第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、一層の企業価値向上を目的に、経営理念の核となるZACROS GROUP CONCEPTを制定しました。ZACROS GROUP CONCEPTは、『「つつむ心」で寄り添い、なくてはならない豊かさへ。私たちは、次の世代に誇れる未来をつくり続けます。』というZACROS VISIONと、このVISIONを実現するための『応えるを、超える。』というZACROS ACTIONから構成されます。当社グループは新たなZACROS GROUP CONCEPTのもと、以下の4つの事業領域で、新しい豊かさをステークホルダーと共に探し、共につくり続けます。

 

(ウェルネス事業)

 身体と心の健康と安心を支える製品とサービス、先進技術の組み合わせで、生活のあらゆるシーンに寄り添い、一人ひとりの健やかな毎日を実現します。

 

(環境ソリューション事業)

 社会全体のムダ・ロス削減の取り組みを継続することで、循環型社会を共創し、持続可能な暮らしを実現します。

 

(情報電子事業)

 これからの社会が求める価値を創造し、素早く柔軟に提供し続けることで、人が生き生きと活動する超スマート社会に貢献します。

 

(建築・土木資材事業)

 設計から開発、施工までインフラへの責任ある関与で現場を支え、社会基盤の保全というあたり前の安心を担うことで、持続可能な社会の発展に貢献します。

 

(2)中長期の経営戦略等

 事業の発展と社会的責任が両立する姿を目指しながら、将来への布石となる挑戦と短期的な対応のバランスを考慮した事業活動を行っております。従来の枠を超えた発想と様々な角度からのアプローチ、さらにその活動を支える組織体制によって、ありたい姿への変革を推進いたします。

 当社グループでは2021年度から始まる3年間の中期計画を「ありたい姿へ向けたターニングポイント」として位置付けており、重点的に先行投資に資源を投下することによって、将来の事業ポートフォリオを発展させるとともに、持続可能な社会の実現に貢献する新たな製品やサービスを創造していきます。

 

① 事業ポートフォリオの発展

 医薬医療分野、環境/エネルギー領域において大量培養や医療機器など、従来の延長線上とは異なる新たな事業を立上げることで、将来の事業ポートフォリオを発展させてまいります。

 また、既存事業については、

・地球環境問題、大容量高速通信、生活スタイルの変容など、時代の変化により変わるであろうニーズを先取りした製品、サービスの開発

・デジタルトランスフォーメーションによってビジネスモデルを進化させることで提供価値を高める

・グローバル展開では先進国と新興国などそれぞれの地域性やニーズに合わせた対応

などにより収益構造の変革を推進いたします。

 

② 「次の世代に誇れる未来」をつくる企業の実現

 サステナブルな社会の実現に向け、気候変動への対応を推進するとともに石化由来原料依存からの脱却をめざし、生産プロセスの変革や自然エネルギーの活用、環境対応型の製品やシステム、サービスの開発を進め、2030年度までに下記の目標を達成いたします。

・低炭素社会への貢献…エネルギーを無駄なく利用する生産プロセスと製品開発によりCO2を削減(原単位50%減)

・循環型社会への貢献…資源を無駄なく利用し、生産プロセスで発生する廃棄物を削減(原単位30%減)

・自然共生社会への貢献…地球環境に調和した生産活動と製品開発により環境負荷物質を削減(原単位30%減)

 また、多様な人材が集い育つ組織づくりを目指して、会社と従業員が互いに活かしあう関係を構築し、ともに成長していく文化を創ってまいります。

 

③ グループブランドの強化

 当社グループの存在価値や姿勢を世の中に広く認知していただくため、新たなZACROS GROUP CONCEPTに基づき、多様なステークホルダーの方々への訴求力、発信力を高め、既存事業のグローバル展開・新たな事業領域への進出を加速してまいります。

 

(3)経営環境及び当社グループの対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、日本における既存産業の成熟、グローバル市場における競争激化、超スマート社会の実現に向けたICT(IоT、AI、ロボティックスなど)やバイオサイエンスを軸とした科学技術の加速度的な進化、シェアリングサービスやリユース・リサイクルによるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への流れ、更に各産業におけるSDGsへの取組などにより、あらゆる分野で、産業パラダイムの変化が進んでいく転換期にあると認識しております。

 また、新型コロナウイルス(COVID-19)の継続的な影響に対して、事業と組織運営を持続させるための施策、取組に対応するとともに、COVID-19によってもたらされる社会、経済への変化を所与のものとした対応を講じていく必要があると考えております。

