(1)会社の経営の基本方針・中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした3ヵ年計画「第八次中期経営計画(RISO Vision 25)」を策定し、運営してまいりました。
<第八次中期経営計画(RISO Vision 25)>
《マネジメント目標》
インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する
第八次中期経営計画期間においては、印刷機器関連事業は多枚数プリント用途への販売強化やグループ全体の効率改善に取り組んでまいりました。インクジェット事業の拡大につきましては、販売は当初の想定に対して未達となりましたが、プロダクション市場を中心に多枚数プリント用途の販売強化に注力し、収益力の強化が進んだと評価しております。
また、東芝テック株式会社よりインクジェットヘッド事業を承継し、2024年7月より運営を開始しております。
これらの結果、最終年度にあたる当期は為替の円安影響もあり、連結売上高787億円、連結営業利益61億円となりました。
当社グループは2001年4月から2025年3月まで、期間を3ヵ年とした「中期経営計画」を8回に渡り策定し、運営してまいりました。
しかしながら、3ヵ年という短期・中期の業績を意識した運営にとらわれず長期的なヴィジョンや本質的なリスクの議論を深めるため、第八次中期経営計画(RISO Vision 25)に続く3ヵ年の「中期経営計画」の策定を行わないこととしました。
今後はより長期かつ本質的な視点による運営を目指してまいります。
(2)会社の経営環境及び対処すべき課題
当社グループの主要事業である印刷機器関連事業においては、インクジェット事業の収益力を強化することが課題であるととらえております。また、中長期的な課題は、経営環境の変化に適応し当社グループを効率的で強い企業体質に変えることだと認識しております。
当社グループの中長期的な成長を実現するために、製品・サービスの特長をいかした販売活動を全世界で展開してまいります。また、新規事業の創出に向けた活動を行ってまいります。
2026年3月期は以下の項目を経営方針に掲げ運営してまいります。
<2026年3月期経営方針>
印刷機器関連事業の安定した運営を継続する
理想科学らしい企画・開発を推進する
コーポレート本部の企画力を充実する
サステナビリティに関する課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に取り組んでおります。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社は、「損失の危険の管理に関する規程」に基づき、サステナビリティに関連する事項を含む全社的なリスク管理体制を整備しております。リスク管理の最高責任者は代表取締役社長 社長執行役員とし、リスク管理システムの構築および維持に関する全責任と権限を有しております。取締役会は、リスク管理業務の執行責任者としてリスク・コンプライアンス担当執行役員を選任しており、同執行役員の指揮下で、リスク管理業務の執行を補助する機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。
リスク・コンプライアンス委員会は、担当執行役員を委員長とし、リスク・コンプライアンス責任者に任命された各部門長の中から担当執行役員が推薦し、代表取締役社長 社長執行役員が選任したメンバーによって構成されており、子会社も含めたグループ全体のリスク管理に適した体制としています。また、当委員会は内部統制部門長、常勤監査役、顧問弁護士からの助言を受ける体制としております。
リスク・コンプライアンス委員会では、影響度及び発生確率を考慮した「リスクマップ」を作成し、当社グループを取り巻く様々なリスクの影響を分析・評価しております。サステナビリティに関するリスク項目としては、環境法令違反、自然災害・事故リスク、知的財産権リスク、人的リソースの不足または余剰、情報漏洩リスク、カントリーリスク、社員の健康リスク、ハラスメント、第三者によるデータ破壊や改ざん等があり、これらのリスクごとに「ワーストシナリオ」を策定しています。重要リスク等については、個別にリスク管理プログラムを策定・実行し、リスクの低減・移転・回避を図ることで、統合的なリスクマネジメントを推進しています。
リスク・コンプライアンス責任者は、四半期ごとにリスクの発現状況及び対応状況をリスク・コンプライアンス委員会に報告し、同委員会及び担当執行役員がその進捗を管理しております。子会社のリスク管理については、主管部門を規程により定めており、主管部門がリスクの発現状況をモニタリングし、リスク・コンプライアンス委員会に報告する体制を整えています。
なお、当事業年度はサステナビリティに関する事項として「環境、社会、サイバーセキュリティ、従業員、人権の尊重」に関する内容を取り上げました。
なお、サステナビリティ関連の「機会」の監視・管理を統括して行う組織はなく、各部門が主体となって取り組んでおります。事業を継続する上で必要となる環境及び社会的基準への取り組みを推進するために、サステナビリティ委員会でリスク及び機会を識別、評価及び管理する体制を議論、検討しております。
(2)戦略並びに指標及び目標
当社は、当社の事業活動を「事業における重要性」と「社会・環境への影響の大きさ」の2軸で整理し、重要性・影響の大きい取り組みの領域を特定し、3つのマテリアリティを決定しました。
各マテリアリティへの取り組みは、次のとおりであります。
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マテリアリティ |
戦略 |
機会 |
リスク |
指標及び目標 |
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①経済 お客様が必要とする価値を創造し提供します
