第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

経営理念

①人を育てる

②技術を育てる

③クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる

 

当社グループは、『クリーン、ヘルス、セーフティ』を事業領域とし、オリジナリティの高い技術をベースとした製品を供給して社会に貢献することを経営の基本方針としております。

この方針の下、「世の中にない」「真に役立つ」を研究開発の出発点とし、“大きい企業”ではなく、規模の拡大はゆっくりであっても、世界にない、当社にしかできない「オンリーワン」「ナンバーワン」の技術・製品を持つ“強い企業” =「技術立社」になることが私たちの目標です。そして、市場や顧客の“ニーズ”に素早く対応することよりも、顧客が未だ気づいていない“ウォンツ”を他社に先駆けて見いだして製品化を行い、市場そのものを創造することを常に目指します。

その実現の為に、人間の尊厳である“イマジネーション”と“クリエーション”の発揮を社員全員に求め、結果として「他社に追随しない」「徹底して研究する」ことで、新たな技術革新と独創的な製品開発を続けてまいります。

 

(2)会社の経営戦略

①人を育てる

社員の生きがいと企業の存続を両立させてこそ企業としての存在価値があり、また社員の幸福や生きがいは、雇用された社員の尊厳が、企業の活動の中にも存在していることが重要との考えに立ち設計された人事管理制度「興研トータル人事システムHOPES(ホープス)」を20年以上に亘って運用し、人材育成を続けています。

この「HOPES」は、専門能力、業務実績達成能力、管理能力をそれぞれ別の能力と見て、社員一人ひとりを3つの角度(3軸)で独立して評価・運用した多様性を受容する人事システムで、年齢、性別、勤続年数を問わず活躍の場が与えられ、常に意欲のある人材を適所に登用しております。また、専門知識・能力向上を図る社内研修プログラムを確立し、職分に応じて計画的、効果的に能力開発を進めております。

 

②技術を育てる

創業以来、守り続けてきた「他社に追随しない」「徹底的に研究する」という研究開発の理念を技術開発員一人ひとりに徹底・浸透させるため、技術専門能力を評価するマイスター制度や技術開発員と取締役全員が参加する月例研究発表会といった独自の仕組みを継続、運用しています。

技術開発員は、基礎研究所、開発部、ディビジョン、テクノヤードに配属され、それぞれ自由で独創的な技術開発と社会に有用な発展的応用を目指した研究開発に注力しています。

開発テーマごとに、プロジェクトチームを編成して開発に当たる「マトリクス型」の研究開発体制を敷いており、技術開発員は、自由で独創的な技術開発と社会に有用な発展的応用を目指した研究開発に注力しています。

これらの取り組みによって、オンリーワン、ナンバーワン製品が次々と生まれ、知的財産権も多数保有するに至っております。今後も知的財産を質・量ともに向上させ、活用することを最重要課題として取り組んでまいります。

技術開発拠点である「先進技術センター」は、技術開発員が集結して英知を交わし、「技術を育てる」能力の向上に大きく寄与する施設であります。今後は、社外の諸機関・企業との連携や共同研究を推進する拠点としてそのプレゼンスを高めるべく注力してまいります。

 

③クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる

<クリーン>

オープンクリーンテクノロジーという考えに基づく気流制御とナノファイバーフィルタ製造という2つの世界初の新技術から生まれたオープンクリーンシステム「KOACH」は、世界最上級の清浄空間を、周りを囲うことなく短時間かつ低消費電力で形成し、実際の作業時も高い清浄度を保つことができる革新的なクリーンシステムです。当社グループは、この「KOACH」を先進的技術開発を支える必須デバイスとして世界最先端の研究機関・施設から高度な技術力を持つ中小企業に至るまで、広く普及させ技術・生産の飛躍的進化へ貢献してまいります。

 

<ヘルス>

感染対策用マスクの需要の状況に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続するとともに、新規採用された医療機関での感染対策用N95マスク「ハイラック350型」の定着及び医療分野における市場占有率の拡大に努め、安心の「ハイラック」ブランドの確立を目指します。

