第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱問題や米国の大統領選挙などが景気に与える影響が注目される展開となりましたが、米国では景気回復が継続し、欧州、中国やアジア諸国においても期後半に持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかな回復基調となりました。また、国内経済においても、足許では堅調な雇用・所得情勢を受けて個人消費が改善し企業収益も回復しておりますが、米国新政権の諸政策をはじめとした海外情勢の景気への影響の懸念もあり、先行き不透明な展開が続いております

このような環境の下、情報電子事業は前年比で売上微減の展開となったものの、建築資材事業で堅調な販売により増収を確保したことに加え、ライフサイエンス事業ではインドネシア子会社が加わったことで増収となり、当社グループの売上は前年同期比で増加いたしました

損益面では、生産効率の向上、高付加価値製品の販売強化、コスト削減などに努めたものの、情報電子事業の主力製品であるプロテクトフィルムの販売単価下げの影響を大きく受けたことに加え、減価償却費を中心とした台湾子会社の固定費の増加、米国子会社の新工場立上関連費用の増加、研究開発費・戦略的固定費の増加などがあったことにより、前年同期比で営業利益・経常利益は減益となりました。また、米国子会社で足許の業績が当初の計画から乖離したことに伴う減損損失13億57百万円等により14億70百万円の特別損失を計上しました

その結果、当連結会計年度における業績は、売上高984億21百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益68億70百万円(前年同期比15.8%減)、経常利益70億35百万円(前年同期比12.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益27億20百万円(前年同期比44.7%減)となりました

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

 (ライフサイエンス事業)

食品用包装材では受注減少の展開となりました。日用品向包装材(粧業包装/詰替パウチ)では国内の売上は堅調に推移したものの、タイ子会社において受注が低調に推移したことにより減収となりました。また、液体容器では不採算部門の解消を進めたことなどにより大きく減収となりました。その一方、医薬・医療用包装材においてインドネシア子会社の売上が加わったことにより、事業全体として増収となりました

 この結果、売上高は480億58百万円(前年同期比3.5%増)となりました。

 

 (情報電子事業)

情報記録用材については、パソコン・サーバー向け、並びにスマートフォン向けで大きく増収となり、剥離フィルムについても中国スマートフォン向けを中心に堅調に推移いたしました。プロテクトフィルムについては、台湾子会社で量産体制を整え、国内分も含め生産数量としては前年を上回ったものの、業界における販売単価下げの影響を大きく受けたことで売上が伸び悩み、事業全体としては売上微減の展開となりました

 この結果、売上高は363億50百万円(前年同期比0.3%減)となりました

 

 (建築資材事業)

建材関連においては、首都圏再開発物件等により煙突工事並びに空調用配管の売上は順調に推移したことに加え、集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の売上も前年を上回ることができました。土木関連については、トンネル用資材の売上が増額いたしました

 この結果、売上高は140億12百万円(前年同期比10.9%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より44億22百万円増加して172億円となりました

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、84億8百万円(前年同期は85億85百万円の収入)となりました

 これは、法人税等の支払などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益56億98百万円や減価償却費46億87百万円などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、52億33百万円(前年同期は54億65百万円の支出)となりました

 これは、有形固定資産の取得43億16百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出13億64百万円などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により得られた資金は、11億22百万円(前年同期は13億26百万円の支出)となりました。

 これは、非支配株主への払戻しによる支出、配当金の支払などの資金減少要因があったものの、借入金の純増36億58百万円、非支配株主からの払込みによる収入などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

平成25年3月期

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

52.5

57.8

57.1

59.8

55.7

時価ベースの自己資本比率(%)

57.4

66.7

78.1

56.9

61.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

0.4

0.2

0.2

0.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

119.0

269.0

568.3

637.9

162.2

(注)1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2. 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4. 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自平成28年4月1日

  至平成29年3月31日)

 前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

38,242

5.1

情報電子(百万円)

35,212

△1.8

建築資材(百万円)

6,179

5.0

合計(百万円)

79,633

1.9

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自平成28年4月1日

  至平成29年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

10,169

2.1

情報電子(百万円)

1,055

174.6

建築資材(百万円)

7,934

17.7

合計(百万円)

19,158

12.1

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ライフサイエンス

48,491

6.5

9,986

4.5

情報電子

36,021

△0.1

2,405

△12.0

建築資材

14,974

17.1

4,485

27.3

合計

99,487

5.4

16,877

6.7

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自平成28年4月1日

  至平成29年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

48,058

3.5

情報電子(百万円)

36,350

△0.3

建築資材(百万円)

