第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、『「包む価値」の創造を通じて、快適な社会の実現に貢献します』を理念としております。「包む価値」とは「未来を想うイノベーションで人々をやさしく、強く包みこむ」ことを示しており、グループ全体の力を結集し「コトづくり(Idea&Story)」と「モノづくり(Product&Service)」によって、広いフィールドで創造的成長に取り組むことを示したものです。

 当社はたゆまぬ技術革新と社会の求める新しい価値の創造に取り組み、全てのステークホルダーに信頼される「つよい、やさしい、おもしろい」企業を目指すことを経営方針とし、下記を設定しております。

・お客様とともに

 常に未来社会とお客様視点に立って行動し、お客様と共に価値を創り出します。

・従業員とともに

 個性を尊重し、一人ひとりの発想と行動力を活かします。

・お取引先様とともに

 透明で公正な取引により、相互の信頼関係を築き、すべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。

・株主の皆様とともに

 株主や投資家の皆様との対話を大切にし、信頼を得られるよう努めます。

 有形・無形の経営資源を最大限に活かし、持続的な企業価値の向上に努めます。

・社会と地球とともに

 法令遵守はもとより、高い倫理観にもとづいた事業活動を推進します。

 地球や社会が抱える様々な問題の解決に取り組みます。

 

(2)中長期の経営戦略等

 事業の発展と社会的責任が両立する姿を目指しながら、将来への布石となる挑戦と短期的な対応のバランスを考慮した事業活動を行っております。従来の枠を超えた発想と様々な角度からのアプローチ、さらにその活動を支える組織体制によって、ありたい姿への変革を推進いたします。

 当社グループでは2021年度から始まる3年間の中期計画を「ありたい姿へ向けたターニングポイント」として位置付けており、重点的に先行投資に資源を投下することによって、将来の事業ポートフォリオを発展させるとともに、持続可能な社会の実現に貢献する新たな製品やサービスを創造していきます。

 

①事業ポートフォリオの発展

 医薬医療分野、環境/エネルギー領域において大量培養や医療機器など、従来の延長線上とは異なる新たな事業を立上げることで、将来の事業ポートフォリオを発展させてまいります。

 また、既存事業については、

・地球環境問題、大容量高速通信、生活スタイルの変容など、時代の変化により変わるであろうニーズを先取りした製品、サービスの開発

・デジタルトランスフォーメーションによってビジネスモデルを進化させることで提供価値を高める

・グローバル展開では先進国と新興国などそれぞれの地域性やニーズに合わせた対応

 などにより収益構造の変革を推進いたします。

 

②地球環境にやさしい企業の実現

 生産プロセスの変革や自然エネルギーの活用、環境対応型の製品やシステム、サービスの開発を進め、下記の目標を達成いたします。

・低炭素社会への貢献…エネルギーを無駄なく利用する生産プロセスと製品開発によりCO2を削減

・循環型社会への貢献…資源を無駄なく利用し、生産プロセスで発生する廃棄物を削減

・自然共生社会への貢献…地球環境に調和した生産活動と製品開発により環境負荷物質を削減

 

③ブランドの強化

 当社グループの存在価値や姿勢を世の中に広く認知していただくため、「応えるを超える」を企業ブランドとして確立していきます。ステークホルダーの方々への訴求力、発信力を高めブランド力を強化することで、新たな領域での展開とグローバル展開を加速してまいります。

(3)経営環境及び当社グループの対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、日本における既存産業の成熟、グローバル市場における競争激化、ICT(IoT、AI、ロボティックスなど)やバイオサイエンスを軸とした科学技術の加速度的な進化、シェアリングサービスやリユース・リサイクルによるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への流れ、更に各産業におけるSDGsへの取組などにより、あらゆる分野で、産業パラダイムの変化が進んでいく転換期にあると認識しております。

 また、新型コロナウイルス(COVID-19)の継続的な影響に対して、事業と組織運営を持続させるための施策、取組に対応するとともに、COVID-19によってもたらされる社会、経済への変化を所与のものとした対応を講じていく必要があると考えております。

 このような経営環境認識のもと、当社では顧客の様々なニーズや期待に「応える」ことによる事業拡大はもちろんのこと、転換期を俯瞰的に見通して、先行的な投資により、期待やニーズを「超える」価値を創り上げて、能動的に提案していくことが重要であると考えております。

 

 なお、事業セグメントごとの事業戦略上の実行における重要な課題は以下のとおりです。

 

(ライフサイエンス事業)

・地球環境問題、生活スタイルや消費活動の変化に対応した価値創造(コト創り・モノ造り)活動の更なる強化と医療機器やバイオサイエンス領域での新事業創出

・新機能製品群や生産技術、品質保証プロセスなどの海外展開迅速化とエリア毎のニーズに的確、迅速に対応する地産地消型事業体制確立による海外事業展開の強化

・サステナブル社会への貢献を展望した環境配慮型製品・サービスの強化拡充と生産プロセスにおける省資源化、環境配慮型エネルギーへの切り替えなどCO2発生の抑制の継続と促進

 

(情報電子事業)

・ディスプレイ・大容量高速通信市場における粘着・剥離・コーティング技術等を軸とした新たな部材提供の事業展開

・東アジアへの更なる事業拡大を睨んだ海外におけるマーケティング及び開発強化

・太陽光発電導入等による自然エネルギー利用及び廃棄物削減、VOC削減等の環境対応へ取り組み

・電池・エネルギー領域における新事業化推進

 

(建築資材事業)

・省力化、スキルレスに寄与するソリューション開発

・トンネル工事現場をスマート化するシステム開発

・東西の2国内生産拠点による安定した供給体制の確立とサービスレベルの向上

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

   当社グループでは、下記の指標について重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます。

  ・営業利益

  ・営業利益率

  ・ROA(総資産営業利益率)

  ・ROE(自己資本当期純利益率)

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響
 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやゲーム機に使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、市場状況のモニタリング及び市場変化への迅速な対応、事業の多角化等に努めております。

 

(2)競合状況、価格動向
 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、一層の技術向上や顧客への信頼確保、競合に対する差別化に努めております。

 

(3)原材料の市況
 当社グループの販売する包装材や各種加工フィルムに使用される主要原材料は樹脂・フィルムといった各種のプラスチック製品であります。これらの原材料の価格は原油・ナフサなどの国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、主要原材料に関連する市況動向の情報収集、サプライヤーとの持続的な関係の構築、大きな変動が予想される際の原材料の先行購買等によるリスクヘッジに努めております。

 

(4)為替変動
 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、為替予約等によるリスクヘッジを行っております。

 

(5)設備投資に伴う影響
 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資計画時に想定されるリスクとその回避策を可能な限り検討した上で、採算性を分析し投資判断を行っています。また、工事進捗及び生産状況のモニタリング、財務体質の強化に努めております。

 

(6)M&A
 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資対象選定及び投資先の経営計画に対する精緻な精査、経営状況及び市場環境に対するモニタリングに努めております。

 

(7)海外事業展開
 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制・法規制動向、政治・経済情勢など情報収集に努めております。

 

(8)債権管理
 当社グループは取引先に対して売掛金等の債権を有しており、一取引における金額が大きい場合もあります。場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、取引先業況の情報収集、与信管理の徹底、債権保全等を行っております。

 

(9)環境規制等の影響
 当社グループでは環境保全を経営の最重要課題であると認識し、厳格な管理を徹底しつつ事業活動を行っておりますが、今後、環境等に関するさまざまな法的規制の強化あるいは社会的責任の要請等により、事業活動に制約を受けたり、追加の設備投資、新たな費用及び債務が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、環境規制に関わる情報収集、環境保全に適合した製品開発に努めております。

 

(10)知的財産権
 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、当社保有の知的財産権の保全および他者の知的財産を侵害することのないように注意を払うことを徹底しております。

 

(11)疫病、災害、事故
 疫病の流行、地震や気候変動に起因する自然災害、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生し、当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、製造や物流設備等の破損、原材料やエネルギーの調達困難、必要要員の確保困難といった販売・生産能力の低下が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点を中心に火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。

 

 世界的に広がる新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、我々の生活様式は一変しました。世界各国でワクチン接種などの対策がとられていますが、変異株の流行による感染再拡大の懸念もあり、いまだ収束は見通せず、内外の経済環境は今後とも先行き不透明な状況が続くと見込まれます。

 当社グループでは、引き続き感染の予防および拡散防止、お客様と社員の健康・安全確保を最優先とし、事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めていきます。

 手洗い・うがい、マスク着用の徹底、出勤時の検温を行うなど従業員の健康・安全を考慮しています。また、不要不急の移動制限、集合形式の会議等の開催制限、WEB会議の推進等に加えて、営業拠点を中心とした時差出勤・在宅勤務の導入、生産拠点においては人と人との接触機会を可能な限り軽減する生産体制、シフト体制の見直しなど、感染拡散防止に努めています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が各国に広がり、社会経済活動に大きな影響を与えました。一部ではワクチン接種が進むなどの動きがあるものの、変異株による感染が再拡大していることなどから、社会経済活動は今後しばらくは抑制される展開が続くと見込まれます。

このような環境の下、ライフサイエンス事業、建築資材事業の売上は前年をやや下回ったものの、情報電子事業ではプロテクトフィルム、情報記録用材が共に堅調に推移したことで増収となり、当社グループの売上は前年同期比で増収を確保いたしました。

損益面では、当社昭和事業所での新設機械稼働による減価償却費の増加、戦略費や研究開発費の投入、生産量増加に伴う人件費を中心とした固定費の増加等があったものの、増収効果の寄与、ITツールを効果的に活用したことなどによる経費削減、加えて海外子会社の収支改善に努めたことなどにより、前年同期比で増益となりました。

この結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,172億50百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益102億86百万円(前年同期比16.1%増)、経常利益107億8百万円(前年同期比18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益72億78百万円(前年同期比36.6%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

日用品向包装材では、大容量の複数回詰替袋の売上を着実に伸ばし増収となりました。食品用包装材では、外食産業向けの包装材を中心に受注が減少となりましたが、充填搬送システムの販売等があったことで売上は前年を上回りました。その一方、医薬・医療用包装材では、バイオ医薬品製造用シングルユースバッグ及び関連製品で売上が増大したものの、COVID-19による通院控えの影響を受けて医薬用剥離フィルムを中心に受注が減り減収となりました。また液体容器では前年第2四半期にスポット的な機械商品販売があったことに加え、米国子会社でCOVID-19の影響を受け業務用食品用途等の需要が冷え込んだことにより売上は前年を大きく下回り、事業全体として前期比微減の展開となりました。

この結果、売上高は563億76百万円(前年同期比0.3%減)となりました。

 

(情報電子事業)

プロテクトフィルムでは、巣ごもり需要の増加に伴い、日本、欧米各国においてテレビ販売が堅調に推移したことなどから受注が増加し、秋口より本格稼働した当社昭和事業所の新設機械による生産増も大きく寄与したことから、売上は前年を上回りました。情報記録用材では、タブレット・スマートフォン向けは下半期で売上が伸び悩んだものの、テレワークの拡大、そのインフラ整備の進捗を背景にパソコン・サーバー向けの販売が伸長し、増収となりました。

 この結果、売上高は416億円(前年同期比8.4%増)となりました。

 

(建築資材事業)

建材関連においては、集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の売上は堅調に推移しましたが、煙突工事並びに空調用配管の売上は減少しました。土木関連については、トンネル用資材の売上が増加いたしました。

 この結果、売上高は192億73百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

 

 

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

114,304

100.0

117,250

100.0

2,945

2.6

 

ライフサイエンス

56,534

49.5

56,376

48.1

△ 158

△ 0.3

 

情報電子

38,362

33.6

41,600

35.5

3,238

8.4

 

建築資材

19,407

17.0

19,273

16.4

△ 134

△ 0.7

営業利益

8,856

7.7

10,286

8.8

1,429

16.1

 

ライフサイエンス

2,993

5.3

3,780

6.7

787

26.3

 

情報電子

4,181

10.9

4,534

10.9

352

8.4

 

建築資材

1,681

8.7

1,971

10.2

289

17.2

 

 世界的に広がる新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、我々の生活様式は一変しました。

 このような環境の下、当社グループでは、引き続き感染の予防および拡散防止、お客様と社員の健康・安全確

を最優先とし、事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めていきます。

 事業活動においては、ITツールも活用した効率的かつ効果的な営業・マーケティング活動を進め、生産事業所においても社員の接触機会を可能な限り低減するなど感染防止を徹底しながら、更なる生産効率の向上に取り組みます。

 各セグメントへのCOVID-19の影響は次のとおりです。

事業区分

需要増

需要減

ライフ

サイエンス

・消毒液、ハンドソープ等包装・容器

・インスタント、保存食等包装

・米国向け薬液バッグ

・業務用食品包装/清酒容器

・化粧品包装

・東南アジア医薬品包装

・貼付薬用剥離フィルム

・検査用液体容器

情報電子

・PC、モニター用偏光板保護フィルム

・オフィス向けプリンタ関連

建築資材

・店舗改修工事用建築資材

 

 世界各国でワクチン接種などの対策がとられていますが、変異株の流行による感染再拡大の懸念もあり、いまだ収束は見通せず、内外の経済環境は今後とも先行き不透明な状況が続くと見込まれます。

 当連結会計年度の業績へのCOVID-19の影響は限定的なものに留まっておりますが、COVID-19感染影響が我々の想定以上の場合は、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

 財政状態については、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度末における総資産は、短期の有価証券が減少しましたが、現金及び預金や売上債権、有形固定資産が増加したことにより、前年度末に対して90億45百万円増加の1,173億93百万円となりました。

 負債は、未払金が減少しましたが、仕入債務や借入金が増加したことなどにより、前年度末に対して26億37百万円増加の394億51百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前年度末に対して64億7百万円増加の779億41百万円となり、自己資本比率は61.8%となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より9億82百万円増加して242億78百万円となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローへのCOVID-19の影響は軽微であります。

 

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、118億95百万円(前年同期は78億98百万円の収入)となりました。

 これは、売上債権の増加、法人税等の支払などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益106億7百万円や減価償却費49億28百万円などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、98億94百万円(前年同期は67億75百万円の支出)となりました。

 これは、有形固定資産の取得96億6百万円などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、8億6百万円(前年同期は21億34百万円の支出)となりました。

 これは、配当金の支払などの資金減少要因があったことによるものであります。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

自己資本比率(%)

55.7

56.5

57.7

61.4

61.8

時価ベースの自己資本比率(%)

61.1

68.8

53.5

51.4

73.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.7

0.4

0.4

0.4

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

162.2

280.6

228.8

149.8

512.0

(注)1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2. 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4. 営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

45,176

0.1

情報電子(百万円)

42,160

12.5

建築資材(百万円)

7,637

△5.3

合計(百万円)

94,973

4.7

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

11,335

3.5

情報電子(百万円)

95

△83.5

建築資材(百万円)

11,556

1.3

合計(百万円)

22,988

0.2

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ライフサイエンス

55,870

△4.2

11,684

△4.2

情報電子

40,683

5.0

2,871

△24.2

建築資材

22,544

20.6

10,027

48.4

合計

119,097

2.9

24,583

8.1

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

ライフサイエンス(百万円)

56,376

△0.3

情報電子(百万円)

41,600

8.4

建築資材(百万円)

19,273

△0.7

合計(百万円)

117,250

2.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 財政状態及び経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)、株主重視の観点からROEを選定しております。

 2021年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

営業利益(百万円)

6,870

8,577

8,126

8,856

10,286

営業利益率(%)

7.0

7.9

7.2

7.7

8.8

ROA(総資産営業利益率)(%)

7.4

8.6

7.7

8.2

9.1

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

5.1

9.5

9.1

8.3

10.5

 

 各事業とも増益となったことから営業利益は102億86百万円となり、前連結会計年度比で14億29百万円増加し、営業利益率は前年より1.0ポイント増の8.8%となりました。

 グローバル展開や設備投資を推進してきたことなどにより、債権・債務や固定資産の増加などから総資産は増加傾向にありますが、営業利益はその増加率を上回りROA(総資産営業利益率)は前年より0.9ポイント増加し9.1%となりました。

 また、営業外収支の改善に加え、前年に計上した米国子会社での減損損失が剥落したことなどにより親会社株主に帰属する当期純利益が増加し、ROE(自己資本当期利益率)については前年より2.2ポイント増の10.5%となりました。

 当社グループの持続的な発展に向けて、環境ニーズへの対応、変化の著しい情報通信産業への対応を推進すると同時に、医療・エネルギーなど新たな領域の事業化推進、新ビジネスの種の探索・創出に取り組み、将来の成長・発展に向け一層の戦略的投資・研究開発力の拡充を継続していきます。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

 主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります。

 設備投資については、前年同期の79億58百万円から6億97百万円増加し、86億56百万円となりました。その主な内容は当社における建物及び機械装置を中心とした投資です。

 研究開発費は30億38百万円(前年同期比2.0%増)となり、売上高研究開発費比率は2.6%となりました。

 運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。

株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本とし、業績の伸展状況に応じて、配当性向・株主資本配当率等を勘案して実行してまいります。

 現時点においては、COVID-19が当社グループの資金繰りに与える影響は軽微ですが、更なる感染拡大の影響から市況に大きな変動が生じた場合など、資金調達について柔軟に対応を進めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、ライフサイエンス分野・情報電子分野において、当社の基盤技術であるコーティング技術及びラミネーティング技術等に、種々のソリューション技術を付加し「技術の複合化」を行うことにより、市場ニーズに対応した新技術・新製品の開発を通じて新たな価値を創出すべく、研究開発活動を推進しております。さらに基盤技術を拡大する為に国内外の大学・公的機関・民間機関との連携を強めております。

 中長期に向けての研究開発の方向性としてはライフサイエンス分野では「医薬/先端医療周辺・環境対応関連」、情報電子分野では「次世代ディスプレイ・エネルギー関連素材・情報端末」をターゲットとして、研究開発に取り組んでおります。

 研究開発体制として、市場・お客様からのウォンツ・ニーズ(潜在・顕在)をとらえ、当社の基盤技術を融合するソリューション技術、すなわち独創的な当社の「モノづくり」を通じた「コトづくり」により新たな価値を創生し、世の中に送り出しています。

 これに加えて、中長期的な新事業の創出のための活動として、将来予測をベースとした社会の変化を先取りし、独自にシーズテーマとして捉え、将来テーマの探索に注力しています。

 また、研究所には分析・評価の充実のために積極的な設備投資をおこなっています。単なる素材分析、不具合解析だけでなくZACROS保有技術の理論構築のための体制を強化しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の合計は、3,038百万円(前年同期比2.0%増)であります。

 各セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(ライフサイエンス事業)

 医薬周辺分野では、少子高齢化などの社会背景を踏まえ、誤飲防止や取り出し易い包装など、社会的なニーズに対応した新製品開発を行っております。各種研究機関や大学との連携、企業との協業により新技術開発を連携して行ない、得られた成果は学会・論文投稿や展示会等の外部発表にて広報活動を行っています。

 日用品向け包装材分野では、環境対応包装の開発として、天然素材、モノマテリアル素材、バイオマス素材を用い、資源循環型社会に向けた製品開発を行っております。引き続き環境ニーズや生活様式の変化に対応した、新たな提供価値(コトづくり)開発に注力してまいります。

 先端医療分野では、血栓形成能解析装置「T-TAS® 01」を医療機器として開発を進め、2019年5月に欧州でCEマーク登録を完了のうえ上市。2020年2月には米国FDAから医療機器承認を取得し、上市いたしました。さらに、「T-TAS® 01」後続製品群の開発を並行して推進中で、周辺製品のラインナップ拡大に取り組んでおります。また、神戸医療イノベーションセンター内に設置したサテライトラボにおいて、再生医療の産業化と一般普及に不可欠となるヒト幹細胞等の大量培養に関する研究開発を複数の大学研究室や再生医療ベンチャー企業と推進しております。

 

(情報電子事業)

 情報電子関連分野では、液晶ディスプレイに使用される偏光板向けの表面保護フィルムについて、偏光板の構成材料および表面処理、使用方法の多様化が進んでおり、これに対応した剥離帯電圧を低減した製品のラインナップを拡充しております。

 強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化、各ディスプレイ用途に対応した粘着剤を含めた粘着製品、および5Gに対応したフィルム製品のラインナップを拡充いたしました。電子回路基板製品では、5G化により高周波による高速伝送の需要が高まる中、高周波領域で伝送損失が低い電子部材の開発に着手しております。

 エネルギー関連分野では、今後も更なる市場拡大が見込まれる電気自動車用リチウムイオンバッテリー用部材の開発を進めると共に、次世代電池と言われる各種電池用部材の研究をおこなっております。さらに、将来の水素化社会を見据え、燃料電池用部材をはじめとする研究開発にも継続して取り組んでまいります。

 

(建築資材事業)

 建材関連分野では、建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術を組合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります。