第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、「現場主義」「顧客第一主義」を経営理念に掲げ、常に「環境、安全、安心、健康」を追求し、お客様の立場に立った製品づくり、お客様のご期待にお応えする提案とサービスの提供を実践しております。また、循環型社会の構築に向けて「エフピコ方式のリサイクル(トレーtoトレー)(ボトルto透明容器)」の普及に努めております。

当社グループは、「食品トレー容器を通じて、お客様の快適な食生活を創造する企業グループ」を目指し、メーカーとして「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」を追求しております。マーケティング・製品開発力・提案力・生産技術力・物流ネットワーク・SCMによる安定供給・リサイクル・ITシステムが互いに補完するバリューチェーンをより強化し、お客様の価値を創造し続けることで、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指した経営に努めております。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは連結経営目標として、売上高3,000億円、経常利益300億円の達成を目指しております。目標とする連結経営指標は、売上高経常利益率10%以上、1株当たり当期純利益250円としております。株主還元方針としては、当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益に対して連結配当性向40%を目途とし、原則として減配せず、累進配当を実施いたします。

(3) 経営環境

食品容器市場は、近年、単身世帯や共働き世帯の増加を背景に、弁当・惣菜を中心とした中食市場の拡大と共に成長を続けてきました。新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテイクアウト・デリバリー市場が定着したほか、高齢者向け宅配給食などの病院介護食市場や、冷凍食品市場の拡大も追い風となっております。

また、直近では食材価格の高騰を背景に、スーパーマーケットやコンビニエンスストア各社が惣菜や弁当の容量見直しを進める中、見栄えや満足感を損なわない容器へのニーズが高まっており、深さや仕切りの工夫や高級感のあるデザインなど、付加価値の高い容器の需要が底堅く推移しております。

一方で、食品小売業界においては、人手不足への対応として省力化・効率化が引き続き求められております。加えて、原材料費や人件費、物流費等のコスト増加、食の安全・安心といった衛生面での要求の高まり、さらにはCO2削減や海洋プラスチックごみ問題への関心の高まりなど、事業環境は多面的に変化を続けております。

このような状況下、当社グループは、安全・安心な食生活を支えるとともに、容器を通じてお客様の生産性向上や価値創造、収益拡大に貢献するご提案を積極的に行ってまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 環境経営の推進

当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す中長期目標を掲げ、目標達成に向けたガバナンス、戦略などについてTCFD提言に基づき公表しております。

事業拠点においては、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入を進めており、関東・中部・関西の各地区で太陽光発電設備が稼働しております。これにより、全国3ヶ所の使用済みトレーリサイクル工場における再生原料製造工程をすべて再生可能エネルギーで賄う体制を整備し、2024年7月1日出荷分よりエコトレーのCO2削減効果が30%から37%に上昇いたしました。2025年11月には中部第一工場にも太陽光発電設備の導入を予定しており、さらなる再生可能エネルギーの活用に取り組んでまいります。

また、業界のリーディングカンパニーとして、「トレーtoトレー」や「ボトルto透明容器」によるリサイクルの仕組みを軸に、環境負荷の低減を図るエコ製品の開発・販売を推進しております。これらの取り組みにより、使用済み容器のリサイクルを通じた廃棄物の削減と資源の循環利用を実現し、サプライチェーン全体でのCO2排出削減に貢献しております。

今後も技術革新や新素材の活用、環境配慮設計を通じて、環境負荷の低い容器の開発と、事業活動に伴う廃棄物の発生抑制・再資源化を一層強化してまいります。

 

② 人材の確保と定着

当社グループは、事業を継続する上で、優秀な人材の確保・定着が最も重要であると考えております。過去数年間の取り組みとして、退職金制度の見直しやグループ製造会社における各種手当の改定などを行ってまいりました。2024年3月期および2025年3月期には、グループ全体における給与水準を平均5%程度引き上げました。2026年3月期は、平均5%台半ばの水準で引き上げを実施しております。引き続き処遇の改善を通じて人材の確保と定着を図ってまいります。

③ 技術革新と製品開発

当社グループは、最新鋭の生産設備の導入と更新を行うとともに、製品の軽量化、新機能開発、新素材開発など、総合的な技術革新を推し進め、高品質で高付加価値な製品、機能性を高めた製品等、お客様のニーズに対応した製品を開発しております。

④ マーケティングと価値創造の提案

当社グループは、テイクアウト・デリバリー市場の定着や冷凍食品市場の拡大など変化を続ける食市場に対し、お客様のニーズや課題を把握し最適な提案を行うとともに、新製品の開発に繋げております。

また、CO2削減による環境への取り組みや人手不足に対応した作業生産性向上のための改善提案、流通コストの削減に対して当社グループのもつ物流ネットワークの提供等、小売業界が抱える問題に対しトータルで提案しております。

⑤ 供給体制の強化

当社グループは、全国を網羅する生産・物流ネットワークやサプライチェーンマネジメントシステムの運用により、安定供給及びトータルコストの最適化を目指しております。関西工場・関西ハブセンターの稼働により、当社拠点配送センターから半径100㎞圏内で主要都市を含む全人口の85%をカバーする生産・物流ネットワークが完成いたしました。また、生産部門における産業用ロボットの導入、物流部門における音声ピッキングシステムの導入、無人搬送車・無人フォークリフトの導入や自動ソーター出荷システムの配置など、省人化を図るとともに生産性を向上させております。

⑥ 社会的責任を重視した経営

当社グループは、食品容器の製造や回収した使用済み食品容器の選別など基幹業務において、障がいのある人材の活用を進めるとともに、お取引先様を中心に、障がい者雇用を創出するサポートも行っております。

また、お客様の事業活動の継続に寄与するため、全国の主要物流22施設すべてに非常用発電設備を設置し、72時間の電力を確保できる体制を整えております。災害などによる停電の際にも物流機能を維持し、食のインフラを支える企業として安定供給に努めております。

⑦ 知的財産権の強化

当社グループは、製品の独自性・差別化を市場においてより確実なものとするため、特許や実用新案・意匠登録などの申請を進め、知的財産権の取得により企業価値を高めております。

