第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 また、当社の経営に重要な影響を及ぼす事象は存在しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 事業全般の概況

 当中間連結会計期間における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。世界経済においては、一部の地域で持ち直しの動きがみられた一方、通商政策など米国の政策動向や欧米における高い金利水準の継続に伴う影響による下振れ懸念等、その先行きについては依然として不透明な状況にあります。

 このような状況の中、当社グループは、2023年より「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を推進し、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、3つの基本戦略(ブランド戦略、基幹商品戦略、地域戦略)の着実な実行による既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行っております。そして、事業の成長はもとより、私たちの存在意義である「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を実現させるため、各施策の実行に取り組んでおります。

 当中間連結会計期間においては、売上高は中国事業を中心に販売が堅調に推移したことにより、537億34百万円(前年同期比4.7%増)となりました。利益面においては、増収による売上総利益の増加に加え、売上総利益率が前年同期比で1.9ポイント改善したことで販管費の増加を吸収し、営業利益は66億84百万円(同14.8%増)、経常利益は68億75百万円(同6.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は46億24百万円(同29.4%増)となりました。

 なお、当中間連結会計期間の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは次のとおりです。

・米ドル:148.50円(152.14円)

・中国元: 20.47円( 21.08円)

注:( )内は前年同期の為替換算レート

 

② セグメント別の概況

 当社グループの報告セグメントは、「日本事業」、「中国事業」、「シンガポール事業」及び「ランシノ事業」の計4セグメントとなっております。各セグメントにおける概況は以下のとおりです。

<日本事業>

 当事業は、「ベビーケア」、「子育て支援」、「ヘルスケア・介護」等で構成されております。当事業全体の売上高は184億76百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益は11億7百万円(同6.5%増)となりました。

 ベビーケア(育児及び女性向け用品)の売上高は前年同期を上回りました。基幹商品である哺乳器・乳首や販売構成比の高いベビーフード・飲料が前年同期を上回ったほか、新規領域である育児家電カテゴリの「電動鼻吸い器SHUPOT(シュポット)」や哺乳びんスチーム除菌・乾燥器「POCHItto(ポチット)」の販売も引き続き好調に推移しました。また、ベビーフード・飲料カテゴリにおいては、5月に販売を開始した新商品「オレンジのぎゅぎゅっと野菜」、「赤のぎゅぎゅっと野菜」もご好評をいただいております。なお、2025年6月より、哺乳器・乳首を含むベビー関連用品の一部商品において価格改定を実施しました。

 また、コミュニケーション施策の一環として、「インスタライブ」などのSNSを活用した商品紹介や販売促進に加え、医療従事者向けのオンラインセミナーなどを複数回開催したほか、4月には、2024年生まれの赤ちゃんを対象とした「第39回 ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン植樹式」を開催するなど、継続的なブランド強化に取り組んでおります。

 ヘルスケア・介護については、主力商品である清拭用品のリニューアルや、今年2月より販売を開始した新商品「自分で食べる ミールキャッチ」などの食事関連用品の販売強化に取り組みました。

 子育て支援については、事業所内保育施設等51箇所にてサービスを展開しており、今後もサービス内容の質的向上を図りながら事業を展開していきます。

 当事業の利益については、増収に伴う売上総利益の増加や工場稼働率の向上等により、前年同期を上回りました。

 

<中国事業>

 当事業の売上高は212億74百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益は56億96百万円(同10.6%増)となりました。

中国本土では、ブランド露出及び販売促進活動の強化により、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。商品群では、基幹商品である哺乳器・乳首及びベビースキンケアの販売が堅調に推移したほか、昨年以降ラインナップを拡充しているドリンキングボトルも販売が好調であり、出生数減少に向けた対応策の一環である高月齢及びキッズ向け商品(エイジアップ)についても売上への貢献度が着実に高まっております。

 消費者コミュニケーションでは、動画プラットフォームTikTokの中国本土版「Douyin(抖音)」や「Redbook(小紅書)」等のSNS上でのブランド露出強化に加え、ライブコマース等のデジタルマーケティングの強化により、中国のEC商戦において11月のダブルイレブンに次ぐ売上規模を誇る618商戦では、当社EC旗艦店を中心に販売が好調に推移しました。

 また、当事業が管轄する韓国市場においては、引き続き現地販売子会社を起点としたブランド強化及び販売・マーケティング活動に取り組んだほか、北米市場においては、哺乳器・乳首を中心にピジョンブランドの育児用品の販売が好調に推移しました。

 当事業の利益については、増収等による売上総利益の増加が販管費の増加を吸収し、前年同期を上回りました。

 

<シンガポール事業>

 当事業の売上高は72億円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益は11億13百万円(同16.6%増)となりました。

当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、販売会社の売上が貢献し、売上高は前年同期を上回りました。当事業が注力している基幹商品カテゴリについては、「SofTouch™」シリーズ(日本における商品名:母乳実感®)のブランドリニューアル効果もあり、哺乳器・乳首の販売が好調に推移しました。スキンケアについても、「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」シリーズの「おむつかぶれクリーム」などが貢献し、販売が堅調に推移しました。引き続き、上位中間層以上のお客様をターゲットとし、基幹商品である哺乳器・乳首及びベビースキンケアを中心に積極的な販売・マーケティング活動を展開していきます。

