第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは「素晴らしい人間環境づくり」のスローガンのもと、「お客様本位の姿勢」「創意開発」「明るい風通しのよい職場づくり」を経営の基本理念として、株主・取引先・社員など当社グループを支えていただいている全ての関係者の信頼と期待に応え、共に栄えることを日々の経営活動の指針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

経営指標として当社グループは、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。販売拡大並びにコストの削減及び品質強化などに伴う利益の最大化を図ることにより、中期経営計画(2018年4月~2021年3月)においてROE12%以上を中期的な目標としております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による減収減益を受けてROE9.1%の実績となりました。「新中期経営計画」(2021年4月~2024年3月)においては、ROE10%程度を中期的な目標としており、今後も引き続き、持続的な企業成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。また、健全な財務体質を維持するため、適正な自己資本の充実を図る方針であります。

 

(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループでは、人口減少に伴う住宅市場の縮小や低炭素化への取り組み拡大など社会構造・経営環境が変化する中、持続的な成長軌道に乗せるため、新たに策定した「新中期経営計画」(2021年4月~2024年3月)に基づき、スピード感を持って次の新重点課題に取り組んでまいります。

① 生産能力の大幅増強

今後の安定したシェアアップと新市場開拓を確固たるものにするため、想定を上回る需要に対しても着実にビジネスチャンスを掴み販売量を伸長できるように、余力のあるフレキシブルな生産体制を構築いたします。具体的には、国内において生産効率の面でボトルネックとなっている工程への増産投資により製造ラインの新設に比べ極めて少ない投資で生産能力を増強いたします。これまで取り組んできた生産効率向上も含め、国内と米国新工場を合わせて生産能力を約20%アップとする計画です。

② 海外市場開拓

米国の新工場建設により、成長市場に対応できる供給能力を確保するとともに、現地の顧客ニーズに寄り添った製品のタイムリーな開発を実現し、さらなる市場開拓に注力してまいります。また、米国市場以外では、中国・ロシア・オーストラリア・韓国などの既存の有望市場における販売を伸長させるほか、将来的には欧州市場も視野に入れた新たな販路の開拓を進めてまいります。

③ 非住宅市場開拓

これまで中高層建築物向けなどの非住宅市場をターゲットに、専用金具の使用による45mまでの施工が可能な新工法や1時間及び2時間の耐火構造用新工法など、顧客ニーズに即した工法を開発してまいりました。これらの工法とともに、当社商品の優れたデザイン性・耐火性・耐候性に加え、特に施工現場で求められる工期の短縮というメリットもアピールしてまいります。

④ 金属事業拡大

金属サイディングは、新築住宅のほかリフォームにも使用されており、新築住宅が減少する中でストックビジネスとしての安定的な成長が期待されます。加えて、主力の窯業系外装材と同様に非住宅市場においても潜在的な需要が見込まれており、低層の倉庫・工場・店舗等をターゲットに販売強化を図ります。また、鉄骨造1時間耐火構造に対応した新商品をはじめ、商品開発にも一層注力し、新たな市場の開拓を進めてまいります。

⑤ ESGの取り組み強化(環境対応)

当社の窯業系外装材はデザイン性や性能だけでなく環境への貢献という点においても強みがあり、昨今の低炭素化ニーズの拡大をビジネスチャンスと捉えております。すなわち、当社の主力商品である「モエンエクセラード」は、本来であれば廃材となる国産の木材チップを原材料に使用しており、製造時のCO2発生量よりもCO2の固定化量の方が多く、張るだけで地球環境への貢献が可能となっております。また、当社では、住宅等の建築時に発生する窯業系外装材の端材を回収し再利用することにより産業廃棄物の発生を抑制するリサイクルシステムを構築し、その普及に取り組んでおります。さらに、今後はエネルギー原単位の改善など製造時のCO2排出量削減にも注力するなど、環境負荷軽減に対する取り組みを強化してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、本記載は、将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1) 住宅着工の動向が業績に影響を及ぼすことについて

主力製品である窯業系外装材を始め、当社グループの製品はその多くが国内住宅産業向けであり、かつ国内窯業系外装材は業界内シェアが50%を超えていることから、当社グループの業績は住宅着工戸数の動向に影響を受けます。新設住宅着工戸数については、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、中長期的にも、わが国の人口減少などの構造的要因により、減少が予想されています。当社グループとしては、従前より海外市場への進出や店舗・公共施設などの非住宅市場開拓にも注力しており、最近では新工法開発を武器として中高層建築物向けにも参入するなど市場開拓を図っておりますが、国内新築住宅向け市場規模の占める割合は大きく、その動向に影響を受けることになります。

特に窯業系外装材は、主に木造及び鉄骨造の建築物に使用されるため、戸建及び低層アパートの新設着工戸数と相関関係が認められます。従って、同着工戸数が窯業系外装材業界全体の出荷量の先行指標でもあり、当社グループの業績もその動向に大きく影響を受けることになります。

 

(2) 景気動向と競合等について

住宅関連業界では厳しい企業間競争が続く中、窯業系外装材業界は過去に提携・再編・統合などの動きがありました。最近はこれら業界再編の動きは一段落しておりますが、販売価格については一部で企業間での価格競争が発生しており、今後は更なる価格競争にさらされるリスクがあります。

当社グループといたしましては、業界トップ企業として今後も商品力を背景に価格をリードする意向であり、高付加価値品を中心とする高級品化への移行を推進するとともに、一層のコストダウン・合理化に努め対応していく方針ですが、価格低下が進めば今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原材料・エネルギー価格等の変動について

当社グループの製品製造における原材料・エネルギーは、その多くは塗料を始めとする原油からの生成品・セメント・パルプなどから構成されております。近年、これら諸資材の価格が短期間に大きく変動する傾向にあり、この傾向は今後も続くことが考えられ、従前のように比較的安価な材料等を安定的に調達できなくなるリスクがあります。

当社グループでは対策として、調達先の多様化や一括調達の検討、あるいは材料配合の見直しなど様々な合理化策を講じる一方で、次期の業績予想においても、一定の前提の下、資材価格の変動の影響を織り込むなどしておりますが、諸資材の価格が予想を上回ったり、販売価格への転嫁が困難な場合や転嫁時期が遅れた場合には当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 製品の欠陥及び製造物責任について

当社グループは、従来より製造業の原点として製品の品質管理を徹底しておりますが、すべての製品について欠陥が無く、将来的にもクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

大規模なクレームや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が生じれば、多額の費用を要するのはもちろん、当社グループの製品に対する信頼性を損ない、それにより売上額が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(5) 海外市場での新規事業について

当社グループは、海外事業を「次の成長エンジンの一つ」に位置付けております。元来、大きな戸建住宅需要を有する米国については、主として現地工場にて生産した窯業系外装材を住宅市場向けに販売する事業を展開しております。米国住宅市場は堅調に推移しており、今後は現地工場における安定生産体制を確立し、さらなる増産や高付加価値品の生産に取り組み、米国事業の拡大を図ります。

この一環として、2018年7月には高付加価値品を生産する新工場建設を決定しました。本工場は総額164億円を投じて、日本で生産しているものと同等の高付加価値品を生産できる工場です。この工場建設によって、現地顧客ニーズに寄り添った製品の開発とタイムリ-な上市による市場開拓を進めてまいります。新工場は、新型コロナウイルス感染症の影響により機械据付工事に遅れが発生しておりましたが、2021年10月頃に完成予定であります。

また、市場としての可能性を有する中国市場については、浙江省にある生産子会社2社が窯業系外装材を製造・加工しており、その大半を当社及び米国子会社に供給しているほか、一部は中国国内でも販売しております。

海外進出に際しては、海外市場での成長の機会に乗り遅れないために、収益の計上が見込まれる時期より相当以前から多額の投資を行う必要が生じます。このような立ち上がり期の投資額の増大によって、利益を上回る費用が必要となることがあります。さらに、海外における事業展開には、市場開放の問題、予期しない法律又は諸規制の変更、不利な税制や政治的・経済的要因など様々なリスクが内在すると考えられ、それら要因が障壁となり、当社グループの事業成長が妨げられる可能性があります。

海外における事業活動の結果は、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 為替変動の影響について

当社グループの業績及び財政状態は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替の変動は、①当社及び在外子会社間の外貨建取引における資産・負債、収益・費用及びキャッシュ・フローに影響する場合、②連結財務諸表における在外連結子会社の資産・負債、収益・費用の円貨への換算額に影響する場合の二つの側面において影響を及ぼします。

当社グループは、在外子会社向けの外貨建債権の一部について、デリバティブや為替予約を通じて為替変動リスクを限定的にとどめる手段を講じておりますが、在外子会社向けの外貨建債権のうち、ヘッジ会計を適用していない部分については、時価評価に伴う円貨への換算を始めとして、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。

 

(7) 大規模な自然災害の影響について

大規模な自然災害の影響につきましては、2011年3月11日に発生した東日本大震災後、国内では大地震に対するリスク認識が強まっております。かかる状況下、報道等によれば、東南海地震等の大地震が近い将来に発生する可能性が高いことが改めて指摘されております。当社グループでは、東南海大地震が発生した際に「震度6弱」の揺れが予測される地域内に、当社名古屋工場、ニチハマテックス株式会社衣浦工場・大江工場等が存在します。

当社グループでは、将来予想される大地震の発生に備え、人的被害対応の訓練を実施するほか、建物の補強工事を行うことなどの対策を講じておりますが、ひとたび大地震が発生すれば、当社グループの生産設備等に重大な影響を及ぼすことが想定されます。一方では、国内における経済活動の停滞に伴う消費動向の悪化により、当社グループの業績にマイナス影響が生じる可能性があります。

 

(8) 新型コロナウイルス感染症の影響について

当社グループでは、感染防止のため、衛生管理の徹底や時差出勤、Web会議システムの利用等の効率的な事業運営を実施しております。現時点において国内外の工場の稼働停止は発生しておらず、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンへの影響はほとんどありません。しかしながら、感染が再拡大した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症のまん延が長期化した場合、住宅産業の情勢が変化し、当社の業績等に影響が及ぶ可能性があります。

 

(9) 工場における火災・設備トラブルについて

生産工場における火災や重大な設備トラブルは、稼働停止による製品供給の中断に繋がります。当社グループの一部工場においては、木質系材料の使用に伴う飛散ファイバー(木材ダスト)の発生と現場での高熱利用が相まって火災が発生するリスクがあります。

当社グループは、火災を発生させないための体制や安全防火に係る各種マニュアル等の整備を進めるとともに、ダスト除去設備・モニター設置なども行い現場管理を強化しておりますが、火災事故が発生した場合は当社グループの業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

なお、不測の事態に備え、資産の保全や事業中断に伴う機会損失をカバーするために、損害保険によるリスクヘッジを併せて行っております。

 

(10) 知的財産について

当社グループでは、事業の優位性を確保するため、開発した製品や技術について知的財産権による保護に努めておりますが、出願する特許等に対して権利が付与されない場合や十分な保護が得られないことが起こり得る可能性があります。

また、知的財産権に関して、第三者の技術を使用したい場合に、その技術が使用できない、若しくは不利な条件で使用せざるを得ない、あるいは第三者から訴訟を提起されたり、第三者に対して訴訟を提起しなければならないことがあります。

当社グループでは、侵害警告等を受けることのないよう、体制・対応を整備して業務にあたっておりますが、万一、当社グループによる第三者の知的財産権侵害が認定された場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(11) 環境保全について

当社グループが製品を製造する過程で使用する材料等の中には、人の健康や自然体系に影響を与える物質等を含んでいるものがあります。

当社グループは、これらの有害物質を扱う社員の健康被害を防止するために作業環境の管理・改善を推進する一方で、大気・土壌汚染、水質汚濁等の環境汚染防止に係る各種環境関連法令を遵守するとともに、法令上使用が認められている材料等であっても、より環境に配慮した材料等の選択・利用にも取り組んでおりますが、万一、当社グループの事業活動に起因する環境汚染が発生した場合には、対応に多額の費用が生じたり、社会的信用が低下することにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(12) 情報システムについて

当社グループは、生産・販売等の各種事業活動を行う上で、コンピュータシステム及び情報通信システムを利用しています。コンピュータシステム上のハードウェア・ソフトウェアの不具合や欠陥、通信ネットワークにおける障害等が生じた場合には当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。

また、これらの障害が生じた場合には、当社グループが保有する各種機密情報が外部に漏洩するリスクがあります。

当社グループでは、効率的で安定した事業活動の遂行と情報の秘密保持のため、適時・適切なシステムの更新やデータ処理能力の増強、障害発生時のバックアップ機能付加など体制を整備しておりますが、テロ、自然災害、ウイルス等による情報通信システムの不具合など、不測の事態が起きた場合には、当社の事業活動継続に影響が及ぶ可能性があります。

 

(13) 人材確保について

当社グループが継続的に事業を発展させるためには、専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営を企画推進できるマネジメント能力に優れた人材など、多種多様な能力を有する人材の確保・教育を継続的に行っていく必要があります。特に、工場などの現場においては、操業等に必要な有資格者を適切に配置し、運営を管理する必要があります。

当社グループでは、新卒採用のみならず経験者の通年採用を積極的に行うとともに、中長期を見据えた計画的な採用と育成に努めておりますが、これらが計画的に進まない場合には、長期的観点からの事業運営の有効性が損なわれ、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(14) 納期管理・供給責任について

当社グループは、適切な納期を確保すべく事業活動を継続しておりますが、競合企業の価格施策や生産能力の変化などの影響に伴い、当社の供給能力を上回る受注により納期遅延等が発生するリスクがあります。

当社グループでは、このような状況を生じさせないためにも、販売・生産・調達などの各部門において情報の収集と共有を強化するとともに、新中期計画における重点課題として「生産能力の大幅増強」を目標に増産投資を計画しておりますが、深刻な納期遅延が長期間に亘って発生した場合は、顧客からの信用低下により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(15) 法的規制について

当社グループは、「(5) 海外市場での新規事業について」で前述した規制等の他にも、事業展開をする上で国内外の法令や許認可など様々な法的規制の適用を受けております。

また、これらの法的規制が従来よりも厳格になることも考えられます。

当社グループでは、これらの法規制に加えコンプライアンスを遵守すべく、行動指針を定め、研修等を通じて役職員への徹底を図っておりますが、法令の改変や規制強化に伴い当社グループの事業活動が制限されたり、法的規制に対応するための費用が増加することにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の状況

当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。

前連結会計年度末に比し純資産が75億53百万円、総資産が61億14百万円それぞれ増加した結果、自己資本比率は69.0%と2.3ポイントの増加となりました。

増減の主なものは、流動資産では商品及び製品が39億27百万円減少した一方で、現金及び預金が29億63百万円、未収入金が11億47百万円それぞれ増加したことなどにより、流動資産全体で1億31百万円減少しております。また、固定資産では有形固定資産が51億13百万円、投資その他の資産が12億35百万円それぞれ増加したことなどにより、全体では62億45百万円増加しております。

負債では、流動負債が15億93百万円減少した一方で、固定負債が1億54百万円増加したことにより、負債合計は14億38百万円減少しております。

 

(2)経営成績等の状況

事業全体及びセグメントごとの経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化した後、経済活動の再開を受けて持ち直しの動きがあったものの、依然として一部には弱さが続きました。

住宅産業におきましては、新設住宅着工戸数は消費増税に伴う前年度からの減少傾向が続く中、上期には新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、下期に入って下げ幅が縮小し、年度全体では812千戸と前年度比8.1%の減少となりました。

これに伴い、当社グループの主力製品である窯業系外装材の2020年度における業界全体の国内販売数量は、前年度比9.7%(JIS規格対象外の12mm厚製品を含む基準)の減少となりました。

このような市場環境の下、当社グループは、耐候性等に優れた「Fu-ge」(フュージェ)や塗膜30年保証に対応した商品に代表される高付加価値商品の拡販に取り組むとともに、2020年1月より開始した高級品タイプの軽量化について順次切替を進めて参りました。また、米国事業を始めとする海外マーケットについてもさらなる開拓を進めるとともに、国内非住宅市場においては商業施設向けや中高層建築物向けの開拓に努める一方、生産、販売などあらゆる領域にわたる徹底したコストダウンにも注力いたしました。

なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、感染防止のため、衛生管理の徹底や時差出勤、Web会議システムの利用等の効率的な事業運営を実施しております。当連結会計年度において中国で当局の指導による一時的な工場の稼働停止はあったものの、それ以外の国内外の工場では稼働停止は発生しておらず、サプライチェーンへの影響はほとんどありませんでした。

 この結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。

 

(金額単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

率(%)

売上高

123,722

119,942

△3,779

△3.1

営業利益

13,098

12,029

△1,069

△8.2

経常利益

13,501

12,248

△1,253

△9.3

親会社株主に帰属する当期純利益

10,773

8,902

△1,871

△17.4

 

売上高につきましては、国内において、高付加価値商品の拡販などにより業界内シェアを順調に上昇させ、業界全体の販売数量減のかなりの部分を吸収した結果、全体の売上高は1,199億42百万円と前連結会計年度比37億79百万円(△3.1%)の減収となりました。なお、業界内シェアにつきましては、通期では54.5%と前期比3.5ポイント、当第4四半期連結会計期間(3ヵ月)では55.7%と前年同期比3.1ポイントそれぞれ上昇しました。

損益につきましては、主力の国内事業においてエネルギー価格を含めた生産のコストダウンや営業固定費の削減が進みましたが、減収及び在庫減の影響により営業利益は120億29百万円と前連結会計年度比10億69百万円(△8.2%)、経常利益は122億48百万円と同12億53百万円(△9.3%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益に受取和解金10億13百万円があったものの、特別損失として国内子会社における減損損失11億11百万円を計上したことなどにより89億2百万円となり、前期の中国子会社における固定資産売却益がなくなったことなどから同18億71百万円(△17.4%)の減益となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

外装材事業

売上面では、前記のとおり、主として国内外装材事業が減収となったことから、売上高は1,110億12百万円と前連結会計年度比31億21百万円(△2.7%)の減収となりました。

また、損益面では、米国窯業外装材事業は横這いであったものの、主力の国内外装材事業が減益となったことから、セグメント利益(営業利益)は149億90百万円と同6億57百万円(△4.2%)の減益となりました。

 

その他

売上面では、工事事業を中心に減収となったことなどから、売上高は120億21百万円と前連結会計年度比8億16百万円(△6.4%)の減収となりました。

また、損益面では、売上減少の影響により、セグメント利益(営業利益)は49百万円と同4億11百万円(△89.2%)の減益となりました。

 

キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し29億63百万円増加し、当連結会計年度末には396億88百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は158億6百万円(前連結会計年度比22億円の減少)となりました。これは、主に、償却前利益(税金等調整前当期純利益+減価償却費)で168億36百万円を計上し、たな卸資産が35億64百万円減少するなど資金の増加要因があった一方で、法人税等の支払額が44億96百万円となるなど資金の減少要因もあったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は111億62百万円(前連結会計年度比20億22百万円の増加)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得による支出が108億41百万円、無形固定資産の取得による支出が4億20百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は15億66百万円(前連結会計年度比29億17百万円の減少)となりました。これは、主に、配当金の支払額が21億5百万円あった一方で、長期・短期合わせた借入金が6億49百万円増加したことによるものであります。

 

生産、受注及び販売の実績

ⅰ.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

外装材事業(百万円)

88,287

93.7

報告セグメント計(百万円)

88,287

93.7

その他(百万円)

8,045

90.2

合計(百万円)

96,333

93.4

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

ⅱ.製品商品仕入実績

 当連結会計年度における製品商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

外装材事業(百万円)

9,836

89.4

報告セグメント計(百万円)

9,836

89.4

その他(百万円)

1,178

113.9

合計(百万円)

11,015

91.5

        (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ⅲ.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

その他

431

72.2

114

70.4

 (注)1.その他における注文住宅、住宅リフォームに係るものであります。なお、上記以外については、主として見込み生産によっており、受注生産はほとんど行っておりません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ⅳ.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

外装材事業(百万円)

110,117

97.2

報告セグメント計(百万円)

110,117

97.2

その他(百万円)

9,825

93.9

合計(百万円)

119,942

96.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

SMB建材(株)

32,747

26.5

32,439

27.1

住友林業(株)

28,411

23.0

27,774

23.2

伊藤忠建材(株)

15,592

12.6

15,454

12.9

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、「(1)財政状態の状況 (2)経営成績等の状況 事業全体及びセグメント区分ごとの経営成績の状況」の項に記載のとおりであります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

「2 事業等のリスク」の項で前述した各リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

また、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用に伴い、今後の業績等の内的要因や地価の下落等の外的要因を含め、当社グループが所有する固定資産につき、将来キャッシュ・フローが十分に見込めない資産又は資産グループが存在すると判定された場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことがあります。

 

キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ.キャッシュ・フローの状況

当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「(2)経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」の項に記載のとおりであります。

 

ⅱ.資金調達と資金需要

当社グループはメイン銀行をはじめ取引金融機関と良好な関係を維持しております。当連結会計年度には設備投資資金の調達及び長期安定資金の確保のため、20億48百万円の長期借入を行いました。一方、長期借入金の約定返済が進んだこともあり、長期・短期合わせた借入金残高は、前連結会計年度末に比し、6億49百万円増加して155億85百万円となりました。

米国に総額164億円を投じて新工場を建設中でありますが、その資金調達方法につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入であります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、「素晴らしい人間環境づくり」のスローガンのもと、循環型社会の実現に貢献する創造開発型企業として、新しい建築材料の可能性を探る基礎研究から高品質・低コストを両立するための生産技術、さらには施工技術の開発に至るまで、時代を先取りする新商品の開発を目指して研究開発活動を行っております。

当社グループにおける研究開発活動は、主として当社並びに子会社(株)チューオー及び子会社(株)FPコーポレーションが行っております。

当連結会計年度には、当社は中期経営計画の目標である「世界で通用する建物の壁材専業メーカー」を目指し、国内での商品構成の充実を図るとともに、非住宅市場や海外市場での外装材を追求する開発にも積極的に取り組みました。(株)チューオーにおいては金属を素材とする外壁材と屋根材を中心に、また(株)FPコーポレーションにおいてはウレタン断熱パネルを中心に、それぞれ新商品の上市に向けて活発な研究開発活動を展開しております。

なお、当連結会計年度末現在の研究開発人員は101名、当連結会計年度の研究開発費は1,386百万円であります。

 

 当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。

(1) 外装材事業

窯業系外装材については、当社独自の技術を活かし、環境負荷低減と住宅性能向上に貢献できる商品開発を基本として、機能や工法においても時代のニーズに応えるべく、様々な商品を開発し発売いたしました。

主力商品であるモエンエクセラード16の10尺品について、施工性改善のため約1割の軽量化を実現し、昨年1月より順次切り替えを進めております。製品の特長である強靱さ、防耐火性能などの基本性能はそのままに、新築戸建住宅、リフォーム、中高層分野において、施工に携わる方にとって更に扱いやすい製品へと改良をいたしました。

一方で、当社グループは非住宅市場開拓を重点課題に掲げております。具体的には、中高層建築物向けの市場開拓に注力しており、これの実現のための工法開発を進めております。中高層建築物向けについては、これまでに専用の金具を用いた新工法の開発により、RC造では高さ45メートルまでの施工を可能としてきましたが、鉄骨造にも対応した新工法として、2019年11月と2020年3月に耐火構造用新商品「プラスター・モエン外壁耐火構造」を発売いたしました。これは、当社製品と強化石膏ボードを組み合わせることにより鉄骨造での耐火構造を実現したものです。低層向けに1時間耐火構造、中高層向けに合成被覆柱・はり2時間耐火構造の認定を取得し、幅広い耐火構造の建築物向けに対応できるように開発しました。さらに、RC造の非耐震壁部に建物の軽量化と省エネルギーへ配慮した鉄骨外断熱工法を吉野石膏株式会社、旭ファイバーグラス株式会社と共同開発し、2020年3月に「軽量外断熱システム FEISタイガー・モエン」としてプレスリリースするなど、当社製品がより多くの物件に使用出来る可能性を広げております。

なお、専用の金具につきましては、耐風圧性能向上のための形状変更をするなど改良を進めております。

また、板間の継ぎ目が目立ちにくい四方合じゃくり接合である「Fu-ge」シリーズについては、中高層RC造建築物で最も使用実績のある50二丁タイル柄を再現した「サンドグリッドType-A」と「サンドグリッドType-Z」を発売いたしました。これらは、中高層建築物向けとして飽きのこないデザインを採用するとともに、お客様のご要望にお応えできるよう「ORDER COLOR(オーダーカラー)」を可能としました。

金属系外装材については、新市場である非住宅(鉄骨造)低層向けの拡販を目的とするセンターサイディングNS型・N型(縦張り)において、2021年6月に鉄骨造1時間耐火構造認定を取得いたしました。また、高耐候性塗装を採用した金属外装材のラインナップを2020年4月~9月にかけて順次拡充いたしました。

 

 以上の外装材事業に係る研究開発費は1,357百万円であります。

 

(2) その他

当社グループは、その他の事業においても研究開発に積極的に取り組んでおります。FP事業においては、ウレタンの断熱性能をさらに上げるべく原料開発を行っており、将来の全面的な切替を見据え研究開発を継続しております。

また、主力製品である「FPウレタン断熱パネル」においては、高断熱・高気密の機能性、建物や健康面において様々な問題を引き起こす可能性のある壁内結露を防ぐことのできる点が高く評価され、2020年グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しております。

 

 以上のその他に係る研究開発費は29百万円であります。