⑧ ディーセントワークの推進

当社グループは、社員一人ひとりが個々の能力や特性を最大限に発揮してその役割を果たし、やりがいや充実感を持ちながらいきいきと働ける環境を作ることが、企業価値の向上につながる経営課題の一つであると考えております。このような考え方の下、時差出勤制度の導入、5日間の連続有給休暇取得の義務化、時間単位の有給休暇制度導入、定年年齢を60歳から65歳までの間で選択できる選択式定年制度の導入などにより、多様な働き方を支援する取り組みを進めております。さらに、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を目指すとともに、当社子会社においても「健康経営優良法人(中小企業法人部門)」などの認定に向けて、当社グループ全体で健康への取り組みを強化しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 気候変動対応に関する取組

 当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す中長期目標を定めており、目標達成に向けたガバナンス、戦略などについてTCFD提言に基づき公表しております。

① ガバナンス

 気候関連のリスク及び機会の評価・管理、気候関連の方針・戦略・取り組み(エフピコ・エコアクション2.0)について、以下のプロセスを通じて取締役会による監視体制を構築しております。

1) 部門横断組織である「環境戦略・TCFD推進管理委員会」が、グループ全体の環境戦略やTCFD推進について議論し、方針・戦略を立案します。「環境戦略・TCFD推進管理委員会」の運営にあたっては、環境に関する専門組織であるサステナビリティ推進室が事務局を担います。

2) グループ全体の環境戦略のもと、製品・SCM・調達・生産・物流・販売・オフィスの各部門に設置したWG(ワーキンググループ)が自主目標を立て、気候関連をはじめとする環境課題の解決に向けた取組みを実施いたします。

3) 各WGは、四半期に一度、取組みの進捗状況を「環境戦略・TCFD推進管理委員会」に報告します。

4) 「環境戦略・TCFD推進管理委員会」は、方針・戦略及び取組みの進捗状況について、毎年取締役会へ報告します。

5) 取締役会は「環境戦略・TCFD推進管理委員会」からの報告を受け、様々な視点・知見をふまえモニタリングを行います。

 エフピコ・エコアクション2.0の詳細については、当社ホームページ(https://www.fpco.jp/esg/environmenteffort/ecoaction50.html)をご覧ください。

② 戦略

 当社グループは、炭素税の導入、バージンプラスチック使用に対する課税や化石燃料の価格高騰などが発生した際に想定される影響を、リスク・機会として整理しております。また、2030年をターゲットに、気候変動対策を推進する2℃シナリオ及び気候変動対策が推進されない4℃シナリオにおける気候シナリオ分析を実施し、整理したリスク・機会による財務に与える影響額を試算いたしました。分析の結果、再生原料の調達量拡大、エコ製品の販売拡大、再生エネルギーの活用、新たなリサイクル手法の確立等を通じて、影響を抑えられることを確認いたしました。

 リスク及び機会、シナリオ分析結果については、当社ホームページ(https://www.fpco.jp/esg/environmenteffort/tcfd.html)をご覧ください。

③ リスク管理

 気候関連リスクを含む全社的なリスク管理については、取締役、執行役員やグループ会社の代表者が参加する経営会議(毎月)や情報交換会(毎週)を開催し、リスクの低減ならびにリスク管理に取り組む体制を構築しております。気候関連については、製品・SCM・調達・生産・物流・販売・オフィスの各部門に設置したWGが主体的に様々な目標を立てCO2排出量の削減に向けた取り組みを実施しており、環境戦略・TCFD推進管理委員会がこれらの進捗状況及び結果の報告を受け、評価を行っております。

 詳細については、当社ホームページ(https://www.fpco.jp/esg/environmenteffort/tcfd.html)をご覧ください。

④ 指標及び目標

 気候関連リスク及び機会を管理するための指標及び目標を以下のとおり設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。

Ⅰ 事業活動全体におけるCO2排出量(Scope1・2)を2031年3月期までに2020年3月期比31%削減します。

Ⅱ エコ製品(エコトレー、エコAPET、エコOPET)によるCO2排出削減貢献量を2031年3月期までに27.2万tに増やします。(2020年3月期比170%増)

Ⅲ 事業活動全体におけるCO2排出量(Scope1・2)の実質ゼロを2050年度までに目指します。

 詳細については、当社ホームページ(https://www.fpco.jp/esg/environmenteffort/tcfd.html)をご覧ください。

 

(2) 人材の育成及び多様性確保に関する取組

①人的資本経営の推進

1) 基本的な考え方

 当社グループでは、持続的な成長のために努力と挑戦を続ける最大の資産は“人材”と捉えております。人材の採用から教育、活用、そして退職に至るまで、一人ひとりが個性を発揮できる「人づくり」の仕組みの強化を通じて、やりがいと充実感ある職業人生の実現と組織の一層の活性化を推進することを「人材育成方針」(2022年11月)として掲げ、企業グループ全体の価値向上の途を進んでおります。

2) 社内環境の整備

 当社グループでは、上記の「人材育成方針」のもと、社員一人ひとりが個々の能力や特性を最大限に発揮してその役割を果たし、やりがいや充実感を持ちながらイキイキと働ける環境を作ることが、企業価値の向上につながる経営課題の一つであると考えております。ハード面では、健康・安全を確保した職場を整備するとともに、ソフト面では、働きやすい制度設計等を通じて、職場環境の整備に努めております。

3) 人事制度

・活躍の機会を広げる共通の資格体系

 グループ全体の人材育成、交流を促し、社員の活躍の機会を広げるため、「総合職」「スペシャリスト職」「シニア職」のグループ共通の3つの資格体系を導入しております。

総合職

全社的な視点での業績への貢献や企画立案等、高度な視野・視座・専門性が求められる仕事に従事する

スペシャリスト職

特定領域の仕事に従事する

シニア職

定年延長を選択した場合、60歳~最長65歳の期間で後進育成に軸足を置いた仕事に従事する

・多様な働き方を選べる選択式定年制

 社員の多様な働き方のニーズに応えて、社員が定年年齢を60~65歳の中から選べる選択式定年制を導入しております。65歳以前の定年退職を選択した場合でも、希望者は全員、再雇用社員(1年更新)として65歳まで働くことが可能です。また、本人と会社が希望する場合、65~70歳の再雇用(1年更新)も可能です。

・対話と能力開発を重視した評価制度

 当社グループの「人材育成方針」に基づき、評価者と被評価者による対話と能力開発を重視した評価制度を導入しております。半年ごとの成果貢献評価と年1回の役割発揮評価を行う中で、社員が中長期的な取り組みを考え、目標設定の場で上司との対話によって、中長期的に社員自らが伸びようとする力を高めていくことが大きな狙いです。評価の場面では、社員から半期・通期の目標に対する取組結果をアピールした上で、上司との評価のすりあわせを行い、評価者は、社員の自律的な成長や改善活動をバックアップします。

 さらに、社員が自身のキャリア形成を検討するために必要な情報や機会を積極的に提供することにより、自己実現と組織の一層の活性化を推進してまいります。

(評価制度の全体像)

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4) 人材育成のための取組

・研修

 当社グループでは、女性・外国人・中途採用者など多様な人材が活躍できるよう、新入社員から管理職・役職者まできめ細やかな研修を実施するなど、全ての人が力を発揮できる環境づくりに継続的に取り組んでおります。研修は、プログラムに合わせて集合研修やオンラインの利点を活かしながら実施しております。

・女性の活躍推進

 女性活躍推進法に基づき、「女性活躍推進企業」として2023年に「えるぼし(2段階目)」に認定されました。労働時間等の働き方や、管理職比率、多様なキャリアコースについて評価基準を満たしており、特に女性の管理職比率は産業平均値の約2倍の水準となっています。女性社員の職域拡大、継続就業支援、今後は特に女性総合職の積極的採用及びより高位の役職への女性の登用を進め、女性の活躍の場の拡充を推進してまいります。

・経験の機会の拡充

 当社グループの持続的成長に向けて、将来を見据えて会社全体を俯瞰し、高い視点をもって経営に関わる課題に対応し行動する能力を持つ人材の育成が重要課題と捉えております。グループの力を活かしたジョブローテーション等を実施し社員の経験の機会を拡充するとともに、部門間の連携及び組織の活性化を一層推進してまいります。

5) 仕事と家庭の両立支援

 当社グループは、ワークライフバランスを保ちながら働き続けることのできる職場風土の形成と職場環境づくりを目指しております。子どもが小学6年生まで短時間勤務を希望者に認めているとともに、男性社員に対しては子どもが1歳になるまでの間連続5日間の育児休暇(有給の臨時休暇)取得を義務としております。さらに、「育児休業制度のハンドブック」の作成・配付を通じて、各種休暇制度の周知、産後パパ育休等取得の呼びかけを行う中で、管理職に対してはイクボスの啓発を行っております。

 また、育児だけではなく介護、その他の様々なライフイベントにおいてもワークライフバランスを保ちつつ継続的に活躍できるような環境整備を進めております。

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②指標及び目標

1) 人材の多様性確保

 多様な人材が集まることで着想の幅が広がり、能力・特性を最大限に発揮し、企業価値を向上させる経営を目指しております。

[提出会社の実績]

成果指標

目標値

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

女性

 

 

 

 

 

 

新卒総合職採用の女性比率 ※1

30%以上

 

30.8%

23.1%

31.0%

 

女性の管理職者数 ※1

2026年3月期 50名

 

46名

57名

67名

 

女性の役職者数(課長職以上)※1

2026年3月期 5名以上

 

4名

6名

7名

外国人

 

 

 

 

 

 

外国人の採用者

 

3名

2名

0名

※1.女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画に定めた指標です。

 

[当社グループの実績]

成果指標

目標値

 

2023年3月時点

2024年3月時点

2025年3月時点

障がい者

 

 

 

 

 

 

障がい者雇用率

 

12.5%

12.6%

12.6

 

2) 育児休業の取得

 男女ともに、次世代育成のために休暇を取りやすい職場風土を形成する取り組みを行う上で、男性の育児休業については、取得が当たり前の職場風土の形成を目指しております。

[提出会社の実績]

成果指標

目標値

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

女性育児休業取得率

 

100%

100%

100%

男性育児休業等取得率 ※1,※2

2028年3月期70%以上

 

9.5%

82.6%

69.2%

※1.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に定めた指標です。

※2.男性育児休暇等取得率とは、男性社員が子どもが1歳になるまでの間に連続5日間の有給の臨時休暇を取得することを義務化した2023年7月導入の当社独自の制度と、育児休業を合わせた取得率です。

 

3) 健康経営

 当社グループは、創業以来、「健康」を社訓の一つとしております。2021年11月に「社員一人ひとりが、やりがいや充実感を持ちながら、イキイキと働くことができるよう、健康維持・増進活動を推進し、健康職場づくりを発展させていきます。」との健康宣言を行いました。同宣言の下、部門横断のメンバーが参集する「職場で健康プロジェクト」が各職場の安全衛生委員会と連携して、各種の取り組みを進め、2025年3月に㈱エフピコは4年連続「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。

 今後、「健康経営優良法人ホワイト500」の認定、グループ各社での「健康経営優良法人」の認定を目指して、グループ全体で健康への取り組みを強化してまいります。

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「職場で健康プロジェクト」の取組

健康経営戦略マップ ※1

・健康経営で解決したい経営課題に向けた、健康経営施策のシナリオを図式化

私の健康宣言 ※2

・社員が健康宣言カードにその年の健康活動目標を記載

心身の健康チェック

・全ての事業所でストレスチェックを実施し、受検率95%以上を達成

・あわせて毎月のミニチェック実施率向上に取り組む

生活習慣改善への取組み

・毎年生活習慣アンケートを実施し、課題を分析

・5/31世界禁煙デーに合わせた卒煙強化週間や、8/31野菜の日に合わせたPicoベジweek(野菜摂取週間)、カラダづくり測定会などを企画・実施

健康セミナー、運動イベントの

実施

・2025年3月期は、健康セミナーを計4回・会社対抗ウォークラリー(スマホ歩数)を年2回開催

産業医・保健師によるサポート、保健指導

・全ての事業所で産業医を選任

・産業医、保健師による保健指導、健康診断結果フォローを実施

保健師監修の動画配信

・保健師が監修・ナレーションを担当する5分程度の動画『Pico健康room』を年2回配信

・2025年3月期は、「セルフケア」「ラインケア」のメンタルヘルス対策をテーマに配信

健康情報の発信

・社内イントラネットに、職場で健康プロジェクト専用ページを設けるとともに、「保健師だより」「職場で健康プロジェクト通信」を毎月配信し、ヘルスリテラシーの向上を促進

その他

・休職復職支援マニュアルを作成し、役職者向けの研修を実施

・全拠点の災害備品に生理用品に追加

 