内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍ⅡG」は、自動ブラッシング機能の搭載と電解水を使用することで、洗浄消毒時間は業界一の速さを誇ります。誰でも簡単に洗浄消毒でき、洗浄消毒スタッフの方々の負担やリスクを大幅に軽減し、検査作業等にゆとりを生み出す画期的製品である同機の拡販、普及に努めます。

 

<セーフティ>

安全で快適な電動ファン付き呼吸用保護具「ブレスリンク」シリーズや医療機関でも採用が急増した使い捨て式防じんマスク「ハイラック」シリーズなど、安心してご使用いただける、使って喜ばれるマスクの開発、普及に努めます。

現在、厚生労働省が推進している規制強化、管理強化に対しては、規制の枠組みの中で最高位の安全性と最大限のアイデア・工夫を詰め込んだ製品開発、大手企業から個人会社まで産業を支える労働者の方々への直接訪問や当社月刊誌CHSニュース、専用サイト等のWebを活用した情報伝達、マスクを効果的に使用していただくための作業教育などを実施し、実需の掘り起こしにつなげてまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、堅実性と成長性をともに重視し、企業収益の安定的拡大を目指しております。

厳しい経済環境下にあっても持続的、安定的に成長していくため、変化に柔軟に対応し、市場における占有率を高め、結果として営業利益の拡大及び営業利益率の向上を図ります。

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題

①マスクの生産体制

感染対策用マスクの需要は、ワクチン接種の進展等に伴い一時縮小傾向にありましたが、変異株の発生により再び拡大するなど、新規感染者数の動向によって縮小と拡大を繰り返す一年でした。

こうした大きく変動するマスクの受注状況に対し、当社グループは、国内(中井テクノヤード・群馬テクノヤード)及びタイの生産子会社(SIAM KOKEN LTD.)において、減産・増産を機動的かつ柔軟に行い、市場の需要変化に対応しています。

 

②営業活動

感染拡大に伴う行動等の制限が長期に及ぶ中、計画的な訪問営業や対面営業が難しいため、Web会議等のシステムを活用した新しい営業活動を全国の営業所で積極的に推進しています。

「KOACH」の販売においては、コロナ禍にあって実機のデモンストレーションによる体験型営業が困難になったことへの苦肉の策として始めたリモート営業(ライブ中継によるオンライン説明会)ですが、「感染リスクが回避できる、移動が伴わない、大人数の参加が可能」などを理由に好評を博し、また決定権者が参加された説明会では、小型から大型への機種変更や決済期間の短縮につながる事例も見られるなど、これまでの対面営業以上の成果もあげつつあります。

営業所員がこの一年間創意工夫して育て上げた当オンライン説明会は、今後も「KOACH」の売上を大いに押し上げてくれると期待しております。

 

③社員の感染対策

全社員は感染対策用N95マスク「ハイラック350型」を常時着用し、また、在宅勤務やテレビ会議を効果的かつ機動的に活用しました。

今後もコロナ禍が収束するまで、社員の感染対策を徹底し、受注から生産、出荷に至る一連のオペレーション体制の維持に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

当社グループは、これらのリスクの発生を十分に認識したうえで、発生の回避、抑制及び発生した場合の早期対応に努めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、本書の提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)研究開発について

当社グループは、研究開発型企業として『クリーン、ヘルス、セーフティ』に係わる革新性の高い製品を市場に供給することを目的に経営資源を投入しておりますが、研究開発の全てが、新製品の開発や営業収益の増加に結びつくとは限らず、また、諸事情により研究開発を中止せざるを得なくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、①基礎研究所(技術革新に挑むR&D拠点)、②開発部(ウォンツを具現化する設計・デザイン拠点)、③ディビジョン(顧客ウォンツのディスカバリー拠点)、④テクノヤード(高付加価値製品を生み出すマニュファクチャリング拠点)に配属された技術開発員が、部門・部署ごとに、自由で独創的な技術開発とその多方面的応用を目指した研究開発を行っております。また開発テーマごとに、複数部門・部署によるプロジェクトチームを編成して開発に当たる「マトリクス型」の研究開発体制を敷くことで、新規性、市場性、収益性を兼ね備えた新製品の開発を行うなど、当該リスクの顕在化を最小限に留める方策を継続してまいります。

