(ワークインライフ)」に由来していますが、 Work in Lifeは「Life(人生)にはさまざまな要素があり、その中の一つとしてWork(仕事)がある」という考え方です。

 

「人財育成」

変化の激しい社会で、「答えのない問題を解く力」を身につける人財を育てることを念頭に置き、積極的な投資や、若手の登用・抜擢を推進していきます。従業員一人ひとりが未来のキャリアを描き続け、多様な経験を通じて成長し続けることを、「オカムラキャリアジャーニー」と定義し、タレントマネジメントシステムを活用しています。それにより、従業員と組織のパフォーマンスを最大化し、適材適所の人財の流動性を高めるとともに、従業員自身が定期的に自分のキャリアを振り返り、今後どのように成長していきたいかを自律的に考えるきっかけにつなげていきます。

 

「働きがい改革」

従業員一人ひとりが、働きがいを感じながら日々活き活きと働けることを目指し、社内コミュニケーションの活性化のため、「働きがい向上の流れをつくる」「働きがい支援の流れをつくる」ことに取り組んでいます。「働きがい改革 WiL-BE 2.0」の取組において、所属長を責任者として、働きがいについて相互理解を深める場を設けています。従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを活用し、それぞれの職場課題の解決を図り、従業員のエンゲージメント向上を目指していきます。

 

取組事例

「オカムラ ユニバーシティ(略称:オカユニ)」

オカムラでは、従業員が自律的な学びをデザインすることを目的とし、2020年にオカムラ ユニバーシティを開校しました。5年目となった2024年度は、従業員が「オカムラキャリアジャーニー」の実現に向かう一歩として、ビジネススキルからパーソナルスキルまでの幅広い講座での学びを通じて、自分が目指すものへ近づき、今後のキャリアや自己成長について主体的に考えるきっかけとなっています。特に「なぜ学ばないといけないのか?」、「情報の見方」など原点に戻る講座が人気となりました。

 

「サクセッションプラン(次世代リーダー研修、オカムラビジネススクール)」

オカムラでは、企業の持続的成長と変化するビジネス環境への対応力を高めるべく、変革を担える次世代の「経営人財」の育成を行っています。育成を通して「経験×知識×勘所」を磨き、経営人財が自身のキャリアジャーニーを描き研鑽を積んでいく施策を3段階にて展開しています。1つ目は、非管理職を対象にケースを使いビジネススキルの習得と、アクションラーニングを通して代表取締役や役員に自社課題の提案を行う「次世代リーダー研修」を9カ月間かけて実施しています(過去114名受講)。2つ目は管理職を対象に、外部講師に加え社内外の役員が講話を行い、経営課題を描き解決に向けたアクションに取り組む「オカムラビジネススクール」を2022年に開校しました(過去41名受講)。「企業経営」等について幅広くテーマを選定し、外部コンサルタントの指導により毎月1回対面で1年間実施しています。3つ目は研修修了者の一部を外部研修や国内のビジネススクールへ派遣し、社内外を含めた多様な知見の共有や経営感覚を磨く機会を設け、習得した知見を現場で発揮できる状態を目指しています。

 

「学びとキャリアの交差点 CROSS GATE (クロスゲート)」

従業員の挑戦を後押しし、成長を支えるオカムラの人財育成の場として2025年にオープンいたしました。多様な知識・スキルを習得できる場、人や知識との出会いを通じた対話、個々のキャリアを描き挑戦を後押しする場として、今後活用していきます。

 

「グローバル人財育成制度」

海外市場の拡大に対応できるグローバルな人財の育成を目的とする制度です。2022年度に育成内容を見直し公募型で選抜した対象者は、通常業務から離れ国内の語学学校へ3ヵ月間集中して通学します。会話や文法、TOIECの他に、異文化理解等の講座、成果のプレゼンテーションを設けています。国内語学留学後は、海外での語学留学や海外ビジネスに関わる業務への従事、海外現地法人に赴任など、実際のビジネスを経験することで、海外勤務における総合的な適応力を養います。2024年度は8名が受講(過去18名受講)し、英語を国内語学学校で学び、現在4名が海外営業本部へ異動し活躍しています。

 

「DX人財」

変化の激しいビジネス環境下で、多様化するお客様のニーズや社会課題に柔軟かつ機動的に対応するため、経営戦略の一環としてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を強化いたします。最先端のデジタル技術を積極的に活用し、「人が活きる」環境づくり、各事業の成長に貢献していきます。DX教育として、全従業員に対してe-ラーニングを実施しました。また、全社横断的に人財を募りDX専門人財を育成するためのオンライン講座を実施し、「デジタル技術の活用」によって、これからの社会で活かせる仕組みや手法を発想し、実践して、顧客・従業員の体験価値を向上できるオカムラパーソンの育成を実施しています。

 

