第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「経営理念」に基づき、当社グループの強みを発揮し、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長の実現と企業価値向上を図っております。

このため、経営の透明性・公正性・迅速性を確保することに加え、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築し、共存共栄に努めております。

 

<経営理念>

ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、人々に感動を与える「感性開発企業」

 

<当社グループの強み>

・安定的なキャッシュの確保と資本効率の向上による積極的な戦略的投資を実現する財務基盤

・独自の高度な技術と開発力による世界で支持されるコンテンツ(IP)の創出と多面的な活用

・さらなる収益拡大に向けたデジタル戦略によるグローバルでの長期販売体制

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。

経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向については、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。

 

(3) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、通信規格の高速大容量化、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、事業環境は大きく変化を遂げております。このような状況下、当社グループは、これまで中期経営目標である「毎期10%営業利益増益」を10期連続で達成してまいりました。今後も、当社グループは、「最高のコンテンツで世界中の人々を夢中にさせる企業」を目指し、当社ブランドのさらなる浸透と新規ユーザーの獲得を図ることにより、世界220を超える国・地域へ販売する当社コンテンツの展開を、より一層拡大してまいります。

そのため、主力事業のデジタルコンテンツ事業においては、国・地域の特性に応じたマーケティングの強化とユーザーニーズの把握に努め、長期的な価格施策とグローバル販売の強化により、年間1億本の販売を目指してまいります。加えて、アミューズメント施設事業やアミューズメント機器事業において人気IPや主力コンテンツを活用した展開を図るとともに、映像作品への投資とその活用、ライセンス商品、eスポーツ等への展開により、IPの認知向上による潜在ユーザーの掘り起こしと収益機会の最大化に努めてまいります。

また、上記の戦略に加え、持続的な成長の原動力となる人材投資戦略を推し進めるとともに、開発体制および開発環境への投資を強化し、新規IPの創出と主要IPの活用によるパイプラインの拡充を図ることにより、引き続き中期経営目標の達成に取り組んでまいります。

このほか、当社グループは、事業活動以外にも、今年4月から開催の2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」への協賛、参加等により、地域・文化・技術の振興に努めております。

今後も様々な活動を通じて、経営理念である「ゲームというエンターテインメントを通じて『遊文化』をクリエイトし、人々に感動を与える『感性開発企業』」の実現に向けた取組みを行ってまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

前記(3)を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

① 次期の事業別戦略

次期においては、前記(3)の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。

 

ア.デジタルコンテンツ事業

当事業におきましては、今年5月に『カプコンファイティングコレクション 2』(Nintendo Switch、プレイステーション 4、Xbox One、パソコン用)および『鬼武者2』(プレイステーション 4、Nintendo Switch、Xbox One、パソコン用)を投入しました。また、6月にはNintendo Switch 2 向けに『ストリートファイター6』および『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』を投入しました。加えて、当期発売の『モンスターハンターワイルズ』等のリピートタイトルについても、デジタル販売の強化と販売施策の推進により、収益の最大化と総販売本数の継続的な増加に努めてまいります。さらに、『ストリートファイター6』のeスポーツ展開の継続により、引き続きブランドの価値向上とユーザー数の拡大を推し進めてまいります。

 

イ.アミューズメント施設事業

当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続するとともに、引き続き堅実な店舗出店、運営を進めてまいります。また、各店舗におけるイベント実施等により、リアル店舗の魅力の最大化と他事業とのシナジー効果の創出を図ってまいります。

次期は出店10店舗を予定しております。

 

ウ.アミューズメント機器事業

当事業におきましては、パチスロ市場をけん引しているスマートパチスロにおいて、人気IPを中心に新機種を順次投入してまいります。

次期は『デビル メイ クライ 5 スタイリッシュトライブ』を6月に投入したほか、3機種の投入により販売台数43千台を予定しております。

 

エ.その他事業

その他事業につきましては、『ストリートファイター6』を活用したeスポーツビジネスにおいて、今夏にサウジアラビアで開催されるeスポーツの世界大会「Esports World Cup」との提携を決定しております。当該大会と「CAPCOM Pro Tour 2025」を初めとした当社3大会との協力体制の構築により、『ストリートファイター6』のさらなる認知拡大に注力するなど、様々な施策によりグローバル市場での成長を図ってまいります。

また、当社IPの全世界への浸透拡大を図るため、コンテンツの映像化推進や他業種とのコラボレーションを通じ、ワンコンテンツ・マルチユース戦略の強みを最大限に生かした施策をグローバルに推し進めてまいります。

これらにより引き続き、コンテンツのブランド拡大を図るとともに、コーポレートブランドの価値の最大化に努めてまいります。

 

② サステナビリティへの取組み

当社グループは、経営理念のもと、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長と企業価値向上に努めるとともに、すべての人々が安心してゲームを楽しめる世界の実現に向け、環境、社会問題における共通課題の解決に積極的に取り組んでおります。

当社グループは、これらの取組みを通じて株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーの皆様との信頼関係を構築し、より良い未来の実現を目指してまいります。

 

 

ア.人材投資戦略

当社グループは、企業価値創造の源泉である人的資本への取組みを最優先課題の一つとして位置づけており、最高人事責任者(CHO)を設置し、人材投資戦略を推進しております。

今後も、以下の取組みを実行することにより、企業価値の向上を図ってまいります。

 

(ア)将来を支える人材の確保と育成

当社グループは、中期経営目標の継続的な達成のため、中核的競争力である開発体制の拡充を図るには、人的資本への投資による開発人員の増強と生産性向上が重要であると認識しております。

そのため、当社グループは毎年100名以上の開発人員の増員を推し進めるとともに、2022年から当社正社員に対し、平均基本年収の30%増額、業績連動性を高めた賞与制度の導入、従業員向け株式報酬制度の導入等の施策を実施するなど、人材の採用力強化と定着を図っております。この結果、2025年3月期末における開発人員数は2,846名となっております。

引き続き、2025年4月に新卒初任給を月額30万円に引き上げ、報酬面での採用競争力を高めるとともに、産学連携施策や中途採用のチャネル拡充等の推進により、優秀な人材の確保に努めてまいります。

また、若手社員の早期育成のため、メンタートレーニング研修等を導入し、将来を支える人材の育成・強化を図っております。

 

(イ)働く環境の整備と向上

当社グループは、開発の大規模化と技術の高度化に対応するため人員の増強を図っており、開発体制を支える環境および設備の拡充に向けた、事業用資産としての不動産取得等の成長投資を進めております。

また、人権を尊重する会社風土の醸成と働きやすい環境の整備に努めており、研修による役職員の意識向上や、経営層と従業員との直接対話の機会活用などの取組みを推進しております。引き続き、従業員の離職防止およびエンゲージメント向上に向け、より良い働きやすい環境づくりに注力してまいります。

 

(ウ)人材の多様性の確保

当社グループが、今後より一層の開発人員の拡充を図っていくためには、多様な背景を持つ人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりが必要であると考えております。

そのため、当社グループは、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行うなど、多様性のある人材の確保・育成に努めております。

当社は、2029年3月末までに男性の育児休業取得率85%以上、正社員における男女間賃金格差(女性正社員の平均賃金を男性正社員の平均賃金で割った比率)を88%以上とする目標を設定するほか、パートナーシップ制度の設置、介護セミナーの実施等の取組みを行っております。

また、2025年3月期末の当社における外国籍従業員の出身国数は36カ国となっており、一時帰国のための特別休暇制度や日本語教育等の施策を導入しております。

引き続き、多様な背景を持つ人材が活躍できる環境づくりのため、各種取組みの推進と制度拡充を図ってまいります。

(ご参考)

 

2021年3月末

2022年3月末

2023年3月末

2024年3月末

2025年3月末

連結従業員数(名)

3,152

3,206

3,332

3,531

3,766

 うち開発職(名)

2,285

2,369

2,460

2,675

2,846

平均年間給与(単体)(千円)

6,034

7,127

7,660

8,328

9,185

従業員1人当たり営業利益(連結)(千円)

10,975

13,384

15,249

16,165

17,466

離職率(単体)(%)

3.9

5.4

3.5

2.9

2.8

男性育児休業取得率(単体)(%)

21.5

34.5

45.5

66.7

79.7

男女間賃金格差(単体)(%)

79.4

82.9

85.4

83.8

82.8

 

(注)いずれも正社員のみを集計対象としております。なお、男性育児休業取得率については、臨時社員を含む全従業員を集計対象としております。

 

イ.情報セキュリティの強化への取組み

当社グループは、ゲームコンテンツを世界220を超える国・地域で販売しており、情報が企業活動に重要な影響を与えるものと認識しております。そのため、個人情報保護法制への対応はもちろんのこと、各国で整備が進められる未成年者保護などの法制への対応の強化を図っております。