※1.健康経営戦略マップ

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※2.私の健康宣言

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[健康成果指標の提出会社の実績]

成果指標

目標値

 

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

定期健康診断受診率

100%

 

100%

100%

100%

有所見者率

55%以下

 

57.1%

56.8%

59.6%

定期健康診断後の精密検査受診率

40%以上

 

37.4%

34.3%

※3

ストレスチェック受検率

95%以上

 

96.3%

96.1%

95.0%

生活習慣アンケート回答率

90%以上

 

89.0%

55.0%

84.8%

運動習慣率

60%以上

 

56.0%

45.0%

45.6%

朝食摂取率

80%以上

 

73.3%

78.0%

69.7%

睡眠満足率

50%以上

 

46.4%

39.0%

48.2%

喫煙率

20%以下

 

24.8%

20.0%

18.2%

※3.有価証券報告書提出日時点で集計中です。

 

[健康成果指標のグループ目標]

成果指標

目標値

 

健康成果指標

目標値

定期健康診断受診率

100

 

生活習慣アンケート回答率

90以上

生活習慣病予防健診受診率

100

 

運動習慣率

75以上

ストレスチェック受検率

95以上

 

朝食摂取率

80以上

高ストレス者割合

15以下

 

睡眠満足率

75以上

ストレス・ミニチェック利用者

100以上

 

喫煙率

25以下

要再検査・要精密検査受診率

50以上

 

健康セミナー参加率

20以上

特定保健指導利用率

40以上

 

非管理職の月平均残業時間

15時間以下

プレゼンティーイズム

20以下

 

年次有給休暇取得率

60以上

アブセンティーイズム

10以下

 

 

 

 

4) 労働時間の最適化

 長時間労働の撲滅のために、時差出勤、スマイル休暇(連続5日の休暇)の義務化、時間単位の年次有給休暇制度、ノー残業デーの設定、フレックスタイム制の導入などを行っております。残業時間については、法令遵守にとどまらず社内目標に沿って削減に取り組み、長時間労働に対する産業医面談の積極的な勧奨など、「労働時間と健康」に関する施策や情報発信の強化などの取組を推進しています。

[提出会社の実績]

成果指標

目標値

 

2024年3月期

2025年3月期

各月平均残業時間 ※1

2028年3月期

20時間未満

 

20時間を上回った数

4回

20時間を上回った数

7回

管理職・非管理職別の

1人当たりの年次有給休暇

平均取得日数 ※1

2028年3月期

10日以上

 

管理職 8.9日

非管理職 13.8日

管理職 8.8日

非管理職 12.3日

※1.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に定めた指標です。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(特に重要なリスク)

(1) 原料価格について

 当社製品原料であるポリスチレン樹脂、PET樹脂やポリプロピレン樹脂等について、原油の需給バランス、国際情勢や為替レート等の影響により急激かつ大幅に価格上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、原料価格変動分を製品価格へ転嫁するほか、軽量化による原料使用量の削減、使用済み容器やPETボトルをリサイクルした再生原料を使用することで、原料価格の変動による影響を抑えております。

(2) 自然災害・事故・感染症の発生について

 近年、地震、台風をはじめとする自然災害が各地で多発する中、想定外の自然災害や事故等の発生や、感染症の発生・拡大により、操業に重大な影響が発生した場合、原材料の確保、生産、市場への製品供給に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、自然災害や事故等の発生、感染症の発生・拡大等により、生産工場や配送センターの操業が停止した場合にも、お客様が必要とする高品質の製品を安定供給できるよう、サプライチェーンマネジメントシステムを活用し、日本全国の拠点において生産、物流、販売をコントロールする体制を整えております。また、全国の主要物流22施設すべてに非常用自家発電設備の設置と、72時間(3日間)の電力を確保するための燃料の備蓄をしております。

(3) 人材確保について

 国内の人手不足の深刻化等により従業員の採用が困難となり、操業に重大な影響が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、生産部門における産業用ロボット導入や物流部門におけるIT活用による省人・省力化、単身者用社宅(ピコハウス)の建設、給与水準の引き上げや各種人事労務制度の見直しによる従業員の働く環境整備に努めております。

(4) 気候変動について

 当社グループは、環境関連の法律や規制等を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において炭素税の導入やバージンプラスチックを使用した容器包装に対する課税が導入された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、1990年より開始したエフピコ方式のリサイクルを通じて、スーパーマーケットなどのユーザー、包装資材ディーラー、消費者とともに、循環型社会の実現による持続可能な社会の構築を目指すとともに、環境配慮設計による業界トップクラスの環境負荷の低い容器の開発を通し、事業活動に伴う廃棄物の発生抑制及び再資源化の取り組みなど、各種施策を実施しております。

 また、TCFD提言の枠組みを通じて、気候変動に関するリスクやシナリオを想定し、大きな環境の変化に対応できるガバナンス体制の運用に努めております。

 

(重要なリスク)

(1) 製造物責任について

 当社グループは、予期しない製品の欠陥が生じ、損害賠償につながるリスクに対応するために保険に加入し賠償への備えを行っておりますが、保険により補填できない重大な事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、製品の開発と生産にあたり、社内規格、関連法令を遵守してお客様への安全性、品質等に配慮し、クレーム等が発生した場合には、お客様への迅速な対応かつ原因究明を行うよう体制を整えております。

(2) 経済状況、競合について

 景気動向などによる需要の縮小、他社との競合による需給バランスや価格の変動によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、常時およそ12,000アイテムの製品をそろえ、新製品への切換えにより需要の変化に対応するほか、当社オリジナル製品の販売構成比を上げることにより競合他社との差別化を図り、価格競争に陥りにくい体制を構築しております。

 

(3) 有価証券の時価変動について

 当社グループでは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 貸倒れについて

 当社グループは、十分な与信管理を行ったうえで取引を行っておりますが、得意先の信用不安等により、予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、重大な貸倒損失、または引当金の追加計上が発生する場合、当社グループの業績に

影響を及ぼす可能性があります。

(5) 情報セキュリティについて

 当社グループは、業務上必要な機密情報や個人情報を有しておりますが、不正アクセスやシステム障害等により、これら情報の流出や事業活動の停止が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、データの定期的なバックアップ、非常時対応用の外部データ

センター活用、回線の二重化、社外メール誤送信回避システム、専門業者によるPC廃棄などを実践しております。

(6) 知的財産権について

 当社グループは、特許や実用新案・意匠登録などの知的財産権を取得・管理しておりますが、第三者による侵害や訴訟の提起により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、これら知的財産権の維持・管理を徹底しております。

(7) 企業買収・資本提携について

 当社グループが実施する企業買収や資本提携について、事業環境の悪化などにより当初期待していたシナジー

効果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクへの対応策として、当社グループは、企業買収や資本提携にあたり、「事業の拡大」、「収益性の

向上」、「財務体質の強化」を実現し、企業価値向上に寄与するものであるか、事前に十分な情報収集のうえ、

慎重に判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況及び分析

① 当期の経営成績の概況

(売上高・利益の状況)

    第4四半期連結会計期間

 

前第4四半期

連結会計期間

(2024年1月1日から2024年3月31日まで)

当第4四半期

連結会計期間

(2025年1月1日から2025年3月31日まで)

前年同期比

増減額

増減率

売上高

513億40百万円

540億22百万円

26億82百万円

105.2%

 製品売上高

390億30百万円

419億23百万円

28億92百万円

107.4%

 商品売上高

123億9百万円

120億98百万円

△2億10百万円

98.3%

営業利益

29億4百万円

35億59百万円

6億54百万円

122.5%

経常利益

28億99百万円

34億61百万円

5億61百万円

119.4%

親会社株主に帰属する四半期純利益

20億70百万円

23億87百万円

3億17百万円

115.3%

 

連結会計年度

 

前連結会計年度

(2023年4月1日から2024年3月31日まで)

当連結会計年度

(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

前年同期比

増減額

増減率

売上高

2,221億00百万円

2,356億28百万円

135億28百万円

106.1%

 製品売上高

1,716億53百万円

1,807億70百万円

91億16百万円

105.3%

 商品売上高

504億46百万円

548億58百万円

44億11百万円

108.7%

営業利益

164億29百万円

184億71百万円

20億42百万円

112.4%

経常利益

167億80百万円

184億51百万円

16億70百万円

110.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

117億24百万円

124億86百万円

7億62百万円

106.5%

 

売上高及び製品売上数量

・第4四半期連結会計期間

製品売上高は、価格改定効果が反映し、前年同期比107.4%と伸長いたしました。一方で、製品売上数量は前年同期比98.8%、商品売上高は前年同期比98.3%となりました。これらの要因は、物価高によりスーパーマーケットやコンビニエンスストアの販売数量が前年を下回ったほか、当期の稼働日が1日少なかったことによる1.4%の影響であります。加えて、製品売上数量においては、人手不足を背景とした省人化・効率化ニーズに応える製品として、本体・蓋一体型のかん合容器への切り替えが進んだ影響が0.6%ありました。これらを考慮すると、調整後の製品売上数量は100.8%に相当いたします。

・連結会計年度

製品売上高は、計画通りの前年同期比105.3%となりました。主な要因は、価格改定効果の反映と販売数量の増加等によるものです。商品売上高はアペックスのM&A効果の寄与もあり、順調に推移しております。その結果、売上高は過去最高を更新いたしました。また、製品売上数量は前年同期比で101.2%となり、うちエコ製品(エコトレー、エコAPET、エコOPET)については106.2%と引き続き堅調に推移しております。なお、コロナ前である2020年3月期比の製品売上数量は110.1%、2020年3月期からの年平均成長率は1.9%と伸長しております。

 

経常利益増減の主な要因

・第4四半期連結会計期間

川上メーカーによるユーティリティコストの転嫁を含む原材料価格や物流費の上昇が先行する中、価格改定効果の反映により、前年同期比で5億61百万円の増益となりました。

・連結会計年度

経常利益は184億51百万円となり、前年同期比で16億70百万円の増益となりました。主な増加要因としては、販売活動において、価格改定効果の反映に加え、軽量化製品・エコ製品の堅調な販売により、71億20百万円のプラスとなりました。一方、減少要因として、川上メーカーによるユーティリティコストの転嫁を含む原材料価格の上昇影響が33億円、物流費の増加が11億70百万円、経費の増加が10億80百万円、そのうちエフピコフェアの開催時期変更による影響が3億10百万円となりました。また、計画比では4億51百万円のプラスとなりました。その主な要因は、ユーティリティコストの上昇に対して、調達先との交渉を通してコスト抑制に努めたことによります。

なお、経常利益率については上期5.7%、下期9.9%と収益性が改善するとともに、全ての段階損益において下期は過去最高となりました。

 

(営業活動の状況)

原材料価格の高騰が続く中、当社グループはプラスチック使用量の削減を積極的に推進しております。製品の軽量化を追求し、原価の低減を図ることで、お客様の仕入れ価格上昇を抑える提案を行うと同時に、収益性の高い戦略製品として販売を拡大しております。汎用惣菜容器においては、自動蓋閉め機に対応可能な強度を確保しながら、従来製品と比較して平均約10.3%軽量化した新製品を開発し、市場に投入しております。この新製品への切り替えにより、年間680トンのプラスチック使用量の削減を見込んでおります。

エコ製品については、環境意識の高まりを背景に、需要が着実に増加しております。スーパーマーケットとの協働による「ストアtoストア」は、2025年5月末現在で112社・3,200店舗を超える規模へと拡大いたしました。この取り組みを通じて、原材料高騰局面において相対的に価格優位性を持つリサイクル原料を安定的に確保するとともに、循環型社会の実現に向けた取り組みを加速しております。これらの結果、エコ製品の販売は拡大し、2025年3月期のエコ製品の売上構成比は51%(枚数ベース)となりました。

また、急速に進行する人手不足に対応するため、自動化・機械化に適した製品開発を推進しております。加えて、食材価格の高騰に対して細かな量目調整に対応できるよう容器サイズのラインナップ拡充を図り、お客様の多様なニーズに対応してまいります。

 

(生産部門の状況)

自動化については、主要工場に無人搬送車や産業用ロボットを導入し、省人化・省力化を推進しております。さらに、従来より幅広い製品に対応可能な小型の箱詰めロボットの試験導入を進めており、一層の自動化と生産効率の向上を目指しております。また、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の精度を向上させ、需要に応じた現地生産をさらに推進することで、茨城と広島間の製品移動を前年同期比53.5%削減(2024年4月~2025年3月)いたしました。

 

(物流部門の状況)

物流の「2024年問題」に対しては、物流部門にとどまらず、生産や販売部門を含むグループ全体で対応を進めております。関西ハブセンターの稼働により、半径100km圏内で全人口の85%をカバーする物流ネットワークが完成し、効率的な物流体制が確立されました。これにより、拘束時間が13時間を超えるトラック台数がゼロとなりました。また、ソーターや専用パレットの活用、入出荷場所の集約を通じて、荷待ちや積込み時間が2時間を超えるトラック台数も大幅に削減しております。

 

(海外事業の状況)

持分法適用関連会社であるLee Soon Seng Plastic Industries Sdn. Bhd.(本社:マレーシア、以下「LSSPI」)については、成形機や押出機などの設備投資や金型をはじめとする製品開発技術の強化、ならびに在庫管理システムや生産管理システムの導入により生産性の向上を図っております。人口増加と所得水準の向上を背景に食品容器の需要拡大が見込まれる中、まずはマレーシア国内におけるシェアの拡大に注力しており、LSSPI個社として利益を確保しております。同時に、当社顧客の海外展開に協働で対応することで、マレーシア国外での販売も伸長しております。

(新素材開発の状況)

2024年4月に開発成功と公表した超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシート(以下「新OPPシート」)および新OPP積層プレートについては、同年11月に新OPPシート製造装置を発注いたしました。2027年後半の稼働開始を目標に、茨城県坂東市に新工場の建設を検討しております。

これらの新素材は、従来にはない優れた耐熱性、耐寒性、耐油性に加え、極低温から高温までの幅広い温度域で優れた剛性と耐衝撃性を発揮する、高い物性バランスを備えております。さらに、新OPP積層プレートについては、軽量でありながら高剛性、耐衝撃性、高靭性を備え、高い透明性を保持できることから加飾性にも優れております。これらの素材特性により、土木建設資材、住設、家電、太陽電池、自動車等、幅広い産業分野への展開が可能です。現在、各分野において高付加価値素材としての用途開発を積極的に推進しております。

また、主素材がポリプロピレンであることから、特にモビリティ分野においては、モノマテリアル化によるリサイクル性の向上に貢献いたします。さらに、高剛性と耐衝撃性を活用することでプラスチック使用量の削減にも寄与し、環境適性に優れた高機能材料として新たな市場を開拓してまいります。

 

(循環型のサステナブルな社会の実現に向けた取り組み)

(a) リサイクルの推進

当社グループは、1990年に使用済み容器の回収を始めて以来、エフピコ方式のリサイクル「トレーtoトレー」を推進しており、その回収拠点は2025年3月末時点で11,000拠点に達しております。また、2012年からは、使用済みPETボトルをサラダ容器などの透明容器に生まれ変わらせる「ボトルto透明容器」にも取り組んでおります。近年では、スーパーマーケットとの協働によるリサイクル「ストアtoストア」を強化するとともに、小学校をはじめとする出前授業や講演を通じて、地域や消費者との積極的なコミュニケーションを図り、リサイクルの啓発に努めることで、トレー及びPETボトルの回収量の確保に努めております。

これらの取り組みの結果、使用済み容器の回収量は前年同期比104.5%となり、循環型社会の実現に向けた具体的な成果が表れております。世界で唯一、自社でトレーをリサイクルし、再びトレーをつくる会社として、今後も容器の機能性とサステナビリティの両立を追求し、持続可能な社会の構築を進めてまいります。

 

(b) 気候変動問題への取り組み

当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、中長期目標を「中・長期環境計画 FPEA2.0」として策定し、TCFD提言に基づき公表しております。当該計画においては、エコ製品の製造・販売を通じたCO2削減貢献量が、当社グループの事業活動におけるCO2排出量を上回る目標を掲げており、2024年3月期にその目標を1年前倒しで達成いたしました。(※1)太陽光発電設備の稼働により、全国3ヶ所のリサイクル工場における再生原料製造工程をすべて再生可能エネルギーで賄っているほか、2025年11月には中部第一工場にも太陽光発電設備を導入予定です。

引き続き、CO2削減効果を持つエコ製品の販売拡大に加え、再生可能エネルギーの活用や省エネ設備の導入を推進することで、サプライチェーン全体でのCO2排出削減に取り組んでまいります。

 

(※1)エコ製品によるCO2削減への貢献

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(c) 各種リサイクル手法及び代替素材の研究開発

当社グループは、発泡ポリスチレン容器の完全循環型リサイクルの実現を目指し、2020年11月にDIC株式会社(本社:東京都中央区、以下「DIC」)と取り組みを開始いたしました。この取り組みは、従来日用品雑貨等にリサイクルされていた色柄付き発泡ポリスチレン容器を、当社製品として再生する水平リサイクルを目指すものです。2024年11月には、DIC四日市工場において溶解分離リサイクルの稼働が開始されました。これにより、エコ原料の供給量が増加することで、エコトレーの販売数量を約30%増加させることを目指します。今後は、マテリアルリサイクルによるリサイクル量を増やしながら、並行してケミカルリサイクルの2026年の設備稼働を目標とした技術開発を進め、完全循環型リサイクルの実現に引き続き取り組んでまいります。

(ESG・SDGsへの取り組み)

障がいのある人材の活用については、食品容器の製造や回収した使用済み食品容器の選別など基幹業務に従事しており、エフピコグループの障がい者雇用率は、2025年3月時点で12.6%となりました。

社員の健康推進については、健康のためのあらゆる取り組みや情報発信を行う「職場で健康プロジェクト」の実施や職場環境の整備に努めることで、当社は「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に4年連続で認定されております。今後は、当社子会社においても「健康経営優良法人」の認定を目指して、取り組みを強化してまいります。

ESGの評価については、FTSE Russell社の「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Index」、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、MSCI社の「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄へ継続して選定されております。

 

(今後の見通し)

2026年3月期 連結業績予想

 

前期実績

(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

当期計画

(2025年4月1日から2026年3月31日まで)