「女性活躍推進」

オカムラグループでは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの観点から、性別を問わず、一人ひとりの従業員が能力を発揮できる職場環境の整備に努めており、それぞれの違いや強みを活かすことができるよう、理解を深める施策を実施しています。オカムラでは、女性管理職比率を2024年度末までに7%に上げることを目標と掲げ達成しました。女性管理職を増やす施策として、女性従業員がリーダーシップスキルとマインドを習得するための研修を実施しています。

 

「エンゲージメントサーベイ」

従業員の働きがいを定点観測するため、外部機関を利用したエンゲージメントサーベイを実施しています。回答率は99.1%、全社の結果平均はAからDのうち、Bレーティングで昨年度を上回りました。今回の結果を踏まえ、「会社方針と個人の仕事の繋がりの強化を図る施策」、「本部別の固有課題に基づいた方針策定・施策実施」、「全職場での職場共有会を通じた改善案の共有」を全社方針として取り組んでおり、エンゲージメントの更なる向上を推進しています。

 

「健康経営」

オカムラグループでは、「Work in Life」の基盤として健康経営を位置づけ、「オカムラ健康経営宣言」及び「オカムラ健康経営の考え方」に基づき、健康経営推進体制を構築しました。健康経営の取組として、プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムの低減に力を入れ、ウェルビーイングを大切にした職場づくりを推進しています。主な取組として、定期健康診断の100%受診と二次健診受診のフォロー実施、管理職へのラインケア研修実施、運動などを含む生活習慣病予防などに取り組んでいます。健康経営KPIとして、エンゲージメント向上を推進しています。

(注)プレゼンティーズム(疾病就業):何らかの健康問題により業務効率が落ちている状態

   アブセンティーズム:仕事を休業・欠勤している状態

 

③  リスク管理

人的資本に関する主なリスクは、当社グループのリスクに含まれています。詳細は、「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④  指標及び目標

人的資本に関する指標及び目標は、当社グループの重要課題に組み込まれています。詳細は、「(1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ④指標及び目標 b分野:従業員の働きがいの追求」をご参照ください。

また、詳細は「サステナビリティレポート」に記載し、当社ホームページ等で公開しております。  

  https://www.okamura.co.jp/corporate/sustainability/

 

 

 

3 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメントの体制

当社グループは、事業目的の達成に影響を及ぼす可能性(好ましい影響・好ましくない影響の双方を含む)をリスクと認識し、リスクの特定、分析および評価を行い、合理的にコントロールすることで、リスクがもたらす損失の最小化または機会の最大化を図るよう、組織的に活動しております。

また、リスクに係る上記の組織的な活動であるリスクマネジメントを、グループのサステナビリティ活動と有機的に結びつけて、その有効性の向上を図るため、サステナビリティ活動の計画的推進を目的として設置されたサステナビリティ委員会において、グループのリスクマネジメントに関する基本方針、重点対応リスクおよび対応策の決定ならびにリスクマネジメントの有効性評価等を行っております。

なお、サステナビリティ委員会およびリスクマネジメントにおける役割の概要に関しては、次のとおりです。

 

 サステナビリティ委員会

a.目的  グループのサステナビリティ活動の計画的推進

b.役割  サステナビリティ委員会は、リスクマネジメントに関して以下の役割を担っています。

     ・リスクマネジメントの基本方針の決定

     ・全社的なリスクに係る重点対応リスク、対応策およびリスクオーナーの決定

     ・リスクマネジメントの実施状況の確認、有効性評価および改善指導

     ・リスクに関する重要事項の取締役会への報告

c.開催  年2回定期的開催および必要に応じて臨時開催

d.構成員 委員長 社長執行役員、

     委員 各事業本部およびコーポレート各本部の執行役員等

 

② リスクマネジメント事務局

法務リスクマネジメント部長が事務局長を務め、サステナビリティ委員会の委員であるコーポレート担当部門の所属長等を構成員として、当社グループのリスクマネジメントの運営を支援・推進しています。

 

③ 全社的レベルのリスクマネジメント

当社全体または当社グループに影響が及ぶことが想定される事態に対して、サステナビリティ委員会を決定機関として全社的リスクマネジメントを実施しています。

 

④ 事業ユニットレベルのリスクマネジメント

セグメントごとの当社の事業本部および連結子会社を総称した当社グループ内における事業活動の責任単位を事業ユニットとしており、事業本部の執行役員を主管本部長としています。事業本部または子会社で対応が可能な事態には、事業ユニットの主管本部長を責任者としてリスクマネジメントを実施しています。

 

⑤ リスクオーナー

リスクごとに、リスクを効果的にコントロールする活動責任と活動内容・結果についての説明責任を持つ責任者をリスクオーナーとして定めています。リスクオーナーは、事業目的・業績目標に照らして適切なリスク対応策を選択・適用する権限を有しており、リスクへの対応を行っています。全社的リスクのリスクオーナーは執行役員が担うものとし、サステナビリティ委員会にて決定しています。