 

(2)知的財産について

当社グループはオリジナリティの高い技術をベースとした製品開発について、必要な知的財産の保護手続きを行い既に特許等の知的財産権も多数保有しておりますが、その独自の技術を法的制限のみで完全に保護することには限界があり、第三者に当社グループの知的財産を用いた模倣品や類似品の製造、販売を行われた場合は、期待した収益を得られない可能性があります。また当社グループの意図に関わらず、当社グループの製品等が、第三者の知的財産を侵害する結果になった場合は損害賠償を請求される可能性があり、そうした事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクを回避するため、今後も知的財産権の管理を徹底してまいります。

 

(3)法規制について

当社グループの事業は、「労働安全衛生法」「医薬品医療機器等法」「製造物責任法」等の様々な法規制に関連しております。

万一、これら法規制に適合しない事象が発生した場合、製品の回収に加え当社グループが進めている事業に制限が出る可能性があります。また、新たな法規の制定や改正がなされた場合は、設備投資等の新たな費用が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これら法規制の改廃等の情報収集を行うとともに、法規制を遵守すべくコンプライアンス体制並びに内部統制の強化に努めてまいります。

 

(4)品質保証・品質管理について

当社グループの製品は、過酷な環境下での使用が想定されることに加え、使用者の安全と健康を守るという目的から、より高い耐久性、信頼性が求められているため、万全な品質保証・品質管理体制の維持、強化に努めております。しかしながら万一、厚生労働省の呼吸用保護具買取り試験による不適合の指摘を予期せぬ要因で受けたり、製品の欠陥及び故障が発生した場合等には、回収、修理費用等の負担などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、こうしたリスクに対し、開発段階において、先進技術センター内にあるバリデーションサイトを使用し、製品が使用される実際の現場を想定した信頼性試験を行っております。

そうした信頼性試験を経て開発された製品の品質に対し当社グループでは、社長直轄の品質に関わる独立した部門である品質保証室を設置するとともに、ISO 9001に基づく品質マネジメントシステムを構築及び維持することにより、万全な品質保証体制を取っています。そして品質保証室は、各テクノヤード(製造拠点)に製品検査員を配置し、テクノヤードの製造工程、検査工程の監視を行っております。また、各テクノヤードは、日本産業規格、厚生労働省国家検定規格及び当社グループ独自の厳格な品質保証・品質管理基準による製品の製造を行っております。

 

(5)災害及び感染症等による生産への影響について

当社グループの製造拠点であるテクノヤードでは、従前より地震リスクの調査を受診し、その結果に基づき、震災時においても混乱なく生産が再開できる体制の構築に努めております。しかしながら、拠点近辺を震源地とする直下型の大地震や台風などの自然災害、その他予期せぬ事故及び感染症等の拡大によって、生産活動の停止等、事業活動の継続に支障をきたす事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

感染症対策としては、従前より自社製の感染症対策用マスクを従業員全員へ配布するとともに、各事業所での備蓄を行っておりましたが、新型コロナウイルス感染症の発生以降は、感染症における警戒最高レベルへの対応を全社員に求め継続しております。具体的には、毎日の体温測定の励行、当社製感染対策用N95マスク「ハイラック350型」の常時着用、手洗いの徹底のほか、在宅勤務・サテライト分散勤務やテレビ会議の積極的活用などを行い、社員全員の感染対策を継続して実行しております。

 

(6)環境問題について

当社グループの研究所とテクノヤードの計2ヶ所において、これまでに発生したトリクロロエチレンによる土壌・地下水汚染の浄化対策を実施しておりますが、浄化が完了する時期の想定が現在の段階では難しく、浄化対策が長期間を要した場合、その対策に関わる費用は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

法令や条例等で設定されている浄化基準を見定めながら、浄化対策を継続してまいります。

 

(7)情報セキュリティについて

当社グループは、事業遂行に関連して、技術、営業、その他、事業に関する機密情報を多数有しております。情報の漏洩等の対策として、当社グループでは、情報システム運用基本規程に基づき、管理本部内に設置した情報通信システムの運用全般を担当する専門部署であるICT管理セクションが中心となり、集中的なネットワーク管理(統合脅威管理)、全社員を対象とした標的型メール訓練などのセキュリティに関する教育・研修及び情報の取り扱いに関するモニタリングなど設備面、組織面の施策を実行しております。また、第三者によるセキュリティチェック(社外からの模擬攻撃による脆弱性診断)も実施しております。

個人情報の適切な保護については、個人情報保護法、個人情報管理規程、マイナンバー情報管理規程に基づいた管理体制を構築し、適切な運用に努めております。

 

(8)内部統制について

当社グループは、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に係る法令等の遵守並びに資産の保全という観点から内部統制システムの充実に努めております。しかしながら、内部統制システムには一定の限界があり、構築した内部統制システムにおいて想定する範囲外の事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そうしたリスク発生を防止するため、内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを今後も継続してまいります。

 

(9)海外子会社について

生産子会社としてタイに設立したSIAM KOKEN LTD.は、順調なマスク製造を続け、当社グループの利益拡大に寄与しておりますが、タイにおける政治・社会情勢及び法規制や為替動向などによる予測し得ない事態の発生及び自然災害や感染症が拡大した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

SIAM KOKEN LTD.は製造した使い捨て式防じんマスク(N95マスク含む)の全量を日本に輸出しておりましたが、2020年には新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、タイ政府より輸出停止措置(その後解除)が取られました。このように感染症の発生等により同様の輸出制限が行われる事態が発生すると、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、感染症対策用マスクの需要拡大とこのような海外生産におけるリスク対策として、当社グループでは、前連結会計年度及び当連結会計年度において使い捨て式防じんマスクの国内生産設備の増設を行い総生産量の拡大を図りました。

 

 

(10)新型コロナウイルス感染症による業績への影響について

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、前連結会計年度及び当連結会計年度の業績にも影響を及ぼしました。マスク関連事業におきましては、医療施設向けの感染症対策用N95マスクの需要が急拡大した一方で、産業用マスクにおいては、主要顧客である製造業の稼働率低下に伴う受注減が一部業種で見られました。同感染症の状況が収束せず長期に亘り継続されるような状況等になった場合には、次年度以降も当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクの対応策として、マスク関連事業では、新型コロナウイルス感染症の今後の動きに対応した施策を継続するとともに、その他事業におけるオープンクリーンシステム「KOACH」と自動ブラッシング機能付き内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍ⅡG」の両事業を第2、第3の柱とすべく、事業展開をさらに進めてまいります。

 

(11)ウクライナ情勢の影響について

ロシアのウクライナ侵攻が始まり、原油価格の上昇がさらに高まる様相を呈しています。この軍事的対立が激化、長期化した場合は、原油価格急騰による原材料価格の高止まりだけでなく、地政学リスクの高まりや世界的インフレーションの加速といったリスクが顕在化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1~12月)の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が長期化した影響により社会経済活動は大きく制限され、厳しい経営環境が続きました。

このような状況の中、マスク関連事業においては、産業用マスクに需要回復の遅れが見られましたが、新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加に伴い、医療機関向け感染対策用マスクの受注は期初計画を上回りました。その他事業においては、オープンクリーンシステム「KOACH」で行ったオンライン形式の個別営業が奏功し、売上増に大きく寄与しました。

これらの結果、売上高は102億3百万円(前連結会計年度比0.5%増)となり、二期連続で過去最高額を更新しました。

一方利益については、原材料価格の値上がりを主因とする原価率の上昇の影響によって、営業利益9億45百万円(同16.5%減)、経常利益9億22百万円(同16.0%減)となり、前連結会計年度実績を下回りました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、マスク新製造設備に対する政府補助金を特別利益に計上したことにより、前連結会計年度実績を上回る8億62百万円(同2.9%増)となりました。

セグメント別の業績の概要は以下の通りです。

 

(マスク関連事業)

感染症対策用N95マスク「ハイラック350型」は、新型コロナウイルス感染症の第4波及び第5波の感染拡大により医療機関の継続使用・指定購入による需要が引き続き高く推移したことに対し、増設した製造設備をフル活用して前連結会計年度を上回る製造・出荷数量で対応いたしました。

一方、産業用マスクの受注は、期後半からは前連結会計年度実績を上回る傾向を示したものの、上期の落ち込みの影響が大きく、前連結会計年度に対しては減収という結果でした。

これらにより、当事業の売上高は89億80百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。

 

(その他事業/環境関連事業等を含む)

オープンクリーンシステム「KOACH」の販売は、当社の環境テクニカルサイト・KOACHショールームと製品品質を確かめたいお客様をネットでつなぎ、実機によるデモンストレーションをライブ中継するオンライン説明会を全営業所で積極展開したことが製品評価につながり、成約数・成約率は共に向上しました。中でも大型機種のフロアーコーチが、幅広い分野・業種での採用が拡大し、通期に亘り順調に売上を伸ばしました。この結果、コロナ禍の制限が続く中でしたが、販売台数、売上高は過去最高となりました。

自動ブラッシング機能付き内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍ⅡG」については、対面営業の機会確保が当連結会計年度においても難しく、売上高は前連結会計年度並みに留まりましたが、「KOACH」の売上増によって当事業全体としての売上高は、12億23百万円(前連結会計年度比21.9%増)となり、三期ぶりに過去最高額を更新しました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、196億円(前連結会計年度末190億4百万円)となり5億95百万円増加いたしました。これは主に、流動資産が現金及び預金の増加等により11億28百万円増加したことと、有形固定資産が建物及び構築物の減少等により5億円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、84億87百万円(前連結会計年度末85億38百万円)となり51百万円減少いたしました。これは主に、流動負債が未払法人税等及び買掛金の減少等により2億17百万円減少したことと、固定負債が長期借入金の増加等により1億65百万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、111億13百万円(前連結会計年度末104億65百万円)となり、自己資本比率は56.7%(前連結会計年度末55.1%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、21億87百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億22百万円増加いたしました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は6億55百万円(前連結会計年度は13億73百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が11億76百万円となったことと、減価償却費6億66百万円、売上債権の増加額7億円、たな卸資産の減少額1億99百万円、設備投資に対する補助金収入2億60百万円、法人税等の支払額3億64百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は1億47百万円(前連結会計年度は6億6百万円の支出)となりました。これは主に、設備投資に対する補助金の受取額2億60百万円、有形固定資産の取得による支出2億38百万円、有形固定資産の売却による収入1億39百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1億76百万円(前連結会計年度は6億80百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入14億円、長期借入金の返済による支出11億72百万円、配当金の支払額2億26百万円等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

8,898,108

98.2

その他事業(千円)

1,187,415

117.9

合計(千円)

10,085,523

100.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

8,980,293

98.2

その他事業(千円)

1,223,026

121.9

合計(千円)

10,203,319

100.5

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ミドリ安全用品㈱

1,217,895

12.0

1,121,163

11.0

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

当連結会計年度は、売上高102億3百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益9億45百万円(同16.5%減)、経常利益9億22百万円(同16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8億62百万円(同2.9%増)となりました。

 

a.売上高

売上高は、前連結会計年度比0.5%増の102億3百万円となりました。売上高の詳細については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りです。

 

b.売上原価

売上原価は、原材料価格の値上がりを主因とする原価率の上昇の影響によって、前連結会計年度比5.6%増の55億56百万円、売上原価率は54.5%となり、前連結会計年度の売上原価率51.8%に比べ2.7ポイント上昇しました。

 

c.販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、連結営業利益の減少に伴う賞与引当金繰入額の引き下げを主因として、前連結会計年度比1.5%減の37億1百万円、売上高販管費率は36.3%となり、前連結会計年度の売上高販管費率37.0%に比べ、0.7ポイント低下しました。

 

d.営業利益

営業利益は、9億45百万円となり、前連結会計年度に比べ1億87百万円の減益となり、売上高営業利益率は9.3%となりました。前連結会計年度の売上高営業利益率11.2%に比べ1.9ポイント低下しました。

 

e.営業外損益

営業外収益は、48百万円となり、前連結会計年度に比べ5百万円増加いたしました。

営業外費用は、72百万円となり、前連結会計年度に比べ6百万円減少いたしました。

f.経常利益

経常利益は、9億22百万円となり、前連結会計年度に比べ1億75百万円の減益となりました。

 

g.特別損益

特別利益は、2億61百万円となりました。これは主に、マスク新製造設備に対する政府補助金収入2億60百万円によるもので、前連結会計年度に比べ2億61百万円増加いたしました。

特別損失は、7百万円となりました。これは主に、土地を売却したことによる売却損失7百万円によるもので、前連結会計年度に比べ41百万円減少いたしました。

 

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億62百万円となり、前連結会計年度に比べ24百万円の増益となりました。

 

(財政状態の分析)

a.総資産

総資産は、前連結会計年度に比べ5億95百万円増加し、196億円となりました。

 

b.流動資産

 流動資産は、前連結会計年度に比べ11億28百万円増加し、79億88百万円となりました。これは主に、現金及び預金が6億22百万円増加したこと、電子記録債権が4億12百万円増加したこと、並びに受取手形及び売掛金が2億87百万円増加したこと等によるものです。

 

c.固定資産

 固定資産は、前連結会計年度に比べ5億32百万円減少し、116億11百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が1億78百万円減少したことと、設置した製造設備の稼働により建設仮勘定が1億34百万円減少したこと等によるものです。

 

d.負債

流動負債は、前連結会計年度に比べ2億17百万円減少し、41億8百万円となりました。これは主に、未払法人税等が86百万円減少したこと、買掛金が60百万円減少したこと、並びに未払金が56百万円減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度に比べ1億65百万円増加し、43億78百万円となりました。これは主に、長期借入金が1億66百万円増加したこと等によるものです。

 

e.純資産

 純資産合計は、前連結会計年度に比べ6億47百万円増加し、111億13百万円となりました。これは主に、利益剰余金合計が6億35百万円増加したこと等によるものです。

 

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の55.1%から56.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況分析

営業活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ7億17百万円減少し、6億55百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は主に、債権流動化の減少により売上債権が7億12百万円増加したこと、たな卸資産が6億5百万円減少したこと、賞与引当金が2億18百万円減少したこと等によるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ7億53百万円増加し、1億47百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は主に、有形固定資産の取得による支出が4億25百万円減少したこと、設備投資に対する補助金の受取額2億60百万円等によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ5億3百万円減少し、1億76百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は主に、長期借入れによる収入が1億円増加したこと、長期借入金の返済による支出が6億25百万円減少したこと等によるものです。

 

b.資金需要

運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の購入のほか、製造費、営業費用及び法人税等の支払等であります。投資の目的とした資金需要の主なものは、機械設備及び工具器具備品等の購入などの設備投資です。

 

c.財務政策

当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施する為の資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

運転資金及び設備投資資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は61億29百万円、現金及び現金同等物の残高は21億87百万円であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。

 

(4)経営戦略の現状及び見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社の研究開発は、当社の事業領域である『クリーン、ヘルス、セーフティ』に対し、自由で独創的な技術開発とその多面的応用を目指して活動しております。そして未来技術の基礎開発・応用開発にプロジェクトチームを含めマトリクス型の研究体制を敷いております。なお、研究開発担当人員は80名、当連結会計年度の研究開発費は、総額799百万円であります。

 当連結会計年度中の主な開発製品は以下の通りです。

 

(1)電動ファン付き呼吸用保護具「サカヰ式 BL-7005」

  電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)区分:PL2/A級/通常風量形 国家検定合格第TP122号

「サカヰ式BL-7005」は、溶接作業で導入実績の高い電動ファン付き呼吸用保護具「サカヰ式BL-1005」の利点を受け継ぎ、さらに防護性能を高めた電動ファン付き呼吸用保護具です。

 本製品は、フィルタ特長である低い通気抵抗を維持しつつ、捕集性能をより高めた新開発の専用マイティミクロンフィルターを採用しており、ろ過材の性能99.0%以上(PL2)、指定防護係数33の防護性能を有します。従来使用されていた溶接向け呼吸用保護具より、幅広いヒューム濃度※1に対応することができます。

