(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、遵法に徹し、公正な企業活動を行い、素材と技術を通じて、暮らしや産業、社会に貢献することを企業理念としております。グローバルな視野をもって、幅広い分野のお客様との信頼関係を築き、多様なご要望に応え、環境にやさしい、生活を豊かにする製品づくりで社会への貢献を目指しております。そのために、基盤技術の向上により、様々なお客様との接点を増やし、関係を深めていくことに努めております。
当社グループは、総合力を更に高め、いかなる経済環境にあっても力強く成長を続ける企業集団として、既存事業の競争力を強化し、売上の拡大と利益の向上を図り、また、新事業の創出に会社一丸となって積極的に挑戦することを目標に掲げております。資産効率の向上、財務基盤の更なる強化、企業価値の最大化を推し進めてまいります。
創立60周年を迎える2021年3月期に、売上高1,000億円、経常利益100億円の達成を目標として掲げております。
世界経済は、米中貿易摩擦、欧州の政治不安などにより不透明感が広がっております。また、日本経済は、企業の設備投資が増加しているもののその鈍化が見られ、賃金の伸び悩みや今秋予定される消費税増税による個人消費の停滞、人手不足の影響などが懸念されております。
このような状況のもとで、当社グループは、国内外の既存事業領域の拡大、既存事業領域とその周辺事業領域における新事業創出などを課題としております。
まず、既存事業領域においては、伸びる市場に照準を合わせた製品開発、徹底した品質管理、販売力強化及び新規顧客開拓に努め、更なる成長を目指します。
具体的には、電子デバイス事業では、自動車用を中心とした入力デバイス製品の顧客需要をしっかりと取り込んで成長のけん引役としてまいります。また、北米、中華圏、ASEAN地域とインドにおける販売力及び生産性の向上も重要課題として、引き続き取り組んでまいります。
精密成形品事業では、半導体関連容器・キャリアテープ関連製品の需要増に対応し、生産・供給体制の拡充を進める一方で、半導体プロセスの微細化や電子機器の小型化に伴うお客様のニーズに的確に対応し、拡販を図ってまいります。OA機器用部品は、レーザープリンター用部品・複合機用部品の需要を確実に取り込んで収益の拡大を図ります。シリコーンゴム成形品は、医療用関連製品、高透明製品、複合化製品など当社独自技術を生かした新製品開発により新市場を開拓してまいります。
住環境・生活資材事業では、塩ビ関連製品のコスト削減や新規事業製品等の拡充・拡販などにより成長軌道に乗せることを目指してまいります。特に、機能性コンパウンドや、導電性ポリマー、薄膜エンプラフィルムなどの高付加価値製品の拡販を推し進め、収益の拡大に努めてまいります。
次に、既存事業領域及びその周辺領域における新事業創出については、喫緊の課題であり、中長期にわたる成長を継続するために、「素材配合」、「複合化」、「精密成形加工」など当社の基盤技術を駆使し、既存事業領域やその周辺事業領域において新規テーマの発掘と事業育成に、鋭意取り組んで参ります。M&A(合併・買収)については、収益拡大と新事業創出に向け、引き続き検討を進めてまいります。
また、当社グループは、CSRを基本とした経営を推し進め、コーポレートガバナンスの充実を図るとともに地球環境保全への貢献、人権尊重、安全第一をさらに進めて、企業価値の向上に努めてまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状態など業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとしては、以下のようなものが考えられます。なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、業績に影響を与えうる要素は、これらに限定されるものではありません。
(1) 経済動向について
当社グループの製品の需要は世界に広がっており、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状態の影響を受けます。また、国際社会情勢の急激な変化により、生産、仕入れ及び販売等に支障が生じ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2) 為替レートの変動について
当社グループの海外事業では、アジア、北米、欧州等の地域において事業活動を行っておりますが、各地域における売上げ、費用及び資産等の現地通貨建ての項目は連結財務諸表の作成時に円貨に換算されるため、換算時の為替レートにより評価価値が変動し、結果として当社グループの財政状態及び業績に影響する可能性があります。
(3) カントリーリスクについて
当社グループの海外拠点では、それぞれの国に多様なリスクが存在し、これらが顕在化した場合には当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画に影響する可能性があります。
(4) 原材料価格の高騰・供給不足について
当社グループの製品の多くは、その主原料として石油化学製品を使用しておりますが、原油・ナフサなどの市況変動が、原材料価格の高騰に及び、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、それら供給業者に不測の事態が発生した場合や材料・部材に品質問題又は供給不足が発生した場合は、当社グループの生産活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 他社との競合について
当社グループの関連市場において、海外における競合他社とのシェア及び価格面での競争が激化しており、今後これらの状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 公的規制について
当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入に関する規制、公正な競争に関する規制、環境保護に関する規制及びその他商取引、労働、知的財産権、租税、通貨管理等にかかる法令諸規則の適用を受けています。これらの法令諸規則又はその運用にかかる変更は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 新製品開発に関連して
当社グループが事業展開する電子機器、半導体関連の事業分野は、技術革新とコスト競争が激しい業界です。提案型・開発型企業として新製品開発や生産技術改革に努めておりますが、業界や市場の変化に的確に対応できなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 知的財産に関連して
当社グループは、事業を遂行する上で、製品や製造工程における知的財産権を保有し維持管理しています。また、必要に応じて第三者の知的財産権を使用するために相手方からライセンスを取得します。それらの権利保護・維持又は取得が適切に行われない場合、相手方による模倣や訴訟を受ける可能性があり、その結果、費用負担などにより経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 自然災害について
当社グループでは、一部の製品を専門工場において集中生産しております。このため地震、風水害等の自然災害が発生した場合、一部の製品の生産に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 製造物責任について
当社グループでは、原材料をはじめとして、製品設計、製造・出荷など各工程において最適な品質管理に努めておりますが、予期せぬ製品不具合などで製造物責任賠償などが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度末における総資産は、有形固定資産全体で主に当社糸魚川工場の製造設備の増強により1,906百万円、投資有価証券が1,022百万円、受取手形及び売掛金が870百万円、電子記録債権が483百万円、原材料及び貯蔵品が476百万円それぞれ増加し、現金及び預金が1,133百万円減少したことなどにより、107,032百万円(前連結会計年度末比3,365百万円増)となりました。
当連結会計年度末における負債は、主に当社において仕入債務等の決済手段の変更を進めたことにより支払手形及び買掛金が1,268百万円減少し、電子記録債務が1,051百万円増加したほか、未払金が802百万円減少し、流動負債のその他が766百万円増加したことなどにより、26,472百万円(前連結会計年度末比315百万円増)となりました。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して全ての海外連結子会社の記帳通貨において円高となった結果、為替換算調整勘定が1,452百万円減少しましたが、利益剰余金が4,880百万円増加したことなどにより、80,560百万円(前連結会計年度末比3,049百万円増)となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末から0.5ポイント増加し、75.1%となり、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末から41円13銭増加し、989円44銭となりました。
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に緩やかな景気拡大基調が続きましたが、保護主義的な経済政策の台頭やそれに伴う通商摩擦の懸念が増大するなど、先行きに不透明感が生じました。米国では輸出が減少する傾向がみられたものの、雇用環境の改善が続き、個人消費も底堅く推移しました。欧州では内需は底堅さを維持しましたが、一部の国での政治不安などにより景気減速の兆しが見られました。アジアでは、全体として景気は底堅く推移したものの、中国での景気減速が顕在化し始めました。
日本経済は、企業の輸出・生産・設備投資及び個人消費が堅調に推移しましたが、本年に入って、海外経済の減速を主因として先行きに不透明感が増してきました。
当社グループ関連の事業環境につきましては、半導体業界の活況が継続し、自動車関連分野の需要も総じて順調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは国内外において主力製品及び新規事業製品の拡販に注力した営業活動を継続的に展開し、生産・供給体制の拡充を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は85,460百万円(前連結会計年度比7.7%増)、営業利益は8,153百万円(前連結会計年度比13.1%増)、経常利益は8,026百万円(前連結会計年度比10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,049百万円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
① 電子デバイス事業
当事業では、自動車関連入力デバイスを中心に順調な出荷が続き、全体として売上げは前年を上回りました。
主力の入力デバイスは、自動車電装スイッチの種類や搭載車種の増加により、キースイッチとタッチスイッチの出荷が好調に推移しました。また、薄型ノートパソコン用タッチパッドは、従来製品の出荷が終息する中、新規製品が立ち上がりました。ディスプレイ関連デバイスは、液晶接続用コネクターが低調でしたが、視野角制御フィルム(VCF)は新規の光学用途製品の売上げが加わり伸びました。コンポーネント関連製品は、電子部品検査用コネクターがスマートフォン用部品の需要回復により出荷が伸びました。
この結果、当事業の売上高は20,699百万円(前連結会計年度比5.9%増)、セグメント利益(営業利益)は1,492百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。
② 精密成形品事業
当事業では、半導体関連容器の出荷が好調に推移し、全体として売上げは前年を上回り、利益も伸びました。
半導体関連容器は、半導体業界の旺盛な需要を背景に300mmウエハー用及び小口径ウエハー用製品の高水準な出荷が継続し、売上げを大きく伸ばしました。OA機器用部品は、主力のレーザープリンター用現像ローラの需要が伸びず、売上げは横ばいでした。キャリアテープ関連製品は、高級スマートフォン用電子部品の需要回復があったものの、売上げは前年を下回りました。シリコーンゴム成形品は、主力のメディカル関連製品が堅調に推移して、売上げを伸ばしました。
この結果、当事業の売上高は37,089百万円(前連結会計年度比7.9%増)、セグメント利益(営業利益)は5,904百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。
③ 住環境・生活資材事業
当事業では、塩ビ関連製品の市場環境が非常に厳しい中、価格改定や生産効率化に努める一方、新規事業製品の拡販を推し進めて、全体として売上げは前年を上回り、利益も大きく伸ばしました。
ラッピングフィルムなどの包装資材関連製品は、一部の価格改定ができましたが、全体的に出荷が振るわず、売上げは前年並みでした。塩ビパイプ関連製品は、市場競争が激しい中、一部の価格改定ができましたが、出荷量が伸びず、売上げは横ばいでした。機能性コンパウンドは、ロボットケーブル用が好調な出荷を継続したものの、自動車用の需要が若干減速したため、売上げは前年並みでした。外装材関連製品は、市場低迷ながら災害復旧向けの需要もあり、また、新規取引先への拡販、価格改定、製品ラインナップ拡充により、売上げを大きく伸ばしました。新規事業製品である導電性ポリマーは、帯電防止材用途や電子部品用途で大きく伸長しました。
この結果、当事業の売上高は19,931百万円(前連結会計年度比6.6%増)、セグメント利益(営業利益)は535百万円(前連結会計年度比19.4%増)となりました。
④ その他
工事関連では、首都圏を中心に商業施設の新築・改装物件、公共施設の内装物件の受注が増え、全体として、売上げは伸びました。なお、上記各事業に含まれない新規事業開発関連をその他に含めております。なお、上記各事業に含まれない新規事業開発関連をその他に含めております。
この結果、その他の売上高は7,740百万円(前連結会計年度比15.3%増)、セグメント利益(営業利益)は220百万円(前連結会計年度比28.9%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
受注生産はその他の一部においてのみ行っております。
当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 総販売実績に対する割合が10%以上に該当する販売先はありません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、40,802百万円(前連結会計年度末比1,179百万円の減少)となりました。
なお、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は2,752百万円の増加(前連結会計年度は4,009百万円の増加)となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、9,498百万円(前連結会計年度比1,050百万円の収入増)となりました。 これは、税金等調整前当期純利益8,026百万円、減価償却費3,790百万円、関係会社株式評価損561百万円の計上などの増加要因のほか、法人税等の支払い1,987百万円、売上債権の増加1,730百万円、たな卸資産の増加740百万円などの減少要因によるものであります。
前連結会計年度との差異の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の増加と関係会社株式評価損の計上による収入増のほか、運転資金増減(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)及び退職給付に係る負債の減少による収入減であります。
当連結会計年度における投資活動による資金は、主に有形固定資産の取得による支出6,596百万円により、6,745百万円の減少(前連結会計年度比2,308百万円の支出増)となりました。
前連結会計年度との差異の主な要因は、当社糸魚川工場の製造設備の増強による支出増であります。
当連結会計年度における財務活動による資金は、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,740百万円、配当金の支払い1,143百万円などにより、3,204百万円の減少(前連結会計年度比1,534百万円の支出増)となりました。
前連結会計年度との差異の主な要因は、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式を取得したことによる支出増であります。
当社グループは、財務体質の健全性確保と、研究開発投資や生産設備投資及びM&Aなどを行うための資金需要に対応してまいります。
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は主に当社の親会社である信越化学工業株式会社からの借入により調達を行う方針としております。
当社糸魚川工場の製造設備の増強に係る資金は、内部資金によるものであります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発の基本は、お客様との密接なコミュニケーションを通して、お客様のニーズを掘り起こし、お客様に価値ある製品を提供することにあります。
当社グループの技術展開の核となる基盤技術は、シリコーンや各種プラスチック、導電性素材を主材料とした「素材配合」、「素材応用」、「複合化」、「評価」、「精密成形加工」であります。これらの基盤技術を応用し、幅広い分野でお客様のニーズにお応えしていくことを研究開発の使命と考えております。
研究開発体制といたしましては、開発本部が中心となり、コア技術のブラッシュアップと新技術の確立を目指して、現業開発を開発第一部から第四部、新規事業開発を新事業開発室及び事業化準備室がそれぞれ担当しております。営業本部、生産本部と三位一体となって、お客様のさまざまなニーズを的確に発掘し、迅速な対応に努めております。
現在、自動車関連市場や半導体関連市場、医療機器関連市場など幅広い分野に展開する、独創的な製品を開発しております。
セグメントごとの活動概要は下記のとおりであります。
① 電子デバイス事業
当事業では、自動車や電子機器の入力部品、ディスプレイ関連部品やコンポーネント関連製品の開発を行っております。高精細印刷技術をベースとした静電容量方式によるタッチ入力部品やセンサー部品の開発と、シリコーンゴム加工技術をベースとした異種素材との複合化製品の開発を中心に、車載機器、モバイル機器、家電製品などの各市場における新規需要の開拓に取り組んでおります。
② 精密成形品事業
当事業では、半導体シリコンや電子部品の搬送用資材、OA機器・医療機器部品などの精密成形品の開発を行っております。当社独自の精密加工技術と評価技術をベースに、次世代半導体ウエハー用の搬送容器や電子部品の微細化に対応した搬送テープの開発に取り組んでおります。また、半導電化技術、発泡技術などシリコーンゴム成形加工技術により、高速化・高耐久化要求に応じたOA機器用部品や自社設計医療機器用部品の製品開発を行っております。
③ 住環境・生活資材事業
当事業では、塩ビ管や食品包装資材などの生活関連製品や自動車部品、電子部品、電線などの中間材料製品の開発を行っております。特に、シリコーン材料を使った摺動性に優れた高機能コンパウンド、スーパーエンプラを素材とした薄膜フィルム、導電性・耐熱性を付与する導電性ポリマーの製品開発と需要開拓に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は