加えて、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠との認識のもと、情報セキュリティに関する法令等を遵守し、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。

これまでも、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会を定期的に開催するなど、同委員会の助言等も踏まえ、継続的なシステムの運営・監視や、万一セキュリティリスクが顕在化するなどの非常時が発生した場合でも早期対処・復旧できる体制の構築等に努めており、今後もPDCAサイクルに基づく情報セキュリティ体制の維持および強化を図ってまいります。

また、当社役職員に対する教育・訓練等を実施のうえ、取締役会に結果を報告するなど、情報セキュリティへの意識向上に努めております。

 

ウ.環境への取組み

当社グループの連結売上高の約75%を占めるデジタルコンテンツ事業は、ソフトウェアの開発・販売を主な事業とし、一般的な製造業に比べ環境負荷および気候関連リスクは低いと認識していることから、気候変動に係るリスクおよび収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響は少ないと判断しております。

しかしながら、気候変動への対応は地球に住むすべての人々が協力すべき課題ととらえ、当社グループは、他社に先駆けてコンテンツのデジタル販売を推進し、ディスク製造および運送に伴う資源削減やCO2排出量の削減に努めてまいりました。また、パチスロ機の製造・販売において省電力対応や一部パーツのリサイクルなど、環境負荷の低減に取り組んでおります。

さらに、当社グループは環境対策の一環として、関西圏の自社所有ビル等に対して再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入しており、日本国内における当社電力使用量のうち同エネルギーにより約27%が賄われております。加えて、当社東京支店におけるグリーン電力の導入や、その他の事業拠点におけるCO2フリー電力の導入拡大により、CO2排出量の削減を図っております。また、節電対策を施した自社データセンターの使用などの取組みを行うとともに、再生可能エネルギー使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業を利用するなど、一層の環境負荷低減に努めております。

 

③ コーポレート・ガバナンスに関する取組み

当社グループは、経営の透明性、健全性を高めるとともに、環境の変化に対応できる体制の構築と、中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでおります。

加えて、ステークホルダーの皆様との信頼関係を構築し、共存共栄に努めております。

 

 

ア.コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、ステークホルダーの皆様の立場を踏まえた、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けて、取締役会における多様性の確保と社外取締役の積極的な参画機会の拡大を図り、取締役会の機能強化に努めております。

また、社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会(委員の過半数は社外取締役)や社内取締役と社外取締役の意見交換会等を通じた情報共有や相互理解により、経営の監督機能の強化を図っております。

2024年は、新たに女性社外取締役1名を選任し、女性取締役を2名とするなど、取締役会の多様性の確保を推進しております。加えて、業務執行取締役の報酬制度について、報酬の業績連動性を高めるとともに、業績連動型株式報酬制度を導入することにより、株主の皆様との一層の価値共有を図っております。

 

イ.リスク管理体制の強化

当社グループは、持続的な成長のためには、事業の遂行に伴い生じるリスクを適切に管理する体制の構築、運用が不可欠であると認識しております。また、リスクに係る所管部門がリスクの分析、評価、対応の検討を行い、想定し得る危機の未然防止を図ることに加え、当社グループに重大な影響を及ぼすリスクに対する組織横断的な管理体制の強化が重要であると考えております。

そのため、当社は、当社グループにおける各種のリスク管理を統括し、その状況を取締役会へ報告するなどの体制整備に向け、組織的対応を図ってまいります。これにより、内部統制への取組みやコンプライアンスの推進など、内部管理体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティに関する基本的な考え方

当社グループは、「ゲームというエンターテインメントを通じて『遊文化』をクリエイトし、人々に感動を与える『感性開発企業』」の経営理念のもと、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長と企業価値向上に努めるとともに、すべての人々が安心してゲームを楽しめる世界の実現に向け、環境、社会問題における共通課題の解決に積極的に取り組んでおります。

当社グループは、これらの取組みを通じて株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーの皆様との信頼関係を構築し、より良い未来の実現を目指してまいります。

当社グループは、上記の考え方に基づき、以下のとおり「サステナビリティ基本方針」を定めるほか、コーポレート・ガバナンスの機能強化による企業価値向上を図ることにより、ステークホルダーの皆様のご期待に応えるべく取組みを進めてまいります。

 

・ 当社グループのサステナビリティ基本方針

<環境>

・気候変動へ事業が及ぼす負の影響[CO2・GHG(温室効果ガス)排出等]を最小化するため、再生可能エネルギーの使用を推進する。

・コンテンツのデジタル販売による資源削減やCO2排出量の削減に加え、省電力対応や一部パーツのリサイクルなど、環境汚染、資源利用などに対する環境負荷低減のための取組みを継続する。

<社会>

・人権の尊重と人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障害、国籍などによる差別を禁止し、弱者保護による不平等の排除を徹底する。

・従業員の働きやすい環境づくり、人材の確保および育成を推進する。

・貧困で困窮する子どもたちの健全な育成を願い、支援活動を行うなど、地域社会・顧客との健全な関係の構築に向けた取組みを進める。

 

① サステナビリティに係るガバナンス

当社取締役会は、当社グループのサステナビリティに関する基本的な方針を策定するとともに、重要な事項については、代表取締役またはコーポレート経営会議[議長は代表取締役会長(CEO)]から報告を受け、監督を行っております。

 

② サステナビリティに係るリスク管理

コーポレート経営会議は、サステナビリティに係るリスクおよび機会について対応方針および施策等を審議します。当該審議の結果を踏まえ、代表取締役または担当役員の指示により関連部門が取組みを推進し、代表取締役またはコーポレート経営会議に報告を行っております。

 

(2) サステナビリティについての取組み

当社グループのサステナビリティについての具体的な取組み内容については、以下に記載の内容に加え、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」ならびに当社統合報告書および当社ウェブサイトに記載しております。

 

 

(3) 人的資本

当社グループは、経営理念を実現しつつ持続的な成長を達成するに当たっては、世界最高品質のコンテンツを生み出し世界中にユーザーを広げていくための人材への投資が不可欠であると考えております。このため、当社グループでは、人的資本への取組みをサステナビリティに係る最重要課題と位置づけ、以下の体制および戦略により、人材投資戦略の推進に取り組んでおります。

 

① ガバナンスとリスク管理

ア.人的資本については、代表取締役会長(CEO)が議長を務める人事委員会をおおむね毎月1回開催し、人材投資戦略について集中的に議論し、方針および施策等を決定しております。

イ.同委員会の議論および決定方針を踏まえ、最高人事責任者(CHO)および人事統括のもと、①開発部門の人事案件に当たる「開発人事部」、②東京支店エリアの人事案件に当たる「東京人事室」、③職場環境の向上や従業員とのコミュニケーション強化に専門的に取り組む「健康経営推進部」、④人材戦略の企画・立案を行う「経営企画部人材戦略チーム」および⑤各種人事制度の運用を行う「人事業務部」が横断的に連携し、具体的な取組みを推進しております。

 

② 戦略および指標と目標

ア.将来を支える人材の確保と育成(開発力・マネジメント力強化)

当社は、開発人員の継続的拡充のため、毎年100名規模の開発新卒採用と、積極的な中途採用を実施しております。新卒採用においては、2026年3月期から初任給を月額30万円に引き上げ、採用競争力の強化を図っております。

また、人材育成のための施策として、開発人員の育成施策の強化(若手育成のためのOJT/Off-JTの充実、人材情報データベース強化等)、管理職候補者に対するマネジメント力向上のための研修、従業員のキャリア意識の調査・分析に基づくキャリア形成支援、その他自己啓発促進のためのOff-JTの充実を行っております。

加えて、優秀層の確保・定着や従業員のモチベートのため、報酬制度の改定による給与水準向上、業績連動性を高めた賞与制度および従業員株式報酬制度の一種である株式付与ESOP信託(以下、「ESOP信託」という)の導入、人事評価の客観性および納得感向上のための評価制度の見直し等を行っております。なお、ESOP信託については、当社執行役員を除く当社の国内すべての正社員(海外出向者等の非居住者を除く)を対象としております。

2025年3月期には将来を支える人材への投資として、当社従業員を対象に特別一時金を支給しております。

 

 

以上の取組みに関する指標の実績および目標は以下のとおりです。

 

(参考)業績指標の実績

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

 

2024年

3月比

2021年

3月比

売上高(連結)(百万円)

95,308

110,054

125,930

152,410

169,604

111.3%

178.0%

営業利益(連結)(百万円)

34,596

42,909

50,812

57,081

65,777

115.2%

190.1%

営業利益率(連結)(%)

36.3

39.0

40.3

37.5

38.8

+1.3pt

+2.5pt

 

 

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

目標

 

