第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、景況感は持ち直しているものの、個人消費は依然として足取りは重く、緩慢な回復にとどまりました。一方海外では、中国経済の減速や英国のEU離脱、米国の政権交代、朝鮮半島問題等、海外経済の不安要素は高まっており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような環境の中、主要顧客である製造業からの受注が堅調に推移したものの、原子力発電所からの受注が減少したことから、売上高は前事業年度比2.8%減の105億9百万円となりました。

一方、利益面につきましては、引き続き生産効率の向上に取り組みましたが、積極的な新製品投入に伴う新規設備投資や、関連金型投資の増加等に伴う労務費、諸経費増により、製品原価率が上昇したため、売上総利益は前事業年度比13.8%減の30億82百万円となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、新製品拡販活動の推進による諸経費が増加したことから、前事業年度比1.4%増の30億17百万円となりました。

以上のことから、営業利益は64百万円(前事業年度比89.2%減)、経常利益は68百万円(前事業年度比88.3%減)となりました。また、福島県からの産業復興企業立地補助金1億4百万円を特別利益として計上したことから、当期純利益は98百万円(前事業年度比70.2%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、税引前当期純利益1億63百万円、減価償却費5億46百万円、売上債権、仕入債務及び未払費用の減少、たな卸資産の増加、有形固定資産の取得、長期借入金の返済等の要因により、資金残高は、前事業年度末比で88百万円増加の5億12百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、6億37百万円(前事業年度比96百万円増)となりました。これは主として、税引前当期純利益1億63百万円、減価償却費5億46百万円、売上債権の減少6億27百万円、たな卸資産の増加25百万円、仕入債務の減少2億41百万円、未払費用の減少1億39百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、8億37百万円(前事業年度比2億43百万円増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出8億10百万円、無形固定資産の取得による支出26百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は、2億88百万円(前事業年度は、使用した資金が3億42百万円)となりました。これは主として、短期借入金の増加額5億円、長期借入れによる収入6億円、長期借入金の返済による支出6億15百万円、社債の償還による支出40百万円、配当金の支払額71百万円等によるものであります。

なお、当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

39.8

39.2

41.0

時価ベースの自己資本比率(%)

48.4

39.9

41.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

195.4

432.0

430.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

31.4

16.6

27.2

 

(注) 1 各指標の算出基準は以下のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの株主資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社は、労働安全衛生保護具の製造販売事業の単一セグメントであるため生産、受注及び販売の状況については、品種別に記載しております。

(1) 生産実績

 

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,918,061

2.1

防じんマスク

2,446,626

△7.8

送気マスク

409,773

16.0

その他の呼吸用保護具

962,478

△16.3

メガネ・シールド

57,817

△39.9

その他

371,269

△2.3

合計

7,166,028

△4.3

 

(注) 1 上記の金額は販売価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 主要仕入商品の仕入実績

 

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

1,842,013

△1.1

送気マスク

26,340

102.6

酸素計・ガス検知器

118,996

△0.1

保護衣・保護手袋

301,827

△44.4

その他

246,214

△14.5

合計

2,535,392

△10.2

 

(注) 1 上記の金額は仕入価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注実績

当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

(4) 販売実績

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,824,882

0.7

防じんマスク

2,300,521

△14.1

送気マスク

410,302

1.1

その他の呼吸用保護具

1,030,436

△4.5

6,566,143

△5.8

メガネ・シールド

63,393

△18.4

その他

372,747

2.2

小計

7,002,284

△5.5

商品

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

2,471,178

5.0

送気マスク

36,303

82.9

2,507,482

5.6

酸素計・ガス検知器

162,817

3.3

保護衣・保護手袋

499,430

△2.7

その他

337,669

△5.0

小計

3,507,399

3.2

合計

10,509,684

△2.8

 

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱千代田テクノル

1,648,090

15.2

1,062,484

10.1

 

 

2 前事業年度及び当事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。

前事業年度

当事業年度

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

817,296

7.6

758,284

7.2

 

 

3 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は次のとおりであります。

輸出先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東南アジア

178,693

21.9

179,158

23.6

北アメリカ

167,163

20.5

135,991

17.9

その他

471,440

57.6

443,134

58.5

合計

817,296

100.0

758,284

100.0

 

4 輸出については、本社担当部門が直接販売を行っているほか、輸出業者等を通じて海外市場に販売しております。

5 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、1917年創業以来100年にわたり、一貫して防じんマスク、防毒マスク、自給式呼吸器などの呼吸用保護具を中心に、働く人々を職業に起因する疾病や危険から守るため労働安全衛生保護具の普及に努力を重ねてまいりました。当社が社会に提供している各種の呼吸用保護具は、地球環境を保護するための省資源、省エネルギー、資源の再生使用にも貢献できる優れたシステムです。

今後も、更なる企業価値の向上を目指して、当社の信条である『働く人の安全衛生の向上に寄与し、社会へ貢献する』を基本方針に、国内外の働く人々の健康と幸福を支え、かつ、地球の環境保全にも貢献することに、誇りと責任を持って仕事に取り組んでまいります。

(2)目標とする経営指標

当社は、収益性と資本効率を高めるROE(自己資本利益率)の向上を重視しており、中期的な経営指標として経常的にROE10%以上の達成を目指しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、創業以来、呼吸用保護具を中心とした本邦最初の労働安全衛生保護具の専門会社として事業の拡大をはかってまいりました。今後も働く人の安全衛生向上のため、中長期的に次の経営戦略に取り組んでまいります。

① 多様なユーザーニーズに対応する製品をタイムリーに市場に供給するための研究開発を引き続き充実してまいります。また、省資源、省エネルギー、資源の再生使用にも注力する等、環境問題に配慮した技術開発に積極的に取り組んでまいります。

② 生産性及び品質の維持向上を図るとともに、一層の原価削減を進めることで、市場競争力の強化を図ってまいります。

③ 常に創造と改善に努め、経営全般の合理化、効率化を推進してまいります。

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

今後のわが国経済につきましては、政府の経済政策や日銀の金融緩和等による企業収益及び雇用環境の改善により、景気は引き続き緩やかな回復傾向で推移していくと期待されています。しかしながら、海外では中国をはじめとした新興国の景気下振れ、欧米政策の不確実性は高まっており、依然として先行きが不透明な状況となっています。

また、経済のグローバル化を背景に、わが国経済に影響を与えるリスク要因も内外で増加してきております。さらに、各種環境問題や地震、感染症、テロ等のような突発的な天災・人災の発生に対する対応の巧拙が、経済・社会に与える影響はますます大きくなっており、危機管理の重要性が強く認識されてきております。

このような経済・社会環境の中で、呼吸用保護具業界としては、景気動向の影響はあるものの、社会全体での様々な危機管理対応による呼吸用保護具全般に対する需要が、息長く増加していくものと思われます。

当社としましては、緊急時における安定供給及び市場の変化に的確に対応した新製品の開発と供給が、労働安全衛生保護具の専門会社としての大きな社会的責任、使命であると考え、この役割を確実に果たすために、今後も経営の効率化と収益力の強化を図ってまいります。

 

4 【事業等のリスク】

今後の事業展開に対して影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)当社の事業環境について

① 当社の経営成績は、民間企業の業績動向や官公庁の財政状態等の影響を受けることが多く、景気低迷や官公庁の財政悪化により、当社業績が悪影響を受ける可能性があります。

② エア・ウォーター防災株式会社からの当事業年度の仕入高は、商品仕入高の72.9%でありますが、販売の状況変化により、この比率が変動する可能性があります。

(2)品質管理について

当社はISO 9001に準拠した厳格な品質マネジメントシステムに基づく品質管理・保証体制を構築して、国家検定規格及び米国規格等に適合する各種製商品を製造販売しておりますが、予期せぬ要因により、国家検定規格、JIS及び国際標準に不適合との指摘や製商品の欠陥等の不具合が発生する可能性があります。

この場合、製商品の回収や修理等の対応により、当社業績が影響を受ける可能性があります。

(3)訴訟対応について

当社製品の欠陥により製造物責任訴訟を提訴された場合を想定して、製造物責任保険に加入しておりますが、この保険は無制限に当社の賠償負担を担保するものではありません。

また、製造物責任以外の訴訟につきましても、訴訟が生じる可能性は無いとはいえません。

(4)災害等について

当社の製造・販売拠点が、地震、火災、テロ攻撃等の災害により、物的・人的被害を受けた場合、当社の生産や販売活動が影響を受ける場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

エア・ウォーター防災株式会社から販売総代理権を付与されています。

昭和52年6月1日締結、現在3年毎に自動更新。

 

6 【研究開発活動】

研究開発につきましては、事業戦略の上で急務となっている研究課題を中心に計画を立て、関係機関の協力のもと、顧客の意見を取り入れて製品の開発を行っております。

また、保護具の評価基準の向上にも努め、研究の成果については積極的に学会等にて発表を行い、産業安全衛生の向上に協力しております。

なお、当事業年度に支出した研究開発費の総額は、4億11百万円であります。

主な製品開発等

(1)電動ファン付き呼吸用保護具の開発

4種類の電動ファン付き呼吸用保護具が国家検定に合格しました。

そのうち、2種類は、呼吸に合わせて清浄空気が送られる呼吸連動形電動ファン付き呼吸用保護具シンクロシリーズで、溶接面との併用がしやすいように設計されています。

(2)防じんマスク及び防毒マスクの開発

6種類の使い捨て式防じんマスク、12種類の取替え式防じんマスク及び2種類の防毒マスクが国家検定に合格しました。

防毒マスクは、防じんマスクにも使用できる全面形面体のマスクです。

(3)防毒マスク用吸収缶の開発

3種類の直結式小型防毒マスク用吸収缶が国家検定に合格しました。

これらはすべて右に60度ひねるだけで確実に面体に取り付けることができるツイストタイプで、防じん機能を有する吸収缶です。

(4)海外の規格に適合した呼吸用保護具の開発

使い捨て式防じんマスクの4種類が米国のN95マスクの規格に、3種類が中国の規格に合格しました。

また、電動ファン付き呼吸用保護具の2種類がヨーロッパの規格に、1種類が韓国の規格に合格しました。

(5)学会等での発表

呼吸用保護具装着時の生体負荷に関する報告を含め、国際会議及び国内学会等で防じんマスク及び電動ファン付き呼吸用保護具に関する研究を3件発表しました。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

(総資産)

総資産は、前事業年度末に比べて2億29百万円減少し、112億75百万円となりました。

(流動資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて、5億12百万円減少し、67億65百万円となりました。

これは、主として現金及び預金が88百万円、商品及び製品が30百万円増加したものの、受取手形が3億41百万円、売掛金が2億93百万円減少したことなどによるものです。

(固定資産)

固定資産は、前事業年度末に比べて、2億83百万円増加し、45億9百万円となりました。

これは、主として有形固定資産が1億19百万円、投資有価証券が1億82百万円増加したものの、無形固定資産が14百万円減少したことによるものです。

(流動負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて、2億81百万円減少し、49億10百万円となりました。

これは、主として電子記録債務が19億36百万円、短期借入金が5億円増加したものの、買掛金が19億40百万円、支払手形が2億37百万円、未払金が1億85百万円、未払法人税等が1億77百万円、未払費用が1億39百万円減少したことなどによるものです。

(固定負債)

固定負債は、前事業年度末に比べて、59百万円減少し、17億42百万円となりました。

これは、主として繰延税金負債が56百万円増加したものの、長期借入金が51百万円、リース債務が33百万円減少したことなどによるものです。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて、1億11百万円増加し、46億22百万円となりました。

これは、主として利益剰余金合計が26百万円、その他有価証券評価差額金が1億26百万円、自己株式が41百万円増加したことなどによるものです。

この結果、自己資本比率は、前事業年度の39.2%から41.0%となりました。

 

 

(2) 経営成績

当事業年度は、売上高105億9百万円(前事業年度比2.8%減)、営業利益64百万円(前事業年度比89.2%減)、経常利益68百万円(前事業年度比88.3%減)、当期純利益98百万円(前事業年度比70.2%減)となりました。

(売上高)

売上高は、主要顧客である製造業からの受注が堅調に推移したものの、原子力発電所からの受注が減少したことから、前事業年度比2.8%減の105億9百万円となりました。

(売上原価)

売上原価は、前事業年度に比べ1億92百万円増加の74億27百万円となりました。

これは、積極的な新製品投入に伴う新規設備投資や、関連金型投資の増加等に伴う労務費、諸経費増により、製品原価率が上昇したことによるものであります。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ41百万円増加の30億17百万円となりました。

これは、新製品拡販活動の推進による諸経費が増加したことによるものであります。

(営業利益)

営業利益は、64百万円となり、前事業年度に比べ5億34百万円の減少となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、58百万円となり、前事業年度と比べ15百万円増加しました。

営業外費用は、54百万円となり、前事業年度に比べ3百万円減少しました。

(経常利益)

経常利益は、68百万円となり、前事業年度に比べ5億14百万円の減少となりました。

(特別利益)

特別利益は、福島県からの産業復興企業立地補助金である補助金収入を計上したことから、前事業年度に比べ1億4百万円増加しました。

(特別損益)

特別損失は、9百万円となり、前事業年度に比べ90百万円減少しました。

以上の結果、税引前当期純利益は、1億63百万円となり、前事業年度に比べ3億20百万円の減少となりました。税引前当期純利益から法人税等合計を差し引くと、当期純利益98百万円となり、前事業年度に比べ2億32百万円の減少となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 1業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。