当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業者の『みんなが豊かな生活に』『世界に二つとない商品を開発しよう』をモットーに、健全な事業活動を通して人を大切にし、優れた製品の提供と質の高いサービスを通じ、社会の発展に貢献することを企業理念としております。
株主・ユーザー・取引先のほか、全てのステークホルダーにとって価値あるべく、常に経営の効率化と収益性の向上を目指した事業活動を展開するとともに、将来に向け新分野、新事業へ展開していくことを経営方針といたしております。
また、顧客志向を第一に考え、『お客様が求める環境作りのために私たち(社員)はお客様の声を起点に農と住の明日を創造する会社を目指します。』を事業骨子と位置付けております。
(2)経営環境、経営戦略等
当社グループを取巻く経営環境は、主要なセグメントに関連する施設園芸業界において、高齢化に伴う後継者不足により小規模農家が減少しているものの、一方で、法人の農業参入が増加しており、施設園芸の大規模化・高度なシステム化が進んでおります。
また、農林水産省が公表しております「みどりの食糧システム戦略KPI 2030年目標の設定について」にて、施設園芸業界を含む農林水産業の2050年までのCO2ゼロエミッションへの目標が掲げられ、当社主力暖房機で使用しているA重油といった化石燃料を使用する温風暖房機からの脱却も必要となっております。
このような状況でも、質の高い日本の農産物は、ニーズが高く、国内のみならず海外の市場から求められる存在であることに変わりありません。
当社グループは、創業以来、熱と流体を制御する技術を蓄積してまいりました。その技術を駆使し、当社グループが携わる事業領域の一つのセグメントである施設園芸業界において、農業用の暖房機を展開し、確固たる事業基盤を構築しております。
その事業基盤を活かし、お客様のニーズにあわせて、最新のIoT技術を活用した農業用ICTクラウドサービスである「アグリネット」を展開しました。
また、他社サービスとも連携できるIoTプラットフォームである「Chabu-Dai」を構築し、トータル的にお客様の栽培環境を最適化し、高付加価値を生み出すサービスを提供しております。更に、2023年7月より、当社主力暖房機に通信機器を標準搭載し、スマートフォンによる稼働状況モニタリング及び遠隔制御を可能とする「ちょこっとリモコン」をリリースしました。
また、化石燃料使用の暖房機以外にも、電気使用によるヒートポンプを提供するとともに、よりCO2排出量の少ない燃料、熱源及び次世代エネルギーを使用する暖房機開発にも取組んでおります。
[アグリネットを活用した事業展開]
ハウス内の環境のデータをパソコンやスマートフォンでモニタリングし、栽培環境をリアルタイムで把握でき、その情報を管理し反映する事で省力化と収量アップを提供。また、環境制御盤と連携する事でハウス内の環境を自動制御し、遠隔で設定値の変更が可能となり省力化と、ハウス内の温度異常や停電、暖房機のトラブルを警報メールでお知らせし、機器の監視と安心して機器を使用していただくための見守りサービスを提供。
[Chabu-Daiを活用した事業展開]
データ連携基盤ソフトウェア「Chabu-Dai」は様々なメーカーのデバイス機器の通信形態に合わせた形でデータ連携し、時系列データベースに蓄積されたデータを必要な情報のみ引き出す事が可能。蓄積されたデータはお客様が利用するツールに合わせて出力できるため、分析にかかる時間を短縮でき省力化を提供。
[通信機能付き施設園芸用の新型温風暖房機]
2023年7月から主力暖房機に通信機器を標準搭載すると共に、稼働状況モニタリング・遠隔稼働操作・燃料使用量及びCO2排出量グラフ表示・異常警報確認等を園芸施設内へ行かずにリアルタイムで行うことで、暖房機の操作性向上と省力化を実現するスマートフォン用アプリケーション「ちょこっとリモコン」を提供。
[ヒートポンプを活用した事業展開]
化石燃料使用量削減に伴うCO2排出量削減に向けて、化石燃料使用による温風暖房機と電気使用によるヒートポンプとの併用(ハイブリッド)暖房システム機器の提供および、よりエネルギー消費効率が高いヒートポンプの開発。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、施設園芸業界の変化に伴い、上記経営戦略で記載したサービスをスピード感を持って対応していくため、以下を優先的に対処すべき課題と認識しております。
①最適なIoT製品を開発する体制の強化
変化が早いIoT事業において、お客様のニーズを捉えて、最適なサービスを継続的に開発していくためにも、開発体制の強化が必要となります。
農業ICTクラウドサービスは、近年、他社参入が増加しており、差別化した製品を迅速に開発するためにも、引き続き積極的な投資が必要と考えております。
②脱炭素に向けた暖房機等の開発体制強化
化石燃料と電気の併用(ハイブリッド)暖房システム・機器の提供に加えて、当社の主力暖房機が使用しているA重油以外の、よりCO2排出量の少ない燃料、熱源、次世代エネルギーを使用する暖房機等の開発体制強化が必要となります。
③人財の育成
上記①②の展開を行うために、基礎となる人財の育成が重要と考えております。
全従業員への経営理念の徹底は勿論のこと、業務に対する意識の高揚、スキルアップを第一の重点課題として取り上げ、体質改善に取組みます。また総合力の向上を目的に取組み、各業務の標準化を進め、情報・ノウハウの共有化を強化すると同時に各部門、各個人間の業務を円滑且つスピーディーに対処できる組織作りに努めます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、目標とする経営指標を売上高及び営業利益率、自己資本比率と位置付けております。