2024年

3月比

2021年

3月比

従業員数(連結)

3,152

3,206

3,332

3,531

3,766

106.7%

119.5%

うち開発職

2,285

2,369

2,460

2,675

2,846

106.4%

124.6%

毎期100名増

従業員数(単体)

2,841

2,904

3,027

3,186

3,379

106.1%

118.9%

うち開発職

2,150

2,224

2,321

2,515

2,658

105.7%

123.6%

毎期100名増

平均年齢(単体)

37.1

37.3

37.6

37.8

38.0

+0.2

+0.9

うち開発職

36.0

36.3

36.6

37.1

37.4

+0.3

+1.4

開発職年齢分布(単体)

)(注2)

 

 

 

 

 

 

 

 

29歳以下

31.2

31.9

31.8

28.8

26.9

△1.9pt

△4.3pt

30代

35.0

33.2

32.6

33.8

34.7

+0.9pt

△0.3pt

40代

27.8

26.2

25.2

25.6

25.5

△0.1pt

△2.3pt

50代

6.0

8.7

10.4

11.8

12.9

+1.1pt

+6.9pt

新卒採用数(単体)

198

163

163

154

168

109.1%

84.8%

うち開発職

160

139

133

107

126

117.8%

78.8%

毎期100名以上

平均年間給与(単体)
千円)(注3)

6,034

7,127

7,660

8,328

9,185

110.3%

152.2%

継続向上

うち開発職

5,991

7,137

7,657

8,403

9,225

109.8%

154.0%

継続向上

従業員1人当たり株式報酬
付与数
ポイント)(注4)

194

196

196

100.0%

200ポイント程度

市場価格換算千円

457

548

718

131.0%

平均年間給与分布(単体)

 

 

 

 

 

 

 

 

400万円以下

17.6

6.5

6.5

5.5

4.7

△0.8pt

△12.9pt

400~600万円

41.7

31.8

18.7

11.7

6.5

△5.2pt

△35.2pt

600~800万円

24.7

33.7

41.4

39.5

30.8

△8.7pt

+6.1pt

800~1,000万円

10.0

16.3

19.2

22.3

28.7

+6.4pt

+18.7pt

1,000~1,500万円

4.8

9.7

12.0

17.6

23.6

+6.0pt

+18.8pt

1,500~3,000万円

1.1

1.8

2.1

3.1

5.3

+2.2pt

+4.2pt

3,000万円以上

0.1

0.2

0.1

0.3

0.4

+0.1pt

+0.3pt

年代別平均給与(単体)千円

 

 

 

 

 

 

 

 

20代

4,079

5,015

5,624

5,873

6,337

107.9%

155.4%

30代

5,903

7,011

7,604

8,142

8,888

109.2%

150.6%

40代

7,540

8,740

9,054

9,918

10,870

109.6%

144.2%

50代

8,213

9,606

9,705

10,583

11,957

113.0%

145.6%

 

 

(注) 1.本表の集計は、いずれも正社員を対象にしております。

2.年齢分布について具体的な目標値は設定しておりませんが、従業員の高齢化の程度に関する指標として注視してまいります。なお、60代以上については定年再雇用により正社員から嘱託契約の従業員に変更となるため、集計対象外となります。

3.2025年度3月期において当社従業員に対して支給した特別一時金につきましては、上記平均年間給与に含まれております。

4.従業員1人当たり株式報酬付与数は、ESOP信託に基づく年間の制度対象者1人当たりの平均付与ポイント数であり、1ポイントが1株に対応します。なお当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。このため、「従業員1人当たり株式報酬付与数」については、導入年度である2023年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、分割後の株式数に対応するポイント数に読み替えて記載しております。また、市場価格換算は、期末時点の当社株価終値に基づき当該ポイント数を金銭換算したものです。当該ポイントは、株式として交付され従業員に支給されるまでは、平均年間給与に含まれておりません。

なお、当社執行役員(取締役を兼務するものを除く)については、2024年3月期までESOP信託の対象者でありましたが、2025年3月期より当社取締役(社外取締役および監査等委員を除く)に導入した業績連動型株式報酬制度に準じた制度に移行したため、ESOP信託の対象外となりました。

 

<当期末の実績について>

・当期末の開発人員数は、連結で171名、単体で143名の増加となり、おおむね目標どおりの推移であります。

・開発職の年齢分布については、50代以上の構成比が増加傾向にあり、1994年3月期から1996年3月期にかけて新卒採用数を増やした影響によるものと考えております。50代以上の中核人材については、積極的な後継者育成に努めてまいります。

・今後も、昇給および業績連動性を高めた賞与制度によって、営業利益の成長に相応した平均年間給与の向上に努めてまいります。

 

イ.働く環境の再整備

当社グループは、従業員が働きやすい環境づくりによる従業員の離職防止およびエンゲージメント向上に取り組んでおります。具体的な施策としては、就業環境および設備の継続的な改善・拡充、会社貢献を称えるための社内表彰制度、ハラスメント対策研修の充実およびグローバルで利用可能な相談窓口の設置、従業員向け保養所の提供、その他福利厚生制度の継続的拡充等を行っております。

また、経営層と従業員が直接対話をする説明会を定期的に開催し、質疑応答や意見交換を行うなど、従業員とのコミュニケーションを通じた相互理解を図っております。

 

以上の取組みに関する指標の実績および目標は以下のとおりです。

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

目標

エンゲージメント(単体)
(偏差値)
(注1)

 

 

 

 

 

 

ワークエンゲージメント

52.6

51.8

54.4

54.1

54.7

55.0

エンプロイーエンゲージメント

51.8

52.1

53.1

55.0

離職率(単体)(%)(注2)

3.9

5.4

3.5

2.9

2.8

うち自己都合(%)

3.6

4.7

3.2

2.5

2.2

3.0程度

従業員1人当たり営業利益
(連結)
(千円)(注3)

10,975

13,384

15,249

16,165

17,466

継続向上

年次有給休暇取得率(単体)(%)(注4)

74.4

87.0

88.2

84.6

82.8

継続向上

平均残業時間(法定外)
(単体)
(時間/月)(注5)

8.2

9.5

10.1

10.1

11.4

 

 

(注) 1.エンゲージメントは、当社従業員(社会保険対象外の短時間労働者を除く)を対象とした外部業者によるアンケート調査(エンゲージメント・サーベイ)の結果における当社の偏差値であります。このうち、ワークエンゲージメントは、仕事に対する自発的行動やポジティブな感情についてのアンケート結果に基づく数値であり、エンプロイーエンゲージメントは、会社への愛着等についてのアンケート結果に基づく数値です。当期の具体的な調査方法としては、複数の質問について従業員が「全く当てはまらない」「あまり当てはまらない」「まあまあ当てはまる」または「とても当てはまる」のいずれかで回答した結果を、外部業者において他社と比較し、偏差値を算出しております。

2.離職率は、各期首の従業員総数に対する期中に退職した従業員数(期中に入社および退職した従業員を除く)の割合であり、集計対象は正社員のみであります。

3.従業員1人当たり営業利益は、当社グループの連結営業利益を連結正社員数で割ったものであります。

4.年次有給休暇取得率は、各期の年次有給休暇の取得日数の合計を付与日数の合計で割ったものであり、集計対象は全従業員(臨時従業員を含む)であります。

5.平均残業時間(法定外)は、残業時間の集計対象である従業員(正社員のみ)の月平均法定時間外労働時間であります。なお、労働基準法上の管理監督者となる部長職以上は残業時間の集計対象外となります。また2024年3月期までは、開発職のうち変動賞与を除く基準報酬が7,400千円以上の社員は、裁量労働制の対象のため、残業時間の集計対象外となります。

 

<当期末の実績について>

・仕事に対する自発的行動やポジティブな感情についての指標であるワークエンゲージメントは前期同等の水準となり、報酬制度改定および働きやすい環境づくりへの取組みが貢献したものと考えております。具体的なアンケート結果の例としては、次の質問に「まあまあ当てはまる」以上の回答をした従業員が、それぞれ以下の割合となりました。

・仕事では、自分なりの創意工夫を行っている。                    89.3%(前期との差:+1.0%)

・仕事で必要なことであれば、自分の役割を超えて仕事をしている。   77.0%(前期との差:+0.6%)

・今の仕事をしているときは、楽しいと感じる。                     70.7%(前期との差:+1.1%)

・会社への愛着等に対する指標であるエンプロイーエンゲージメントに関する具体的なアンケート結果の例としては、次の質問に「まあまあ当てはまる」以上の回答をした従業員が、それぞれ以下の割合となりました。

・今の会社には、親しみや愛着を感じる。                           79.9%(前期との差:+1.8%)