当事業の利益については、哺乳器・乳首の販売伸長による総利益率の改善等もあり、前年同期を上回りました。

 

<ランシノ事業>

 当事業の売上高は106億13百万円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は4億86百万円(同5.3%増)となりました。

主力市場である北米においては、主力商品である乳首ケアクリームや母乳保存バッグ、母乳パッドに加え、2025年より注力している哺乳器・乳首の販売が堅調に推移した結果、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。また、欧州市場においても、ドイツ、英国などではさく乳器や産前・産後ケア商品等の販売が好調に推移し、現地通貨の売上高も前年同期を上回りました。

当事業の利益については、米国関税による原価への影響はあったものの、海上輸送費の低下等により、前年同期を上回りました。

 

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産の残高は1,054億円となり、前連結会計年度末と比べ29億8百万円の減少となりました。流動資産は7億48百万円の減少、固定資産は21億59百万円の減少となりました。

 流動資産の減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が32億71百万円、その他流動資産が7億62百万円増加したものの、現金及び預金が51億29百万円減少したことによるものです。

 固定資産の減少の主な要因は、建物及び構築物が12億円、その他有形固定資産が5億21百万円減少したことによるものです。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債の残高は247億53百万円となり、前連結会計年度末と比べ10億52百万円の増加となりました。流動負債は16億54百万円の増加、固定負債は6億2百万円の減少となりました。

 流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が7億76百万円、製品自主回収関連費用引当金が4億50百万円増加したことによるものです。

 固定負債の減少の主な要因は、その他固定負債が5億22百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は806億46百万円となり、前連結会計年度末と比べ39億60百万円の減少となりました。

 純資産の減少の主な要因は、為替換算調整勘定が31億92百万円、非支配株主持分が9億12百万円減少したことによるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ51億30百万円減少し、340億71百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は39億67百万円(前年同期は41億71百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加額45億6百万円等の減少要因に対し、税金等調整前中間純利益67億64百万円、減価償却費22億81百万円等の増加要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は17億45百万円(前年同期は35百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出15億22百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は57億84百万円(前年同期は56億35百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額45億51百万円、非支配株主への配当金の支払額8億54百万円等によるものです。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

① 経営方針

 当社グループでは、社員一人ひとりが大切にする企業理念として「Pigeon DNA・Pigeon Way」を設定しております。「Pigeon DNA」は経営理念と社是で構成され、ピジョンの核であり、この先も貫いていくものです。「Pigeon Way」は、存在意義、基本となる価値観、行動原則で構成されており、私たちの“心”と“行動”の拠り所であり、すべての活動の基本となる考え方です。

 私たちピジョングループは、Pigeon Wayの軸である存在意義(赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします)の実現に向けて、5つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすること、さらに新しいビジネスにも挑戦することで、社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

② 事業環境

 当社グループを取り巻く事業環境は、主力市場である日本・中国をはじめ世界的に出生数が減少する中、原材料及びエネルギー価格等の高騰による物価高や、コロナ禍を経たお客様の価値観・消費行動の変化等の影響を受けております。また、世界経済の先行きに対する不透明感の増加や地政学的リスクの高まりなどもある中、各種環境の変化は目まぐるしく、将来の予測が非常に困難な状況にあります。

 一方、当社グループにおける主要市場の一角を担う中国では少子化が進行しているものの、経済力や出生数からも依然として巨大市場であることに変わりは無く、それに加えてアジア各国やその他新興国等においても出生数の大きな市場が複数存在し、中長期的にはEコマースの浸透・発達や経済成長に伴う消費の拡大等が見込まれております。さらに、世界的には当社グループが未参入の市場も多く、これら既存及び新規市場における事業活動の強化・深耕によって、今後の成長が十分期待できるものと考えております。

 

③ 経営戦略

 このような環境の中、当社グループは2023年12月期を初年度とする「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を推進し、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、下記に示す3つの基本戦略を着実に実行してまいります。また既存事業領域での持続的な成長はもとより、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。

 

1.ブランド戦略:

存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。

2.商品戦略:

ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。

3.地域戦略:

各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。

 

 既存事業領域においては、自社の優位性・競争力を活かせる基幹商品として、特に哺乳器・乳首、ベビースキンケアカテゴリをさらに強化するべく、ライフスタイル提案、新素材の検討、環境やローカルニーズへの対応など、ポストコロナの社会変化に沿った製品・サービスの充実を図ります。合わせて、各事業における各種商品・販売戦略の抜本的な見直しやサプライチェーン改善等の構造改革の実行によって、持続的な成長を目指してまいります。

 一方、当社グループが未参入、かつ自社優位性の応用が期待できる領域として、顧客ターゲットの拡張につながるキッズ向け商品(エイジアップ)や、顧客親和性の高い女性ケア商品などをはじめとする新規商品カテゴリの創出・育成や、アフリカ地域をはじめとした新規市場への参入なども積極的に検討することで、次世代の成長を担う新規領域の探索・育成にも注力してまいります。

 加えて、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能は引き続き強化するとともに、事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業)の役割と責任を明確にし、相互に連携することで、事業の永続的な成長及びコーポレートガバナンス等の経営基盤の強化を図ってまいります。

 なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。また、当社では、Pigeon ESG/SDGs基本方針を設定し、環境(E)、社会(S)及びガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はなく、また、新たな発生もありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は16億92百万円です。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。