 

 

当社グループのリスクマネジメント体制に関しては、次のとおりであります。

 


 

また、当社では、こうした体制の整備、運用に関して、平時のリスクマネジメントとして「リスクマネジメント規程」を、有事のクライシスマネジメントとして「緊急事態対応規程」を制定しております。

 

(2) リスクアセスメントのプロセス

リスクアセスメントにあたっては、まずリスクを特定し、特定したリスクに対して、発生可能性と影響度の観点からリスクマップを用いて分析をしたうえで評価を行っております。

特定されたさまざまなリスクは、大きく「事業環境リスク」「事業戦略リスク」「業務リスク」「金融リスク」「人権・人財・労務リスク」の5つに分類し、さらに中分類・小分類の3つの階層に整理しております。

 

・発生可能性のレベル判定目安


 

・影響度のレベル判定目安


 

・リスクマップ

 


 

リスクアセスメントは、全社的レベルで年2回、事業ユニットレベルで年1回実施しております。

事業ユニットレベルのリスクアセスメントは、まずグループ会社が自社に係るリスクについて分析・評価を行います。次に、グループ会社のアセスメント結果を踏まえて事業ユニットの主管本部長が事業ユニット単位で重点的、積極的に対応する重要なリスクを決定します。

全社的レベルのリスクアセスメントは、リスクマネジメント事務局が指定した評価部門が事業ユニットのリスクアセスメントを参考にしつつ1次アセスメントを実施し、リスクマネジメント事務局が各評価部門の結果を総合的に検討して再度アセスメントを行います。そのアセスメントによって、リスクマップで「重大」リスク、「高」リスクに位置付けられたリスク、および将来の影響変化予測や社会的責任の重要性を考慮して重要と判断したリスクを、サステナビリティ委員会に諮り、同委員会にて全社的な重要リスクを決定します。

重要リスクには、それぞれについてリスクオーナーが顕在化した場合の事業への影響度を分析して対応策を策定し、実行に努めております。その策定にあたっては、短期的・優先的に対応すべきリスクがサステナビリティ委員会で指定されており、その結果が計画に加味されています。

また、リスクオーナーおよびリスクマネジメント事務局は、対応状況をモニタリングし、課題が明らかになった場合には、リスクオーナーがその是正・改善を図っております。

 

(3) 重要リスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に、重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。これらのリスクを制御して可能な限り回避するよう努めております。なお、下記記載のリスク項目は、当社グループ事業に関するすべてのリスクを網羅したものではありません。また、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(下記に重要リスクと記載のあるものは、前述のリスクアセスメントプロセスにより全社的な重要リスクとしたリスクを、そのリスクの中分類の階層で経営の重要課題の4分類に関連付けしたものです。)

 

① 「人が活きる環境の創造」に係るもの

a.製品・サービスの開発

当社グループは、製品・サービスにおける「差」ではなく、価値提供におけるコンセプトの「違い」によって競争優位性を築くことを意識し、その姿勢が今までにないマーケットの創出につながると考えています。そうした活動から生まれる高い顧客課題解決力と製品のあるべき姿を形にするデザイン力および高度な生産技術力に裏打ちされた確かなものづくりを強みに、顧客と強い信頼関係を築き、事業領域の幅も広げています。しかしながら、顧客の嗜好の変化スピードに製品・サービスの開発が追いつかず、顧客の期待を超える製品・サービスをタイムリーに提供することができなければ、顧客満足度の低下による影響が生じる可能性があります。また、当社グループの属する業界は競合性の高い業界であり、競合他社が当社グループ製品のデザインおよび技術を追従し、安価で販売するないしは、より高い独自デザインおよび技術により市場シェアを高め、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

重要リスク:製品・サービスの開発

 

b.製品・サービスの品質維持、向上

製品・サービスの品質は「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」という当社のミッションの根本であります。安全、高品質で創造性豊かな製品・サービスを追求し、お客様の期待に応えることができるよう、調達から生産、物流、施工にいたるすべてのプロセスにおいて常に品質管理の徹底に努めております。

当社グループは、世界的に認められている品質基準(ISO9001)に従って各製品を製造しております。しかし、すべての製品について不測の事故も生じず、将来にわたりクレームが発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、当社グループが最終的に負担する賠償額を、保険が十分にカバーできるという保証はありません。製品の欠陥は、当社グループの評価に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。お客様への新しい価値の提供、販売対象のモノからコトまでへの拡大、社内製造の製品だけでなく社外調達商品、請負工事、サービスまでのトータル販売の伸張といった事業の変化に伴い、対処すべき品質管理対象も多様化・複雑化し続けております。事業の成長速度に品質維持が追随できず品質管理活動が十分に行きわたらなくなる可能性を認識して、サプライチェーン全体を対象とする品質保証委員会を設置するなど安全・品質に関するマネジメント体制を整え、重大事故や不具合発生の可能性といったより詳細なリスクの特定やそれらに対応するための年度計画の策定および活動の推進・サポートを行い、進捗をモニタリングするとともに、取引先との協力関係のもと、サプライチェーンの各段階で、事例を交えた実務的な品質管理教育を実施しています。また、絶えずその品質管理体制・活動の見直しを行い強固な体制の維持に努めるとともに、継続的な品質管理向上活動により品質の維持、向上を図っています。

