第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針・理念

当社グループは、『眼』の専門総合メーカーとして、“お客様の『見える』をサポートする“を使命とし、コンタクトレンズ事業を中心に、コンタクトレンズケア用品、眼鏡等、幅広く事業を展開しています。経営理念は以下のとおりであります。

(経営理念)

・専門特化した研究開発力を基盤に安全かつ高品質な製品を提供し、多くの人々の健康と幸せに貢献する

・スピードを重視した経営により、環境変化に先駆けて対応するとともに、お客様のニーズに的確に応える

・社員ひとり一人が自発性と創意工夫を発揮できる場を作り、社員の努力に対してしっかりと報いる

・良き企業市民として、法令を遵守し、環境・社会・地域との調和をはかり、その発展に貢献する

 

(2)経営環境

当連結会計年度における世界経済及び日本経済は、世界規模での新型コロナウイルス感染症の拡大により、防疫措置による経済活動の制限及び消費者の行動様式の変容が個人消費を大きく抑制し、多くの地域においてGDPのマイナス成長に至るなど非常に厳しい状況に陥りました。国内においては、1回目の緊急事態宣言解除後、政府主導の景気対策の効果や、段階的に社会経済活動が再開されたこと等により、第2・第3四半期においては一時的に回復の兆しを見せました。しかしながら、昨年末には新たな変異ウイルスの出現等もあり、国内の感染者が再び急激な増加に転じ、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が実施されるに至り、依然として先行き不透明な状況が続いております。ワクチン接種が十分に行われない限り、これまでと同様の感染拡大と収縮を繰り返す中で、経済状況の圧迫が生じる懸念があります。

国内のコンタクトレンズ市場においては、在宅勤務の定着、スポーツ・イベント及び学校の部活動等の中止による外出機会の抑制がコンタクトレンズの需要全般を減少させ、中でも女性のマスク着用によるメイク機会減少に連動するサークル・カラーコンタクトレンズの需要後退が顕著であります。当業界全体の市場規模調査に従えば、2020年は2019年対比、約7%強程度の市場規模が縮小したと推定されます。しかしながら、2021年の卒業・入学シーズンを迎え、消費者の購入活動については回復の兆しが見られております。更に、コロナ禍における働き方の改革や学校のリモート授業の普及に伴うデジタル機器への依存の高まりから、遠近両用コンタクトレンズを活用した眼精疲労の緩和やオルソケラトロジーレンズを用いた近視進行抑制等を主題とした放送番組も散見され、近視に対する社会の意識が大きく高まり、視力補正のためのコンタクトレンズが更なる広がりを見せる可能性が出てきております。

また、海外におきましては、当社グループが営業を展開している東南アジア・インド・欧州等で同感染症の拡大により経済活動が依然制約されておりますが、一方で中国経済はいち早く回復を示し、安定的な成長を継続しており、その回復の兆しは東南アジアにも及びつつあります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の景気見通しにつきましては、国内においてワクチン接種の進捗が遅れる中、変異種が従来を上回る感染力で広まりつつあり、未だ収束時期が見通せないことに加え、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の下での外出自粛要請及び大型商業施設への休業要請等の影響により、コロナ前の水準への回復には一定の時間を要すると考えられ、国内外において、景気の先行きは、相当の不安定さを呈するものと考えられます。

国内コンタクトレンズ市場につきましては、感染拡大阻止のための在宅勤務やリモート授業の定着、外出自粛による消費行動の抑制、さらに緊急事態宣言発令時における販売施設の休業等により、ワクチン接種等による抜本的な解決策が講じられるまでの間は需要の低迷が続くことが予測され、厳しい市場環境からの回復の目途が未だ立っていないと認識しております。海外市場においては、中国市場は回復を示しておりますが、特にインド・北部欧州では未だ感染の鎮静化が見えず、経済活動の再活性化には時間を要するものと思われます。

このような状況の下、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対する社内外への感染防止と従業員の安全確保、国や地方自治体からの各種要請を踏まえつつ、製品供給責任を確実に継続するために、グループ別交代制勤務・テレワーク・フレキシブルな通勤体制等を活用しながら、従来通り開発から生産販売に至る事業活動を継続し新たな取り組みへも注力してまいります。今後も、常に最新の感染状況、行政の政策運営、市場動向を踏まえた上で、臨機応変かつ慎重に事業活動を継続いたします。

2022年3月期につきましては、主力製品の「ワンデーピュアシリーズ」を中心として、品質の高さやきめ細やかな製品のラインナップのアピールに努めるとともに、2021年4月に発売したデジタルデバイス使用時の瞳のストレス軽減を目指して開発した新設計の1日使い捨てソフトコンタクトレンズ「シード ワンデーピュア View Support(ビューサポート)」や、市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ及びオルソケラトロジー等の高付加価値商品の拡販に注力してまいります。サークル・カラーコンタクトレンズにおいては、新色投入とともに、近くを見つづける瞳をサポートしながらもおしゃれを楽しみたい方に向けた「シード アイコフレ 1day UV M View Support(ビューサポート)」の発売により、コロナ禍における厳しい市場環境下における需要創設を目指してまいります。また、DXを活用した業務改革やスマートコンタクトレンズ事業等の新しい分野にも積極的に経営資源を投下してまいります。海外事業においては、2021年2月から欧州で販売を開始し、国内での展開も準備をすすめている当社初となる自社オリジナルのシリコーンハイドロゲル素材ワンデーコンタクトレンズ「シード 1day Silfa(シルファ)」の販売地域の拡大と販売促進に加え、中国・東南アジアを中心とした既存進出地域の売上拡大と新規販売品目の拡大に注力してまいります。利益面におきましても、多品種少量生産をより進めた中で、資材の効率使用を行い、歩留まり改善等による製造原価の低減を実現し、成長戦略のための研究開発投資や生産設備投資に係る償却負担等を吸収し、収益力の強化を図ってまいります。また、消費者の新しい生活様式に対応するべく広告宣伝戦略を抜本的に見直し、新しい視点での「シード」ブランドの定着を目指してマーケティングを実施していく方針です。

また、安全性や業務効率を勘案し、老朽化が著しく進んだ本郷地区の本社社屋について、2023年3月期より建て替えに着手する予定です。完成後、更なる業務効率の改善と、ブランドイメージの向上を様々な企業活動の面で目指してまいります。

なお、2021年5月7日に公表いたしました2021年3月期決算における単体決算においての特別損失の計上により、懸念されうる国内小売販売会社及び欧州等の海外製造及び販売子会社に関わる、現時点で想定される減損リスクのある資産についての引当金、損失処理は計上したと認識しております。北部欧州においては、新型コロナウイルスの感染状況は依然高く、欧州子会社の事業活動は大きな制約を受けており、2021年12月期の期間損益は、相応の影響を受けると考え、2022年3月期の当社の連結決算の業績予想には反映済みです。従いまして、2022年3月期以降のこれらの損失等の発生は外部要因が変わらない限りは限定的と想定しております。また、対象となった子会社の事業や営業資産等は、当社グループの持続的な成長や事業の国際展開のためには、重要な事業的意味を持つもので、必要不可欠と認識しております。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループは、増大するリスク管理に対応するため、リスク全般について監視・管理する委員会としてリスク・セキュリティ管理委員会を設置し、代表取締役社長を議長として、経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して、必要に応じてリスク案件の洗い出し、改善・回避する施策立案の議論を行っております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、下表「(3)環境・災害リスク」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を参照ください。

 

(1)戦略リスク

項目

リスク内容

当社の対策

 

需要動向

 

※特に重要なリスク

・日本において、近視率の増加や低年齢化等の需要増加要因を上回る人口減少による市場縮小

・高齢化の進行によるコンタクトレンズ装用人口の減少

・生活様式、勤務形態の変更によるコンタクトレンズ需要減

・特定の取引先に取引が集中

・海外展開の強化により日本の市場縮小リスクをカバー

・高齢化に対応した遠近両用コンタクトレンズの強化

・オルソケラトロジー・スマートコンタクトレンズ・近視進行抑制関連等の非コモディティ分野の取り組み強化

・取引先の分散、他社との取引拡大により、特定先との取引集中を回避

 

ガバナンス

 

※特に重要なリスク

・誤った投資判断に基づく損失の発生

・子会社経営に問題が発生した場合にグループ力が低下

・海外の子会社のコントロールが不十分なため海外子会社売上・利益の大幅な減少、減損が発生

・投資基準の制定による判断の明確化

・国内外子会社の競争力強化、海外子会社のマネジメント力強化

・国内外子会社の統制強化、きめ細やかな報告・指導実施

・グループ内での役割の明確化(コストセンター・プロフィットセンター等)

新商品開発力

・市場ニーズとの不一致・開発スピードの劣後による販売機会の喪失

・研究期間の長期化による開発費の増加

・市場ニーズに基づいた研究開発テーマの選定強化

・PDCAサイクルによる進捗確認

・外部機関との連携やその他オープンイノベーションによる開発スピードのアップ

・戦略的M&Aの推進

 

(2)ファイナンスリスク

項目

リスク内容

当社の対策

為替変動

・急激な為替変動が発生した場合、海外からの輸入や販売活動等における外貨建て決済に影響

・輸出入バランスの均衡化による為替変動リスクの軽減

・為替予約の実行

金利情勢

・金融情勢の変化により金利が大きく上昇した場合に、資金調達に伴うコストが増大

・固定金利・変動金利のミックスによる金利変動リスク軽減

棚卸資産の劣化

・販売環境等の変化により棚卸資産が長期滞留した場合、有効期限が到来する棚卸資産について棚卸資産評価損を計上する可能性

・適正在庫・需要動向の見誤り

・パラメータごとの有効期限管理

・出荷数に応じた少量発注・製造

・在庫・需要動向の適切な見極めとコントロール

減損損失

・有形固定資産、のれん及び無形資産について、事業環境の変化等により当該資産の収益性が低下した場合に減損損失を計上する可能性

・投資基準規程の策定・運用

・収益性向上による減損リスク低減

 

(3)環境・災害リスク

項目

リスク内容

当社の対策

 

新型コロナ禍の拡大

 

※特に重要なリスク

・外出自粛・販売店舗の閉店要請等の影響によるコンタクトレンズの需要減

・感染者が発生した場合、製造・受発注・発送業務等の停止

・海外拠点への出荷停止

・各販売施設に応じた顧客獲得施策の提案

・変化する購入チャネルへの対応強化

・各種感染防止策の推進(体調管理の徹底・在宅勤務の推進等)

・海外進出国の増加によるリスク分散

・社内外への感染防止と従業員の安全確保、製品供給責任の遂行に向けた対応

 

生産拠点における自然災害

※特に重要なリスク

・鴻巣研究所において大規模な地震・台風・水害等が発生した場合にコンタクトレンズの生産能力が低下

・BCP対応の強化

・災害防止点検や設備点検等の定期的な実施

・非常用自家発電装置の導入

・製造棟の分散

気候変動・環境問題

・地球規模での気候変動、環境問題、海洋プラスチック問題等に伴う経済状況の変化

・サステナビリティに対する取り組みが不十分だと見なされた場合の企業価値低下

・CO2排出削減・水使用量削減等、環境に配慮した製造工場、太陽光パネルの設置

・使用済みブリスターを回収する「BLUE SEED PROJECT」等の環境問題への取り組み強化・発信

・廃棄資材の有償化

・老朽化した本社の建替えおよび省エネ化推進

海外情勢

・海外進出国における予期せぬ政治的・経済的な社会情勢の変化や各政府当局が課す法的規制

 

・海外事業部・海外薬事部等の専門部署による情報収集

・現地パートナー・アドバイザーの活用

・調達先の多様化

・サプライサイドの現地化・調達ソースのローカライゼーション

 

 

(4)オペレーションリスク

項目

リスク内容

当社の対策

 

製品の欠陥

 

※特に重要なリスク

・製品の欠陥による様々な事象(副作用等)の発生

・大規模な製造物賠償責任の発生による費用発生・企業イメージ低下

・各種省令(QMS省令等)の遵守

・各種認証・許認可の取得

・海外生産品は国際規格に基づいて製造

・トレーサビリティ体制強化

・PL保険への加入

 

 

項目

リスク内容

当社の対策

 

法規制・法令遵守

 

※特に重要なリスク

・薬機法に基づく各業許可、及び海外進出国における同種の法令に抵触し取消しとなった場合、規制の対象となる製品の回収、販売中止、対象事業の活動中止となる可能性

・不正行為、事故等による当社信用の失墜

・独占禁止法抵触

・各種ハラスメントリスク

・SNSによる内部情報の漏洩リスク

・当該許可を受け、更新するための諸条件及び関連法令の遵守(各種許可一覧は次頁参照)

・薬事部・海外薬事部・品質保証部等によるチェック体制強化

・コンプライアンス研修の実施

・法務室の独立による法務チェック体制の充実化

・独占禁止法遵守の社内徹底

・責任役員の徹底化

・内部通報制度の整備

知的財産保護

・第三者による当社製品・技術に類似もしくは優れた製品の製造

・第三者の知的財産権侵害による損害賠償請求権を行使される

・特許権・意匠権・商標権を専門部署にて一元管理することによる知的財産保護

情報セキュリティ

・サイバー攻撃・内部不正アクセス等による個人情報や研究開発情報等の機密情報の漏洩

 

・個人情報保護規定、営業秘密管理規定、アクセス管理規定等の制定・運用による管理

・アクセス制限、認証、暗号化等の機能によるセキュリティ対策

・エンドポイントセキュリティ対策(マルウェア・ウイルス対策)

・内部監査の実施による厳重な管理体制構築

商品・資材・原材料調達

・外的要因により不測の事態が発生した場合、製造に必要な資材、原材料の調達が困難になる可能性

・供給先との間で、生産数の変動や供給体制等の情報を共有

・資材・原材料は約3ヶ月分を保有

・複数購買の推進

重要な訴訟

・重要な訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされる可能性

・社内・契約弁護士による法務リスク管理

海外認証制度の変更

・欧州基準で流通する医療機器に関する規則となる医療機器指令(MDD)から医療機器規則(MDR)への移行が期限内に完了しなかった商品の販売継続ができなくなる可能性

・新規にて同認証が取得できない場合

・海外薬事部・海外子会社による情報収集・対応

・MDRに準拠した社内薬事体制の整備・実施

適正な人材確保

・鴻巣研究所において採用数が確保できなかった場合及び休退職者の増加により人員が確保できなかった場合に、生産数に影響が出る可能性

・人材余剰・ミスマッチの発生(雇用の長期化・部署再編等に起因)

・自動化・工程数削減等による省人化

・多様な人材の確保・働き方の推進

・企業主導型保育所の活用推進等の働きやすい職場環境の整備

・人材の活用方法の検討・実践

 

 

(コンタクトレンズ・ケア用品事業に係る主要な許認可、免許及び登録等)

取得年月

(初回)2005年4月

(直近)2018年1月

(初回)2011年11月

(直近)2016年11月

許認可等の名称

医療機器製造販売業

医薬部外品製造販売業

製造販売業の名称

株式会社シード

株式会社シード

所管官庁等

東京都

東京都

許認可等の内容

医療機器の製造品質確保及び市販後安全性情報収集

医薬部外品の製造品質確保及び市販後安全性情報収集

有効期限

2023年1月

2021年11月

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

申請内容と異なる製品に対して、出荷可否判定を偽り、出荷を認めてしまう、また、重大な障害に対し虚偽の報告や隠ぺいする等

 

取得年月

(初回)2007年10月

(直近)2017年10月

(初回)2005年4月

(直近)2017年4月

許認可等の名称

医療機器製造業

高度管理医療機器販売業

製造所の名称

株式会社シード鴻巣研究所

株式会社シード

所管官庁等

埼玉県

東京都

許認可等の内容

医療機器の製造(コンタクトレンズ)

医療機器の販売

有効期限

2022年10月

2023年3月

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

申請内容と異なる製品を製造すること等

医療機器の品質確保、トレーサビリティを怠る等

(注)高度管理医療機器販売業については、各営業所において許認可を取得しております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度末における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

3ヶ年中期経営計画の最終年度となる2021年3月期につきましては、計画を踏まえつつも外部環境に応じた臨機応変な経営を行ってまいりました。当社グループでは、同感染症に対する社内外への感染防止と従業員の安全確保、ならびに製品供給責任を両立する施策を講じてまいりました。社員の健康と出勤管理を徹底し、組織の冗長化を図るグループ別の勤務体制・テレワーク・フレックスタイム制度を活用する等の感染対策を行い、事業継続を最優先事項として取り組むとともに、不測の事態に備えた原料・資材在庫の一定量への積み増しや、国内製造品の在庫の積上げ等を行うと同時に、仕入れ商品については在庫の適正化を行ってまいりました。これにより、商品在庫水準の適正化により生じた資金で借入金返済を進める等、バランスシートの健全化にも取り組みました。

 

その結果、当連結会計年度の業績について、国内外の経済活動の再開に伴い第2四半期以降業績は徐々に回復基調を示してきましたが、第1四半期の大幅な減少を取り戻すには至らず、売上高は28,617百万円(前年同期比10.0%減)となりました。利益につきましても、製造原価低減に加え、広告宣伝費や営業経費・人件費をはじめとした販売費及び一般管理費の削減に努めてきた一方、欧州の薬事規制変更や英国の欧州離脱に端を発する資材及び製品在庫処分の実施、さらに、コロナ禍におけるサークル・カラーコンタクトレンズの販売低迷から「JILL STUART 1day UV」の在庫評価減を実施したことが原価の増加につながり、営業利益1,195百万円(前年同期比31.0%減)、経常利益1,211百万円(前年同期比28.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社の事業譲渡に関連する特別利益を計上したこと等により、1,129百万円(前年同期比346.6%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(コンタクトレンズ・ケア用品)

国内のコンタクトレンズにつきましては、コロナ禍において眼科・販売店への営業活動や他県を跨る移動が制限されるなか、WEB等を併用した営業活動を展開しながら、SNSを通じた広告宣伝を行う等、消費者への直接の需要喚起も行いました。引き続き主力の純国産1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーピュアシリーズ」を中心とし、特に遠近両用・乱視等のテクニカルレンズの拡販に注力してまいりました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響によりサークル・カラーレンズの落ち込みは継続したものの、コンタクトレンズ全体の売上は着実に回復基調を示し、その中でも高付加価値の遠近両用レンズは需要増により前年同期比4.2%増、オルソケラトロジーレンズにつきましては、同感染症拡大の状況下においても市場が着実な進展を示し、前年同期比26.3%増となりました。ケア用品につきましては、オルソケラトロジー関連のケア用品は増加したものの、コンタクトレンズの使用機会が減少した影響を受け、前年同期を大きく下回る結果となりました。

海外へのコンタクトレンズ輸出等につきましては、東南アジア諸国・台湾・インド・欧州諸国の市場が引き続き厳しい状況で推移したものの、中国市場はいち早い回復を示し伸長しております。

その結果、セグメント全体の売上高は28,089百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益2,186百万円(前年同期比23.4%減)となりました。

(眼鏡)

眼鏡につきましては、2020年3月期に引き続き事業規模縮小に取り組みながら、主力フレームの「ビビッドムーン」や「プラスミックス」を中心に営業活動を行ってまいりましたが、コンタクトレンズ以上に新型コロナウイルス感染症の影響による買い控えの傾向が見られた結果、売上高は391百万円(前年同期比34.2%減)、営業損失は36百万円(前年同期営業損失54百万円)となりました。

(その他)

その他につきましては、期間中、新型コロナウイルス感染予防を目的として外科手術を抑制した眼科施設が少なからず存在したため、眼内レンズの売上が減少した等の要因により、売上高は137百万円(前年同期比55.7%減)、営業損失13百万円(前年同期営業損失11百万円)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、3,955百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、3,690百万円(前年同期3,897百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益の計上1,539百万円や減価償却費の計上2,721百万円により、資金が増加しております。また、資金減少の要因は法人税等の支払い518百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、1,663百万円(前年同期2,649百万円の支出)となりました。これは主に、鴻巣研究所の倉庫棟竣工と設備導入等に伴う有形固定資産の取得による支出2,145百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、1,726百万円(前年同期273百万円の支出)となりました。資金減少の主な要因は長期借入金の返済による支出3,386百万円及び短期借入金の純減少額2,670百万円であります。一方、資金増加の主な要因は長期借入金の借入5,653百万円であります。なお、長期借入金の借入による収入のうち4,300百万円は、新型コロナウイルス感染症の影響に備え、2020年7月末までに緊急的に借入を実施した分であります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

本報告書のこの項以下に記載する金額は、消費税等を抜きで表示しております。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

 前年同期比(%)

コンタクトレンズ・ケア用品(千円)

9,619,935

103.7

合計(千円)

9,619,935

103.7

(注)金額は製造原価によっております。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

 前年同期比(%)

コンタクトレンズ・ケア用品(千円)

6,254,011

67.5

眼鏡(千円)

167,079

42.9

その他(千円)

64,638

61.9

合計(千円)

6,485,729

66.5

(注)金額は仕入価額によっております。

③ 受注実績

当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

 前年同期比(%)

コンタクトレンズ・ケア用品(千円)

28,089,336

90.9

眼鏡(千円)

391,175

65.8

その他(千円)

137,148

44.3

合計(千円)

28,617,660

90.0

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

(3)経営者の視点による財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及びの分析

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行っており、そのうち主なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

(たな卸資産の評価)

当社グループの保有するたな卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、厳格な処理を実施しております。たな卸資産は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価しており、取得原価と当連結会計年度末における正味売却価額のいずれか低い方の金額で評価しております。また、収益性の低下に基づき簿価を切り下げた金額は原則として売上原価に含めております。製品及び商品に含まれる長期滞留のたな卸資産に対しては、過去の販売実績を基礎に商品の有効期限内での販売可能性を検討したうえで、現時点において販売が見込まれないたな卸資産の取得価額を切り下げております。

当連結会計年度末において収益性の低下が認められたたな卸資産に対して、上記方法に基づく簿価切下げによる評価損を計上しております。

当該見積りは、景気動向や顧客ニーズの変化等の将来の経済環境の変動等によって影響を受ける可能性があり、実際の将来販売予測が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において売上原価の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(債権の評価)

当社グループの保有する債権(売上債権、貸付金等)については、回収可能性を検討の上、貸倒引当金を計上しております。なお今後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、債務者の財務内容、将来業績が低下する場合においては、貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における資産の残高は、41,261百万円となり、前連結会計年度末から330百万円減少いたしました。主な要因としては、鴻巣研究所の製品倉庫棟竣工と設備導入に伴い、有形固定資産が増加したものの、海外からの委託生産商品在庫の抑制を進めたことが要因として挙げられます。

負債につきましては、29,606百万円となり、前連結会計年度末から1,221百万円減少しております。主な要因は商品在庫の抑制により生じた資金で借入金返済を進めたことにより、短期借入金が2,303百万円減少したことが挙げられます。

純資産につきましては、11,654百万円となり、前連結会計年度末から891百万円の増加となりました。主な要因としては、利益剰余金が増加したことが挙げられます。

 

③ キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析に関しては、第2[事業の状況]3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)[経営成績等の状況の概要]の②を参照ください。

指標

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

自己資本比率(%)

26.8

25.5

27.9

時価ベースの自己資本比率(%)

78.1

53.5

47.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

△1.2

24.1

21.8

※時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出

※インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

④ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための費用や商品仕入代金等の運転資金、中長期的に安定した成長を遂げるためのコンタクトレンズ事業における製造設備投資及び研究開発への継続的な投資であります。設備投資につきましては、「第3 設備の状況」、研究開発投資につきましては、「5 研究開発活動」に記載のとおりであります。また、海外市場への進出も積極的に行っており、買収・出資等の資金確保も重点課題であります。

必要資金につきましては、主に手元資金及び金融機関からの借入金にて賄っており、当連結会計年度末の当社グループの短期及び長期借入金の残高は19,208百万円であります。当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを中心に財務の健全性に取り組みながら、外部からの借入金も活用し資金需要を賄ってまいります。

 

⑤ 経営成績の分析

売上高・売上総利益

当連結会計年度における売上高は28,617百万円となり、前連結会計年度に比べ3,175百万円減少いたしました。これは、世界規模での新型コロナウイルス感染拡大の影響により、コンタクトレンズの需要全般が減少し、中でも女性のマスク着用によるサークル・カラーコンタクトレンズの需要後退が顕著であり、コンタクトレンズ全体で前期比9.0%の減収となったためであります。

売上総利益は12,411百万円(売上総利益率43.4%)となり、前連結会計年度に比べ1,771百万円減少(売上総利益率1.2ポイントダウン)いたしました。これは、主に売上高の減少に伴う減益によるものであります。

 

販売費及び一般管理費

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は11,215百万円となり、前連結会計年度に比べ1,234百万円減少いたしました。これは、広告宣伝費(前期対比221百万円減)や研究開発費(前期対比290百万円減)等が減少したためであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループは、皆様の「見える」をサポートするため、コンタクトレンズを核とし、ケア用品・眼鏡・医薬品・医療機器等、技術に裏打ちされた高品質で安全な「眼」に関する製品開発を進めております。

 

現在の研究開発は、おもに埼玉県の鴻巣研究所、イギリスのContact Lens Precision Laboratories Ltd.(以下CLPL社)、ドイツのWoehlk Contactlinsen GmbH(以下Woehlk社)及び、スイスのSensimed SA(以下Sensimed社)で進められており、研究開発スタッフは、鴻巣研究所及び本社に73名、CLPL社に6名、Woehlk社に2名、Sensimed社に5名が在籍しております。それぞれの事業所が持つ得意とする技術を最大限に生かすため、グループ内での連携を推進しております。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は1,381百万円であり、セグメント別の研究開発費については、コンタクトレンズ・ケア用品に係るものであります。

 

 コンタクトレンズ・ケア用品

①高酸素透過性等の付加価値の高い新素材の開発を進めております。また、新しい素材の基礎研究を国内外の大学、公的研究機関と共同で実施しております。

②乱視、遠近両用等の特殊コンタクトレンズにおける革新的な光学設計に関する研究を進めております。

③持続的に薬剤を放出するソフトコンタクトレンズにつきましては、治療対象となる疾患、薬剤の選定を終了し、治験を開始いたしました。また、難治性疾患を対象とした次世代の医薬品・医療機器の複合型デバイスについても、大学、製薬メーカーと共同で研究開発を進めております。

④生体情報のモニタリングを可能とする新たなスマートコンタクトレンズの研究開発を加速しております。

⑤検査用、治療用、その他特殊用途コンタクトレンズの需要の高まりに対応するため、少量多品種での生産が可能な自動化ラインの検討を進めております。

⑥世界的な近視進行抑制医療への関心の高まりを受け、関連する製品の実用化を目指し、研究開発を加速しております。

⑦ケア用品は、コンタクトレンズの普及が加速度的に進んでいる東南アジアを中心とした市場への展開を目指した検討を進めております。