第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は1917年創業以来、一貫して防じんマスク、防毒マスク、自給式呼吸器などの呼吸用保護具を中心に、働く人々を職業に起因する疾病や危険から守るため労働安全衛生保護具の普及に努力を重ねてまいりました。当社が社会に提供している各種の呼吸用保護具は、地球環境を保護するための省資源、省エネルギー、資源の再生使用にも貢献できる優れたシステムです。
 今後も、更なる企業価値の向上を目指して、当社の信条である『働く人の安全衛生の向上に寄与し、社会へ貢献する』を基本方針に、国内外の働く人々の健康と幸福を支え、かつ、地球の環境保全にも貢献することに、誇りと責任を持って仕事に取り組んでまいります。

(2)目標とする経営指標

当社は、収益性と資本効率を高めるROE(自己資本利益率)の向上を重視しており、中期的な経営指標として経常的にROE10%以上の達成を目指しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、創業以来、呼吸用保護具を中心とした本邦最初の労働安全衛生保護具の専門会社として事業の拡大を図ってまいりました。今後も働く人の安全衛生向上のため、中長期的に次の経営戦略に取り組んでまいります。

① 多様なユーザーニーズに対応する製品をタイムリーに市場に供給するための研究開発を引き続き充実してまいります。また、省資源、省エネルギー、資源の再生使用にも注力する等、環境問題に配慮した技術開発に積極的に取り組んでまいります。

② 生産性及び品質の維持向上を図るとともに、一層の原価削減を進めることで、市場競争力の強化を図ってまいります。

③ 常に創造と改善に努め、経営全般の合理化、効率化を推進してまいります。

(4)会社の対処すべき課題

今後のわが国経済につきましては、政府の経済政策を背景に企業収益及び雇用環境の改善により、景気は引き続き緩やかな回復傾向で推移していくと期待されています。しかしながら、海外では米中通商問題や中国経済の減速懸念、金融資本市場の変動等、依然として先行きが不透明な状況となっています。
 また、経済のグローバル化を背景に、わが国経済に影響を与えるリスク要因も内外で増加してきております。さらに、各種環境問題や地震、感染症、テロ等のような突発的な天災・人災の発生に対する対応の巧拙が、経済・社会に与える影響はますます大きくなっており、危機管理の重要性が強く認識されてきております。
 このような経済・社会環境の中で、呼吸用保護具業界としては、景気動向の影響はあるものの、社会全体での様々な危機管理対応による呼吸用保護具全般に対する需要が、息長く増加していくものと思われます。
 当社としましては、緊急時における安定供給及び市場の変化に的確に対応した新製品の開発と供給が、労働安全衛生保護具の専門会社としての大きな社会的責任、使命であると考え、この役割を確実に果たすために、今後も経営の効率化と収益力の強化を図ってまいります。

 

2 【事業等のリスク】

今後の事業展開に対して影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)当社の事業環境について

① 当社の経営成績は、民間企業の業績動向や官公庁の財政状態等の影響を受けることが多く、景気低迷や官公庁の財政悪化により、当社業績が悪影響を受ける可能性があります。

② エア・ウォーター防災株式会社からの当事業年度の仕入高は、商品仕入高の67.6%でありますが、販売の状況変化により、この比率が変動する可能性があります。

(2)品質管理について

当社はISO 9001に準拠した厳格な品質マネジメントシステムに基づく品質管理・保証体制を構築して、国家検定規格及び米国規格等に適合する各種製商品を製造販売しておりますが、予期せぬ要因により、国家検定規格、JIS及び国際標準に不適合との指摘や製商品の欠陥等の不具合が発生する可能性があります。

この場合、製商品の回収や修理等の対応により、当社業績が影響を受ける可能性があります。

(3)訴訟対応について

当社製品の欠陥により製造物責任訴訟を提訴された場合を想定して、製造物責任保険に加入しておりますが、この保険は無制限に当社の賠償負担を担保するものではありません。

また、製造物責任以外の訴訟につきましても、訴訟が生じる可能性は無いとはいえません。

(4)災害等について

当社の製造・販売拠点が、地震、火災、テロ攻撃等の災害により、物的・人的被害を受けた場合、当社の生産や販売活動が影響を受ける場合があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、政府の経済政策を背景に企業収益の改善や雇用情勢の持ち直しがみられるなど、国内景気は緩やかな回復基調で推移している一方で、米中の通商問題や英国のEU離脱問題、中国経済の成長鈍化などが及ぼす影響などの懸念により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような事業環境の中、原子力発電所向け呼吸用保護具の受注伸び悩みがありましたが、主要顧客である製造業からの受注が総じて堅調であったことから、年度を通した呼吸用保護具全般の受注は、ほぼ前年並みの水準で推移し、売上高は前事業年度比0.4%減の107億47百万円となりました。

一方、利益面では、中国向け使い捨て防じんマスクの受注減による製品売上高の伸び悩みもあり、製品原価率は0.9ポイント上昇しましたが、好調な商品全般の売上増により、商品原価率が1.7ポイント改善したことから、売上原価率は前年並みの水準となりました。その結果、売上総利益は前事業年度比0.5%減の31億22百万円となりました。

また、効率的な営業活動の強化による人件費削減を図ったものの、販売強化のため広告宣伝費を中心に諸経費の増加が避けられなかったことから、販売費及び一般管理費は、30億30百万円と前事業年度比で0.6%の減少に止まりました。

以上の結果、営業利益92百万円(前事業年度比0.9%増)、経常利益90百万円(前事業年度比13.6%減)となり、前事業年度にあった法人税還付金が無かったこと等から、当期純利益は46百万円(前事業年度比54.8%減)となりました。

総資産が前事業年度と比べて1億94百万円減少しております。これは前期からの新製品を初めとした販売強化のための在庫が販売の進捗により減少したことで、たな卸資産が1億67百万円減少したこと等によるものであります。

また、純資産が前事業年度と比べて48百万円減少しております。これは株価下落に伴い、その他有価証券評価差額金が24百万円減少したこと等によるものであります。

なお、当社の投資有価証券は長期保有目的のものだけで、投機的な短期保有株式はありません。

当事業年度のROEは1.0%という結果となりました。今後、生産効率化を中心に利益率改善を図り、引き続きROEの向上に努めてまいります。

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、税引前当期純利益79百万円、減価償却費5億77百万円、売上債権の増加、たな卸資産、仕入債務、未払費用の減少、有形固定資産の取得、長期借入金の返済等の要因により、資金残高は、前事業年度末比で51百万円減少の5億43百万円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、4億91百万円(前事業年度比1億77百万円増)となりました。これは主として、税引前当期純利益79百万円、減価償却費5億77百万円、売上債権の増加1億7百万円、たな卸資産の減少1億67百万円、仕入債務の減少1億54百万円、未払費用の減少12百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、5億10百万円(前事業年度比55百万円増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出5億22百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、31百万円(前事業年度は、得られた資金が2億23百万円)となりました。これは主として、短期借入金の減少額1億円、長期借入れによる収入7億円、長期借入金の返済による支出5億20百万円、配当金の支払額71百万円等によるものであります。

 なお、当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率(%)

41.4

40.0

40.2

時価ベースの自己資本比率(%)

41.7

47.1

42.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

430.5

974.0

636.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

27.2

16.2

27.1

 

(注) 1 各指標の算出基準は以下のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの株主資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

4 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2017年3月期から2018年3月期に係る自己資本比率(%)及び時価ベースの自己資本比率(%)については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、労働安全衛生保護具の製造販売事業の単一セグメントであるため生産、受注及び販売の状況については、品種別に記載しております。

a. 生産実績

 

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,771,018

△6.2

防じんマスク

2,176,581

△16.5

送気マスク

603,559

28.9

その他の呼吸用保護具

1,129,269

10.7

メガネ・シールド

48,244

△21.8

その他

394,521

7.5

合計

7,123,194

△4.7

 

(注) 1 上記の金額は販売価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b. 主要仕入商品の仕入実績

 

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

1,735,422

△11.8

送気マスク

14,410

△55.6

酸素計・ガス検知器

161,020

46.2

保護衣・保護手袋

474,190

5.2

その他

286,189

10.5

合計

2,671,232

△5.3

 

(注) 1 上記の金額は仕入価額で表示してあります。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

c. 受注実績

当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d. 販売実績

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

呼吸用
保護具

防毒マスク

2,742,785

△5.0

防じんマスク

2,186,408

△11.7

送気マスク

521,441

18.6

その他の呼吸用保護具

1,083,124

10.2

6,533,760

△3.7

メガネ・シールド

58,859

3.0

その他

390,136

7.7

小計

6,982,756

△3.1

商品

呼吸用
保護具

自給式呼吸器

2,549,098

1.8

送気マスク

28,901

2.2

2,578,000

1.8

酸素計・ガス検知器

224,757

49.6

保護衣・保護手袋

610,603

11.9

その他

351,640

△2.9

小計

3,765,002

4.9

合計

10,747,758

△0.4

 

 

(注) 1 前事業年度及び当事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。

前事業年度

当事業年度

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

輸出販売高(千円)

輸出割合(%)

998,047

9.2

937,794

8.7

 

 

2 主な輸出先及び輸出販売高に対する割合は次のとおりであります。

輸出先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アジア

656,991

65.8

547,429

58.4

欧州

114,063

11.4

152,208

16.2

米国

198,213

19.9

188,470

20.1

その他

28,779

2.9

49,685

5.3

合計

998,047

100.0

937,794

100.0

 

 

3 輸出については、本社担当部門が直接販売を行っているほか、輸出業者等を通じて海外市場に販売しております。

 

4 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)財政状態、経営成績の分析

①財政状態

(総資産)

総資産は、前事業年度末に比べて1億94百万円減少し、117億72百万円となりました。

(流動資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて、1億51百万円減少し、73億1百万円となりました。

これは主に、売掛金が1億6百万円、受取手形が1億5百万円増加し、現金及び預金が81百万円、たな卸資産が1億67百万円、電子記録債権が1億10百万円減少したこと等によるものです。

(固定資産)

固定資産は、前事業年度末に比べて、42百万円減少し、44億70百万円となりました。

これは主に、投資有価証券が35百万円減少したこと等によるものです。

(流動負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて、2億72百万円減少し、49億86百万円となりました。

これは主に、買掛金が12百万円、1年内返済予定の長期借入金が30百万円増加し、短期借入金が1億円、電子記録債務が1億58百万円減少したこと等によるものです。

(固定負債)

固定負債は、前事業年度末に比べて、1億27百万円増加し、20億50百万円となりました。

これは主に、長期借入金が1億50百万円、繰延税金負債が10百万円増加し、退職給付引当金が31百万円減少したこと等によるものです。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて、48百万円減少し、47億35百万円となりました。

これは主に、利益剰余金合計が24百万円、その他有価証券評価差額金が24百万円減少したこと等によるものです。

この結果、自己資本比率は、前事業年度の40.0%から40.2%となりました。

  

② 経営成績

当事業年度は、売上高107億47百万円(前事業年度比0.4%減)、営業利益92百万円(前事業年度比0.9%増)、経常利益90百万円(前事業年度比13.6%減)、当期純利益46百万円(前事業年度比54.8%減)となりました。

(売上高)

売上高は、原子力発電所向け呼吸用保護具の受注伸び悩みがありましたが、主要顧客である製造業からの受注が総じて堅調であったことから、年度を通した呼吸用保護具全般の受注は、ほぼ前年並みの水準で推移したこと等から、前事業年度比0.4%減107億47百万円となりました。

(売上原価)

売上原価は、前事業年度に比べ30百万円減少76億25百万円となりました。

これは、商品原価率が改善したこと等によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ17百万円減少30億30百万円となりました。

これは、販売強化のための広告宣伝費や諸経費の増加等があったものの、人件費削減の効果等によるものであります。

(営業利益)

営業利益は、92百万円となり、前事業年度とほぼ同水準となりました。

(営業外損益)

営業外収益は、62百万円となり、前事業年度とほぼ同水準となりました。営業外費用は、64百万円となり、前事業年度に比べ14百万円増加しました。

(経常利益)

経常利益は、90百万円となり、前事業年度に比べ14百万円の減少となりました。

(特別損失)

特別損失は、固定資産の除却をおこなったことから11百万円となり、前事業年度に比べ10百万円増加しました。

 

以上の結果、税引前当期純利益は、79百万円となり、前事業年度に比べ24百万円の減少となりました。また、前事業年度にあった法人税還付金が無かったこと等から当期純利益は、46百万円となり、前事業年度に比べ56百万円の減少となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

エア・ウォーター防災株式会社から販売総代理権を付与されています。

1977年6月1日締結、現在3年毎に自動更新。

 

 

5 【研究開発活動】

研究開発につきましては、事業戦略の上で急務となっている研究課題を中心に計画を立て、関係機関の協力のもと、顧客の意見を取り入れて製品の開発を行っております。

また、保護具の評価基準の向上にも努め、研究の成果については積極的に学会等にて発表を行い、産業安全衛生の向上に協力しております。

なお、当事業年度に支出した研究開発費の総額は、373百万円であります。

主な製品開発等

(1)電動ファン付き呼吸用保護具の開発

2種類の電動ファン付き呼吸用保護具が国家検定に合格しました。

面体形の呼吸連動形電動ファン付き呼吸用保護具とルーズフィット形の一定流量形電動ファン付き呼吸用保護具です。

(2)防じんマスク及び防毒マスクの開発

7種類の使い捨て式防じんマスク、5種類の取替え式防じんマスク及び2種類の防毒マスクが国家検定に合格しました。

防毒マスクは、防じんマスクにも使用できる半面形面体のマスクです。

(3)防毒マスク用吸収缶の開発

2種類の直結式小型防毒マスク用吸収缶が国家検定に合格しました。

これらはすべて右に60度ひねるだけで確実に面体に取り付けることができるツイストタイプで、防じん機能を有する吸収缶です。

(4)海外の規格に適合した呼吸用保護具の開発

6種類がヨーロッパの規格、12種類が韓国の規格に合格しました。

(5)その他の保護具

1種類が船舶安全法の船舶等型式承認規則に基づく「完全保護衣(気密型)の型式承認試験基準」に合格しました。

(6)学会等での発表

防じんマスク及び電動ファン付き呼吸用保護具に関する研究を3件発表しました。