(1) 経営方針
当社は社会における存在意義として、「薄膜と生産技術のプロとして、社会の進歩に貢献する」ことを自らの使命と定め、在りたい姿として「新たな価値を共に実現する会社」「生産技術主導の会社」を目指しております。
当社はこれまで「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の戦略に基づき、薄膜技術の強化を通じた成長を図ってまいりました。今後は、こうした経営志向をさらに発展させ、従来の薄膜技術に加え、顧客ニーズに応じた生産技術の強化と経営資源の最大限の活用により、顧客の利便性および当社の収益性の向上を目指す「薄膜技術+生産技術」という当社の強みを活かし、持続的な企業成長に取り組んでまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
経営環境
今後の経済見通しにつきましては、景気は引き続き緩やかな回復傾向にあるものの、地政学的な緊張や米国の貿易政策による国内経済への影響が懸念されることから先行きは依然不透明な状況が続いており、当社の主力製品である薄膜製品は、最終製品の需要動向やサプライチェーンの変化に大きく左右されるものと予測されます。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)、人工知能(AI)、ロボティクスの進展により、ビジネスモデルや産業構造そのものが大きく変革され、生産性の向上など、経済全体にも大きな影響を及ぼすことが期待されます。
対処すべき課題
現在、当社が認識している課題と対策は以下の通りです。
①コア事業の強化
当社の主力製品であるディスプレイなどの薄膜加工製品については、既存設備を有効に活用するとともに、原価低減と価格戦略の見直しを進めることで、収益性および資産効率の改善を図っております。
②戦略事業、新規事業の強化
成長が期待される製品・市場に向けて、これまで培ってきた薄膜技術および生産技術を活かし、顧客に対して高い利便性を提供することで事業の拡大と収益性の向上に取り組んでおります。
③人的資本の強化
教育制度および評価制度の整備を進め、あるべき姿の実現に向けた人材の確保と組織能力の向上に取り組んでおります。また、社員がいきいきと活躍できる職場環境の整備を目指し、企業風土改革にも継続して取り組んでおります。
④経営基盤の強化
経営の高度化を実現するため、デジタル基盤の強化を進めております。あわせて、財務基盤の安定と資本効率の向上を図りつつ、成長領域への戦略的投資を推進しております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社を取り巻くサステナビリティに関するリスク及び機会とその対策案は、経営会議など社内執行会議体で審議され、重要課題については取締役会に付議・報告されます。
また、サステナビリティ課題への対応は、経営層から各種社内会議体などを通じて、実行組織として展開されます。
サステナビリティに関連するガバナンス体制図は次のとおりであります。
(2)リスク管理
当社では事業に重大な影響を与える事態の発生防止と、万一の発生時の損害・影響の最小化並びに事業の継続性及び事業の適正性の確保を目的に、リスク管理規程を定めています。
これに則りリスク全般を可視化し、重要度を分類したうえで予防と発生時の対策の整備を行い、対策の実施状況に対する担当取締役の監視とレビューを実施しております。
気候変動、人的資本などサステナビリティに関する主要なリスク及び機会については、リスクカテゴリーごとの主管部門が関連するリスク及び機会についての認識に努め、必要に応じ適切な会議体において確認評価し、その対応方針を審議・決定しております。
(3)戦略
①人的資本
当社は、「薄膜と生産技術のプロとして、社会の進歩に貢献する」ことを企業理念として掲げております。私たちが提供する薄膜製品は、人々の暮らしを支え、豊かにしうるものです。モノづくりとテクノロジーの発展に寄与し、社会へ貢献することを第一義とし、時代のニーズを捉え、応えていくことが結果として企業の成長につながると考えています。成長の実現を目指すためには、全ての社員が組織と相互に信頼関係で結ばれ、薄膜と生産技術のプロとしての自信と誇りを持ち、自律的に楽しく活き活きと働く事で成り立つと考えており、属性にとらわれず相手を尊重し建設的な意見を話し合える組織とすることを人材戦略の基本的な考え方としています。
・人材の採用
事業計画との整合をとりながら、必要な時に必要な人材を採用する考え方のもと、国籍・性別にとらわれず各個人の能力にもとづく採用を進めています。モノづくりに魅力を持ち、高いコミュニケーション能力を発揮し、多様なステークホルダーとの継ぎ手となることの意識を有する人材、より高い次元を目指す人材を積極的に採用しています。
・企業風土改革
VUCAといわれる環境下において、企業が健全に成長するためには従業員のエンゲージメントを向上することが大事であることから、社長からの定期的な講話の実施、経営と従業員の対話の場を設定しています。また、2020年に「自らの仕事に熱意と誇りをもって、自律的に楽しく活き活きと働いている組織」を目指し、全社員参加の風土改革プロジェクトを設立し、信頼関係を構築する場づくり、コミュニケーションスキルの向上などの活動を継続的に行っております。この活動を発展させ2024年には社内サーベイをもとに設定した「チャレンジする社風をつくる」というテーマのもと、教育や人事制度についての改訂を行いました。今後も若手社員の問題意識(課題)の解消につなげるよう更に整備してまいります。
・人材の育成
会社の方針を理解・共有し、自発的に行動する。自らを律し、その結果に責任を負う。物事の本質を見極めるために見識を深め、視野を広げる。人智を活かし、常に価値を生む工夫を行う。そのような人材を育成するために、当社では、全階層(社員)を対象とした「コミュニケーション」、業務経験を通じて育成する「実務経験」、社内外での研修等により培う「専門能力」の三本柱を軸とした習得プログラムを提供しています。
(コミュニケーション)
1on1面談を実施し成長促進を図るためにも適切なコミュニケーション能力が必要であり、セルフマネジメント、コーチング、ファシリテーション、伝え・聞く・読み解く、など外部講師からの学びをもとに実践して定着を図っています。1on1面談の実施状況を毎月モニタリングし、1on1面談に対する意識やモチベーションを維持向上する取り組みを実施しています。
(実務経験)
人材育成の中核となるもので、各部門での導入研修やOJTに加え、階層が変わるごとに行うエントリー研修を対象者全員に実施しています。社内公募制度やスキルプランの作成支援を行なっており、現在はキャリアパスの再整備に取り組み、本人の希望や適性に応じるジョブローテーションや自己申告制度等の仕組みを整備しています。
(専門能力)
社員個々人のキャリア段階に応じ実施する階層別教育や、ビジネス基本スキル習得プログラム、そして部門毎に必要なスキルを段階的に学ぶ、社内外の研修への参加、資格取得支援制度を設けております。必修・自己啓発に対応した各種通信教育やeラーニングを職群に応じ階層別に整理し利用の促進を図ります。社員が自らの意思で積極的に専門知識や最新の情報を吸収し、広い視野や自由な発想が得られるよう環境の整備を進めており、その一環として資格手当や合格報奨金制度など新たな資格取得支援制度を導入しています。
②気候変動
当社は、ISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)を構築しており、省資源、省エネルギーの推進、廃棄物の削減・リサイクルの推進等により、環境保全と環境負荷の低減に取り組んでおります。気候変動への対応としては、主に全社的な省エネルギー活動を継続することで温室効果ガスの排出抑止に積極的に取り組んでおります。
現在、当社の温室効果ガス排出の大部分が他社から購入した電力の使用に伴う間接排出となっており、電力の調達に関する方針は、当社にとって中長期的に重要な影響を与える課題であると認識しております。
特に昨今の電力料の高騰は当社の収益を大きく圧迫しており、持続可能な事業の成長戦略と気候変動への対応の両立が求められております。当面、省エネルギー活動の徹底、設備の更新に合わせた、よりエネルギー効率の高い設備・排出の少ない設備の導入を推し進めることで温室効果ガス排出量の削減に努めてまいりますが、将来的には、脱炭素へ向けた政策の動向も注視しながら、PPAモデルの導入、再生可能エネルギーの購入等についても検討してまいります。
(4)指標及び目標
①人的資本
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指標 |
実績(当事業年度) |
目標 |
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②気候変動
当社の気候変動に対する主な取り組みは、ISO14001に基づく活動の一部として実施しております。当事業年度は2022年度を基準年度とした向こう3か年の計画の2期目にあたり、以下の指標及び目標を設定しております。
当事業年度の実績は、エネルギー原単位、産業廃棄物排出量ともに単年度の目標値はもとより最終年度の目標値を前倒しで達成する結果となりました。
なお、当社は温対法により温室効果ガス排出量を把握しておりますが、その大部分は大手電力会社から購入した電力であり、再生可能エネルギーによる電力プランなども現時点では導入していないことから、温室効果ガス排出量による目標設定を行っておりません。今後、電力の調達方法などを変更した場合には温室効果ガス排出量も含め適切な指標及び目標を検討してまいります。
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指標 |
2022年度実績 (基準年度) |
2024年度実績 (当事業年度) |
目標 |
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エネルギー原単位(kl/百万㎡) |
6,088 |
5,787 |
2025年度までに2022年度比3%削減 (2024年度単年度の目標値5,966kl/百万㎡) |
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産業廃棄物排出量(kg) |
64,823 |
45,213 |
2025年度までに2022年度比10%削減 (2024年度単年度の目標値60,933kg) |
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(参考) 原油換算エネルギー使用量(kl) 生産面積(百万㎡) |
