第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

 当社グループは、真空薄膜技術のプロフェッショナルとして、お客様へ高品質・高付加価値の製品とサービスを提供し、ものづくりとテクノロジーのさらなる発展に寄与することで自らの企業価値を高めてまいります。

 現在、当社グループが提供する薄膜技術は、タッチパネルやディスプレイのみならず、様々な製品において、調光・調温性、導電性、装飾性などの機能付加、高い品質と精度、カスタマイズ性などで、多くの産業、お客様から支持をいただいております。

 当社グループは、今後とも真空薄膜技術によるソリューション・カンパニーとして豊かな社会と未来の創造の実現に貢献し、株主の皆様やお客様から高い信頼と評価を得られるよう、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営戦略

 中期的方針

 「薄膜・加工の技術とビジネスを極める」を行動理念とし、お客さまの声に耳を傾けながら、加速度的に技術が飛躍していく時代に価値ある薄膜と加工技術の提供、また、受託対応にとどまらずサプライチェーン全体をカバーしたトータルソルーションの提供を通じて、お客さまへの「価値の創造」を目指してまいります。

 中期的施策

 ① 製品・市場ポートフォリオ改革による事業領域の拡大

・スマートフォン市場への過度な依存からの脱却

・車載市場、産業分野などディスプレイ、モバイル市場以外への展開

 ② ビジネスモデル変革による業容の拡大

・顧客ソリューションを基軸とする新たなビジネスモデルの構築

・受託対応にとどまらない、全工程へのトータルソルーションの提供

 ③ 当社強みであるコア技術を基軸とした持続的成長

・コア技術の更なる追求と周辺技術の融合による新たな価値の創造

・試作対応、技術マネジメント強化による新たな技術の開拓

・次世代製品の製品化による新たな収益基盤の確立

・弛まぬ改善活動・生産性向上による安定的収益の確保

 ④ 戦略・施策を確実に実行していく組織・仕組みの強化

・マーケティング強化による新たな市場の開拓

・全ての社員がビジョンや戦略を共有し得る環境整備

・創造力と行動力を発揮できる組織形成

・社員のやる気と強みを伸ばすコンピテンシーの醸成とそれに沿った人財育成と評価制度向上

 ⑤ 企業の社会的責任を遂行する経営管理体制

・コーポレート・ガバナンス、内部統制の強化

・CSRに沿うバランスのとれた企業活動の推進

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 当社グループの主力製品が関連する中小型FPD市場において、中国における景気減速やスマートフォンのライフサイクルの長期化によりスマートフォン全体の需要が減速したこと、ハイエンドスマートフォンに搭載されるディスプレイパネルにおいて有機ELパネルの搭載比率が増加したことにより、液晶パネルに関連する需要が低迷したことから厳しい状況で推移しております。

 このような環境のもと、当社が得意とする中小型液晶ディスプレイにおいては、車載向けディスプレイなどモバイル機器以外への用途展開や、車載用途、産業用途、半導体など中小型液晶ディスプレイ以外の市場への展開を推し進めてまいります。

 また、従来の受託薄膜加工ビジネスにととまらず、川上、川下の加工、組み立てなど、全工程でソリューションの提案を行い業容の拡大にも努めていくとともに、マーケティングや技術開発の強化、生産性の向上、品質の安定化に努め競争力を維持し、さらなる業績の向上に努めてまいります。

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)特定製品への依存度について

 当社グループ主力製品は、スマートフォンへの依存度が高く、これらの製品の需要動向が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、スマートフォンなどで関連する当社グループ主力製品は、液晶パネルとの関連が高く、有機ELパネルなど、他のディスプレイパネルの搭載動向が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります

(2)海外メーカーとの競合について

 当社グループの主力製品であるFPD用基板及び光学機器用部品において、中国や台湾など海外メーカーの台頭により競合製品がより低価格で供給され価格競争が激化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(3)原材料価格の変動について

 当社グループの主力製品は、希少金属であるインジウムを原材料としております。原材料価格は市況により変動していることから、原材料価格の高騰により仕入価格が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(4)地震等の災害について