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理想科学は、「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、製品やサービスを通じて世界中のお客様の生産性・経済性・利便性の向上に貢献します。 |
・大量印刷への業務効率化のニーズの高まり。 ・フルカラー印刷へのコスト削減のニーズの高まり。 ・多様なプリントニーズへの柔軟な対応。 |
・競争の激化 ・技術革新への対応 |
達成状況を図る具体的な指標・目標は定めておりません。 |
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②社会 社会とのつながりを大切にします
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製品やサービスを通じて、地域社会や学校現場などのコミュニケーションをより良いものにします。 サプライヤーとのパートナーシップを推進することで、法令を遵守した常に公正で透明な調達を行っています。 社員一人ひとりが健康で、チャレンジと成長を続けている風土づくりに取り組んでいます。 |
・教育現場の課題に対する解決方法の提供。 ・サプライチェーン全体におけるサステナビリティの強化。 ・多様な人材の確保、多様な働き方の推進。 |
・海外事業展開に伴うカントリーリスク ・法令違反に関するリスク ・法的規制 ・各種認定基準の変更 ・人材の確保 ・感染症に関するリスク |
達成状況を図る具体的な指標・目標は定めておりません。 |
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③環境 地球規模での環境保全に貢献します
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環境負荷を低減しつつお客様に長くお使いいただける製品を開発しています。 美しい健全な環境を次世代に引き継ぐために地球規模での環境保全に貢献します。 |
・サーキュラーエコノミー(循環経済)へのシフトによる環境配慮の重要性の高まり。 ・低炭素社会実現に向けた取り組み。 |
・海外事業展開に伴うカントリーリスク ・自然災害や事故に係るリスク ・法令違反に関するリスク ・法的規制 ・各種認定基準の変更 |
2030年目標として当社国内全体で ①エネルギー使用量売上高原単位を2020年度比で9.56%改善する。 ②CO2排出量を2013年度比で46%削減する。 [2023年度実績] ①約10%改善 ②約26%削減 |
(3)気候変動への対応
気候変動問題が事業にもたらす影響は重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に取り組んでおります。
また、2025年2月12日に「2050年カーボンニュートラルの実現を目指す。」という気候変動対応方針を制定しました。
①ガバナンス
ガバナンス体制につきましては「(1)ガバナンス及びリスク管理」に記載のとおりです。
②リスク管理
物理的リスク
3「事業等のリスク」に記載している、(7)自然災害や事故に係るリスクについて、が当該事項のリスクになります。当該リスクにつきましては、子会社も含めた製造拠点への影響を中心に、製造部門が主体となって取り組んでおります。
移行リスク
3「事業等のリスク」に記載している、(11)法令違反に関するリスクについて、(12)法的規制について、(13)各種認定基準の変更について、が当該事項のリスクになります。当該リスクにつきましては、環境部門が主体となって取り組んでおり、環境関連の法規制や認定基準の変更について対応を行っております。
③戦略並びに指標及び目標
当社グループは温室効果ガスの排出量の削減に取り組んでおります。2023年度における温室効果ガス(GHG)排出量は以下のとおりです。なお、現時点において気候変動への対応に関する戦略は検討中であり、指標及び目標は見直しを進めております。
GHG排出量(スコープ1,2) [単位:t-CO2e]
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スコープ |
2020年度※3 |
2021年度※3 |
2022年度※3 |
2023年度※3 |
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スコープ1+ スコープ2マーケット基準合計※4 |
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スコープ1※1 |
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スコープ2※2マーケット基準 |
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※1.直接排出:都市ガス、LPG、天然ガス、灯油、ガソリン、軽油、非エネルギー系GHGなど
※2.間接排出:電力
※3.年度 :4月1日から翌年3月31日までの1年間
※4.合計 :端数処理の関係で合計の数値が合わない場合があります。
[備考]
当連結会計年度からGHGプロトコルを参考にした算出条件に変更しております。
(4)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
①ガバナンス
ガバナンス体制につきましては「(1)ガバナンス及びリスク管理」に記載のとおりです。
②リスク管理
3「事業等のリスク」に記載している、(6)海外事業展開に伴うカントリーリスクについて、(14)人材の確保について、が当該事項のリスクになります。
③戦略
(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針)
