第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループの企業理念

 

① 使命

 

独創的アイデアを総合技術で価値ある製品に変え、より良い未来を支えます

 

② 経営姿勢

 

強靭な経営基盤をもとに、創造と挑戦を繰り返し、自ら変革し続けます

 

③ 行動指針

 

信頼こそ全ての基本

・謙虚な姿勢と感謝の心を大切にします

・公明正大に行動します

・新たな価値の創造に挑戦します

 

(2)当社グループの優先的に対処すべき課題

 今後の世界経済は、米中間を中心とする相互関税措置や中国経済の停滞継続等により先行き不透明な状態が続いております。

 半導体市場は、需要は緩やかに回復し、当社グループが注力するサーバー用途の需要を中心に中期的に増加傾向が続くと見込んでおります。ライフサイエンス市場は、遺伝子検査市場の拡大に伴い中長期的に増加傾向が続く見通しとなっております。光通信関連市場は、AI用サーバー市場は今後も成長すると想定しておりますが、当社グループの光学デバイスの需要は顧客の次世代製品への移行を踏まえた在庫調整等の継続により減少すると見込んでおります。自動車市場は、自動車の電装化領域の広がりを背景に需要は拡大傾向にあります。

 そのような状況の中、当社グループの強みである技術力やソリューション提案力により顧客ならびに社会の課題解決を通した社会貢献を図るとともに、持続的な成長を実現することで、企業価値の向上に繋げてまいります。

 当社グループは持続的な成長の実現のために以下の施策に重点的に取り組んでまいります。

 

① Essential領域の事業への注力

 成長市場であり、人と地球のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める領域を当社はEssential領域と定めております。Semiconductor事業及びLife Science事業は事業自体がEssentialであり、市場成長以上の事業成長を目指してまいります。Digital Communication事業とEnergy Saving Solution事業は既存事業の深化を進めると同時に、要素技術や新製品の開発に注力することで、Essentialな領域への転換を行い、さらなる成長を模索してまいります。またよりバランスの取れた事業構成とすべく、各事業において顧客価値の創出に努めるとともに、新事業の開発にも継続して取り組んでまいります。

 

② 競争力の強化

 当社グループはAIの社会実装に向けた事業機会を最大限に獲得するため、各事業が事業領域を広げ、ソリューションプロバイダーとして顧客価値を創出してまいります。

 

③ 経営基盤の強化

 グローバルガバナンスの強化による信頼と業務品質の向上、グローバルでの企業理念の浸透活動の推進、社員一人一人が最大限能力を発揮できる職場環境の実現により、当社グループの経営基盤を強化してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)重要課題(マテリアリティ)

 当社経営の生命線は「新規性の追求」にあると考えており、顧客や関係する機関とこれまでに築き上げてきた信頼関係のもと、継続的に研究開発を行い、次の事業の種を撒いております。

 事業ポートフォリオにつきましては、当社グループは今後、人々の健康で安心した生活を支えるEssentialな領域(※)に注力してまいります。

 Semiconductor事業とLife Science事業は事業自体がEssentialな領域であり、マーケット自体も成長領域です。Digital Communication事業とEnergy Saving Solution事業は、捻出した利益をEssential領域に振り向けるとともに、Essentialな領域へと業態転換を進めてまいります。事業ポートフォリオをシフトすることで変動の大きな事業運営ではなく「持続可能な成長」を目指してまいります。

(※)Essential領域:人と地球のQOL (クオリティ・オブ・ライフ)を高める領域

 

上記の考え方のもと、当社グループは「人と地球のQOLを高めるEssential領域への貢献」を最重要課題としました。課題を解決するために下記取り組みを進めてまいります。

 

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(2)ガバナンス

 当社グループは、気候変動に対応する重要課題(リスクと機会)を認識し、長期計画を策定・実行することにより持続可能な成長を実現いたします。

 サステナビリティ委員会は代表取締役社長を議長とし、議長の指名する取締役(独立社外取締役を含む)、執行

役員によって構成されます。サステナビリティ委員会では、気候変動対応を含む重要課題(リスクと機会)に関する長期計画の策定、KGI/KPIの進捗管理などを行っています。

 サステナビリティ委員会で審議された気候変動対応活動を取締役会に報告し、取締役会による審議を行う仕組みとしています。

 

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(3)戦略

「気候変動関連のリスクと事業機会」

 当社グループは、気候変動を含む将来の社会課題に関する事業機会とリスクを特定しました。事業機会としては、気候変動を含む社会課題の解決に貢献するソリューションを人々が生活する上で必須となる領域(Essential領域)において提供することで、事業規模の拡大、収益力の強化を進めます。

 気候変動に関して、特にインパクトが大きいリスク(移行リスク)として、「原材料価格・電力価格上昇による事業コストの増加」や「プラスチック廃棄物処理コストの増加」、「内燃機関関連製品需要の減少」を想定しています。

 また、物理リスクとしては「大規模自然災害」を想定しており、被害の最小化と事業継続性の確保を進めます。

 

区分

マテリアリティ

リスク

事業機会

時間軸

移行リスク

気候変動に伴う原材料価格・電力価格の上昇

原材料価格・電力価格上昇による事業コストの増加

生分解性樹脂材料の開発とリサイクル材の積極的な活用

中期

プラスチック規制の強化

プラスチック廃棄物処理コストの増加

樹脂材料使用を減少させる設計や金型の開発を促進

長期

モビリティの電動化

内燃機関関連製品需要の減少

電動モビリティ用製品需要の拡大

長期

物理リスク

大規模自然災害

気象災害、特に洪水などによる自社工場被害やサプライチェーンの分断による工場操業停止

水・食料供給関連事業の拡大(殺菌、検査、点滴潅水)

長期

 

「人的資本」

 当社グループは組織力こそが競争力の源泉であると考えており、組織力にとって重要な企業文化づくりのため、2023年4月1日に企業理念を改定しました。

 当社グループの使命、経営姿勢を支える全ての基本は信頼であると考えており、様々なステークホルダーの皆様の信頼を大切にしております。

 

「多様な人財の活躍」

 当社グループは、ダイバーシティに関する行動指針において「国籍、人種、民族、宗教、信条、性別、年齢、言語、身体上のハンディキャップ、社会的身分、学歴などによる嫌がらせ・差別は行ってはならない」こと、「相互に考え方、解釈、判断が異なることのあることを十分に認識し、当社グループが事業を営んでいる国又は企業で働く人との誠実なコミュニケーションを通じて相互理解を深め、行動しなくてはならない」ことを定めるとともに、多様な働き方を促進する制度を設けています。

(4)リスク管理

 当社は、グループ全体のリスク管理について定める「総合リスク管理規定」を制定し、経営直轄型のリスク管理体制構築を目的とした総合リスク管理委員会を設置しております。総合リスク管理委員会は想定されるグループ全体のリスクに関し事前に察知し、未然に防ぐ施策及びリスク発生時に影響を最小限に留めるための施策を行うこととしております。その中でも気候変動リスクは、今後中長期的にさらに広がることが予想されるリスクとして認識しており、事業戦略への影響や適切な管理方法の検討を図ってまいります。

 

(5)指標及び目標

 当社グループの最重要課題(マテリアリティ)である「人と地球のQOLを高めるEssential領域への貢献」を測る指標として、以下の項目を目標に掲げ、毎年進捗を評価してまいります。

新製品比率(3年以内に量産開始した製品)   50%以上 (2030年度目標)

GHG排出量削減(Scope1~2) 2023年度比  40%削減(2032年度目標)

GHG排出量削減(Scope3)   2023年度比  25%削減(2032年度目標)

樹脂材料廃棄率  ※                      3%  (2030年度目標)

 

※ 樹脂材料廃棄率=廃棄量/投入量

 

「社内の多様性の確保」

 当社グループは中長期的な企業価値の向上に向けて多様性の確保が重要であると考えております。当社グループのコアコンピテンシーと社会課題を紐付けた「エンプラスの目指す姿」を策定しており、それに合わせた人材ポートフォリオの策定を進めております。また、優秀な人材については、性別、国籍、障害の有無等の属性に関係なく、積極的に登用しており、全ての社員に平等な評価及び登用の機会を設けています。

(1)女性

 部門横断プロジェクト活動をはじめ、在宅勤務や時差勤務など、育児をしながら活躍できる環境づくりに向けて、風土と制度の両輪で取り組みを進めてまいりました。将来の女性管理職を増やすために候補者層を増やす取り組みが必要であると考えており、女性管理職比率を2030年度までに15%にする事を目標として掲げております。

(2)外国人

 当社グループは世界市場のニーズに応える高付加価値製品とサービスを提供することで、現在では海外売上高比率82%、世界14の国と地域で事業を行っております。海外拠点における管理職に占める外国人比率を75%にする事を目標として掲げております。

(3)中途採用

 当社グループの管理職は、性別や国籍、中途採用、新卒採用の区別なく、能力や適性を総合的に勘案して登用しております。管理職として登用する上で、中途採用、新卒採用の区別によって特段の差が生じているとは認識しておりません。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、主に以下のようなものがあります。なお、記載のリスク事項は、当該有価証券報告書提出日の2025年6月26日現在において判断したものであります。

 当社グループを取り巻くリスクや不確実性に関して、当社グループでは取締役会、経営戦略会議、総合リスク管理委員会において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会とすることや、低減するための対応を検討しております。

 

(1)市場での価格競争激化と在庫調整によるリスク

 当社グループが属する電子部品業界は、液晶テレビ、半導体、事務機器など技術革新の一層のスピード化により、既存製品から新製品への切り替えサイクルの早期化、競合他社との価格競争の激化、市場での急激な在庫調整の影響を受けやすい環境にあります。

 当社グループでは、市場変化の影響を受けにくい、価格競争力のある、特許に裏打ちされた占有技術による新規開発製品の上市、新製品比率の増加、高付加価値技術の製品化など研究・開発体制の強化に向けて、経営資源を積極的に投入いたしますが、予想以上の価格競争激化による製品価格の低下や急激な在庫調整が発生した場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動リスク

 当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、約82%と海外売上高の割合が高いため、為替レートの変動は当社グループの外貨建取引から発生する収益・費用及び資産・負債の円換算額を変動させ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため当社グループでは、外貨建債権回収に係る為替変動リスクを最小化する目的で、為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はなく、米ドル通貨に対して円高が急激に進展した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)棚卸資産のリスク

 当社グループ保有の製品・仕掛品の、棚卸資産の評価方法は、「第5(経理の状況) 1(連結財務諸表等) (1)(連結財務諸表) (注記事項)(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」の項に記載のとおり、当社及び国内連結子会社は総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用、在外連結子会社は主として総平均法による低価法を採用しております。金型については、個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。また、原材料については、当社及び国内連結子会社は移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用、在外連結子会社は主として移動平均法による低価法を採用しております。当該棚卸資産について今後、製品のライフサイクルの短縮による非流動化や陳腐化、価格競争の激化により市場価値が大幅に下落した場合は、当該棚卸資産を評価減又は廃棄処理することが予想され、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)知的財産権に関するリスク

 当社グループでは、事業の優位性を確保するため、他社と差別化できる技術とノウハウの蓄積に取り組んでおります。当社が開発する製品及び技術については当社が保有する知的財産権による保護に努めているほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう細心の注意を払い、社内のリスク管理を徹底しております。

 しかしながら、当社グループが認識していない第三者の所有する知的財産権を侵害した場合、又は当社グループが知的財産権を有する技術に対し第三者から当該権利を侵害された場合は、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)カントリーリスク

 当社グループの事業は北米、ヨーロッパ、アジア等グローバルに展開しております。したがって、各国における政治・経済状況の変化、法律・税制の改正等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)災害・感染症等によるリスク

 当社グループは、地震・風水害などの自然災害、火災などの事故災害等、予期しない事象を想定して、生産能力への影響度合いを最小限に止めるべく、「総合リスク管理委員会」を設置し、リスク管理体制の強化に努めております。しかしながら保有する重要な生産設備に災害等が生じた場合は、これを完全に防止又は軽減できる保証はなく、これらの災害等が発生した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、治療方法が確立されていない感染症が流行した場合、従業員の安全を確保するために事業活動を停止する可能性があります。加えて、各国政府や地方自治体の要請等により工場の操業を一時的に停止することや、サプライチェーンの分断により資材の調達や製品の出荷に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、中国経済の停滞継続や米国の通商政策等により先行き不透明な状況が続いております。

 米国においては、通商政策による先行き不透明感の高まりを受け個人消費は減少しております。

 中国においては、不動産不況や対中直接投資の大幅な減少、米国の通商政策による輸出の減少による景気減速が継続しております。

 わが国経済は、雇用・所得環境の改善、企業の堅調な設備投資などを背景に緩やかな回復の動きが見られる一方、先行きは各国の通商政策等の今後の展開を巡り不確実性が高まっております。

 

 このような状況の中、当社グループが関連する市場においては、世界経済の減速や半導体需要の調整の長期化など、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

 当社グループは持続的な成長の実現のために、成長市場であり人と地球のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高める領域をEssential領域と定め、この領域への事業ポートフォリオの転換を進めてまいります。また当社グループの独創的アイデアと総合技術により、最終顧客まで見据えた課題解決を実現し、多様化する顧客ニーズに対して新たな価値を提供してまいります。さらに不連続な変化が続く時代において、持続的な成長を実現するために当社グループの重要な経営基盤である人材への投資を積極的に進めてまいります。

 

 この結果、当連結会計年度の売上高は38,069百万円(前期比0.7%増)となり、営業利益は5,287百万円(前期比13.8%増)、経常利益は5,446百万円(前期比3.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,943百万円(前期比14.5%増)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

 なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」に記載のとおり、当連結会計年度より、事業セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。以下の前年同期比較については、変更後の算定方法により組み替えた数値で比較分析しております。

 

「Semiconductor事業」

 各種ICテスト用ソケット、バーンインソケットは、サーバー用途および自動車用途で市場の落ち込みが継続し、売上高は低調に推移しました。当第4四半期連結会計期間においてはAI用サーバー向けソケットの売上高は好調に推移しました。半導体需要の調整は、当初想定より長引いているものの、特に当社が注力しているサーバーや自動車用途の需要は中期的には増加傾向が続くと予想され、さらに競争力を高めるためのソリューション開発を積極的に進めております。また将来の成長に向けたテスト用ソケットの技術開発にも注力してまいります。

 この結果、当連結会計年度の売上高は16,123百万円(前期比3.3%減)、セグメント営業利益は1,529百万円(前期比4.6%増)となりました。

 

「Life Science事業」

 遺伝子検査用製品は、一部既存顧客からの受注の増加および新規量産品の立ち上げにより売上高は好調に推移し、またコスト構造の見直しにより収益性は改善しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は3,054百万円(前期比29.0%増)、セグメント営業利益は453百万円(前期は553百万円のセグメント営業損失)となりました。

 

「Digital Communication事業」

 光通信関連の光学デバイスは、AI用途等のハイエンド領域において顧客の次世代製品への移行を踏まえた在庫調整等の継続により、売上高は低調に推移しました。今後の通信の高速化と市場拡大に向けた次世代製品の開発を進めております。LED用拡散レンズは、液晶テレビ市場の需要減少が継続し、売上高は低調に推移しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は4,893百万円(前期比13.2%減)、セグメント営業利益は2,484百万円(前期比17.9%減)となりました。

 

「Energy Saving Solution事業」

 自動車用部品は、自動車市場が低調に推移したものの、当社が注力する自動車の電装化に対応した低騒音・高効率ギヤソリューションビジネスによる非日系顧客の新規獲得などにより売上高は堅調に推移しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は13,998百万円(前期比6.7%増)、セグメント営業利益は820百万円(前期比15.1%増)となりました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

Semiconductor事業(百万円)

15,851

96.3

Life Science事業(百万円)

3,857

160.4

Digital Communication事業(百万円)

4,278

71.0

Energy Saving Solution事業(百万円)

14,117

108.8

合計(百万円)

38,105

100.6

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

② 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

Semiconductor事業

16,775

113.6

1,883

153.0

Life Science事業

5,031

223.5

2,146

1,271.0

Digital Communication事業

4,541

81.9

122

25.8

Energy Saving Solution事業

13,800

104.5

525

72.6

合計

40,148

112.2

4,677

180.0

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 Life Science事業につきましては、一部量産品の生産終了に伴い一括受注をしている為増加しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

Semiconductor事業(百万円)

16,123

96.7

Life Science事業(百万円)

3,054

129.0

Digital Communication事業(百万円)

4,893

86.8

Energy Saving Solution事業(百万円)

13,998

106.7

合計(百万円)

38,069

100.7

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3)財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は62,775百万円となり、前連結会計年度末比2,746百万円の増加となりました。

 流動資産につきましては1,731百万円減少いたしました。主な変動要因は製品で147百万円増加したものの、受取手形及び売掛金で905百万円、現金及び預金で738百万円、未収消費税等で150百万円減少したことによるものです。

 固定資産につきましては4,478百万円増加いたしました。主な変動要因は有形固定資産で3,879百万円、無形固定資産で483百万円増加したことによるものです。

 負債は6,559百万円となり、前連結会計年度末比801百万円の減少となりました。

 流動負債につきましては510百万円減少いたしました。主な変動要因は未払法人税等で385百万円、未払金で125百万円減少したことによるものです。

 固定負債につきましては291百万円減少いたしました。主な変動要因はリース債務で289百万円減少したことによるものです。

 純資産は56,216百万円となり、前連結会計年度末比3,548百万円の増加となりました。主な変動要因は為替換算調整勘定で139百万円減少したものの、利益剰余金で3,413百万円増加したことによるものです。

 その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は88.0%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は24,035百万円となり、前連結会計年度末に比べて、660百万円減少しました。キャッシュ・フローの状況及びその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益5,252百万円(前期は5,023百万円)、減価償却費2,417百万円(前期は2,385百万円)、法人税等の支払額1,519百万円(前期は2,140百万円)が発生した結果、営業活動による収入は7,129百万円(前期は8,231百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、有形固定資産の取得6,650百万円(前期は3,927百万円)、無形固定資産の取得293百万円(前期は87百万円)、定期預金の払戻による収入142百万円(前期は13百万円)を行った結果、投資活動による支出は6,887百万円(前期は4,089百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、配当金の支払額528百万円(前期は529百万円)、リース債務の返済257百万円(前期は324百万円)を行った結果、財務活動による支出は828百万円(前期は965百万円の支出)となりました。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安全性及び流動性を確保する効率的な資金管理を行うことを基本方針としております。また、将来の事業展開を勘案し、長期的展望に立って生産設備の増強、研究開発投資及び情報化投資などを行っていく予定で、継続的な利益の積み上げによる自己資金がその財源となります。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、創業以来エンジニアリングプラスチックの超精密加工をコア技術として、高精度・高機能プラスチック精密機構部品・製品を供給しております。精密成形技術を応用した電子・自動車関連機器への製品、微細接触技術を応用した半導体ICソケット、光学設計技術、光束制御技術を応用したオプトデバイス、液晶関連製品、及び、マイクロ流路技術をベースとしたライフサイエンス製品への展開を進めております。

 当連結会計年度は、Semiconductor事業分野では、高密度化に加えて、高周波に対応したICソケット開発を実施いたしました。Life Science事業分野では、生体分子、細胞などの解析に用いられるマイクロ流路デバイスの機能・性能向上のため要素技術開発を進めております。Digital Communication事業分野では、光通信分野の光デバイス開発、LED液晶TV向けに特化した材料や光学レンズ開発などを進めております。Energy Saving Solution事業分野では、自動車関連、OA機器、家電向けに製品機能の向上を目的として、CAEを駆使し事前課題の検証を行うことによりギヤや機能部品の更なる高精度化、高強度化、高機能化に取り組みました。

 当連結会計年度に、研究開発費として1,502百万円を支出しましたが、その主な活動は以下のとおりであります。

 

(1)Semiconductor事業

 モバイル、AI、サーバー用の半導体はデバイスの高集積化が加速しており、将来に向けた多ピン、超微細ピッチ対応ソケットの開発を進めております。また、半導体デバイスの多様化により、使われる環境や試験方法に合わせたソケットが要求され、多品種少量に適した生産技術開発も行っております。

 自動運転向けのセンサーやプロセッサーなどの高信頼性を要求される車載半導体向けのソケットにおいては、今後さらに加速していく電動化、電子化の流れに対応した高寿命、大電流、高耐熱技術や半導体デバイスの高速化に向けた高周波対応ソケットのソリューション開発を進めております。

 

(2)Life Science事業

 バイオ関連においては、DNA、たんぱく質、細胞などの検査・分析システム、及び周辺部品の開発を進め、市場においてソリューション活動を推進しております。

 また、アメリカを中心に、大手バイオテクノロジー企業やベンチャー企業数社と、新規検査・分析システムの消耗品として使われる高機能デバイスなどの共同開発を進めております。

 

(3)Digital Communication事業

 光通信分野においては、大規模データセンターの通信を支える光トランシーバー向け光学製品開発を行っており、特にAI用途等のハイエンド領域におけるレンズ開発に注力しております。

また、データセンターの更なる高速化や、次世代移動通信システムに向けて、光トランシーバー向け以外の高機能製品や光電融合領域の製品開発も行っております。

 LED関連では、当社独自の光束制御技術を駆使して次世代液晶テレビの性能向上やコントラスト増大といった、新たなバックライトソリューション開発を行っております。

 また、本光束制御技術を応用した新しいアプリケーション提案に向けて、デバイス開発も進めております。

 

(4)Energy Saving Solution事業

 独創的なオリジナルギヤ開発を行い、高精度・高強度・静音の3つの要素技術開発を継続的に行っております。これら要素技術を基盤として、ギヤトレインの設計及び開発を行い、自動車関連、OA機器分野・家電分野の市場要求に適合する開発を進めております。

 

 エンプラスの総合技術を駆使して、あらゆる産業分野に向け、独創的アイデアにより、市場に新しい価値を生み出して参ります。