 さらに原油価格の高騰に伴う原材料価格の上昇への対応も必要な状況です。

 このような経営環境認識のもと、当社では顧客の様々なニーズや期待に「応える」ことによる事業拡大はもちろんのこと、転換期を俯瞰的に見通して、先行的な投資により、期待やニーズを「超える」価値を創り上げて、能動的に提案していくことが重要であると考えております。

 事業セグメントごとの事業戦略上の実行における重要な課題は以下のとおりです。

 なお、原材料価格の上昇に対しては、事業セグメント共通して、原価低減や売価への転嫁などの施策を行い、その影響の低減を図ってまいります。

 

(ウェルネス事業)

 医療現場を支える医薬品の安定供給、患者のQOLを向上させるデバイスやシステムの開発に取り組みます。

・バイオ医薬品等製造用シングルユースバッグ及び関連製品BioPhaS®(バイファス)の増産体制の構築

・液体医薬包装MediTect™(メディテクト)の海外事業展開

・血栓症や出血リスクの低減を図る医療機器の事業化の推進

・細胞の大量培養プロセス技術の再生医療・遺伝子治療分野への用途展開及び事業化の推進

 

(環境ソリューション事業)

 今後ますます需要が高まる環境配慮製品の開発に加え、多様化が進む生活スタイル・消費活動の変化に適した資源循環システムの構築にも取り組みます。

・環境配慮パッケージのラインナップ拡充

・リサイクル時の環境負荷低減を実現するPEモノマテリアル軟包材の開発・拡販

・外部の団体、パートナー企業と協働した回収からリサイクルシステムの構築

 

(情報電子事業)

 高速大容量の通信インフラの整備への対応、通信データ容量及び速度の飛躍的な向上のキーマテリアルの開発と生産強化に注力します。

・パソコン及びサーバー向け情報記録用材の増産体制の強化

・5G配線基板の性能向上を実現する部材の開発

・次世代電池部材の開発

・次世代ディスプレイ部材のラインナップ拡充と高効率生産

 

(建築・土木資材事業)

 インフラの老朽化や異常気象による災害増加が予測される一方、建設業界は慢性的な人手不足であり、モノ(製品)だけでなく、サービス(ICT、構造計算、調査等)を付加価値として提案することを重視した事業展開に注力します。

・省力化、スキルレスに寄与するソリューション開発

・施工現場をスマート化するシステム開発

・東西の2国内生産拠点による安定した供給体制の確立とサービスレベルの向上

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、下記の指標について重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指していきます。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)電気・電子関連市場の影響

 当社グループにおいては、高度情報化社会の進展等に伴い、液晶ディスプレイ等に使用されるプロテクトフィルム(偏光板用プロテクト等)並びにパソコンやゲーム機に使用される情報記録用材の層間絶縁フィルムなどの生産・販売を行っております。従って、これら電気・電子関連市場での需要の急激な変動は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、市場状況のモニタリング及び市場変化への迅速な対応、事業の多角化等に努めております。

 

(2)競合状況、価格動向

 当社グループが属する業界は大手から中小まで、様々な企業が存在しております。現状の当社グループは独自の高い技術により優位に展開している分野もありますが、今後、競合他社が模倣あるいは独自の高い技術をもって当社のシェアを奪う可能性があります。競合状況の変化によって、価格やシェアが低下する場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、一層の技術向上や顧客への信頼確保、競合に対する差別化に努めております。

 

(3)原材料の価格変動及び調達

 当社グループが販売する包装材や各種加工フィルムに使用される原材料の価格は原油・ナフサ等の国際商品市況の影響を受けるものであり、今後の価格上昇や為替変動などが合理化、価格転嫁による吸収を超えるような場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、政策、国際情勢の変化等により需給バランスが崩れた場合など、必要な原材料が調達できない可能性があり、正常な生産ができないことにより売上の低下を招く可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、主要原材料に関連する市況動向の情報収集や先行購買、新たな素材や製造工法の開発、サプライヤーとの持続的な関係の構築等によるリスクヘッジに努めております。

 

(4)品質

 当社グループは高まる業界の要求品質に応えるため日々品質向上に努めておりますが、当社グループの製品に欠陥があった場合、賠償責任を負い当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、品質マネジメントシステムの認証・運用を行い日々品質改善に努めております。また、製造物責任賠償保険の付保等の備えを行っております。

 

(5)為替変動

 当社グループは製造・販売を海外にて展開している他、海外への外貨建ての販売・海外からの外貨建てによる資材調達を行っており、為替相場の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、為替予約等によるリスクヘッジを行っております。

 

(6)設備投資に伴う影響

 当社グループでは需要動向を検討した上で各部門の生産力強化及び差別化に資する設備投資を実施しており、今後も機に応じて必要と判断される投資を実施してまいります。このような設備投資には、市場環境の変化・設備コスト増大・工事遅延等による投資回収期間の長期化、償却費・資金調達費用の負担増大による収支悪化など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資計画時に想定されるリスクとその回避策を可能な限り検討した上で、採算性を分析し投資判断を行っております。また、工事進捗及び生産状況のモニタリング、財務体質の強化に努めております。

 

 

(7)M&A

 当社グループは、事業の成長を加速させる上で有効な手段となる場合、必要に応じて買収や事業提携を実施しております。しかし、市場環境・競争環境の著しい変化や計画通りに事業を展開することができなかった場合、事業提携による共同開発等の先行投資など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、投資対象選定及び投資先の経営計画に対する精緻な精査、経営状況及び市場環境に対するモニタリングに努めております。

 

(8)海外事業展開

 当社グループでは、製品の輸出入及び海外における現地生産、販売など、海外活動を展開しております。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予測しえない税制や法規制などの急激な変更、政治・経済情勢の混乱、テロ・紛争などの勃発、自然災害などによるリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、進出国の税制・法規制動向、政治・経済情勢など情報収集に努めております。

 

(9)債権管理

 当社グループは取引先に対して売掛金等の債権を有しており、一取引における金額が大きい場合もあります。場合によっては回収リスクが顕在化して、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、取引先業況の情報収集、与信管理の徹底、債権保全等を行っております。

 

(10)環境問題

 当社グループでは、環境保全を経営の最重要課題であると認識し、環境問題解決に向けさまざまな活動を行っております。世界的に気候変動や海洋プラスチックなどの環境問題解決に向け、カーボンニュートラルや石油由来のプラスチック使用量削減、循環型社会の実現など世界各国で環境負荷低減の取り組みが進んでおり、当社グループがそのような社会の要望に応えられない場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、世界各国の環境規制などにより事業活動に制約が生じる場合や、規制対応のため多額の設備投資や費用投入が必要となる場合も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは環境負荷低減の取り組みを事業の成長機会と捉え、環境対応へのニーズや環境規制に関する情報収集に努めると共に、生産プロセスの変革や自然エネルギーの活用、環境対応型の製品やシステム、サービスの開発を進めるなど積極的に環境問題解決に向けた活動に取り組んでまいります。

 

(11)知的財産権

 当社グループでは知的財産権の保全に努めておりますが、第三者からの侵害が発生し、当社グループの知的財産権が完全に保護されない状況が発生した場合、競争優位性が失われる可能性があります。また、知的財産権に関する第三者との間の紛争等により、損害賠償を請求されたり、当社グループの事業活動が制限されたりする可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、当社保有の知的財産権の保全および他者の知的財産を侵害することのないように注意を払うことを徹底しております。

 

(12)情報セキュリティ

 当社グループは製造、研究開発、販売活動等さまざまな事業活動においてDXを推進しており、情報システムの重要性は高まっております。一方、サイバー攻撃は巧妙化し急激に増加しております。当社グループの情報システムがサイバー攻撃や停電、自然災害、システム機器の故障等により事業の中断や機密情報の漏洩が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、障害対応やインシデント検知などの技術的な面での対策を様々に行っており、今後も最新動向を加味し強化を継続していく予定です。また、役員・従業員へのサイバー攻撃や情報セキュリティに関しての教育・啓蒙を行っております。

 

 

(13)コンプライアンス

 当社グループにおいて、役員、従業員にコンプライアンス違反があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。またグローバルな事業展開を進める中で各国の法令、税制、規制などの大幅な変更による費用の増加や事業活動の制限などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは当該リスクに対する取り組みとして、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、コンプライアンス体制の整備、維持、モニタリング及び改善を図り、役員、従業員に対し、コンプライアンスの周知、徹底を実施しております。

 

(14)疫病、災害、事故

 疫病の流行、地震や気候変動に起因する自然災害、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生し、当社グループ、関連資材メーカー、顧客等の生産設備や電力・物流等の社会インフラに重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、製造や物流設備等の破損、原材料やエネルギーの調達困難、必要要員の確保困難といった販売・生産能力の低下が当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 当社グループは安全第一の方針のもと、主要な事業拠点を中心に火災等の事故や大地震等の自然災害による損害を防止するため、設備の点検・安全対策を実施しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種が進んだことなどにより、社会経済活動が正常化に向かう局面もありましたが、感染力の強い変異株の出現、原材料価格の上昇、ウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱など、年度後半には再び不安定な状態となりました。

このような環境の下、環境ソリューション事業は収益認識基準の適用などにより減収となりましたが、情報電子事業はプロテクトフィルム、情報記録用材の販売が共に好調だったことで増収となりました。加えて、ウェルネス事業と建築・土木資材事業でも増収を確保したことから、当社グループの売上は前年同期比で増収となりました。

損益面では、原材料価格の上昇や人材補強に伴う固定費の増加、研究開発費や戦略費の投入があったものの、情報電子事業やウェルネス事業を中心とした増収効果などにより、前年同期比で増益となりました。

この結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,278億19百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益103億41百万円(前年同期比0.5%増)、経常利益111億2百万円(前年同期比3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益76億93百万円(前年同期比5.7%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、第2四半期連結会計期間より、当社グループ中期計画の強力な推進を目的とした会社組織の変更に伴い、報告セグメントを従来の「ライフサイエンス事業」、「情報電子事業」及び「建築・土木資材事業」の3区分から、「ウェルネス事業」、「環境ソリューション事業」、「情報電子事業」及び「建築・土木資材事業」の4区分に変更しております。

 以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

(ウェルネス事業)

医薬医療用包装材では海外子会社での売上が前年同期を大幅に上回り、さらにバイオ医薬品等製造用シングルユースバッグ及び関連製品の販売も引き続き好調であることから、事業全体として増収となりました。

 この結果、売上高は239億92百万円(前年同期比17.9%増)となりました。

 

(環境ソリューション事業)

液体容器では海外子会社を中心に売上を着実に伸ばし増収となり、また生活用品向包装材でも大容量の複数回つめかえ袋の売上が前年同期を上回りました。その一方、収益認識基準の適用に伴う売上減少影響に加え、食品用包装材では前年第1四半期にスポット的な充填搬送システム販売があったことから前年同期比で売上が減少し、事業全体として減収となりました。

 この結果、売上高は351億97百万円(前年同期比2.3%減)となりました。

 

(情報電子事業)

ディスプレイ関連において、プロテクトフィルムはテレビ画面の大型化に伴う市場拡大により受注が増加し、昨年度より本格稼働した当社昭和事業所の新設機械による生産増も大きく寄与したことから、売上は前年同期を上回りました。電子部材関連他においては、情報記録用材で、高速大容量の通信インフラ整備が進んでいることなどからパソコン・サーバー向けの販売が大きく伸長したことに加えて、タブレット・スマートフォン向けも底堅く推移したことなどから事業全体で増収となりました。

 この結果、売上高は485億70百万円(前年同期比16.8%増)となりました。

 

(建築・土木資材事業)

建築資材関連においては、収益認識基準の適用に伴う売上減少影響があったものの、煙突工事並びに空調用配管の売上が好調に推移したことに加え、集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の販売も前年を上回りました。土木資材関連については、トンネル用資材の売上が減少しました。

 この結果、売上高は200億58百万円(前年同期比4.1%増)となりました。

 

 

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

 

 

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

金額

(百万円)

売上高比率

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

117,250

100.0

127,819

100.0

10,568

9.0

 

ウェルネス

20,346

17.4

23,992

18.8

3,646

17.9

 

環境ソリューション

36,030

30.7

35,197

27.5

△833

△2.3

 

情報電子

41,600

35.5

48,570

38.0

6,970

16.8

 

建築・土木資材

19,273

16.4

20,058

15.7

785

4.1

営業利益

10,286

8.8

10,341

8.1

55

0.5

 

ウェルネス

1,395

6.9

2,107

8.8

712

51.0

 

環境ソリューション

2,384

6.6

1,785

5.1

△599

△25.1

 

情報電子

4,534

10.9

4,584

9.4

50

1.1

 

建築・土木資材

1,971

10.2

1,863

9.3

△107

△5.4

 

 財政状態については、次のとおりであります。

 

 当連結会計年度末における総資産は、投資有価証券等が減少しましたが、売上債権や棚卸資産、現金及び預金が増加したことにより、前年度末に対して99億76百万円増加の1,273億70百万円となりました。

 負債は、未払法人税等や借入金が減少しましたが、仕入債務が増加したことなどにより、前年度末に対して26億96百万円増加の421億48百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前年度末に対して72億79百万円増加の852億21百万円となり、自己資本比率は61.9%となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より38億70百万円増加して281億49百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、113億96百万円(前年同期は118億95百万円の収入)となりました。

 これは、法人税等の支払、棚卸資産の増加、売上債権の増加などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益111億16百万円、減価償却費53億69百万円、仕入債務の増加などの資金増加要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、51億80百万円(前年同期は98億94百万円の支出)となりました。

 これは、有形固定資産の取得51億16百万円などの資金減少要因があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、27億65百万円(前年同期は8億6百万円の支出)となりました。

 これは、配当金の支払や借入金の返済などの資金減少要因があったことによるものです。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

56.5

57.7

61.4

61.8

61.9

時価ベースの自己資本比率(%)

68.8

53.5

51.4

73.0

55.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

0.4

0.4

0.3

0.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

280.6

228.8

149.8

512.0

617.0

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率             自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率       株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ   営業キャッシュ・フロー÷利払い

2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

22,853

18.7

環境ソリューション(百万円)

26,458

2.1

情報電子(百万円)

47,698

13.1

建築・土木資材(百万円)

8,710

14.1

合計(百万円)

105,721

11.3

 (注)金額は販売価格によっております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

1,181

6.2

環境ソリューション(百万円)

9,134

△10.7

情報電子(百万円)

1,270

建築・土木資材(百万円)

11,519

△0.3

合計(百万円)

23,105

0.5

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ウェルネス

26,193

30.5

8,263

36.3

環境ソリューション

35,213

△1.6

5,637

0.3

情報電子

48,560

19.4

2,861

△0.4

建築・土木資材

20,843

△7.5

10,812

7.8

合計

130,811

9.8

27,575

12.2

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ウェルネス(百万円)

23,992

17.9

環境ソリューション(百万円)

35,197

△2.3

情報電子(百万円)

48,570

16.8

建築・土木資材(百万円)

20,058

4.1

合計(百万円)

127,819

9.0

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

 財政状態及び経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。

・営業利益

・営業利益率

・ROA(総資産営業利益率)

・ROE(自己資本当期純利益率)

 企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)、株主重視の観点からROEを選定しております。

 2022年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

営業利益(百万円)

8,577

8,126

8,856

10,286

10,341

営業利益率(%)

7.9

7.2

7.7

8.8

8.1

ROA(総資産営業利益率)(%)

8.6

7.7

8.2

9.1

8.5

ROE(自己資本当期純利益率)(%)

9.5

9.1

8.3

10.5

10.2

 

 原材料価格の上昇や人材補強に伴う固定費の増加、研究開発費や戦略費の投入があったものの、情報電子事業やウェルネス事業を中心とした増収効果などにより営業利益は103億41百万円となり、前連結会計年度比で55百万円増加し、営業利益率は前年より0.7%減の8.1%となりました。

 事業拡大に伴う債権・債務の増加などから総資産は増加傾向にあり、営業利益はその増加率を下回ったことで、ROA(総資産営業利益率)は前年より0.7%減少し8.5%となりました。

 また、営業外収支の改善や、税制優遇措置を活用して法人税等を抑制したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は76億93百万円となり前連結会計年度比で4億14百万円増加しましたが、その増加率よりも自己資本の増加率が上回り、ROE(自己資本当期純利益率)については前年より0.3%減少し10.2%となりました。

 当社グループの持続的な発展に向けて、環境ニーズへの対応、変化の著しい情報通信産業への対応を推進すると同時に、医療・エネルギーなど新たな領域の事業化推進、新ビジネスの種の探索・創出に取り組み、将来の成長・発展に向け一層の戦略的投資・研究開発力の拡充を継続していきます。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 

 主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります。

 設備投資については、前年同期の86億56百万円から32億20百万円減少し、54億36百万円となりました。その主な内容は当社における建物及び機械装置を中心とした投資です。

 研究開発費は35億45百万円(前年同期比16.7%増)となり、売上高研究開発費比率は2.8%となりました。

 運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。

株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本とし、業績の伸展状況に応じて、配当性向・株主資本配当率等を勘案して実行してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、ウェルネス分野、環境ソリューション分野、情報電子分野、建築・土木資材関連分野において、当社の基盤技術であるコーティング技術及びラミネーティング技術等に、種々のソリューション技術を付加した「技術の複合化」によって、市場ニーズに対応した新技術・新製品の開発を推進しております。さらに基盤技術を拡大するために国内外の大学・公的機関・民間機関との連携を強めております。

 中長期に向けての研究開発の方向性として、ウェルネス分野では「医薬/先端医療周辺のデバイスやシステム」、環境ソリューション分野では「環境に配慮した包装や容器とその素材」、情報電子分野では「次世代ディスプレイや半導体、エネルギー関連素材のキーマテリアル」、建築・土木資材関連分野では「建設現場のスマート化する製品やシステム」をターゲットとして、研究開発に取り組んでおります。

 研究開発体制として、市場・お客様からのウォンツ・ニーズ(潜在・顕在)をとらえ、当社の基盤技術を融合するソリューション技術、すなわち独創的な当社の「モノづくり」を通じた「コトづくり」により新たな価値を創生し、世の中に送り出しております。

 これに加えて、中長期的な新事業の創出のための活動として、将来予測をベースとした社会の変化を先取りし、独自にシーズテーマとして捉え、将来テーマの探索に注力しております。

 また、研究所には分析・評価の充実のために積極的な設備投資を行っております。単なる素材分析、不具合解析だけでなくZACROS保有技術の理論構築のための体制を強化しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の合計は、3,545百万円(前年同期比16.7%増)であります。

 各セグメント別の主な研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(ウェルネス事業)

 医薬周辺分野では、少子高齢化や在宅医療の拡大などの社会背景を踏まえ、薬の品質保持に寄与する包装などQOLの向上に対応した新製品開発を行っております。各種研究機関や大学との連携、企業との協業により新技術開発を連携して行い、得られた成果は学会・論文投稿や展示会等の外部発表にて広報活動を行っております。

 先端医療分野では、血栓形成能解析装置「T-TAS® 01」を医療機器として開発を進め、2019年5月に欧州でCEマーク登録を完了のうえ上市。2020年2月には米国FDAから医療機器承認を取得し、上市いたしました。さらに、「T-TAS® 01」後続製品群の開発を並行して推進中で、周辺製品のラインナップ拡大に取り組んでおります。また、神戸医療イノベーションセンター内に設置したサテライトラボにおいて、再生医療の産業化と一般普及に不可欠となるヒト幹細胞等の大量培養に関する研究開発を複数の大学研究室や再生医療ベンチャー企業と推進しております。

 

(環境ソリューション事業)

 今後ますます地球環境保護と環境改善への貢献が求められるなか、サーキュラーエコノミーの軸に加え、ネガティブエミッション技術による地球環境改善の軸にもスコープし、天然素材やバイオマス素材に加え、リサイクル時の環境負荷低減を実現するポリエチレンモノマテリアル軟包材などの開発を推進し、環境配慮製品のラインナップを拡充していきます。また、多様化が進む生活スタイル・消費活動の変化に対応するため、外部の団体、パートナー企業と協働し回収からリサイクルまでの資源循環システム等の構築に取り組みます。引き続き環境ニーズや生活様式の変化に対応した、新たな提供価値(コトづくり)開発に注力してまいります。

 

(情報電子事業)

 情報電子関連分野では、液晶ディスプレイに使用される偏光板向けの表面保護フィルムについて、偏光板の構成材料および表面処理、使用方法の多様化が進んでおり、これに対応した低汚染で剥離帯電圧を低減した製品のラインナップを拡充しております。

 強粘着製品では、液晶ディスプレイの薄膜化、高機能化、各ディスプレイ用途に対応した粘着剤を含めた粘着製品、および5Gに対応したフィルム製品のラインナップを拡充いたしました。電子回路基板製品では、5G化により高周波による高速伝送の需要が高まる中、高周波領域で伝送損失が低い電子部材の開発に着手しております。

 エネルギー関連分野では、今後も更なる市場拡大が見込まれる電気自動車用リチウムイオンバッテリー用部材の開発を進めると共に、次世代電池と言われる各種電池用部材の研究を行っております。さらに、将来の水素化社会を見据え、燃料電池用部材をはじめとする研究開発にも継続して取り組んでまいります。

 

(建築・土木資材事業)

 建築・土木資材関連分野では、建設従事者の不足が深刻化する中で、当社グループの保有する技術を組み合わせ、省力化と共に品質及び施工性の向上に寄与する製品開発及び工法改良に取り組んでおります。近年は施工現場をスマート化するシステム開発にも注力しており、ICT技術を活用した、「fair-system®」「QCsmart」「fair-stock」等のシステムを上市いたしました。今後も現場の省力化と省人化、また安全性の向上に貢献する開発を行ってまいります。