 ※1 溶接ヒューム濃度(マンガンとして)1.65mg/m3未満の環境(要求防護係数33未満)で使用が可能になります。

<主な特長>

・本体重量は約290gと軽く、コードレス電動ファン付き呼吸用保護具(PL2)で最軽量(国内発売コードレス

 PAPR(PL2モデル)2021年7月現在/当社調べ)

・新たに開発したマイティミクロンフィルターを採用することで粉じん捕集の能力がより高まり、面体を大幅に大

 きくすることなく、溶接面に干渉しない設計

・伝声器がマスク本体に内蔵されているため、着用したままでも作業中の会話がしやすい

・フィットチェッカーが内蔵されているため、フィットテスターを携行することなくいつでも密着性の確認(シー

 ルチェック)が可能

・バッテリーの残量が一定以下まで低下すると呼吸に追随する送風がリズム送風に変わり、着用者に電圧の低下を

 警報する

・マスクを装着すると呼吸を自動で感知して、ファンが自動で稼動し、マスクをはずすと3秒後にファンが自動で

 停止する

・オゾン臭が気になる場合は、許容濃度以下の環境であれば別売のKBCフィルタを併用して対応することができる

・不意の衝撃でろ過材カバーを破損させてしまった場合に交換できるよう、交換部品を用意しており、メンテナン

 スを行いながら長く使用することが可能

 

(2)石綿除去作業向け防じんマスク「サカヰ式 1180H型」

  取替え式防じんマスク 区分:RL3 国家検定合格第TM788号

「サカヰ式 1180H型」は、石綿含有成形板等の除去作業で使用できる防じんマスクです。本製品は、軽量かつコンパクト、さらにフィットチェッカーが内蔵されているため、装着したまま手軽に密着性の確認ができます。また、吸収缶を取り付けることで防毒マスクになるため、石綿除去作業だけでなく、有機溶剤作業などにも使用することが可能です。

<主な特長>

・本体重量は約115gと、RL3の当社製防じんマスクラインナップの中で最軽量かつコンパクトなため、石綿除去作業向け

 防じんマスクの中でも装着負担が少ない

・本製品はフィットチェッカーが内蔵されており、レバーを引き上げるだけで、手軽に顔とマスクの密着性を確

 認することができる

・防毒マスク用吸収缶KGC-10型シリーズを取り付けて「防毒マスクG- 7型」としても使用可能。また、ろ過材

 LAS-51に付け替えて区分RL2の「取替え式防じんマスク1180型」としても使用可能。いずれも防毒マスク、防

 じんマスクの国家検定合格品の呼吸用保護具として使用できる

 

(3)ブラスト用フード形エアラインマスク「サカヰ式 SB-1HZ型/SB-1HY型」

 「サカヰ式 SB-1HZ型/SB-1HY型」は、橋梁での作業を想定して設計したブラスト用フード形エアラインマスクです。JIS T 8153送気マスクに準拠し、さらには指定防護係数1000※2を有しており、粉じん濃度が高くなりやすいサンドブラスト作業でも安心して使用できます。

 ※2 フード形エアラインマスクの指定防護係数は25ですが、本製品は当社による模擬作業場所防護係数(SWPF)測定の結果、指定防護係数が1000を上回っております。

<主な特長>

・ブラストの研削材の跳ね返りに強いゴム引き生地

・目ガラスにキズがついて視界が悪くなったときは、現場でフードを着けたまま目ガラスの交換が簡単にできる

・ヘルメットにフードが固定でき、首を上下・左右に動かした場合でもフードが追随して動くため、狭い場所でも

 視界を損なわず、移動時の危険回避などのために周囲を見渡しやすい

・フード内に防じんマスクや電動ファン付き呼吸用保護具などの半面形のマスクを併用することが可能

 

(4)ハイラック専用フェイスシールド「ハイシールド」

「ハイシールド」は、使い捨て式マスク「ハイラック」専用のフェイスシールドで、ハイラックに取り付けて、微粒子の飛沫や液体の飛沫などが目または顔にかかるのを防ぎます。

<主な特長>

・シールドとマスクの間に空間を設けることで、シールドのくもりを防ぐ

・シールドはハイラックに直接取り付けられるので、 頭部の圧迫感につながるヘッドバンド等がない

・質量は約16gと軽量で、装着時の負荷を軽減することができる