第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は業績の持続的安定成長を実現し、「挑戦」と「進化」により新しい未来を創造する企業でありたいと願い、次の3つを経営基本方針としております。

①利益ある成長

企業活動の源泉である利益を、事業リスクのカバーと新たな成長・挑戦の原資として追求していきます。

②徹底したお客様志向

お客様の潜在ニーズに基づく「モノづくりとICTの活用」により、お客様にこれまでにない価値を提供し、確実に競争優位を確立していきます。

③独自分野に果敢に挑戦する開拓精神

失敗を恐れず独自分野に挑戦する経営と努力の結果、失敗してもそれを許容する風土にしていきます。

また、当社が掲げる「コアバリュー」並びに「パーパス」は、以下のとおりです。

(コアバリュー)

わたくしたちは、全てのグループ事業において「技術と品質」、「スピードと革新性」にこだわり抜き、独自性のある製品の提供により全てのステークホルダーに貢献することで、上場企業としての社会的責任を果たします。

(パーパス)

マミヤ・オーピーグループの思考および行動の全ては、独自の生産・ICT技術を基盤とするディテールにこだわったモノづくり・コトづくりにより、お客様の多様なご要望と一歩先の潜在的ニーズに的確にお応えすることに収斂し、これを目的とします。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標

当社グループは、利益の極大化並びに資本効率向上及びコスト削減徹底による持続的安定成長を通じて企業価値のさらなる向上を実現し、継続的な安定配当等により株主利益の向上を図る観点から、「自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)」を、経営上の目標の達成状況を判断するための指標と位置付けております。

具体的には、連結のROE8%を達成し得る利益を安定的かつ継続的に計上することができる事業構造を確立することを中長期的な目標として設定し、これらの目標を達成し維持すべく「(3)経営環境並びに経営戦略及び優先的に対処すべき事業上・財務上の課題」に記載した取り組みを推進しております。

 

(3)経営環境並びに経営戦略及び優先的に対処すべき事業上・財務上の課題

①経営の現状

当社グループは、一連の戦略的事業再構築を通じて経営資源の選択と集中並びに事業領域の拡大を推進し、健全かつ強固な経営基盤と、持続的成長を可能とする多極的な事業構造を着実に構築してまいりました。

その結果として当社は電子機器の企画・開発・製造・販売・アフターサービスを一貫して担う事業会社であるとともに、当社電子機器の主たるユーザーである遊技場向けシステム関連事業と自動券売機の販売を担うエフ・エス㈱、システム開発会社であるマミヤITソリューションズ㈱、海外におけるシャフト事業を担うUST-Mamiya, Inc、国内におけるシャフト事業を担うUST Mamiya Japan㈱、ゴルフ用品等の生産拠点であるMamiya-OP(Bangladesh)Ltd.、不動産事業会社である㈱エフ・アイ興産及び㈱ネクオスの連結子会社をはじめとする子会社・関連会社群に対する司令塔としての性格を併せ有する会社となっております。

そして、これにより当社は、電子機器事業及び新規事業に加え、当社グループの中核企業として、グループ全体の事業戦略立案、経営管理及びリスクマネジメント等を担い、グループにおける経営資源配分の最適化による経営効率そして収益の極大化を図ることができるものと考えております。

②経営環境

当社グループを取り巻く経営環境ですが、まず、電子機器事業の主力である遊技機関連市場においては、遊技場数の減少など遊技関連市場の縮小トレンドが続くものの、スマート遊技機の市場導入が進んでおり、既存遊技機からスマート遊技機への入れ替えは今後も継続するものと予想しております。

 

また、スポーツ事業においては、競合他社との熾烈な価格競争や、国内においてはコンペ需要縮小による顧客単価の低下が見られるものの、近年では国内外問わず参加人口が増加しております。海外のシャフト事業につきましては、為替や原材料・素材価格の変動、生産拠点であるバングラデシュでのコスト上昇、さらには流動的な国際政治情勢などの様々な不安定要素を含む情勢が継続しているものの、戦略的マーケティング並びに生産性及び品質向上のための着実な設備投資が実を結び、利益体質への転換を果たしつつあります。

残る不動産事業については、首都圏全体で不動産価格が上昇し割安な物件の購入が難しい状況となっております。

③経営者の問題意識並びに経営戦略の現状と見通し

当社グループは現在、電子機器事業及びスポーツ事業等を主たる事業として展開しておりますが、いずれも成熟産業であるがゆえに、競合企業間において限られた市場におけるシェアの争奪戦を余儀なくされる厳しい事業環境にあります。加えて、主力の電子機器事業がOEM中心の事業構造であるため、独自の事業計画を立案・遂行することが困難な状況にあります。

このような経営環境下で、経営の基本方針に掲げました「業績の持続的安定成長」を実現するための新たな成長ステップの礎となるべき揺るぎない土台を構築すべく、上記「①経営の現状」においてご説明いたしましたグループ体制の下、その持てる経営資源を最大限に活用し、全ての部門における生産性を極大化することによって、製品及びサービスのいずれにおいても、高品質・高付加価値と低コストとの両立を図り、成長の源泉である収益力を維持・強化すべく、より高い市場性を有する製品及びサービスの開発と新規事業分野における新たなマーケットへの展開を、大胆かつ細心に進める必要があると考えております。