重要リスク:製品・サービスの品質

 

② 「従業員の働きがいの追求」に係るもの

a.人的資本・多様性

事業の遂行および成長に必要な人財を効果的に集め、育成し、確保できなければ、事業活動を実行、管理、監督するといった重要な能力が妨げられ、計画通りの業績目標が達成できないおそれがあります。人的投資が不足して人財育成に対する取り組みが十分に行われない場合、従業員の健康と安全に十分配慮されない場合、または職場の心理的安全性が確保されない働きにくい社内環境に陥った場合は、従業員の士気の低下や体調不良または離職を招くおそれや、生産力の低下により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。安全衛生に係る関係法令等への違反は、罰則や賠償金支払だけでなく、当社グループの評価に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクへの対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照)

重要リスク:人財、安全衛生、労務、人権

 

③ 「地球環境への取り組み」に係るもの

a.気候変動

気候変動対策の遅れや関係法令等への抵触、または社会が求める資源循環型に企業活動が移行できないと、持続可能な社会づくりへの貢献が妨げられるだけでなく、当社グループの社会的な信用を棄損するとともに、顧客選定基準からの除外による収益悪化の影響を及ぼす可能性があります。(リスクへの対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照)

重要リスク:気候変動、資源循環型社会への移行

 

④ 「責任ある企業活動」に係るもの

a.サプライチェーンの分断

当社グループは、地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、新型の感染症の流行、貿易摩擦をはじめとする各国の政策動向により、サプライチェーンが分断された場合、事業活動の停止や機会損失、復旧のための費用負担により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、地政学的なリスクの高まりやエネルギー価格の高騰等を背景にした、資材価格の高騰や原材料の調達難といった事態が生じ、これに十分対処できなかった場合、事業活動の機会損失、調達費用負担により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、緊急事態対応規程および事業継続計画(BCP)にて社会・事業活動に重大な影響を及ぼすおそれのある緊急事態が発生した時の適切な対処をあらかじめ定めるとともに、迅速に対応できるよう詳細な手順をマニュアルとして定めて、事態の拡大防止と早期収束により事業の継続・早期復旧を図るよう備えています。また、取引先とは相互の連携による事業面の改善活動やサステナビリティの側面を重視した調達活動を強化しております。

重要リスク:大規模自然災害、資材・原材料調達、事故・人為的な災害

 

b.ガバナンス・コンプライアンス

当社グループは、法令等の確実な遵守に加えて高い倫理観に基づき、常に公正、透明、誠実な行動に努めるとともに、適時・適切な情報開示やコミュニケーションを通じて顧客、取引先、従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーとより良好な関係を築き信頼を得られるよう努めております。経営層からの発信や行動規範の周知活動、e-ラーニングをはじめとする教育などの啓発活動を継続的に実施するとともに、グループ内で企業理念、経営方針をより一層徹底し、グループ一体となった企業活動が遂行できるよう活動責任を明確にしたグループ経営に取り組んでいます。

意識の醸成や行動の徹底はグループ全体で行う必要がありますが、グループ会社統制が機能しない場合を含め、すべての企業活動および役員・従業員の言動が適切で、将来にわたり問題行動が発生しないという保証はありません。社会の期待に対応できていない場合は、当社グループの信用が低下して業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの不適切な行動や信用低下・業績悪化は、取引先にも悪影響を及ぼす可能性があると認識しています。組織内のコミュニケーションや心理的安全性が低下した場合、リスクや問題事項の検出遅延、誤認や独断による誤った業務運用、および不正・不適切処理に気づいても報告されない事態を誘発しやすくする可能性があるため、ヘルプラインを社内・社外・国外に設置して懸念事項の早期解決に努めるとともに、定期的に当社グループ全員を対象にした意識調査を行って経年の意識変化分析や改善活動を実施しております。

リスクに対する適切なコントロールの設計漏れや業務設計を誤るまたは見直しを怠ることで、内部統制の目的達成が阻害される、また業務の複雑化・処理量の増大が見過ごされ、無駄な業務、非効率な業務が業務量を圧迫し、業務目標の達成に悪影響を及ぼす可能性があります。業務の牽制機能および有効性・効率性を維持するため、業務プロセスの整理と可視化、全体最適・標準化・生産性向上の観点で業務プロセスの改善と定着化に努めております。