 当社グループは国内外の各生産拠点において、地震を含めた防災対策を実施しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができております。しかしながら、想定を越える大規模な災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資の増加や個人消費の緩やかな回復など底堅さは見られるものの、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の混迷など日本経済に与える影響が懸念されており、先行きは不透明感が増している状況にあります。

 このような環境の中、当社グループを取り巻く事業環境は、当社の主力製品が関連する中小型フラットパネルディスプレイ(FPD)市場において、中国における景気減速やスマートフォンのライフサイクルの長期化によりスマートフォン全体の需要が減速したことや、ハイエンドスマートフォンに搭載されるディスプレイパネルにおいて有機ELパネルの搭載比率が増加したことにより、液晶パネルに関連する需要が低迷したことから厳しい状況で推移いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,202百万円減少し、22,558百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ288百万円増加し、7,840百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,491百万円減少の14,717百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は65.2%、1株当たり純資産額は1,860円59銭となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は、6,286百万円(前期比10.8%減)となりました。損益につきましては、当社グループを取り巻く事業環境が厳しい中、経費削減など収益の改善に取り組みましたが、FPD用基板向け売上高が大幅に減少したことなどから営業損失は501百万円(前期は96百万円の営業利益)、経常損失は428百万円(前期は98百万円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、連結子会社である吉奥馬科技(無錫)有限公司において、中国スマートフォン市場の減速など事業環境の変化を踏まえ今後の回収可能性を検討した結果、同社が保有する固定資産について減損損失500百万円を特別損失に、また、国内においては宮城県金成地区の集約化を進めた結果、金成テクノセンターが遊休状態となったことから、同施設の固定資産について減損損失81百万円を特別損失に計上したことなどから、1,020百万円(前期は79百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 品目別の状況は次のとおりであります。なお、当社グループは、真空成膜関連製品等の製造、販売を行う単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

(FPD用基板)

 スマートフォン向け液晶パネル用帯電防止膜は、米国スマートフォンメーカー向けなど安定的に推移しましたが、タッチパネル用透明導電膜は、中国スマートフォンメーカー向けや、カーナビゲーション向けで市場の伸びが鈍化する中、受注が大幅に縮小したことから厳しい状況で推移いたしました。

 この結果、売上高は3,205百万円(前期比23.3%減)となりました。

(その他)

 その他製品につきましては、多種多様な製品・分野向けに薄膜製品の販売活動に取り組んだ結果、カバーパネル向け反射防止・防汚膜やプロジェクター向け光学膜の受注が増加いたしました。

 この結果、売上高は3,081百万円(前期比7.4%増)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ862百万円減少し、8,538百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は121百万円(前期比87.7%減)となりました。

 これは主に、減価償却費461百万円、減損損失581百万円などの非資金費用があったものの、税金等調整前当期純損益が1,007百万円の大幅な損失となったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は790百万円(前期比135.1%増)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出784百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は145百万円(前期比81.2%減)となりました。

 これは主に、長期借入れによる収入800百万円があったものの、長期借入金の返済による支出695百万円及び配当金の支払額237百万円があったことなどによるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、真空成膜関連製品等の製造、販売を行う単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

FPD用基板

3,207,159

77.2

その他

3,010,454

107.9

合計

6,217,614

89.5

 (注)1.金額は販売価額によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

FPD用基板

3,121,401

75.3

216,872

72.1

その他

3,151,244

109.1

341,052

125.7

合計

6,272,645

89.2

557,925

97.5

 (注)1.金額は販売価額によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

FPD用基板

3,205,276

76.7

その他

3,081,613

107.4

合計

6,286,890

89.2

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

シャープ㈱

1,451,624

20.6

1,269,036

20.2

㈱ジャパンディスプレイ

1,678,952

23.8

609,882

9.7

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績やその時点での情報に基づき合理的に判断しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比で1,202百万円減少し、22,558百万円となりました

 流動資産は、主に現金及び預金が762百万円減少したことにより、前連結会計年度末比で849百万円減少の17,059百万円となりました。固定資産は、主に有形固定資産が235百万円減少したことにより、前連結会計年度末比で353百万円減少の5,498百万円となりました。

(負債合計)

 負債合計は、前連結会計年度末比で288百万円増加し、7,840百万円となりました。流動負債は、主に支払手形及び買掛金が178百万円増加したことにより、前連結会計年度末比124百万円増加の6,716百万円となりました。固定負債は、主に長期借入金が168百万円増加したことにより、前連結会計年度末比で164百万円増加の1,124百万円となりました。

(純資産合計)

 純資産合計は、主に利益剰余金が1,257百万円減少したことにより、前連結会計年度末比で1,491百万円減少の14,717百万円となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ759百万円減少し、6,286百万円(前期比10.8%減)となりました。品目別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業損失は、501百万円(前期は96百万円の営業利益)となりました。

 当社グループ製品の主力市場であるスマートフォン市場の減速により事業環境が厳しさを増す中、スマートフォン以外の市場への展開を進めてまいりましたが、徐々に成果を上げつつあるもののスマートフォン向け売上の落ち込みをカバーするには至らず大幅な営業赤字となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の経常損失は、428百万円(前期は98百万円の経常利益)となりました。

 為替差損40百万円を計上した前連結会計年度から当連結会計年度は35百万円の為替差益へと転じたことにより営業外収支は前期に比べ70百万円の改善となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、1,020百万円(前期は79百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 これは主に、連結子会社である吉奥馬科技(無錫)有限公司において減損損失500百万円、当社金成テクノセンターの減損損失81百万円を特別損失に計上したことによるものであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要と生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期資金需要であります。

 当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを基本方針としております。運転資金需要には自己資金及び金融機関からの短期借入により、また、設備投資などの長期資金需要に対しては、主に金融機関からの長期借入を基本としております。

 当面の設備投資資金につきましては、金融機関からの長期借入により調達することとし、手元流動性は経営環境の変化に備えて十分確保するとともに、当社グループの新たな収益源への投資も引き続き検討してまいります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

(1) 研究開発活動の体制

 当社の研究開発活動は、新製品及び要素技術の開発及び既存製品の改良・改善を技術部が中心となって活動し、また、製造設備の開発を技術部、施設部の2部門が密接に連携を取りながら担当しております。開発テーマの重要性に応じて上記2部門の他、営業部、マーケティング部を含めプロジェクトチームを編成し、効率的に新たな技術や製品開発に取り組んでおります。

 また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクト、共同研究も技術部が中心となり推進しております。

(2) 研究開発活動の方針

 当社は、「真空成膜技術」をコア技術とした事業による、企業価値の追求、社会への貢献を使命としております。そのために、研究開発部門はFPD、光学機器用部品関連を中心に、車載、エネルギーや薄膜デバイス関連の幅広い分野への「真空成膜技術」の応用、真空成膜の前後工程を含めた要素技術開発並びに新製品の提供等を継続し続けることを基本方針としております。

(3)研究開発活動における当連結会計年度の主要課題

 当社グループは、真空成膜関連製品等の製造、販売を行う単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

(FPD用基板)

①静電容量タッチパネル(インセル方式)向け高抵抗導電膜の量産技術確立

②パターニング・リフトオフ加工の高精細化技術の開発

③メタルメッシュを適用した静電容量タッチパネル(アウトセル型)量産化技術確立

④ポリイミド上に形成する電子デバイス用固定膜(LLO膜)技術の確立

(その他)

①車載向け反射防止膜の量産化技術確立

②車載向け低反射透明導電膜の技術開発

③車載向け電磁波防止機能付きカバーパネル技術開発

④円筒内部を含めた異形品への成膜加工技術の開発

⑤低反射フィルム(g.moth)の生産技術確立

⑥異形材料のパターニング加工技術の開発

⑦赤外透過型面発熱ヒーターの開発

⑧高耐久性の超撥水膜・親水膜の開発とその応用製品の開発

⑨高滑落性機能膜の開発とその応用製品の開発

⑩各種センサーデバイスの開発

⑪バイオ・メディカル機器向け製品開発

⑫静電容量型タッチスイッチの開発

⑬ヒーターの成膜及び周辺加工技術開発とその応用製品の開発

⑭ファンアウトレベルパッケージ用の微細回路形成材料(HRDP)の量産技術開発

⑮高出力レーザー向けレンズの開発

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は364百万円であります。