・今の会社で働くことができて本当に良かったと思う。               87.6%(前期との差:+1.4%)

・今の会社で働くことは、自分の人生にとってプラスになっている。  87.5%(前期との差:+2.1%)

・離職率は前期より低下しており、自己都合退職者は2.2%と目標の3.0%程度を達成しております。報酬制度改定および働きやすい環境づくりへの取組みが貢献したものと考えております。今後も優秀な人材の定着に向けて働く環境の整備を進めてまいります。

・従業員1人当たり営業利益は増加傾向にあり、今後もさらなる向上を目指してまいります。

・大型タイトルのリリース等による影響で、年次有給休暇取得率は前期よりやや減少し、平均法定外労働時間は前期よりやや増加しておりますが、適正な範囲内と考えております。

 

ウ.人材の多様性の確保

当社グループが、今後より一層の開発人員の拡充を図っていくためには、多様な背景を持つ人材が最大限に能力を発揮できる環境づくりが必要であると考えております。その考えに基づき、次のとおり、女性、外国人および中途採用者の確保・活用を推進しております。

 

 

(ア)性別・性的指向・性自認の多様性

当社は、採用段階での女性の積極的採用、管理職候補者に対するキャリア形成研修および女性管理職の積極登用を行っております。また、女性が働きやすい環境づくりのための産前産後休暇・育児休業や時短勤務制度の推進、有給での生理休暇制度およびハラスメント防止のための社内研修等を行っております。なお、育児休業の取得状況等については、後述の「エ.育児介護支援」に詳細を記載しております。

加えて、性的指向や性自認にかかわらず福利厚生制度において平等の取り扱いをするため、パートナーシップ制度を導入しております。

 

(イ)外国人の確保・活用

当社は、外国人の積極的採用、外国籍従業員のキャリアアップ支援と管理職への積極登用および日本語教育プログラム等を行っております。また、外国人が働きやすい環境づくりのため、海外から日本への引っ越しを伴う場合の住居確保の支援、一時帰国のための特別休暇制度の導入、外国籍従業員のニーズを把握するための経営層との意見交換会等を行っております。

 

(ウ)中途採用者の確保・活用

当社は、中途採用による高度な専門スキルを有する人材の確保の推進と管理職への積極登用を行っております。当期から中途採用のチャネル拡充等により採用競争力を強化し、即戦力人材の確保を推進しております。

 

以上の取組みに関する指標の実績および目標は以下のとおりです。

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

目標

従業員に占める女性比率(単体)

(%)

21.5

21.0

21.3

21.2

21.5

継続向上

管理職に占める女性比率(単体)

(%)

10.6

10.7

11.6

12.0

11.9

15.0

中核人材に占める女性比率
(単体)
(%)(注2)

8.2

7.9

11.9

13.6

15.2

継続向上

平均年間給与(単体)(千円)

 

 

 

 

 

 

男性

6,329

7,393

7,904

8,626

9,539

継続向上

女性

5,028

6,130

6,751

7,226

7,899

継続向上

男女間賃金格差(単体)(%)(注3)

79.4

82.9

85.4

83.8

82.8

88.0

平均年齢(単体)(歳)

 

 

 

 

 

 

男性

37.7

37.9

38.1

38.2

38.5

女性

34.9

35.4

35.8

36.0

36.2

従業員に占める外国人比率
(単体)
(%)

6.8

6.6

6.7

6.8

7.6

継続向上

出身国数

31

33

34

35

36

継続向上

管理職に占める外国人比率
(単体)
(%)

1.3

1.7

1.2

1.4

1.4

継続向上

管理職に占める中途採用者比率(単体)(%)

53.3

53.3

56.0

54.3

53.5

 

(注) 1.本表の集計は、いずれも正社員を対象としております。ただし、管理職に関する指標は、管理職である嘱託契約の従業員も集計対象に含んでおります。

2.管理職および専門的な知識や能力を発揮し開発現場等で中心的な役割を担う人材を、当社における中核人材と位置付け集計しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

 

<当期末の実績について>

・中核人材に占める女性比率については上昇傾向にあり、前期までの目標として掲げておりました15%を達成いたしました。一方で、男女間賃金格差は前期よりやや低下しております。2024年4月に入社した新入社員の女性比率が、全社平均より高く、女性従業員の平均給与を押し下げたことなどが影響しました。当社は2029年3月期までに男女間賃金格差を88%以上とする目標を設定いたしました。今後も引き続き、女性従業員の育成・積極的登用に尽力し、中核人材に占める女性比率の継続向上、男女賃金格差の縮小に努めてまいります。

・外国籍従業員の比率および出身国数はいずれも上昇傾向にあります。今後も、従業員の国際的な多様性のための外国人の積極採用、登用および定着に尽力してまいります。

・管理職に占める中途採用者比率は、既に高い水準にあると考えております。

 

エ.育児介護支援

当社は、従業員のワークライフバランスの実現のため、育児介護休業の取得推進、事業所内保育所「カプコン塾」の設置、介護セミナーの実施、テレワーク等による育児介護支援制度の充実等を図っております。

 

以上の取組みに関する指標の実績および目標は以下のとおりです。

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

目標

育児休業取得率(単体)(%)(注1)

35.1

48.7

52.5

76.9

82.1

うち男性

21.5

34.5

45.5

66.7

79.7

85.0

うち女性

94.4

90.0

85.7

114.3

89.5

100.0

男性育児休業平均取得日数
(単体)
(日)(注2)

61.0

87.6

74.5

63.2

90.0

継続向上

 

(注) 1.育児休業の取得率は、各期に本人または配偶者が出産した従業員数(臨時社員を含む全従業員)に対する、当該期に育児休業を取得した従業員数の割合であります。なお、過年度に本人または配偶者が出産した従業員が、翌期に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

2.男性育児休業平均取得日数は、各期に育児休業から復職した男性従業員(臨時従業員を含む全従業員)の育児休業日数の平均値であります。

 

<当期末の実績について>

・男性育児休業取得率は、上昇傾向となっており、男性の育児休業取得率については2029年3月期までに85%までの引き上げを目標に掲げております。

 

(4) 知的財産

当社グループは、世界最高品質のコンテンツ(IP)を継続して生み出す開発力・技術力により、これまでも全世界でブランド化された多数の人気IPを保有しております。

これらを活用し、事業活動を通じて世界に通用する独自の人気IPを創出することに加え、「ワンコンテンツ・マルチユース戦略」により様々な分野に展開することで、事業の拡大を図っております。

今後も、当社グループが、「最高のコンテンツで世界中の人々を夢中にさせる企業」を目指し、持続的・安定的な成長と「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標を達成するためには、IPを継続的に生み出すための投資およびグローバルにブランド認知の拡大・浸透が重要であると考えております。

また、当社グループは、知的財産の活用および適切な管理・保護を図ることにより、企業価値の向上に努めております。

そのため、次の知的財産戦略の推進に取り組んでおります。

 

 

・ 戦略および指標と目標

ア.知的財産への投資

当社グループは、当社独自の高度な技術と開発力により創出された、グローバルに人気のあるブランドを多数保有しており、世界220以上の国・地域へゲームコンテンツを販売しております。また、当社グループは、今後も世界最高品質のIPを創出すべく、人材投資戦略の推進および当社独自の開発エンジン等の最先端技術の研究開発や開発環境構築のための積極的な成長投資を行っております。

これにより、当社グループの保有するコンテンツを安定して新規投入することに加え、リピート販売を拡大することにより、グローバルにおいて長期販売し、収益の拡大と認知向上を図っております。

加えて、これらの豊富なIPとeスポーツや映像、キャラクターなどの周辺ビジネスとの連携を強化し、全世界へのコンテンツおよびコーポレートブランドの拡大・浸透を図ることにより、ブランド価値の向上に努めております。

 

以上の取組みに関する指標の実績および計画は以下のとおりです。

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

2026年3月

(計画)

開発投資額(連結)(百万円)
(注1)

25,375

29,862

37,719

43,042

49,496

58,300

販売タイトル数

301

304

307

292

248

販売国・地域数

216

219

230

235

227

ゲームソフト年間販売本数(千本)

30,100

32,600

41,700

45,893

51,876

54,000

 

(注) 1.コンテンツ部分の金額を含めて記載しております。

2.上記指標の計画値は2025年5月13日公表の2026年3月期における計画であります。

 

イ.知的財産の保護および活用

(ア)知的財産の保護・権利化

当社グループは、積極的な特許・商標出願を推し進め、知的財産の保護・権利化に努めることにより、事業におけるグローバル展開のさらなる深化を図っております。これらの権利化した特許をクロスライセンス契約等で積極活用することで、ゲーム開発の自由度向上や新規機能の追加により、魅力的なコンテンツづくりを推進しております。

