第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります

 

経営方針

 当社グループは、『「包む価値」の創造を通じて、快適な社会の実現に貢献します』を理念としております。「包む価値」とは「未来を想うイノベーションで人々をやさしく、強く包みこむ」ことを示しており、グループ全体の力を結集し「コトづくり(Idea&Story)」と「モノづくり(Product&Service)」によって、広いフィールドで創造的成長に取り組むことを示したものです

 当社はたゆまぬ技術革新と社会の求める新しい価値の創造に取り組み、全てのステークホルダーに信頼される「つよい、やさしい、おもしろい」企業を目指すことを経営方針とし、下記を設定しております。

・お客様とともに

 常に未来社会とお客様視点に立って行動し、お客様と共に価値を創り出します。

・従業員とともに

 個性を尊重し、一人ひとりの発想と行動力を活かします。

・お取引先様とともに

 透明で公正な取引により、相互の信頼関係を築き、すべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。

・株主の皆様とともに

 株主や投資家の皆様との対話を大切にし、信頼を得られるよう努めます。

 有形・無形の経営資源を最大限に活かし、持続的な企業価値の向上に努めます。

・社会と地球とともに

 法令遵守はもとより、高い倫理観にもとづいた事業活動を推進します。

 地球や社会が抱える様々な問題の解決に取り組みます。

 

(2)経営戦略等

 創造的成長に向けて、従来とは異なる成長領域を生み出し、多彩な領域と新陳代謝のあるバランスのとれた事業構造を目指していきます

 その為に、常に新しい技術に取り組み、テクノロジープラットフォームの独自性を強化するとともに、顧客に密着したマーケティング活動をおこない、グローバル規模で顧客や社会のニーズを先取りすることにより「新製品の開発」「新技術の開発」「新市場への参入」を推進する「三新経営」を強力に推進していきます。

 注力分野は高度情報化社会の実現を見据えた情報関連分野、高齢化社会に対応したライフサイエンス分野、環境対応社会に適応する環境・エネルギー分野としております。

 これらの分野を中心とした研究開発投資、設備投資ならびに各戦略を支える人材への投資を積極的に強化し、競争優位を確立し、また、外部機関やパートナー企業との連携も強化することで、企業価値向上を加速させていきます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、下記の指標について重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 

(4)経営環境等

 当社グループを取り巻く事業環境は、日本における既存産業の成熟、グローバル市場における競争激化、ICT(IoT、AI、ロボティックスなど)やバイオサイエンスを軸とした科学技術の加速度的な進化、シェアリングサービスやリユース・リサイクルによるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への流れ、更に各産業におけるSDGsへの取組などにより、あらゆる分野で、産業パラダイムの変化が進んでいく転換期にあると認識しております。

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 このような経営環境認識のもと、当社では転換期を俯瞰的に見通して、「変化に対応した展開により事業を拡大させていくこと」「変化を先取りして先導的に新たな事業を開発すること」が重要であると考えており、短期的な対応と中長期の方策のバランスを考慮しながら、創造的、効率的な企業価値の向上を目指して、「成長軸の強化」「効率の重視」「自己変革」並びに「リスクマネジメントの強化」を最重要課題として次の施策を重点的に推進いたします。

①成長軸の強化

 未来視点、顧客視点、グローバル視点に立った「コトづくり・モノづくり」を成長のエンジンとして強力に創造的な成長施策を推進していきます。

 その為には「他社に真似できない技術やサービスの創出」「提供する機能、価値の幅や場所を積極的に拡げていくこと」「課題解決型(当社の様々なシーズを組み合わせて顧客に新たな価値を提供)ビジネスを推進していくこと」「基盤を強化し、優位性の維持向上を図ること」に注力してまいります。

②効率の重視

 経営資源と時間を効率的に活用し、短期間で効果的なリターンを得るための施策を推進していきます。

 現有資源の活用と新たな資源投下を厳しい目で見つめ、外部資源の積極的な獲得や活用も含めて「効率的な企業価値の向上を図ること」「短期間で成長曲線の軌道に乗せること」に注力してまいります。

③自己変革

 未来を見据えてありたい姿を描き、それを実現していくことは、これまでと同じ発想や行動では為し得ません。造り手の論理を超えて、企業活動のあらゆる局面で市場、顧客視点による発想を優先して考え、ありたい姿の実現に向かって試行錯誤を繰り返すことができる強い個人と組織づくりを目指していきます。

④リスクマネジメントの強化

 事業に拡がりを持たせ、グローバルに運営を展開するにあたっては、多様化するリスクへの予防、対策、再発防止がより重要であると考えております。新たな事業展開、投資に関しては不確実性分析をきめ細かく行い、リスク管理システムの強化を図っています。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響
 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやゲーム機に使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場の影響材市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合状況、価格動向
 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。当社グループでは一層の技術向上や顧客への信頼確保に努めておりますが、競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料の市況
 当社グループの販売する包装材や各種加工フィルムに使用される主要原材料は樹脂・フィルムといった各種のプラスチック製品であります。これらの原材料の価格は原油・ナフサなどの国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)為替変動
 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)設備投資に伴う影響
 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)M&A
 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外事業展開
 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)債権管理
 当社グループは取引先に対して、売掛金や貸付金等の債権を有しており、特に建築資材事業の工事物件につきましては、一取引における金額が大きい場合もあります。取引先の業況に充分注意し、与信管理を徹底しておりますが、場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)環境規制等の影響
 当社グループでは環境保全を経営の最重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っておりますが、今後、環境等に関するさまざまな法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動に制約を受けたり、追加の設備投資、新たな費用及び債務が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)知的財産権
 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、当社グループでは他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 

(11)事故災害
 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点においては、火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。しかし、これらの活動にもかかわらず、事故・災害など当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、生産活動の中断及び生産活動に対する制約等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用、個人消費の改善を背景に景気が好調に推移し、欧州、アジア諸国において足許弱さがみられるものの、全体として緩やかに回復いたしました。国内経済においては、堅調な企業業績の推移、雇用の改善を受け底堅く推移したものの、足許やや減速感が強まる展開となりました。

このような環境の下、情報電子事業においては商流変更に伴う連結消去の影響もあり売上は微増に留まりましたが、ライフサイエンス事業、建築資材事業では販売が堅調に推移し、当社グループの売上は各事業とも前年同期比で増加いたしました。

損益面では、海外子会社の収支改善、国内の増収効果に加え、グループ全体にわたり生産効率の向上に努めたものの、材料単価の上昇、固定費の増加などにより、前年同期比で営業利益は減益となりました。一方、前年度に比べ特別損失が減少したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。

この結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高1,122億16百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益81億26百万円(前年同期比5.3%減)、経常利益85億19百万円(前年同期比2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益55億32百万円(前年同期比3.4%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

食品用包装材では売上微減の展開となりました。その一方、日用品向包装材では大容量の複数回詰替袋の拡販が寄与し、医薬・医療用包装材や液体容器、その他商品販売も積極的に増やしたことなどから、事業全体として増収となりました。

 この結果、売上高は547億54百万円(前年同期比3.4%増)となりました。

 

(情報電子事業)

情報記録用材については、パソコン・サーバー向けは堅調に推移しましたが、スマートフォン向けが減収となったことなどから、前年比微減の展開となりました。剥離フィルムでは前年を下回る売上となりました。プロテクトフィルムでは、商流変更に伴うグループ内取引の増加により連結消去が発生するなどの減収要因がありましたが、台湾子会社の生産高が増加したことに加え、積極的に受注活動を行い、販売数量を伸ばしたことで増収を確保しました。

 この結果、売上高は395億14百万円(前年同期比1.5%増)となりました。

 

(建築資材事業)

建材関連においては、空調用配管並びに集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の売上が堅調に推移しましたが、煙突工事の売上は減少しました。土木関連については、トンネル用資材の売上が増加いたしました。

 この結果、売上高は179億47百万円(前年同期比10.0%増)となりました。

 

 財政状態については、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度における総資産は、売上債権、棚卸資産などが増加したことにより、前年度末に対して38億95百万円増加の1,080億46百万円となりました。

 負債は、仕入債務が増加しましたが、借入金が減少したことなどにより、前年度末に対して4億56百万円減少の413億7百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前年度末に対して43億51百万円増加の667億39百万円となり、自己資本比率は57.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より2億31百万円減少して242億15百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は74億58百万円(前年同期は124億63百万円の収入)となりました。