当連結会計年度における売上高は、2023年7月に上市した通信機能付新型温風暖房機の本格稼働に伴い、制御のソフトウェアをバージョンアップしたことから対応に時間を要した結果、総売上高は77億7千4百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
損益面においては、円安進行による輸入製品仕入価格上昇等による売上原価増、2023年5月公表の中期経営計画に織り込みました社内制度・システム改革費用負担等により、営業利益は3千4百万円(前年同期比91.0%減)、経常利益は8千2百万円(前年同期比79.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6千4百万円(前年同期比77.2%減)と、いずれも前年同期を下回る結果となりました。
営業利益率は、上記要因により、0.4%(前年同期4.9%)となりました。
自己資本比率については、38.1%(前年同期36.1%)となりました。
引き続き、資本・資産効率をより意識し、収益改善を進め、目標とする経営指標の改善に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)気候変動に対する取り組み
当社企業理念でございます「みんなが豊かな生活に」には、人の精神的、物質的な豊かさだけではなく、動植物を含むあらゆる生態系にとって豊かな、そして住みよい環境を提供し続けることも込めております。
この企業理念は、脱炭素実現による気候変動影響を受けない住みよい環境提供へ通ずるものと捉えて、以下取り組みを推進してまいります。
①ガバナンス
当社グループは、当社製品の主力マーケットであります施設園芸における温室効果ガスの一因である二酸化炭素(以下 CO2)排出量の削減への取り組みが、当社の最大の課題と考えております。この課題を解決すべく、当社は、従来取り扱っている化石燃料使用による施設園芸用温風暖房機(以下 暖房機)からCO2排出量が少ない他のエネルギー使用による暖房機の開発・販売に取組んでまいります。
また、この取り組みは、農林水産省が公表しております「みどりの食糧システム戦略」に掲げられております施設園芸における主な目標項目実現にも貢献していこうとするものです。
農林水産省が公表しております施設園芸関連の主な目標は以下の通りです。
(以下は、農林水産省「『みどりの食料システム戦略』KPI2030年目標の設定について(2022年6月)」より一部抜粋したものです)
・「2050年までに、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現を目指す」
施設園芸・農業機械・漁船の省エネルギー対策、電化・水素化等に向けた技術開発・社会実装による2013年CO2排出量対比での削減率目標:2030年△10.6%、2050年△100%
・「2050年までに化石燃料を使用しない施設への完全移行を目指す」
2030年までの施設園芸用ヒートポンプ(以下HP)と化石燃料使用による暖房機のハイブリッド運転等園芸施設の2013年比加温面積割合目標:2030年50%、2050年完全移行
②戦略
下記は当社グループにおけるリスクとその対応策及び機会の一例です。
リスクとその対応策及び機会の一例
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リスク項目 |
対応策や機会 |
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(中期) 化石燃料使用による暖房機利用の減少 |
・化石燃料使用による暖房機とHPの交互利用による ハイブリッド運転園芸施設増加に向けたHP販売台数増強 ・LPG利用等による新型暖房機の市場投入等 |
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(長期) 化石燃料使用による暖房機利用の廃絶 |
・より発熱効率の良いHPの開発と市場投入 ・新たなエネルギー(水素等)使用暖房機の開発と市 場投入 ・CO2回収技術開発の推進等 |
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティへの取り組み強化を目的として、経営会議メンバーによる1カ月3回開催する定例会議にて、気候変動に伴うリスク等について審議・議論を適宜行い、最終的に取締役会へ報告してまいります。
④指標及び目標
a.中期取り組み
当社グループの主力商品としております化石燃料使用による暖房機は、CO2排出要因の一つと捉え、HPを積極的に市場投入することで、ハイブリッド運転園芸施設の増加に取組んでまいります。
ハイブリッド運転園芸施設の増加により、化石燃料使用による暖房機の利用時間を短縮させること等でCO2排出量削減対策に取組んでまいります。
HP市場投入台数増加率とCO2排出量削減率を指標とする目標を以下の通りとします。
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当社の目標項目 |
当社決算期 |
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2025/3期 |
2026/3期 |
2027/3期 |
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2023/3期比ヒートポンプ(注)1 販売台数増加率 |
112.1% |
124.2% |
136.2% |
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2013年比CO2削減率 |
11.6% |
14.1% |
16.5% |
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(ご参考)農林水産省CO2削減目標値(注)2 |
6.9% |
7.5% |
8.1% |
(注)1 当社商品名:ネポングリーンパッケージ、誰でもヒーポン
(注)2 2024/3期は、当初目標9.3%に対しまして、実績は7.1%でした(当社試算による)
(注)3 当社の取り組み効果との比較数値
農林水産省目標(2030年までの園芸施設等からのCO2排出削減量換算での△10.6%削減)について2030年までに比例的に削減するとして当社試算
b.長期取り組み
新エネルギー活用、CO2回収等の技術開発研究により、環境負荷の少ない温風暖房機の市場投入を目指してまいります。
(2) 人的資本・多様性に対する取り組み
当社グループでは「みんなが豊かな生活に」を企業理念に、健全な事業活動を通じて人を大切にし、優れた製品と質の高いサービスの提供により、社会の発展に貢献してまいりました。
今後は多様性と自律性を備えた「個」の成長が企業価値をより高めると考え、全てのステークホルダーにとって更なる価値を提供できる企業を目指し、特に以下項目に重点を置いた取組みを進めてまいります。
①多様性の促進
持続的な成長には多様な人材の活躍が必要不可欠であり、そのためには女性が活躍でき、仕事と子育てを両立することができる働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。つきましては、2023年5月1日から2028年3月31日の5年間を計画期間と定め、以下数値目標の達成を目指してまいります。
なお、連結子会社はタイ王国の現地法人であり、育児休業制度がないこと、及び従業員数が僅少なことから、当社の取組みを記載しております。
a.女性活躍関連目標
上記計画期間内に、女性社員の採用比率を40%以上にすることを目指します。
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項目 |
2024年現在 |
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2028年目標 |
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40% |
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40% |
なお、上記目標の達成を目指しつつ、新職掌制度の導入等の施策により、女性社員のキャリアアップを図り、女性社員の管理職の育成を推進して参ります。
b.次世代育成支援関連目標
引続き、育児休業の取得率を男性社員30%以上、女性社員90%~100%の水準を目指します。
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項目 |
2024年現在 |
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2028年目標 |
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30% |
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90~100% |
c.障碍者雇用関連目標
引続き法定雇用率以上の水準を目指します。
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項目 |
2024年現在 |
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2026年目標 |
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2.7%以上 |
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法定雇用率 |
2.3% |
2.5% |
2.7% |
②人事制度改革の促進
企業価値を高めるには、当社グループで働く一人ひとりの成長が必要であり、社員が自律的にキャリア形成できる仕組みづくりが不可欠です。人事制度改革として、能力のある社員が評価・処遇される透明性の高い評価制度や賃金・等級体系の構築、キャリアパス等の整備を進め、優秀な社員を育て人的資本の拡充に努めてまいります。
導入する制度概要は以下の通りです。
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名称 |
概要 |
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新人事制度 |
人事制度の改定を起点に会社の成長に繋げることを目的とし、①能力主義の人事制度、②社員のモチベーション・パフォーマンス向上、③組織風土の変革という3つのテーマを柱に、新たな等級制度・賃金制度・評価制度を構築 |
③働き方改革の促進
社員が心置きなく挑戦できる職場を作るため、健康にも配慮した働きやすい職場環境を整備する等、社員のモチベーション向上に資する施策を推進してまいります。
主な施策概要は以下の通りです。
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名称 |
概要 |
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働き方改革 |
・デジタル化の推進によるリモートワーク対象業務の拡大 ・会議の質の向上、稼働時間の捻出、生産性の向上を目的とした会議の運営方法 の見直し ・コミュニケーションツール刷新によるメリハリのついたワークスタイルの推進 ・フレックスタイム制度の拡充による柔軟な働き方の推進 |
④社員エンゲージメントの向上
企業の成長に不可欠であります、社員エンゲージメント(社員が会社の企業理念やビジョンに共感し自発的に「会社に貢献したい」と思う意欲を持ち主体的に取組めている状態)の向上に資する施策を推進してまいります。
主な施策概要は以下の通りです。
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名称 |
概要 |
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エンゲージメント・サーベイ |
社員エンゲージメントの状態を可視化するために、エンゲージメント・サーベイを継続的に実施。その結果をもとに現状の組織に必要な施策を企画・推進し、社員エンゲージメントの向上を図る |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
(1)エネルギー情勢への依存度
熱機器事業の施設園芸用温風暖房機は、その燃料の大半を石油に依存しており、原油価格の動向は生産者の設備投資意欲に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、電気を動力とする施設園芸用ヒートポンプの生産・販売を推進することにより、リスク分散をしております。
(2)競争激化による価格競争
熱機器事業の施設園芸用暖房工事について、農業事業の規制緩和による異業種からの参入に伴う価格競争が収益に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、アグリネットの推進などを進めて、特定の事業収益に頼らない体制を構築していきます。
(3)社会情勢
熱機器事業の農用機器については、国内農業人口の減少、高齢化、後継者不足等による新規設備投資の減少、台風等の自然災害による施設園芸用ハウスの倒壊等による撤退により、施設園芸用温風暖房機等の業績に影響を及ぼす可能性があります。
衛生機器事業については、下水道の普及による簡易水洗便器の市場縮小などが業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、弊社の熱と流体を制御する技術を、異なる業界へ転用する用途開発を進め、新たな事業基盤を獲得してまいります。
(4)制度利用
施設園芸業界は、施設園芸農家支援のための国、地方自治体が行う公的資金を利用した事業がかなりを占め、この予算の推移が業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、弊社の熱と流体を制御する技術を異なる業界へ転用する用途開発を進め、農用機器売上に依存しない体制を構築してまいります。
(5)季節変動
猛暑及び暖冬が、熱機器事業の施設園芸用温風暖房機の稼働に影響し、メンテナンスサービスによる収益が減少する恐れがあります。
その対策として、弊社の熱と流体を制御する技術を異なる業界へ転用し、不需要期への稼働を促進できる製品開発を進めていきます。
(6)為替の変動
海外取引を拡大することにより、為替の変動が業績に影響を及ばす可能性があります。
その対策として、海外取引が拡大し、金額の重要性が増した場合は、為替予約などのヘッジ手段を取り入れます。
(7)CO2排出削減への対応
世界的な脱炭素化に向けた議論が進む中、熱機器事業の施設園芸用温風暖房機の大半が化石燃料の燃焼に伴うCO2を排出しており、その排出量の削減が暖房機使用者等より、今後一層求められることが予想されます。
その対策として、電気を動力とする施設園芸用ヒートポンプの生産・販売を推進するとともに、化石燃料に代替するエネルギーを利用する新たな施設園芸用暖房機の開発についても、今後、検討して参ります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付緩和による社会経済活動正常化に伴い、企業収益や個人消費が持ち直して国内経済の回復も見られたものの、2024年に入ってからは、欧米各国とわが国との金融政策の違いによる円安進行や、ウクライナ情勢長期化、中東情勢緊迫化等によるエネルギー・資材価格の高止まり等の国内経済に対する不安定化要因が重なり、先行き不透明な状況となっています。
このような経営環境の中で、当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は『お客様が求める環境作りのために私たち(社員)はお客様の声を起点に農と住の明日を創造する会社を目指します』を事業骨子とし、引き続き販売力の強化や新製品の開発に取組んでまいりました。
当社グループが主力としております熱機器事業は、2023年7月に上市した通信機能付新型温風暖房機の本格稼働に伴い、制御のソフトウェアをバージョンアップしたことから対応に時間を要し、前年に比べ売上高が減少しました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、総売上高は77億7千4百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
損益面においては、円安進行による輸入製品仕入価格上昇等による売上原価増、2023年5月公表の中期経営計画に織り込みました社内制度・システム改革費用負担等により、営業利益は3千4百万円(前年同期比91.0%減)、経常利益は8千2百万円(前年同期比79.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6千4百万円(前年同期比77.2%減)と、いずれも前年同期を下回る結果となりました。
当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりとなります。
[熱機器事業]
当社グループが主力としております熱機器事業の農用機器は、2023年7月に上市した通信機能付新型温風暖房機の本格稼働に伴い、制御のソフトウェアをバージョンアップしたことから対応に時間を要し、売上高は72億8千6百万円(前年同期比1.7%減)となりました。
[衛生機器事業]
衛生機器事業においては、簡易水洗便器市場の縮小により、売上高は4億5千9百万円(前年同期比8.0%減)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、農産物販売の減少等により売上高は2千9百万円(前年同期比64.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2億1千7千万円のプラス(前連結会計年度は1千万円のマイナス)と なりました。
その主な要因は税金等調整前当期純利益7千9百万円、売上債権の減少2億1千8百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、2千1百万円のマイナス(前連結会計年度は2億7千4百万円のマイナス)となりました。
その主な要因は、有形固定資産の取得による支出8千5百万円、無形固定資産の取得による支出7千4百万円、保険積立金の満期・解約による収入1億4千4百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億4百万円のマイナス(前連結会計年度は3億8千1百万円のプラス)となりました。
その主な要因は、短期借入れによる収入6億円、短期借入金の返済による支出4億円であります。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末における残高は、4億5千5百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
熱機器事業 |
6,746,388 |
△7.2 |
|
衛生機器事業 |
455,497 |
△6.1 |
|
その他事業 |
28,064 |
△64.2 |
|
合計 |
7,229,950 |
△7.7 |
(注)金額は標準販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループの受注生産は「熱機器事業」の中の「施設園芸冷暖房工事」、「給湯・暖房工事」、「衛生機器事業」の中の「衛生工事」であり、他は全て需要予測による見込生産を行っております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
熱機器事業 |
1,878,779 |
4.1 |
106,482 |
△39.4 |
|
衛生機器事業 |
- |
△100.0 |
- |
- |
|
その他事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,878,779 |
4.0 |
106,482 |
△39.4 |
(注)金額は標準販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
熱機器事業 |
7,286,102 |
△1.7 |
|
衛生機器事業 |
459,114 |
△8.0 |
|
その他事業 |
29,114 |
△64.7 |
|
合計 |
7,774,331 |
△2.7 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
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佐藤商事株式会社 |
1,595,183 |
20.0 |
1,586,017 |
20.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
[売上高]
当社グループが主力としております熱機器事業は、2023年7月に上市した通信機能付新型温風暖房機の本格稼働に伴い、制御のソフトウェアをバージョンアップしたことから対応に時間を要し、前年に比べ売上高が減少しました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、総売上高は77億7千4百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
[営業利益]
損益面においては、円安進行による輸入製品仕入価格上昇等による売上原価増、昨年5月公表の中期経営計画に織り込みました社内制度・システム改革費用負担等により、営業利益は3千4百万円(前年同期比91.0%減)となりました。
b.財政状態の分析
[流動資産・固定資産]
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ、その他流動資産が3千1百万円増加しましたが、売上債権が2億1千5百万円、棚卸資産が1億4百万円減少したこと等により、2億9千2百万円の減少となりました。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ、無形固定資産が5千万円増加しましたが、有形固定資産が5千8百万円、投資その他の資産が1千6百万円減少したこと等により、2千3百万円の減少となりました。
[流動負債・固定負債]
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ、短期借入金が2億円増加しましたが、仕入債務が2億8千8百万円減少したこと等により、1億4百万円の減少となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ、退職給付に係る負債が3千8百万円増加しましたが、長期借入金が2億6千1百万円減少したこと等により、2億2千9百万円の減少となりました。
[純資産]
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ、その他有価証券評価差額金が1千5百万円増加したこと等により、1千7百万円の増加となりました。
以上の結果、前連結会計年度末に比べ、総資産は3億1千6百万円減少し、69億4百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
[資本調達方法及び状況]
当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するために、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達しております。
当社グループは、在庫金額の抑制を図り資金負担を軽減するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
[資金需要の動向]
当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料、部品の購入及び設備投資によるものであります。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
これらの、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は当社が行っております。当社グループの研究開発活動は、顧客ニーズ、市場状況、当社重要技術から開発ロードマップを定め、その方向性に従い製品開発を進めています。また、VE(バリューエンジニアリング)による製品の更なる改良、改善及び新製品開発も行っています。
地球規模の気候変動問題の解決に向けて、日本国政府でも「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組」が公表され、当社が参入している農業施設園芸分野での取組みも含めて、農林水産省が2021年5月に「みどりの食料システム戦
略」を公表しています。
「みどりの食料システム戦略」におきましては、農林水産業の生産性向上のためのAIやIoTなどの情報技術を活かした「スマート農業」の普及、地球環境負荷低減のための「脱炭素」の推進、等の方針が謳われており、当社も施設園芸分野における「スマート農業」「脱炭素」実現に向けて、77期におきましても以下内容の研究開発活動に取組みました。
・「スマート農業」対応に向けた研究開発について
施設園芸ハウス内の気温等環境に応じて当社製品の稼働制御を目的に2012年にサービスを開始した3G通信回線使用の農業用ICTクラウドサービス「アグリネット」について、より通信速度やデータ容量の増強を可能とする4G通信回線を使用し、かつ安価な通信装置の市場投入を目指して、自社IoT技術を駆使した小型基板とソフトウェアの基礎開発に取組みました。
更に、当社情報通信機器と他社システムとの連携を可能とする農業用プラットフォーム「Chabu-Dai」の機能拡張も進め、地方自治体で採用され、利用されています。
また、「みどりの食料システム戦略」の方針に沿った「スマート農業」の普及に向けて標準API仕様のソフトウェア開発を進め、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構様主導による「農業データ連携基盤」システム(通称:WAGRI)、他社クラウドシステム、「Chabu-Dai」間でデータ連携を行うための実証試験を実施しました。
・「脱炭素」対応に向けた研究開発について
A重油使用量削減のために、電気エネルギーを使用したヒートポンプを併用して施設園芸ハウス内の温度等に応じて切替運転が可能なハイブリッド運転制御システムを開発及び、スマートフォン等を利用してハウスカオンキやヒートポンプの遠隔監視・操作を可能とし、燃料使用量データから換算したCO2排出量も確認することができる通信機器搭載型の新型ハウスカオンキと新型ヒートポンプの開発を進めました。
また、当社が開発しましたハイブリッド運転制御システムは、「みどりの食料システム法」に定める基盤確立事業(環境負荷の低減を図るために行う取り組みの基盤を確立するために行う事業)にも2024年4月に認定されました。
又、既設のハウスカオンキにも利用できる、油焚き缶体とガス焚き缶体で共用可能なLPG用ガスバーナの開発も既にしております。
当連結会計年度の研究開発費は、