重要リスク:ガバナンス、信用、法律・規制の遵守、業務プロセス設計

 

c.情報セキュリティ

当社グループは、事業上、顧客情報や個人情報を含む秘密情報を保有しております。また、製造販売等の各事業において、様々なICTシステムを利用しており、それらに対する情報セキュリティリスクは年々高まってきております。当社グループは、秘密情報の取扱いについて秘密情報管理規則を定め、電子データを含むすべての秘密情報を厳重に管理するとともに、取引先との間でも秘密情報の保護に関する契約を締結し、情報の適切な管理を実施しております。また、個人情報については、プライバシーマーク制度にも従って適切な取扱いを実施しております。サイバー攻撃等によるウイルス感染や不正アクセスなどに対しては、重要な情報資産の保護とその機密性、完全性、可用性の維持を目的に制定した情報セキュリティ方針のもと、情報セキュリティ管理に関する規程を新たに制定するなど情報セキュリティ事故を未然に防ぐための対策を強化するとともに、2020年に発足したCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を中心として情報セキュリティ事故が発生した際の被害を最小化するための対策を実施しております。その他、従業員に対しては、社内情報システム使用規則で適切な使用方法を定め、e-ラーニングによる教育や標的型攻撃メール訓練を実施するとともに、イントラネットやパソコン起動時の注意喚起により、日常業務の中で情報セキュリティリスクを意識するための啓蒙活動を継続的に実施しております。しかしながら、日々高度化するサイバー攻撃等にこれらの対策・対応が追い付かず、重大な情報セキュリティ事故が発生した場合、社会的信用の低下や業務停止により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

重要リスク:情報セキュリティ

 

⑤ 上記以外で財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に係るもの

a.経済状況

当社グループは、社外のステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションや社内の会議体・報告手続などを通じて、経済環境の変化に関する情報をタイムリーに入手するように努め、一元的に収集・整理するとともに短期・中長期の事業への影響を分析・評価し、機動的に事業活動の見直しを図っております。しかしながら、当社グループの国内販売比率は90%を超えており、国内景気の悪化に伴う設備投資の抑制により、需要が縮小し、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

重要リスク:経済環境の変化

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 

前連結会計年度末
(百万円)

当連結会計年度末
(百万円)

総資産

282,118

289,144

純資産

174,795

186,795

自己資本比率

61.1

64.0

1株当たり純資産

1,821.10

1,956.33

 

 

総資産は、前連結会計年度末から7,026百万円増加して289,144百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の減少と受取手形、売掛金及び契約資産の増加を主な要因として5,371百万円減少し、固定資産は、建物及び建築物など有形固定資産全般及びのれんの増加、投資有価証券の減少を主な要因として12,398百万円増加いたしました。

負債は、電子記録債務の減少及び長期借入金の増加を主な要因として、前連結会計年度末から4,973百万円減少し102,349百万円となりました。

純資産は、利益剰余金の増加及びその他有価証券評価差額金の減少を主な要因として、前連結会計年度末から11,999百万円増加して186,795百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.9ポイント増加して64.0%となり、1株当たりの純資産は、前連結会計年度末の1,821.10円から1,956.33円となりました。

 

② 経営成績の状況

売上高は、前連結会計年度に比べ5.4%増加して314,527百万円となりました。また、売上原価は売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ10,474百万円増加して208,997百万円となり、売上高に対する売上原価の比率は66.4%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ5,858百万円増加して81,593百万円となりました。また、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.9%となりました。

この結果、営業利益は、前連結会計年度の24,036百万円に比べ0.4%減少し23,935百万円となりました。

営業外損益は、前連結会計年度の2,191百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は2,523百万円の収益(純額)となりました。

この結果、経常利益は、前連結会計年度の26,227百万円に比べ0.9%増加し26,459百万円となりました。

特別損益は、前連結会計年度の3,330百万円の収益(純額)に対し、当連結会計年度は4,020百万円の収益(純額)となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の29,557百万円に比べ3.1%増加し30,479百万円となりました。

法人税等は、前連結会計年度の8,929百万円に比べ5.9%減少し8,398百万円となりました。また、税効果会計適用後の法人税等の負担率は27.6%となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の20,280百万円に比べ8.7%増加し22,045百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の214.27円に比べ8.7%増加し232.93円となりました。また、自己資本利益率は12.3%となりました。

なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの状況は、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

区分

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

21,351

983

投資活動によるキャッシュ・フロー

△12,248

△14,270

財務活動によるキャッシュ・フロー

△8,200

△209

現金及び現金同等物期末残高

38,215

25,410

借入金・社債期末残高

20,862

35,839

 

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益30,479百万円及び減価償却費6,789百万円等による増加と、仕入債務の減少額13,841百万円、法人税等の支払額9,704百万円、売上債権及び契約資産の増加額6,429百万円及び投資有価証券売却益4,050百万円等による減少の結果、983百万円の資金増加(前期は21,351百万円の増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入4,545百万円等による増加と、有形固定資産の取得16,458百万円及び無形固定資産の取得2,367百万円等による減少の結果、14,270百万円の支出(前期は12,248百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入15,200百万円等による増加と、配当金の支払額8,337百万円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出6,068百万円等による減少の結果、209百万円の支出(前期は8,200百万円の支出)となりました。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は12,805百万円減少し、25,410百万円となりました。

また、借入金・社債の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ14,977百万円増加し、35,839百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

オフィス環境事業

62,196

101.9

商環境事業

27,289

98.6

物流システム事業

7,914

106.8

その他

5,414

96.2

合計

102,814

101.0

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b.受注状況

当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。一部受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

オフィス環境事業

167,397

103.5

商環境事業

118,305

105.9

物流システム事業

22,599

122.9

その他

6,224

95.3

合計

314,527

105.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態

財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。

 

b.経営成績

区分

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

経常利益
(百万円)

親会社株主に
帰属する
当期純利益
(百万円)

1株当たり
当期純利益
(円)

ROE
(%)

当連結会計年度

314,527

23,935

26,459

22,045

232.93

12.3

前連結会計年度

298,295

24,036

26,227

20,280

214.27

12.6

 

 

当社グループは、パーパスである「人が活きる社会の実現」に向け、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をミッションとして、すべての人々が笑顔で活き活きと働き暮らせる社会の実現を目指しております。

当連結会計年度の国内経済は、ウクライナ・中東情勢を巡る地政学的リスク、中国経済の停滞長期化、金利ある世界への突入による資金調達コストの増加、諸資材・部品の価格や物流2024年問題による物流費の高騰、世界的な金融引き締めにともなう金利・為替変動などにより、先行きが不透明な状況が続きました。

このような状況のもと、コスト削減や価格転嫁の取組みを推進するとともに、労働人口の減少など社会・市場の大きな変化を捉えた新たな需要の創出に注力してまいりました。

また、当連結会計年度において、前連結会計年度を上回る7.3%相当の賃上げを実施いたしました。物価上昇への対応に加え、優秀な人財の確保、働きがい改革の推進につなげることで、企業価値の向上に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高314,527百万円(前期比5.4%増)、営業利益23,935百万円(前期比0.4%減)、経常利益26,459百万円(前期比0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22,045百万円(前期比8.7%増)となり、売上高、経常利益、当期純利益は過去最高となりました。

また、自己資本当期純利益率(ROE)は、12.3%(前期比0.3ポイント減)、総資産経常利益率(ROA)は、9.3%(前期比0.5ポイント減)、売上高営業利益率は、7.6%(前期比0.5ポイント減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

売上高(百万円)

セグメント利益(百万円)

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

オフィス環境事業

161,692

167,397

5,704

17,691

17,367

△323

商環境事業

111,682

118,305

6,623

5,173

4,792

△380

物流システム事業

18,387

22,599

4,211

918

1,619

700

その他

6,532

6,224

△307

253

156

△97

合計

298,295

314,527

16,231

24,036

23,935

△100

 

(注) セグメント利益の合計は、連結損益計算書の営業利益と一致しております。

 

オフィス環境事業

オフィス環境事業につきましては、人材確保やコミュニケーションの活性化などの経営課題解決に寄与する、「行きたくなる」オフィスづくりへの関心は、全国に広まっており、その需要は旺盛に推移しております。このような状況のもと、当社の強みである未来の働き方の研究成果と時代の変化を先取りした製品開発、豊富な納入実績を通じた知見に基づく提案力により新たな需要を創出し、売上高、営業利益の拡大を目指してまいりました。これにより、売上高は過去最高となりましたが、人件費や物流コスト等の販管費の増加や連結子会社DB&B Holdings Pte. Ltd の株式追加取得等にともなう過年度のれん償却額1,426百万円の計上等により、前連結会計年度に比べ、営業利益は減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は、167,397百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益は、17,367百万円(前期比1.8%減)となりました。

 

商環境事業

 商環境事業につきましては、食品を取り扱う業態間の競争や、インバウンド需要の回復、店舗内の人手不足による省力化製品の引合などを背景に、新規出店及び店舗改装の需要が堅調に推移いたしました。このような状況のもと、店舗什器、冷凍冷蔵ショーケースをはじめとした幅広い製品ラインナップに加え、店舗デザインや施工管理等を含む店舗づくりのトータルサポート体制を拡充し、当社の総合力を活かした提案により創出した需要を取り込んでまいりました。一方で、諸資材・部品の価格高騰の影響を受ける中、生産・物流コスト削減に注力するとともに、価格転嫁の浸透に努めてまいりました。これにより売上高は過去最高となりましたが、人件費を始めとする販管費の増加等により営業利益は減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は、118,305百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は、4,792百万円(前期比7.4%減)となりました。

 

物流システム事業

 物流システム事業につきましては、省人・省力化ニーズを背景に、物流施設を中心に自動倉庫の需要は高水準で推移しております。一方で、世界的なサプライチェーンの混乱による諸資材・部品の調達難及び価格高騰が継続しております。このような状況のもと、優位性のある製品の強みを最大限に活かした積極的な提案活動を展開し、受注高は堅調に推移しており、当連結会計年度において複数の大型物件の売上を計上いたしました。また、生産・物流コストの削減や価格転嫁を進める等、収益の改善に努めてまいりました。これにより売上高は過去最高となり、営業利益は大幅に増加いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は、22,599百万円(前期比22.9%増)、セグメント利益は、1,619百万円(前期比76.3%増)となりました。

 

c.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社は、安定的な資金の流動性を確保するため、及び運転資金の効率的な調達を行うため主要取引金融機関と20,000百万円の特定融資枠契約を締結しております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しております。当連結会計年度における売上高は314,527百万円(前期比5.4%増)、営業利益23,935百万円(前期比0.4%減)、経常利益26,459百万円(前期比0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22,045百万円(前期比8.7%増)、自己資本当期純利益率(ROE)は、12.3%(前期比0.3ポイント減)、総資産経常利益率(ROA)は、9.3%(前期比0.5ポイント減)、売上高営業利益率は、7.6%(前期比0.5ポイント減)となりました。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,426百万円であります。

当社グループの研究開発活動は、人にとって機能的で、安全・快適な空間創造に貢献するとともに、環境問題に配慮した製品の開発を行うことをモットーに、各事業分野にわたり積極的に研究・開発に取り組んでおります。

 

  当連結会計年度のセグメントごとの主な研究成果は以下のとおりであります。

 

(1)オフィス環境事業

総人口の減少をきっかけに、人件費の大幅な上昇や諸物価の高騰等で、デフレ経済からインフレ経済に転換した節目の時期となっています。その中で、オフィス環境ビジネスとしては“ワーカーのオフィス回帰”、“リクルート対策”などを背景とした、“オフィスの見直し需要”が顕著な1年になっています。また、省人化、省力化、省エネ化というキーワードは、顧客提案には外せないものになっています。

①企業の顔であるラウンジ空間は、社内外のワーカーが交流する場でもあり、この場づくりへの投資は“共に働く大切な仲間たち”という社員へのメッセージにもなり、経営者にとっては重要な視点になっています。従来は既製品ではなく、独自性のある内装造作で設える傾向にありましたが、今後は、材料費アップや職人不足による工期延長など考えられます。そこで、内装造作領域を取り込むような、デザイン性の高い場の象徴となる存在感を表現したラウンジテーブル、ソファを開発しました。「Symphonia(シンフォニア)」は、曲面を取り入れた脚が堂々とした存在感を放ち、天板と脚の素材によって印象を変えられる、空間全体と調和するラウンジテーブルです。「CLARK(クラーク)」は、空間の象徴となるような多様なレイアウトが可能なソファシリーズです。柔らかさと気高さを備えたデザインは空間を上質に仕立て、誰もが訪れ滞在したくなるような「場」を作り出します。

②近年、インバウンドの増加から、重く大きな荷物を持った旅行者が増えています。一方で、駅や空港、バスターミナルなど多くの人が集まるパブリック空間では、コインロッカーや荷物預かり所などの一時的に荷物を預ける場所が不足しています。また、ホテルや展示場などの荷物預かり業務は負荷が増え、人手不足も深刻な課題になっています。2020年に発売を開始した『BAGGAGE KEEPER(バゲッジキーパー)』は、重くて大きな荷物を自動搬送で高さ方向を活用できるため効率的に収納でき、利用者自身でタッチパネル操作により荷物の預け入れ・取り出しが可能です。優れた収納効率による省スペース化と、無人で利用時間を問わない受付対応による省人化による人手不足の解消が期待できる製品となっており、ホテルニーズにさらに特化した小型版の開発に加え、「手ぶら観光」の推進に寄与するすべく、配送サービスとのシステム連携開発を行ってまいりました。このシステムには、オカムラの金融機関向けの全自動貸金庫システムの技術や、物流倉庫における荷物の収納・搬送技術を応用しています。直感的な操作を可能にするなど体験価値向上を目指し、使い勝手・操作性の改善を継続的に行い、社会課題解決に貢献してまいります。