とりわけ、高度に国際化・情報化され急速かつ激しく変化し続ける今日の競争環境において、当社グループが生き残り成長し続けていくためには、顧客のニーズをタイムリーに具現化するとともにシーズ志向で顧客をリードし、新たな市場を開拓するためのイノベーションを持続的に生み出すことができる開発力を鍛え上げ磨き上げることが不可欠であります。その過程そして成果としての「イノベーションの創生」を成し遂げていかなければなりません。そして、そのためにシステムソリューション事業の強化を進めつつ、顧客の抱える課題に対するソリューションを提案することで事業領域を拡大し、盤石の収益基盤を構築していく必要があると認識しております。

このような認識の下で、グループの事業推進を下支えする基盤となる人材の確保と組織力強化やチャレンジ精神に富んだ企業風土の醸成に取り組む一方で、ICT(情報通信技術)環境の整備・拡充等による働き方や業務内容、キャリアプランの多様化を考慮した人事施策の導入やリモートワークの活用等労働環境の整備を推進し、労働生産性の向上や人材育成の強化等を進めてまいりました。

今後もこれらの取り組みに加え、DXの急速な進展をキャッチアップし新たなビジネスチャンスを見出すべく、当社グループにおける経営資源の合理的かつ積極的な活用による資本効率及び事業収益性の高い新規事業領域の開拓や、各事業セグメントにおける以下のような諸施策を強力に推進することにより、各々の業界動向に左右されない独自の収益基盤の確立に粘り強く取り組んでまいります。

また、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」でご説明いたします、当社及び当社グループにおけるコーポレート・ガバナンス体制を通じて業務の有効性・効率性を高め、経営目標の達成を阻害する要因であるリスクを的確に把握・統制し、経営者が全ての情報を正確に把握するとともにその意思を全組織に迅速・確実に浸透させることによって、全ての役職員が情報と認識を共有し一体となって業績の向上に全力を尽くすとともに、さらなる成長を可能とする企業体質を構築する取り組みを進めてまいります。

当社グループは、このような取り組みを通じて株主様をはじめとする全てのステークホルダーの皆様の満足度と社会への貢献度を向上させるべく、全社一丸となって邁進してまいります。

④優先的に対処すべき財務上の課題

当社が認識する「(2)経営上の目標の達成状況を判断するための指標」において目標として掲げた財務指標である、将来にわたって安定的継続的に達成すべき目標である連結ROE8%を維持するための課題及びその解決のための方策は、以下のとおりです。

1)総資産利益率(ROA)の改善

ROAを構成する売上高利益率及び総資産回転率の改善を図るためのアクションプランを事業部門単位(子会社含む)で策定し、適切な重要業績評価指標(KPI)を設定し検証する等のPDCAサイクルを通じて、増収・増益及び資産効率改善を進めることによって目標の達成を図ります。

・新規事業及び新製品開発への投資拡大並びに内部収益率(IRR)に基づく投資意思決定の合理化(例:船橋医療モールへの投資、I-GINS事業への継続投資、等)

・戦略的マーケティングとイノベーションによる高付加価値製品の展開

・不良品削減、物流費削減等による原価率の引き下げ、並びにリードタイム短縮、在庫削減等による棚卸資産回転率の改善(例:バングラデシュ工場における工場設備更新による生産性向上、OEM営業推進による工場稼働率向上、等)

・自動化・省人化等を進めることで業務効率及び生産性を向上させることによる、人件費をはじめとするコストの抑制・圧縮への取り組み(例:電子的文書管理システムの整備による文書及び業務処理の効率化、等)

 

2)財務レバレッジと財務安全性のバランス最適化

財務レバレッジに過度に依存することなく、余裕ある財務安全性を確保しながら、収益性及び効率性の向上によってROEの改善を図ることを基本方針といたします。

そして、かかる基本方針の下で、運転資金の安定的確保及びタイムリーな投資のために必要となる水準の有利子負債維持並びに安定配当及び自社株買い取りによる利益還元及び資本効率改善を含む、自己資本比率とレバレッジ比率の最適化を意識した企業価値最大化を志向するバランスのとれた資本政策を展開することで、継続的・安定的に「利益ある成長」を実現するための健全なバランスシートを維持し、その結果としてROEの持続的な改善を図ります。

⑤優先的に対処すべき事業上の課題

当社グループが認識する事業上の課題及びその解決の方策は以下のとおりであり、これらの取り組みを推進するとともに、今後の事業成長の基盤として、事業管理体制の強化・効率化と経営レベルでの意思決定の効率化の双方が必要不可欠であると認識しております。

管理体制の強化・効率化という観点では、開発部門を強化し規模を拡大していく一方で、技術開発等に係る人件費及び半導体・銅材・樹脂・基板など原材料価格等の高騰、円安・原油価格・輸送価格の高騰などに適切に対応した原価管理の徹底、費用対効果のモニタリングを強化する等、更なるガバナンスの強化を図ってまいります。他方、経営レベルでの意思決定の効率化という観点においては、業務執行機能と管理監督機能の分離と適切な権限委譲を通じ、経営の意思決定と業務執行のスピードアップを図ってまいります。

 

[電子機器事業セグメント]

(アミューズメント事業)

・スマート遊技機の市場投入に伴う需要拡大を受け、生産体制の最適化によって機会損失を最小化いたします。

・OEM主体の事業構造を抜本的に改革すべく、コンサルティング営業を柱とした戦略的マーケティングの展開により事業拡大を図ります。

・受託開発における差別化を図るため、市場を熟知した当社だから可能な、顧客ニーズを捉えた提案を含めた開発を推進します。

・政府が推進するキャッシュレス決済の社会的潮流を汲み取り、アミューズメント業界が求める決済の姿の実現に取り組みます。

(システムソリューション事業)