また、当社グループの知的財産権保護のため、侵害行為への対策の推進および侵害行為を検出した場合の削除等の対応により、知的財産の適切な管理・保護に努めております。加えて、ゲーム内の素材データを網羅的にチェックする商標のAIチェック導入等により、開発支援体制を強化するとともに、他社の知的財産権の侵害予防のための社内啓発活動などを実施しております。

 

(イ)知的財産の創出・活用

当社グループは、知的財産戦略の推進のため、専門部署として知的財産部を設置し、現場の課題に合わせた社内教育等の実施に加え、事業部門や開発部門と伴走する体制により、知的財産のリスクの管理や継続的な新規創出を支援しております。また、産学連携の推進や、中高生向けに当社スタジオ体験と併せた著作権のセミナーを実施するなど、将来の人材育成に努めております。

加えて、ワンコンテンツ・マルチユース戦略により、知的財産をグッズやサービス等に展開し、当社グループの「創意工夫」の精神をもとに、知的財産をアイデアも含む無形資産としてとらえ、社内の様々な「創意工夫」を促進するなど、知的財産の価値の最大化と積極的な活用を推進しております。これらの取組みにより、カプコンのブランド価値向上や浸透を図り、企業価値の向上に努めております。

 

以上の取組みに関する指標の実績および目標は以下のとおりです。

2025年3月31日現在

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

目標

著作権等侵害削除対応件数(件)(注1)

4,993

4,136

6,940

7,110

6,176

(注3)

特許保有件数(件)

634

736

912

1,060

1,164

(注3)

商標保有件数(件)(注2)

4,699

5,043

5,523

5,885

6,343

(注3)

 

(注) 1.当社グループのコンテンツの海賊版や知的財産権を侵害したとみられる画像・動画などの削除等の対応件数であります。

2.商標保有件数の2021年3月から2023年3月の数値については、2023年3月期に係る有価証券報告書提出日時点での各期における保有件数であります。

3.上記の各数値については、対象期の開発または発売タイトルラインナップなどにより変動等の影響を受けるため、具体的な目標値は開示しておりません。

 

(5) 情報セキュリティ

当社グループは、ゲームコンテンツを世界220を超える国・地域で販売しており、情報が企業活動に重要な影響を与えるものと認識しております。今後、さらにグローバルでのデジタル販売の推進およびビジネスのデジタルシフトによる販売の多様化と効率化を加速していくためには、個人情報の適切な安全管理措置など、情報管理とサイバーセキュリティ対策等の情報セキュリティの確保が重要であると考えております。

そのため、当社は、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会を定期的に開催し、情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係る技術や動向等の各種情報を共有するとともに、同委員会の助言等を踏まえ、PDCAサイクルに基づく情報セキュリティ・サイバーセキュリティ管理体制の維持および強化を図っております。また、当社グループの役職員に対し、定期的に教育・訓練等を実施のうえ、取締役会に結果を報告するなど、情報セキュリティへの意識向上に努めております。

 

・ 戦略

ア.情報の管理

当社グループは、情報の保存および管理については、「情報管理総則」等の規程やガイドラインに基づき、個人情報、営業秘密などの各種機密情報を適切に管理しております。個人情報の取扱いについては、「個人情報保護方針」に基づき、個人情報保護法制への対応はもちろんのこと、役職員への啓発・教育、個人情報の保管場所等の基本的事項を把握する定期的な棚卸作業等の実施により、個人情報取扱業務が適正に行われているかを確認するとともに、改善すべき事項を発見した場合には是正措置を講じるよう、管理体制を構築、運用しております。また、当社グループの知的財産の集合体である、ゲームコンテンツやプログラム、開発エンジン等の開発に関わるデータのほか、蓄積されたノウハウ、販売データなど、当社グループの強みとなる情報資産についても、同様に適切な管理体制のもと、保護、活用を図っております。

加えて、当社グループはゲームコンテンツの販売拡大に向けて、各国で整備が進められる未成年者保護などの法制への対応強化を図っております。また、昨今の技術進化の動向を踏まえ、生成AI利用に関わるガイドライン等を策定・周知するなど、技術の積極的活用に伴う情報管理の観点から、社内運用体制の整備・強化を進めております。

 

 

イ.サイバーセキュリティ対策

当社グループは、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠との認識のもと、サイバーセキュリティに関する法令等を遵守のうえ、体制の強化に取り組んでおります。

これまでも、継続的なシステムの運営・監視や、万一サイバー攻撃等のセキュリティリスクが顕在化するなどの非常時が発生した場合でも早期対処・復旧できる体制の構築等に努めております。

具体的には、権限管理の強化やソフトウェアの最新化、システムの簡素化を図るとともに、機器の不正な挙動等を早期に検知するEDR(Endpoint Detection and Response)に加えて、ネットワークやシステム、クラウド環境など複数のセキュリティ領域を常時監視するXDR(Extended Detection and Response)をベースとしたSOC(Security Operation Center)運営によるサイバーセキュリティ対策を実施しております。これにより、サイバーセキュリティの脅威に対する一元的な調査・対処を可能とするとともに、効率的な脅威検出や分析を支援する生成AIを導入するなど、より迅速かつ高度な対策を講じることにより、セキュリティの確保に努めております。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、今後想定し得る様々な危機の未然防止や不測の事態が発生した場合などに備え、適正な対応を図ることにより被害、損失や信頼失墜を最小限に食い止めるため、「危機管理規程」等により組織横断的なリスク管理体制が機能するよう努めております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、これらのリスクが顕在化した場合に当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響につきまして、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業活動に関するリスク

① 海外における事業展開について

当社グループは、成長戦略の重要な取組みの一つとしてグローバル展開に注力しており、当社グループの連結売上高に占める海外売上高の比率は約60%であります。

 

ア. 海外の販売国や地域における市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣やその他の様々なカントリーリスクや人材の確保などにおいて、当社グループの事業戦略ならびに業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、海外子会社や販売会社との情報共有を密にし、各国の市場動向把握と、現地のニーズに対応した販売展開を行っております。また、社内の専門チームによる、カントリーリスクに配慮したローカライズを実施しております。

 

イ. 海外取引の拡大に伴い、税率、関税などの監督当局による法令の解釈、規制などにより損失や費用負担が増大する恐れがあり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、海外子会社や販売会社と連携し、法令の遵守に努めております。

 

ウ. フィジビリティー・スタディーで予見できない不測の事態が発生した場合には、経費の増加や海外投資を回収できず当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 為替レートの変動について

当社グループは、連結財務諸表の作成にあたり、在外連結子会社の財務諸表について円換算を行っております。また、当社グループの海外売上高の多くは現地通貨で取引しており、当社においては多額の外貨建営業債権を保有しております。このため、為替相場が予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、将来の為替変動リスクに対するヘッジを目的とした為替予約取引を活用するなど、為替変動による影響を最小化するよう努めております。

 

(2) 各事業に関するリスク

① デジタルコンテンツ事業
ア. 開発費の高騰化について

家庭用ゲーム機等は新技術の登場や機器の性能向上に伴い、高機能化、多機能化しており開発費が高騰する傾向にあります。したがいまして、販売計画未達等の一部のタイトルにつきましては、開発資金を回収できない可能性があります。

対応策として、自社開発エンジンの構築、開発人員の増強と効率的配置により、クオリティの向上と開発の効率化を両立させ、開発費の抑制に注力するとともに、グローバル販売の強化による販売本数の増加と利益率の向上により、長期的な収益の確保に努めております。

 

 

イ. 開発技術について

家庭用ゲーム機をはじめ、ゲーム機関連の商品は技術革新が速いことから対応の遅れによっては販売機会の損失など当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、最先端の開発環境と、優秀な開発人材の活用により、常に新技術を活用した開発に注力しております。

 

ウ. ゲームソフトの陳腐化について

嗜好品であるゲームソフトは、顧客層が重なる他業種との競争も激しく、他の娯楽へユーザーの志向が強くなることにより、ゲームソフトに対する購買動向が影響を受ける傾向にあります。また、パッケージの商品寿命は必ずしも長くはありません。このため、陳腐化が早く、商品在庫の増加や開発資金を回収できない可能性があります。

対応策として、デジタル販売の強化による商品在庫の縮減を図るとともに、過去作のリメイクや派生作品の投入により有力IPを継続的に活用し、長期的な収益確保に努めております。

 

エ. 人気シリーズへの依存について

当社グループは多数のゲームソフトを投入しておりますが、一部のタイトルに人気が集中する傾向があります。シリーズ作品は売上の振幅が少なく、業績の安定化には寄与するものの、市場環境の変化やこれらの人気ソフトへの不具合が生じた場合にユーザー離れが起きる恐れがあり、当社グループの事業戦略ならびに業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、主力IPを活用した大型タイトルの安定的な投入と新規IPの創出に加え、グローバルにさらなるブランド価値の向上とユーザーニーズの把握に努め、ユーザー数の拡大による収益向上を図っております。

