第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度におけるわが国経済は、政府および日銀の経済政策や金融緩和を背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善など、全体として緩やかな回復基調が続いたものの、原油価格の下落や株式市場の不安定感に加え、中国をはじめとした世界経済の減速による景気の下振れ懸念も根強いなど、先行き不透明な状況が続いております。

このような事業環境の中、主要顧客である製造業の業績が改善したことに加え、原子力発電所向けの受注が一定水準以上を維持し、呼吸用保護具全般の受注は、前期比堅調に推移しました。この結果、売上高は前事業年度比7.7%増の108億9百万円となりました。

一方、利益面につきましては、売上増加による材料費、労務費の増加はあったものの、生産効率の向上により製品原価率が改善したため、売上総利益は前事業年度比11.3%増の35億74百万円となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、売上増加に伴う人件費・諸経費増に加え、新製品の開発・拡販活動の推進による人件費・諸経費が増加したことから、前事業年度比5.5%増の29億75百万円となりました。

以上のことから、営業利益は5億99百万円(前事業年度比52.9%増)、経常利益は5億83百万円(前事業年度比67.3%増)、また、製品自主回収関連費用として特別損失を84百万円計上したことから、当期純利益は3億30百万円(前事業年度比45.8%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、税引前当期純利益4億83百万円、減価償却費4億19百万円、売上債権、仕入債務、たな卸資産及び未払費用の増加、有形固定資産の取得、長期借入金の返済、社債の償還等の要因により、資金残高は、前事業年度末比で3億94百万円減少の4億23百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、5億41百万円(前事業年度は、得られた資金が13億35百万円)となりました。これは主として、税引前当期純利益4億83百万円、減価償却費4億19百万円、売上債権の増加4億55百万円、たな卸資産の増加2億93百万円、仕入債務の増加4億42百万円、未払費用の増加91百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、5億93百万円(前事業年度は、使用した資金が1億16百万円)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出5億56百万円、無形固定資産の取得による支出35百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、3億42百万円(前事業年度は、使用した資金が7億82百万円)となりました。これは主として、短期借入金の増加額1億12百万円、長期借入れによる収入3億円、長期借入金の返済による支出5億90百万円、社債の償還による支出40百万円、配当金の支払額71百万円等によるものであります。

なお、当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率(%)

37.6

39.8

39.2

時価ベースの自己資本比率(%)

44.3

48.4

39.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

3,524.5

195.4

432.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1.8

31.4

16.6

 

(注) 1 各指標の算出基準は以下のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの株主資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社は、労働安全衛生保護具の製造販売事業の単一セグメントであるため生産、受注及び販売の状況については、品種別に記載しております。

(1) 生産実績

 

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,776,983

7.5

防じんマスク

2,787,078

5.2

送気マスク

465,469

22.6

その他の呼吸用保護具

1,037,804

40.3

メガネ・シールド

59,250

24.3

その他

354,319

△8.6

合計

7,480,905

10.2

 

(注) 1 上記の金額は販売価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 主要仕入商品の仕入実績

 

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

1,862,150

22.6

送気マスク

13,002

48.8

酸素計・ガス検知器

119,149

△2.4

保護衣・保護手袋

542,383

32.5

その他

287,843

△8.9

合計

2,824,529

18.9

 

(注) 1 上記の金額は仕入価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注実績

当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

(4) 販売実績

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,804,423

5.5

防じんマスク

2,678,310

3.5

送気マスク

405,953

16.9

その他の呼吸用保護具

1,078,648

45.8

6,967,336

10.0

メガネ・シールド

77,718

29.5

その他

364,776

△6.2

小計

7,409,831

9.3

商品

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

2,353,701

10.8

送気マスク

19,847

△22.7

2,373,548

10.4

酸素計・ガス検知器

157,567

△2.3

保護衣・保護手袋

513,092

△8.9

その他

355,435

△6.1

小計

3,399,643

4.5

合計

10,809,475

7.7

 

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱千代田テクノル

1,544,257

15.4

1,648,090

15.2

 

 

2 前事業年度及び当事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。

前事業年度

当事業年度

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

900,096

9.0

817,296

7.6

 

 

3 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は次のとおりであります。

 ( )内の数値は総販売実績に対する輸出高の割合であります。

輸出先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東南アジア

302,557

33.6

178,693

21.9

北アメリカ

255,329

28.4

167,163

20.5

その他

342,210

38.0

471,440

57.6

合計

900,096

100.0

817,296

100.0

 

4 輸出については、本社担当部門が直接販売を行っているほか、輸出業者等を通じて海外市場に販売しております。

5 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後のわが国経済につきましては、政府および日銀の経済政策や金融緩和を背景に、景気は緩やかな回復傾向で推移していくと期待されています。しかしながら、原油価格の急落や、中国をはじめとした世界経済の減速による景気の下振れ懸念等、不透明な要因も多く、景気の先行きには注視が必要な状況が続くものと思われます。

また、経済のグローバル化を背景に、わが国経済に影響を与えるリスク要因も内外で増加してきております。さらに、各種環境問題や地震、感染症、テロ等のような突発的な天災・人災の発生に対する対応の巧拙が、経済・社会に与える影響はますます大きくなっており、危機管理の重要性が強く認識されてきております。

このような経済・社会環境の中で、呼吸用保護具業界としては、景気動向の影響はあるものの、社会全体での様々な危機管理対応による呼吸用保護具全般に対する需要が、息長く増加していくものと思われます。

当社としましては、緊急時における安定供給及び市場の変化に的確に対応した新製品の開発と供給が、労働安全衛生保護具の専門会社としての大きな社会的責任、使命であると考え、この役割を確実に果たすために、今後も経営の効率化と収益力の強化を図ってまいります。

 

4 【事業等のリスク】

今後の事業展開に対して影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)当社の事業環境について

① 当社の経営成績は、民間企業の業績動向や官公庁の財政状態等の影響を受けることが多く、景気低迷や官公庁の財政悪化により、当社業績が悪影響を受ける可能性があります。

② エア・ウォーター防災株式会社からの当事業年度の仕入高は、商品仕入高の65.1%でありますが、販売の状況変化により、この比率が変動する可能性があります。

(2)品質管理について

当社はISO 9001に準拠した厳格な品質マネジメントシステムに基づく品質管理・保証体制を構築して、国家検定規格及び米国規格等に適合する各種製商品を製造販売しておりますが、予期せぬ要因により、国家検定規格、JIS及び国際標準に不適合との指摘や製商品の欠陥等の不具合が発生する可能性があります。

この場合、製商品の回収や修理等の対応により、当社業績が影響を受ける可能性があります。

(3)訴訟対応について

当社製品の欠陥により製造物責任訴訟を提訴された場合を想定して、製造物責任保険に加入しておりますが、この保険は無制限に当社の賠償負担を担保するものではありません。

また、製造物責任以外の訴訟につきましても、訴訟が生じる可能性は無いとはいえません。

(4)災害等について

当社の製造・販売拠点が、地震、火災、テロ攻撃等の災害により、物的・人的被害を受けた場合、当社の生産や販売活動が影響を受ける場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

エア・ウォーター防災株式会社から販売総代理権を付与されています。

昭和52年6月1日締結、現在3年毎に自動更新。

 

 

6 【研究開発活動】

研究開発につきましては、事業戦略の上で急務となっている研究課題を中心に計画を立て、関係機関の協力のもと、顧客の意見を取り入れて製品の開発を行っております。

また、保護具の評価基準の向上にも努め、研究の成果については積極的に学会等にて発表を行い、産業安全衛生の向上に協力しております。

なお、当事業年度に支出した研究開発費の総額は、4億12百万円であります。

主な製品開発等

(1)電動ファン付き呼吸用保護具の開発

5種類の電動ファン付き呼吸用保護具が国家検定に合格しました。

これらはすべて快適性が高いルーズフィット形の電動ファン付き呼吸用保護具です。このうち、3種類は臭いを除去するためのフィルタを備えています。

また、1種類は原子力産業用で、放射性ヨウ素から保護することができます。

(2)防じんマスク及び防毒マスクの開発

13種類の取替え式防じんマスク及び5種類の防毒マスクが国家検定に合格しました。

このうち14種類は、ろ過材又は吸収缶を右に60度ひねるだけで確実に面体に取り付けることができるツイストタイプで、一つの面体で防毒マスクとしても防じんマスクとしても使用することができます。

また、6種類の使い捨て式防じんマスクが国家検定に合格しました。

(3)防毒マスク用吸収缶の開発

27種類の直結式小型防毒マスク用吸収缶が国家検定に合格しました。

これらはすべて右に60度ひねるだけで確実に面体に取り付けることができるツイストタイプの吸収缶です。

このうち17種類は、粉じんを除去するろ過材付きです。

また、中濃度用の吸収缶を刷新するため、新たに4種類の直結式防毒マスク用吸収缶を開発し、国家検定に合格しました。

(4)栗燻蒸作業用の吸収缶の開発

栗燻蒸作業で使用する防毒マスクに取り付けるヨウ化メチル用吸収缶を開発し、隔離式防毒マスク用吸収缶の国家検定に合格しました。

(5)学会等での発表

話題となったリフラクトリーセラミックファイバーに関する報告を含め、学会等で防じんマスク及び電動ファン付き呼吸用保護具に関する研究を3件発表しました。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

(総資産)

総資産は、前事業年度末に比べて5億34百万円増加し、115億5百万円となりました。

(流動資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて、4億78百万円増加し、72億78百万円となりました。

これは、主として商品及び製品が2億45百万円増加、受取手形が2億38百万円増加、売掛金が2億13百万円増加、現金及び預金が2億94万円減少したことなどによるものです。

(固定資産)

固定資産は、前事業年度末に比べて、56百万円増加し、42億26百万円となりました。

これは、主として有形固定資産が3億45百万円増加、無形固定資産が16百万円減少、投資その他の資産が2億72百万円減少したことによるものです。

(流動負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて、8億85百万円増加し、51億92百万円となりました。

これは、主として買掛金が3億32百万円増加、未払法人税等が1億56百万円増加、未払金が1億47百万円増加、短期借入金が1億12百万円増加、支払手形が1億10百万円増加、未払費用が91百万円増加、未払消費税等が1億15百万円減少したことなどによるものです。

(固定負債)

固定負債は、前事業年度末に比べて、5億円減少し、18億2百万円となりました。

これは、主として長期借入金が3億15百万円減少、繰延税金負債が67百万円減少したことなどによるものです。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて、1億49百万円増加し、45億10百万円となりました。

これは、主として利益剰余金が2億59百万円増加、その他有価証券評価差額金が1億8百万円減少したことなどによるものです。

この結果、自己資本比率は、前事業年度の39.8%から39.2%となりました。

 

 

(2) 経営成績

当事業年度は、売上高108億9百万円(前事業年度比7.7%増)、営業利益5億99百万円(前事業年度比52.9%増)、経常利益5億83百万円(前事業年度比67.3%増)、当期純利益3億30百万円(前事業年度比45.8%増)となりました。

(売上高)

売上高は、主要顧客である製造業の業績が改善したことに加え、原子力発電所向けの受注が一定水準以上を維持し、呼吸用保護具全般の受注は、前期比堅調に推移しました。その結果、7億75百万円増加し108億9百万円となりました。

(売上原価)

売上原価は、前事業年度に比べ4億13百万円増加の72億34百万円となりました。

これは、売上増加による材料費、労務費の増加はあったものの、生産効率の向上により製品原価率が改善したことにより、売上原価は前事業年度と比べ6.1%増の72億34百万円となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ1億54百万円増加の29億75百万円となりました。

これは、売上増加に伴う人件費・諸経費増に加え、新製品の開発・拡販活動の推進による人件費・諸経費が増加したことから、前事業年度と比べ5.5%増の29億75百万円となりました。

(営業利益)

営業利益は、5億99百万円となり、前事業年度に比べ2億7百万円の増加となりました。売上高営業利益率は、5.5%で、前事業年度に比べ1.6ポイント増となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、42百万円となり、前事業年度と比べ6百万円減少しました。

営業外費用は、58百万円となり、前事業年度に比べ33百万円減少しました。

(経常利益)

経常利益は、5億83百万円となり、前事業年度に比べ2億34百万円の増加となりました。売上高経常利益率は、5.4%で、前事業年度に比べ2ポイント増となりました。

(特別損益)

特別損失は、製品自主回収関連費用として特別損失を84百万円計上したことから、99百万円となり、前事業年度に比べ85百万円増加しました。

以上の結果、税引前当期純利益は、4億83百万円となり、前事業年度に比べ1億49百万円の増加となりました。税引前当期純利益から法人税等合計を差し引くと、当期純利益3億30百万円となり、前事業年度に比べ1億3百万円の増加となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 1業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。