・当社グループのICTリソースを集約したマミヤITソリューションズ㈱によって、ICTソリューション(システム及び製品)の「調査(市場・特許・技術)」「企画立案」「提案」「システム開発」「インフラ構築」「システム保守」の全てを受託することができる体制の構築に努めてまいります。

・継続的な収益源となるソフトウェアソリューション事業への戦略的展開を強力に推進し、新規顧客基盤の構築を図ります。

・既存顧客との信頼関係の維持強化によるシステム開発案件の安定的な獲得に努めます。

・ソフトウェア開発ベンダとしての競争優位の確保を図るため、AIを活用した新規サービスの開発・提案を積極的に推進します。

・IT分野における人材不足に対応するため、新卒採用、未経験採用、外国人採用や半ジョブ型勤務、M&Aなど様々な取り組みによる人材の確保を図るとともに、従業員に対するスキルアップ支援等により生産性の向上を図ります。

(券売機事業)

・市場ニーズをとらえた新型券売機の市場投入・販売拡大を強力に推進します。

・リユース事業のさらなる展開を図るため、券売機の買取強化を進めつつ、レンタル事業を含めた更なる拡大を目指します。

・大口顧客となる新規販売店等の法人をターゲットとした戦略的マーケティングを強化促進します。

(I-GINS事業)

・保守メンテナンス体制の充実強化を図るため、外部業者との連携を強化し、サービス網・サービス体制を拡充するとともに、対応事例に関するデータベースの整備・構築をより一層推進します。

・利益率を向上させるため、搭載部品更新や部品点数削減等による既存製品の改良を継続的に進めます。

・将来の新製品への展開を視野に入れ、搭載部品の共通化を進めます。

・ホームページやSNS等の媒体を通じた戦略的な発信を通じてI-GINSの革新的意義に対する認知度向上と優秀な人材の確保を図ります。

・搭載車両を多様化することによりメーカー依存度を分散化した事業体制の構築を図ります。

(ICカードリーダライタ事業)

・高速道路料金授受システム等の、多様な開発案件の新規獲得を進めます。

・マイナンバーカードを利用したシステム等の多様な開発案件の新規獲得を進めます。

 

[スポーツ事業セグメント]

・USTMamiyaブランドシャフトの国内総代理店であるUST Mamiya Japan㈱と米国法人であるUST-Mamiya, Inc.との一体的な運営によって、グローバル市場におけるUSTMamiyaブランドを確立し、認知度向上及び販売拡大を強力に推進します。

・大手クラブメーカーへの大量のOEM供給によって露出度を高め、USTMamiyaブランドの認知度とバリューを強化し高付加価値製品としてのポジションを確立する戦略的な取り組みを、さらに強化します。

・ブランドの露出度向上を目指し、PGA出場選手等有名選手に使用いただくため、ツアーサポートを強化しブランドの露出度向上を目指します。

・利益率向上のため、高品質を訴求し、アフターマーケットおよびフィッティング向け販売ルートへの事業拡大を推進します。

・バングラデシュにおけるコスト上昇に対応するため、工場における適正人員の見直しを継続的に進めるとともに、購買部門を強化することで購買費の低減を推進します。

・精緻なサプライチェーンマネジメントと出荷サイクル最適化による生産平準化を図るとともに、不良率減少とリードタイム短縮等を実現し、急な受注増にも臨機応変に対応できる製造オペレーションを確立する取り組みを徹底することで、競争優位を訴求します。

・QMS(品質管理システム)の構築を進め、品質ロスや品質コストを着実に削減するとともに、製品の市場競争力を強化します。

 

[不動産事業セグメント]

・賃貸不動産の適切な管理・運用によって既存顧客との信頼関係を維持強化するとともに、ポータルサイトの積極的な活用や、AI査定を導入することによる仲介業務の効率性、信頼性の向上を図ります。

・不動産市況の動向を正しく見定め、マミヤ・オーピーグループにおける将来の中核事業と位置づけ、安定的な賃料収入を目指した新規物件の購入、戸建て、区分売買などの仲介業務により収益の極大化を図ります。

・さらには、ヴィレッジ型医療モールをはじめ、ビル型の医療モール等の周辺領域への開発案件への参入も積極的に行います。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在に当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する戦略並びにガバナンス及びリスク管理

①サステナビリティに係る認識と取組の基本方針

当社グループはサステナビリティを、将来の世代の欲求を満たしつつ現在の世代の欲求も満足させることができる、人類と地球のために包摂的で持続可能な、強靭な未来を築くことを希求する理念であると位置づけ、これを実現するためには、個人と社会の福祉のために必要な中核的要素である経済成長、社会的包摂、環境保全の調和を図るための戦略的な事業展開が不可欠であると認識しております。そして当社グループは、以上の認識の下、サステナビリティを巡る課題への対応を、リスク減少・収益機会に繋がる重要な経営課題として積極的・能動的に取り組むべきとの基本方針に基づき、サステナビリティを巡る諸課題に対し真摯に取り組み議論を深めてまいりました。

 

②ガバナンス及びリスク管理

当社グループは、上述の基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスに係る基本指針の下で構築される内部統制・リスク管理委員会及びその管理監督下で経常的なリスク管理を担う内部統制実務者会議を中核として、サステナビリティに関連するリスク及び機会を、監視し管理するための過程、統制及び手続としてのガバナンス、並びに、かかるリスク及び機会を識別し評価し管理するための過程としてのリスク管理、に係る体制を整備・構築するための戦略的な取組を推進してまいります。

なお、気候変動等に関するリスクにつきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載しております。

 

③サステナビリティに関する戦略

当社グループは、上述の基本方針並びにガバナンス及びリスク管理の体制に基づき、SDGsやESG投資の潮流を含むサステナビリティに関連するリスク及び機会が、当社グループの経営方針、経営戦略等にもたらす影響を正しく把握・評価し、これに対処すべく、グループの中長期的な企業価値向上の観点から、人的資本・知的財産への投資等をはじめとする経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略的な取組を推進するとともに、かかる取組が持続的成長に資するよう監督してまいります。

 

参考:ゼロ・エミッションの取組(メガソーラーへの出資)

当社は、中長期的な企業価値向上に向け、サステナビリティが収益機会の増大にも繋がる重要な経営課題であるとの認識のもと、「合同会社メガソーラー市島発電所」が運営する太陽光発電設備である「MJSソーラー市島エネルギーファーム」に匿名組合出資し、2021年より関西電力株式会社に対して電気供給を開始しております。

 

(2)人的資本に係る取組

①人材の多様性の確保を含む育成方針

多様な人材が集い、個人と企業が共に成長することができる環境と風土づくりに取り組んでおります。

・社会の成熟に伴う価値観や働き方の多様化に対応するために導入した、全ての社員を対象とする複線型人事制度の適正な運用

・専門職の処遇をライン管理職と同等とする、契約社員を含む雇用形態の多様化、等による、高度のスキルを有する多様な人材の採用と育成

・国内法人における外国人の積極的な採用の継続

2014年新卒採用したバングラデシュ人の管理職登用、インド人ITエンジニアやバングラデシュ人の新卒採用、外国人ITエンジニア、事務職、製造スタッフの中途採用、等

・リスキリング推進のための教育研修及び自己啓発支援の強化

・社員のスキルアップや能力開発への意欲向上を促進するための報奨制度を導入

 

②社内環境整備に関する方針

社内環境の整備を進め、社員が帰属する喜びを感じることができる組織づくりに取り組んでおります。

・就業環境の整備

時差出勤(10パターン)の奨励、在宅勤務の活用、ドレスコード制定による服装の自由化、オフィス内へのカフェエリア及び無料飲料サーバの設置、工場内装のリフォーム、グループ内の垣根を超えた風土改革プロジェクトの推進、等

・安全衛生管理の徹底

安全衛生委員会活動の活性化、工場内レイアウトの変更などによる安全対策の徹底、等

・コンプライアンスの徹底

ガバナンス体制強化の一環として、法令及び社内規程に基づき、ハラスメント、社内不正及び不祥事の防止並びに法令遵守の徹底、等

 

(3)目標及び指標

当社グループは、サステナビリティに関連するリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的(2030年まで)に評価し管理し監視するための情報として、以下の「SDGs宣言」を掲げ、国際連合が提唱する「SDGsの17の目標」を指標として、サステナビリティに係る戦略的取組を推進してまいります。なお、(関連した目標)は、17の目標のうち、当社の具体的な取組に関連するものを列挙したものです。

また、女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差の実績、につきましては、第1[企業の概況]5[従業員の状況]に記載しております。

 

[人権・労働]

安心で安全に、いきいきと働ける職場環境を整備しています

(具体的な取り組み)

①多様性、公平性の追求を通じた新たな価値観の尊重とDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の実践

②ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた休暇制度の充実や柔軟な勤務形態など多様な働き方の推進

③海外事業所を含む、法令を遵守した健全で安全性の高い職場環境の整備

(関連した目標)

  5:ジェンダー平等を実現しよう、8:働きがいも経済成長も、10:人や国の不平等をなくそう

 

[環 境]

 脱炭素に向けた取り組みを加速し、グループ全体で循環型社会を実現します

(具体的な取り組み)

①非化石証書の購入による自社工場で使用する電力の100%実質再生可能エネルギー化

②デジタル化による環境負荷軽減と省エネへの取り組み(ペーパーレス推進、AI活用の空調抑制設備など)

③再生可能エネルギー事業投資による脱炭素社会への取り組みの推進

④あらゆる領域における、資源利用の削減、再利用、再資源化の取り組みによる、循環型経済への貢献

(関連した目標)

  7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに、9:産業と技術革新の基盤をつくろう、

  13:気候変動に具体的な対策を、15:陸の豊かさも守ろう

 

[公正な事業慣行・組織体制]

 法令等を遵守し、公正かつ良識ある企業活動を行います

(具体的な取り組み)

  ①「挑戦」と「進化」の基盤をなす、上場企業としての社会的責任を踏まえた自律的で健全な企業活動の徹底

  ②業績の持続的安定成長を実現するための基盤としての社会から信頼される強固なガバナンスの確立

  ③知的財産の尊重を通じたお客さまの満足と信頼の獲得

  ④ステークホルダーとの積極的な対話による企業情報の適時適切な開示

(関連した目標)

  8:働きがいも経済成長も、10:人や国の不平等をなくそう、16:平和と公正をすべての人に

 

[社会貢献・地域貢献]