当社の人事制度は「多様な人材や働き方が認められ、活躍できる会社」を目指しており、多様な貢献タイプを示し、自らが主体的に選択できる環境を支援しています。さらに、必要スキルの向上や実力発揮の場と機会を提供しています。経営人材育成の一環として、次世代リーダーの発掘・育成プログラムを継続的に実施しています。
(人材の多様性の確保を含む社内環境整備に関する方針)
育児休業から復職した社員を対象としたキャリア相談を実施し、育児と仕事の両立を必要としている社員が安心して仕事ができる環境づくりに努めています。さらに、人種や国籍などを問わず、能力を重視して採用するよう取り組み、多様性の確保を推進しています。
④指標及び目標
当社では、上記「③戦略」に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、2025年3月末を期限とした指標及び目標として「女性管理職比率3.5%、年次有給休暇の取得率60%以上」設定し取り組んでまいりました。当事業年度末時点における実績は、女性管理職比率・年次有給休暇の取得率ともに目標を上回りました。そのため、2027年3月末を期限とする以下の指標及び目標を新たに設定し、引き続き多様性の確保を含む人材育成および社内環境整備に取り組んでまいります。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、以下の指標及び目標は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
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カテゴリー |
KPI |
実績(2025年3月末) |
目標( |
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人材育成 |
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社内環境整備 |
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当社は、会社法の定めに基づき「損失の危険の管理に関する規程」を制定しています。重要な業務は、執行に伴うリスク分析や対策の検討をしたうえで、業務執行会議や取締役会で審議・決定します。また、「リスク・コンプライアンス委員会」では、当社グループを取り巻くさまざまなリスクが発生した場合の影響度などを分析・評価して、「リスクマップ」を作成しています。グループ経営に重大な影響を与えるリスクについては、個別にリスク管理プログラムを策定し実行することで、リスクの低減・回避に努め、統合的なリスク管理と体制整備を推進しています。
リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しており、リスク・コンプライアンス委員会ではリスクの発現状況及び発現したリスクに対する対応状況を定期的に確認しています。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスク並びに投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)競争の激化について
当社グループの主力である事務用印刷機器関連製品においては、同じテクノロジーを用いた孔版印刷機やインクジェットプリンターを始め、同様のマーケットを対象にする複写機やレーザービームプリンターなどとの競合が考えられます。
性能面あるいは価格面における競争が激化した場合は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術革新への対応について
当社グループは、事務用印刷機器関連製品の開発・製造・販売をコアビジネスとしております。このような中で、当社の孔版印刷技術やインクジェット技術に対抗するような技術革新が起こった場合は、当社グループの製品の競争力が著しく低下する可能性があります。従って、当社グループが技術革新の流れを十分に予測することができず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)業績不振の子会社について
当社グループの販売子会社は、販売不振等により、継続的に経常損失を計上している業績不振の子会社が存在しております。当該子会社では、経費の削減のみならず販路の再構築や陣容の見直し等の実施などにより業績の改善を図っておりますが、計画どおりに業績が改善しない場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替レートの変動が業績に与える影響について
当社グループの印刷機器関連事業においては、売上高の半分程度が海外の顧客向けであります。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル及びユーロに対する円高は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)会計制度・税制等の変更について
会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
(6)海外事業展開に伴うカントリーリスクについて
当社グループは、中国及びタイに製造拠点を有するとともに、世界各地域に販売子会社を設立しております。これらの海外市場への事業進出は、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。
①政情不安、反日感情の高まり及び経済環境の悪化
②優秀な労働力の不足、人件費の高騰、大規模な労働争議の発生
③社会インフラの未整備に起因するエネルギー供給の不安定化
④テロ、戦争、暴動、自然災害、感染症の蔓延などによる社会的混乱
