第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、①世界最高品質のゲームを生み出す開発力・技術力、②世界に通用する多数の人気IPを保有していることを強みとしております。

今後も、中長期にわたる安定成長を実現し、企業価値向上を図るために、以下の「経営理念」に基づき、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築し、共存共栄に努め、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでまいります。

<経営理念>

ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、人々に感動を与える「感性開発企業」

<経営理念を実現するための取組み>

ア. 経営人材力の強化と後継者育成

イ. 性別・国籍・年齢等における多様性を図り、組織体制の整備と機能の向上

ウ. 取締役会による有効なリスクコントロール体制の構築

エ. 適時・適切な情報開示と対話による経営の透明化

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。

経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

 

(3) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略

当社は、通信規格の高速大容量化への移行、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、大きく事業環境が変化しつつある状況下、安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題と認識しております。

事業環境の変化が続く市場に対応するために、当社は、ユーザー動向の収集・分析といったデジタル戦略の推進や開発進捗管理・コスト管理手法の進化、毎年安定した新人の採用と早期戦力化などにより、収益構造・財務構造の改善に注力してまいりました。

さらに、安定的、持続的な成長を確固たるものとするため、当社は「人材投資」を優先課題と位置づけ、次の施策に取り組むことにより、企業価値の向上を図ってまいります。

ア.経営層による人材課題への対応体制の拡充

・人事関連組織の再編

・最高人事責任者(CHO)の新設

イ.将来を支える人材の確保と育成、働く環境の再整備

・報酬制度の改定

・平均基本年収の増額

・業績連動性をより高めた賞与支給

・福利厚生制度の拡充

ウ.経営人材力の強化

・取締役会の多様性の確保および実効性の強化

 

当社は、人材強化の取組みを進め、IPを積極的に創出、活用し、グローバルでのさらなるブランド価値向上とユーザー数の拡大に努め、主力事業のデジタルコンテンツ事業を成長させ、中期経営目標の「毎期10%営業利益増益」の達成に取り組んでまいります。

その原動力となる開発人員の増強と開発環境の整備を図り、新規IPの創出と主要IPの活用によりパイプラインの拡充に努めてまいります。また、新作タイトルの継続的な投入とリピートタイトルのデジタル販売強化により、総販売本数の増加に注力してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

上記(3)を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。

①次期の事業別戦略

次期においては、上記(3)の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。

ア.デジタルコンテンツ事業

当事業におきましては、前期発売の『モンスターハンターライズ』の超大型有料拡張コンテンツ『モンスターハンターライズ:サンブレイク』(Nintendo Switch、パソコン用)をはじめとした新作を投入し、ブランドの価値向上とユーザー数の拡大を推し進めてまいります。また、当期発売の『バイオハザード ヴィレッジ』や『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』といったリピートタイトルについても、デジタル販売の強化と販売施策の推進により、収益の最大化と総販売本数の継続的な増加に努めてまいります。

イ.アミューズメント施設事業

当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続し、引き続き機動的な「スクラップ・アンド・ビルド」に取り組み、効率的な店舗出店、運営を進めてまいります。

次期は出店4店舗、退店2店舗を予定しております。

ウ.アミューズメント機器事業

当事業におきましては、人気IPを中心に新機種を順次投入してまいります。

次期は『月華 雅』を4月に投入するほか、4機種の投入により販売台数34千台を予定しております。

エ.その他事業

その他事業につきましては、eスポーツビジネスにおいて、より多くの方々に参画していただけるよう、オンライン大会を活用したグローバル規模での裾野拡大を一層積極化してまいります。また、映像子会社の設立によるコンテンツの映像化推進や他業種とのコラボレーションを通じ、ワンコンテンツ・マルチユース戦略をグローバルで推し進めてまいります。

今後も、eスポーツや映像、ライセンスビジネスなど多面的な展開を推進し、コンテンツのブランド拡大を図るとともに、コーポレートブランドの価値の最大化に努めてまいります。

 

②コーポレート・ガバナンスに関する取組み

当社は持続的な成長のためには取締役会の多様性確保が重要であると認識しており、性別、国籍、年齢等に関係なく、人格および識見に基づいて候補者を選定し、「多様な視点」「豊富な経験」「多様かつ特化した高度なスキル」を持ったメンバーで構成するよう努めております。

加えて、当社は創業者のリーダーシップのもと強固な経営基盤と当社独自の開発体制、ビジネスモデルを強みとしております。また、任意の委員会を含めた社外取締役の積極的な参画の機会拡大を図り取締役会の監督機能を強化するなど、コーポレート・ガバナンスの向上に努めております。

そのうえで、一層の取締役会の機能強化のため、取締役会の実効性評価を行っております。2021年3月期の課題に対して、2022年3月期は社外取締役に対する情報提供・意見交換の機会の拡充や議案付議基準のさらなる見直し等により、引き続き取締役会の実効性が確保できているとの結果が得られました。

 

また、経営の監督機能強化に向けて実効性をさらに高めていくため、2023年3月期は以下の課題に取り組んでまいります。

〔主な課題〕

・取締役会および任意の委員会の運営・サポート体制の強化

・社外取締役への情報提供機会の充実

・持続的な安定成長に資する取締役会の多様性の確保および経営人材力の強化

今後も、当社取締役会において諸課題の共有と理解を促進し、さらなる機能向上に努めてまいります。

 

③情報セキュリティの強化への取組み

当社は、情報が企業活動に与える影響の重要性に鑑み、各国で整備が進められる個人情報等の情報保護法制への対応のほか、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠と認識しており、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。

当社は、セキュリティ監督委員会の指導、助言をもとに、継続して種々のセキュリティ強化策を講じており、システムの運営・監視や非常時対応の強化など所期の目的を達成しております。

今後も、継続的な課題抽出と早期対応が不可欠であると考えており、引き続きセキュリティ監督委員会の助言等を踏まえ、常時、体制の維持・強化に取り組んでまいります。

 

④開発人材、多様性ある人材の確保、育成

当社は、中長期的な企業価値向上に向けた中期経営目標の達成のため、中核的競争力である開発体制の拡充を図るには、研究開発やコンテンツ制作にかかる人的資本への投資・活用における開発人員の増強と生産性向上が重要であると認識しております。

そのため、当社は連結での開発人員数2,500名体制に向けて、2013年度以降100名規模、2017年度以降では150名規模での開発人員の採用を推し進めており、2022年3月期末における開発人員数は約2,400名となっております。

加えて、当社は事業環境の変化に対応するため、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行うなど、多様性のある人材の確保・育成への投資に努めております。

女性管理職は35名(管理職に占める割合は12.5%)、外国人管理職は7名(管理職に占める割合は2.5%)、中途採用者の管理職は157名(管理職に占める割合は55.9%)となっております。

 

⑤政策保有株式に対する基本方針

当社は、政策保有株式について慣例的な相互保有や人的関係の情実等を排除しております。将来の取引関係や持続的な企業価値の向上に資するか否かなど、中長期的な観点から得失等を総合的に勘案のうえ、現状最小限の3銘柄のみ保有しており、当期末現在の当該政策保有株式の保有額は、純資産の0.5%未満であります。

なお、継続して保有する基準として、簿価が50%以上下落した場合や保有先の企業価値が著しく毀損するなど持続して保有する経済合理性が乏しいと判断した場合は、経済情勢等を勘案のうえ、当該保有先との対話を経て、適切な時期に削減や売却を行います。

 

銘柄

保有目的

当社株式の

保有の有無

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ

円滑な取引を維持するため

株式会社みずほフィナンシャルグループ

円滑な取引を維持するため

イオンモール株式会社

円滑な取引を維持するため

 

 

⑥ESG、SDGsへの取組み

当社は経営理念のもと、これまでもコンテンツのデジタル販売推進に取り組み、ディスク製造に伴う環境負荷への削減に貢献することを目指しております。

2022年3月期におきましては、子供の未来応援基金をはじめとし青少年の健全な育成に取り組んでおられる3団体に合計1億円の寄付を行い、また近時、世界の耳目を集めておりますウクライナ難民支援においても国連難民高等弁務官事務所に1億円の支援金を付託いたしました。

 

〔子どもの貧困対策関連〕

寄付先

金額

独立行政法人 福祉医療機構 子供の未来応援基金

5,000万円

認定特定非営利活動法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

4,000万円

特定非営利活動法人 子どもセンターぬっく

1,000万円

 

 

〔ウクライナ難民への支援〕

寄付先

金額

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)

※日本の公式支援窓口「特定非営利活動法人 国連UNHCR協会」を通じて支援

1億円

 

 

今後も現在問題提起されている気候変動をはじめとする社会の共通課題の解決に積極的に取り組んでまいります。そうした観点からSDGsが掲げる持続可能な社会づくりの目標を踏まえ、ESGへの取組みを推進し、ステークホルダーの皆様との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図ってまいります。

