独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年6月20日

株 式 会 社 カ プ コ ン

取 締 役 会 御 中

有限責任 あずさ監査法人

 

大阪事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

黒    川    智    哉

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

山    中    智    弘

 

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社カプコンの2024年4月1日から2025年3月31日までの第46期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社カプコンの2025年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

デジタルコンテンツ事業におけるゲームソフト仕掛品の評価の合理性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社カプコンの当事業年度の貸借対照表において、ゲームソフト仕掛品49,894百万円が計上されており、総資産の16.0%を占めているが、この大半がデジタルコンテンツ事業におけるゲームソフト仕掛品である。

注記事項「(重要な会計上の見積り)2.ゲームソフト仕掛品の評価」に記載のとおり、ゲームソフト仕掛品は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法を採用している。

ゲームソフト仕掛品の収益性の低下に基づく簿価切下げの方法として、発売前のタイトルについては、計画販売収益から見積追加開発費用及び見積販売直接経費を控除した正味売却価額とゲームソフト仕掛品の帳簿価額との差額を帳簿価額から切り下げる。

発売後のタイトルについては、計画販売収益と販売実績を比較し、計画を著しく下回る状況に該当する場合、計画販売収益の見直しを行い、見直し後の計画販売収益から見積追加開発費用及び見積販売直接経費を控除した正味売却価額とゲームソフト仕掛品の帳簿価額との差額を帳簿価額から切り下げる。

このうち、計画販売収益の見積りの基礎となる販売本数及び販売価格は、コンソール市場、ユーザー購買動向等の予測を基に、前作及び類似タイトルの評価、価格戦略、顧客への提供手段等を参考に見積られるが、特に、ユーザー購買動向の予測については高い不確実性を伴い、経営者の判断が見積りに重要な影響を及ぼす。

以上から、当監査法人は、デジタルコンテンツ事業におけるゲームソフト仕掛品の評価の合理性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

当監査法人は、デジタルコンテンツ事業におけるゲームソフト仕掛品の評価の合理性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

ゲームソフト仕掛品の正味売却価額の見積りに係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

(2)ゲームソフト仕掛品の評価の合理性の検討

ゲームソフト仕掛品の評価において重要となるタイトルごとの計画販売収益の見積りに当たって採用された主要な仮定の適切性を評価するため、主に以下の手続を実施した。

・計画販売収益の見積りの基礎となる販売本数及び販売価格の根拠について、責任者等に対して質問したほか、関連資料を閲覧した。

・ユーザーの購買動向について、計画上の販売本数と類似タイトル等の販売本数を比較するとともに、必要に応じてマーケティング調査資料等を閲覧し、その合理性を評価した。

・発売後タイトルの計画販売収益と販売実績を比較し、計画を著しく下回るタイトルの有無を確認した。

 

 

無償ダウンロードコンテンツに係る繰延収益の妥当性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社カプコンの当事業年度の貸借対照表において、デジタルコンテンツ事業に関する無償ダウンロードコンテンツ(以下「無償DLC」という。)に係る繰延収益14,616百万円が流動負債に計上されており、負債合計の12.7%を占めている。

注記事項「(重要な会計方針)4.収益及び費用の計上基準(1)主要な事業における主な履行義務の内容及び収益を認識する通常の時点」に記載のとおり

株式会社カプコンが顧客に販売したゲームソフトのうち、オンライン機能を有したゲームソフトには、発売日後、大型のアップデート等が予定されているものがある。その中には、無償DLCすなわち顧客が無償でプレイ可能なゲームコンテンツの配信が含まれており、その配信を公表し、顧客もその配信を期待している。株式会社カプコンは、これらの無償DLCを将来において顧客へ配信する義務を有していると考えている。そのため、株式会社カプコンは、発売時にプレイ可能な「本編」と、発売日後、大型のアップデート等により追加的に提供される「無償DLC」を別個の履行義務として識別し、顧客に販売したゲームソフトの取引価格を、独立販売価格に基づきそれぞれに配分している。その上で、会計期間末日時点において未提供の無償DLCに係る収益を認識せず、繰延収益に計上している。

本編及び無償DLCへの取引価格の配分は独立販売価格に基づき行われるが、本編及び無償DLCの独立販売価格を直接観察することができないことから、株式会社カプコンは、類似性を考慮して選定したゲームソフトの本編及び有償ダウンロードコンテンツ等(以下「有償DLC等」という。)の合計販売価格に占める有償DLC等の販売価格比率の平均値を用いて、取引価格の配分を行っている。ここで、類似性を有するゲームソフトの選定は、ゲームジャンル、本編及びダウンロードコンテンツ(以下「DLC」という。)の内容、販売方法等に応じて総合的に判断されるが、これらの判断は経営者の主観的な判断による程度が大きく、その見積りには高度の不確実性を伴う。

以上から、当監査法人は、無償DLCに係る繰延収益の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

当監査法人は、無償DLCに係る繰延収益の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1)内部統制の評価

無償DLCの繰延収益の見積りに係る内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。評価に当たっては、特に、取引価格の配分に用いられる本編及び有償DLC等の選定が合理的であるかどうかを担保するための統制に焦点を当てた。

(2)取引価格の配分についての合理性の評価

本編及び無償DLCのそれぞれへの取引価格の配分について、その合理性を評価するため、主に以下の手続を実施した。

・類似性を有するゲームソフトの選定に当たって用いられたタイトルリストについて、外部情報と照合し、その網羅性を検討した。

・類似性を有するゲームソフトの選定に当たって用いられたゲームソフトの情報(ゲームジャンル、本編及びDLCの内容)について、外部情報と照合し、その正確性を検討した。

・取引価格の配分に当たって、類似性が高いものとして選定されたゲームソフトについて、その選定理由を確認し、判断の合理性を評価した。また、タイトルリストを閲覧し、他に高い類似性を有するゲームソフトがないことを確認した。

選定されたゲームソフトの本編及び有償DLC等の合計販売価格に占める有償DLC等の販売価格比率の平均値を用いて取引価格の配分が行われているが、当該計算の正確性を検証した。

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

 

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

 

(※) 1.上記の監査報告書の原本は、当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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