6,502 1.0680 |
5,437 0.9395 |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)特定市場への依存について
当社主力製品は、スマートフォンや自動車などに搭載される液晶ディスプレイパネルへの依存度が高く、これらの製品の需要動向が大きく変動した場合、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(2)海外メーカーとの競合について
当社の主力製品であるディスプレイ用基板等において、中国や台湾など海外メーカーの台頭により競合製品がより低価格で供給され価格競争が激化した場合、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(3)原材料及びエネルギー価格の変動について
当社の主力製品は、希少金属であるインジウムを原材料としております。原材料価格は市況により変動していることから、原材料価格の高騰により仕入価格が大きく変動した場合、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
また、当社の生産設備の動力源は電力であり、電力料金の高騰は、製造コストの上昇につながります。当該上昇を販売価格への転嫁、生産性の向上や省エネルギー・高効率設備の導入等により吸収できなかった場合、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(4)地震等の災害について
当社は国内の各生産拠点において、地震を含めた防災対策を実施しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができております。しかしながら、想定を超える大規模な災害が発生した場合には、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(5)減損損失について
当社では、既存事業における生産性向上や新たな事業領域の拡張など今後も継続的に投資を行ってまいりますが、これらの投資によって取得した資産が、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になる等、収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となった場合、減損損失の計上により当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(6)新規事業について
当社は、事業領域の拡張と持続的な成長を目指し、新規事業への取組みを行っておりますが、その内容によっては研究開発・設備投資・人材確保のための費用が発生する可能性があります。また、新規事業開始から安定的な収益を得るまでには一定の期間が必要であり、その期間は当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、開始した新規事業が市場環境や顧客動向の変化、市場ニーズの読み違え、予期せぬ技術革新等によって計画通りに推移しなかった場合、当社の業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,173百万円増加し、16,358百万円となりました。これは主に、流動資産では売掛金が452百万円、棚卸資産が292百万円それぞれ増加し、現金及び預金が662百万円減少したこと、固定資産では投資有価証券が505百万円、投資不動産が688百万円増加したことなどによるものであります。
負債合計は、前事業年度末に比べ721百万円増加し、7,253百万円となりました。これは主に、流動負債の支払手形及び買掛金が640百万円、未払金が108百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。
純資産合計は、前事業年度末に比べ451百万円増加し、9,104百万円となりました。これは主に、利益剰余金が360百万円増加し、その他有価証券評価差額金が91百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は55.7%、1株当たり純資産額は1,150円97銭となりました。
b.経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより景気は緩やかな回復基調で推移いたしましたが、地政学的不安定さが長期化するなか、物価の上昇や米国の政権交代による今後の政策動向など先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社を取り巻く事業環境は、当社の主力製品であるディスプレイパネルが自動車市場やVR市場向けで受注が堅調に推移したこと、また、半導体・電子部品では、エネルギーや電子部品向け受注が増加したことから堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は5,280百万円(前年同期比14.7%増)となりました。損益につきましては、売上高が増加したことや前期に計上した減損損失により減価償却費が減少したことなどから、営業利益は323百万円(前年同期は655百万円の営業損失)となり、経常利益は366百万円(前年同期は552百万円の経常損失)となりました。また、投資有価証券売却益11百万円などを特別利益に計上したことから、当期純利益は360百万円(前年同期は1,669百万円の当期純損失)となりました。
品目別の状況は、次のとおりであります。なお、当社は、成膜加工関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
(ディスプレイ)
タッチパネル用導電膜は、自動車やVR機器向けで受注は低調に推移いたしましたが、液晶パネル関連製品の受注は引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は1,600百万円(前期比10.5%増)となりました。
(モビリティ)
モビリティ向け薄膜製品は、主力製品である自動車向けカバーパネルは、中国国内における対応車種の販売低迷の影響を受け厳しい状況で推移いたしました。
この結果、売上高は1,225百万円(前期比17.7%減)となりました。
(半導体・電子部品)
半導体・電子部品向け薄膜製品は、テストウェハーや次世代エネルギー、プリンター部品向け受注は引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は1,520百万円(前期比24.2%増)となりました。
(その他)
その他の薄膜製品につきましては、設備投資や開発投資環境に回復の兆しはみられるものの、受注は依然低調に推移いたしました。一方、薄膜関連部材や装置販売などソリューション取引による売上は大幅に増加いたしました。
この結果、売上高は934百万円(前期比110.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ662百万円減少し、3,029百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は478百万円(前期は959百万円の使用)となりました。
これは主に、税引前当期純利益が379百万円となったことや、減価償却費145百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,012百万円(前期比16.9%減)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入314百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出707百万円、投資不動産の取得による支出346百万円、有形固定資産の取得による支出332百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は132百万円(前期は82百万円の獲得)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出880百万円と長期借入れによる収入750百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は、成膜加工関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
ディスプレイ |
1,600,784 |
110.2 |
|
モビリティ |
1,225,364 |
82.2 |
|
半導体・電子部品 |
1,524,168 |
124.2 |
|
その他 |
363,028 |
115.3 |
|
合計 |
4,713,345 |
105.1 |
(注)金額は販売価額によっております。
b.受注実績
当事業年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ディスプレイ |
1,635,698 |
112.6 |
166,287 |
126.7 |
|
モビリティ |
1,211,057 |
79.2 |
151,628 |
91.4 |
|
半導体・電子部品 |
1,621,075 |
140.4 |
262,893 |
161.7 |
|
その他 |
734,779 |
114.4 |
86,313 |
30.2 |
|
合計 |
5,202,610 |
108.9 |
667,122 |
89.5 |
(注)金額は販売価額によっております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別の名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
ディスプレイ |
1,600,632 |
110.5 |
|
モビリティ |
1,225,249 |
82.3 |
|
半導体・電子部品 |
1,520,741 |
124.2 |
|
その他 |
934,242 |
210.6 |
|
合計 |
5,280,866 |
114.7 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
シャープディスプレイテクノロジー㈱ |
845,926 |
18.4 |
1,028,847 |
19.5 |
|
㈱ミクロ技術研究所 |
565,164 |
12.3 |
592,231 |
11.2 |
|
㈱ジャパンディスプレイ |
516,757 |
11.2 |
317,804 |
6.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当事業年度の財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ675百万円増加し、5,280百万円(前期比14.7%増)となりました。
当社における主力製品のうち、ディスプレイについては、タッチパネル用導電膜は、自動車やVR機器向けで受注は低調に推移いたしましたが、液晶パネル関連製品の受注は引き続き堅調に推移いたしました。モビリティについては、主力製品である自動車向けカバーパネルは、中国国内における対応車種の販売低迷の影響を受け厳しい状況で推移いたしました。半導体・電子部品については、テストウェハーや次世代エネルギー、プリンター部品向け受注は引き続き堅調に推移いたしました。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は、323百万円(前期は655百万円の営業損失)となりました。売上高が増加したこと、前期に実施した固定資産の減損処理により減価償却費が大幅に減少したことに加え、製造原価及び販売管理業務の効率化など一層の経費削減に取り組んだことが主な要因であります。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、366百万円(前期は552百万円の経常損失)となりました。これは、受取配当金15百万円及び設備賃貸料14百万円などにより営業外収支は42百万円のプラスとなりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は360百万円(前期は1,669百万円の当期純損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要と生産効率及び品質向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期資金需要であります。
当社は、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを基本方針としております。運転資金需要には自己資金及び金融機関からの短期借入により、また、設備投資などの長期資金需要に対しては、主に金融機関からの長期借入を基本としております。
当面の設備投資資金につきましては、可能な範囲で金融機関からの長期借入により調達することとし、手元流動性は経営環境の変化に備えて十分確保するとともに、当社の新たな収益源への投資を引き続き検討してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載したとおりであります。
該当事項はありません。
(1) 研究開発活動の体制
当社の研究開発活動は、事業領域の拡大および事業モデルの変革を目的に、新たな技術の創出を目指して、「製造技術部」と「事業開発部」の二部門で構成されております。
製造技術部は、既存製品に新たな価値を付加するため、従来技術をさらに発展させる技術開発に取り組んでいます。一方、事業開発部は、中長期的な視点から差別化につながる新たな事業開発テーマの探索および実行を担っております。
開発テーマの重要性に応じて、上記二部門に加え、営業部門、製造部門などの関係部門を含めたプロジェクトチームを編成し、効率的かつ組織的に新たな技術、製品、事業の開発に取り組んでいます。
また、各種研究機関、大学、企業とのプロジェクトや共同研究も、「製造技術部」と「事業開発部」の二部門を中心として積極的に推進しております。
(2) 研究開発活動の方針
当社は、「地球・人類・技術の融合により、明るく豊かな未来を創造する」という企業理念のもと、価値ある薄膜技術と生産技術を提供することにより、ものづくりとテクノロジーの発展に貢献することを使命としております。
この使命の実現に向けて、開発部門では、「薄膜技術」の幅広い分野への応用、要素技術の開発、新製品の提供を通じて、ディスプレイ、モビリティ、半導体・電子部品といった各事業領域におけるコア技術の創出に注力してまいりました。
今後は、こうした技術基盤に加え、顧客の利便性向上を図るため、周辺加工技術、設計技術、評価技術など、当社の強みである生産技術力を活かし、価値提供の多角化にも積極的に取り組んでまいります。
(3)研究開発活動における当事業年度の主要課題
当社は、成膜加工関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
(ディスプレイ)
①低反射メタルメッシュ電極の材料開発及び加工技術開発
(モビリティ)
①低反射フィルム(g.moth®)の生産技術確立
②低反射フィルム(g.moth®)の応用製品開発
③面発熱ヒーターの応用製品の開発
④特定波長帯での広角高反射ミラーの開発
(半導体・電子部品)
①ファンアウト・パネルレベルパッケージ用微細回路形成材料の量産技術開発
②金属抵抗式薄膜ひずみゲージ形成技術の開発
③弾性波デバイス用音響多層膜の開発
④MEMSデバイス用圧電薄膜の開発
⑤パワーデバイス用GaNテンプレートウエハーの開発
⑥貫通ビアへの成膜技術の開発
(その他)
①プラズマプロセス技術の開発
②高耐久性の超撥水膜・親水膜の開発
③高滑落性機能材料の開発
④無反射黒色シートの開発
なお、当事業年度の研究開発費の総額は