特に、当社は、環境対策の一環として、自社所有ビル等に対して関西電力株式会社様の再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入する準備を進めております。加えて、節電対策を施した自社データセンターの使用などの取組みを行うとともに、再生可能エネルギー使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業の利用により、一層の環境負荷低減に努めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社は、今後想定し得る様々な危機の未然防止や不測の事態が発生した場合などに備え、適正な対応を図ることにより被害、損失や信頼失墜を最小限に食い止めるため、「危機管理規程」等により組織横断的なリスク管理体制が機能するよう努めております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。因みに、新型コロナウイルス感染症の拡大による各事業への影響は正負の両面が考えられますが、当社グループにおける経営成績、株価および財務状況等に与える影響は小さいと判断しております。
 なお、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響につきまして、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) デジタルコンテンツ事業に関するリスク

① 開発費の高騰化

家庭用ゲーム機は新技術の登場や機器の性能向上に伴い、高機能化、多機能化しており開発費が高騰する傾向にあります。したがいまして、販売計画未達等の一部のタイトルにつきましては、開発資金を回収できない可能性があります。
 対応策として、自社開発エンジンの構築、開発人員の増強と効率的配置により、クオリティの向上と開発の効率化を両立させ、開発費の抑制に注力しております。

 

② ゲームソフトの陳腐化について

嗜好品であるゲームソフトは、顧客層が重なる他業種との競争も激しく、他の娯楽へユーザーの志向が強くなることにより、ゲームソフトに対する購買動向が影響を受ける傾向にあります。また、パッケージの商品寿命は必ずしも長くはありません。このため、陳腐化が早く、商品在庫の増加や開発資金を回収できない可能性があります。
 対応策として、デジタル販売の強化による商品在庫の縮減および過去作のリメイクや派生作品の投入により、有力IPを継続的に活用、長期的な収益確保に努めております。

 

③ 人気シリーズへの依存について

当社は多数のゲームソフトを投入しておりますが、一部のタイトルに人気が集中する傾向があります。シリーズ作品は売上の振幅が少なく、業績の安定化には寄与しますものの、これらの人気ソフトに不具合が生じたり市場環境の変化によっては、ユーザー離れが起きる恐れがあり、今後の事業戦略ならびに当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、主力IPを活用した大型タイトルの安定的な投入と新規IPの創出に加え、ワンコンテンツ・マルチユース戦略による新規顧客の獲得により、IPの価値向上を推し進めております。

 

④ 暴力シーン等の描写について

当社の人気ゲームソフトの中には、一部暴力シーンやグロテスクな場面など、刺激的な描写が含まれているものがあります。このため、少年犯罪が起きた場合は往々にして、一部のマスコミなどからゲームとの関連性や影響を指摘されるほか、誹謗中傷や行政機関に販売を規制される恐れがあります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、ゲームソフトの年齢別レーティング制度のルール遵守や、出前授業や企業訪問受け入れによる児童、生徒、学校関係者や保護者への啓蒙に努めております。

 

⑤ 季節要因による変動

ゲームソフトの販売は年末年始のクリスマスシーズンから正月にかけて最大の需要期を迎えます。したがって、ゲームの需給動向は年間を通じて大きく変動し、四半期ごとに業績が振れる可能性があります。
 対応策として、デジタル販売の強化と機動的な価格施策により、ゲームソフトの長期販売と収益の安定化に努めております。

 

 

⑥ 家庭用ゲーム機の普及動向について

当社の家庭用ゲームソフトは、主に株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント、任天堂株式会社および米国のマイクロソフト社の各ゲーム機向けに供給しておりますが、これらの普及動向やゲーム機に不具合が生じた場合、事業戦略や当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、家庭用ゲーム機市場の調査・分析による将来の見通しの予測に加え、マルチプラットフォーム展開により収益リスクを分散しております。

 

⑦ 家庭用ゲーム機会社との許諾契約について

当社は、家庭用ゲームソフトを現行の各ゲーム機に供給するマルチプラットフォーム展開を行っております。このため、競合会社でもある株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント、任天堂株式会社および米国のマイクロソフト社からゲームソフトの製造、販売に関する許諾を得ておりますが、契約の変更や新たな契約内容によっては、今後の開発戦略や当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、家庭用ゲーム機だけでなく、PCプラットフォームを通じた販売にも注力し、グローバルでの収益の拡大を推進しております。

 

⑧ 家庭用ゲーム機の更新について

家庭用ゲーム機は過去、3~7年のサイクルで新型機が出ておりますが、ハードの移行期において、ユーザーは新作ソフトを買い控える傾向があります。このため、端境期は販売の伸び悩みなどにより当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、デジタル比率向上によるゲーム販売期間の長期化、リピート販売の強化と柔軟な価格施策による販売数の増加を図っております。

 

⑨ モバイルゲーム市場について

スマートフォン等のモバイル端末の普及に伴い、ゲーム市場は拡大しておりますが、新技術への対応が遅れたときは、コンテンツの円滑な供給ができなくなる場合があります。また、課金システムによっては社会問題化し、行政による規制強化を招く恐れがあります。加えて、娯楽の分散化や消費ニーズの多様化などにより、ゲームユーザーが減少した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、ゲーム内課金を煽らないマネタイズにより、人気IPを活用したゲームの供給および新たなユーザー層の獲得に努めております。

 

(2) その他の事業に関するリスク

① アミューズメント施設事業

設置機種の人気の有無、娯楽の多様化、少子化問題、競争の激化や市場環境の変化などにより当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、テーマ型店舗やキャラクターグッズ販売など新業態の展開、VRコーナーなど新技術の導入に加え、キッズコーナーの設置やイベント開催により、新規ファン層の獲得と認知度向上に努めております。

 

② アミューズメント機器事業

パチスロ機の販売については、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき、一般財団法人保安通信協会の型式試験に合格した機種だけが販売を許可されるため、この動向によっては売上が大きく左右される場合があります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、日本電動式遊技機工業協同組合への加盟により、規制当局の動向の把握と規制の変化に即応する体制の構築に努めております。

 

 

(3) 海外事業について

① 海外販売国における市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣や為替その他の様々なカントリーリスクや人材の確保などにおいて、今後の事業戦略や当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、海外子会社や販社との情報共有を密にし、各国の市場動向把握と、現地のニーズに対応した販売展開を行っております。また、社内の専門チームによる、カントリーリスクに配慮したローカライズを実施しております。

 

② 海外取引の拡大に伴い、税率、関税などの監督当局による法令の解釈、規制などにより損失や費用負担が増大する恐れがあり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、海外子会社や販社と連携し、法令の遵守に努めております。

 

③ フィジビリティー・スタディーで予見できない不測の事態が発生した場合には、経費の増加や海外投資を回収できず当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 財政状態および経営成績に関するリスク

① 当社の主要な事業である家庭用ゲームソフトは、ダウンロード版が伸長しているものの、総じて商品寿命が短いため、陳腐化が早く、棚卸資産の増加を招く恐れがあり、これらの処分により当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当業界は年間を通じて市場環境が変化する場合があるため、四半期ごとに業績が大きく変動する蓋然性があります。また、売上高の減少や経営戦略の変更などにより当初予定していたキャッシュ・フローを生み出さない場合があり、次期以降の当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 開発技術のリスク

家庭用ゲーム機をはじめ、ゲーム機関連の商品は技術革新が速いことから対応の遅れによっては販売機会の損失など当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、最先端の開発環境と、優秀な開発人材の活用により、常に新技術を活用した開発に注力しております。

 

(6) 規制に関わるリスク

アミューズメント施設事業は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」およびその関連する法令の規制を受けておりますが、今後の法令の改正や制定によっては事業活動の範囲が狭くなったり、監督官庁の事前審査や検査等が厳しくなることも考えられます。この結果、当社の事業計画が阻害される恐れがあり、当該事業や当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、警察や行政からの情報収集に努め、法令の遵守を徹底するとともに、安心かつ健全な店舗運営を図っております。

 

(7) 知的財産権に関するリスク

ゲームソフトやパチスロ機等の開発、販売においては、特許権、商標権、実用新案権、意匠権、著作権等の知的財産権が関係しております。したがいまして、当社が知的財産権の取得ができない場合には、ゲームソフトの開発または販売が困難となる蓋然性があります。また、第三者の所有する知的財産権を当社が侵害するリスクも否定できません。これらにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、当社が保有する権利保護に向けて、各国や地域での知的財産権の管理を行うほか、権利の侵害を防止するため社内での啓蒙活動に注力しております。

 

 

(8) 訴訟等に関するリスク

当社は、これまでに著作権侵害等で提訴した場合や他に訴訟を受けたことがあります。また、今後も事業領域の拡大などにより、製造物責任や労務、知的財産権等に関し、訴訟を受ける蓋然性があります。これにより、訴訟の内容および金額によっては、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、従来からグローバルでの訴訟リスクの低減に向けて、様々な措置を講じております。

 

(9) 情報漏洩によるリスク

当社の想定を超えた技術による不正アクセスやコンピュータウイルス、その他予測不可能な事象などにより、ハードウェア、ソフトウェアおよびデータベース等に支障をきたす可能性があります。その結果、個人情報やゲーム開発情報など機密情報の漏洩が生じた場合には、損害賠償義務の発生や企業イメージの低下、ゲーム開発の中止等を招く恐れがあり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、当社は、各国で整備が進められる個人情報等の情報保護法制への対応のほか、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠と認識しており、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。

当社は、セキュリティ監督委員会の指導、助言をもとに、継続して種々のセキュリティ強化策を講じており、システムの運営・監視や非常時対応の強化など所期の目的を達成しております。

今後も、継続的な課題抽出と早期対応が不可欠であると考えており、引き続きセキュリティ監督委員会の助言等を踏まえ、常時、体制の維持・強化に取り組んでまいります。

 

(10) 人材の育成と確保

ゲーム業界は相対的に従業員の流動性が高く、優秀な人材が多数退職したり、競合他社等に流出した場合は、事業活動に支障を来たす恐れがあります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、当社は、最高人事責任者(CHO)を設置し、人事関連組織の整備により、経営層と従業員との意思疎通が直結する体制を構築することに加え、優秀な人材を採用し、育成、確保に努めるほか、時短勤務制度、有休取得推進制度の促進や事業所内保育所の設置などにより働きやすい環境作りに努めております。

 

(11) 不測の事態の発生によるリスク

台風、地震、津波等の自然災害や疾病、パンデミックの発生、蔓延等による社会不安、金融、資本市場等の混乱による経済危機、暴動、テロ等による政治の混迷など、国内外において不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、「危機管理規程」の整備や組織横断的なリスク管理体制の構築により、危機の未然防止や不測の事態が発生した場合における影響の極小化に努めております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度においては、進化と拡大を続けるグローバル市場に対応するため、デジタル販売の強化を主軸とした成長投資を積極的に進めてまいりました。

当社は、「遊文化をクリエイトする感性開発企業」の経営理念のもと、2021年12月16日付『カプコン コーポレート・ガバナンス ガイドライン』において、「中長期にわたる安定成長を実現し、企業価値向上を図るためにコーポレート・ガバナンス体制の持続的な充実に取り組む」こととしております。今後の事業環境の変化に対応し持続的な安定成長を実現するため、当年度では特に経営上の重要な課題の一つである人材投資戦略において、報酬制度の改定を含む具体的な施策の推進に着手し、企業価値の向上を図ってまいりました。

このような経営方針のもと、当連結会計年度において中核事業であるデジタルコンテンツ事業において、主力シリーズの大型タイトルの投入や、デジタル販売の拡大によるリピートタイトルの継続的な販売強化により、グローバル市場における販売本数が増加し、当社コンテンツの価値向上に大きく寄与しました。さらに、これらの主力コンテンツと映像、ライセンス商品やeスポーツとの連携強化を図るとともに、アミューズメント施設事業やアミューズメント機器事業との協働も進め、業績の拡大に努めました。

この結果、売上高は1,100億54百万円(前期比15.5%増)、営業利益は429億9百万円(前期比24.0%増)、経常利益は443億30百万円(前期比27.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は325億53百万円(前期比30.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(デジタルコンテンツ事業)

当事業におきましては、シリーズ最新作『バイオハザード ヴィレッジ』(プレイステーション 5、プレイステーション 4、Xbox Series X|S、Xbox One、パソコン用)が全世界で610万本を販売したほか、「モンスターハンター」シリーズのRPG作品『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』(Nintendo Switch、パソコン用)も150万本を突破するなど順調に推移しました。また、前期に発売した『モンスターハンターライズ』(Nintendo Switch用)は、今年1月にパソコン向けに発売し、さらなるユーザー層の拡大に弾みをつけました。加えて、2019年発売の『モンスターハンターワールド:アイスボーン』や2017年発売の『バイオハザード7 レジデント イービル』など、シリーズの過去タイトルが安定した人気に支えられ販売本数が伸長し、業績に貢献しました。

これにより、年間販売本数は前期の3,010万本を上回る3,260万本となり、特に採算性の高いデジタル販売が続伸したことにより、収益を押し上げました。

モバイルコンテンツにおいては、既存タイトルの運営に注力したほか、協業タイトルも安定的に推移しました。加えて、中国において昨年6月に配信を開始した『Devil May Cry: Peak of Combat』は、ライセンス収益が利益に貢献しました。

この結果、売上高は875億34百万円(前期比16.2%増)、営業利益は453億59百万円(前期比22.6%増)となりました。

 

(アミューズメント施設事業)

当事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発動に伴い、一部店舗において休業および時短営業を余儀なくされましたが、解除以降は来店客数の回復に加え、既存店の効率的な運営と新業態での出店効果などにより、収益拡大を図りました。

 

当期は、「プラサカプコン ミッテン府中店」(東京都)をオープンしたほか、新たな集客展開として地域最大級の複合遊戯施設「クレイジーバネット」を併設した「MIRAINO イオンモール白山店」(石川県)の合計2店舗を出店するとともに、1店舗を閉鎖するなど、スクラップ・アンド・ビルドによる施設展開と地域密着型の店舗戦略に努めました。

この結果、施設数は42店舗となり、売上高は124億4百万円(前期比25.7%増)、営業利益は6億52百万円(前期比336.8%増)となりました。

 

(アミューズメント機器事業)

当事業におきましては、厳しい市場環境の中、『モンスターハンター: ワールド 黄金狩猟』および『パチスロ デビル メイ クライ 5』が堅調に推移したほか、『百花繚乱 サムライガールズ』を投入し、収益の確保に努めました。また、前期に投入した『バイオハザード7 レジデント イービル』は、市場での長期稼働を受け、リピート販売が増加しました。

この結果、売上高は57億49百万円(前期比18.9%減)、営業利益は23億48百万円(前期比2.5%減)となりました。

 

(その他事業)

その他事業につきましては、当社タイトルのブランド価値向上に向け、Netflixにおいて主力IPを活用したCGアニメが全世界で独占配信されたほか、映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』が世界各国で公開されるなど、主力IPを活用した映像化やキャラクターグッズ展開などに引き続き注力しました。

一方、eスポーツにおいては、グローバル規模でのユーザー層の裾野拡大に向け、「CAPCOM Pro Tour Online 2021」を世界19地域にオンラインで実施したほか、チームオーナー制を導入したリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」や、「ストリートファイターリーグ: Pro-US 2021」を実施し、いずれも熱戦が繰り広げられました。

この結果、売上高は43億66百万円(前期比43.4%増)、営業利益は15億17百万円(前期比53.7%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ236億53百万円増加し、1,873億65百万円となりました。主な増加は、「現金及び預金」360億22百万円および「ゲームソフト仕掛品」67億49百万円であり、主な減少は、「売掛金」170億93百万円によるものであります。なお、「現金及び預金」から有利子負債を差し引いたネット・キャッシュは367億50百万円増加し1,023億84百万円となり、開発投資を支える財務基盤が強化されております。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ20億28百万円減少し、408億90百万円となりました。主な減少は、「未払法人税等」9億47百万円、「1年内返済予定の長期借入金」「長期借入金」7億27百万円および「支払手形及び買掛金」4億94百万円によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ256億81百万円増加し、1,464億75百万円となりました。主な増加は、「親会社株主に帰属する当期純利益」325億53百万円であり、主な減少は、「剰余金の配当」87億53百万円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、469億47百万円の資金の増加(前連結会計年度は146億25百万円の資金の増加)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益443億22百万円、売上債権の減少額172億8百万円、繰延収益の増加額20億8百万円等の資金の増加とゲームソフト仕掛品の増加額67億44百万円、法人税等の支払額111億55百万円等の資金の減少によるものです。

投資活動に使用された資金は、74億26百万円(前連結会計年度は42億33百万円)となりました。

これは主に、定期預金の払戻による収入179億80百万円等の増加と、定期預金の預入による支出212億97百万円、有形固定資産の取得による支出29億50百万円等の減少によるものであります。

財務活動に使用された資金は、99億80百万円(前連結会計年度は69億65百万円)となりました。

これは主に、配当金の支払額87億45百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

デジタルコンテンツ事業

19,834

102.4

アミューズメント機器事業

2,566

69.2

合計

22,400

97.0

 

(注) 1.上記の金額は、製造原価により算出しております。

2.上記の金額は、ゲームソフト開発費を含んでおります。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

デジタルコンテンツ事業

87,534

116.2

アミューズメント施設事業

12,404

125.7

アミューズメント機器事業

5,749

81.1

その他

4,366

143.4

合計

110,054

115.5

 

(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

任天堂株式会社

13,965

14.7

12,250

11.1

Valve Corporation

10,595

11.1

17,221

15.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループの当連結会計年度末現在の事業および経営環境に基づいて判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なりうる可能性があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 3.会計方針に関する事項」をご参照ください。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(無償ダウンロードコンテンツの収益認識)および(ゲームソフト仕掛品の評価)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(退職給付に係る負債)

従業員の退職給付費用については、各連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき引当計上しており、退職率、割引率、昇給率、死亡率等の重要な前提条件を見積りに加味して計上しております。これらの条件が変更される場合、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の収益計画に基づいた課税所得が十分に確保できる可能性や、回収可能性があると判断した将来減算一時差異に基づいて、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依拠するため、その見積りの前提とした条件や仮定に著しい変更が生じた場合、繰延税金資産を見直し、その影響額を法人税等調整額に計上する可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、当社グループの事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に著しい変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響に対する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当連結会計年度の当社グループ事業全体および各セグメントの事業の概況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

当連結会計年度末における自己資本比率は78.2%(前期から4.4ポイントの増加)に向上し、加えて、ROE(自己資本利益率)は24.4%(前期から1.8ポイントの増加)に向上いたしました。当社グループは、資本効率の観点からROE向上による企業価値の増大に努めており、当連結会計年度は、中核事業であるデジタルコンテンツ事業において、主力シリーズの大型タイトルの投入や、採算性の高いリピートタイトル販売が続伸したことにより、ROEを安定的に向上させることができました。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業環境への影響は、当連結会計年度末においては軽微であります。翌連結会計年度に与える影響を含め、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

③ 経営方針・経営戦略または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは経営における重要な指標として、企業の稼ぐ力の基本となる「営業利益」(成長指標)と収益性の基本である「営業利益率」(効率性指標)そして「キャッシュ・フロー」を重視しております。

当社グループの営業利益および営業利益率のこれまでの推移は次のとおりであり、営業利益の持続的な増加および営業利益率向上による効率性の改善に努めております。

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

 

 

 

前期比(%)

 

前期比(%)

 

前期比(%)

 

前期比(%)

売上高    (百万円)

94,515

100,031

5.8

81,591

△18.4

95,308

16.8

110,054

15.5

営業利益  (百万円)

16,037

18,144

13.1

22,827

25.8

34,596

51.6

42,909

24.0

営業利益率  (%)

17.0

18.1

28.0

36.3

39.0

 

キャッシュ・フローにつきましては、当社グループは、預金残高から有利子負債を控除したネット・キャッシュ残高を重視しており、当連結会計年度末の残高は102,384百万円(前連結会計年度末より36,750百万円増)となりました。当社グループは、手元流動性の拡大による財務健全性の向上を図り、経営の安定性を高めるように努力しております。

 

当社グループは、これらの指標を改善することにより、ROE(自己資本利益率)など関連する指標も向上し、株主価値を創出することになるものと考えております。当社グループのROEの推移につきましては、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (1) 連結経営指標等」をご参照ください。

当社グループは、また、成長を継続するための必要な投資を行い、企業価値の向上に努め、株主への安定的な配当による利益還元の実施を目的とし、配当性向を最も重要な経営指標の一つと考えております。その基本方針を連結配当性向30%とし、かつ安定配当の継続に努めております。当連結会計年度におきましても連結配当性向は30.2%と安定配当を継続して行っております。

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

連結配当性向(%)

30.0

30.3

30.1

30.4

30.2

 

なお、必要に応じた機動的な自己株式の取得を実施することにより、当社グループの1株当たりの利益を高めることで株式の価値を高め、株主への還元に資することも重要な施策の一つとして考えております。

上記施策により、当期の株主総利回りは572.0%と、比較指標である配当込みTOPIXの144.3%を大幅に上回っております。当社のこれまでの株主総利回りの推移は、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2) 提出会社の経営指標等」をご参照ください。

 

④ 資本の財源および資金の流動性

当社は中長期的に安定した成長を遂げるため、オリジナルコンテンツを生み出す源泉となるデジタルコンテンツ事業への十分な投資額を確保することが必要不可欠であると認識しております。具体的には、コンテンツ充実によるタイトルラインナップの拡充や新たな技術に対応するため、開発者の増員や開発環境の整備への投資が必要であります。当連結会計年度における研究開発投資額および設備投資額を合わせた合計328億27百万円の88.8%に相当する291億65百万円を、デジタルコンテンツ事業に投資しております。なお、ゲームコンテンツの研究開発投資につきましては、「5 研究開発活動」に記載のとおりであります。

ゲームコンテンツの開発費用は、高性能かつ多機能な家庭用ゲーム機の登場に伴い増加傾向にあります。また、主力タイトルのゲームコンテンツ開発期間は2年以上を要することに加え、発売後の定期的なゲームコンテンツのバージョンアップおよびネットワークインフラの維持に継続的な投資が発生するため、相応の現預金を保有しておく必要があります。

当社は、財務基盤を強化するとともに成長のための投資資金の確保を実現するため、投資計画とリスク対応の留保分を考慮したうえで、保有しておくべき現預金水準を3年分の開発費用を目途に設定し、適正レンジの維持に努めてまいります。また、事業環境の変化や事業拡大に伴う設備投資が発生した場合には、適切な資金調達を行います。

なお、配当を含めました当連結会計年度の資金流動につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

このような状況下、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は315億92百万円増加956億35百万円となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社グループが許諾を受けている重要な契約の状況

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の名称

契約内容

契約期間

㈱カプコン

任天堂㈱

日本

Nintendo
Switch Content
License and
Distribution Agreement

家庭用ゲーム機「Nintendo
Switch」向けゲームソフトの
開発・広告宣伝・販売・頒布に関する知的財産権等の供与、ゲームソフトウェアの配信委託、および販売・頒布に関する条件設定

2017年4月1日より3ヵ年
以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

MICROSOFT
CORPORATION

米国

XBOX CONSOLE PUBLISHER LICENSE AGREEMENT

家庭用ゲーム機「Xbox ONE」及び次世代機(「Xbox Series」)向けゲームソフトの製造・販売に関する商標権および技術情報の供与

2020年6月1日より
2022年3月31日
以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメント

日本

PlayStation Global Developer & Publisher Agreement

全てのPlayStationフォーマット向けゲームソフトの開発・製造・発行・頒布・供給・販売・貸与・市販・広告宣伝・販促等に関する商標権および技術情報の供与

2013年11月15日より
2019年3月31日
以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

Valve

Corporation

(注)

米国

Valve Corporation Steam Distribution Agreement

カプコンのゲームをSteamで販売・配信するための許諾

2020年3月1日から解除の合意がなされるまで

 

(注)本契約は2020年3月1日に締結していますが、当連結会計年度において金額的重要性が増したことから記載しています。

 

(事業譲渡契約)

当社は、2021年3月31日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるCAPCOM U.S.A.,INC.の運営する事業の一部を譲り受けることを決議し、事業譲渡契約を締結し、2021年4月1日に当該事業の譲受を行っております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」をご参照ください。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、コンピュータを介した「遊文化」をクリエイトすることにより、社会の安定発展に寄与し、「遊びの社会性」を高めるハイテク企業を志向しております。そのため、時代の変化や価値観の変化を先取りし、市場のニーズに合った新商品を開発することが当社の根幹事業であると認識し、研究開発に重点をおいております。

研究開発活動は、デジタルコンテンツ事業およびアミューズメント機器事業で行っており、当連結会計年度末現在の研究開発要員は2,369名、従業員の73.9%になっております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発投資額は29,862百万円で、売上比27.1%であります。なお、研究開発投資額にはコンテンツ部分の金額を含めて記載しております。一般管理費に含まれる研究開発費は1,877百万円で、売上比1.7%であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1) デジタルコンテンツ事業

当事業における当社グループのゲームソフト開発・市場投入実績は以下のとおりです。

自社開発エンジンであるRE ENGINEの活用により次世代機の機能を最大限に引き出し、フォトリアルな映像表現を実現した『バイオハザード ヴィレッジ』(プレイステーション 5、プレイステーション 4、Xbox Series X|S、Xbox One、パソコン用)、モンスターハンターの世界観をベースにしたRPGシリーズの第2作目となる『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』(Nintendo Switch、パソコン用)、逆転裁判のスピンオフ作品として人気を博した大逆転裁判シリーズに大幅なグラフィックの向上と追加要素を盛り込んだ『大逆転裁判1&2』(プレイステーション 4、Nintendo Switch、パソコン用)を開発いたしました。また、パソコン向けタイトルにおきましては、昨年度Nintendo Switch向けタイトルとして発売し、日本ゲーム大賞2021において大賞を受賞した『モンスターハンターライズ』において、高精細な4K解像度やウルトラワイドディスプレイの対応、ボイスチャット機能の実装を追加し開発いたしました。

モバイルコンテンツ市場向けタイトルにおきましては、運営サービスを行っております『ロックマンX DiVE』、『スヌーピードロップス』等の既存タイトルに対して、追加コンテンツの継続開発を行い、投入いたしました。当事業に係る研究開発投資額は28,673百万円で、一般管理費に含まれる研究開発費は1,801百万円であります。

 

(2) アミューズメント機器事業

当事業におきましては、外部タイトルを採用した『百花繚乱 サムライガールズ』、当社のヒットコンテンツ『モンスターハンター:ワールド 黄金狩猟』、株式会社ユニバーサルエンターテインメントとの業務提携第二弾『デビル メイ クライ 5』3機種のパチスロ遊技機開発を行い、販売いたしました。また、前年度に販売した『バイオハザード7 レジデント イービル』が高稼働実績を残し、追加販売を行いました。当事業に係る研究開発投資額は1,189百万円で、一般管理費に含まれる研究開発費は75百万円であります。