第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、1890年(明治23年)に伊藤喜商店として大阪で創業後、大正、昭和、平成、令和と続く時代の変遷の中で、着実な足どりで日本経済の歴史とともに歩み、日本のオフィスの発展に大きな役割を果たしてきました。その間、1950年には製造部門が分離独立するなど時代に合った経営を行い発展してまいりましたが、2005年6月に新たな企業価値の創造に向けて、製販統合を行い、半世紀余ぶりにひとつの企業として生まれ変わりました。

当社グループは、お客様に製品やサービスを提供することにとどまらず、企業としての社会的責任を最大限果たすことが、当社グループの存在意義であると認識し、経営活動を営んでおります。また、「健康経営」を宣言し、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の両立を目指す事業活動に注力しております。

ミッションステートメントとして『明日の「働く」を、デザインする。』を掲げ、中長期的な見地から、常に未来の社会における「働く」を考え、社会と社員の元気につなげ、生産性の向上や創造性を発揮し、あらたな価値を生み出すことを目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、

① 売上高営業利益率
 ② 自己資本当期純利益率(ROE)
を、重要な経営指標としております。

当社の経営理念である「時代の先端を切り開き、グローバル社会に貢献する高収益企業」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続けること、並びに継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な成長を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、過年度の業績達成状況及び今後の当社を取り巻く経営環境の変化等を踏まえ、2021年から2023年までの3ヶ年の中期経営計画「RISE ITOKI 2023」(ライズ イトーキ 2023)を策定いたしました。

現在、コロナ禍における感染拡大防止の社会的要請のもと、“働き方”や“働く環境”に対する人々の価値観が大きく変化しており、またその先のポストコロナの世界においても、この流れは一定程度継続・拡大していくことが予想されます。

 このような状況のなか、『 明日の「働く」を、デザインする。 』をミッションステートメントとして掲げる当社グループとしては、これからのお客様が「働く環境」に期待する価値を具現化するための提案力強化と商品・サービス拡充を図ることにより、ポストコロナの「働く環境」づくりをリードしてまいります。

併せて、昨年7月にアドバンテッジアドバイザーズ株式会社との事業提携により発足した構造改革プロジェクトを成功させて経営資源の最適化をはかり、激変する社会に新たな価値を提供することで、高い利益を創出し続ける企業へと進化してまいります。

 これらの実現に向け、「RISE ITOKI 2023」(ライズ イトーキ 2023)をキャッチフレーズとして、以下に掲げております「重点方針」及び「基本戦略」に基づく具体的な施策を展開・実行してまいります。

 

① 数値目標(連結) 

 

2023年度目標

売上高

1,330億円

営業利益

60億円

営業利益率

4.5%

経常利益

59億円

ROE

7.0%以上

 

 

 目指す姿

 強靭な体質の「高収益企業」になる

・ ポストコロナの「働く環境」づくりをリードする

 重点方針

・ 構造改革プロジェクトを実行する

・ 新たな価値を創出して提供する

 不採算事業の早期黒字化をはたす

 狙って人を育てる

 ESG経営の実践

 

(4) 会社の対処すべき課題

今後の経済環境は、「新型コロナウイルス感染症」の拡大による経済活動への制約が徐々に薄らぎ、持ち直しに転じると予想されます。しかしながら、今後の世界の感染状況やそれを踏まえた各国の政策対応の変化など、先行きの不確実性は極めて大きく、経済活動が元の水準に戻るまでには時間がかかるものと思われます。さらには、首都圏を中心とするオフィスビル供給量の減少やオフィス空室率の上昇による需要の減退等も見込まれるなか、当社グループを取り巻く環境は相当厳しい状況であると認識しております。
 このような事業環境の中、当社グループとしましては、2023年度を最終年度とする中期経営計画「RISE ITOKI 2023」を新たに掲げ、高い価値を創出・提供し続ける企業へと進化してまいります。この実現のため、特に以下の5点を重要課題として捉え、重点的に取り組んでまいります。

   構造改革プロジェクトの実行

現在の激変する社会において、あらたな価値を生み出しお客様に提供し続けていくためには、今以上に事業の生産性を向上させ、強靭な体質の「高収益企業」に進化する必要があります。このために、2020年7月にアドバンテッジアドバイザーズ株式会社との事業提携により発足した構造改革プロジェクトを中心に、業務のプロセス改革や経営資源の最適化を実行してまいります。

   新たな価値の創出と提供

コロナ禍における感染拡大防止の社会的要請のもと、“働き方”や“働く環境”に対する人々の価値観が大きく変化しており、またその先のポストコロナの世界においても、この流れは一定程度継続・拡大していくことが予想されます。このような状況は、「働く環境」づくりを事業とする当社グループにとっては大きな脅威であり、また一方では事業拡大の機会でもあると捉えております。ポストコロナの「働く環境」づくりで他社をリードしていくために、「働く環境」においてこれまでにない新たな価値を創出し提供すべく、提案力強化と商品・サービスの拡充を推し進めてまいります。

   不採算事業の早期黒字化

当社グループが強靭な体質の「高収益企業」へと進化していくために、営む事業すべての収益性を高めていく必要があり、特に、現在不採算となっている事業についてはこれを早急に解消していかなければなりません。このため、このような状態に陥っている事業については、改めて事業の再評価を行い必要な梃入れ施策を早期に実行してまいります。併せて、今後各事業が継続的に不採算な状態に陥らないよう、各事業や投資案件のチェック及び支援体制を強化してまいります。

   狙って人を育てる

企業において最も重要な経営資源は「人財」であると考えます。激変する社会において、これからも継続して高い価値を提供していくためには、組織にイノベーションを起こし、事業を率先する多様な人財が必須となります。このような人財を育成するため、全員一律ではなく育成したいポイントを明確にした“狙って人を育てる”ための施策を早期に実行展開してまいります。

   ESG経営の実践

当社は常に時代の先端を見据え、社会に新しい価値を提供することで成長してまいりました。ビジネスの原点は「世の中に既にあるものでなく、新しいものを提供し、社会のお役に立ちたい」という創業者・伊藤喜十郎の志にあります。また2018年に国連グローバル・コンパクトに署名、2019年にはSDGs宣言を発信するなど、サステナブルな社会の実現を目指した活動を日々行っており、これからも単なる社会貢献ではなく、ビジネスを通じてSDGsへの貢献と利益獲得を両立していきたいと考えております。この実現のため、マテリアリティ(重要課題)を中心に環境・社会・ガバナンスへの取り組みを継続的に強化しながら、本業であるポストコロナの「働く環境」づくりを通じて社会課題の解決を図ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

  なお、下記記載のリスク項目は、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。また本項における将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2021年3月24日)現在において、当社グループが判断したものであります。

当社が展開する事業に直結するリスクについては、以下の通りです。

(1) 市場環境の変化、市場競争の激化

  当社グループの売上高は、国内市場に大きく依存しており、国内の設備投資動向に大きな影響を受けます。このことにより、国内景気の後退による民間設備投資及び公共投資の減少に伴い需要が減少した場合は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また当社グループは、先進のデザイン・機能性を備えた商品とトータルソリューション提案力でお客様の快適な環境づくりをサポートすることで高い評価をいただいておりますが、市場では激しい競争に直面しており、特に価格面においては必ずしも競争優位に展開できる保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  当該リスクに対し、当社グループとしては、景気動向や競合他社の動向にかかわらずお客様に選択いただける高付加価値の商品・サービスの開発を目指すとともに、環境変化に沿った適切な事業ポートフォリオ維持のための経営資源の最適化を図ってまいります。

(2) 新製品開発

  当社グループは、既存領域に捉われない独創的な新製品の開発と市場投入を行っています。しかしながら、市場から支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれら製品の販売が成功しない場合には、将来の成長と収益を低下させ、業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、当該リスクを十分認識したうえで新たな価値の創出のための挑戦を実行してまいりますが、これと併せて市場ニーズを的確にとらえ新製品のヒット率を高めるための調査・分析能力を高めてまいります。

(3) 原材料の価格変動、商品仕入価格の上昇

当社グループで生産している製品の主要原材料である鋼板等については市況価格の変動リスクを有しております。また、グループ外から仕入れる商品の価格につきましても、今後鋼材や原油価格等の原材料の価格が上昇し、仕入先からの仕入価格上昇圧力が強まった場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対しては、製造原価の低減活動や、諸経費の圧縮で対応していく考えでありますが、自社内の取り組みだけでは吸収できない場合には、販売価格の見直しにより適正化に努めております。

(4) 製造物責任

当社グループは、社内で確立した厳しい品質基準をもとに製品を製造しておりますが、予期せぬ事情によりリコールが発生する可能性や、当社グループが提供する、製品・サービスにおいて不測の事象やクレームが発生する可能性があります。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、損失額をすべて賄える保証はなく、結果として当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。またこのことにより、当社グループの製品に対する信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、品質保証領域に対して必要な経営資源を配し、品質管理体制の維持や品質教育の徹底等により品質問題の予防に努めるとともに、万一問題が発生した場合には迅速に対応しその影響を最小限にとどめられるような管理体制を維持してまいります。

(5) 災害等の発生

製造設備等の施設について、災害等によって生産活動が停止しないよう災害防止活動、設備点検等の対策を行っておりますが、予想を超える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクに対して、当社グループとしては常にBCPを意識した商品等の供給体制を敷き、災害等のリスク低減を図ってまいります。

 

(6) 海外事業

当社グループは、企業買収に当たっては、対象企業のリスクを把握したうえで決定することになりますが、事業環境等の変化等により、当初想定した効果が得られない場合には、のれんの減損等により業績に影響を与える可能性があります。
 海外の事業展開においては予期しない法律・規制の変更や経済環境の変化等のリスクが存在するほか、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による社会的又は政治的混乱等の発生の可能性や、為替相場の変動により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、当該リスクを踏まえた地域ごとの管理体制を構築し現地と密接なコミュニケーションが取れる体制を敷くことにより、リスク低減を図ってまいります。

 

また、当社が展開する事業に直結するリスク以外のリスクについては、以下の通りです。

(1) 繰延税金資産

当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り回収可能性を判断して計上しております。しかし、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には繰延税金資産の取崩が発生し、その結果当社グループの業績及び財政状況に悪影響を与える可能性があります。

(2) 法令遵守・公的規制に関するリスク

当社グループは、事業の許認可、輸出入に関する制限や規制等の適用を受けております。また、公正取引、消費者保護、知的財産、環境関連、租税等の法規制の適用も受けております。当社グループは、法令遵守、企業倫理を確立するために「イトーキグループ行動規範」を制定し、コンプライアンス重視の経営を推進するために委員会を設置し、充実した内部管理体制の確立に努めております。しかしながら、これらの規制を遵守できなかった場合は当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの規制の改廃や新たな公的規制の新設等がなされた場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 有価証券の時価変動リスク

当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、様々な理由で、主要取引先、取引金融機関の株式等の売却可能な有価証券を保有しております。これらの有価証券のうち、時価を有するものについては、全て時価にて評価されており、市場における時価の変動が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システム

当社グループは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害等偶然な事由によりネットワークの機能が停止した場合、商品の受発注不能に陥る可能性があります。

また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、ホームページ上のコンテンツの改ざん・重要データの不正入手、コンピュータウィルスの感染により重要なデータが消去される可能性もあります。このような状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人情報保護

個人情報の管理に関しては、万全を期していますが、予期せぬ事態により流出する可能性があります。このような事態が生じた場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生する可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、個人消費や企業の設備投資が大きく落ち込むなど、極めて厳しい状況となりました。全国的な感染拡大防止策の実施による段階的な経済活動の再開と、政府による各種施策の効果や海外経済の改善もあり、景気回復の兆しが一時的には見られたものの、年後半には再び感染が拡大傾向となるなど、先行きが不透明な状況が続きました。

このような環境のもと、当社グループにおいては、「働き方変革130」をキャッチフレーズに掲げた3ヶ年の中期経営計画の最終年度として、全社をあげて収益性・生産性・創造性・満足度の向上に継続して取り組みました。あわせて、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から在宅勤務及び時差出勤の励行など様々な対策を実施しつつ、お客様のご要望には適切にお応えできるよう対応しました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う営業活動の縮小や一部業務の中断、オフィスおよび設備機器関連事業における保有商談の相次ぐ延期・中止、11月に開催を予定していた大型イベント「ITOKI PRESENTATION 2021」も一部中止となるなど、年間を通して厳しい状況となりました。

一方で、本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」を活用したポストコロナ時代を見据えた新しい働き方・ワークプレイスの提案や、在宅勤務やテレワークの全国的な普及に伴う在宅勤務用チェアなどコンシューマ向け製品の販売促進強化、生活様式の変化に伴って拡大している物流サービス市場への対応など、新型コロナウイルス感染症による市場ニーズの変化に積極的に対応し、お客様が安心、安全に働くことが出来るワークプレイス構築に努めました

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は1,162億10百万円(前連結会計年度比4.9%減)、営業利益は17億98百万円(前連結会計年度比99.1%増)、経常利益は18億81百万円(前連結会計年度比99.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は2億35百万円(前連結会計年度は5億50百万円の当期純損失)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

報告セグメント

2019年12月

2020年12月

増減額

オフィス関連事業

売上高

64,659

64,633

△25

営業利益

703

1,035

331

設備機器関連事業

売上高

55,024

48,952

△6,072

営業利益

435

686

250

その他事業

売上高

2,490

2,624

133

営業利益

△235

76

312

合計

売上高

122,174

116,210

△5,964

営業利益

903

1,798

895

 

 

[オフィス関連事業] 

オフィス関連事業につきましては、第1四半期は首都圏を中心とした大都市部での大型の新築・移転案件に対し、「ITOKI TOKYO XORK」をワーキングショールームとして活用した積極的な提案営業や需要期における物流支援体制の強化が奏功したほか、中国における営業体制の合理化などの効果もあり収益を大きく伸ばしました。

しかし、第2四半期以降は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国内・海外ともに営業活動の縮小を余儀なくされたほか、一部業務の中断や保有していた商談の延期・中止が発生しました。

第4四半期においては、国内オフィス市場の復調に伴う商談増加や延期となっていた計画が再開するなど一部復調する動きが見られました。

その結果、業績につきましては、売上高646億33百万円(前連結会計年度比0.0%減)、営業利益10億35百万円(前連結会計年度比47.2%増)となりました。

 

 

[設備機器関連事業]

設備機器関連事業につきましては、第1四半期は国内オフィス市場の好調に牽引されて内装工事・パーティションの需要が伸長しました。

しかし、第2四半期以降はオフィス関連事業と同様に国内のパーティション、セキュリティ設備などで商談の延期、中止が発生したほか、国内のグループ会社のダルトンにおいても大型プロジェクトの端境期のため販売が落ち込みました。また、シンガポールのグループ会社Tarkus Interior Pte Ltdでも国民行動制限措置の影響によって事業活動に大きな影響を受けました。

一方で、新しい生活様式の浸透に伴う物流市場の活性化などにより、物流施設向け事業が好調に推移しました。また、特殊扉などを取り扱う原子力や商業施設などの事業も好調に推移したほか、各事業で実施した効率化によるコストダウンも奏功しました。

 その結果、業績につきましては、当事業は売上高489億52百万円(前連結会計年度比11.0%減)、営業利益6億86百万円(前連結会計年度比57.6%増)となりました。

[その他] 

その他事業につきましては、パーソナル事業において第2四半期以降、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策の一環として全国的に在宅勤務やテレワークが普及し、在宅勤務用チェアなどの需要が急増しました。これに伴い、ラインアップの強化や販売促進施策を実施したことにより、コンシューマ向け大手通販サイトや自社運営のECサイトにおける販売台数が大幅に増加するなど、好調に推移しました。

 その結果、業績につきましては、売上高26億24百万円(前連結会計年度比5.4%増)、営業利益76百万円(前連結会計年度は2億35百万円の営業損失)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

流動資産は、受取手形及び売掛金が16億44百万円減少し、現金及び預金が12億16百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ9億25百万円減少571億83百万円となりました。

固定資産は、建物及び構築物が8億97百万円減少し、有形固定資産のその他に含まれる使用権資産が4億16百万円減少、無形固定資産その他が9億65百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ20億43百万円減少479億12百万円となりました。

これらの結果、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ36億82百万円減少し、1,050億96百万円となりました。 

 (負債の部)

流動負債は、短期借入金が27億13百万円、電子記録債務が17億96百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ39億12百万円減少し、436億46百万円となりました。

固定負債は、長期借入金が20億56百万円増加しております。これにより前連結会計年度末に比べ18億74百万円増加し、172億59百万円となりました。

これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ20億37百万円減少し、609億6百万円となりました。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は、その他有価証券評価差額金の7億87百万円減少や、配当金5億92百万円の支払い、親会社株主に帰属する当期純損失が2億35百万円計上されたことにより、前連結会計年度末に比べ16億44百万円減少し、441億89百万円となりました。この結果、自己資本比率は41.6%となり、前連結会計年度に比べ0.1ポイント下落しております。

また、1株当たり純資産額は前連結会計年度の995.80円から969.43円となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ12億3百万円の資金の増加があり、166億97百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>
 営業活動による資金の増加は45億61百万円前年同期は35億86百万円の増加)となりました。この主な要因は、売上債権の減少13億24百万円、減価償却費34億31百万円などによるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>
 投資活動による資金の減少は11億52百万円前年同期は32億21百万円の減少)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出17億29百万円などによるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>
  財務活動による資金の減少は22億67百万円前年同期は0百万円の減少)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出23億69百万円などによるものです。

 

当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下の通りであります。

 

2019
12月期

2020年
12月期

自己資本比率(%)

41.7

41.6

時価ベースの自己資本比率(%)

22.5

14.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

7.0

5.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

14.1

19.2

 

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

オフィス関連事業(百万円)

27,335

91.4

設備機器関連事業(百万円)

18,885

78.1

  報告セグメント計(百万円)

46,221

85.4

その他(百万円)

630

94.9

合計(百万円)

46,851

85.6

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には消費税等を含めておりません。

 b. 受注実績

当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

オフィス関連事業(百万円)

64,633

100.0

設備機器関連事業(百万円)

48,952

89.0

  報告セグメント計(百万円)

113,586

94.9

その他(百万円)

2,624

105.4

合計(百万円)

116,210

95.1

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には消費税等を含めておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは主に、たな卸資産の評価、貸倒引当金、退職給付に係る負債、法人税等であり、継続的な評価を行っております。見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載の通りであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。

b. 財政状態の分析

当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

c. キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源および資金の流動性の分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料、商品等の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。なお、重要な設備の新設等の計画はありません。

運転資金及び投資資金の調達については、自己資金又は銀行借入で賄う方針であります。

当社は運転資金の効率的な調達を行なうため、取引金融機関5社と8,000百万円の貸出コミットメント契約を締結しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業の成長及び収益力の向上、並びに資産の効率的な運用の観点から、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を、重要な経営指標としております。

当社の経営理念である「時代の先端を切り開き、グローバル社会に貢献する高収益企業」の実現に向けて、魅力ある商品とサービスを提供し続けること、並びに継続的なコスト削減と生産性向上により、安定的かつ永続的な成長を目指しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 技術導入契約等

当社グループが締結している技術導入契約等は、次のとおりであります。

契約先

国名

内容

対価

期限

KRUEGER INTERNATIONAL,INC.

アメリカ

事務用収納扉の技術、製造、販売権の許与

 一時金及び
ロイヤリティ

2022年12月31日

WALDNER Laboreinrichtungen GmbH&Co.KG

ドイツ

実験用家具の技術、製造、販売権の許与

 一時金及び
ロイヤリティ

2027年1月28日

KNOLL OVERSEAS,INC.

アメリカ

家具の製造、販売権の許与

 一時金及び
ロイヤリティ

2022年7月19日

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、新たな価値を提供する活動を継続・促進するため、研究開発活動に取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費の総額は2,467百万円であります。

研究分野では、先端技術が私たちの働き方とオフィスをいかに変えるかを継続的に取り組んでおります。今年度は、在宅勤務やリモートワークへの急激な社会変化に対応した『新しいオフィス』を定義し、XORK Styleを実践するITOKI TOKYO XORK(東京本社)でのアクティビティのデータを分析することで、オフィスワーカーの「集合と分散」によるハイブリットでスマートな働き方の研究を進めております。

 

[オフィス関連事業]

オフィス家具の分野におきましては、オフィス構築のための当社の独自提案であるAAO(アクティビティ・アドレス・オフィス=活動にあわせてデザインされた専用スペースを選択しながら働くことができるオフィス )に対応した一連の新商品を「ブラウンレーベル」をとして立ち上げました。

「ブラウンレーベル」は機能性だけではなく“働く場を、もっと心地よく” をコンセプトにワーカーが心地いいと感じるリラックスした空間づくりを目指してデザインしております。複数のシリーズから構成される「ブラウンレーベル」は、オフィス家具シリーズ「ノットワーク」をベースに、レーベルのコンセプトにあわせてテーブル、収納、パネル、チェア、アクセサリーを追加開発することでパッケージ提案の幅を広げております。

オフィスチェアで、ICTツールなどを使いこなして自ら積極的に業務に関わり、新しい価値を生み出していく新時代のエグゼクティブに向けたチェアとして「レオニスチェア」を投入いたしました。体を後傾したときにヘッドサポートが肩甲骨から上を垂直に保ち、スマートフォンやタブレットの操作や、会議でのモニター閲覧の際にも、しっかりと上半身をサポートするアクティブヘッドサポート機能を搭載しております。

また感染拡大防止に貢献するため、2時間以内に99%のウイルスを抑制する「バイラルオフ」加工が施された布地のオフィスチェア5製品を投入いたしました。

ICT分野におきましては、働く場所の多様化にともない、オフィス内の共有スペースの空き状況をスマートフォンなどでいつでもどこでも確認できるシステム「アキミル」を開発いたしました。わずかな動きで自己発電するセンサー“エナジーハーベスティング”技術により、電池や配線なしでの通信機能を持つ画期的な商品となっております。

なお、研究開発費の額は1,350百万円であります。

 

[設備機器関連事業]

建材分野におきましては、高い意匠性・機能性を兼ね備えた「アドレッド」のバリエーション拡充を行い、前述のAAOを構築する上で必要な空間設計の実現に寄与できる大型のシリーズに成長させました。

設備機器分野におきましては、物流倉庫における物量増加や人手不足といった課題に対して、シャトル式立体自動倉庫「システマストリーマー(SAS-R)」の継続開発に注力いたしました。 様々な大きさの荷物を扱える機種をリリースすることにより、これまで自動化が困難であった宅配便の物流倉庫における荷物の仕分け業務にも導入可能となりました。

同時に、供給体制の見直しを実施し昨今の急激な需要拡大への対応を図っております。さらに、運用開始後のお客様負担を軽減するため、IoT技術の活用による最適なメンテナンスの実施や、突発的なトラブルへの対応を容易にする実証実験を開始しております。

なお、研究開発費の額は1,027百万円であります。

 

[その他]

家庭用家具分野におきましては、テレワーク需要拡大に合わせたパーソナルユース商品として、低価格帯でありながら機能性を備え、在宅勤務に使いやすい「サリダチェアシリーズ」の新商品を3機種発売いたしました。

また、既存の「サリダチェアシリーズ」のラインアップに、女性にも好まれるカラーを追加し、自宅で働く女性へ向けた商品の提案強化も図りました。
 更に昨年発売のゲーミングチェア「クロスフォーカスシリーズ」にも、自宅のインテリアに馴染みやすく、使いやすい仕様のレザータイプや、高級感のある格子柄タイプの追加を行い、在宅勤務ユーザーへ向けてのラインナップ充実を図りました。

子供環境における商品としましては、落ち着きのあるカラー、デザインで好評いただいているランドセル「QNORQ(クノーク)シリーズ」に、男児向けの「ブリックウエイ ノベル」、女児向けには「ジョリフィーユ シック」を追加し、商品ラインアップの幅を拡大しました。

なお、研究開発費の額は89百万円であります。