③大規模地震や気象変動に伴う自然災害の頻発化が印象に残るなか、災害時の避難所となる学校の昇降口向けシューズロッカー「Lumi Gate(ルミゲート)」を発売しました。平時には見通しが良く安全で明るい学校の新たなコミュニケーション空間として、災害時には掲示板や支援物資保管など避難所運営に貢献できる新しい機能を付加しています。理科・家庭科向け特別教室シリーズ「ACCIO(アクシオ)」も同時発売し調理・被服などの作業台として避難時の日々の生活をサポートします。医師の働き方改革を実践する病院では医師だけでなくすべての医療従事者の業務効率化を推進していますが、動線の無駄を省き看護の質向上を目的に病室に長時間滞在する看護方式が浸透してきています。ナースカート「Karre(カレ)」に専用折り畳みイスを積載できる新タイプを発売、イスを積載したまま移動でき、移動先でも最適な座り姿勢で様々な作業ができます。同じく病院向けには2013年に発売し新規性のある機能・デザインに高い評価を頂いた点滴スタンド「divo(ディーボ)」に省スペースで保管できるネスティング型脚の採用や多くのユーザーのご要望に応えた作業性向上の為の新機能を取り込み、引き続き「divo」ブランドを長くお使いいただけるようリニューアルしています。

④製品ライフサイクル全体でCO2排出を最小化するものづくりを継続しています。サステナブルな製品開発を加速させる考え方「カーボンニュートラルデザイン」を新たに策定しました。オカムラグループは、2050年度カーボンニュートラルの実現を目指してCO2排出量削減目標を設定し、さまざまな取り組みを展開しています。1997年よりGREEN(環境配慮)のWAVE(波)を自ら起こし、その波に乗るという「GREEN WAVE(グリーン・ウェーブ)」の考えの下に、製品に関するオカムラ独自の環境基準を策定し、環境に配慮した製品の拡充を図っています。2021年には、製品に関するオカムラ独自の環境基準の見直しを行うとともに、製品開発において、製品ライフサイクルの中で限りある資源をより長く有効に使用し、廃棄物の発生を最小化するものづくりを目指す「サーキュラーデザイン」の考え方を策定し、より環境負荷の少ない製品の提供に努めています。2022年には、製品ライフサイクルを通じてCO2の排出量を正しく計算し、排出量と同等の排出権(クレジット)付きの製品をお客さまに提供する「カーボンオフセットプログラム」を導入し、製品ライフサイクル全体でのCO2排出量を正確に計算し管理する取り組みを進めています。「カーボンニュートラルデザイン」の策定により、製品の原材料調達から製造、販売、使用、廃棄までの製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減した製品開発をさらに推し進め、CO2排出量の削減により積極的に取り組みます。

当事業における研究開発費の金額は699百万円であります。

 

 

(2)商環境事業

人件費の高騰と物価高を背景に、小売業の業績に貢献する店内の効率化・省人化効果の高いソリューションのニーズが高まっております。特にデジタル技術によるソリューションへの投資意欲が高まっております。そのような中、当事業においては、デジタルを活用した店内の作業や、販促の効率化などのソリューションの研究開発を行ってまいりました。また、災害時のインフラ機能など、店舗が果たす社会的役割の重要性がより認識されるなか、よりサステナブルな店舗開発・運営に寄与する製品、ソリューションの研究開発も行っております。

①みらいの店舗の在り方に関する調査と研究

②デジタル技術を活用した店内販促及び作業効率の向上を行うサービスの開発

③店舗の設備機器をデジタルで管理・運用するソリューションの研究

④店舗バックヤードの効率的な運用に関する研究と開発

⑤ロボットを活用した店内作業の軽減に関する実験

⑥陳列や買い物をしやすくするための、特定の商品に特化した専用什器の研究・開発

⑦災害時に、店舗をより早く復旧できるようにするための製品の研究開発と、復旧作業体制の構築

⑧冷凍冷蔵ショーケースの消費エネルギーを低減するシステムの研究・開発

当事業における研究開発費の金額は138百万円であります。

 

(3)物流システム事業

EC市場の拡大に伴う取り扱い荷物の増加や人手不足など、物流に対する要求・課題は増大しており、特に物流の「2024年問題」では、荷主企業に対しても運送会社の荷待ち時間を減らすことが求められています。そのような物流効率化のニーズが高まる中、「自動化・省力化・省スペース化」を追求した、マテリアルハンドリングシステム(ハード及びソフトウェア)の研究開発を進めると共に、世界の最新技術も取り入れたお客様に最適なソリューションのご提案、導入サポートを行っております。

①AI・IoT・ロボット技術を応用した搬送台車の開発

②AI搭載ロボットと遠隔操作によるハイブリッド型自動化ソリューションの研究・開発

③物流効率化を実現する高速・高密度収納のケース系自動倉庫の開発

④省スペース化を実現させるパレット高密度保管用自動倉庫の開発

⑤省配線化、設置工事の短縮を可能とする新制御方式を採用したコンベヤシステムの開発

⑥保守IoTサービスシステムの開発・実装

当事業における研究開発費の金額は575百万円であります。