第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります

 

経営方針

 当社グループは、『「包む価値」の創造を通じて、快適な社会の実現に貢献します』を理念としております。「包む価値」とは「未来を想うイノベーションで人々をやさしく、強く包みこむ」ことを示しており、グループ全体の力を結集し「コトづくり(Idea&Story)」と「モノづくり(Product&Service)」によって、広いフィールドで創造的成長に取り組むことを示したものです。

 当社はたゆまぬ技術革新と社会の求める新しい価値の創造に取り組み、全てのステークホルダーに信頼される「つよい、やさしい、おもしろい」企業を目指すことを経営方針とし、下記を設定しております。

・お客様とともに

 常に未来社会とお客様視点に立って行動し、お客様と共に価値を創り出します。

・従業員とともに

 個性を尊重し、一人ひとりの発想と行動力を活かします。

・お取引先様とともに

 透明で公正な取引により、相互の信頼関係を築き、すべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。

・株主の皆様とともに

 株主や投資家の皆様との対話を大切にし、信頼を得られるよう努めます。

 有形・無形の経営資源を最大限に活かし、持続的な企業価値の向上に努めます。

・社会と地球とともに

 法令遵守はもとより、高い倫理観にもとづいた事業活動を推進します。

 地球や社会が抱える様々な問題の解決に取り組みます。

 

(2)経営戦略等

 創造的成長に向けて、従来とは異なる成長領域を生み出し、多彩な領域と新陳代謝のあるバランスのとれた事業構造を目指していきます

 その為に、常に新しい技術に取り組み、テクノロジープラットフォームの独自性を強化するとともに、顧客に密着したマーケティング活動をおこない、グローバル規模で顧客や社会のニーズを先取りすることにより「新製品の開発」「新技術の開発」「新市場への参入」を推進する「三新経営」を強力に推進していきます。

 事業セグメントは高度情報化社会の実現を見据えた情報電子分野、健康で安心・安全な暮らしの為のライフサイエンス分野、社会インフラや街づくりに貢献する建築資材分野で構成しております。

 これらの分野を中心とした研究開発投資、設備投資ならびに各戦略を支える人材への投資を積極的に強化し、競争優位を確立し、また、外部機関やパートナー企業との連携も強化することで、企業価値向上を加速させていきます。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、下記の指標について重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 

(4)経営環境等

 当社グループを取り巻く事業環境は、日本における既存産業の成熟、グローバル市場における競争激化、ICT(IoT、AI、ロボティックスなど)やバイオサイエンスを軸とした科学技術の加速度的な進化、シェアリングサービスやリユース・リサイクルによるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への流れ、更に各産業におけるSDGsへの取組などにより、あらゆる分野で、産業パラダイムの変化が進んでいく転換期にあると認識しております。

 また、新型コロナウイルス(COVID-19)の継続的な影響に対して、事業と組織運営を持続させるための施策、取組に対応するとともに、COVID-19によってもたらされる社会、経済への変化を所与のものとした対応を講じていく必要があると考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 このような経営環境認識のもと、当社では顧客の様々なニーズや期待に「応える」ことによる事業拡大はもちろんのこと、転換期を俯瞰的に見通して、先行的な投資により、期待やニーズを「超える」価値を創り上げて、能動的に提案していくことが重要であると考えております。

 『応えるを超える会社』を目指して、短期的な対応と中長期の方策のバランスを考慮しながら「成長軸の強化」「効率の重視」「自己変革」並びに「リスクマネジメントの強化」を最重要課題として次の施策を重点的に推進いたします。

①成長軸の強化

 未来視点、顧客視点、グローバル視点に立った「コトづくり・モノづくり」を成長のエンジンとして強力に創造的な成長施策を推進していきます。

 その為には「他社に真似できない技術やサービスの創出」「提供する機能、価値の幅や場所を積極的に拡げていくこと」「課題解決型(当社の様々なシーズを組み合わせて顧客に新たな価値を提供)ビジネスを推進していくこと」「基盤を強化し、優位性の維持向上を図ること」に注力してまいります。

②効率の重視

 経営資源と時間を効率的に活用し、短期間で効果的なリターンを得るための施策を推進していきます。

 現有資源の活用と新たな資源投下を厳しい目で見つめ、外部資源の積極的な獲得や活用も含めて「効率的な企業価値の向上を図ること」「短期間で成長曲線の軌道に乗せること」に注力してまいります。