当社グループは、製造拠点の存する中国及びタイ並びに販売子会社の存する各国の情勢把握には常に注意を払い、損害を未然に防止できるよう努めておりますが、大規模な労働争議、テロ、戦争、暴動、自然災害などの不測の事態が発生した場合には、当該地域における生産活動や販売活動の停止、現地資産の喪失などにより、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)自然災害や事故に係るリスクについて
当社グループでは、製造拠点を分散しておりますが、地震等の自然災害あるいは火災などの事故によって、当社グループの製造拠点の設備が壊滅的な被害を被った場合、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が減少する恐れがあります。また、製造拠点の修復のための多額の費用を保険でカバーできない場合もあり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報漏洩について
当社グループは、事業の過程において顧客の個人情報を取得するとともに技術分野におけるノウハウや顧客情報など貴重な機密情報を保有しております。当社グループは、これらの情報の適正な管理を行うため「個人情報保護規程」、「企業機密管理規程」等の諸規程を定めるとともに、従業員教育を通じて情報管理への意識を高め、グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐよう努めております。また、当社は一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの認定を取得しております。しかし、これらの施策にもかかわらず、個人情報や機密情報が万一漏洩した場合、損害賠償責任や社会的責任を負うばかりでなく、企業の競争力が削がれ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権の侵害、被侵害について
当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品設計段階における特許調査等により細心の注意を払っております。しかしながら、製品の精密化、製品技術の多様化、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合、販売差し止めや設計変更等に伴うコスト増加の可能性があります。一方、第三者による当社グループの知的財産権侵害を完全に防止することができない可能性もあり、その場合、当社グループの製品が想定するシェアを確保できず、売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)製品の欠陥について
当社グループは、印刷機器及び関連消耗品を茨城県及び山口県、並びに中国及びタイの製造拠点で品質管理に最大限の配慮を置き製造しております。しかし、製品に重大な欠陥が発生しないという絶対の保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は多額のコストを生じることに加え、当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が減少し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)法令違反に関するリスクについて
当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において適用される法令を遵守し活動しなければなりません。また、当社グループは、法令の遵守だけでなく、正義感や倫理に基づいて判断できるような社員教育を心がけ、「遵法経営規程」や「コンプライアンス行動指針」を制定して経営にあたっております。さらに従業員向けの相談窓口として、コンプライアンスホットラインやハラスメントホットラインを設置しておりますが、一社員の行動や判断の誤りから一瞬にして信用を失うことも予想されます。万が一当社グループの役員又は社員が社会的信用を失うような法令違反を犯した場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的規制について
当社グループは、日本国内のみならず事業展開する世界各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境、情報統制等の法的規制を受けております。このような中、当社グループは法令遵守に努めておりますが、将来当社グループの営む事業の継続に影響を及ぼすような法的規制が課せられる場合には、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)各種認定基準の変更について
当社グループは、製品の開発・製造・販売等の事業活動において、必要と認めた各種の認定基準を満たすよう努めております。そのため新たな認定基準が導入された場合、もしくは認定基準が変更された場合は、設計変更等に伴いコストが増加する可能性があります。また、認定基準を満たせない場合は、販売機会が減少し売上が減少する可能性があります。これらの要因により、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材の確保について
当社グループは、継続的に事業を発展させるためには専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営に優れた人材を確保する必要があります。しかしながら、日本国内における少子高齢化や労働人口の減少により、人材の確保が計画どおりに進まなかった場合、長期的には事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(15)感染症に関するリスクについて
当社グループは、日本をはじめ世界各地域に製造・販売拠点を有しております。そのため感染症の大規模な流行が発生した場合、以下のリスク全てを回避することは困難であり、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