 地域に配慮した豊かな未来の共創に貢献していきます

(具体的な取り組み)

  ①独自分野に果敢に挑戦する開拓精神に基づく、産学官連携を通じた新規事業の推進

  ②日本における人材不足とバングラデシュにおける雇用機会不足という社会課題の解決のため、バングラデシュに日本語学校を開設し、日本で働くことのできる人材の育成を実施

  ③ゴルフにふれあうイベントの開催や学生ゴルファーの支援

  ④利益の一部を原資とする、地域の祭事や社会課題解決に向けた取り組みへの寄付

(関連した目標)

  4:質の高い教育をみんなに、9:産業と技術革新の基盤をつくろう、12:つくる責任、つかう責任、

  17:パートナーシップで目標を達成しよう

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

主要なリスク項目

リスクが顕在化する

可能性の程度

及び時期

当社グループの

経営成績等への影響

対応策

1

特定事業の業績への依存と当該事業環境が悪化する

リスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

当社グループの連結営業利益に占める事業セグメントの割合は電子87.0%、スポーツ1.2%、不動産11.8%となりました。弊社の主力事業である遊技機関連事業は遊技機周辺設備機器及び新紙幣対応紙幣識別機の受注が順調に推移したことにより堅調に推移いたしました。しかしながら、紙幣識別機等の入れ替え需要が落ち着くことで、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

・OEM先顧客との信頼関係の維持強化による取引拡大

・自社ブランド製品(小型自動券売機、非接触式ICカードリーダライタ、自律走行システム「I-GINS」等)の販売拡大に向けた諸施策の強化

・スポーツ事業及び不動産事業の収益拡大

・新規事業領域の開拓・深耕

2

特定の取引先に対する過度の依存のリスク

可能性の程度:中

 

時期:常時想定

電子機器事業セグメントにおける主要顧客である日本ゲームカード㈱に対する売上比率は、同社との取引関係が極めて良好に推移していることから、当連結会計年度では連結売上高の54.2%に達しております。今後も両社の取引関係を維持・強化することについて両者間で見解の相違はございませんが、このような状況から、日本ゲームカード㈱の業績動向及び取引方針の変化は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・新規取引先の開拓

・ビジネスモデルの刷新

・自社ブランド製品(小型自

動券売機、非接触式ICカードリーダライタ、自律走行システム「I-GINS」等)の販売拡大に向けた諸施策の強化

・スポーツ事業及び不動産事業の収益拡大

・新規事業領域の開拓・深耕

・ICTソリューションなど新たな価値の提供によるシェアの維持・拡大

3

法的規制等によるリスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

当社製品のエンドユーザーである遊技場は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」等の法令等の規制対象となっており、当社がOEM供給する台間カードユニット等の使用に際しては、使用許可の取得又は使用届けが義務付けられております。したがって、これら法令等が改正された場合、台間カードユニット等の遊技場への販売・設置に関してマイナスの影響が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・外部専門家及び有識者の活用

・専門部署による支援強化

・関連各部署による情報収集の強化

 

 

主要なリスク項目

リスクが顕在化する

可能性の程度

及び時期

当社グループの

経営成績等への影響

対応策

4

新製品開発の遅延によるリスク

可能性の程度:中

 

時期:常時想定

当社グループの各事業セグメントは、新技術による新製品開発を継続的に行い市場に投入しております。このような開発の日程につきましては、綿密な管理をしておりますが、予期せぬトラブルによる当該日程の遅延等により新製品の市場投入が遅れた場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・製品開発工程の整備・進捗管理

・製品開発に係る情報共有の徹底

5

工場所在国の

社会情勢の変動

によるリスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

スポーツ事業における生産拠点であるバングラデシュ人民共和国では、2024年7月に始まった学生らによる抗議活動が拡大し同年8月には暫定政権が誕生する等、引き続き現地の社会情勢は予断を許さない状況が続いております。そしてこのような現地の社会情勢等の変動は、製品の製造不能や出荷停止等による納期遅延等を生じるリスクがあり、これが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・現地との連絡系統整備

・工場施設等及び工場運営におけるセキュリティ対策の徹底

・現地の情報に精通した危機管理業者の活用

6

海外における紛争等の影響

可能性の程度:中

 

時期:ロシアによるウクライナ侵攻及び中東での政情不安が終結するまでの間、想定

ロシアによるウクライナ侵攻や、中東での政情不安により、原油価格の上昇が高まる様相を呈しております。この軍事的対立が激化、長期化した場合は、原油価格急騰による原材料価格の高止まりだけでなく、地政学リスクの高まりや世界的インフレーションの加速といったリスクが顕在化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

・調達先の複数化・分散化、代替品の検討等

7

原材料等の部材調達価格の上昇及び納期の長期化

可能性の程度:高

 

時期:半導体の需給バランス回復及びコンテナ流通正常化するまでの間、想定

半導体を中心とした原材料の世界的な需給逼迫、船舶を中心に世界的な物流リードタイムの長期化や物流費の高騰が発生しております。その影響が長期化する場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

・調達先の複数化・分散化、代替品の検討等

 

8

資金調達に係る財務制限条項抵触のリスク

可能性の程度:中

 

時期:決算期ごと

想定

当社グループでは、シンジケーション方式タームローン契約及びコミットメントライン契約を締結しておりますが、これらの契約には純資産の維持、利益の維持に関する財務制限条項が付されております。その内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結貸借対照表関係)及び「2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(貸借対照表関係)に記載しております。

