第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

・世界の子どもたちと人々に「夢」と「希望」を届ける“創発企業”となる。

 

当社はこの経営理念の下、1956年の創業以来半世紀以上の長きにわたり、日本アニメーション業界のパイオニアとして、劇場作品278本、テレビ作品247本、総話数約14,000話に及ぶ日本最多・世界有数の規模のアニメーション作品を製作して参りました。

 

これらの多彩なライブラリー作品群、そして今後創作する新作品/新作話からなる魅力的かつインパクトのある「IP(=intellectual property)」を事業戦略の軸とし、世界中の人々を魅了する“新たな映像表現”を創造しグローバルに展開するアニメーションのトップランナーとして進化し続けることで、世界有数の映像製作・事業会社になることを目指しています。

 

(2)経営指標

2025年10月、当社では10年後(2035年度)を見据えた2030年度までの5か年計画、中期経営計画「VISION2030」を発表しました。

同計画では、5年後の2030年度には、売上高2,000億円/営業利益500億円、そして10年後の2035年度には、売上高5,000億円規模の企業となることを目指しています。

また、中計期間(2027年3月期~2031年3月期)を通じた財務KPIとして、自己資本比率70%以上、配当性向40%以上、最終年度の財務KPIとして、ROE15%以上、総還元性向50%、と掲げています。

 

(3)対処すべき課題

本年、当社は創立70周年を迎えました。

日本で最も長い歴史を有するアニメーション製作会社として、ここまで右肩上がりの成長を実現し、確固たる事業基盤を確立してきた経緯にあります。

一方、グローバル市場の拡大や情報通信技術の進化等を始めとする昨今の大きな事業環境の変化に対応し、自ら進化し続けるための挑戦が必要と捉えています。

係る問題意識の下、当社は、昨年10月に中期経営計画「VISION2030」を発表しました。

当社経営理念の「世界の子供たちと人々に夢と希望を届ける創発企業」の下、アニメ業界リーディングカンパニーの矜持として「世界中の人々を魅了する、アニメーションのトップランナーとして進化し続ける」をありたい姿として掲げました。

そして、この挑戦に相応しい定量目標として、同中計最終年度の2031年3月期に売上高2,000億円、営業利益500億円の達成を目指します。オーガニックな成長を軸に、有望な投資機会をとらえM&A等のインオーガニック成長にも挑戦し、市場平均を大きく超える成長(CAGR17%程度)の実現を目指します。

またこの5年間を“グローバル企業としての飛躍に向けた仕込み期間”と位置付け、戦略投資により事業基盤を大幅に強化し、10年後には、売上高5,000億円規模の企業となり「世界に冠たる東映アニメーションブランド」を確立することをAspiration/志(こころざし)として掲げました。

 

その達成を目指すための成長戦略4本柱は以下の通りです。

 

① スタジオの進化

業界一を誇る当社大泉スタジオを中心に据えた、グローバル製作体制を構築し、質・量両面で世界トップクラスを目指します。

数百名規模の人員増強、並びに国内外にスタジオを新設することにより、現状比約1.5倍に製作能力を拡充します。

そしてデジタル領域を再編の上、次世代製作技術を確立します。VR/AR、モーションキャプチャー、AI等の最新テクノロジーを駆使した新たな映像表現を実現します。

 

② IPの強化

世界のアニメーション市場は、今後も大きな成長が見込まれており、グローバル展開を前提としたIP創出・育成が不可欠です。

IPポートフォリオ戦略を一層高度化し、IPの多様化と増強を図り、グローバル市場での成長を確実なものにします。

既に世界的に知名度ある作品群については、映像製作はもちろん、宣伝やマーケティング面も強化し、グローバルIPとして地位を確固たるものにします。

それらに続く基幹IP群は、「成長・育成IP」として、IP毎の特徴や地域との親和性を見極め、国内外に広めます。

新規IP創出への挑戦も、一層強化します。地域毎の文化・慣習・規制の違いを理解する、現地有力パートナーやクリエーターとIPを共創し展開する多種多様な挑戦を続けます。

また、当社が誇る日本最大・世界有数のライブラリ作品群も、国内のみならず海外でも活用していきます。

 

③ 地域展開の強化

既に当社は欧米亜それぞれに強固な現地ネットワークを構築しています。既存地域での基盤をさらに強化すると共に、新たな成長地域にも積極的に進出し、将来的な海外売上比率を70%超に高めることを目指します。

新たに6地域へ進出、海外人員の増強、そして日本発IPの一層の輸出拡大に加え、海外発IPの展開を第二の海外事業の柱として確立することを目指します。

 

④ 顧客接点の拡大

商品販売事業、イベント事業の最大の意義は、「作品」と「ファン/顧客」を直接つなぐ「接点」を自ら持つことです。IP価値最大化に向け、顧客接点を増やし、ファンの数を増やすと共に、エンゲージメントを高め、成長サイクルを持続的なものとします。

従来からの国内ストア、催事はEC展開や物流の効率化を伴った上で、増加させます。また、飲食や総合エンタメ施設などの運営にも挑み、国内基盤をより強固なものとします。

また、国内のノウハウを活かした、海外でのストアやイベント展開にも挑戦します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

「世界の子どもたちに「夢」と「希望」を提供する“創発企業”となる。」

経営理念の実現に向けて、サステナビリティ活動は重要な取組であると認識しており、幅広いステークホルダーの皆さまと協働し、持続可能な社会へ貢献することで、企業価値向上を図ってまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①サステナビリティ全般

●ガバナンス

当社は、2022年6月に独立社外役員と社外有識者で構成される特別委員会を設置し、サステナビリティに関するガバナンス体制を強化しました。

特別委員会は、取締役会の諮問機関として、サステナビリティ全般に関わる事項を審議の上、取締役会に答申し、取締役会での議論深化に貢献しております。

 

●戦略

当社の経営理念の実現に向けた、サステナビリティに関する重点領域は下記表のとおりです。それぞれの領域に関する具体的な取り組みは、統合報告書にて紹介しております。

(https://corp.toei-anim.co.jp/ja/ir/library/PEROS_REPORT.html)

 

E(環境)

気候変動への対応

S(社会)

人的資本の開発

コンテンツ管理・運用

DX

地域との共生

G(ガバナンス)

ガバナンス体制の強化

コンプライアンス遵守

 

 

●リスク管理

サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する識別・評価・管理については、取締役会の諮問に応じて、特別委員会で討議され、その答申内容を踏まえて取締役会で議論する体制となっております。

 

●指標及び目標

当社グループのサステナビリティに関する指標及び目標は現時点では設定しておりません。今後、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標については、社内で議論を深めてまいります。

 

②人的資本

当社グループにおけるサステナビリティ関連の課題のうち、人的資本に関する「ガバナンス」及び「リスク管理」は以下の通りであります。なお、人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」については、改正開示府令第二号様式 記載上の注意(30)b及びcに基づき、後記の「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」に記載しているため、当該事項の記載を省略しております。

 

 

●ガバナンス

当社グループは、人的資本を中長期的な企業価値向上につながる中核的な「成長戦略を支える事業基盤」と位置づけており、そのさらなる拡充のため、経営陣による意思決定の迅速化と、取締役会による実効性の高い監督体制を構築しています。

・特別委員会による専門的審議

取締役会の諮問機関として、独立社外取締役および外部有識者で構成される特別委員会を設置し、人的資本を含むサステナビリティ全般に関わる事項を審議しています。同委員会では、中長期経営計画「VISION2030」における4つの成長戦略(スタジオの進化、IPの強化、地域展開の強化、顧客接点の拡大)を支えるための人的資本投資方針(人材基盤投資およびスタジオ開発投資等への資金配分)や、人材獲得・育成に係るKPIの進捗状況について、定期的かつ専門的な審議を行っています。

・取締役会による実効的な監督とコミットメント

取締役会は、特別委員会からの審議結果および答申を踏まえ、人材戦略の基本方針や「東映アニメーション作画アカデミー」を中核とする次世代クリエイター育成プログラムの執行状況、さらにはグローバル展開を主導する専門中途採用の進捗を実効的に監督しています。特に、中計期間(2027年3月期~2031年3月期)における戦略投資(作品開発、スタジオ開発、人材基盤等への配分)が経営戦略に照らして適正かつ機動的に実行されているかを監視し、経営陣のコミットメントを明確化しています。

 

●リスク管理

当社グループは、中期経営計画「VISION2030」に掲げるありたい姿「世界中の人々を魅了する、アニメーションのトップランナーとして進化し続ける。」を目指すために、人的資本にまつわる以下の「リスク」及び「機会」を経営戦略上の重要課題として識別・評価しております。

これらのリスクを最小化し、機会を最大化するための具体的かつ直接的な打ち手として、後述の「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」に掲げる各種施策を位置づけ、統合的な管理と実行を推進しています。

人的資本に関わる

重要テーマ

リスク

機会

対応する戦略

優秀なクリエイターの確保と製作体制の強化

グローバル配信プラットフォームの参入等に伴う世界的な人材獲得競争の激化により、製作能力が低下し、IPライフサイクルの長期化や新規IPの創出が停滞する

次世代クリエイターの自社育成・内製化体制を確立し、他社を圧倒する世界最高水準のスタジオ機能を持つことで、高付加価値なIP創造の主導権を確保する

・東映アニメーション作画アカデミーの運営

・大阪スタジオの設立による地域連携人材発掘

・オリジナル短編集「Pro, Pro, Pro!!」による挑戦の推奨

次世代技術の開発とテクノロジーとの共生

クリエイティブ(描画・表現)のコア領域にAIを拙速に導入することで、製作者の反発やモチベーション低下を招き、製作の現場力や作品ブランド価値が毀損する

事務的作業を先端技術で徹底して自動化し、クリエイターが「人間の創造力を極限まで発揮する活動」に専念できる独自のスタジオ環境を構築する

・世界有数の技術、体制を備え、さらなる映像表現を創造できる環境を構築

・先端技術やノウハウを保有する企業との資本業務提携

グローバル市場への進出と組織の多様性

国内発の画一化された視点や慣習にとどまることで、海外新興市場の多様な文化的ニーズやビジネスの壁(ライセンス営業・企画)に適応できず、海外売上比率の拡大が停滞する

性別、キャリア、国籍の枠を超えた多才な人材の視点と専門性を融合し、全世界で普遍的に深く愛される「グローバルIP」の展開力を飛躍的に高める

・グローバル市場での競争力を有する中途採用の圧倒的強化・将来のグローバル人材育成に向けた新卒の採用強化

・女性活躍推進

・柔軟な働き方(フレックス、テレワーク)や育休支援等の社内環境整備

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① アニメーションビジネスについて

当社グループはアニメーションを主軸として各事業を展開しております。当社では常に高品質なアニメーションを企画・製作することを心がけておりますが、アニメーションの人気は経済環境・市場環境のほか消費者の嗜好に左右され、事前にそれを正確に予測することは困難であるため、作品により人気の差異が大きく、当社の製作する作品が全てヒットするとは限りません。また、アニメーション製作には多額の先行費用を要するため、人気が出ず二次利用による収益が伸びない場合には、業績に大きな悪影響が生じます。そのため、当社が魅力的な作品を定期的かつ適時に投入できない場合や複数の新規投入作品が一定の成績に達しない場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 企業間競争について

アニメーション業界においては、メディアの多様化やターゲットの拡大等により展開されるコンテンツ数が増える一方で厳しい市場環境により、企業間での原作やアニメーターを始めとする人材の獲得競争が激しくなってきております。また、海外においては韓国や中国企業等が力をつけてきており、日本にも進出しています。当社は長年の経験と実績に裏付けされた、優れた企画力・製作力・展開力を擁して、成長戦略を推進しておりますが、競合企業が急速に成長した場合は、当社の競争力が低下し、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新について

近時、アニメーション業界において技術革新が進んでおり、例えばアニメーションの配信方法等に影響が生じております。また、当社においても、アニメーションの製作過程において、2Dと3D技術の融合などの新たな映像表現の開発に努めております。しかしながら、新技術の導入に伴い、追加の規制対応や人材確保が必要となりうるほか、当社グループがこれらの技術革新に適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 著作権の侵害について

当社グループは保有するアニメーションの著作権をもとにビジネスを展開しておりますが、海賊版や模倣品、違法配信等の権利侵害が確認されています。それらについてはケースごとに適切な対応をとるよう努めておりますが、著作権保護を十分に受けられない場合もあります。著作権侵害により正規商品やサービスの売上が阻害されるのはもちろんのこと、将来における機会逸失が見込まれ、また、第三者より著作権の侵害等のクレームを受ける可能性もあり、そのような場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 海外展開について

当社グループは、国内市場のみならず海外市場に向けてもアニメーション作品を展開しております。しかしながら、海外における事業展開は、各国の地政学リスクの影響を受けることに加え、当社グループのアニメーション作品が現地で受け入れられない可能性、法規制、商慣習及び言語の違いによるトラブル、現地企業との協業が奏功しない可能性、現地従業員の採用その他労働問題等の様々なリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの海外事業に支障が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 人材の採用等について

当社グループの事業の継続的な成長においては、優秀なアニメーター等の採用、確保及び育成が重要となります。しかしながら、近時アニメーション業界においては、新規参入企業の増加や業界全体の製作量の増加により、アニメーター等の獲得競争が激化しております。当社グループは人材の採用、確保及び育成のために諸施策を講じておりますが、かかる施策が奏功せず、事業に必要なアニメーター等を採用、確保及び育成できなかった場合や、当社グループのアニメーター等が他社へ流出した場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 第三者との関係について

当社グループは、テレビ放映局、映画配給会社及び配信プラットフォーム業者、原作者及び出版社、アニメーションに係る権利のライセンス先、アニメーション製作過程における外注先等様々な第三者との事業上の関係があります。これら第三者との関係が悪化し、事業上の関係が解消された場合には、当社グループの事業遂行に重大な支障が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 為替変動について

当社グループの事業には、海外におけるアニメーションの製作と販売が含まれており、海外企業(海外子会社を含む)との外貨建取引において、急激な為替の変動等により、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 情報セキュリティについて

当社グループでは、情報管理を徹底し、適切なセキュリティ対策を行い、関連する各種規程を整備しております。しかしながら、予測の範囲を超えたサイバー攻撃、不正なアクセス、コンピュータウィルスへの感染等により情報システムや情報通信ネットワークに重大な障害が発生した場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損される可能性があります。

かかるリスクへの対応として、当社では、従業員への情報セキュリティに関する知識の向上に向けた教育及び不正アクセスへの対応体制の強化などを行っています。

 

⑩ 自然災害・感染症等について

当社グループは、日本をはじめ世界各国で事業を展開しておりますが、地震等の大規模な自然災害、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の世界的流行(パンデミック)が発生した場合には、当社グループの事業活動の一部又は全体に大きな支障をきたすことが考えられ、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 社会的信用について

当社グループの事業の拡大のためには、社会的信用並びに広く認知されたブランドが非常に重要ですが、当社グループ及びその事業等に否定的な主張や風評がなされ、また、ソーシャルメディアで拡散された場合には、仮にかかる主張や風評が真実でないとしても、当社グループの社会的信用やブランドに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。かかる事態が生じた場合には、当社グループの事業、人材獲得、株価、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ M&Aや提携等について

当社グループは、更なる事業成長のためにM&Aや提携等を実施する可能性があります。しかしながら、M&Aや提携等の実施に際しては、当初期待したシナジーや収益が得られる保証はなく、相手方により解消を求められる可能性もあります。また、M&Aや提携等の実施後に、当初想定していなかった新たな問題点が発見される可能性もあります。かかる事態が生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑬ 法規制について

当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、国内外で様々な法規制の適用を受けております。当社グループは関連法令等の遵守に係る体制整備に努めておりますが、今後、法規制の新設又は改正が行われた場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 訴訟等について

当社グループは、事業活動を行う中で、消費者、顧客、提携先、ライセンス元、ライセンス先、外注先、従業員、当局を含む様々な第三者から訴訟その他法的手段の提起等やクレームを受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合には、それ自体当社グループの社会的信用を棄損する可能性があるうえ、仮に当社グループに不利益な決定がなされた場合には、金銭的な負担に加え、当社グループの社会的信用、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

※当社は東映グループとして、リスクマネジメント体制においてもその優先すべきリスクについて共有し、グループ全体としての優先すべきリスクについて適切に対処しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度において、当社グループでは「ワンピース」、「ドラゴンボール」シリーズ、「プリキュア」シリーズ、「デジモンアドベンチャー」シリーズ等の主力作品群に加え、昨年度に投入した「ガールズバンドクライ」等のグローバル展開による安定的な収益の確保・拡大を図りました。

この結果、当連結会計年度における売上高は936億69百万円(前連結会計年度比7.1%減)、営業利益は310億18百万円(同4.4%減)、経常利益は334億62百万円(同0.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は250億70百万円(同6.1%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります(セグメント間取引金額を含む)。

なお、セグメント損益は、営業利益ベースの数値であります。

 

[映像製作・販売事業]

劇場アニメ部門では、前年度からの継続公開となった「映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン」(2025年3月公開)に加え、9月に「映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!」、10月に「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 前編 青春狂走曲」、11月に「劇場版総集編 ガールズバンドクライ 後編 なぁ、未来。」を公開しました。前年同期に公開した、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版」程には至らず、減収となりました。

テレビアニメ部門では、「ワンピース」、「キミとアイドルプリキュア♪」(2026年2月より「名探偵プリキュア!」)、「科学×冒険サバイバル!」、「DIGIMON BEATBREAK」、「おしりたんてい」、「ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ」、「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」の7作品を放映しました。前年同期と比較して放映作品話数が減少したこと等から、減収となりました。

コンテンツ部門では、「ガールズバンドクライ」のブルーレイ・DVDが好調に稼働したものの、前年発売の映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」程には至らず、前年同期と比較して減収となりました。

海外映像部門では、「ワンピース」の配信権販売が好調に稼働したものの、「ドラゴンボール」シリーズの海外配信権・ビデオ化権販売の反動減により、大幅な減収となりました。

その他部門では、映画「THE FIRST SLAM DUNK」、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」をはじめとした、国内の映像配信権販売の反動減により、大幅な減収となりました。

この結果、映像製作・販売事業全体では、売上高は311億51百万円(前連結会計年度比16.5%減)、セグメント利益は87億51百万円(同15.7%減)と減収減益となりました。

 

[版権事業]

国内版権部門では、前年同期の「ワンピース」周年施策、「ドラゴンボール」シリーズ新作関連の反動減があり、前年同期の勢いには至らなかったことから、大幅な減収となりました。

海外版権部門では、「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売の反動減はあったものの、「ワンピース」、「デジモンアドベンチャー」シリーズの商品化権・ゲーム化権販売が好調に稼働したことから、前年同期と比較して若干の増収となりました。

この結果、版権事業全体では、売上高は489億5百万円(前連結会計年度比3.3%減)、セグメント利益は267億20百万円(同3.1%増)と減収増益となりました。

 

 

[商品販売事業]

商品販売部門では、前年同期に好調に稼働した映画「THE FIRST SLAM DUNK」の商品販売の反動減により、大幅な減収となりましたが、「ドラゴンボール」シリーズ、「プリキュア」シリーズのショップ事業が好調に稼働し、増益となりました。

この結果、売上高は79億23百万円(前連結会計年度比14.0%減)、セグメント利益は7億34百万円(同12.3%増)と減収増益となりました。

 

[その他事業]

その他部門では、催事イベントやキャラクターショー等を展開しました。「プリキュア」シリーズ、「ガールズバンドクライ」の催事が好調に稼働したことから、大幅な増収となりました。

この結果、売上高は63億25百万円(前連結会計年度比46.6%増)、セグメント利益は3億56百万円(同101.7%増)と増収増益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ96億23百万円増加し、764億6百万円となりました。

その要因は以下のとおりであります。

なお、連結貸借対照表に掲記されている現金及び預金勘定927億48百万円との差異は、預入期間3ヶ月超の定期預金165億18百万円等であります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動の結果得られた資金は、169億50百万円(前連結会計年度は271億63百万円の獲得)となりました。資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益341億75百万円、売上債権の減少28億37百万円、資金の減少の主な内訳は、棚卸資産の増加32億90百万円、仕入債務の減少50億56百万円、法人税等の支払額106億78百万円であります。なお、減価償却費7億59百万円は、資金流出の発生しない費用であるため、キャッシュ・フロー計算書では資金増の要因となっております。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動の結果得られた資金は、9億89百万円(前連結会計年度は55億41百万円の使用)となりました。資金の増加の主な内訳は、貸付金の回収による収入31億17百万円、定期預金の払戻による収入389億83百万円、資金の減少の主な内訳は、定期預金の預入による支出398億67百万円であります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動の結果使用した資金は、91億53百万円(前連結会計年度は64億40百万円の使用)となりました。これは、主に配当の支払によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ 受注製作事業実績

当社グループは、映像製作・販売事業において、劇場アニメ作品・テレビアニメ作品の受注製作を行っており、当連結会計年度の製作実績及び受注実績を示すと次のとおりであります。

 

a.製作実績

区分

製作高(百万円)

前期比(%)

劇場アニメ作品

1,429

60.8

テレビアニメ作品

6,398

105.2

合計

7,828

92.8

 

(注) アニメ作品製作について、作業の一部を外注に依存しております。
(主な外注先:㈱ウィットスタジオ、㈱青二プロダクション、㈱ぎゃろっぷ)
なお、当連結会計年度における外注費は、6,404百万円であります。

 

b.受注実績

区分

本数

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

劇場アニメ作品

3

1,544

428.9

1,436

1,063.7

テレビアニメ作品

150

1,066

73.7

749

64.0

合計

153

2,610

144.4

2,185

167.4

 

 

ロ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

映像製作・販売事業

31,140

83.5

版権事業

48,459

96.3

商品販売事業

7,896

85.8

その他事業

6,172

153.6

合計

93,669

92.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱バンダイナムコエンターテインメント

17,271

17.1

16,083

17.2

 

3.東映グループ(除く東映㈱及び当社の子会社)に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

東映グループ

259

0.3

125

0.1

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前期末比112億91百万円増2,022億71百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて6.0%増加し、1,355億66百万円となりました。これは、現金及び預金が102億74百万円、仕掛品が30億93百万円増加し、関係会社短期貸付金が30億65百万円、受取手形及び売掛金が24億44百万円減少したこと等によるものです。

その結果、流動資産合計は前期末比76億25百万円増1,355億66百万円となりました。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて5.8%増加し、667億4百万円となりました。これは、投資有価証券が21億99百万円、長期預金が8億円、建物及び構築物(純額)が2億86百万円増加したこと等によるものです。

その結果、固定資産合計は前期末比36億65百万円増667億4百万円となりました。

(負債の部)

当連結会計年度末の負債合計は、前期末比65億49百万円減312億31百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて22.1%減少し、265億10百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が47億65百万円、未払法人税等が24億35百万円減少したこと等によるものです。

その結果、流動負債合計は、前期末比75億25百万円減265億10百万円となりました。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて26.0%増加し、47億21百万円となりました。これは、繰延税金負債が9億72百万円増加したこと等によるものです。

その結果、固定負債合計は、前期末比9億75百万円増47億21百万円となりました。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比178億40百万円増1,710億39百万円となりました。

株主資本については、利益剰余金が前期に係る剰余金の配当により83億90百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益により250億70百万円増加いたしました。

その結果、株主資本は、前期末比160億28百万円増1,545億81百万円となりました。

その他の包括利益累計額については、その他有価証券評価差額金が10億57百万円、為替換算調整勘定が7億55百万円それぞれ増加いたしました。

その結果、その他の包括利益累計額は、前期末比18億12百万円増164億58百万円となりました。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、その他事業は増収の一方で映像制作・販売事業、版権事業、商品販売事業は減収であったため、前期比71億66百万円減936億69百万円となりました。

各セグメントの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」、海外部門の売上高につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「セグメント情報等 関連情報」をご参照ください。

(売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前期比79億48百万円減444億65百万円となりました。

収益性の高い海外商品化権販売の好調に加え、前年同期の新作映像分の製作原価減少により、原価率は47.5%となりました。

その結果、当連結会計年度の売上総利益は、前期比7億81百万円増492億3百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人件費の増加等により、前期比21億95百万円増181億85百万円となりました。

その結果、当連結会計年度の営業利益は、前期比14億14百万円減310億18百万円となりました。

また、売上高営業利益率は32.2%から33.1%となりました。

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度の営業外損益は、為替差益が増加したこと等により、営業外損益の純額では、前期比16億88百万円の増となりました。

その結果、当連結会計年度の経常利益は、前期比2億74百万円増334億62百万円となりました。

また、売上高経常利益率は32.9%から35.7%となりました。

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券売却益があったことにより、特別損益の純額では、前期比10億92百万円の増となりました。

その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前期比13億66百万円増341億75百万円となりました。

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等合計は、前期比80百万円減91億5百万円となりました。また、税効果会計適用後の法人税等の負担率は26.6%となりました。

その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比14億46百万円増250億70百万円となりました。

 

当社グループは、海外における展開地域や事業の拡大、新規IPの創出とIPライフサイクルの長期化、映像製作能力の進化等により、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すべく、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載した方針に基づき、各種課題に取り組んでまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの分析)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入から、投資活動によるキャッシュ・フローの支出を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは179億39百万円(前連結会計年度は216億21百万円)となりました。

これは、営業活動によるキャッシュ・フローが減少したことが主な要因です。

なお、翌連結会計年度において、重要な資本的支出の予定はありません。

 

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

アニメーションビジネスは、先行投資型ビジネスであり、製作段階で、多額の製作資金を投入し、その後、完成した作品の映像著作権をベースに、各種事業を展開し、製作資金を回収していくのが基本的なスキームです。作品によって、回収に要する期間はさまざまであり、複数の作品が、一定の成績に達しない場合、営業活動から創出される資金が減少することも想定されますが、新規作品の企画製作は、当社グループが成長・発展していくために欠かせないものです。

そのため、当社グループは、運転資金、設備投資資金はもとより、新規作品の企画製作費用についても、充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することに努めております。

また、各子会社の余剰資金につきましては、配当金により当社へ集約することを基本に考えておりますが、将来におけるより効率的な資金運用に向けた施策として、キャッシュ・マネジメント・システムにより、一部の海外子会社より資金を集約しております。

 
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、製品、仕掛品の評価、非上場株式の評価、貸倒引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、役員株式給付引当金の計上等について見積り計算を行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(1) 当社の販売業務委託契約

相手方

契約品目

契約内容

契約期間

東映㈱

テレビシリーズアニメ作品の放映権
テレビシリーズアニメ作品の再放映権
テレビシリーズアニメ作品のビデオ化権

各権利の販売代理業務

1999年4月1日締結
期限の定めなし(注)

 

(注) 当初契約日:放映権については1967年9月1日、再放映権については1974年3月1日。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。