a.従業員が感染するリスク
従業員が感染した場合、行政機関と連携し対応しますが、事業所等の消毒などに必要な期間や、生産や販売に必要な体制を整えることができない場合などに休業を余儀なくされる可能性があります。
b.取引先における感染リスク
部材調達先や運送会社等の取引先が感染により休業を余儀なくされた場合には、当社製造拠点の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。
c.需要動向に関するリスク
感染症の影響に伴い世界経済が停滞し、国内・海外の景気低迷が長期化した場合、顧客の需要動向が変化することにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)その他リスクについて
a.市場性のある株式保有
当社は市場性のある株式を保有しており、株価が大幅に下落した場合にはその他有価証券評価差額金の減少、評価損の計上、売却時に損失が発生するなど当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした第八次中期経営計画(RISO Vision 25)を策定し、『インクジェット事業を拡大するとともに顧客志向に基づく販売企画体制を構築する』を中期的な経営目標に掲げて運営してまいりました。
当期の業績は、前期と比べ売上高は増収、営業利益は増益となりました。印刷機器関連事業の売上が堅調に推移したことに加え、為替が前期に比べ円安に推移したことなどによるものです。親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。当社連結子会社である理想(中国)科学工業有限公司における構造改革費用として4億9千万円を特別損失に計上し、ソフトウエア資産の減損損失として2億1千9百万円を特別損失に計上したことなどによるものです。
売上高は787億2千3百万円(前期比5.5%増)、営業利益は61億8千3百万円(同17.6%増)、経常利益は63億6千4百万円(同2.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億8千8百万円(同15.4%減)となりました。
なお、当連結会計年度の期中平均為替レートは、1米ドル152.58円(前期比7.96円の円安)、1ユーロ163.75円(同6.95円の円安)となりました。
当社は、2024年7月1日に東芝テック株式会社から「インクジェットヘッド事業」を承継しました。これに伴い、当第2四半期から報告セグメント「印刷機器関連事業」を新設しました。「印刷機器関連事業」には、これまでの「印刷機器事業」と「インクジェットヘッド事業」を含みます。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
・印刷機器関連事業
当社グループは、印刷機器関連事業として、「印刷機器事業」と「インクジェットヘッド事業」を行っております。このうち「印刷機器事業」では、高速インクジェットプリンター「オルフィス」を主としたインクジェット事業とデジタル印刷機「リソグラフ」を主とした孔版事業を行っております。
印刷機器関連事業は、売上高は770億4千2百万円(前期比5.7%増)、セグメント利益は59億6百万円(同27.1%増)と前期と比べ増収増益となりました。日本では、前期は消耗品の価格改定に伴う前倒し需要の反動により販売が減少しましたが、当期においてはその影響がないため売上が前期を上回りました。海外では、為替の円安影響により売上が前期を上回りました。また、2024年7月から運営を開始したインクジェットヘッド事業が売上高を押し上げました。
日本の売上高は362億円(同4.6%増)、海外の売上高は408億4千1百万円(同6.8%増)となりました。
・不動産事業
当社グループは、不動産事業として、ビルの賃貸等を行っております。
不動産事業の売上高は、10億2千5百万円(前期比6.3%減)、セグメント利益は6億2千2百万円(同18.3%減)となりました。
・その他
当社グループは、上記の報告セグメントの他、プリントクリエイト事業、デジタルコミュニケーション事業及びアプリケーションソフトウェア事業等を行っております。
その他の売上高は、6億5千6百万円(前期比3.6%増)、セグメント損失は3億4千5百万円(前期は1億5千2百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億8千2百万円増加し、889億1千1百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億6千9百万円増加し、224億5百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3億8千7百万円減少し、665億5百万円となりまし
た。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ63億8千1百万円減少し、137億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は33億4千7百万円(前期比48.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益57億2千3百万円、減価償却費30億9千6百万円、仕入債務の減少額36億6千万円、法人税等の支払額17億2千6百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は83億3百万円(同535.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出17億5千3百万円、吸収分割による支出67億5千万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は14億6千5百万円(同73.8%減)となりました。これは主に、短期借入金の純増額13億8千8百万円、長期借入れによる収入30億円、自己株式の取得による支出24億9千9百万円、配当金の支払額32億8千4百万円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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第68期 |
第69期 |
第70期 |
第71期 |
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自己資本比率(%) |
77.0 |
75.8 |
75.5 |
74.8 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
81.8 |
90.9 |
114.9 |
89.9 |
|
キャッシュ・フロー |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
1.5 |
|
インタレスト・カバレッジ・ |
156.9 |
232.3 |
677.5 |
65.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用し、有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の生産実績は主に印刷機器関連事業によるものであり、当連結会計年度における印刷機器関連事業の生産実績は、51,859百万円(前年同期比108.3%)であります。なお、金額は出荷価格によっております。
b.受注実績
当社グループは見込生産が主体で、受注生産は稀少であるため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
地域 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
日 本 |
36,200 |
104.6 |
|
|
米 州 |
6,297 |
109.7 |
|
印刷機器関連事業 |
欧 州 |
18,593 |
107.3 |
|
|
ア ジ ア |
15,950 |
105.1 |
|
|
計 |
77,042 |
105.7 |
|
不動産事業 |
- |
1,025 |
93.7 |
|
その他 |
- |
656 |
103.6 |
|
合 計 |
78,723 |
105.5 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度について販売実績が総販売実績の100分の10以上となる相手先はないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
総資産は2億8千2百万円増加し、889億1千1百万円となりました。
資産の部における主な増減要因は、インクジェットヘッド事業の承継によるのれん等の増加及び現金及び預金の減少、退職給付債務の割引率変更に伴う退職給付に係る資産の増加によるものです。主な増減内容は、のれんが23億8百万円、退職給付に係る資産が15億3千4百万円それぞれ増加し、現金及び預金が72億2百万円減少しました。
負債の部における主な増減要因は、短期借入金及び長期借入金の増加、前連結会計年度末の金融機関休日影響及びインクジェットヘッド事業の承継による支払手形及び買掛金の減少によるものです。主な増減内容は、短期借入金が13億8千8百万円、長期借入金が24億3千6百万円それぞれ増加し、支払手形及び買掛金が36億9千8百万円減少しました。
以上の結果、流動比率は17.6ポイント減少し229.2%となりました。
純資産は3億8千7百万円減少し、665億5百万円となりました。
純資産の部における主な増減要因は、利益剰余金の増加、自己株式の取得による自己株式の増加、退職給付債務の割引率変更に伴う退職給付に係る調整累計額の増加によるものです。主な増減内容は、利益剰余金が8億3百万円、自己株式が25億円、退職給付に係る調整累計額が7億7千6百万円それぞれ増加しました。
以上の結果、自己資本比率は0.7ポイント減少し74.8%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たりの純資産額は19円03銭増加し、1,037円20銭となりました。なお、当社は、2025年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額を算定しております。
b.経営成績
当期は前期と比べ売上高は増収、営業利益は増益、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。売上高は787億2千3百万円(前期比5.5%増)、営業利益は61億8千3百万円(同17.6%増)となりました。
経常利益は、受取利息等による営業外収益6億2千2百万円(同38.1%減)、為替差損等の営業外費用4億4千2百万円(同624.9%増)により、63億6千4百万円(同2.6%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は、保険返戻金による特別利益6千8百万円、構造改革費用及びソフトウエア資産の減損損失による特別損失7億9百万円により57億2千3百万円(同14.5%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税16億8千2百万円(同7.6%減)、法人税等調整額△4千7百万円(前期は4千3百万円)により40億8千8百万円(前期比15.4%減)となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益金額は9円94銭減少し、62円80銭となりました。なお、当社は、2025年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり当期純利益金額を算定しております。
セグメントごとの経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の考え方
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。当社グループは、財務体質の強化と設備投資・研究開発等当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び営業活動上の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間では、グループ各社における余剰資金を子会社配当金として当社が受け取り、余剰資金の有効活用に努めております。
b.資金需要の基本方針
当社グループの運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料費及び製造費、また、製品の販売及び研究開発の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金のうち主なものは、製造拠点における生産設備等の更新等によるものです。将来の成長に向けた戦略的な投資に対しては、投資効率等を総合的に勘案し対応していく方針です。
c.資金調達の基本方針
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。資金調達にあたっては、財務体質にも留意しながら、その可否を判断しております。具体的には、当社の資金調達は、必要な資金の金額、時期、期間に応じて間接金融、直接金融、不動産の流動化等から適切な調達方法を選択します。また、海外子会社の資金調達は、為替リスクを考慮し、原則として現地で間接金融による調達を行っております。複数の金融機関との間で合計131億4千7百万円の当座貸越契約を締結しており(借入未実行残高117億4千7百万円)、緊急時の流動性を確保しております。
d.資金配分についての考え方
当社グループ全体として得られた資金は、成長投資、株主還元、手許資金に振り分けています。成長投資については、設備投資・研究開発等に活用し、業績向上に努めてまいります。設備投資は、投資対効果を見極め、売上拡大・コスト削減につなげる投資を行っていきます。M&Aや業務提携は、当社の技術を活かし新たな市場開拓ができるような案件があれば検討してまいります。株主還元については、①企業体質を強化しつつ業績に裏付けられた成果の配分を行うこと、②安定配当の継続に努めること、の2点の「基本方針」に基づき、期末配当による年1回の剰余金の配当を行います。なお、自己株式の取得も株主に対する利益還元の一つと考えており、株価水準や市場の動向を考慮しながら適宜実施します。また、所有する自己株式は原則として消却します。手許資金については、原則として、安全性の高い金融商品で、短期間(主に3か月)での運用を行っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には以下のようなものがあります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
a.棚卸資産の評価方法
棚卸資産は、取得原価で測定しておりますが、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で測定し、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。また、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の需要や市場動向を反映して正味売却価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味売却価額が著しく下落した場合には損失が発生する可能性があります。
b.貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c.退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
e.固定資産の減損処理
当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④目標とする経営指標についての分析
当社グループは、2025年3月期を最終年度とした3ヵ年計画「第八次中期経営計画(RISO Vision 25)」を策定し、運営してまいりました。
第八次中期経営計画期間においては、印刷機器関連事業は多枚数プリント用途への販売強化やグループ全体の効率改善に取り組んでまいりました。インクジェット事業の拡大につきましては、販売は当初の想定に対して未達となりましたが、プロダクション市場を中心に多枚数プリント用途の販売強化に注力し、収益力の強化が進んだと評価しております。
また、東芝テック株式会社よりインクジェットヘッド事業を承継し、2024年7月より運営を開始しております。
これらの結果、最終年度にあたる当期は為替の円安影響もあり、連結売上高787億円、連結営業利益61億円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、カラードキュメントへのニーズに対応したインクジェット方式の高速プリンターや孔版技術をいかしたデジタル印刷機など、独自性のある製品の研究開発に取り組んでおります。製品の開発・設計においては、省エネルギー・省資源といった環境への配慮を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
2024年12月より、新ブランド『Integlide』(インテグライド)を展開し、受注を開始しました。『Integlide』は、当社主力製品の高速インクジェットプリンター「オルフィス」で培ったインクジェット技術をもとに、段ボール、クラフト袋、紙袋、紙器等のパッケージに印刷するためのインクジェット方式のプリントエンジンです。