③自己変革

 未来を見据えてありたい姿を描き、それを実現していくことは、これまでと同じ発想や行動では為し得ません。造り手の論理を超えて、企業活動のあらゆる局面で市場、顧客視点による発想を優先して考え、ありたい姿の実現に向かって試行錯誤を繰り返すことができる強い個人と組織づくりを目指していきます。

④リスクマネジメントの強化

 事業に拡がりを持たせ、グローバルに運営を展開するにあたっては、多様化するリスクへの予防、対策、再発防止がより重要であると考えております。新たな事業展開、投資に関しては不確実性分析をきめ細かく行い、リスク管理システムの強化を図っています。

 

 なお、事業セグメントごとの事業戦略上の実行における重要な課題は以下のとおりです。

 

(ライフサイエンス事業)

・包装に求められる機能や形状の多様化、地球環境意識への高まりを受けて、機能、デザイン、環境対応に考慮した製品開発とラインナップの強化と先行的な高効率生産ラインの増強

・新興国の成長を見据え、国内生産拠点とも連携した東南アジア展開

・新たな機能を付与したハイエンド品の欧米展開

・大量培養技術、医療機器領域の事業化推進

 

(情報電子事業)

・精密塗加工ラインの増強と対象領域の拡張

・新たな事業機会探索の為の東アジアにおけるマーケティング強化

・先端材料、エネルギー領域における事業化推進

 

(建築資材事業)

・省力化、スキルレスに寄与するソリューション開発

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響
 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやゲーム機に使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、市場状況のモニタリング及び市場変化への迅速な対応、事業の多角化等に努めております

 

(2)競合状況、価格動向
 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、一層の技術向上や顧客への信頼確保、競合に対する差別化に努めております。

 

(3)原材料の市況
 当社グループの販売する包装材や各種加工フィルムに使用される主要原材料は樹脂・フィルムといった各種のプラスチック製品であります。これらの原材料の価格は原油・ナフサなどの国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、主要原材料に関連する市況動向の情報収集、サプライヤーとの持続的な関係の構築、大きな変動が予想される際の原材料の先行購買等によるリスクヘッジに努めております。

 

(4)為替変動
 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、為替予約等によるリスクヘッジを行っております。

 

(5)設備投資に伴う影響
 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資計画時に想定されるリスクとその回避策を可能な限り検討した上で、採算性を分析し投資判断を行っています。また、工事進捗及び生産状況のモニタリング、財務体質の強化に努めております。

 

(6)M&A
 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資対象選定及び投資先の経営計画に対する精緻な精査、経営状況及び市場環境に対するモニタリングに努めております。

 

 

(7)海外事業展開
 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制・法規制動向、政治・経済情勢など情報収集に努めております。

 

(8)債権管理
 当社グループは取引先に対して、売掛金や貸付金等の債権を有しており、特に建築資材事業の工事物件につきましては、一取引における金額が大きい場合もあります。場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、取引先業況の情報収集、与信管理の徹底、債権保全等を行っております。

 

(9)環境規制等の影響
 当社グループでは環境保全を経営の最重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っておりますが、今後、環境等に関するさまざまな法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動に制約を受けたり、追加の設備投資、新たな費用及び債務が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、環境規制に関わる情報収集、環境保全に適合した製品開発に努めております。

 

(10)知的財産権
 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、当社保有の知的財産権の保全および他者の知的財産を侵害することのないように注意を払うことを徹底しております。

 

(11)疫病、災害、事故
 疫病の流行、地震や気候変動に起因する自然災害、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生し、当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、製造や物流設備等の破損、原材料やエネルギーの調達困難、必要要員の確保困難といった販売・生産能力の低下が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点を中心に火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。

 

 世界的に広がる新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大は、経済、社会活動において日を追うごとに深刻さを増しており、世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞等、内外経済が大きく減速することが懸念されております。

 当社グループへの事業に与える影響は現時点では軽微なものとなっておりますが、今後とも継続的に感染拡散防止、お客様と社員の健康・安全確保を最優先とし、事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めていきます。

 手洗い・うがい、マスク着用の徹底、出勤時の検温を行うなど従業員の健康・安全を考慮しています。また、不要不急の移動制限、集合形式の会議等の開催制限、WEB会議の推進等に加えて、営業拠点を中心とした時差出勤・在宅勤務の導入、生産拠点においては人と人との接触機会を可能な限り軽減する生産体制、シフト体制の見直しなど、感染拡散防止に努めています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国が好調に推移する中、米中貿易摩擦による不安定な状況が続いていました。国内経済においては雇用の改善がみられるものの、世界経済の減速を受けて製造業を中心に企業業績が悪化するなど、力強さに欠ける展開となりました。また、第4四半期に入り、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、各国における経済活動が抑制され、国内外ともに景気の停滞感が急速に強まりました。

このような環境の下、情報電子事業では減収の展開となりましたが、ライフサイエンス事業で日用品向包装材の拡販が寄与したこと、さらに建築資材事業で販売が好調だったことで、当社グループの売上は前年同期比で増収となりました。

損益面では、研究開発費等の固定費の増加に加え、情報電子事業の主力事業のプロテクトフィルムにおいてパネル業界の需要減退に伴う減収影響を大きく受けましたが、ライフサイエンス事業、建築資材事業における増収効果、海外子会社の収支改善などにより、前年同期比で営業利益、経常利益は増益となりました。一方、米国子会社で減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。

この結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,143億4百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益88億56百万円(前年同期比9.0%増)、経常利益90億62百万円(前年同期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益53億28百万円(前年同期比3.7%減)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

日用品向包装材で大容量の複数回詰替袋の拡販が大きく寄与しました。さらに、医薬・医療用包装材において、バイオ医薬品製造用シングルユースバッグ及び関連製品を中心に売上が増大したこと、液体容器、食品用包装材、その他商品販売においても売上を伸ばしたことなどから、事業全体として増収となりました。

この結果、売上高は565億34百万円(前年同期比3.3%増)となりました。

 

(情報電子事業)

情報記録用材については、パソコン・サーバー向け、スマートフォン向けが堅調に推移し、増収となりました。プロテクトフィルムでは、米中貿易摩擦が長期化する中、昨年度は駆け込み需要があり堅調に推移しましたが、その反動から今年度に入り需要が減退に転じるなど、売上は前年を下回る展開となりました。

 この結果、売上高は383億62百万円(前年同期比2.9%減)となりました。

 

(建築資材事業)

建材関連においては、空調用配管並びに集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の売上が増加したことに加え、煙突工事の売上も堅調に推移いたしました。土木関連についても、トンネル用資材の売上が増加いたしました。

 この結果、売上高は194億7百万円(前年同期比8.1%増)となりました。

 

 

 世界的に広がるCOVID-19感染拡大は、経済、社会活動において日を追うごとに深刻さを増しており、世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞等、内外経済が大きく減速することが懸念されております。

 当社グループへの事業に与える影響は現時点では軽微ですが、各セグメントへのCOVID-19の影響は次のとおりです。

事業区分

需要増

需要減

ライフ

サイエンス

消毒液、ハンドソープ等包装・容器

・インスタント、保存食等包装

・米国向け薬液バッグ

・バイオ医薬品培養バッグ

・業務用食品包装

・化粧品包装

・東南アジア医薬品包装

情報電子

・PC、モニター用偏光板プロテクトフィルム

・TV用偏光板プロテクトフィルム

建築資材

・建築資材

 

 収束時期が不透明であることから、今後COVID-19が事業へ与える影響については、予測が非常に困難なものになっております。

 予想される大きな影響としては、情報電子事業における主力事業である偏光板プロテクトフィルムは、液晶テレビ販売減からパネル業界における在庫調整影響等を受け、第2四半期に受注が減少する可能性があると予想しております。第3四半期以降は徐々に回復していくと想定しておりますが、COVID-19感染拡大が我々の想定以上の影響だった場合は、当社グループの業績にさらに大きな影響を与える可能性があります。

 

 財政状態については、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、売上債権などが減少しましたが、有形固定資産、有価証券などが増加したことにより、前年度末に対して3億1百万円増加の1,083億48百万円となりました。

 負債は、未払金が増加しましたが、仕入債務が減少したことなどにより、前年度末に対して44億92百万円減少の368億14百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前年度末に対して47億94百万円増加の715億33百万円となり、自己資本比率は61.4%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より9億19百万円減少して232億96百万円となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローへのCOVID-19の影響は軽微であります。

 

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、78億98百万円(前年同期は74億58百万円の収入)となりました。

 これは、仕入債務の減少、法人税等の支払などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益83億35百万円や減価償却費45億73百万円などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、67億75百万円(前年同期は55億73百万円の支出)となりました。

 これは、有形固定資産の取得67億13百万円などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、21億34百万円(前年同期は19億46百万円の支出)となりました。

 これは、配当金の支払、借入金の返済などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率(%)

59.8

55.7

56.5

57.7

61.4

時価ベースの自己資本比率(%)

56.9

61.1

68.8

53.5

51.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.7

0.4

0.4

0.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

637.9

162.2

280.6

228.8

149.8

(注)1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2. 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4. 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

45,152

1.2

情報電子(百万円)

37,462

△5.7

建築資材(百万円)

8,062

8.4

合計(百万円)

90,678

△1.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

10,957

4.0

情報電子(百万円)

579

27.4

建築資材(百万円)

11,409

7.5

合計(百万円)

22,946

6.2

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ライフサイエンス

58,299

5.8

12,191

16.9

情報電子

38,729

△2.4

3,788

10.7

建築資材

18,699

△11.6

6,756

△9.5

合計

115,727

△0.2

22,736

6.7

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

56,534

3.3

情報電子(百万円)

38,362

△2.9

建築資材(百万円)

19,407

8.1

合計(百万円)

114,304

1.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 当連結会計年度における売上高は、1,143億4百万円(前連結会計年度1,122億16百万円)となり、前連結会計年度比で20億88百万円増加いたしました。

 売上総利益は、249億32百万円(前連結会計年度238億77百万円)となり、前連結会計年度比で10億54百万円増加いたしました。売上総利益率は、前連結会計年度から0.5ポイント増加し、21.8%となりました。情報電子事業の主力事業のプロテクトフィルムでは需要減退に伴う減収影響があったものの、ライフサイエンス事業、建築資材事業、情報電子事業の中の情報記録用材での増収効果や、海外子会社の収支改善などの増益要因が上回り、売上総利益率も上昇いたしました。

 営業利益は、88億56百万円(前連結会計年度81億26百万円)となり、前連結会計年度比で7億30百万円増加いたしました。その結果、営業利益率は7.7%となりました。研究開発費の投入推進等により販売費及び一般管理費は増加したものの、売上総利益までの増益影響の方が上回ったことで、営業利益も増益となりました。

 経常利益は、90億62百万円(前連結会計年度85億19百万円)となり、前連結会計年度比で5億42百万円増加いたしました。その結果、経常利益率は7.9%となりました。営業外収支で為替差損2億19百万円の計上があったものの、営業利益までの増益影響の方が上回ったことで、経常利益も増益となりました。

 税金等調整前当期純利益は、83億35百万円(前連結会計年度85億28百万円)となり、前連結会計年度比で1億92百万円減少いたしました。その結果、税金等調整前当期純利益率は7.3%となりました。米国子会社で減損損失を計上したことなどにより、経常利益までの増益影響を上回る水準で特別収支が悪化したことで、税金等調整前当期純利益は減益となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、53億28百万円(前連結会計年度55億32百万円)となり、前連結会計年度比で2億3百万円減少いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益率は4.7%となりました。海外子会社の収支改善を主要因として税負担率が低下しましたが、税金等調整前当期純利益までの影響に加え、非支配株主に帰属する当期純利益が増加したことなどにより、減益となりました。

 

 なお、セグメント別の経営成績、財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)、株主重視の観点からROEを選定しております。

 2020年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

営業利益(百万円)

8,160

6,870

8,577

8,126

8,856

営業利益率(%)

8.5

7.0

7.9

7.2

7.7

ROA(総資産営業利益率)(%)

9.3

7.4

8.6

7.7

8.2

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

9.6

5.1

9.5

9.1

8.3

 

 当社グループの持続的な発展のため、既存の強固な基盤事業を軸に更なる業績向上を目指してまいります。

 また、更なる事業拡大に向けて、販売力の一層の強化、将来の成長・発展に向けた戦略的投資・研究開発力の拡充を継続して推進していきます。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

 主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります

 設備投資については、前年同期の50億33百万円から29億24百万円増加し、79億58百万円となりました。その主な内容は当社における建物及び機械装置を中心とした投資です。また重要な設備の新設計画として、情報電子事業の精密塗加工設備64億63百万円を予定しております。

 研究開発費は29億78百万円(前年同期比9.4%増)となり、売上高研究開発費比率は2.6%となりました。

 運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。

株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本とし、業績の伸展状況に応じて、配当性向・株主資本配当率等を勘案して実行してまいります。

 現時点においては、COVID-19感染拡大が当社グループの資金繰りに与える影響は軽微ですが、更なる感染拡大の影響から市況に大きな変動が生じた場合など、資金調達について柔軟に対応を進めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積もりを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。

 

・固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 なお、世界的に広がるCOVID-19の感染拡大は、経済、社会活動において日を追うごとに深刻さを増しており、世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞等、内外経済が大きく減速することが懸念されております。

 当期において、米国子会社で減損損失を計上しておりますが、医療用途の液体容器を主要製品として取り扱っ
ていることから、COVID-19の感染拡大は当該見積りに重要な影響を与えないと仮定しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、ライフサイエンス分野・情報電子分野において、当社の基盤技術であるコーティング技術及びラミネーティング技術等に、種々のソリューション技術を付加し「技術の複合化」を行うことにより、市場ニーズに対応した新技術・新製品の開発を通じて新たな価値を創出すべく、研究開発活動を推進しております。さらに基盤技術を拡大する為に国内外の大学・公的機関・民間機関との連携を強めております。

 中長期に向けての研究開発の方向性としてはライフサイエンス分野では「医薬/先端医療周辺・環境対応関連」、情報電子分野では「次世代ディスプレイ・エネルギー関連素材・情報端末」をターゲットとして、研究開発に取り組んでおります。

 研究開発体制として、市場・お客様からのウォンツ・ニーズ(潜在・顕在)をとらえ、当社の基盤技術を融合するソリューション技術、すなわち独創的な当社の「モノづくり」を通じた「コトづくり」により新たな価値を創生し、世の中に送り出しています。

 これに加えて、中長期的な新事業の創出のための活動として、将来予測をベースとした社会の変化を先取りし、独自にシーズテーマとして捉え、将来テーマの探索に注力しています。

 また、研究所には分析・評価の充実のために積極的な設備投資をおこなっています。単なる素材分析、不具合解析だけでなくZACROS保有技術の理論構築のための体制を強化しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の合計は、2,978百万円(前年同期比9.4%増)であります。

 各セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

 医薬周辺分野では、PTPの小児誤飲への対応と共に、高齢者が内容物を取り出し易い包装に対する社会的なニーズに対応した新製品開発を大学、企業と連携して行い、学会・論文投稿を行って外部の評価を得ると共に、広報活動を行っています。また、新たに基盤技術開発として機能性樹脂領域を位置づけ、高防湿・非吸着点眼容器の開発に着手してサンプル提供を開始しました。また成形が可能な超高防湿多層フィルムの開発に着手し、一部サンプル提供を開始したほか、薬液領域にもプロジェクトを展開し、注力しております。

 日用品向け包装材分野では、主力製品として差別化を進めてきた「詰替パウチ」において、消費者がより簡便に詰替え作業がおこなえる機能部品付きパウチの開発を継続しつつ、意匠性を高めた包装材と併せ、展示会への出展や雑誌への寄稿を行い情報発信に努めました。引き続きニーズの変化に対応し、新たな提供価値(コトづくり)開発に注力して参ります。

 先端医療分野では、血栓形成能測定装置「T-TAS® 01」を医療機器として開発を進め、2019年5月に欧州で上市し、2020年2月に米国FDAから医療機器承認を取得しました。さらに、「T-TASⓇ」後続製品群の開発も並行推進中で周辺ラインナップ拡大に取り組んでおります。また、神戸医療イノベーションセンター内に設置したサテライトラボにおいて、再生医療分野でのヒト幹細胞等の培養に関する研究開発を推進しております。

 

(情報電子事業)

 情報電子関連分野では、液晶ディスプレイに使用される偏光板向けの表面保護フィルムについて、偏光板の構成材料の変更が進んでおり、これに対応した、低汚染で剥離時の剥離帯電圧を低減した製品のラインナップを拡充しました。

 強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化、およびディスプレイ用途に対応した粘着剤を含めた粘着製品のラインナップを拡充しました。FPC(フレキシブルプリント回路基板)では高密度実装向け超薄膜カーバーレイフィルムを開発しました。

 エネルギー関連分野では、今後も更なる市場拡大が見込まれる電気自動車用リチウムイオンバッテリーをターゲットとして長期信頼性に特化した接着フィルムを新規に開発し、海外大手電池メーカーを中心にサンプル提供を開始致しました。さらに、将来の水素化社会を見据え、燃料電池用部材をはじめとする研究開発にも継続して取り組んでおります。

 

(建築資材事業)

 建材関連分野では、建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術を組合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります。