第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループ(当社及び連結子会社をいう。以下同じ。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、創業以来「五心」を経営の核とし、事業活動を通じてお客様の豊かな住まいづくりに貢献してきました。今後も「新たな暮らし価値」を創造・提案し、企業理念「家族の笑顔を創ります」の実現に向け邁進します。

 

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当社が製造・販売するシステムキッチンやシステムバスルームなどの住宅設備機器は、人々の快適で豊かな暮らしづくりの実現に大いに貢献するものと考え、常にユーザーの立場に立った開発姿勢と先進的な技術力で提案し続けてまいりたいと考えております。当社の商品をお使いいただいているかぎり、メンテナンスや顧客の相談に応えていけるサービス体制をつくり、商品というハードとサービスというソフトを一つのパッケージとして提供することを経営の基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、安定的かつ継続的に高収益をあげることが経営の使命と考え、そのためにシステムキッチン及びシステムバスルームなど高付加価値商品の販売に注力し、専業メーカーとしてのブランド力を高め、営業利益率を向上させることを経営目標の1つにおいております。

 

(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、政府の住宅取得支援策継続等による住宅需要の回復に期待が持てるものの、物価上昇による建築コストの高騰や職人不足もあり、依然として先行き不透明な状況が継続するものと思われます。

このような中、本年、創業75周年を迎える当社グループは、2024中期経営計画(2024-2026年度)を策定し、企業理念「家族の笑顔を創ります」の実現に加え、サステナブル経営の方向性、事業を通じた重要課題(ESG・SDGs課題)解決に向けた取り組みを長期ビジョンとして明確化しております。

その中で2030年の事業活動で目指すべき長期ビジョンを、次のとおり定めております。

 

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また、このスローガンの実現を目指して2024中期経営計画(2024-2026年度)の基本方針を、次のとおり定めております。

 

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上記の基本方針に基づき、当社グループの強みをより一層発揮させ、「持続的な成長」の実現を目指して邁進してまいります。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

当社グループの収益は、革新的な商品とサービスを提供することによっております。今後も継続して、当社独自の画期的な新商品開発による他社との差別化ができるよう、研究開発に積極的な体制をとってまいります。

 

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは高品質、高付加価値の革新的な商品を開発できると自負しておりますが、景況感やライフスタイルの変化もあり、市場は不透明な状況にあります。また、競合他社動向を意識した新商品開発に各社積極的になり、業界環境は厳しさを増しております。この状況下で、先行優位、競争優位を維持するために、常々商品の機能を強化し差別化に努めるとともに、商品開発期間の短縮も行っておりますが、商品のライフサイクルも短縮化傾向にあり、開発コストの負担も増大しております。しかしながら、当社グループの将来の成長は、革新的な商品とサービスの提供にあると確信しており、今後も付加価値の高い商品を開発し、業績に繋げてまいりたいと考えております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する重要課題を定め、事業経営に大きく影響を与える気候変動等の環境課題への対応や、会社の持続的な成長を支える人的資本に関する重要課題への取り組みを推進しております。

推進体制として代表取締役社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会を設置しております。

サステナビリティ委員会は、当社グループにおける持続可能な社会の実現に向けた活動の方向性や目標設定、重要課題(ESG・SDGs課題)に関わる活動の進捗状況の管理を行っております。さらに重要課題のうち環境と人的資本に関わる課題に対しては、当委員会の下部組織として「環境分科会」「人的資本分科会」を設置し実行計画の立案、進捗状況の管理を行い、サステナビリティ委員会に報告する体制をとっております。

リスクマネジメント委員会は、対処すべきリスクの発生を事前に把握・管理し対策を講じるとともに、全社で将来起こり得る損失の発生についての予測・低減・回避に取り組んでおります。当委員会の下部組織として「コンプライアンス部会」「内部統制部会」「BCP(事業継続計画)/SCM(サプライチェーンマネジメント)部会」を設置し、活動状況をリスクマネジメント委員会に報告する体制をとっております。

