(1)経営方針・理念
当社グループは、『眼』の専門総合メーカーとして、“お客様の『見える』をサポートする“を使命とし、コンタクトレンズ事業を中心に、コンタクトレンズケア用品、眼鏡等、幅広く事業を展開しています。経営理念は以下のとおりであります。
(経営理念)
・専門特化した研究開発力を基盤に安全かつ高品質な製品を提供し、多くの人々の健康と幸せに貢献する
・スピードを重視した経営により、環境変化に先駆けて対応するとともに、お客様のニーズに的確に応える
・社員ひとり一人が自発性と創意工夫を発揮できる場を作り、社員の努力に対してしっかりと報いる
・良き企業市民として、法令を遵守し、環境・社会・地域との調和をはかり、その発展に貢献する
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げに伴う個人消費の低迷に加え、米中貿易摩擦の長期化や欧州における英国の欧州連合離脱問題等に大きく影響を受けました。さらに新型コロナウイルス感染症の我が国を含む世界的な感染拡大を阻止するための各種の防疫対策が個人消費を直撃したことにより、足元の経済状況は著しく悪化し、今後も予断を許さない状況となっております。
コンタクトレンズ業界におきましては、国内では、少子高齢化が進んでいるものの近視人口が増加しており、また、引き続き1日使い捨てタイプへのシフトが緩やかに続いていることや、乱視用、遠近両用等の高付加価値商品の伸長等により、2020年の年初までは、市場は緩やかながらも成長基調を辿っていたと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年間の最大の需要期である卒業・新入学シーズンに、新型コロナウイルスへの感染予防のため、ユーザーが眼科医療機関・販売施設への来院・来店を控える状況となりました。また、政府や地方自治体の要請を受けた外出自粛やテレワークへの強力な誘導、マスクの着用により、特に女性ユーザーを対象としたファッション性の高いサークル・カラーコンタクトレンズ市場が低迷しました。さらに、アジア諸国から欧州地域への感染の拡大に伴い、海外輸出も厳しい状況で推移し、未だ多数の海外市場が正常化に時間を要すると思われます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の景気見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停止・停滞や外出自粛による消費マインドの低下等、国内外において、先行きが相当の不透明さを有するものと考えられます。
コンタクトレンズにつきましては、視機能の提供という極めて生活に重要な機能を持つ医療機器であることに鑑み、緊急事態宣言が発出されている状況においても、国や地方自治体の各種要請を順守しながら安定供給できる体制を維持することが求められております。しかしながら、感染拡大阻止のためのテレワークへの移行、外出自粛と屋外での活動抑制、さらに販売施設の休業等により、新型コロナウイルス感染症の抜本的な解決策が講じられるまでの間は需要が落ち込むことが予測され、厳しい市場環境からの回復の目途が未だ立っていないと認識しております。海外市場においては、感染の鎮静化による経済活動の再活性化による需要の回復傾向が見られるものの、一部地域では未だ感染の鎮静化が見えず、経済活動の再活性化には時間を要するものと思われます。
このような状況の下、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対する社内外への感染防止と従業員の安全確保、国や地方自治体からの各種要請を踏まえつつ、医療機器メーカーとしての製品供給責任を出来る限り遂行するために、グループ別交代制勤務・テレワーク・フレキシブルな通勤体制等を活用しながら、製品の供給については通常通り事業活動を継続しております。今後につきましても、常に最新の感染状況、行政の政策運営、市場動向を踏まえた上で、臨機応変かつ慎重に事業活動を継続してまいります。特に財務の安定性を高めるために、資金調達や在庫削減により手元流動性の確保に万全を期してまいります。
2021年3月期につきましては、現在の中期経営計画の最終年度ですが、計画を踏まえつつも外部環境に応じた臨機応変な経営を行ってまいります。基本方針としては、引き続き主力の「ワンデーピュアシリーズ」を中心として、品質力の高さやきめ細やかな製品ラインナップのアピールに努めるとともに、市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズカテゴリーのシェア獲得を図るため、2019年度に発売した遠近両用1日使い捨てコンタクトレンズ「シード ワンデーピュア EDOF(イードフ)」の国内外への拡販に注力してまいります。サークル・カラーコンタクトレンズカテゴリーにおいては、2020年3月に発売した「アイコフレ1day UV M」の新色に加え、「JILL STUART 1day UV」の新色を投入し、売上の伸長とそれぞれのカテゴリーでのシェアアップを目指してまいります。また、オルソケラトロジー事業、スマートコンタクトレンズ事業等の新しい分野にも積極的に経営資源を投下してまいります。海外事業においては、当社初となる自社オリジナルのシリコーンハイドロゲル素材ワンデーコンタクトレンズの海外への販売を開始する計画に加え、各国の法令や認証制度に対応しながら、既存進出地域の売上拡大と新規販売地域の拡大に注力してまいります。これらを通じて、国内外での売上高拡大の継続を図ってまいります。また、鴻巣研究所において資材・倉庫設備の新設を行い、既存の3つの生産棟の製造エリアの拡大による生産力増強と多品種少量生産を推進する生産システムの導入を行います。さらに、4月に生産技術本部の組織改正を行い、生産管理業務の質的向上及び生産現場強化を行い、多品種少量生産をより進めた中での製造原価の低減に努め、長期の成長戦略のための研究開発投資や、生産現場への設備投資に係る償却負担増加等を吸収し、粗利率の改善を起点とした収益力の強化を図ってまいります。また、販売動向を踏まえた在庫管理を徹底するとともに、新型コロナウイルス感染症と一定期間共存せざるを得ない環境下での広告宣伝戦略や個別営業活動等の経費を見直し、営業利益を確保するよう努める方針です。