14,012

10.9

合計(百万円)

98,421

3.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自平成27年4月1日

  至平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

稲畑産業㈱

11,990

12.6

       当連結会計年度においては、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が100

      分の10以上である相手先がないため、記載を省略しております

    3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります

 

経営方針

 当社グループは、『「包む価値」の創造を通じて、快適な社会の実現に貢献します』を理念としております。「包む価値」とは「未来を想うイノベーションで人々をやさしく、強く包みこむ」ことを示しており、グループ全体の力を結集し「コトづくり(Idea&Story)」と「モノづくり(Product&Service)」によって、広いフィールドで創造的成長に取り組むことを示したものです

 当社はたゆまぬ技術革新と社会の求める新しい価値の創造に取り組み、全てのステークホルダーに信頼される「つよい、やさしい、おもしろい」企業を目指すことを経営方針とし、下記を設定しております。

・お客様とともに

 常に未来社会とお客様視点に立って行動し、お客様と共に価値を創り出します。

・従業員とともに

 個性を尊重し、一人ひとりの発想と行動力を活かします。

・お取引先様とともに

 透明で公正な取引により、相互の信頼関係を築き、すべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。

・株主の皆様とともに

 株主や投資家の皆様との対話を大切にし、信頼を得られるよう努めます。

 有形・無形の経営資源を最大限に活かし、持続的な企業価値の向上に努めます。

・社会と地球とともに

 法令遵守はもとより、高い倫理観にもとづいた事業活動を推進します。

 地球や社会が抱える様々な問題の解決に取り組みます。

 

(2)経営戦略等

 創造的成長に向けて、従来とは異なる成長領域を生み出し、多彩な領域と新陳代謝のあるバランスのとれた事業構造を目指していきます

 その為に、常に新しい技術に取り組み、テクノロジープラットフォームの独自性を強化するとともに、顧客に密着したマーケティング活動をおこない、グローバル規模で顧客や社会のニーズを先取りすることにより「新製品の開発」「新技術の開発」「新市場への参入」を推進する「三新経営」を強力に推進していきます。

 注力分野は高度情報化社会の実現を見据えた情報関連分野、高齢化社会に対応したライフサイエンス分野、環境対応社会に適応する環境・エネルギー分野としております。

 これらの分野を中心とした研究開発投資、設備投資ならびに各戦略を支える人材への投資を積極的に強化し、競争優位を確立し、また、外部機関やパートナー企業との連携も強化することで、企業価値向上を加速させていきます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益、営業利益率及び経常利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産経常利益率)を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます

 

(4)経営環境等

 当社グループを取り巻く事業環境は、日本における既存産業の成熟、グローバル市場における競争激化、AIやIoTなどのデジタライゼーションの進化などにより、様々な分野でのビジネスモデル革新が急速に進むなど、あらゆる面で転換期にあり、社会構造や消費意識も大きく変化していると認識しております。

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 このような経営環境認識のもと、当社では創造的、効率的な成長を目指して、「成長軸の強化」「効率の重視」「自己変革」並びに「リスクマネジメントの強化」を最重要課題として次の施策を重点的に推進いたします。

①成長軸の強化

 未来視点、顧客視点、グローバル視点に立った「コトづくり・モノづくり」を成長のエンジンとして強力に創造的な成長施策を推進していきます。

 その為には「他社に真似できない技術の創出」「提供する機能、価値の幅や場所を積極的に拡げていくこと」「課題解決型(当社の様々なシーズを組み合わせて顧客に新たな価値を提供)ビジネスを推進していくこと」「基盤を強化し、優位性の維持向上を図ること」に注力してまいります。

②効率の重視

 経営資源と時間を効率的に活用し、短期間で効果的なリターンを得るための施策を推進していきます。

 現有資源の活用と新たな資源投下を厳しい目で見つめ、筋肉質に磨きをかけながら「効率的な企業価値の向上を図ること」「短期間で成長曲線の軌道に乗せること」に注力してまいります。

③自己変革

 未来を見据えてありたい姿を描き、それを実現していくことは、これまでと同じ発想や行動では為し得ません。造り手の論理を超えて、企業活動のあらゆる局面で市場、顧客視点による発想を優先して考え、ありたい姿の実現に向かって進んでいく強い個人と組織づくりを目指していきます。

④リスクマネジメントの強化

 事業に拡がりを持たせ、グローバルに運営を展開するにあたっては、多様化するリスクへの予防、対策、再発防止がより重要であると考えております。新たな事業展開、投資に関しては不確実性分析をきめ細かく行い、リスク管理システムの強化を図っています。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響
 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやゲーム機に使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場の影響材市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合状況、価格動向
 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。当社グループでは一層の技術向上や顧客への信頼確保に努めておりますが、競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料の市況
 当社グループの販売する包装材や各種加工フィルムに使用される主要原材料は樹脂・フィルムといった各種のプラスチック製品であります。これらの原材料の価格は原油・ナフサなどの国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)為替変動
 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)設備投資に伴う影響
 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)M&A
 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外事業展開
 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)債権管理
 当社グループは取引先に対して、売掛金や貸付金等の債権を有しており、特に建築資材事業の工事物件につきましては、一取引における金額が大きい場合もあります。取引先の業況に充分注意し、与信管理を徹底しておりますが、場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)環境規制等の影響
 当社グループでは環境保全を経営の最重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っておりますが、今後、環境等に関するさまざまな法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動に制約を受けたり、追加の設備投資、新たな費用及び債務が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)知的財産権
 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、当社グループでは他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 

(11)事故災害
 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点においては、火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。しかし、これらの活動にもかかわらず、事故・災害など当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、生産活動の中断及び生産活動に対する制約等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、PT Kingsford Holdings(所在地インドネシア、以下Kingsford)の株式をアジア・大洋州三井物産株式会社と共同で取得して子会社化することとし、平成28年6月23日にKingsfordの既存株主と株式譲渡契約を締結いたしました。

 また、当該契約に基づき、平成28年8月1日に株式を取得し、子会社化いたしました。なお、詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」 に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、ライフサイエンス分野・情報電子分野において、当社の基盤技術であるコーティング及びラミネーティング等に、種々のソリューション技術を付加し「技術の複合化」を行うことにより、市場ニーズに対応した新技術・新製品の開発を通じて新たな価値を創出すべく、研究開発活動を推進しております。さらに基盤技術を拡大する為に国内外の大学・公的機関との連携を強めております。

 中長期に向けての研究開発の方向性としてはライフサイエンス分野では「医薬/先端医療周辺・環境対応関連」、情報電子分野では「次世代ディスプレイ・エネルギー関連素材・情報端末」をターゲットとして、研究開発に取り組んでおります

 研究開発体制として、常に新しいシーズテーマの創出に努める一方、市場・お客様からの種々な要望を広くニーズ(潜在・顕在)として捉え、マーケティング活動を通じてニーズを具現化し、独創的な当社の「コトづくり」と「モノづくり」により新たな価値を創生し、世の中に送り出しています。

 また、研究所には分析・評価の充実のために積極的な設備投資をおこなっています。単なる素材分析、不具合解析だけでなくZACROS保有技術の理論構築のための体制を強化しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費用の合計は、26億19百万円(前年同期比5.2%増)であります。
各セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

 医薬周辺分野では、医薬品包装事業の基盤強化・拡大を目指し、「におい吸収型包装」「酸素吸収包装」「易開封包装」「紫外線カット包装」等の機能性向上の強化を行うと共に、医薬品の誤飲が社会問題となる中で「誤飲時の消化管損傷の評価システム」の開発や服薬コンプライアンス向上に向けた開発を大学、企業と連携して開発に取り組んでいます

 日用品向包装材では、複数回詰め替えパウチの伸長により、昨年上市しました「易開封性のスパウト」に対して、開けやすさをさらに追求した独自設計のスパウトの開発に注力しラインナップを増やしました。今後は、さらに抽出口の形状設計を行い、機能性の高いスパウトの開発をしていきます

 先端医療分野では、血栓形成能を観測・測定する装置「T-TASⓇ」を研究機器として前年度上市しましたが、引き続き医療機器(診断装置)としての開発に注力している段階で、2018年度の医療機器登録を目指しております。さらに医療機器のラインナップ拡充のため、「T-TASⓇ」後続製品群の開発を並行して推進中で、診断領域の拡大に向けて取り組んでおります。また、神戸医療産業都市の中核施設である神戸医療イノベーションセンター内にサテライトオフィスを新設し、大量培養技術などの再生医療分野の開発を強化していきます。

 

(情報電子事業)

 情報電子関連分野では、液晶ディスプレイに使用される偏光板向けの表面保護フィルムとして、偏光板の構成部材の変更に対応した、低汚染で剥離時の剥離帯電圧を低減した製品をラインナップしました。また、今後市場拡大が期待されるフレキシブル有機ELディスプレイの製造工程で使用される粘着フィルムの開発も進めております。強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化への対応として粘着剤に光拡散機能を付与した粘着製品を開発しました。FPC(フレキシブルプリント回路基板)ではシールド用導電性接着剤の販売を開始しました。

 エネルギー関連分野では、2次電池用外装材、各種電極用接着フィルムの研究開発に取り組み、高信頼性を目指した開発をしております。

 

(建築資材事業)

 建材関連分野では、建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術を組合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 財政状態の分析

①流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、572億63百万円(前連結会計年度末496億47百万円)となり76億15百万円の増加となりました。これは主として、売上債権、短期の有価証券が増加したことなどによるものです。

 

②固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、391億17百万円(前連結会計年度末388億76百万円)となり、2億41百万円の増加となりました。これは主として、米国子会社での減損に伴う減少があったものの、インドネシア子会社の新規連結取込に伴う増加があったことなどによるものです

 

③流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、328億57百万円(前連結会計年度末286億93百万円)となり、41億63百万円の増加となりました。これは主として、仕入債務、借入金が増加したことなどによるものです

 

④固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、66億24百万円(前連結会計年度末59億48百万円)となり、6億75百万円の増加となりました。これは主として、借入金等の増加などによるものです

 

⑤純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、568億99百万円(前連結会計年度末538億81百万円)となり、30億17百万円の増加となりました。これは主として、利益剰余金の増加に加え、インドネシア子会社の新規連結に伴う非支配株主持分の増加、ならびにインドネシア子会社での傘下子会社の株式追加取得に伴う資本剰余金の減少があったことなどによるものです

 

 (2) 経営成績の分析

 当連結会計年度の業績は、売上高984億21百万円(前連結会計年度比3.0%増)、経常利益70億35百万円(前連結会計年度比12.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益27億20百万円(前連結会計年度比44.7%減)となりました

 

①売上高

 当連結会計年度における売上高は、984億21百万円(前連結会計年度955億41百万円)となり、前連結会計年度比で28億80百万円増加いたしました。ライフサイエンス事業においては、液体容器で不採算部門の解消を進めたことで大きく減収となったものの、医薬・医療用包装材でインドネシア子会社の売上が加わったことなどにより、売上高は前年同期比16億22百万円増加の480億58百万円となりました。情報電子事業においては、情報記録用材と剥離フィルムでは販売が堅調に推移したものの、主力のプロテクトフィルムで業界における販売単価下げの影響を大きく受けたことなどにより、売上高は前年同期比1億23百万円減少の363億50百万円となりました。建築資材事業においては、首都圏再開発物件等により煙突工事並びに空調用配管の売上が順調に推移し、また土木関連でもトンネル用資材の売上が増加したことで、売上高は前年同期比13億81百万円増加の140億12百万円となりました

 

②売上総利益

 当連結会計年度における売上総利益は、210億97百万円(前連結会計年度215億1百万円)となり、前年同期比で4億3百万円減少いたしました。売上総利益率は、前連結会計年度から1.1ポイント減少し、21.4%となりました。これは主に、グループ全部門を上げて高付加価値商品の販売強化や生産効率の向上に努めたものの、プロテクトフィルムで業界における販売単価下げの影響を受けたことや、台湾子会社を中心に減価償却費が増加したことなどによるものです。

 

③販売費及び一般管理費

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、142億27百万円(前連結会計年度133億40百万円)となり、前年同期比で8億86百万円の増加となりました。これは主に、事業譲受けに伴いインドネシア子会社の販売費及び一般管理費を取り込んだことに加え、研究開発費、戦略的固定費が増加したことなどによるものです。

④営業外損益

 当連結会計年度における営業外収支は、1億65百万円の利益(前連結会計年度1億円の損失)となり、前年同期比で2億66百万円の利益増加となりました。これは主に、為替差損の減少などによるものです

 

⑤特別損益

 当連結会計年度における特別損益は、13億37百万円の損失(前連結会計年度1億45百万円の損失)となり、前年同期比で11億92百万円の利益減少となりました。これは主に、米国子会社において減損損失を計上したこと等によるものです

 

⑥税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、56億98百万円(前連結会計年度79億14百万円)となり、前年同期比で22億16百万円の減少となりました

 

⑦法人税等

 当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額は、28億8百万円(前連結会計年度29億98百万円)となり、前年同期比で1億90百万円の減少となりました

 

⑧親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、27億20百万円(前連結会計年度は49億21百万円)となり、前年同期比で22億1百万円の減少となりました。その結果、1株当たりの当期純利益は142.94円(前連結会計年度257.24円)、自己資本当期純利益率は5.1%となりました

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況については、「1.業績等の概要」に記載のとおりであります。