気候変動及び人的資本に関わるリスクは、事業継続に重大な影響を及ぼすことから、両委員会において情報の共有を図り連携をとりながら対応を進めております。

両委員会によって評価審議した内容に応じ、取締役会に答申される体制を整えております。

 

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② リスク管理

当社グループは、気候変動に伴う自然災害などによる、事業活動に直接影響を与える物理的リスクや、人材の流動化、生産労働人口の低下による人材獲得が困難になるリスクなどを、持続的な事業運営を棄損する最大のリスクと捉えております。リスクマネジメント委員会の下部組織であるBCP/SCM部会ではリスクの特定、対策立案、進捗状況の確認を行っております。この内容はサステナビリティ委員会とも共有し、グループ全体でリスク低減活動を推進しております。その活動内容については両委員会にて審議、評価が行われ、必要に応じ取締役会に答申しております。

 

(2)気候変動

気候変動の影響が顕在化し、私たちの暮らしや生活に大きな影響を及ぼすようになってきております。暮らし価値の提供を事業の柱としている当社グループとしては、気候変動への対応は経営上の重要課題の一つとして捉えております。気候変動が事業に与える影響とそれによるリスクと機会を的確に捉え、事業戦略に折り込むことは、会社の持続的成長と企業価値向上につながるものと考えております。このような考えのもと、当社グループは2023年に新たに「クリナップグループ環境ビジョン2050(CEV50)」を策定し、2050年にカーボンニュートラル(Scope1、2)達成を掲げております。同時に2030年度温室効果ガス排出量削減目標においてSBT認定を取得し、2021年に公表した2030年度目標「温室効果ガス50%削減(2013年度比)」を、より高い目標に置き換え、全社的な取り組みを進めてまいります。

 

① ガバナンス

代表取締役社長執行役員を委員長とし、取締役及び執行役員を中心とした委員で構成されるサステナビリティ委員会を設置、年5回の頻度で開催しております。気候変動対応や気候関連に関する施策や計画・目標の立案は委員会の下部組織である環境分科会にて協議・審議され委員会に報告されます。環境分科会は営業・開発・生産・調達を中心とした各部門及び関係会社のメンバーで構成されております。

また、気候変動対応の施策内容や実施計画の進捗状況についてはサステナビリティ委員会で確認・審議された上で、取締役会へ適時答申がなされており、取締役会にて管理・監督が行われております。さらに、気候変動によるリスクは事業継続に重大な影響を及ぼすことから、リスクマネジメント委員会においても情報の共有を図り、連携をとりながら対応を進めております。

 

② リスク管理

気候関連リスクをグループ全体の経営リスクの一つとして位置づけ、サステナビリティ委員会で審議、評価して管理しております。気候関連リスクの中で特に自然災害に起因する物理リスクへの対応に関しては、代表取締役 社長執行役員を委員長とするリスクマネジメント委員会の下部組織である「BCP/SCM部会」とも情報を共有し、取り組みを進めております。

当社グループでは、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行い、気候関連リスク及び機会を識別評価しております。

サステナビリティ委員会の下部組織である環境分科会において、重要な気候関連リスク及び機会を「自社にとっての重要性」「発生の可能性」「ステークホルダーにとっての重要性」の3つの指標を元に評価し特定を行っております。そこで特定された重要な気候関連リスク及び機会が事業に与える影響などについて討議が行われ、サステナビリティ委員会に報告されます。委員会において内容の確認と審議が行われた上で取締役会に答申され、管理・監督がなされております。

 

③ 戦略

気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響の把握とそのリスク及び機会を具体的に捉えるために、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを対象としたシナリオ分析を実施しております。それぞれの気温上昇におけるリスクと機会(移行、物理)を特定し、環境施策の展開を進めております。

当社グループでは、シナリオ分析においてNZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)やStated Policy Scenario(IEA World Energy Outlook 2023)、IPCC RCP8.5等の既存シナリオを参考にいたしました。