なお、これらの財務制限条項に抵触した場合には、当該借入金につき期限の利益を喪失し一括返済を求められることなどにより、当社グループの財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

・銀行借入に加え社債の発行など資金調達手段の多様化による財務体質の安定

・経営資源を有効かつ効率的に活用することによる安定的かつ持続的な事業利益の拡大

9

新規事業への投資によるリスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

当社グループは、電子機器事業、スポーツ事業等に続く新たな事業領域の確立を目的として、既存事業会社への出資等の多様な手段により、ビジネスモデルの変革を図るべく、様々な事業への投資活動を行っております。ただし、新規投資対象事業が計画どおり進捗しない場合、当初意図していた投資の回収ができず、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

・新規投資対象事業に係る内部収益率等の投資採算性の検証

・新規投資対象事業から発生し得るリスクの抽出・管理等の徹底

10

急激な為替変動によるリスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

当社グループでは、当社及び一部の国内子会社で外貨建てによる仕入れを行っており、急激な為替変動が発生することにより、為替差損益が発生し、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

・為替予約の実施

11

世界的な気候変動によるリスク

可能性の程度:高

 

時期:常時想定

世界的な気候変動が進むことで、大規模自然災害による建物の損害や事業停止のリスク増大、施設破損等による収益の悪化、スポーツ事業の海外生産拠点における資材調達先からの供給停止等によりサプライチェーンが分断されるリスクが懸念されます。

・環境の変化に対応した、継続的なサプライチェーンの見直し

(注)上記記載の「リスクが顕在化する可能性の程度及び時期」は、当該事業等のリスクに係る、事業環境(当該リスクが顕在化した実績等を含む。)並びに当社グループの経営成績・財政状態及び事業体制等を踏まえ、記載しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、個人消費に一部足踏みが残るものの、緩やかに回復しております。一方で、物価上昇の継続による個人消費に及ぼす影響、通商政策等アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響が懸念され、先行き不透明な状況が続いております。

このような経済環境の下で当社グループは、システムソリューション事業の強化を進めつつ、グループの経営資源を有効に活用し、安定的かつ持続的な成長を実現するため、高品質と低コストを兼ね備えた製品の提供や、顧客の抱える課題に対するソリューションの提案に取り組み、更なる企業価値の向上を図ってまいりました。

当連結会計年度においては、電子機器事業セグメントにおけるスマート遊技機用ユニット及び新紙幣対応の紙幣識別機の入れ替え需要が当初計画を上回り、業績が伸張いたしました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は337億7百万円(前期比23.0%増)、営業利益は63億99百万円(前期比32.3%増)、経常利益は67億90百万円(前期比23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億18百万円(前期比22.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

(電子機器事業セグメント)

アミューズメント関連製品の主要な市場であるパチンコ・パチスロ関連市場は、全日遊連が発表した「組合員加盟店舗の実態調査」結果によると、2025年2月末日現在の全日遊連加盟パチンコホール店舗数はついに6,000店舗を割り込む5,969店舗となるなど、依然として減少傾向が続いております。一方で、スマート遊技機の設置店舗数及び設置台数は順調に伸びており、スマート遊技機用ユニットの需要が好調に推移したことに加え、新紙幣対応の紙幣識別機への入れ替え需要もあり、業績は続伸いたしました。

モバイルオーダーシステム「CHUUMO」につきましては、顧客属性に応じた営業活動の実践による営業力の強化や、継続的な代理店開拓による販売チャネルの強化に注力いたしました。また、液晶小型券売機につきましては、中小企業省力化投資補助金の対象製品に登録されたことによる販売の促進、観光地・インバウンド向けの営業強化、新たに事業展開をしたリユース品事業の販売強化、コールセンターを活用した保守メンテナンス業務の他社からの受託等により、順調に推移いたしました。

自律走行システム「I-GINS」につきましては、「I-GINS」搭載車両の販売に加え、顧客所有の芝刈り車両への「I-GINS」後付けによる自律走行車両化といった戦略的な営業活動の実践、保守メンテナンス体制の確立、そして自律走行システム搭載車両の共同開発にも取り組んだことにより、順調に推移いたしました。

マミヤITソリューションズにつきましては、キャッシュレス対応に関する開発やモバイルオーダーシステム開発の案件において開発遅延等の影響により、低調に推移いたしました。

ICカードリーダライタにつきましては、首都高速向けETCカード用やタンクローリー車載コンピューター用のリーダライタにおいて、顧客のシステム機器構築の遅延や生産計画延期等の影響により、低調に推移いたしました。

この結果、電子機器事業セグメントの売上高は267億64百万円(前期比17.9%増)、営業利益は55億64百万円(前期比11.4%増)となりました。

 

(スポーツ事業セグメント)

主力製品の「LIN-Q」を世界統一のブランドと位置付け、認知度の更なる向上を目指し、国内外での販促活動に注力してまいりました。

国内におきましては、ドライバー用の「ATTAS RX SUNRISE RED」や「LIN-Q WHITE EX」が市場で評価を獲得するとともに、YouTubeをはじめとするSNSや雑誌広告、地上波テレビCM等を活用したブランド認知度の向上による販売拡大施策を進め、売上高は堅調に推移いたしましたが、円安による原材料高騰の影響を受け、利益は低調に推移いたしました。

海外におきましては、大手クラブメーカーへのOEM受注販売並びに棒高跳び用ポールの販売が堅調に推移いたしましたが、原材料等の高騰による原価上昇の影響により、利益は低調に推移いたしました。

この結果、スポーツ事業セグメントの売上高は54億5百万円(前期比19.0%増)、営業利益は77百万円(前期は1億73百万円の営業損失)となりました。

 

(不動産事業セグメント)

不動産事業セグメントにおきましては、収益用賃貸物件の建替えによる売上減少を、販売用不動産の売却収益や大手調剤薬局との協業によるヴィレッジ型医療モールをはじめとした賃貸物件の収益で補うとともに、外部コンサルタントを通じた情報収集に加え、新たな収益不動産の購入検討や仲介ビジネスに取り組んでまいりました。

この結果、不動産事業セグメントの売上高は15億40百万円(前期は1億55百万円)、営業利益は7億57百万円(前期は16百万円の営業利益)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、仕入債務の減少、法人税等の支払による支出等により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益65億46百万円(前期比20.3%増)、売上債権および棚卸資産の減少及び長期借入れによる収入等の要因により、前連結会計年度末に比べ52億35百万円増加し、当連結会計年度末には134億1百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は66億78百万円(前期比152.6%増)となりました。これは主に、仕入債務の減少21億69百万円、法人税等の支払22億32百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益65億46百万円、売上債権の減少24億33百万円、棚卸資産の減少16億8百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は16億32百万円(前期比11.1%減)となりました。これは主に、定期預金の増加

7億97百万円、有形固定資産の取得による支出4億3百万円、投資有価証券の取得による支出3億47百万円

等があったことによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は1億19百万円(前期比90.3%減)となりました。これは主に、長期借入金の返

済による支出17億22百万円、配当金の支払7億49百万円等があったものの、長期借入れによる収入26億円等

があったことによるものであります。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

52.8

53.4

61.7

時価ベースの自己資本比率(%)

44.2

43.0

36.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.8

1.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

45.7

85.4

(注)自己資本比率                :  自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率          :  株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :  有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ  :  営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 2023年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 ③生産、受注及び販売の実績

ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

電子機器事業

24,140,165

18.2%

スポーツ事業

5,273,874

11.8%

合  計

29,414,039

17.0%

(注)1.金額は、販売価格によっております。

 

ⅱ)商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

電子機器事業

1,913,890

△26.9%

(注)1.金額は実際仕入額によっております。

ⅲ)受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

ⅳ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

電子機器事業

26,764,197

17.9%

スポーツ事業

5,405,035

19.0%

不動産事業

1,538,064

896.3%

合  計

33,707,297

23.0%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金 額(千円)

割 合 (%)

金 額(千円)

割 合 (%)

日本ゲームカード㈱

14,753,530

53.86

18,272,480

54.21

エムディーアイ㈱

2,796,409

10.21

2,852,249

8.46

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり

ます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、繰延税金資産等の算出評価について見積りを行っております。この見積りは当連結会計年度末現在において判断したものであり、見積りには不確実性、あるいはリスクを内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の売上高は337億7百万円(前期比23.0%増)、営業利益は63億99百万円(前期比32.3%増)、経常利益は67億90百万円(前期比23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億18百万円(前期比22.5%増)となりました。

当該経営成績につき、収益性の観点から分析した結果は以下の通りです。

(売上高総利益率)   31.3%(前期比0.0%増)

(売上高営業利益率)  19.0%(前期比1.3%増)

(売上高経常利益率)  20.1%(前期比0.1%増)

(売上高当期純利益率) 14.0%(前期比0.1%減)

 

③ 財政状態の分析

当連結会計年度末における流動資産は264億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億55百万円増加いたしました。これは主に受取手形が6億25百万円、電子記録債権が19億66百万円、商品及び製品が5億円、原材料及び貯蔵品が5億28百万円、販売用不動産が6億29百万円減少したものの現金及び預金が60億37百万円増加したことによるものであります。固定資産は141億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億円増加いたしました。これは主に投資有価証券が1億25百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は406億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億55百万円増加いたしました。

当連結会計年度末における流動負債は81億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億27百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が9億21百万円、電子記録債務が11億93百万円、短期借入金が5億40百万円減少したことによるものであります。固定負債は73億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億55百万円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が1億94百万円減少したものの、長期借入金が5億58百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は155億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億71百万円減少いたしました。

当連結会計年度末における純資産合計は251億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億27百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益47億18百万円を計上したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は61.7%(前連結会計年度末は53.4%)となりました。

 

以上の結果として、自己資本比率は前連結会計年度の53.4%から61.7%に増加となり、1株当たり純資産は、2,065円74銭から2,426円55銭へと増加し、流動比率、当座比率等についても健全な水準を維持する等、財政状態は堅調に推移しており、持続的な安定成長を支える基盤となっております。

当該財政状態につき、当連結会計年度の経営成績を踏まえ分析した結果は以下の通りです。

(総資産回転率)     0.8回(前期は 0.7回)

(固定資産回転率)    2.4回(前期は 1.9回)

(総資産経常利益率)   17.2%(前期は15.7%)

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は134億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億35百万円増加いたしました。これは営業活動の結果獲得した資金66億78百万円、投資活動の結果使用した資金16億32百万円、財務活動の結果獲得した資金1億19百万円によるものであります。

上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、本有価証券報告書の、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおりであり、当社は、これらのリスクを的確に把握・評価し、その顕在化を回避するための適切な施策を、適宜に立案・実施するよう努めます。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性について

ⅰ)資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、電子機器事業における新製品開発及び金型等、スポーツ事業におけるゴルフ用品製造設備等及び不動産事業における賃貸不動産設備等があります。

ⅱ)財政政策

当社グループの事業活動の維持拡大における資金を安定的に確保するため、金融機関からの銀行借入や社債発行により資金調達を行っております。また、支払金利の変動リスクを回避し、また支払利息の固定化を図るために金利スワップ取引を行っております。

 

⑦経営上の目標の達成状況について

当社グループは、継続的な安定配当等により株主利益の向上を図る観点から各利益の極大化を目指すとともに、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、ROEを経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標と位置付けております。

そして、その具体的な目標数値を8.0%とするとともに、現下の業績が好調に推移していることを踏まえ、連結のROE12.0%を当面の目標に設定して経営に邁進した結果、当連結会計年度におきましては、ROE20.7%を達成しております。

引き続き、利益の拡大を最重要課題と位置づけROEの改善及び向上がなされるように粘り強く取り組んで参ります。

 

⑧セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、具体的な課題認識と解決への方策については、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)⑤優先的に対処すべき事業上の課題」をご参照ください。

 

[電子機器事業セグメント]

(1)アミューズメント事業

遊技機関連市場の長期低落トレンドが続く中ではあるものの、スマート遊技機に対するホール企業による負担軽減効果の期待の高まり等による受注の増加や、紙幣改刷に伴う紙幣識別機への需要拡大の効果により、好調に推移したものと分析しております。また、今後につきましては、スマート遊技機の需要拡大、キャッシュレス決済のさらなる拡大、といったビジネスチャンスを貪欲にものにして売上及び利益に結び付けていく取り組みが必須であると考えております。

(2)システムソリューション事業

当社は、デジタルトランスフォーメーションの奔流が産業構造や社会基盤に歴史的な変革をもたらしつつある現在こそ、当社が事業構造の抜本的な改革を通じてイノベーションを創生し、新たな成長軌道を見出すための最大のチャンスであると分析しております。そして今後は、ソフトウェアソリューション事業への戦略的な展開を強力に推進し、ソフトウェア開発ベンダとしての競争優位を確保していくことが必要であると考えております。

(3)券売機事業

液晶小型券売機「Operal(オペラル)シリーズ」の売上は、人手不足を背景とした省力化・省人化に対する需要の高まりはあるものの、クラウド券売機の台頭やキャッシュレス決済の普及により、底堅く推移しております。今後につきましては、商品力の強化を通じて新たな営業基盤を構築することが必要であると考えております。

(4)I-GINS事業

名門ゴルフ場に対する地道なアプローチを重ねた成果が製品に対する信頼という形で徐々に実を結び、外部企業との連携による導入保守メンテナンス体制の構築・整備とあいまって販売につながっているものと分析しております。また今後につきましては、他社との提携によるI-GINS搭載車両の多様化によるメーカー依存度の分散、代理店の活用を視野にいれた販売チャネルの拡充など営業基盤の強化が下支えする戦略的マーケティングの展開や、搭載部品の共通化など製品改良による生産性向上等が喫緊の課題であると考えております。

 

[スポーツ事業セグメント]

カーボンシャフトのマーケティング及び製造の両面において粘り強く取り組んできた各種の施策の効果はあるものの、アフターコロナにおける消費者の消費行動の多様化によるゴルフ関連製品への需要が落ち着きを見せつつあり、売上及び利益は軟調に推移しているものと認識しております。

また、コロナ禍以降、健康的なライフスタイルを好むプレイヤーの増加、女性やミレニアル世代のゴルフ参加率が上昇していることもあり、今後につきましても、従前の取り組みを着実に積み重ねていくことが必要であると考えております。

 

[不動産事業セグメント]

業界団体や外部コンサルタントを通じた情報ネットワークの充実化につとめ、大手調剤薬局との協業によるヴィレッジ型医療モールの開業に加え、保有物件につきましては安定的な稼働率を確保するとともに、販売用不動産の売却収益があったことで売上・利益に貢献したものと分析しております。しかしながら、今後、事業規模拡大に向けての展望を見出すためには、マーケット動向を捉えた戦略的な販売用不動産の仕入及び販売等並びに賃貸用不動産の新規取得と適切な管理・運用による安定的な賃料確保の方策を確立することが必要であると考えております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、電子機器及びスポーツの両事業セグメントともに、新製品の企画開発、及び厳しさを増す一方の価格競争に対応するための一層のコスト低減、並びに新分野への事業展開を主たる目的として取り組んでおり、当連結会計年度における研究開発費の総額は502百万円であります。

なお、各事業セグメント別の研究開発活動の内容及び研究開発費は次のとおりであります。

(1) 電子機器事業

当事業セグメントの研究開発費は、自社製品の新規開発体制を強化する中で411百万円となりました。その内容は、自社ブランド製品等のバリエーション増加への取り組み、ICカードリーダライタ技術を応用した新製品の開発、自律走行システム「I-GINS」の開発、新規製品企画等となります。

(2) スポーツ事業

当事業セグメントの研究開発費は91百万円となりました。その内容は、UST-Mamiya, Inc.及びUST Mamiya Japan㈱における、「Recoil(リコイル)」、「Elements(エレメンツ)」及び「ATTAS」シリーズシャフトの開発等となります。