当社グループは、増大するリスク管理に対応するため、リスク全般について監視・管理する委員会としてリスク・セキュリティ管理委員会を設置し、代表取締役社長を議長として、経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して、必要に応じてリスク案件の洗い出し、改善・回避する施策立案の議論を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、下表「(3)環境・災害リスク 感染症の拡大」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を参照ください。
(1)戦略リスク
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項目 |
リスク内容 |
当社の対策 |
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需要動向
※特に重要なリスク |
・日本において、近視率の増加や低年齢化等の需要増加要因を上回る人口減少による市場縮小 ・高齢化の進行によるコンタクトレンズ装用人口の減少 ・生活様式、勤務形態の変更によるコンタクトレンズ需要減 |
・海外展開の強化により日本の市場縮小リスクをカバー ・高齢化に対応した遠近両用コンタクトレンズの強化 ・オルソケラトロジー・スマートコンタクトレンズ・近視進行抑制関連等の非コモディティ分野の取り組み強化 |
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ガバナンス
※特に重要なリスク |
・誤った投資判断に基づく損失の発生 ・子会社経営に問題が発生した場合にグループ力が低下
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・投資基準の制定による判断の明確化 ・国内外子会社の競争力強化 ・国内外子会社のきめ細やかな報告・指導実施 ・グループ内での役割の明確化(コストセンター・プロフィットセンター等) |
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新商品開発力 |
・市場ニーズとの不一致・開発スピードの劣後による販売機会の喪失 ・研究期間の長期化による開発費の増加 |
・市場ニーズに基づいた研究開発テーマの選定強化 ・PDCAサイクルによる進捗確認 ・外部機関との連携やその他オープンイノベーションによる開発スピードのアップ ・戦略的M&Aの推進 |
(2)ファイナンスリスク
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項目 |
リスク内容 |
当社の対策 |
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為替変動 |
・急激な為替変動が発生した場合、海外からの輸入や販売活動等における外貨建て決済に影響 |
・輸出入バランスの均衡化による為替変動リスクの軽減 ・為替予約の実行 |
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金利情勢 |
・金融情勢の変化により金利が大きく上昇した場合に、資金調達に伴うコストが増大 |
・固定金利・変動金利のミックスによる金利変動リスク軽減 |
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棚卸資産の劣化 |
・販売環境等の変化により棚卸資産が長期滞留した場合、有効期限が到来する棚卸資産について棚卸資産評価損を計上する可能性 |
・パラメータごとの有効期限管理 ・出荷数に応じた少量発注・製造 |
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減損損失 |
・有形固定資産、のれん及び無形資産について、事業環境の変化等により当該資産の収益性が低下した場合に減損損失を計上する可能性 |
・投資基準規程の策定・運用 ・収益性向上による減損リスク低減 |
(3)環境・災害リスク
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項目 |
リスク内容 |
当社の対策 |
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感染症の拡大
※特に重要なリスク |
・外出自粛・販売店舗の閉店要請等の影響によるコンタクトレンズの需要減 ・感染者が発生した場合、製造・受発注・発送業務等の停止 ・海外拠点への出荷停止 |
・各販売施設に応じた顧客獲得施策の提案 ・変化する購入チャネルへの対応強化 ・各種感染防止策の推進(体調管理の徹底・在宅勤務の推進等) ・海外進出国の増加によるリスク分散 |
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生産拠点における自然災害 ※特に重要なリスク |
・鴻巣研究所において大規模な地震・台風・水害等が発生した場合にコンタクトレンズの生産能力が低下 |
・BCP対応の強化 ・災害防止点検や設備点検等の定期的な実施 ・非常用自家発電装置の導入 ・製造棟の分散 |
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気候変動・環境問題 |
・地球規模での気候変動、環境問題、海洋プラスチック問題等に伴う経済状況の変化 ・サステナビリティに対する取り組みが不十分だと見なされた場合の企業価値低下 |
・CO2排出削減・水使用量削減等、環境に配慮した製造工場 ・使用済みブリスターを回収する「BLUE SEED PROJECT」等の環境問題への取り組み強化・発信 |
(4)オペレーションリスク
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項目 |
リスク内容 |
当社の対策 |
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製品の欠陥
※特に重要なリスク |
・製品の欠陥による様々な事象(副作用等)の発生 ・大規模な製造物賠償責任の発生による費用発生・企業イメージ低下 |
・各種省令(QMS省令等)の遵守 ・各種認証・許認可の取得 ・海外生産品は国際規格に基づいて製造 ・トレーサビリティ体制強化 ・PL保険への加入 |
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法規制・法令遵守
※特に重要なリスク |
・薬機法に基づく各業許可、及び海外進出国における同種の法令に抵触し取消しとなった場合、規制の対象となる製品の回収、販売中止、対象事業の活動中止となる可能性 ・不正行為、事故等による当社信用の失墜 |
・当該許可を受け、更新するための諸条件及び関連法令の遵守(各種許可一覧は次頁参照) ・薬事部・海外薬事部・品質保証部等によるチェック体制強化 ・コンプライアンス研修の実施 ・法務室の独立による法務チェック体制の充実化 |
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知的財産保護 |
・第三者による当社製品・技術に類似もしくは優れた製品の製造 ・第三者の知的財産権侵害による損害賠償請求権を行使される |
・特許権・意匠権・商標権を専門部署にて一元管理することによる知的財産保護 |
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情報セキュリティ |
・サイバー攻撃・内部不正アクセス等による個人情報や研究開発情報等の機密情報の漏洩
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・個人情報保護規定、営業秘密管理規定、アクセス管理規定等の制定・運用による管理 ・内部監査の実施による厳重な管理体制構築 |
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商品・資材・原材料調達 |
・外的要因により不測の事態が発生した場合、製造に必要な資材、原材料の調達が困難になる可能性 |
・供給先との間で、生産数の変動や供給体制等の情報を共有 ・資材・原材料は約3ヶ月分を保有 ・複数購買の推進 |
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重要な訴訟 |
・重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされる可能性 |
・社内・契約弁護士による法務リスク管理 |
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海外認証制度の変更 |
・欧州基準で流通する医療機器に関する規則となる医療機器指令(MDD)から医療機器規則(MDR)への移行が期限内に完了しなかった商品の販売継続ができなくなる可能性 ・新規にて同認証が取得できない場合 |
・海外薬事部・海外子会社による情報収集・対応 ・MDRに準拠した社内薬事体制の整備・実施 |
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生産拠点における人材確保 |
・鴻巣研究所において採用数が確保できなかった場合及び休退職者の増加により人員が確保できなかった場合に、生産数に影響が出る可能性 |
・自動化・工程数削減等による省人化 ・多様な人材の確保・働き方の推進 ・企業主導型保育所の活用推進等の働きやすい職場環境の整備 |
(コンタクトレンズ・ケア用品事業に係る主要な許認可、免許及び登録等)
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取得年月 |
(初回)2005年4月 (直近)2018年1月 |
(初回)2011年11月 (直近)2016年11月 |
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許認可等の名称 |
医療機器製造販売業 |
医薬部外品製造販売業 |
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製造販売業の名称 |
株式会社シード |
株式会社シード |
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所管官庁等 |
東京都 |
東京都 |
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許認可等の内容 |
医療機器の製造品質確保及び市販後安全性情報収集 |
医薬部外品の製造品質確保及び市販後安全性情報収集 |
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有効期限 |
2023年1月 |
2021年11月 |
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法令違反の要件 及び主な許認可取消事由 |
申請内容と異なる製品に対して、出荷可否判定を偽り、出荷を認めてしまう、また、重大な障害に対し虚偽の報告や隠ぺいする等 |
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取得年月 |
(初回)2007年10月 (直近)2017年10月 |
(初回)2005年4月 (直近)2017年4月 |
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許認可等の名称 |
医療機器製造業 |
高度管理医療機器販売業 |
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製造所の名称 |
株式会社シード鴻巣研究所 |
株式会社シード |
