第一部 【企業情報】
第1 【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(1) 連結経営指標等
回次
|
第82期
|
第83期
|
第84期
|
第85期
|
第86期
|
決算年月
|
2020年3月
|
2021年3月
|
2022年3月
|
2023年3月
|
2024年3月
|
売上高
|
(百万円)
|
54,819
|
51,595
|
57,020
|
87,457
|
88,654
|
経常利益
|
(百万円)
|
16,455
|
16,040
|
18,822
|
29,791
|
26,453
|
親会社株主に帰属する 当期純利益
|
(百万円)
|
11,437
|
11,067
|
12,820
|
20,900
|
18,795
|
包括利益
|
(百万円)
|
10,503
|
13,271
|
13,789
|
22,439
|
23,501
|
純資産額
|
(百万円)
|
74,692
|
85,120
|
96,044
|
114,502
|
131,713
|
総資産額
|
(百万円)
|
94,019
|
105,477
|
126,883
|
150,508
|
162,739
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
365.30
|
416.25
|
469.67
|
560.09
|
644.15
|
1株当たり当期純利益
|
(円)
|
55.92
|
54.12
|
62.69
|
102.22
|
91.93
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益
|
(円)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
79.4
|
80.7
|
75.7
|
76.1
|
80.9
|
自己資本利益率
|
(%)
|
16.1
|
13.9
|
14.2
|
19.9
|
15.3
|
株価収益率
|
(倍)
|
18.06
|
43.79
|
32.44
|
25.75
|
33.72
|
営業活動による キャッシュ・フロー
|
(百万円)
|
10,564
|
8,050
|
15,067
|
15,260
|
16,284
|
投資活動による キャッシュ・フロー
|
(百万円)
|
△1,134
|
298
|
△15,389
|
△2,954
|
△4,542
|
財務活動による キャッシュ・フロー
|
(百万円)
|
△3,155
|
△2,935
|
△2,469
|
△4,541
|
△6,410
|
現金及び現金同等物 の期末残高
|
(百万円)
|
32,395
|
38,085
|
36,103
|
44,885
|
52,102
|
従業員数
|
(名)
|
769
|
819
|
856
|
900
|
911
|
(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第84期の期首から適用しており、第84期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2.当社は、第82期より「役員報酬BIP信託」を導入しており、当該信託が保有する当社株式を自己株式として処理しております。これに伴い、1株当たり純資産額の算定において、当該自己株式を期末発行済株式総数から控除しております。また、1株当たり当期純利益の算定において、当該自己株式の期中平均株式数を控除しております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.当社は、2024年4月1日付けで普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第82期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。
5.自己資本利益率については、期首期末平均純資産額に基づいて算出しております。
6.従業員数は、就業人員数を表示しております。
(2) 提出会社の経営指標等
回次
|
第82期
|
第83期
|
第84期
|
第85期
|
第86期
|
決算年月
|
2020年3月
|
2021年3月
|
2022年3月
|
2023年3月
|
2024年3月
|
売上高
|
(百万円)
|
51,719
|
47,731
|
51,804
|
79,737
|
79,747
|
経常利益
|
(百万円)
|
13,401
|
12,674
|
14,397
|
23,136
|
18,996
|
当期純利益
|
(百万円)
|
9,310
|
8,791
|
9,751
|
16,514
|
13,345
|
資本金
|
(百万円)
|
2,867
|
2,867
|
2,867
|
2,867
|
2,867
|
発行済株式総数
|
(株)
|
42,000,000
|
42,000,000
|
42,000,000
|
42,000,000
|
42,000,000
|
純資産額
|
(百万円)
|
59,022
|
66,770
|
73,455
|
85,727
|
94,691
|
総資産額
|
(百万円)
|
79,721
|
93,863
|
112,459
|
130,721
|
137,829
|
1株当たり純資産額
|
(円)
|
286.31
|
323.86
|
356.28
|
415.91
|
459.32
|
1株当たり配当額 (1株当たり中間配当額)
|
(円)
|
70.00 (-)
|
70.00 (-)
|
94.00 (-)
|
155.00 (-)
|
155.00 (-)
|
1株当たり当期純利益
|
(円)
|
45.15
|
42.64
|
47.30
|
80.11
|
64.74
|
潜在株式調整後 1株当たり当期純利益
|
(円)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
自己資本比率
|
(%)
|
74.0
|
71.1
|
65.3
|
65.6
|
68.7
|
自己資本利益率
|
(%)
|
16.5
|
14.0
|
13.9
|
20.7
|
14.8
|
株価収益率
|
(倍)
|
22.37
|
55.58
|
43.00
|
32.85
|
47.88
|
配当性向
|
(%)
|
31.0
|
32.8
|
39.7
|
38.7
|
47.9
|
従業員数
|
(名)
|
497
|
526
|
582
|
616
|
641
|
株主総利回り
|
(%)
|
93.8
|
219.6
|
190.5
|
248.2
|
293.8
|
(比較指標:配当込みTOPIX)
|
(%)
|
(90.5)
|
(128.6)
|
(131.2)
|
(138.8)
|
(196.2)
|
最高株価
|
(円)
|
5,880
|
11,990
|
25,110
|
16,000
|
20,770
|
最低株価
|
(円)
|
3,645
|
4,460
|
7,810
|
8,920
|
11,610
|
(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第84期の期首から適用しており、第84期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
2.当社は、第82期より「役員報酬BIP信託」を導入しており、当該信託が保有する当社株式を自己株式として処理しております。これに伴い、1株当たり純資産額の算定において、当該自己株式を期末発行済株式総数から控除しております。また、1株当たり当期純利益の算定において、当該自己株式の期中平均株式数を控除しております。
3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。
4.当社は、2024年4月1日付けで普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。第82期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。なお、1株当たり配当額につきましては、株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。
5.自己資本利益率については、期首期末平均純資産額に基づいて算出しております。
6.従業員数は、就業人員数を表示しております。
7.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQにおけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。
2 【沿革】
1948年1月
|
日本動画株式会社として東京都新宿区原町に設立、アニメ製作を開始。
|
1952年8月
|
日動映画株式会社へ商号変更。
|
1956年7月
|
東映株式会社が日動映画株式会社を買収、東映動画株式会社へ商号変更。 本社を東京都中央区京橋、製作所を東京都新宿区原町とする。
|
1957年1月
|
製作所を東京都練馬区東大泉のスタジオ(大泉スタジオ)へ移転。
|
1957年5月
|
当社初の短編アニメ作品「こねこのらくがき」完成。
|
1958年10月
|
当社初の劇場長編アニメ作品「白蛇伝」完成。
|
1960年9月
|
本社を東京都中央区西銀座(現・東京都中央区銀座)へ移転。
|
1963年11月
|
当社初のテレビシリーズアニメ作品「狼少年ケン」放映開始。
|
1966年11月
|
劇場長編アニメ作品「ガリバーの宇宙旅行」がアメリカ国内でも公開。
|
1967年4月
|
「魔法使いサリー」第18話より、テレビシリーズアニメ作品のカラー放映開始。
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1973年2月
|
子会社として株式会社タバック(現・連結子会社)設立、録音・編集部門の一部を分離。
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1973年3月
|
東京都新宿区北新宿に新宿営業所設置。
|
1973年6月
|
海外での製作外注を開始。
|
1975年2月
|
テレビシリーズアニメ作品の海外販売を開始。
|
1979年8月
|
当社初の自主製作劇場長編アニメ作品「銀河鉄道999」を公開。
|
1980年3月
|
コンピュータによるアニメ映像製作へ向けて本格的な研究を開始。
|
1985年10月
|
映像処理の多様化・迅速化のためコンピュータ制御による撮影システムを導入。
|
1986年2月
|
テレビシリーズアニメ作品「ドラゴンボール」放映開始。
|
1986年3月
|
当社初のオリジナルビデオアニメ作品「湘南爆走族」製作開始。 自主制作ゲームソフトの販売開始。
|
1991年12月
|
コンピュータによる映像製作ソフト CATAS(Computer Aided TOEI Animation System)完成。
|
1992年3月
|
テレビシリーズアニメ作品「美少女戦士セーラームーン」放映開始。
|
1992年11月
|
フィリピンEEI社と製作外注合弁会社EEI-TOEI ANIMATION CORPORATION(現・連結子会社)を設立。
|
1994年3月
|
新宿営業所を東京都新宿区横寺町へ移転、新宿オフィスと改称。
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1995年4月
|
東映アニメーション研究所を東京都千代田区神田駿河台に開設。
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1995年9月
|
アメリカで「ドラゴンボール」「美少女戦士セーラームーン」放映開始。
|
1996年3月
|
本社を東京都新宿区横寺町とする。
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1997年2月
|
デジタル映像製作ソフト「RETAS」を活用したテレビシリーズアニメ作品のデジタル化開始。
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1997年3月
|
香港に販売子会社TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD. (現・連結子会社)を合弁で設立(60%出資)。
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1998年1月
|
EEI-TOEI ANIMATION CORPORATIONを子会社(現・連結子会社)とする。
|
1998年7月
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東映衛星放送株式会社(16.7%出資)、並びに株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパン(8.5%出資)に資本参加。
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1998年10月
|
東映アニメーション株式会社へ商号変更。
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1999年3月
|
テレビシリーズアニメ作品「デジモンアドベンチャー」放映開始。
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1999年6月
|
本社を東京都練馬区東大泉とする。
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1999年10月
|
テレビシリーズアニメ作品「ワンピース」放映開始。
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2000年4月
|
EEI-TOEI ANIMATION CORPORATIONをTOEI ANIMATION PHILS.,INC.へ商号変更。
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2000年5月
|
広域LANを活用して、協力製作プロダクションとの間でアニメ製作に関するネットワークシステムを構築。
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2000年10月
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液晶画面付タブレットを活用した作画工程のデジタル化システムを構築。 当社初の深夜枠テレビシリーズアニメ作品「勝負師伝説 哲也」放映開始。
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2000年12月
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店頭市場に上場。
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2001年3月
|
子会社として東映アニメーション音楽出版株式会社(現・連結子会社)を設立。
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2001年8月
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1単位(2001年10月より1単元)の株式数を1,000株から100株に変更。
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2001年10月
|
韓国アニメーション専門衛星放送株式会社「株式会社大元デジタル放送」(8.25%出資)に資本参加。
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2002年7月
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子会社として株式会社LATERNA(現・持分法適用関連会社、現・株式会社AMAZONLATERNA)を設立。 当社発売元としての初のパッケージソフト発売。
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2002年12月
|
インターネット向け映像配信サービス開始。
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2004年2月
|
テレビシリーズアニメ作品「ふたりはプリキュア」放映開始。
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2004年3月
|
アメリカ・ロサンゼルスに販売子会社TOEI ANIMATION INCORPORATED(現・連結子会社)を設立。
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2004年12月
|
ジャスダック証券取引所(現・東京証券取引所)に株式を上場。 フランス・パリに販売子会社TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S.(現・連結子会社)を設立。
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2006年4月
|
東映アニメーション研究所を東京都練馬区東大泉に移転。
|
2006年7月
|
日米合作によるテレビシリーズアニメ作品「出ましたっ!パワパフガールズZ」放映開始。 中国・上海に駐在員事務所TOEI ANIMATION SHANGHAI REPRESENTATIVE OFFICEを開設。
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2006年8月
|
普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割。
|
2007年5月
|
株式会社テレビ朝日(現・株式会社テレビ朝日ホールディングス)が、当社株式を追加取得し持株比率が15%以上になったことにより、当社のその他の関係会社となる。
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2007年11月
|
株式会社LATERNA(現・株式会社AMAZONLATERNA)の株式の70%を売却。
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2008年12月
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TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD.の株式を追加取得し、100%子会社とする。
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2009年10月
|
当社初の3D立体劇場アニメ作品「きかんしゃやえもん」公開。
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2010年4月
|
ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に上場となる。
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2010年10月
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大阪証券取引所ヘラクレス市場、同取引所JASDAQ市場及び取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場となる。
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2011年3月
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東映アニメーション研究所閉所
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2013年7月
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東京証券取引所と大阪証券取引所の市場統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場となる。 新宿オフィス及び同周辺地域の各拠点を集約し、中野オフィスに移転。
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2014年8月
|
本社を東京都中野区中野とする。
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2014年12月
|
大泉スタジオの再開発に伴い、東京都練馬区光が丘の仮スタジオに移転。
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2018年1月
|
東京都練馬区光が丘の仮スタジオから新大泉スタジオに移転。
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2018年4月
|
普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割。
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2020年11月
|
TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD.が東映動漫(上海)実業有限公司を合弁で設立。
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2022年4月
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東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場に移行。
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2023年4月
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東映アニメーション作画アカデミーを開講
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3 【事業の内容】
当社グループは、当社、連結子会社7社及び関連会社3社で構成され、主に劇場・テレビ向けの各種アニメ作品等の企画・製作及び放映権等の販売を行う映像製作・販売事業、製作した作品の商品化権等に基づき当社作品のキャラクターの使用をライセンス許諾しロイヤリティを得る版権事業、キャラクター商品等を販売する商品販売事業を主な事業として取り組んでおります。
当社は、2024年3月31日現在でテレビアニメ作品237タイトル、劇場アニメ作品269タイトル、その他にTVSP等を合わせまして、総コンテンツ数にして約13,800本を保有しております。
当社テレビアニメ作品の代表作としては以下のものがあります。
放映開始時期
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作品名
|
1960年代
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「魔法使いサリー」「ゲゲゲの鬼太郎」「サイボーグ009」「ひみつのアッコちゃん」「タイガーマスク」
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1970年代
|
「デビルマン」「マジンガーZ」「バビル2世」「キューティーハニー」「ゲッターロボ」「UFOロボ グレンダイザー」「一休さん」「宇宙海賊キャプテンハーロック」「銀河鉄道999」
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1980年代
|
「Dr.スランプ アラレちゃん」「パタリロ!」「キン肉マン」「夢戦士ウイングマン」「北斗の拳」「メイプルタウン物語」「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」「ビックリマン」「悪魔くん」
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1990年代
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「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」「美少女戦士セーラームーン」「スラムダンク」「ママレード・ボーイ」「地獄先生ぬ~べ~」「花より男子」「キューティーハニーF」「金田一少年の事件簿」「夢のクレヨン王国」「おジャ魔女どれみ」「デジモンアドベンチャー」「ワンピース」
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2000年代
|
「明日のナージャ」「金色のガッシュベル!!」「ボボボーボ・ボーボボ」「ふたりはプリキュア」「冒険王ビィト」「出ましたっ!パワパフガールズZ」「モノノ怪」「墓場鬼太郎」「うちの3姉妹」「ドラゴンボール改」「怪談レストラン」
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2010年代
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「デジモンクロスウォーズ」「トリコ」「聖闘士星矢Ω」「探検ドリランド」「京騒戯画」「マジンボーン」「美少女戦士セーラームーンCrystal」「ワールドトリガー」「ドラゴンボール超」「デジモンユニバース アプリモンスターズ」「タイガーマスクW」「正解するカド」「ゲゲゲの鬼太郎」「おしりたんてい」「爆釣バーハンター」
|
2020年代
|
「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」「デジモンゴーストゲーム」「ワールドトリガー 3rdシーズン」「わんだふるぷりきゅあ!」
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当社グループの事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、セグメントと同一の区分であります。
(1) 映像製作・販売事業
当社は、劇場・テレビ向け等の各種アニメ作品の企画・製作とともに、国内外への放映権の販売を行っております。また、ブルーレイ・DVDを中心とする当社アニメ作品のパッケージソフト化権の販売及びそれに伴う発売元事業や、インターネット・携帯端末に向けた映像配信等の展開を行っております。
① 製作
実際のアニメ作品の製作工程は、基本的に以下のようになります。
1 企画
|
映像製作の基になる題材を様々な分野から掘り起こし、マーケット戦略に基づき、プロデューサーは、映像製作の立案、関係者の利害調整を経て、製作の決定を図ります。漫画雑誌を中心とした原作の映像化が主流となっています。
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2 脚本
|
原案・原作等を基に、プロデューサー・脚本家・演出家間で打合わせをし、脚本家は映像作品を前提にした場面設定や話の展開及び台詞やアクションからなる脚本を作成します。
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3 絵コンテ
|
脚本を絵に置き換えます。以降の全作業の指示書となります。 物語の展開を、文字から絵に置き換えます。文節・文・文章を映像の最小単位であるカットに置き換え、そのカットの積重ねで物語を見せることになりますが、演出家は絵コンテに1カット毎の絵の構図やその中での人物の演技・動作、森羅万象を描く指示を、絵と文字を付記して表します。
|
4 原画・動画
|
原画はアニメーションのキーポイントとなる部分であり、動画は原画と原画の間の動きをつなぐ部分であります。 原画は絵コンテの指示に沿って、作画のプロである原画アニメーターが本番の絵を描いていきます。ここでは各カットの大まかな構図取りと、主要且つ動きのポイントとなる絵を原画として描きます。動きのタイミングや台詞のペース、カメラワークなどは、シートという1秒を24コマの時間軸で表した専用の表に表記します。人物や動きのある物は作画(原画・動画)部分、その背後の視界は背景と称し、分業となりますが、構図取りにあたっては両方含めての構図の構成となります。原画アニメーターによる原画作業の後、作画監督のチェックへと回り、人物の絵の統一を中心にした原画修正が加えられます。この時点でアニメーションのおおもとの絵が決まったことになります。動画については、動きのタイミングは原画と原画の間に何枚の動く途中の絵(中割)を入れるかで変わります。中割の枚数は原画アニメーターがシートに指定してありますので、それに従い中割の動作ポーズは動画アニメーターが考え作画します。そして原画とともにクリンアップという清書した絵に仕上げます。原画・動画はデジタル化が進み、パソコンでの作業が主流となっております。
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5 彩色
|
パソコン上で動画に色を塗ります。
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6 検査
|
色違い等をチェックします。
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7 特殊効果
|
エアーブラシ効果を中心に、塗りでは不可能な表現を加味します。
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8 背景
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背景にあたる部分の絵を描きます。原図を基に背景画のプロである美術デザイナーが正確に構図を取り直し、背景画を描く上での下絵=背景原図を作成します。背景画を専門とする背景員は、この背景原図を基に本番の絵を描いていきます。
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9 撮影
|
工程がデジタル化された現在では、撮影もパソコンを使って行われます。背景画をデジタル化した上で、デジタル合成します。演出家は作品の映像表現をより豊かにするために、様々な撮影効果を駆使します。 シートにはそれらの撮影用指定も付記されますので、撮影担当者はシートの情報をパソコンに入力し、合成にかけます。撮影という言葉はフィルム製作時代の名残で、現在はパソコン内でデータの計算が行われ絵が合成されます。アニメ製作の性格上、作画部分も背景もカット単位で物が流れるため両者が揃ったカットから順に合成作業が進んでいきます。合成が済んだカットはパソコンからビデオテープ(HDCAM)に出力・収録します。
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10 編集
|
撮影したカットは、順不同でビデオテープに収録されていきますが、これを撮影上がりと言います。撮影上がりは、編集専用のパソコンに再び取り込み、編集もパソコンで行います。絵コンテの順にカットを並べた上で(棒つなぎ)、全体の長さを規定の長さ(編集尺)にします。通常、編集尺に対して1分前後の余裕をもって製作を進めますので、1カットずつアニメーションの動きを確認しながら、カットの繋がり具合などを念頭に置き、カットの長さを詰めていきます。編集された絵は、1秒=24コマからなる映像(アニメーション)に変わります。
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11 アフレコ ・ダビング
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映像に合わせ、声優の演技、効果音・BGMを録音します。 編集が終了し、各カットの長さが確定し全体が規定の長さになったら、今度はその映像に合わせ台詞や効果音・BGMを録音します。先にアフレコが行われ、声優は台詞が書かれているアフレコ台本を手に、映像を見ながら映像に合わせた声の演技をします。演出家は演技の確認や指導をし、録音スタッフが収録します。遅れて数日後、音響効果と選曲と呼ばれる専門職が、前もって演出家と打合せ準備した効果音やBGMを持ち合ってダビングが行われます。アフレコ同様に映像に合わせ音の録音をしますが、同時にアフレコで収録した声とのミックス録音を行い、音の部分が完成します。
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② 販売
劇場向けでは年3~5本の公開作品を製作・販売しております。また、テレビ向けでは週3~5本のシリーズ作品を製作・販売しており、2024年3月31日現在放映中の作品は「ワンピース」、「わんだふるぷりきゅあ!」、「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」等であります。なお、海外については、アジア・ヨーロッパ・北中南米地域にわたり、主に当社の海外子会社を通して当社アニメ作品の放映権を販売しております。
<関係会社>
(企画)
株式会社AMAZONLATERNA
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映像作品の企画製作等を行っております。
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(製作)
TOEI ANIMATION PHILS., INC.
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当社作品の製作工程における動画・彩色・背景等の作業を請負っております。
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東映アニメーション音楽出版 株式会社
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当社作品の音楽製作を行っております。
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株式会社タバック
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当社作品の製作工程における録音編集作業を請負っております。
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(販売)
東映株式会社
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当社劇場作品の配給及びテレビ放送業者へのテレビシリーズ作品の放映権販売等を行っております。
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株式会社テレビ朝日 ※
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当社テレビシリーズ作品の放映等を行っております。
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東映アニメーション音楽出版 株式会社
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当社作品の音楽の販売等を行っております。
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TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD.
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当社作品の海外放映権販売を行っております。
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TOEI ANIMATION INCORPORATED
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当社作品の海外放映権販売を行っております。
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TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S.
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当社作品の海外放映権販売を行っております。
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※ 株式会社テレビ朝日ホールディングスの子会社
③ パッケージソフト収入等
ブルーレイ・DVDを中心とする当社アニメ作品のビデオ化権に伴う発売元事業や、インターネット・携帯端末に向けた映像配信事業等を行っております。
<関係会社>
東映株式会社
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当社劇場・テレビシリーズ作品のビデオ化権の販売を行っております。
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東映ビデオ株式会社
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当社劇場・テレビシリーズ作品のパッケージソフトの販売を行っております。
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(2) 版権事業
当社は、当社アニメ作品に登場するキャラクターの使用許諾を、玩具・ゲームメーカーや文具メーカー、アパレルメーカー等のライセンシーに与えることにより版権収入を得ております。なお、海外については、アジア・ヨーロッパ・北中南米地域にわたり、主に当社の海外子会社を通して当社アニメ作品の版権を販売しております。
<関係会社>
TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD.
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当社作品の海外版権販売を行っております。
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東映アニメーション音楽出版 株式会社
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当社作品の音楽に関する著作権の管理を受託しております。
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TOEI ANIMATION INCORPORATED
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当社作品の海外版権販売を行っております。
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TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S.
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当社作品の海外版権販売を行っております。
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(3) 商品販売事業
当社は、キャラクター商品等の販売を行っております。
(4) その他事業
当社は、着ぐるみショーやミュージカル等の各種イベントの企画運営を行っております。
<関係会社>
東映株式会社
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当社作品の着ぐるみショーの運営を行っております。
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※ 当社関係会社である株式会社東映京都スタジオは「東映太秦映画村」の運営を行っております。
4 【関係会社の状況】
名称
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住所
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資本金 (百万円)
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主要な事業 の内容
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議決権の所有 (又は被所有) 割合(%)
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関係内容
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(親会社)
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(被所有)
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東映㈱※1、2
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東京都中央区
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11,707
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映像製作・販売 その他
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41.0 (6.8) [20.0]
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当社劇場作品配給・テレビアニメ作品放映権等の販売 役員の兼務…有 当社への出向…無
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(連結子会社)
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㈱タバック
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東京都練馬区
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10
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映像製作・販売
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100.0
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当社作品の製作工程における録音・編集作業の請負 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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TOEI ANIMATION PHILS., INC.※3
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フィリピン共和国 マニラ
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169
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映像製作・販売
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100.0
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当社作品の製作工程における動画作業等の請負 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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東映アニメーション音楽出版㈱
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東京都中野区
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10
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映像製作・販売 版権
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100.0
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当社作品に関連した楽曲の製作・販売及び当社作品の音源を利用した新規事業等 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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TOEI ANIMATION ENTERPRISES LTD. ※4
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中華人民共和国 香港
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8
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映像製作・販売 版権
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100.0
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アジアにおける当社作品の放映権・商品化権等の販売 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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TOEI ANIMATION INCORPORATED※5
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アメリカ合衆国 カリフォルニア州
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63
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映像製作・販売 版権
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100.0
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北中南米地域における当社作品の放映権・商品化権等の販売 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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TOEI ANIMATION EUROPE S.A.S. ※6
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フランス共和国 パリ
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69
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映像製作・販売 版権
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100.0
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欧州における当社作品の放映権・商品化権等の販売 役員の兼務…有 当社からの出向…有
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TA KZ Film Kft. ※7
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ハンガリー ノーグラード
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1
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映像制作・販売
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100.0
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当社作品の製作請負 役員の兼務…無 当社からの出向…無
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(持分法適用関連会社)
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㈱AMAZONLATERNA
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東京都中央区
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300
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映像製作・販売
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29.5 (3.2)
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映像作品の企画 役員の兼務…有 当社からの出向…無
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東映ビデオ㈱
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東京都中央区
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27
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映像製作・販売
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24.6
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当社作品のパッケージビデオの販売 役員の兼務…有 当社からの出向…無
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㈱東映京都スタジオ
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京都市右京区
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50
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その他
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21.2 (1.2)
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役員の兼務…有 当社からの出向…無
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(その他の関係会社)
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(被所有)
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㈱テレビ朝日ホールディングス ※8、9
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東京都港区
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36,654
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-
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20.0 (20.0) (所有) 1.0
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役員の兼務…有 当社からの出向…無
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(その他の関係会社の子会社)
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(被所有)
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㈱テレビ朝日 ※9
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東京都港区
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100
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映像製作・販売
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20.0
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当社テレビ作品の放映 役員の兼務…有 当社からの出向…無
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(注) 1. 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。
2. ※1・※8 有価証券報告書を提出しております。
3. ※2 持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配されているため親会社としたものであります。
4. ※3 現地通貨での資本金額は61,585千フィリピンペソであります。
5. ※4 現地通貨での資本金額は500千香港ドルであります。
6. ※5 現地通貨での資本金額は600千USドルであります。
7. ※6 現地通貨での資本金額は500千ユーロであります。
8. ※7 現地通貨での資本金額は3,000千フォリントであります。
9. 「議決権の所有(又は被所有)割合」欄の( )内は、間接所有割合で内数、[ ]内は、緊密な者又は同意している者の所有割合で外数であります。
10. ※9 ㈱テレビ朝日ホールディングスは認定放送持株会社であり、その完全子会社である㈱テレビ朝日を通じて議決権を所有しています。
11. TOEI ANIMATION INCORPORATED については、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
主要な損益情報等
(1) 売上高 12,397百万円
(2) 経常利益 2,969百万円
(3) 当期純利益 2,382百万円
(4) 純資産額 8,942百万円
(5) 総資産額 13,690百万円
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
セグメントの名称
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従業員数(名)
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映像製作・販売事業
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787
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版権事業
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74
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商品販売事業
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15
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その他事業
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35
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合計
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911
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(注) 従業員数は、就業人員数(当社及び連結子会社から外部への出向者及び人材会社からの派遣社員を除き、外部から当社及び連結子会社への出向者を含む)であり、パートタイマー、季節工等は在籍しておりません。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
従業員数(名)
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平均年齢
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平均勤続年数
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平均年間給与(円)
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641
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39才 10ヶ月
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10年8ヶ月
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8,131,481
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セグメントの名称
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従業員数(名)
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映像製作・販売事業
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526
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版権事業
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65
|
商品販売事業
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15
|
その他事業
|
35
|
合計
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641
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(注) 1.従業員数は、就業人員数(当社から当社外への出向者及び人材会社からの派遣社員を除き、当社外から当社への出向者を含む)であり、パートタイマー、季節工等は在籍しておりません。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社グループの労働組合には、東映動画労働組合があり、2024年3月31日現在の組合員数は38名であります。また、当社の親会社である東映株式会社を中核とする東映グループ各社の労働組合を統括する連合体として、全東映労連「映画演劇労働組合総連合全東映労働組合連合」があります。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
提出会社
当事業年度
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管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1
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男性労働者の育児休業 取得率(%) (注)2
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労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1
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全労働者
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うち正規雇用労働者
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うち パート・有期労働者
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23.2
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44.4
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86.2
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86.4
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91.7
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(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。