前年同期比

増減額

増減率

売上高

2,356億28百万円

2,453億00百万円

96億71百万円

104.1%

 製品売上高

1,807億70百万円

1,890億00百万円

82億29百万円

104.6%

 商品売上高

548億58百万円

563億00百万円

14億41百万円

102.6%

営業利益

184億71百万円

197億90百万円

13億18百万円

107.1%

経常利益

184億51百万円

196億00百万円

11億48百万円

106.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

124億86百万円

131億70百万円

6億83百万円

105.5%

上記の見通しについては、当社グループが現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、今後、様々な要因によって業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、開示すべき事項が生じた場合には、速やかにお知らせいたします。

販売面については、エコ製品およびプラスチック使用量を削減した製品の一層の需要増加を見込んでおります。人手不足を背景に、弁当や惣菜の生産が店舗からプロセスセンターやセントラルキッチンへと集約される動きが強まる中、軽量化と強度の両立を実現した自動化・機械化に対応した製品開発を推進しております。加えて、今後の拡大を目指す冷凍食品市場や病院介護食市場においても、こうした省人化・効率化ニーズへの対応を踏まえた製品提案を強化し、引き続き積極的な販売拡大に取り組んでまいります。

2025年4月には株式会社前橋包装(本社:群馬県前橋市)の食品包装資材卸売事業を当社の連結子会社であるエフピコインターパック株式会社(本社:千葉県千葉市)が譲受いたしました。後継者不足を背景に業界再編が進む中、当社グループのインフラを活用することで、M&Aを含めた包材問屋との連携を進め、コスト削減や経営効率の改善を図るとともに、既存のお客様へのサービスを向上させてまいります。

これらの価値創造提案や新マーケット創出に加え、リサイクル技術の研究開発、M&Aなどを通じて、持続的な成長を目指してまいります。

(用語説明)

エコトレー

:スーパーマーケットの店頭などから回収されたポリスチレン容器と工場内端材を原料とするリサイクル発泡ポリスチレン容器(1992年販売開始)

エコAPET

:スーパーマーケットの店頭などから回収されたPET(ポリエチレンテレフタレート)透明容器、PETボトル及び工場内端材を原料とするリサイクルPET透明容器(2012年販売開始)

 耐熱温度+60℃

エコOPET

:エコAPETと同じ原料を使用する2軸延伸PETシートから成形したリサイクルOPET透明容器(2016年販売開始)

 耐油性に優れ、透明度も高くOPS容器(従来からの2軸延伸ポリスチレンシートから成形した透明容器)と同等の耐熱性を実現

耐熱温度+80℃

ストアtoストア

:お店で使用・販売した食品トレーやPETボトルをそのお店で資源として回収し、当社が食品トレーや透明容器に生まれ変わらせ、その食品トレーや透明容器を再びそのお店で積極的に使用する、お店を発着点としたリサイクル

新OPPシート

:ポリプロプレンシートを縦方向と横方向の2軸に同時延伸することで、優れた透明性や耐寒性、耐熱性、高剛性を実現した、厚さ150ミクロンから300ミクロンの超高剛性2軸延伸ポリプロピレンシート

 2024年4月に開発成功

新OPP積層プレート

:新OPPシートを熱融着により積層加工した、厚さ1ミリから3ミリ程度の超高剛性プレート

 高い剛性と耐衝撃性、高靭性に富み、高い透明性を保持できることから加飾性に優れる

 2024年4月に開発成功

溶解分離リサイクル

:マテリアルリサイクルにより生産された黒色ポリスチレンペレットを溶解、脱色したうえで、食品容器向けの再生ポリスチレン原料を生産する手法

 DICが開発した世界初の技術

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3) 財政状態の状況及び分析

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて63億54百万円減少し、2,922億26百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の減少46億86百万円、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったことなどによる受取手形及び売掛金の減少46億94百万円であります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べて146億23百万円減少し、1,381億11百万円となりました。主な増減は、返済などによる借入金(短期借入金及び長期借入金)の減少123億34百万円、未払消費税等の減少29億63百万円であります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて82億69百万円増加し、1,541億14百万円となりました。主な増減は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加124億86百万円及び剰余金の配当による減少46億7百万円であります。

(4) キャッシュ・フローの状況及び分析

① キャッシュ・フローの状況及び分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より50億79百万円減少しましたが、連結子会社の決算期変更に伴う増加3億93百万円がありましたので、190億20百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、279億19百万円(前期に比べ12億56百万円の減少)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益182億86百万円、減価償却費147億51百万円、売上債権の減少48億84百万円による資金の増加、他方、棚卸資産の増加27億39百万円、未払消費税等の減少32億52百万円、法人税等の支払額51億91百万円による資金の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は、149億29百万円(前期に比べ42億17百万円の支出増加)となりました。

 これは主に、生産設備等の有形固定資産の取得による支出148億28百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は、180億70百万円(前期に比べ10億56百万円の支出増加)となりました。

 これは主に、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出142億74百万円、リース債務の返済による支出10億96百万円及び配当金の支払額46億5百万円によるものであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

1)経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは財務健全性と資本効率のバランスを考慮し経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 営業活動により獲得した資金の配分のうち設備投資に関しては、中長期的な成長に向けた高付加価値製品の供給体制を維持、構築するために毎期200~250億円の設備投資を継続してまいります。

 株主還元については、継続的かつ安定的な配当を実施していくことが経営の最重要課題の一つと考えており、連結ベースでの配当性向は40%を目途に原則として減配せず、累進配当を実施しております。

2)資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では製品原材料の購入費用及び電力料、修繕費、消耗品費など製造経費のほか、仕入販売する商品の購入費用、運搬及び保管費、人件費などの販売費及び一般管理費であります。

 また、投資活動に係る資金支出は、環境に配慮した高付加価値製品の供給体制構築に必要な成長投資のほか、既存の生産設備や物流施設の維持更新及び自動化による効率改善を目的としたものであります。

3)資金調達

 当社グループの主たる財源は、営業キャッシュ・フロー、金融機関からの借入れ及びコマーシャル・ペーパーの発行によるものであります。

 子会社の資金調達については、原則として親会社からのグループファイナンスに一元化する運用を行っております。その結果、連結ベースでの資金コストを低減するとともに、効率的な資金運用を実現しております。

 また、資金の流動性については、現金及び預金に加え、機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため総額100億円のコミットメントライン契約を有しております。

(5) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

    製品別生産実績

品目

生産高(百万円)

前年同期比(%)

製品

 

 

 トレー容器

27,878

113.6%

 弁当・惣菜容器

72,891

110.9%

 その他製品

1,666

71.4%

合計

102,435

110.6%

 (注)1 生産高は、主として生産数量に見積り製造原価(単価)を乗じて算定しておりますが、その他製品の一部については、販売価格によっております。

2 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

製品・商品仕入実績

品目

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

製品

 

 

 トレー容器

2,523

118.7%

 弁当・惣菜容器

19,079

110.9%

 その他製品

1,779

123.9%

小計

23,382

112.6%

商品

 

 

 包装資材

41,705

109.8%

 その他商品

2,174

104.9%

小計

43,879

109.5%

合計

67,262

110.6%

 (注) 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

② 受注実績

 当社グループは、主として需要見込による生産方式のため、受注状況については特記すべき事項はありません。

 

③ 販売実績

品目

販売高(百万円)

前年同期比(%)

製品

 

 

 トレー容器

44,497

106.1%

 弁当・惣菜容器

132,817

105.5%

 その他製品

3,455

91.1%

小計

180,770

105.3%

商品

 

 

 包装資材

52,802

109.9%

 その他商品

2,055

85.2%

小計

54,858

108.7%

合計

235,628

106.1%

 (注)1 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

2 当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1) 基本方針

 当社グループの研究開発は、多様化するお客様のニーズにお応えできる簡易食品容器を提供することを基本として、汎用トレー、刺身・寿司容器、惣菜容器、オードブル容器、耐熱・耐寒容器などの各カテゴリ別に新たな容器及び新素材の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は昨年に引き続き、CO2の削減及びプラスチック使用量削減を目指した軽量化の研究、リサイクル原料を有効活用した素材の研究、透明性・耐熱・耐寒などの機能性容器の研究、生産性向上のための成形・押出・金型技術の開発に努めてまいりました。

(2) 研究開発の体制

 研究開発の体制としては、製品開発1部及び2部、基礎技術研究室、生産技術部が各々製品等の改良、開発を担当し、他社が追随できない当社オリジナル製品の開発・改良を行っております。

 総合研究所は、研究開発の設備が充実していることに加え、人材の育成を図っていく環境も整備しております。

 なお、当社グループは、簡易食品容器関連事業の単一セグメントであるため、開発部門の経費を研究開発費として記載しております。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,543百万円であります。

(3) 成果

① 生産技術及び素材

1) 水平リサイクルへの安全性を確保した「トレーtoトレー」「ボトルto透明容器」PETリサイクルシステムの生産性向上

2) マルチFPシートの素材を有効活用した「耐熱・断熱に優れた容器シリーズ」などの品種拡充

3) 耐熱耐油に加え耐寒性能を備えたPET素材「エコOPETシート」の安定生産

4) 耐寒PPと同等性能を備えプラスチック使用量を約25%削減した機能シート「耐寒PPiP-タルク」の品種拡充

5) PSP低発泡素材の改良によるプラスチック使用量削減製品の品種拡充

② 新製品の開発状況

 プラスチック使用量削減の推進とCO2削減はもちろんのこと、ロースタック化、人手不足による省人化、プロセスセンター、セントラルキッチン化や宅配、冷凍食品など新しいマーケットの広がりが進んでいく中、お客様の生産性と収益拡大に貢献できる機能に重視した製品開発を行い、主な成果として以下の製品を上市しました。

カテゴリ

シリーズ名

特長

寿司・

刺身

麗角巻

本体は軽量な低発泡素材で段付構造、蓋は広い天面とシャープな形状の巻き寿司容器シリーズ

祝賀丸桶PT

独自の設計技術を活かし、低発泡素材で作られた“ハカマ形状”が特徴の丸型寿司桶シリーズ

天禄桶PT

独自の設計技術を活かし、低発泡素材で作られた“ハカマ形状”が特徴の角型寿司桶シリーズ

涼角枠盛PT

寿司が転びにくい機能付き本体と、天面の広い蓋が特徴の内かん合寿司容器シリーズ

涼角盛台

ツマの削減可能な工夫を施した本体と、天面の広い蓋が特徴の内かん合刺身容器シリーズ

精肉

メガプレート/MV

汎用的に使える盛付けしやすく作業性が良いシリーズにエコ銀を追加

冷凍

FT-TS

冷凍からレンジアップまで可能な耐寒PPiP-タルク素材の機能容器を追加

耐寒PPiP-

タルク

耐寒衝撃性・強度・重量は従来の耐寒PP素材と同等でありながら、プラスチック使用量を削減できる耐寒PPiP-タルク素材を、従来の製品にも適用

米飯・

MFPアリオン

外寸サイズを見直し、従来より少ない量目の弁当に対応したコンパクトな弁当容器シリーズ

MSDレイア

本体に丸みを持たせハカマ形状で蓋の天面が広い安心かん合の弁当容器の追加サイズ

APSAR

アイテムの集約と作業効率の改善を両立した、折蓋かん合の麺セット容器シリーズ

SB麗角

本体は軽量な低発泡素材で、蓋は広い天面とシャープな形状が特長の麺セット容器シリーズ

APセトル丸

内かん合仕様で汁漏れしにくい乾燥防止機能で、輸送時に蓋外れ課題を解決した容器

グラブ八角

発泡素材で軽量。八角形の色柄付き容器が、冷やし麺コーナーでもひときわ目立つシリーズ

軽食

MSDピザステ

ステージ形状でピザなどをボリューム感を演出,蓋の開け閉めが容易な機能容器

APSA-BG

ハンバーガーに最適な折蓋かん合フードパック,ハンバーガーセットの大型サイズを追加

惣菜

APクリアカップ

汁漏れしにくいカップ型透明容器シリーズ,商品づくりの幅を広げるサイズ追加

MFPパシオ

電子レンジ対応の広い天面が魅力の内かん合の惣菜容器、ラインナップ拡充

APデリオ

軽量ながら自動蓋閉め機、手閉め双方の作業を満たした汁漏れしにくい機能透明容器

MSDデリオ

軽量ながら自動蓋閉め機、手閉め双方の作業を満たした汁漏れしにくい機能耐熱容器

汎用

FPKトレー

フチをすっきり細く見せ隙間を解消したラップ対応の発泡トレーシリーズ

フード

パック

SAT

リブ強度によってプラスチック使用量を削減,かん合機能を備えた最軽量フードパック

その他

ウラカタ

バックヤード、パックセンターなどの作業効率性に対応した大型段積み対応トレー