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所管官庁等 |
埼玉県 |
東京都 |
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許認可等の内容 |
医療機器の製造(コンタクトレンズ) |
医療機器の販売 |
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有効期限 |
2022年10月 |
2023年3月 |
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法令違反の要件 及び主な許認可取消事由 |
申請内容と異なる製品を製造すること等 |
医療機器の品質確保、トレーサビリティを怠る等 |
(注)高度管理医療機器販売業については、各営業所において許認可を取得しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度末における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、3ヶ年中期経営計画の2年目となる2020年3月期につきましても、引き続き『~61年目からの新たな挑戦~日本のシードから世界のSEEDへ』を基本施策として、主力である純国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心に、日本国内での安定した成長と同時に積極果敢な世界展開を実現し、販路拡大を通じた事業規模の拡大と将来的な成長を実現する事業基盤の強化を図ってまいりました。
当連結会計年度の業績について、売上高は、国内において消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が想定以上に長期化したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により国内外の需要が落ち込んだものの、主力のコンタクトレンズを中心に売上が伸長したことと、欧州での企業買収効果もあり、グループ初の300億円突破となる31,792百万円(前期比7.8%増)となりました。利益につきましては、販売地域の拡大及び新製品投入開始等の多品種化に伴い製造原価が上昇したこと等により、営業利益1,733百万円(前期比7.5%減)、経常利益1,691百万円(前期比8.1%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、スマートコンタクトレンズ事業を手掛けるスイスのSensimed AG社の子会社化に伴う段階取得に係る差損を計上したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、マーケティング方針を変更した「JILL STUART 1day UV」の在庫に対するたな卸資産評価損の計上、及びドイツ連邦共和国のWoehlk Contactlinsen GmbHに関するのれん、無形資産の減損を行い、特別損失を計上したこと等により、252百万円(前期比73.8%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、重要性の観点からオルソケラトロジーレンズ及びトリガーフィッシュに関連する事業のセグメントを「その他」から「コンタクトレンズ・ケア用品」に変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(コンタクトレンズ・ケア用品)
コンタクトレンズにつきまして、主力の純国産1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーピュアシリーズ」は、新しい遠近両用タイプ「シード ワンデーピュア EDOF(イードフ)」を2019年12月に発売し、国内外で成長が大いに見込まれる遠近両用市場での競争力強化を図るとともに、海外の販売強化及び国内の乱視・遠近両用カテゴリーの需要増に支えられ、シリーズ全体として好調に推移しました。一方、サークル・カラーコンタクトレンズにつきましては、3月に「アイコフレ1day UV M」の新色を投入したものの、その効果が限定的にとどまり、国内における販売チャネルの多様化、競合商品のラインナップ増加等の影響に加え、「JILL STUART 1day UV」の不振と、第4四半期には新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、東・東南アジア向けの輸出も停止せざるを得ず、対前年売上高が微減に終わりました。なお、就寝前に装用することで睡眠時に角膜を矯正するオルソケラトロジーレンズ事業につきましては、市場の伸長に加え、2019年10月に「ブレスオーコレクト」の総販売代理店となり、販売体制を強化したことにより前年を大きく上回る57%増の成長を実現しました。
ケア用品につきましては、コンタクトレンズ市場の1日使い捨てタイプへのシフトに加え、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品「シードゥ ソフトケア ピュア」の販売を終了した影響もあり、前期を若干下回る結果となりました。
その結果、セグメント全体の売上高は30,888百万円(前期比8.7%増)、営業利益2,854百万円(前期比5.2%減)となりました。
(眼鏡)
眼鏡につきましては、卸販売の営業拠点を概ね東京に集約し、小売子会社の不採算店舗を閉店する等、事業の再構築に取り組みながら、主力フレームの「ビビッドムーン」や「プラスミックス」を中心に営業活動を行ってまいりましたが、眼鏡市場全体の低価格商品への需要シフト及び小売子会社店舗の閉店による影響等により、売上高は594百万円(前期比29.3%減)、営業損失は54百万円(前期営業損失79百万円)となりました。
(その他)