 

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④ 指標及び目標

2023年に「クリナップグループ環境ビジョン2050(CEV50)」で掲げたカーボンニュートラル達成に向け、その中間目標となる2030年度の温室効果ガス排出量削減目標をより高い目標へ改訂いたしました。

なお、この目標はSBT(SCIENCE BASED TARGETS)イニシアチブから「科学的根拠に基づいた目標」として2023年11月に正式に認定されました。

 

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クリナップグループ 温室効果ガス削減目標

2030年

Scope1、2

42%削減(2021年度比)

Scope3(カテゴリー1+11)※1

25%削減(2021年度比)

2050年

Scope1、2

カーボンニュートラル

Scope1:工場、事務所からの直接排出

Scope2:電力、熱などの間接排出

Scope3:Scope1、2以外の間接排出

※1 当社グループはScope3のカテゴリー1(購入した資材・サービスに伴う排出)とカテゴリー11(販売した製品の使用に伴う排出)でScope3排出量の9割以上を占めており、削減の対象としております。

 

これまでの施策としては太陽光発電設備設置や再生可能エネルギー由来電力への切替え、燃料のLNG化、営業車両のHV化、LED照明等の省エネ設備切替えなどを行ってきており、今後さらにグループ全体での目標達成に向け活動を推進してまいります。

 

(3)人的資本

当社グループの基本的な考えは「社員が健康的に安心して働くことができ、多様な人材が活躍できる職場環境や企業風土の実現」を掲げ、多様な社員が心身ともに健康で充実した生活を送り、それぞれが能力を十分発揮できるような職場環境の整備に取り組んでおります。さらに経営理念の実現に資する人材の育成を心掛け、社員の自立的な能力開発とキャリア形成を推進しており、自己啓発支援と資格取得支援を行っております。

 

① ガバナンス

人的資本にかかわるガバナンスは(1)サステナビリティ全般の①ガバナンスに記載のとおりであります。

 

② リスク管理

人的資本にかかわるリスク管理は(1)サステナビリティ全般の②リスク管理に記載のとおりであります。

 

③ 戦略

当社グループでは、人的資本が、持続的企業価値向上を支える最も重要な要素の一つであるとの認識に基づき、多様な人材を活かし、一人ひとりの能力を最大限発揮することでイノベーションが生まれ、個人と組織が共に成長し続けられる企業を目指しております。そのために、人材育成基本方針を掲げ、職場環境の整備や働き甲斐のある職場づくりに取り組んでおります。

「ワークライフバランス」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」「人材育成」「労働安全衛生」などについて様々な施策を推進しております。

 

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ワークライフバランス

リフレッシュ休暇制度、男性社員の育児休業取得推進、有給休暇促進の取り組み、介護休暇制度、介護時短勤務制度

ダイバーシティ・エクイティ

&インクルージョン

多様性(女性活躍推進、高齢者雇用、外国籍労働者雇用)、女性キャリア形成支援、障がい者雇用促進

人材育成

成長支援制度(通信教育奨学支援)、公的資格取得支援、次世代リーダー育成プログラム、階層別研修

労働安全衛生

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)、エルゴノミクス活動、安全衛生教育、緊急事態対応訓練

 

④ 指標及び目標

当社グループは、人材の多様性の確保を進め、一人ひとりが能力を最大限発揮できる機会を提供し、個人と組織が共に成長できる取り組みを推進しております。当該指標に対する目標と実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度まで15

3.8

男性労働者の育児休業取得率

2030年度まで100

70.2

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況の変動

当社グループの営業収入のほとんどは国内需要によるものであるため、国内の経済状況の動向に影響を受けます。国内景気後退による新設住宅着工戸数、またはリフォーム需要が著しく減少した場合や、原材料費や物流コストの高騰は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事故及び自然災害

当社グループは、事故や自然災害など経営に重大な損害や影響などを与える可能性のある不測の事態の発生に備え、危機管理体制の整備を推進しております。「危機管理規程」において、自然災害やそれに伴う大規模な火災・停電、感染症の拡大、重大な事故・事件、外部からの人為的な危害・攻撃など様々な危険事象への対策を定めるとともに、定期的な訓練や施設・設備の点検を実施し、社員及び関係者の安全の確保並びに被害等の事業への影響を最小限とすることに努めております。

しかしながら、予測を超える大規模な事故や自然災害が発生し、当社の生産・販売活動が長期間停止した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料の供給に関するリスク

当社グループの生産・販売活動において使用する原材料及び部品部材につきましては、適正な在庫の確保や複数社購買などの対応により安定的な調達に努めております。しかしながら、不安定な国際情勢や自然災害、感染症、事故などの影響により、サプライヤーからの供給が中断あるいは遅延した結果、製品の供給が滞り、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、市況や為替の変動などにより原材料等の仕入価格やエネルギーが予想を上回る高騰を続け、生産性向上やVE活動による原価低減では吸収しきれず販売価格への転嫁が遅れた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 情報セキュリティ

当社グループは事業活動において保有する情報資産を重要な資産と位置づけております。情報資産の改ざん、破壊、流出などを防ぐため「セキュリティポリシー」を掲げ、関連規程により情報システム利用者が遵守すべきルールを定めており、全社員並びに関係者に対し定期的に情報セキュリティの重要性に理解を深めるための教育や活動を行っております。また、実施しているセキュリティリスク対策は、定期的な評価・見直しを行い、情報資産やネットワークのセキュリティ強化・維持に努めております。

しかし、これらの対策を講じてもサイバー攻撃や未知のコンピュータウイルスへの感染などにより発生する情報セキュリティ事故による社会的信用の低下、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止などにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人材の確保及びダイバーシティ推進

少子高齢化の進行による労働人口の減少が深刻化しており、企業間での人材獲得競争の激化や退職などにより優秀な人材の確保と維持・育成が困難な状況となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これに対応するため、当社グループでは多様な働き方の推進、人材育成のため各種研修プログラムを充実させるとともに、両立支援制度の充実、女性のキャリア形成支援や高齢者雇用、外国籍労働者雇用、障がい者雇用、経験者採用を推進するなど、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの取り組みを行っております。また、労働環境の変化に対応できる体制として業務の効率化や省人化を推進してまいります。

 

 

 

(6) 気候変動

当社グループは気候変動をサステナブル経営の重要課題の一つと捉えております。気候変動抑制や環境保全に関する全社的取り組みは、サステナビリティ委員会の下部組織である環境分科会で方針の策定・施策審議等が行われております。また、気候変動が及ぼす当社グループ事業活動への重要リスクに関してはリスクマネジメント委員会の下部組織であるBCP/SCM部会にて対策の審議が行われ同委員会に報告されております。

しかしながら、気候変動抑制や環境保全のための新たな規制や法令の改定などにより環境に関する費用や設備の変更等への負担が増加した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

(7) 価格競争

システムキッチンをはじめとする住宅設備機器業界における競争は、新設住宅着工戸数の減少もあり、非常に厳しいものとなっております。当社グループは、高品質、高付加価値の新商品を開発できるメーカーであると考えておりますが、技術的に追随することも比較的容易なこともあり、短期間に類似商品が販売されるため、将来においても有効に競争できる保証はありません。競合他社が、類似商品をより低価格で導入し、価格競争が激化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 感染症

当社グループは、「危機管理規程」及び「感染症対策要領」を定め、感染症等の発生に備えた対策と発生後の対応方法を定めており、お客様、お取引先、従業員及びその家族の安全確保を最優先とし、事業への影響を最小限とするよう努めております。

ショールームでは事前来場予約の促進、感染防止策の徹底など、安心・安全に商品を体感できるよう努めているほか、自宅などから直接相談できる「オンライン相談」やショールーム見学が疑似体験できる「オンラインショールーム」などのWEBコンテンツを充実させて営業活動を行っております。社内におきましても在宅勤務や時差出勤の活用、ITツール活用によるリモート会議、研修、面談の実施など感染防止に向けた取り組みを行っております。

しかしながら、今後新たな感染症の発生や拡大によっては商品供給の遅延リスクや、個人消費の低迷による売上の減少等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製造物責任・損害賠償責任

当社グループは、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証の規格要求事項に従って製品を製造しております。

また、お客様が安全・安心にご使用いただける製品とその取付・設置を行うため「クリナップグループ製品安全自主行動指針」を定め、製品安全の確保に取り組んでおります。安全に関する法令や安全基準の遵守はもとより、製品開発・設計、製造、検査、原材料の調達、取付・設置及び修理、製品事故発生時の報告対応、製品回収の対応について社内規程を定めております。

しかしながら、製品の欠陥や取付・設置の不具合等により製造物責任を問われる事故が発生し、当社グループの企業・ブランドイメージの低下や製造物責任賠償保険の補償限度を超える損害賠償責任が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 環境汚染

当社グループは全ての生産工場において環境マネジメントシステムに関する国際規格「ISO14001」の認証を取得しており、規格要求事項に基づく環境マネジメントを実施しております。さらに「環境方針」を制定し、環境法規制の遵守を継続的に監視・評価する体制が整備されております。大気汚染や水質汚濁等、環境汚染の予防対策として、定期的に危険物や化学物質を扱う施設や設備の点検を行うとともに、緊急事態対応訓練を実施するなど、環境への影響を伴う事故や緊急事態の発生に備えております。また、資源循環の一環として産業廃棄物の削減や製品梱包の環境負荷軽減等を推進しており、生産部門ではゼロ・エミッションに向けたさまざまな取り組みを実施しております。

しかしながら、不測の事態などにより当社グループ事業活動起因の環境汚染が発生し多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や行動制限緩和による個人消費の回復や、円安によるインバウンド需要の高まりがみられました。その一方、不安定な国際情勢や為替相場の変動による資源・エネルギーの供給不足、原材料価格の高騰もあり、先行き不透明な状況で推移しました。

住宅設備機器業界におきましては、巣ごもり需要の減退や、建築費高騰による住宅需要の低迷もあり、厳しい経営環境となりました。

このような中、当社グループは、2021中期経営計画(2021-2023年度)の最終年度として、「持続的な成長」に向けた企業価値向上に努めてまいりました。

商品面では、当社が日本で初めてシステムキッチンを発表して50周年を迎え、フラッグシップ商品であるステンレスシステムキッチン「CENTRO(セントロ)」を2023年6月にモデルチェンジし、ラインナップしたステンレスワークトップ「バイブレーションダーク」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。また、2024年2月にはサニタリー商品の強化を目的にシステムバスルームを一新し、中高級価格帯「SELEVIA(セレヴィア)」と普及価格帯「rakuvia(ラクヴィア)」の2ブランドを発売しました。

販売面では、生活価値提案の充実を図ることを目的として、11月に長崎ショールームを移転オープンし、3月に神戸ショールーム及び多摩ショールームを全面改装オープンしました。さらに、ショールームでの価値提供強化を図るため、自宅などから直接相談できる「オンライン相談」やショールーム見学が疑似体験できる「オンラインショールーム」などのWEBコンテンツの提供に継続して取り組んでまいりました。

生産面では、東西の生産拠点での生産性向上、VE活動を推進し、原価低減に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高を部門別にみますと、厨房部門は前期比4.3%増の105,152百万円、浴槽・洗面部門は同2.9%減の14,815百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前期比3.2%増の127,982百万円となりました。利益面では、原材料やエネルギーの価格高騰などの影響により売上原価が大幅に上昇したことに加え、販管費においても販売費、広告宣伝費、人件費等の増加、また、販売価格改定による収益性改善にも努めましたが、浸透等の遅れもあり営業利益は同57.5%減の1,282百万円、経常利益は同49.2%減の1,809百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同41.8%減の1,468百万円となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

増減額

前期比(%)

売上高

124,012

127,982

+3,969

+3.2

営業利益

3,014

1,282

△1,732

△57.5

経常利益

3,562

1,809

△1,752

△49.2

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,523

1,468

△1,055

△41.8

 

(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は91,192百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,253百万円増加いたしました。流動資産は55,769百万円となり、1,018百万円減少いたしました。これは現金及び預金が3,453百万円減少した一方、電子記録債権が1,811百万円、商品及び製品が385百万円増加したこと等によります。固定資産は35,423百万円となり、4,271百万円増加いたしました。これは有形固定資産が1,640百万円、無形固定資産が1,318百万円、投資その他の資産が1,313百万円増加したことによります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は34,523百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,441百万円増加いたしました。流動負債は28,113百万円となり、1,725百万円増加いたしました。これは電子記録債務が1,156百万円、一年内返済予定の長期借入金が666百万円、未払金が520百万円増加した一方、買掛金が449百万円減少したこと等によります。固定負債は6,409百万円となり、716百万円増加いたしました。これは長期借入金が658百万円増加したこと等によります。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は56,669百万円となり、前連結会計年度末に比べ811百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益が1,468百万円、自己株式の取得が640百万円、配当金の支払が959百万円あったこと等によります。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の63.5%から62.1%になりました。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

増減額

流動資産

56,787

55,769

△1,018

固定資産

31,151

35,423

+4,271

資産合計

87,938

91,192

+3,253

流動負債

26,387

28,113

+1,725

固定負債

5,693

6,409

+716

負債合計

32,081

34,523

+2,441

純資産合計

55,857

56,669

+811

自己資本比率(%)

63.5

62.1

△1.4

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,453百万円(15.7%)減少して18,580百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は2,433百万円(前期比43.4%減)となりました。これは税金等調整前当期純利益が2,162百万円、減価償却費が4,328百万円、仕入債務の増加が706百万円あった一方、売上債権の増加が1,951百万円、棚卸資産の増加が1,369百万円、法人税等の支払が948百万円あったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は5,358百万円(前期比134.5%増)となりました。これは投資有価証券の売却による収入が657百万円あった一方、生産設備への投資・改修、ショールーム移転・改装等により有形固定資産の取得による支出が3,613百万円、情報システム構築に伴う無形固定資産の取得による支出が2,441百万円あったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は572百万円(前期比71.7%減)となりました。これは、長期借入金の返済による支出が1,675百万円、配当金の支払が959百万円、自己株式の取得による支出が641百万円あった一方、長期借入れによる収入が3,000百万円あったこと等によるものです。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

増減額

営業活動による

キャッシュ・フロー

4,303

2,433

△1,869

投資活動による

キャッシュ・フロー

△2,285

△5,358

△3,073

財務活動による

キャッシュ・フロー

△2,025

△572

+1,453

現金及び現金同等物期末残高

22,034

18,580

△3,453

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

   (自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

前期比(%)

厨房部門(百万円)

54,110

+2.4

浴槽・洗面部門(百万円)

11,952

△1.4

その他(百万円)

2,590

+31.2

合計(百万円)

68,653

+2.5

(注)金額は平均販売価格によっております。

 

b. 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

   (自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

前期比(%)

厨房部門(百万円)

33,808

+3.8

浴槽・洗面部門(百万円)

2,260

△1.7

その他(百万円)

728

+33.6

合計(百万円)

36,797

+3.9

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c. 受注実績

当社グループの受注生産品の売上高は、僅少でありますので記載を省略しております。

 

d. 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

   (自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

前期比(%)

厨房部門(百万円)

105,152

+4.3

浴槽・洗面部門(百万円)

14,815

△2.9

その他(百万円)

8,013

+0.9

合計(百万円)

127,982

+3.2

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態及び経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や行動制限緩和による個人消費の回復や、円安によるインバウンド需要の高まりがみられました。その一方、不安定な国際情勢や為替相場の変動による資源・エネルギーの供給不足、原材料価格の高騰もあり、先行き不透明な状況で推移しました。

住宅設備機器業界におきましては、巣ごもり需要の減退や、建築費高騰による住宅需要の低迷もあり、厳しい経営環境となりました。

このような中、当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ3.2%増の127,982百万円となりました。主力の厨房部門では、2023年6月にモデルチェンジしましたシステムキッチン高級品クラスの「CENTRO(セントロ)」が前期比において数量、金額とも増、中・高級品クラスの「STEDIA(ステディア)」は数量減、金額増、普及品クラスの「ラクエラ」は数量減、金額増となりました。この結果、厨房部門の売上高は前連結会計年度比4.3%増の105,152百万円となりました。浴槽・洗面部門では、2024年2月にサニタリー商品の強化を目的にシステムバスルームを一新し、中・高級価格帯の「SELEVIA(セレヴィア)」と普及価格帯「rakuvia(ラクヴィア)」の2ブランドを発売しました。システムバスルーム中・高級品クラスの「アクリアバス・セレヴィア」は数量、金額とも減、普及品クラスの「ユアシス・ラクヴィア」は数量、金額とも減、洗面化粧台においても数量、金額とも減となりました。この結果、浴槽・洗面部門の売上高は前連結会計年度比2.9%減の14,815百万円となりました。

売上原価は、売上原価率が前連結会計年度に比べ0.7%上昇し68.8%、88,046百万円となりました。売上原価上昇の主な要因は、原材料やエネルギーの価格高騰によるものです。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2,082百万円増加し、38,653百万円となりました。これは主に販売費、広告宣伝費、人件費、物流費、減価償却費等の増加によるものです。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は0.7%増加いたしました。

この結果、営業利益は1,282百万円となり、前連結会計年度に比べ1,732百万円の減益となりました。営業利益率は1.0%となり、前連結会計年度に比べ1.4%悪化いたしました。

営業外損益については、純額で527百万円の収益で前連結会計年度に比べ19百万円減少いたしました。

この結果、経常利益は1,809百万円となり、前連結会計年度に比べ1,752百万円の減益となりました。

特別損益については、特別利益は、投資有価証券売却益等の増加により前連結会計年度に比べ310百万円増加の534百万円となりました。特別損失は、固定資産除売却損の増加等により181百万円となり、前連結会計年度に比べ84百万円の増加となりました。

この結果、税金等調整前当期純利益は2,162百万円となり、前連結会計年度に比べ1,526百万円の減益となりました。

法人税等については、前連結会計年度に比べ471百万円減少し、694百万円の計上となりました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ1,055百万円減益の1,468百万円となりました。

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの連結売上高に占める厨房部門の売上高割合は、当連結会計年度82.2%、前連結会計年度81.3%となっております。当連結会計年度の新設住宅着工戸数は80万戸でありましたが、今後の新築需要、リフォーム需要動向が悪化した場合、原材料費や物流コストの著しい高騰、競合他社との競争が一層激化した場合、消費者ニーズに合致した新商品を適時に導入できなかった場合、また、自然災害等により当社グループの生産設備に甚大な影響を及ぼした場合において、厨房部門のシステムキッチンの販売動向に影響し、当社グループの経営成績に影響を与えることが考えられます。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金状況は、営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ1,869百万円減少し、2,433百万円となりました。

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ3,073百万円増加し、5,358百万円となりました。

財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ1,453百万円減少し、572百万円となりました。

なお、詳細につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況に記載しておりますので、ご参照ください。

以上の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ3,453百万円減少し、18,580百万円となりました。

当社グループは、現在、運転資金及び設備投資資金について、内部留保資金又は借入により調達することとしております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって連結決算日における資産・負債の報告数値及び連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる要因に基づき判断し、行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成において、以下の重要な会計方針が、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a. 収益の認識

当社グループの商品又は製品の販売に係る収益は、主に卸売又は製造等による販売であり、顧客との販売契約に基づいて商品又は製品を引き渡す一時点において、顧客が当該商品又は製品に対する支配を獲得して充足されると判断し、引き渡し時点で収益を認識しております。

また、請負契約による当社グループの商品又は製品の納入等に係る収益については、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。なお、請負契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い契約については代替的な取扱いを適用し、一定の期間にわたり収益を認識せず、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識する方法によっております。

b. 貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払い不能時に発生する貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払い能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。

c. 投資の減損

当社グループは、長期的に円滑かつ密接な関係を維持するために特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。これらの株式には市場価格のある公開会社の株式と、市場価格のない非公開会社株式が含まれます。当社グループは、著しい投資価値の下落について、回復可能性がないと判断した場合、投資の減損損失を計上しております。

d. 税効果会計

当社グループは、繰延税金資産の計上にあたっては、将来回収可能性に基づき計上しております。将来の課税所得及び実現可能性の高い税務計画を検討し、回収可能性がないと考えられるものについては、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

 

e. 退職給付会計

従業員退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。当社グループの確定給付企業年金制度において退職給付債務の割引率は、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。長期期待運用収益率は、運用収益の実績等に基づき、見直しの必要性を検討しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は、前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として認識され、将来(認識後10年)にわたって償却されるため、将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。

 

f. 固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は開発部門に主体をおき、営業部門及び生産部門と連携して「新たな業界標準となる新商品開発」の実現のため、社内固有技術の活用と協力企業による共同研究開発を積極的に推進しております。

当連結会計年度の研究開発活動につきましては、市場の変化や顧客の要求に迅速に対応すべく商品開発の期間短縮と、収益性向上のためVE等による原価低減活動を展開いたしました。また、人体への安全性を配慮した部材を採用するとともに、ステンレス等の再生利用が容易な材料を使用する等、環境に配慮した商品づくりを積極的に推進しております。

厨房部門では、2023年6月にフラッグシップ商品であるステンレスシステムキッチン「CENTRO(セントロ)」を発売いたしました。高品質と洗練されたデザイン、そして使う人のことを考えた機能を充実させ、一人ひとりの憧れと理想を形にいたしました。特に独自技術を用いたステンレスワークトップ「バイブレーションダーク」は、環境配慮、意匠性、機能性が評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。

浴槽・洗面部門では、2024年2月にシステムバスルームを一新し、中高級価格帯「SELEVIA(セレヴィア)」と普及価格帯「rakuvia(ラクヴィア)」を発売いたしました。新コンセプト「リビングバスルーム」のもと、構造体やサイズバリエーションを一新し、より幅広い需要に対応できる商品としております。更に、システムバスルームと空間コーディネートを可能としたベッセル型洗面化粧台「ELVITA(エルヴィータ)」とカウンター洗面化粧台「rakutowa(ラクトワ)」を同時発売し、システムバスルームと併せた商品の強化を図りました。

また、2021年に定めた「クリナップサステナブルビジョン2030」による「人と暮らしの未来を拓く」のテーマのもと、ビジョン実現に向けた活動を展開しております。武蔵野美術大学と産学共同で未来のキッチンを考え、2024年3月には「未来キッチンプロジェクト」産学共同発表会を開催し、移動という新しい価値を備えた「モビリティキッチン」のプロトタイプを発表いたしました。今後も研究を継続し、2030年までに事業として新しいライフスタイルの創出と災害支援に貢献することを目指します。

以上のように、専業メーカーとして独自性のある物づくりのために必要な技術開発を行うとともに、企業理念「家族の笑顔を創ります」を実現するために、快適な機能性と機能美を備えた新しい商品提案を行う活動を展開しております。

なお、当連結会計年度における研究開発活動に費やした支出の総額は、1,263百万円であります。

 

(注)事業部門を明確に区分できる支出の割合が低いため、事業部門別の支出金額は記載しておりません。