 

オ. 暴力シーン等の描写について

当社グループの人気ゲームソフトの中には、一部暴力シーンやグロテスクな場面など、刺激的な描写が含まれているものがあります。このため、少年犯罪が起きた場合は往々にして、一部のマスコミなどからゲームとの関連性や影響を指摘されるほか、誹謗中傷や行政機関に販売を規制される恐れがあります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、ゲームソフトの年齢別レーティング制度のルール遵守や、出前授業や企業訪問受け入れによる児童、生徒、学校関係者や保護者への啓蒙に努めております。

 

カ. 季節要因による変動について

ゲームソフトの販売は、年末年始のクリスマスシーズンから正月にかけて最大の需要期を迎えます。したがって、ゲームの需給動向は年間を通じて大きく変動し、四半期ごとに業績が振れる可能性があります。

対応策として、グローバル販売の強化と機動的な価格施策により、ゲームソフトの長期販売と収益の安定化に努めております。

 

キ. 家庭用ゲーム機等のプラットフォームの普及動向について

当社グループの家庭用ゲームソフトは、主に株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント、任天堂株式会社および米国のマイクロソフト社の各ゲーム機のほか、米国のバルブ社のゲーム配信サービスなどに供給しておりますが、これらの普及動向やゲーム機、配信サービスに不具合が生じた場合、当社グループの事業戦略ならびに業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、各プラットフォーム市場の調査・分析による将来の見通しの予測に加え、マルチプラットフォーム展開により収益リスクを分散しております。

 

 

ク. 家庭用ゲーム機会社等との許諾契約について

当社グループは、家庭用ゲームソフトを現行の各ゲーム機およびPCに供給するマルチプラットフォーム展開を行っております。このため、競合会社でもある株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント、任天堂株式会社および米国のマイクロソフト社からゲームソフトの製造、販売等に関する許諾のほか、米国のバルブ社からゲームソフトの販売、配信の許諾を得ておりますが、契約の変更や新たな契約内容によっては、当社グループの開発戦略ならびに業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、マルチプラットフォーム展開への注力に加え、グローバルにユーザー数の拡大を図り、収益向上に努めております。

 

ケ. 家庭用ゲーム機の更新について

家庭用ゲーム機は過去、3~8年のサイクルで新型機が出ておりますが、ハードの移行期において、ユーザーは新作ゲームソフトを買い控える傾向があります。このため、端境期は販売の伸び悩みなどにより当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、特定のハードに依存しないゲーム供給の強化や、デジタル比率向上によるゲーム販売期間の長期化、リピート販売の強化と柔軟な販売施策による販売数の増加を図っております。

 

コ. モバイルゲーム市場について

スマートフォン等のモバイル端末の普及に伴い、ゲーム市場は拡大しておりますが、新技術への対応が遅れたときは、コンテンツの円滑な供給ができなくなる場合があります。また、課金システムによっては社会問題化し、行政による規制強化を招く恐れがあります。加えて、娯楽の分散化や消費ニーズの多様化などにより、ゲームユーザーが減少した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、ゲーム内課金を煽らないマネタイズにより、人気IPを活用したゲームの供給および新たなユーザー層の獲得に努めております。

 

② アミューズメント施設事業

アミューズメント施設事業は、設置機種の人気の有無、娯楽の多様化、少子化問題、競争の激化や市場環境の変化などにより、収益が大きく左右される場合があります。また、同事業は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」およびその関連する法令の規制を受けておりますが、今後の法令の改正や制定によっては事業活動の範囲が狭まることや、監督官庁の事前審査や検査等が厳しくなることも考えられます。この結果、当社グループの事業計画が阻害される恐れがあり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、体験型アミューズメント施設やカプセルトイ専門店、キャラクターグッズ販売など新業態の展開に加え、オリジナルVRコーナーやキッズコーナーの設置、イベント開催により、新規ファン層の獲得と認知度向上に努めております。また、警察や行政からの情報収集に努め、法令の遵守を徹底するとともに、安心かつ健全な店舗運営を図っております。

 

③ アミューズメント機器事業

パチスロ機の販売については、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき、一般財団法人保安通信協会の型式試験に合格した機種だけが販売を許可されるため、この動向によっては売上が大きく左右される場合があります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、日本電動式遊技機工業協同組合への加盟により、規制当局の動向の把握と規制の変化に即応する体制の構築に努めております。

 

(3) 財政状態および経営成績に関するリスク

① 当社グループの主要な事業である家庭用ゲームソフトは、ダウンロード版が伸長しているものの、商品寿命が短いものもあり、陳腐化が早く、棚卸資産の増加を招く恐れがあり、これらの処分により当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当業界は年間を通じて市場環境が変化する場合があるため、四半期ごとに業績が大きく変動する蓋然性があります。また、売上高の減少や経営戦略の変更などにより当初予定していたキャッシュ・フローを生み出さない場合があり、次期以降の当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として、継続的な開発投資等に必要な現預金水準を設定し、適正な資金の確保に努めております。

 

(4) サステナビリティに関するリスク

① 人材の育成と確保

ゲーム業界は相対的に従業員の流動性が高く、優秀な人材が多数退職したり、競合他社等に流出した場合は、事業活動に支障を来たす恐れがあります。この結果、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、当社グループは、最高人事責任者(CHO)のもと、人事関連組織の強化により、経営層と従業員の直接対話の継続に加え、将来を支える人材の確保と育成や福利厚生制度の拡充などの働く環境の再整備のほか、人材の多様性の確保、育児介護支援の充実を図っております。また、開発体制を支える開発環境および設備拡充等に努めております。

 

② 知的財産

ゲームソフトやパチスロ機等の開発、販売においては、特許権、商標権、実用新案権、意匠権、著作権等の知的財産権が関係しております。したがいまして、当社グループが知的財産権の取得ができない場合には、ゲームソフトの開発または販売が困難となる蓋然性があります。また、第三者の所有する知的財産権を当社グループが侵害するリスクも否定できません。これらにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、当社グループが保有する権利保護に向けて、各国や地域での知的財産権の管理を行うほか、権利の侵害を防止するため社内での啓発活動に注力しております。

 

③ 情報セキュリティ

当社グループの想定を超えた技術による不正アクセスやコンピュータウイルス、その他予測不可能な事象などにより、ハードウェア、ソフトウェアおよびデータベース等に支障をきたす可能性があります。その結果、個人情報やゲーム開発情報など機密情報の漏洩が生じた場合には、損害賠償義務の発生や企業イメージの低下、ゲーム開発の中止等を招く恐れがあり、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、当社グループは、情報が企業活動に与える影響の重要性に鑑み、個人情報保護法制への対応はもちろんのこと、各国で整備が進められる未成年者保護などの法制への対応の強化を図っております。加えて、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠との認識のもと、サイバーセキュリティに関する法令等を遵守のうえ、体制の強化に取り組んでおります。そのため、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会の助言等も踏まえ、継続的なシステムの運営・監視や、万一セキュリティリスクが顕在化するなどの非常時が発生した場合でも早期対処・復旧できる体制の構築等に努めており、今後もPDCAサイクルに基づく情報セキュリティ・サイバーリスク管理体制の維持および強化を図ってまいります。

 

(5) 訴訟等に関するリスク

当社グループは、事業領域の拡大などにより、製造物責任や労務、知的財産権等に関し、訴訟を受ける蓋然性があります。これにより、訴訟の内容および金額によっては、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、従来からグローバルでの訴訟リスクの低減に向けて、様々な措置を講じております。

 

(6) 不測の事態の発生によるリスク

台風、地震、津波等の自然災害、急激な気候変動や疾病、パンデミックの発生、蔓延等による社会不安、金融、資本市場等の混乱による経済危機、暴動、テロ等による政治の混迷など、国内外において不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、「危機管理規程」等の整備や組織横断的なリスク管理体制の構築により、危機の未然防止や不測の事態が発生した場合における影響の極小化に努めております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におきまして、当社グループは、グローバル市場においてさらなる進化と拡大を図るため、デジタル販売の継続的な強化を主軸とした成長投資を積極的に推し進めました。また、当社グループの最優先課題の一つである人材投資戦略について、安定的、持続的な成長のため、将来を支える人材の確保と育成に向けた人的資本への投資を継続しました。このような経営戦略のもと、コンシューマゲーム開発におけるアニメーション制作を強みとする3DCG制作会社を子会社化し、開発力・技術力の持続的強化を図るなど、中長期的な企業価値向上に向けた施策を実施しました。

事業の状況につきましては、中核事業であるデジタルコンテンツ事業において、主力シリーズの大型新作タイトル『モンスターハンターワイルズ』の投入や前期発売の大型タイトルを中心としたリピート販売により、グローバルに販売本数の増加を図りました。これにより、当連結会計年度におけるデジタルコンテンツ事業の販売本数は5,187万本と前期4,589万本を上回りました。加えて、リピートタイトルの販売本数においてもデジタル販売施策の推進により、3,949万本と前期3,629万本を上回りました。これにより、248タイトルを227の国や地域に販売し、当社コンテンツの価値向上に寄与しました。

また、当社グループの主力コンテンツと映像作品やライセンス商品、eスポーツとの連携によるIPの持つブランド力の向上に努めました。加えて、アミューズメント施設事業における堅実な店舗運営や積極的な新業態店舗の推進、アミューズメント機器事業におけるスマートパチスロの継続投入や当社グループの人気IP活用等の施策により、収益の向上を図りました。

この結果、売上高は1,696億4百万円(前期比11.3%増)、営業利益は657億77百万円(前期比15.2%増)、経常利益は656億35百万円(前期比10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は484億53百万円(前期比11.7%増)となり、12期連続の営業増益を達成しました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(デジタルコンテンツ事業)

当事業におきましては、今年2月発売のシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』(プレイステーション 5、Xbox Series X|S、パソコン用)が、ユーザーからの熱烈な期待に応えるとともに、各種イベント等による認知度向上の施策が奏功した結果、全世界で販売本数1,000万本を突破し、業績に貢献しました。

また、リピートタイトルにおいては、『モンスターハンターワイルズ』への期待感の高まりが後押しとなり、『モンスターハンターワールド:アイスボーン』および『モンスターハンターライズ』が続伸しました。これらにより、「モンスターハンター」シリーズの全世界での累計販売本数が1億本を突破するなど、シリーズタイトルのブランド価値向上に寄与しました。そのほか、積極的なプロモーションによるIPの認知拡大と新たなファン層の獲得を図る施策等を行い、『バイオハザード RE:4』などシリーズタイトルを中心に販売しました。加えて、前期発売の主力シリーズの大型新作タイトル『ストリートファイター6』について、引き続きeスポーツ展開との連携強化によるブランド認知とユーザー数の拡大を推し進めました。

モバイルコンテンツにおいては、前期に配信を開始した『モンスターハンターNow』が累計1,500万ダウンロードを突破するなど、引き続き多くのユーザーの人気を集め、ブランド浸透と価値向上に寄与しました。また、昨年6月にグローバルで配信開始した『モンスターハンターパズル アイルーアイランド』(iOS、Android用)が、100万ダウンロードを達成しました。

この結果、売上高は1,251億28百万円(前期比4.4%増)、営業利益は651億72百万円(前期比8.9%増)となりました。

 

 

(アミューズメント施設事業)

当事業におきましては、コロナ禍からのインバウンド需要や外出型消費の回復に加え、ユーザーの消費行動に変化が生じつつある状況下、引き続き既存店の堅実な店舗運営や新業態での出店効果などにより来店客数が増加し、収益拡大に貢献しました。また、各店舗におけるイベント実施等により、リアル店舗の魅力の最大化と他事業とのシナジー効果の創出を推進しました。

当期において、昨年4月に「プラサカプコン 小矢部店」(富山県)、5月に「プラサカプコン 池袋店」(東京都)の新区画をオープンしました。加えて、11月に当社人気キャラクターグッズの物販店「カプコンストア アネックス マリンピア神戸店」(兵庫県)や今年2月にカプセルトイ専門店「カプセルラボ 神戸南京町店」(兵庫県)など、合計5店舗を出店するとともに1店舗を閉鎖しましたので、施設数は53店舗となっております。

この結果、売上高は227億50百万円(前期比17.6%増)、営業利益は24億32百万円(前期比30.2%増)となりました。

 

(アミューズメント機器事業)

当事業におきましては、スマートパチスロのけん引によりパチスロ市場は堅調に推移している環境下、昨年6月稼働の『ストリートファイターV 挑戦者の道』を5千台販売するとともに、10月稼働の『鬼武者3』を11千台販売しました。加えて、11月稼働の『モンスターハンターライズ』が市場からの高評価を受け、21千台販売しました。さらに、今年3月稼働の『バイオハザード5』を12千台販売し、新機種が収益に貢献しました。

また、昨年3月発売の『ストライク・ザ・ブラッド』も続伸しました。

この結果、売上高は156億13百万円(前期比73.1%増)、営業利益は67億1百万円(前期比62.8%増)となりました。

 

(その他事業)

その他事業につきましては、昨年4月の社内組織統合によりeスポーツとキャラクタービジネスの連携を加速し、当社タイトルのブランド価値向上に向け体制強化を図りました。

このような体制のもと、eスポーツにおいては、人気タイトル『ストリートファイター6』を用いた「CAPCOM Pro Tour 2024」を6月から世界各地域で開催しました。加えて、国内でのチームリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024」の8月開催を皮切りに、米国、欧州でも同リーグ戦を開催するなど、熱戦が繰り広げられました。さらに、決勝大会である「CAPCOM CUP 11」および「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2024」を今年3月に両国国技館で開催し、両大会は日本での初開催により耳目を集め、計1万4千人もの来場者に加え、オンライン配信においても総視聴数1,000万回以上を記録するなど、活況を呈しました。これらの施策により、グローバル規模でのeスポーツのさらなる振興を図りました。

また、Amazonプライムビデオのアニメシリーズ「シークレット・レベル」において『ロックマン ~始まりの物語~』が昨年12月に全世界で配信されました。加えて、「モンスターハンター」シリーズ20周年にあわせた各種イベントやコラボレーション展開の推進など、人気タイトル等のキャラクターグッズ展開などに注力し、好調に推移しました。さらに、当社ゲーム開発のプロセス等を展示した「大カプコン展 -世界を魅了するゲームクリエイション」が今年3月から開催されるなど、コーポレートブランドの価値向上に向けた施策を講じました。

この結果、売上高は61億11百万円(前期比45.4%増)、営業利益は24億84百万円(前期比181.2%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ695億5百万円増加し、3,129億82百万円となりました。主な増加は、「現金及び預金415億92百万円、「ゲームソフト仕掛品101億74百万円および「売掛金79億57百万円によるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ382億83百万円増加し、866億78百万円となりました。主な増加は、「繰延収益199億7百万円、「未払法人税等95億99百万円および「株式給付引当金10億95百万円によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ312億21百万円増加し、2,263億3百万円となりました。主な増加は、「親会社株主に帰属する当期純利益484億53百万円であり、主な減少は、「剰余金の配当168億35百万円および「為替換算調整勘定」5億94百万円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、676億18百万円の資金の増加(前連結会計年度は369億21百万円の資金の増加)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益656億51百万円、繰延収益の増加額199億32百万円等の資金の増加とゲームソフト仕掛品の増加額101億69百万円法人税等の支払額85億78百万円の資金の減少によるものです。

投資活動に使用された資金は、72億73百万円(前連結会計年度は59億62百万円)となりました。

これは主に、定期預金の払戻による収入321億7百万円等の資金の増加と定期預金の預入による支出322億58百万円有形固定資産の取得による支出58億46百万円等の資金の減少によるものです。

財務活動に使用された資金は、187億35百万円(前連結会計年度は159億69百万円)となりました。

これは主に、配当金の支払額168億23百万円リース債務の返済による支出12億22百万円等の資金の減少によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

デジタルコンテンツ事業

35,187

89.9

アミューズメント機器事業

6,712

247.7

合計

41,900

100.1

 

(注) 1.上記の金額は、製造原価により算出しております。

2.上記の金額は、ゲームソフト開発費を含んでおります。

 

b. 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

デジタルコンテンツ事業

125,128

104.4

アミューズメント施設事業

22,750

117.6

アミューズメント機器事業

15,613

173.1

その他

6,111

145.4

合計

169,604

111.3

 

(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

Valve Corporation

32,719

21.5

52,723

31.1

Sony Interactive Entertainment 

LLC

16,066

10.5

 

(注)当連結会計年度のSony Interactive Entertainment LLCに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当社グループの当連結会計年度末現在の事業および経営環境に基づいて判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なりうる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(無償ダウンロードコンテンツの収益認識)および(ゲームソフト仕掛品の評価)

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(退職給付に係る負債)

従業員の退職給付費用については、各連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき引当計上しており、退職率、割引率、昇給率、死亡率等の重要な前提条件を見積りに加味して計上しております。これらの条件が変更される場合、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の収益計画に基づいた課税所得が十分に確保できる可能性や、回収可能性があると判断した将来減算一時差異に基づいて、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依拠するため、その見積りの前提とした条件や仮定に著しい変更が生じた場合、繰延税金資産を見直し、その影響額を法人税等調整額に計上する可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、当社グループの事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に著しい変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当連結会計年度の当社グループ事業全体および各セグメントの事業の概況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

当連結会計年度末における自己資本比率は72.3%(前期から7.8ポイントの減少)となり、ROE(自己資本利益率)は23.0%(前期から1.4ポイントの減少)となりました。当社グループは、資本効率の観点からROE向上による企業価値の増大に努めており、中核事業であるデジタルコンテンツ事業において、主力シリーズの大型タイトルの投入や、採算性の高いリピートタイトル販売が続伸したことにより、ROEを安定的に維持させることができました。

翌連結会計年度に与える影響を含め、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

③ 経営方針・経営戦略または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは経営における重要な指標として、企業の稼ぐ力の基本となる「営業利益」(成長指標)と収益性の基本である「営業利益率」(効率性指標)そして「キャッシュ・フロー」を重視しております。

当社グループの営業利益および営業利益率のこれまでの推移は次のとおりであり、営業利益の持続的な増加および営業利益率向上による効率性の改善に努めております。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

 

 

 

前期比(%)

 

前期比(%)

 

前期比(%)

 

前期比(%)

売上高   (百万円)

95,308

110,054

15.5

125,930

14.4

152,410

21.0

169,604

11.3

営業利益 (百万円)

34,596

42,909

24.0

50,812

18.4

57,081

12.3

65,777

15.2

営業利益率 (%)

36.3

39.0

40.3

37.5

38.8

 

キャッシュ・フローにつきましては、当社グループは、預金残高から有利子負債を控除したネット・キャッシュ残高を重視しており、当連結会計年度末の残高は1,601億92百万円(前連結会計年度末より422億18百万円増加)となりました。当社グループは、手元流動性の拡大による財務健全性の向上を図り、経営の安定性を高めるように努力しております。

当社グループは、これらの指標を改善することにより、ROE(自己資本利益率)など関連する指標も向上し、株主価値を創出することになるものと考えております。当社グループのROEの推移につきましては、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (1) 連結経営指標等」をご参照ください。

また、当社グループは、成長を継続するための必要な投資を行い、企業価値の向上に努め、株主への安定的な配当による利益還元の実施を目的とし、配当性向を最も重要な経営指標の一つと考えております。その基本方針を連結配当性向30%とし、かつ安定配当の継続に努めております。当連結会計年度におきましても連結配当性向は34.5%と安定配当を継続して行っております。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

連結配当性向(%)

30.4

30.2

36.1

33.7

34.5

 

なお、必要に応じた機動的な自己株式の取得を実施することにより、当社グループの1株当たりの利益を高めることで株式の価値を高め、株主への還元に資することも重要な施策の一つとして考えております。

上記施策により、当期の株主総利回りは449.7%と、比較指標である配当込みTOPIXの213.4%を大幅に上回っております。当社のこれまでの株主総利回りの推移は、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2) 提出会社の経営指標等」をご参照ください。

 

 

④ 資本の財源および資金の流動性

当社は中長期的に安定した成長を遂げるため、オリジナルコンテンツを生み出す源泉となるデジタルコンテンツ事業への十分な投資額を確保することが必要不可欠であると認識しております。具体的には、コンテンツ充実によるタイトルラインナップの拡充や新たな技術に対応するため、開発者の増員や開発環境の整備への投資が必要であります。当連結会計年度における研究開発投資額および設備投資額を合わせた合計573億97百万円の82.1%に相当する471億23百万円を、デジタルコンテンツ事業に投資しております。なお、ゲームコンテンツの研究開発投資につきましては、「6 研究開発活動」に記載のとおりであります。

ゲームコンテンツの開発費用は、高性能かつ多機能な家庭用ゲーム機の登場に伴い増加傾向にあります。また、主力タイトルのゲームコンテンツ開発期間は2年以上を要することに加え、発売後の定期的なゲームコンテンツのバージョンアップおよびネットワークインフラの維持に継続的な投資が発生するため、相応の現預金を保有しておく必要があります。

当社は、財務基盤を強化するとともに成長のための投資資金の確保を実現するため、リスク対応の留保分を考慮したうえで、保有しておくべき現預金水準を3年分の開発費用を目途に設定しており、加えて長期の人材の確保と開発体制拡充のための投資も含めた適正レンジの維持に努めております。また、事業環境の変化や事業拡大により保有する現預金残高を超える投資計画が発生した場合には、適切な資金調達を行います。

なお、配当を含めました当連結会計年度の資金流動につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

このような状況下、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は413億34百万円増加し1,504億26百万円となりました。

 

5 【重要な契約等】

当社グループが許諾を受けている重要な契約の状況

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の名称

契約内容

契約期間

㈱カプコン

任天堂㈱

日本

Nintendo Switch Content License and Distribution Agreement

家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」向けゲームソフトウェアの開発・広告宣伝・販売・頒布に関する知的財産権等の供与、ゲームソフトウェアの配信委託、および販売・頒布に関する条件設定

2017年4月1日より3ヵ年

以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

MICROSOFT CORPORATION

米国

XBOX CONSOLE PUBLISHER LICENSE AGREEMENT

家庭用ゲーム機「Xbox ONE」および次世代機(「Xbox Series」)向けゲームソフトウェアの製造・販売に関する商標権および技術情報の供与

2020年6月1日より

2022年3月31日

以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメント

日本

PlayStation Global Developer & Publisher Agreement

全てのPlayStationフォーマット向けゲームソフトウェアの開発・製造・発行・頒布・供給・販売・貸与・市販・広告宣伝・販促等に関する商標権および技術情報の供与

2013年11月15日より

2019年3月31日

以後1ヵ年毎の自動更新

㈱カプコン

Valve Corporation

米国

Valve Corporation Steam Distribution Agreement

カプコンのゲームソフトウェアをSteamで販売・配信するための許諾

2020年3月1日から解除の合意がなされるまで

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、コンピュータを介した「遊文化」をクリエイトすることにより、社会の安定発展に寄与し、「遊びの社会性」を高めるハイテク企業を志向しております。そのため、時代の変化や価値観の変化を先取りし、市場のニーズに合った新商品を開発することが当社の根幹事業であると認識し、研究開発に重点をおいております。

研究開発活動は、デジタルコンテンツ事業およびアミューズメント機器事業で行っており、当連結会計年度末現在の研究開発要員は2,846名、従業員の75.6%になっております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発投資額は49,496百万円で、売上比29.2%であります。なお、研究開発投資額にはコンテンツ部分の金額を含めて記載しております。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1) デジタルコンテンツ事業

当事業における当社グループのゲームソフト開発・市場投入実績は以下のとおりです。

主力タイトルにおきましては『モンスターハンターワイルズ』(プレイステーション 5、Xbox Series X|S、パソコン用)を開発し、発売しました。シリーズ完全新作である本作は、自社開発エンジンRE ENGINEで実現した雄大で美麗な映像表現が楽しめるほか、プラットフォームの垣根を越えて一緒に遊ぶことができるクロスプレイを実装しました。

また、完全新作『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』(Xbox Series X|S、Xbox One、プレイステーション 5、プレイステーション 4、パソコン用)を開発し、発売しました。独創的な和の世界観が、ユーザーから高い評価を得ました。

さらに、『デッドライジング』の新世代機の移植作である『デッドライジング デラックスリマスター』(プレイステーション 5、Xbox Series X|S、パソコン用)を開発し、発売しました。新世代機へ移植することで、操作感の向上や3Dオーディオへの対応など全面的なゲーム体験の向上を果たしました。加えて、「バイオハザード」シリーズのApple端末向けの移植作である『バイオハザード7 レジデント イービル』『バイオハザード RE:2』『バイオハザード RE:3』(iOS、Mac用)を配信しました。高品質な移植により、端末で気軽に快適なゲーム体験を楽しむことが可能となりました。

モバイルコンテンツ市場向けタイトルにおきましては、「モンスターハンター」シリーズのキャラクターと爽快なパズルが楽しめる『モンスターハンターパズル アイルーアイランド』(iOS、Android用)を開発し、配信しました。

当事業に係る研究開発投資額は46,358百万円であります。

 

(2) アミューズメント機器事業

当事業におきましては、技術介入機となる『ストリートファイターV 挑戦者の道』、大量獲得ボーナス搭載の『鬼武者3』、新筐体「イマーシブ」第一弾となる『モンスターハンターライズ』、5号機ヒット機種のリメイク機『バイオハザード5』の合計4機種のパチスロ遊技機開発を行い、販売いたしました。

当事業に係る研究開発投資額は3,137百万円であります。