その他につきましては、売上高は309百万円(前年同期比38.8%増)、営業損失は11百万円(前年同期営業損失34百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,644百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、3,897百万円(前年同期170百万円の支出)となりました。資金増加の主な要因は、減価償却費の計上2,652百万円や海外製造委託分の在庫に関係する前渡金の減少1,185百万円、税金等調整前当期純利益の計上490百万円が挙げられます。また、資金減少の要因はたな卸資産の増加591百万円や法人税等の支払い643百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,649百万円(前年同期1,895百万円の支出)となりました。これは主に、鴻巣研究所の設備導入等に伴う有形固定資産の取得2,269百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、273百万円(前年同期2,957百万円の収入)となりました。資金増加の主な要因は短期借入金の純増加額1,384百万円や長期借入れによる収入2,550百万円が挙げられます。また、資金減少の主な要因は長期借入金の返済2,595百万円やリース債務の返済959百万円であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
本報告書のこの項以下に記載する金額は、消費税等を抜きで表示しております。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コンタクトレンズ・ケア用品(千円) |
9,281,347 |
115.3 |
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合計(千円) |
9,281,347 |
115.3 |
(注)金額は製造原価によっております。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コンタクトレンズ・ケア用品(千円) |
9,264,931 |
94.3 |
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眼鏡(千円) |
389,781 |
71.9 |
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その他(千円) |
104,428 |
92.1 |
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合計(千円) |
9,759,142 |
93.1 |
(注)金額は仕入価額によっております。
③ 受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コンタクトレンズ・ケア用品(千円) |
30,888,785 |
108.7 |
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眼鏡(千円) |
594,392 |
70.7 |
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その他(千円) |
309,641 |
138.8 |
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合計(千円) |
31,792,819 |
107.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(3)経営者の視点による財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及びの分析
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行っており、そのうち主なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(たな卸資産の評価)
当社グループの保有するたな卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、厳格な処理を実施しております。回収可能価額の評価を行うに当たっては、製品、商品については正味売却価額に基づき、それぞれ収益性の低下を検討しております。なお、一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産については簿価を切り下げており、当社商品である「JILL STUART 1day UV」につきましては、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みマーケティング方針を変更し、出荷数が当初計画を下回って推移していることから、有効期限内での出荷が困難な在庫金額を見積り、たな卸資産評価損を計上しました。しかし、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、追加的に簿価を切り下げる可能性があります。
(債権の評価)
当社グループの保有する債権(売上債権、貸付金等)については、回収可能性を検討の上、貸倒引当金を計上しております。コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、債務者の財務内容、将来業績が低下する場合においては、貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産の残高は、41,586百万円となり、前連結会計年度末から1,417百万円増加いたしました。主な要因として、商品在庫・製品在庫水準の適正化を図る一方、鴻巣研究所3号棟の生産エリア拡大と設備導入に伴い有形固定資産が増加したことや、現預金が増加したこと、事業拡大目的とした営業権の獲得による無形固定資産の増加等が挙げられます。
負債につきましては、30,823百万円となり、前連結会計年度末から1,654百万円増加しております。主な要因は子会社等への出資や株式取得、新商品発売のための在庫投資と鴻巣研究所の設備導入、手元流動性積上げ等の結果、短期借入金が1,366百万円増加したことが挙げられます。
純資産につきましては、10,762百万円となり、前連結会計年度末から236百万円の減少となりました。主な要因としては、子会社化した海外コンタクトレンズメーカーの株式追加取得により、資本剰余金が減少したことが挙げられます。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析に関しては、第2[事業の状況]3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)[経営成績等の状況の概要]の②を参照ください。
指標
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2018年3月期 |
2018年3月期 |
2020年3月期 |
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自己資本比率(%) |
29.0 |
26.8 |
25.5 |
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時価ベースの自己資本比率(%) |
181.8 |
78.1 |
53.5 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
25.8 |
△1.2 |
24.1 |
※時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出
※インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
④ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための費用や商品仕入代金等の運転資金、中長期的に安定した成長を遂げるためのコンタクトレンズ事業における製造設備投資及び研究開発への継続的な投資であります。設備投資につきましては、「第3 設備の状況」、研究開発投資につきましては、「5 研究開発活動」に記載のとおりであります。また、海外市場への進出も積極的に行っており、買収・出資等の資金確保も重点課題であります。
必要資金につきましては、主に手元資金及び金融機関からの借入金にて賄っており、当連結会計年度末の当社グループの短期及び長期借入金の残高は19,572百万円であります。当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを中心に財務の健全性に取り組みながら、外部からの借入金も活用し資金需要を賄ってまいります。
⑤ 経営成績の分析
売上高・売上総利益
当連結会計年度における売上高は31,792百万円となり、前連結会計年度に比べ2,303百万円増加いたしました。これは、純国産使い捨てコンタクトレンズ「ピュアシリーズ」において、近視用、乱視用、遠近両用等を中心に、国産の品質力やきめ細やかな対応力を積極的にアピールした結果、主力カテゴリーである1日使い捨てタイプを中心に伸長し、コンタクトレンズ全体で前期比9.8%の増収となったためであります。また、欧州での企業買収により海外売上高が増加したことも寄与しております。
売上総利益は14,182百万円(売上総利益率44.6%)となり、前連結会計年度に比べ813百万円増加(売上総利益率0.7ポイントダウン)いたしました。これは、主に売上高の増加に伴う増益によるものであります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は12,449百万円となり、前連結会計年度に比べ955百万円増加いたしました。これは、人件費(前期対比456百万円増)や研究開発費(前期対比562百万円増)等が増加したためであります。
(株式取得による会社の買収)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 企業結合等関係 取得による企業結合」に記載のとおりであります。
当社グループは、皆様の「見える」をサポートするため、コンタクトレンズを核とし、ケア用品・眼鏡・医薬品・医療機器等、技術に裏打ちされた高品質で安全な「眼」に関する製品開発を進めております。
現在の研究開発は、おもに埼玉県の鴻巣研究所、イギリスのContact Lens Precision Laboratories Ltd.(以下CLPL社)、ドイツのWoehlk Contactlinsen GmbH(以下Woehlk社)及び、スイスのSensimed AG(以下Sensimed社)で進められており、研究開発スタッフは、鴻巣研究所及び本社に62名、CLPL社に5名、Woehlk社に2名、Sensimed社に5名が在籍しております。それぞれの事業所が持つ得意とする技術を最大限に生かすため、グループ内での連携を推進しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
コンタクトレンズ・ケア用品
①高酸素透過性などの付加価値の高い新素材の開発を進めております。また、新しい素材の基礎研究を国内外の大学、公的研究機関と共同で実施しております。
②乱視、遠近両用などの特殊コンタクトレンズにおける革新的な光学設計に関する研究を進めております。
③持続的に薬剤を放出するソフトコンタクトレンズにつきましては、治療対象となる疾患、薬剤の選定を終了し、早期の承認取得に向けて当局との協議と申請に必要な各種試験を実施しております。また、難治性疾患を対象とした次世代の医薬品・医療機器の複合型デバイスについても、大学、製薬メーカーと共同で研究開発を進めております。
④生体情報のモニタリングを可能とする新たなスマートコンタクトレンズの研究開発を加速しております。
⑤検査用、治療用、その他特殊用途コンタクトレンズの需要の高まりに対応するため、少量多品種での生産が可能な自動化ラインの検討を進めております。
⑥ケア用品は、コンタクトレンズの普及が加速度的に進んでいる東南アジアを中心とした市場への展開を目指した検討を進めております。