 これは、法人税等の支払、たな卸資産の増加、売上債権の増加などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益85億28百万円や減価償却費45億56百万円などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、55億73百万円(前年同期は29億29百万円の支出)となりました。

 これは、有形固定資産の取得52億28百万円などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、19億46百万円(前年同期は27億13百万円の支出)となりました。

 これは、配当金の支払、借入金の返済などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率(%)

57.1

59.8

55.7

56.5

57.7

時価ベースの自己資本比率(%)

78.1

56.9

61.1

68.8

53.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.2

0.7

0.4

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

568.3

637.9

162.2

280.6

228.8

(注)1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2. 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4. 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

44,620

5.2

情報電子(百万円)

39,725

3.0

建築資材(百万円)

7,437

17.2

合計(百万円)

91,783

5.1

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

10,539

△5.1

情報電子(百万円)

455

△1.0

建築資材(百万円)

10,610

6.0

合計(百万円)

21,605

0.1

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ライフサイエンス

55,078

3.0

10,426

3.2

情報電子

39,686

0.6

3,422

5.3

建築資材

21,148

23.9

7,464

75.1

合計

115,912

5.4

21,313

21.0

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

54,754

3.4

情報電子(百万円)

39,514

1.5

建築資材(百万円)

17,947

10.0

合計(百万円)

112,216

3.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積もりを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 当連結会計年度における売上高は、1,122億16百万円(前連結会計年度1,082億5百万円)となり、前連結会計年度比で40億11百万円増加いたしました。

 売上総利益は、238億77百万円(前連結会計年度237億22百万円)となり、前連結会計年度比で1億54百万円増加いたしました。売上総利益率は、前連結会計年度から0.6ポイント減少し、21.3%となりました。海外子会社の収支改善や国内の増収効果、グループ全部門にわたる生産効率の向上などによる増益要因があったものの、材料単価の上昇、売上構成比影響などよる減益要因が大きく影響したことにより、増益は確保したものの売上総利益率は低下する形となりました。

 営業利益は、81億26百万円(前連結会計年度85億77百万円)となり、前連結会計年度比で4億50百万円減少いたしました。その結果、営業利益率は7.2%となりました。これは主に、売上総利益までの影響に加え、研究開発費・戦略的固定費の更なる投入を推進したことにより販売費及び一般管理費が増加したことなどによるものです。

 経常利益は、85億19百万円(前連結会計年度87億64百万円)となり、前連結会計年度比で2億44百万円減少いたしました。その結果、経常利益率は7.6%となりました。これは主に、営業利益までの影響に加え、為替差損益が前期比で改善したことなどによるものです。

 税金等調整前当期純利益は、85億28百万円(前連結会計年度84億79百万円)となり、前連結会計年度比で48百万円増加いたしました。その結果、税金等調整前当期純利益率は7.6%となりました。経常利益までの影響に加え、前期に計上した特別損失が剥落したことなどにより、増益を確保いたしました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、55億32百万円(前連結会計年度53億52百万円)となり、前連結会計年度比で1億79百万円増加いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益率は4.9%となりました。税金等調整前当期純利益までの影響に加え、海外子会社の収支改善を主要因として税負担率が低下したことなどにより、増益を確保いたしました。

 

 なお、セグメント別の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

 主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります

 設備投資については、前年同期の35億17百万円から15億16百万円増加し、50億33百万円となりました。その主な内容は当社における機械装置を中心とした投資です。また重要な設備の新設計画として、情報電子事業の精密塗加工設備62億44百万円を予定しております。

 研究開発費は27億22百万円(前年同期比1.9%減)となり、売上高研究開発費比率は2.4%となりました。

 運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。

株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本とし、業績の伸展状況に応じて、配当性向・株主資本配当率等を勘案して実行してまいります。

 

③経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)、株主重視の観点からROEを選定しております。

 2019年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

営業利益(百万円)

8,331

8,160

6,870

8,577

8,126

営業利益率(%)

8.8

8.5

7.0

7.9

7.2

ROA(総資産営業利益率)(%)

10.1

9.3

7.4

8.6

7.7

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

11.6

9.6

5.1

9.5

9.1

 

 当社グループの持続的な発展のため、既存の強固な基盤事業を軸に更なる業績向上を目指してまいります。

 2020年3月期においても、更なる事業拡大に向けて、販売力の一層の強化、将来の成長・発展に向けた戦略的投資・研究開発力の拡充を継続して推進していきます。一部原材料需給のタイト化、人材不足が継続することが予想されますが、資材調達の合理化、全部門にわたる組織生産力の向上、人財開発の強化等に取り組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、ライフサイエンス分野・情報電子分野において、当社の基盤技術であるコーティング技術及びラミネーティング技術等に、種々のソリューション技術を付加し「技術の複合化」を行うことにより、市場ニーズに対応した新技術・新製品の開発を通じて新たな価値を創出すべく、研究開発活動を推進しております。さらに基盤技術を拡大する為に国内外の大学・公的機関・民間機関との連携を強めております。

 中長期に向けての研究開発の方向性としてはライフサイエンス分野では「医薬/先端医療周辺・環境対応関連」、情報電子分野では「次世代ディスプレイ・エネルギー関連素材・情報端末」をターゲットとして、研究開発に取り組んでおります。

 研究開発体制として、市場・お客様からのウォンツ・ニーズ(潜在・顕在)をとらえ、当社の基盤技術を融合するソリューション技術、すなわち独創的な当社の「モノづくり」を通じた「コトづくり」により新たな価値を創生し、世の中に送り出しています。

 これに加えて、中長期的な新事業の創出のための活動として、将来予測をベースとした社会の変化を先取りし、独自にシーズテーマとして捉え、新たなビジネスモデルの構築に注力しています。その活動基盤の一つとして、当期8月にイノベーションセンターを設立し、研究所としての活動を開始しました。

 また、研究所には分析・評価の充実のために積極的な設備投資をおこなっています。単なる素材分析、不具合解析だけでなくZACROS保有技術の理論構築のための体制を強化しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の合計は、2,722百万円(前年同期比1.9%減)であります。

 各セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

 医薬周辺分野では、PTPの小児誤飲への対応と共に、高齢者が内容物を取り出し易い包装に対する社会的なニーズに対応した新製品開発を大学、企業と連携して行い、学会・論文投稿を行って外部の評価を得ると共に、広報活動を行っています。また、新たに基盤技術開発として成形が可能な超高防湿多層フィルムの開発に着手し、一部サンプル提供を開始して、薬液領域では開発プロジェクトを始動して注力して参ります。

 日用品向包装材分野では、主力製品として差別化を進めてきた「詰替パウチ」において、消費者がより簡便に詰替え作業がおこなえる注出口付きパウチを開発し、2018年度下期より販売を開始しました。引き続きニーズの変化に対応し、新たな提案価値(コトづくり)開発に注力して参ります。

 先端医療分野では、2015年に研究用機器として上市した血栓形成能観測・測定装置「T-TASⓇ」を、医療機器(診断装置)として市場投入すべく開発を推進しております。さらに、「T-TASⓇ」後続製品群の開発も並行推進中で、周辺ラインナップ拡大に取り組んでおります。また、神戸医療イノベーションセンター内に設置したサテライトラボにおいて、拡大が見込まれる再生医療分野の研究開発に着手しております。

 

(情報電子事業)

 情報電子関連分野では、液晶ディスプレイに使用される偏光板向けの表面保護フィルムについて、偏光板の構成材料の変更が進んでおり、これに対応した、低汚染で剥離時の剥離帯電圧を低減した製品のラインナップを拡充しました。

 強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化、およびディスプレイ用途に対応した粘着剤を含めた粘着製品のラインナップを拡充しました。FPC(フレキシブルプリント回路基板)では高密度実装向け超薄膜カーバーレイフィルムを開発しました。

 エネルギー関連分野では、今後も更なる市場拡大が見込まれる電気自動車への搭載をターゲットとしたリチウムイオンバッテリー用接着フィルムの新規開発に着手し、海外大手電池メーカーを中心にサンプル提供を開始致しました。さらに、将来の水素化社会を見据え、燃料電池用部材をはじめとする関連部材の研究開発にも取り組んでおります。

 

(建築資材事業)

 建材関連分野では、建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術を組合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります。