第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

Ⅰ 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念は、社名の「リンテック」すなわち"リンケージ(結合)"と"テクノロジー"、および社是「至誠と創造」に裏付けされる人の和、技術開発力を基軸とし、国内・海外の業界において、誰からも信頼される力強い躍動感あふれる会社として社会に貢献し、株主各位・顧客・社員家族の期待に応える斬新な経営を推進するというものであります。

当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術という四つの固有技術を基盤とし、さらにそれらを高次元で融合させることによって、より差別化された独自性の高い製品創りを進めてまいります。また、高い倫理観の下、CSRの精神を徹底し、社会から信頼される会社たるべく邁進してまいります。

 

Ⅱ 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題

 地球温暖化や世界的な人口の増加、日本における少子高齢化・人口減少、市場縮小による競争激化など、経営および事業環境は一層先行き不確実な時代へと進んでいくことが予想されます。

 当社グループが持続的な成長を遂げていくためには、2030年のあるべき姿を明確なビジョンとして掲げ、その実現に向けてグループ全社員が一丸となって邁進することが重要であります。

 2030年3月期を最終年度とする長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)を掲げるとともに、その実現に向けた3年ごとの中期経営計画をマイルストーンと位置づけ、2021年4月から2024年3月までの3か年を対象とする中期経営計画「LSV 2030 - Stage 1」を推進しております。

 当社グループは、これまで培ってきた独自の技術力を生かしつつ、イノベーションによる揺るぎのない企業体質の強靭化と新たな製品や事業領域を創出・拡大していくことで、持続的な成長を目指してまいります。 

 さらに、脱炭素・循環型社会の実現への貢献、人権の尊重、コーポレートガバナンスの強化などさまざまな社会的課題の解決に向けた取り組みを着実に実行し、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献し続けていくことを基本的な考え方とし、各重点テーマに対して積極的に取り組んでまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

≪長期ビジョンの概要≫

Ⅰ.

名  称

 

「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)

Ⅱ.

基本方針

 

イノベーションによる企業体質の強靭化と持続的成長に向けた新製品・新事業の創出を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献する

Ⅲ.

重点テーマ

 

1.社会的課題の解決

(1) 環境 … 脱炭素社会・循環型社会の実現への貢献 など

(2) 社会 … 人権の尊重、ステークホルダーへの情報開示とコミュニケーション強化 など

(3) ガバナンス … コーポレートガバナンスの強化、取締役会の実効性のさらなる向上 など

(4) 事業活動を通じたSDGs達成への貢献

2.イノベーションによる企業体質の強靭化

(1) DXによる設計・開発・製造・物流・業務プロセスの変革

(2) ビルド&スクラップによる省エネ、高品質、高効率、省人化を目的とした新規生産設備の導入

(3) 生産プロセス革新によるコスト競争力の強化

(4) 低成長・不採算事業の構造改革とグループ会社の経営健全化

(5) 強固な財務基盤の維持と資本効率の向上

3.持続的成長に向けた新製品・新事業の創出

(1) 技術革新による新製品・新事業の創出

(2) 戦略的投資の拡大と機動的M&A

(3) さらなるグローバルプレーヤーへの飛躍

(4) ローカリゼーションの確立

Ⅳ.

2030年3月期 財務指標

 

売上高営業利益率

12%以上

ROE(自己資本当期純利益率)

10%以上

 

 

≪中期経営計画の概要≫

Ⅰ.

名称/期間

 

「LSV 2030 - Stage 1」/2021年4月~2024年3月

Ⅱ.

各事業セグメントの主な取り組み

 

■印刷材・産業工材関連

米国やアジア地域など海外での生産拠点拡充と営業力強化

MACTACグループとのシナジー発現

国内外でのウインドーフィルムの拡販と高機能製品の拡充・展開

ラベリング技術をコアにした自動化システムの拡販 など

(印刷・情報材事業部門)

当事業部門においては、今後も国内と同様に海外での拡販が持続的成長に向けた重要なテーマとなります。景気の減速により現在の欧米市場は厳しい環境にありますが、一層のコスト削減によって競争力の強化に努めていきます。また、マックタックグループとのシナジー発現については、リンテック品の米国での販売増や、国内でのマックタック製ホットメルト粘着素材の伸長といった成果が出てきています。また、今年上市したリンテック製ホットメルト新製品の拡販も図っていきます。さらに高まる環境ニーズにより幅広く対応すべく、環境配慮製品の拡充や剥離紙・剥離フィルムのリサイクルシステムの構築を目指していきます。

(産業工材事業部門)

原燃料価格が高止まりする中、品種統合や価格改定による収益性の改善を図っていくことが不可欠です。2023年4月には子会社のリンテックサインシステムとプリンテックを統合し、販売と加工のシナジー効果の創出に着手しました。今後も通販需要の拡大が見込まれる産業システム関連では労働力不足による自動化ニ―ズを確実に取り込みつつ、新製品の電動ラベリングマシン拡販にも注力していきます。また、自動車用ウインドーフィルムについては、新たな試みとしてSNSを使ったプロモーションを実施し、ユーザーへフィルム装着のメリットを訴求、認知拡大による装着率の向上を図っていきます。環境対応も重要なテーマであり、無溶剤化やバイオマス原料、リサイクル原料の採用拡大を推進していきます。

 

■電子・光学関連

積極的な投資による半導体・電子部品関連製品のシェア拡大

次世代デバイス製造プロセス用薄膜・高密度・多積層製品の開発

次世代ディスプレイ用粘着剤の開発

OCA(Optical Clear Adhesive)新製品の開発・拡販 など

(アドバンストマテリアルズ事業部門)

今後の見通しとしては第3四半期以降に市場が回復すると見ており、2024年以降の再拡大を見据えて準備を進めています。設備投資面では、積層セラミックコンデンサ関連テープの生産設備を2024年3月期中に1機、2025年3月期末までにさらに2機増設するほか、半導体関連粘着テープの新生産設備も2024年初頭に完成する予定です。生産体制の強化と同時に、グローバルに展開している各拠点での業務のスマート化や変化するサプライチェーンへの対応にも注力していきます。また、微細な電子回路の形成に不可欠なEUV露光装置用ペリクルといった新製品の早期上市も目指していきます。

(オプティカル材事業部門)

中国メーカーの台頭により競争が激化している偏光フィルム事業については、引き続き協業メーカーとの連携を強化してハイエンド向けを伸ばしていくとともに、粘着剤や剥離フィルムの品種統合によるコストダウンや最適な生産体制の構築に努めていきます。また、光学用厚手粘着シートについては中国市場での拡販を図るとともに、無溶剤タイプやUVカット、耐腐食、着色、拡散など機能性の高い新製品を市場展開していきます。そのほか、反射型液晶向けの光拡散フィルム、次世代太陽電池向けのハイバリアフィルムなどの開発にも注力していきます。

 

 

■洋紙・加工材関連

脱プラ・フードロス対応新製品の開発・拡販

新製品の開発と市場展開

剥離紙の無溶剤化と脱ポリ化の推進

エナメル調および車両向け合成皮革用工程紙の技術開発・拡販 など

(洋紙事業部門)

当事業部門にとって利益率の改善が喫緊の課題となります。お客様のご理解を頂きながら製品の価格改定を進めていくとともに、現在の生産量に合わせた適正な生産体制への見直し、規格改廃による在庫の削減などに努めていきます。また、ペーパーレス化が進んでいく中で成長していくためには、環境配慮製品の拡充が鍵となります。コンビニ弁当の容器として使用できる厚物の耐油耐水紙やクリアファイルの代替素材となる半透明紙、そのほかプラスチックに代わる各種包材としてニーズがある高機能紙、生分解性ヒートシール紙などの開発・拡販に注力していきます。

(加工材事業部門)

2024年3月期についてはまず利益率の改善が急務であり、さらなるコスト削減や価格改定に努めていきます。中長期的には環境対応を最重要テーマとして、剥離紙の製造時に有機溶剤を使用しない「無溶剤化」と剥離紙にポリエチレン樹脂を塗工しない「脱ポリ化」を推進していきます。また、合成皮革用工程紙の拡販に向けて、車両用レザーメーカー各社への販促強化に加え、イタリアのミラノに拠点を開設し、欧州での販売体制確立を目指します。そのほか新製品開発として、撥水性を付与した工程紙や成膜用途の剥離材の開発にも引き続き取り組んでいきます。

 

 

◆当社のESGおよびSDGsに関する取り組みについて◆

 当社は長期ビジョン「LSV 2030」で掲げた重点テーマ「社会的課題の解決」において、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびSDGsに関する取り組み課題として、次の項目を設定しております。

 


 

 当社グループ全社員による取り組みを一層加速し、国際社会の課題解決に貢献することのできる企業グループを目指してまいります。また、マテリアリティ(重点課題)については毎年見直しを行っており、「サステナビリティレポート」および「統合報告書」並びに当社ウェブサイトにて開示しております。

 当社はこれからも、社是「至誠と創造」の下、各項目に対して積極的に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社では人的資本や気候変動などのサステナビリティ経営課題について、当社ウェブサイトを通じ積極的な開示を進めてまいります。その概要は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) ガバナンス

サステナビリティに関する具体的な取り組み施策については、「サステナビリティ委員会」(原則年4回開催)において、対応方針や実行計画についての議論と進捗状況の監督を行っています。同委員会は代表取締役社長が委員長を務め、全取締役および下部委員会の推進担当役員が参加しており、討議結果は取締役会において報告される体制としています。当事業年度における同委員会の活動状況は次のとおりです。

 構  成

取締役(社外取締役全員を含む)および傘下の委員会・分科会の担当役員 計15名  

委員長:代表取締役社長

 開催回数

4回

 出 席 率

100%(委員全員)

 主な議題

・ 傘下の各委員会・各分科会における活動報告(四半期毎)
・ マテリアリティに関する議論
・ TCFDへの対応に関する議論
・ 海外グループ会社のガバナンス強化に関する議論
・ DXに関する議論
・ CO2排出に関する議論  ほか

 

①人的資本

人的資本関連課題は「ダイバーシティ・働き方改革促進分科会」を通じて社内外のニーズの吸い上げを行い、人事部と協働して施策や制度の浸透と啓蒙を行います。この活動については「社会・ガバナンス委員会」で一次評価を実施し、「サステナビリティ委員会」において最終的な評価を行うとともに、全取締役および全推進担当役員に報告されています。

②気候変動

気候変動関連課題は「TCFD分科会」を通じて「環境委員会」で一次評価を実施し、「サステナビリティ委員会」において最終的な評価を行います。課題への対応策は各拠点で実行・管理され、対応状況は「環境委員会」にて取りまとめ、「サステナビリティ委員会」において全取締役および全推進担当役員に報告されています。

(2) 戦略

サステナビリティに関するさまざまなリスク・機会を事業戦略策定上の重要事項の一つとして捉えており、それぞれの対応策を長期ビジョン「LSV 2030」の取り組みに反映させています。さらに社会トレンド・ニーズに対する感度を高め、必要な諸施策をタイムリーに検討し、実行しております。

①人的資本

当社の社是は「至誠と創造」であり、すべての社員に対して誠意をもって、あらゆる差別的取り扱いをせず一人ひとりの多様性を尊重します。また、社員の多様性はイノベーションの源泉であり企業価値向上に資するものと考えており、さまざまな立場の方の採用・登用を積極的に進め、多様性の確保、拡大を目指してまいります。

このため、定期採用のほか必要都度キャリア採用、高度専門人財採用を積極的に行っているほか、家庭の事情で退職した元社員を再雇用するジョブリターン制度や、他社で経験を積んだ元社員を再雇用するキャリアリターン制度、異業種経験を当社業務に活かしてもらうための兼業副業制度なども導入し、多様性の確保に努めております。

 

また、社員の育成については、当社は社員の業務や能力に合わせた教育プログラムを用意し、グローバル社会にも通用する人財の育成に努めています。直近ではサクセッションプラン(組織ごとの後任者および育成の計画化)導入の試みを始めており、会社の屋台骨となる人財の育成・確保にも注力してまいります。

このほか、当社では社内環境整備にも力点を置いており、出産・育児・介護などのライフイベントがあっても働き続けやすい制度作りなどの取り組みを続けております。

*詳細は、下記にて開示しております。

https://www.lintec.co.jp/sustainability/social/employee/training/ ※従業員とともに(人材育成)

https://www.lintec.co.jp/sustainability/social/employee/ ※従業員とともに(人権・雇用)

②気候変動

 2030年までの国内事業を対象としたシナリオ分析を実施し、気候変動に関連するリスク・機会を特定しました。また、これらを長期ビジョン「LSV 2030」の取り組みに反映させるとともに、今後は海外事業も含め、より長期的視点での分析を進めていきます。

*詳細は、下記にて開示しております。

 https://www.lintec.co.jp/sustainability/tcfd/

 

 

4℃シナリオ

2℃シナリオ

 

移行

リスク

国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ

「公表政策シナリオ

(STEPS)」*1

「持続可能な開発シナリオ(SDS)」*1

 

物理的

リスク

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による

気候変動予測シナリオ

「RCP8.5」*2

「RCP2.6」*2

 

*1出典:IEA「World Energy Outlook 2021」

*2出典:IPCC「第5次評価報告書」

 

(3) リスク管理

リスク管理体制強化のため、各本部長と社長直轄組織である各室の室長で構成される「全社リスク管理委員会」を2018年4月に設置し、定期的に委員会を開催しています。

2021年4月にサステナビリティ活動の推進体制が刷新・強化され、同委員会の目的を「事業におけるリスクと機会の把握、対応方針策定、職制への落とし込みおよび検証」として、改めて明確にしました。同委員会では、主に各委員の課題認識と管理職などを対象に毎年実施しているリスク洗い出しの結果に基づいて、サステナビリティ関連項目を含むさまざまなリスクの評価・分析を行っています。その結果は四半期ごとに「サステナビリティ委員会」で報告され、対応などについての指示を受けています。

各委員会が連携してリスク管理能力の強化に努めるとともに、リスク管理体制の継続的な改善に取り組みリンテックグループの持続的成長を図っております。

①人的資本

社員教育や採用活動、福利厚生などの人事に関する諸課題は人事部が所管し、社会トレンド・ニーズの変化も見据えつつ、経営と一体となり対応方針を検討していきます。また、「ダイバーシティ・働き方改革促進分科会」とも協働し、委員会を通じ社内外のニーズの吸い上げや、施策や制度の浸透と啓蒙を行います。

なお、2023年から従業員サーベイを導入しました。これにより組織の状態把握に努めるとともに、社員と会社の考え方の一致状況や、会社が社員の期待に応えられているかをチェックし、離職や組織力低下などのリスクに対する管理能力を高めてまいります。

②気候変動

気候関連リスクに係る情報は「環境委員会」が収集して識別・評価を行い、その結果を「サステナビリティ委員会」に報告しています。同委員会では対応の必要性を検討後、適宜、下部委員会を通じて推進担当役員に業務指示を行っており、指示を受けた推進担当役員はそれぞれの所管部署を通じて対応策を実行します。「環境委員会」はその後の状況の変化を継続的に確認し、当初掲げた指標・目標が達成できているかどうか定期的に把握しています。

(4) 指標及び目標

サステナビリティのリスク・機会として重要な項目については、指標および目標を設定し、関係部署においてさまざまな施策を推進しています。

①人的資本

当社では人的資本経営に関連するKPIとして「女性管理・監督職比率」「女性採用比率」「障がい者雇用率」「中途採用者の管理・監督職への登用比率」「女性従業員比率」「海外グループ会社における外国人の社長、経営幹部の人数」「男性の育児休業取得率」「階層別研修参加者数」「テーマ別研修参加者数」等を設定しており、これらの推移を確認しながら人財の多様性確保および人財育成ならびに社内環境整備に努めてまいります。

 

*マテリアリティ・KPIおよび実績(2022年3月期)は、下記にて開示しております。

https://www.lintec.co.jp/sustainability/materiality/ ※マテリアリティ・KPIのリンク

https://www.lintec.co.jp/sustainability/social/employee/training/ ※従業員とともに(人材育成)

https://www.lintec.co.jp/sustainability/social/employee/ ※従業員とともに(人権・雇用)

②気候変動

気候変動への対応として温室効果ガス(GHG)排出量の削減が重要であると認識し、研究開発・製造・販売・物流面などにおいてさまざまな施策を推進しています。脱炭素に向けたこれらの取り組みはメーカーとしての使命であると同時に、気候関連の新たな機会獲得につながると考えています。

また、当社グループでは2030年を見据えた長期ビジョン「LSV 2030」において、「CO2排出量を2030年までに2013年度比で50%以上の削減」を目標に設定しています。

*詳細は、下記にて開示しております。

https://www.lintec.co.jp/sustainability/tcfd/

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、グループ全体におけるリスクの把握と発生の防止に努め、チャンス(機会)を捉えて活かす行動を根付かせていくために、全社リスクマネジメントシステムの構築を推進する「全社リスク管理委員会」を設置し、グループ全社でのリスク管理体制構築に向けてシステムづくりから管理・運用までを担い、継続的に改善活動を行っております。

当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がある主要なリスクには、以下のようなものがあると認識しておりますが、これらは想定される主要なリスクを例示したものであり、すべてのリスクを網羅したものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経済情勢、市場環境の変動リスク

当社グループの事業は、あらゆる産業に展開しており、国内外の経済情勢、市場環境の影響を直接及び間接的に受けます。国内においては、少子高齢化の進展や人口減少社会の到来によって市場の縮小が進み、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、新たな需要の開拓を進め、既存事業のシェア拡大と新市場の創出を図っていきたいと考えております。また、電子・光学関連においては、世界のIT産業の動向の影響を受けます。今後のIT産業の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 販売価格の変動リスク

当社グループが事業を展開する市場は、国内外において厳しい競合状態にあり、十分な利益を確保するに足る販売単価の維持や販売シェアの確保ができない場合があります。競合に対する差別化やきめ細かい顧客サービスによるシェアの維持、コスト削減による利益の確保に努めてまいりますが、これらが困難になる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料等価格の変動リスク

当社グループは、製紙用パルプや各種石化製品などを原材料、燃料として多く使用しており、その価格は在庫水準や需給バランスによって変動する市況製品であります。原材料等の購入に際しては、市況動向を見極めた発注に努めてはおりますが、価格の急激な変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 海外事業展開に関するリスク

当社グループは、世界各地で生産・事業展開を進めており、2023年3月期の海外売上高比率は62.1%になっております。生産・事業展開をする各国において、テロ、政変、クーデター等による政情不安や治安の悪化、従業員による労働争議、感染症、予期せぬ税制、外為、通関等に関する法律、規制の変更など不測の事象が発生した場合、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、為替変動リスクも高まっており、米ドルのみならず、韓国ウォンや中国元、台湾ドルなどアジアの主要通貨の動向も注視するとともに、為替予約などを行うことでリスクの軽減を図っておりますが、想定以上の為替相場の変動によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 新製品開発について

当社グループは、総合技術力で市場ニーズに対応し、競争力のある高付加価値製品を市場に投入していくことを目標に研究開発を推進しており、研究スタッフの増員や、産学共同研究等への経営資源投入を強化しております。

 

しかしながら、このような研究開発への経営資源の投入が必ずしも新製品の開発さらには営業収入の増加に結びつくとは限らず、開発期間が長期に亘ったことなどにより、開発を中止せざるを得ないような事象が発生した場合は、製品開発コストを回収できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 知的財産権について

当社グループは、独自に蓄積してきた様々な製造技術について国内外において必要な知的財産権保護手続きを行っておりますが、法的制限だけでは完全な保護は不可能であり、取得した権利を適切に保護できない場合があります。また、当社グループの製品に関して第三者より知的財産権侵害の提訴を受ける場合があります。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 重要な訴訟等について

当社グループが国内外で事業活動を行うにあたり、製造物責任(PL)関連、環境関連、知的所有権関連等に関し、訴訟その他の請求が提起される可能性があり、その内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法規制について

当社グループが事業活動を展開する各国において、各種法規制の適用を受けております。これらの規制の遵守に努めておりますが、規制の強化または変更がなされた場合には、当社グループの事業活動が制限されたり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための活動制限の緩和などにより一部回復は見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景にエネルギーや食料品の価格高騰が見られ、また、欧米を中心にインフレ抑制のための金融政策により景気下振れ懸念が増しました。一方、我が国においては、円安影響による物価上昇が続いていることもあり個人消費に伸びを欠くなど景気回復は極めて緩やかなものとなりました。

このような情勢の下、当社グループの事業環境につきましては、電子・光学関連製品の市況低迷による需要の急激な減少が続いたほか、原燃料価格高騰の影響を大きく受けたことにより非常に厳しい状況が続きました。

この結果、売上高は米国子会社での買収効果や円安影響も加わり前期比10.8%増284,603百万円となりましたが、利益面では徹底したコスト削減やお客様の理解を得ながら価格改定に取り組んだものの、パルプをはじめとする原燃料価格の大幅な上昇や受注減少による生産設備の稼働率低下に伴う操業損失が増加したこともあり、営業利益は前期比36.1%減13,796百万円、経常利益は前期比31.3%減15,602百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比30.8%減11,512百万円となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

〔印刷材・産業工材関連〕

 

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前期比

増減額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

132,421

173,324

40,903

30.9

 

印刷・情報材事業部門

101,276

140,010

38,734

38.2

 

産業工材事業部門

31,145

33,314

2,169

7.0

営業利益

1,373

2,958

1,584

115.4

 

 

 

当セグメントの売上高は173,324百万円前期比30.9%増)、営業利益は諸原材料価格や物流コストが上昇したものの、米国子会社の損益が大幅に改善したこともあり、2,958百万円同115.4%増)となりました。

当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。

(印刷・情報材事業部門)

シール・ラベル用粘着製品は、国内では食品や飲料キャンペーン用などの需要は低調であったものの、各種環境配慮製品の新規採用が進んだほか、物流や医薬関連の需要が堅調に推移しました。海外では米国での買収効果もあり大きく伸長したほか、アセアン地域でも堅調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は140,010百万円(前期比38.2%増)となりました。

(産業工材事業部門)

国内ではウインドーフィルムが堅調に推移したほか、装飾用フィルムの需要が増加しました。海外では米国、アセアン地域においてウインドーフィルムや自動車用粘着製品などが堅調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は33,314百万円(前期比7.0%増)となりました。

 

〔電子・光学関連〕

 

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前期比

増減額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

91,379

78,053

△13,326

△14.6

 

アドバンストマテリアルズ事業部門

67,429

61,455

△5,973

△8.9

 

オプティカル材事業部門

23,950

16,597

△7,353

△30.7

営業利益

19,176

12,463

△6,713

△35.0

 

 

当セグメントは需要減少の影響を受けたことで、売上高は78,053百万円前期比14.6%減)、営業利益は12,463百万円同35.0%減)となりました。

当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。

(アドバンストマテリアルズ事業部門)

半導体関連粘着テープおよび関連装置、積層セラミックコンデンサ関連テープは秋口以降、スマートフォン、パソコン用などの需要減少の影響を大きく受け低調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は61,455百万円(前期比8.9%減)となりました。

(オプティカル材事業部門)

車載用タッチパネル製品が伸長したものの、光学ディスプレイ関連粘着製品は大型テレビやスマートフォン用などの需要減少の影響を大きく受け低調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は16,597百万円(前期比30.7%減)となりました。

 

〔洋紙・加工材関連〕

 

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前期比

増減額

増減率

 

百万円

百万円

百万円

売上高

33,035

33,225

189

0.6

 

洋紙事業部門

15,341

16,134

792

5.2

 

加工材事業部門

17,694

17,090

△603

△3.4

営業利益又は営業損失(△)

971

△1,688

△2,659

 

 

当セグメントの売上高は33,225百万円前期比0.6%増)、利益面においてはパルプを中心とした原燃料価格上昇などの影響を大きく受け、1,688百万円(同%)の営業損失となりました。

当セグメントの事業部門別の売り上げの概況は次のとおりです。

 

(洋紙事業部門)

主力のカラー封筒用紙は前年同期並みとなったほか、ファストフード向けの耐油耐水紙や学童向けの色画用紙が堅調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は16,134百万円(前期比5.2%増)となりました。

(加工材事業部門)

炭素繊維複合材料用工程紙はスポーツ・レジャー用が堅調に推移しましたが、電子材料用剥離紙、光学関連製品用剥離フィルムは秋口以降、需要減少の影響を大きく受け低調に推移しました。この結果、当事業部門の売上高は17,090百万円(前期比3.4%減)となりました。

 

2024年3月期の見通しにつきましては、世界経済は高インフレ抑制のための金融政策、米中対立やウクライナ情勢の長期化、資源コストの上昇などによって景気減速懸念が強まっています。一方、我が国においては新型コロナウイルス感染症による入国制限が解除されることでインバウンド効果が期待されるものの、食料品などの物価上昇による買い控えなどもあり先行き不透明感が増しています。

当社グループにおいても、半導体および電子部品市場の低迷、原燃料価格などの高止まりが継続することによって業績に大きな影響を及ぼすと見ていますが、長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」の基本方針の下、重点テーマに掲げた諸施策に積極的に取り組んでまいります。

このような経営環境の下、2024年3月期の連結業績予想は、売上高は2,900億円(当期比1.9%増)、営業利益は135億円(同2.1%減)、経常利益は135億円(同13.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は95億円(同17.5%減)を予想しております。

 

(2)財政状態の状況

〔資産〕

当連結会計年度末の総資産は、棚卸資産、有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて2,016百万円増加304,881百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「現金及び預金」の減少

△17,383百万円

・「売掛金」の減少

△3,600百万円

・「棚卸資産」の増加

14,541百万円

・「流動資産その他」の減少

△3,672百万円

・「有形固定資産」の増加

11,071百万円

・「のれん」の減少

△1,634百万円

・「繰延税金資産」の減少

△2,248百万円

・「退職給付に係る資産」の増加

3,773百万円

 

 

〔負債〕

当連結会計年度末の負債は、支払手形及び買掛金や未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べて15,376百万円減少77,730百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「支払手形及び買掛金」の減少

△7,329百万円

・「未払法人税等」の減少

△2,920百万円

・「流動負債その他」の減少

△2,097百万円

・「長期借入金」の減少

△1,468百万円

・「退職給付に係る負債」の減少

△3,005百万円

・「固定負債その他」の増加

1,656百万円

 

 

〔純資産〕

当連結会計年度末の純資産は、自己株式の取得による減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益や為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べて17,392百万円増加227,150百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「利益剰余金」の増加

5,083百万円

・「自己株式」の減少

△3,544百万円

・「為替換算調整勘定」の増加

 10,444百万円

・「退職給付に係る調整累計額」の増加

5,193百万円

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は33,857百万円となり、前連結会計年度末に比べて16,746百万円の減少となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して18,706百万円減少5,936百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「税金等調整前当期純利益」の減少

△7,368百万円

・「棚卸資産の増減額」の減少

△3,204百万円

・「仕入債務の増減額」の減少

△6,195百万円

・「法人税等の支払額又は還付額」の減少

△1,042百万円

 

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して7,506百万円増加△12,138百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「定期預金の預入による支出」の増加

1,199百万円

・「有形固定資産の取得による支出」の減少

△4,026百万円

・「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得

  による支出」の増加

6,349百万円

・「事業譲受による支出」の増加

4,347百万円

 

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比較して1,679百万円増加△12,775百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

・「自己株式の取得による支出」の増加

2,983百万円

 

 

また、資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業キャッシュ・フロー内において、主な設備投資や借入金の返済などを実施しており、自己キャッシュ・フローにより流動性は確保できております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

〔のれんの減損及び子会社株式の評価〕

当連結会計年度末ののれん残高は15,013百万円であります。主なものは2016年12月に買収したMACTAC AMERICAS, LLCにおいて13,854百万円の残高を計上しており、同社は、米国におけるTopic350「無形資産-のれん及びその他」を適用し、のれんを10年間の定額法で償却しています。また、年4回(四半期決算期末)減損の兆候の判定をおこなっております。

減損の兆候の判定には、将来の事業計画、米国経済や同社製品の市場の動向、事業戦略の見直しなどを判断材料としており、これらの判断材料が大きく変化した場合、のれんの減損損失を認識する可能性があります。

当連結会計年度における減損の兆候を判定した結果、減損の兆候はなく、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。

また、当事業年度末の子会社株式残高は63,047百万円であり、主なものは当社の米国子会社であるLINTEC USA HOLDING, INC.の48,731百万円であります。LINTEC USA HOLDING, INC.は、上記のMACTAC AMERICAS, LLCの持分を100%所有しており、MACTAC AMERICAS, LLCがのれんの減損損失を認識した場合、子会社株式の評価損を認識する可能性があります。

 

 

〔固定資産の減損〕

当連結会計年度において、洋紙・加工材関連セグメントのうち、洋紙事業で主要な原材料であるパルプ価格上昇の影響を大きく受けたことにより収益性が低下したため減損の兆候があると判断し、洋紙事業の固定資産に係る資産グループ9,519百万円について、減損損失の認識の要否判定を行いました。

判定の結果、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がその帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しておりません。

なお、当該見積りに用いた仮定などは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

〔生産実績〕

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

印刷材・産業工材関連

134,596

35.7

電子・光学関連

53,165

△15.0

洋紙・加工材関連

43,571

8.6

合計

231,333

14.6

 

(注) 1 セグメント間およびセグメント内の取引が多様で、各セグメントの生産高を正確に算出することが困難であるため、概算金額を表示しております。また、セグメント間の内部振替高に伴う生産高を含めております。

 2 金額は、製造原価によっております。

 

〔受注実績〕

製品及び商品の大部分が受注即出荷となりますので、受注状況は販売実績とほぼ同じであります。

 

〔販売実績〕

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

印刷材・産業工材関連

173,324

30.9

電子・光学関連

78,053

△14.6

洋紙・加工材関連

33,225

0.6

合計

284,603

10.8

 

 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術を基盤に、印刷・情報材料、産業工業材料、半導体関連材料、光学機能材料などの多岐にわたる製品を開発・製造・販売し、その研究開発活動の大部分を提出会社である当社が行っております。当期は前期に引き続き、中長期研究開発計画に基づいた新技術や新製品、特に機能性材料とその加工技術の開発に積極的に取り組み、ユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究開発に努めてまいりました。また「カーボン・ニュートラル・チャレンジ」のスローガンの下、CO2排出量の削減に向けた開発活動を強化し、脱プラスチック・減プラスチックを目指してプラスチックフィルム使用量削減や、プラスチック代替素材を用いた製品開発に積極的に取り組んでいます。

さらに、当社グループの海外における研究機関であるNano-Science & Technology Center(米国テキサス州)では、近未来の新製品創出に向けて、カーボンナノチューブ関連や人工筋肉関連の研究とそれぞれの応用開発に取り組んでおります。

当連結会計年度における当社グループ全体での研究開発費の総額は9,069百万円となりました。

なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりです。

(印刷材・産業工材関連)

(1) 印刷・情報材料分野

環境負荷低減に寄与する製品の開発に注力しています。その一環として、各種表示ラベルなどの幅広い用途に向けた汎用強粘着タイプのホットメルト粘着剤を新規に開発しました。一部植物由来の原材料を用いており、バイオマス度25%を実現しています。また近年、容器のリユース・リサイクルを目的として、表面基材と粘着剤にポリエステル系樹脂を使用することで、日用品や食品・飲料などに使用されるPET製容器とのモノマテリアル化(単一素材化)を実現したラベル素材を開発しました。基材の特殊な表面処理によって、ペットボトルの洗浄工程(アルカリ温水洗浄)で印刷されているインクを容易に除去でき、リサイクル性の向上に寄与するラベル素材です。

(2) 産業工業材料分野

さまざまな産業向けや建物用の機能性粘着素材の開発を継続しています。車両用途では高機能化の検討を継続し、各種印字方式に対応するデジタルプリント対応ビジュアルマーキングフィルムを開発しています。ウインドーフィルムにおいては、遮熱性や耐久性などの高機能化と環境負荷の低減を実現する製品の開発を進めています。

その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は3,330百万円となりました。

 

(電子・光学関連)

(1) 半導体・電子部品関連材料分野

スマートフォンなどに用いられるウェハレベルパッケージ半導体向けに、生産性向上などの機能を付与したチップ裏面保護テープを開発しています。また、ダイシングテープ、表面保護テープを中心に環境負荷の少ない樹脂に帯電防止性能を付与した製品を開発し、それぞれ製品群を拡充しました。加えて、薄型ウェハが使用されるインテリジェントセンサーや3D NANDフラッシュメモリーの製造に不可欠な高機能ダイシングテープ、表面保護テープ、ダイシング・ダイボンディングテープなどの開発・上市を継続し、急速に進むDX化やAI、次世代通信の普及・拡大の一翼を担っています。

(2) 光学機能材料分野

各種ディスプレイに用いられる機能性粘着剤と機能性コート剤の開発を継続しています。大型テレビやタブレット、スマートフォン、車載ディスプレイなど向けの粘着剤では、プラスチックパネルに対する耐ブリスター性と耐湿熱白化性を向上させました。さらに着色、光拡散性などの機能を追加した製品も含めて拡販が進んでいます。また、タッチセンサーに使用される金属細線の腐食を抑制し、かつ紫外線の遮蔽性を兼ね備えた粘着剤や、フレキシブルディスプレイに必要な耐折り曲げ性を付与した粘着剤など、新規のディスプレイ製品に対応した素材開発を進めています。加えて、抗菌・抗ウイルス性を付与したガラス飛散防止フィルムなどの開発も行いました。

そのほか光の拡散領域が制御可能な光拡散フィルムについては、顧客ニーズにマッチした特性にカスタマイズすることでさらに優位性を発現し、スマートウォッチなどの超低消費電力の反射型液晶ディスプレイ用に採用が加速しました。そのほか、プロジェクションスクリーンや反射型サイン用としてのデモ試験を活発に継続しています。

その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は4,299百万円となりました。

 

 

(洋紙・加工材関連)

包装容器をはじめとした消費材の環境負荷低減に貢献できる特殊紙の開発に取り組んでいます。具体的にはポリエチレンのラミネートをせずにプラスチック代替用途で使用できる特殊紙や、食の安全性への期待に応える、フッ素を使用しない特殊紙の開発を進めています。

靴やかばんなどに使われる合成皮革の表面に柄を付与するための型紙として工程紙が用いられており、当社ではトレンドに合わせたさまざまな柄の工程紙の開発を継続しています。

スマートフォンや自動車の積層セラミックコンデンサ(MLCC)搭載数は年々増加しており、MLCC製造用剥離フィルム市場の拡大が中長期的に期待されています。MLCCの小型化・高性能化に伴う剥離フィルムの品質改善と高機能化、新規アイテムに対応した剥離フィルムの開発に取り組むとともに、将来の電気自動車や各種電子機器における需要増を見込んだ増産体制の構築を進めています。

また、剥離紙や剥離フィルムに塗布されている剥離処理層は、剥離適性はもとより、時にはナノメートルオーダーという極薄膜であることなどから、これまでは有機溶剤を用いた希釈塗布が主流でした。しかし、環境保全の面からVOC排出量の削減を目指しており、高濃度化・無溶剤化処方の開発に注力しています。

その他の研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は1,439百万円となりました。