第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、中期スローガンとして「安心をお届けする不二精機グループ」を掲げ、品質管理体制の徹底強化によるグループ一体となった顧客満足のさらなる追求を図り、精密金型のコア技術をもとに高生産性・高付加価値製品の提供に努めてまいります。

また、株主、顧客、取引先、地域社会、従業員等の利害関係者の信頼と期待に応えるべく透明性の高い情報開示を目指しつつ、積極的な事業活動を展開してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

中期目標としては、高付加価値製品の拡大及び地道な生産性の改善により、連結営業利益率10%以上を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

今後の縮小が予想される日本市場にあって、精密金型事業では安定的な受注を確保するため、松山工場をサービス拠点とし、特に医療用品分野、食品容器分野の顧客開拓に注力してまいります。また、精密成形品事業では2023年に操業を開始した鈴鹿工場と、2019年に連結子会社化した秋元精機工業株式会社との連携を活用し、自動車部品分野を中心に収益の拡大を目指してまいります。

成長性の高いアジア市場においては、2013年に操業を開始したインドネシア子会社を加え、従来のタイ・中国の製造子会社を活用し、自動車部品分野をさらに拡充することにより稼働率のアップを図り、精密成形品事業を中心とした収益の拡大を目指してまいります。

 

(4) 経営環境

我が国経済のみならず、米国、中国の対立やロシアによるウクライナ侵攻の影響等により海外経済の不確実性も高まり、先行きは依然として不透明な状況で推移しております。今後の縮小が予想される日本市場と成長性の高いアジア市場にあって、各業界において技術革新が進み、事業を取り巻く環境は一段の厳しさを増しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

精密金型事業は、受注毎に仕様の異なる「金型」の個別受注生産であり、顧客の設備投資計画に大きく左右されることから、安定的・継続的な受注の確保が最大の課題であります。安定受注の確保に向けて、顧客での付加価値を生む技術革新を継続し、医療関連製品分野への集中及び研究開発による新技術の提案・生産性向上によるコスト競争力強化に加え、的確な顧客情報の収集体制の整備により、競合メーカーとの差別化に取り組んでまいります。

精密成形品事業では、中期的に安定稼働が可能な自動車関連部品の更なる拡大を目指しております。生産量拡大への生産設備の増強、品質保証体制の継続的強化を進めるとともに、急速に進むことが予想される電気自動車化に対応して、パワーユニット(駆動方式)に左右されない精密部品の受注活動を計画的に進めてまいります。

アジア市場での人件費の上昇に対しては、海外工場での生産工程の自動化・半自動化を進めるとともに、全拠点での5S活動(改善活動)の徹底的な実施によるグループ全体の生産性の向上によって、中期的な利益目標の達成を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは「安心をお届けする不二精機グループ」を目指しており、コーポレート・ガバナンスについては、必要最小限の取締役の迅速な意思決定により、継続的に企業価値を高めるとともに、経営の透明性の向上を図り、全てのステークホルダーの皆様からの信頼を高めることと考えております。当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、前述のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に則して、サステナビリティを巡る課題についても、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。

お客様に「安心をお届けする」経営に積極的・能動的に取り組むことで、中長期的な企業価値の向上とサステナビリティ課題の解決の両立を目指し、当社グループが具体的に対処すべきサステナビリティ課題を明確にし、その具体的な対処法をリスク管理と収益化の観点を含め、開示できるような取り組みを継続的に検討してまいります。サステナビリティ課題は広範囲に及びますが、当社グループでは以下の気候変動・環境問題への取組は不可欠と考えております。

(1)気候変動・環境問題に関する取組(TCFD提言への対応)

①ガバナンス

当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サステナビリティ関連のテーマに関わらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視及び管理するためのガバナンス体制を強化する取り組みとして、コンプライアンス・リスク管理委員会内にサステナビリティ担当を設置いたしました。サステナビリティ担当は、持続可能性の観点から「環境」、「社会」、「ガバナンス」に関連するリスクの把握と対策を行い、取締役会へ定期的に報告する体制を整備しております。また、当社グループでは「ISO14001」を取得しており、これを通じて環境リスクの管理と持続可能な事業運営を推進しております。

新たに専門委員会を設置することなく、既存のコンプライアンス・リスク管理委員会を通じて、サステナビリティ課題を効率的に取り扱うことで、取締役会における討議や計画実行のモニタリングを機動的に行っております。これにより、当社グループは「安心をお届けする」経営を積極的に推進しつつ、サステナビリティ課題にも適切に対応しております。

[ガバナンス体制図]

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②戦略

当社グループでは、世界的な課題となっている地球環境問題を含む気候変動リスクへの対応は重要課題の一つと認識しております。将来の気候変動がもたらす環境問題は、当社グループの事業活動及び財務面に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは気候変動に関するリスクと機会を下表のとおり評価し、対応を検討しております。

カテゴリー

財務への潜在的な影響

期間※1

影響度※2

リスク

移行リスク

政策と法

GHG排出量に対する炭素税等の導入により、エネルギーコスト、物流コストが増加。

中期

市場

EV化の進展により従来部品の需要が減少し、売上が減少。

中期

物理的リスク

急性

洪水や台風などの災害により、工場の機能停止やサプライチェーンの混乱が発生。これに伴い、短期的に売上の減少や復旧費用の増加。

小~大

慢性

エネルギーコストの長期的な上昇により、製造コストが増加する恐れ。また、設備の劣化が早まり、メンテナンス費用が増加。

長期

機会

資源効率

省エネ技術の導入により、エネルギーコスト削減の効果が期待。運用コストの低減や規制対応費用の軽減を通じ、収益改善に貢献。

短期

製品とサービス

EV関連部品の受注増加により、新規顧客獲得や売上成長が期待できる。さらに、ブランド価値の向上が資金調達の優遇に繋がる可能性も期待できる。

中期

(注)

※1 想定した期間 短期:2年以内 中期:2030年度まで 長期:2050年度まで

※2 影響度の定義

大:当社事業及び財務への影響が非常に大きくなることが想定される

中:当社事業及び財務への影響がやや大きくなることが想定される

小:当社事業及び財務への影響が軽微であることが想定される

③リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクと機会を各部署が報告し、コンプライアンス・リスク管理委員会内で識別、評価、管理を行う体制を整えています。経営会議で定例的に報告し、必要に応じて取締役会で内容を検討し、適切な措置を講じております。今後は、コンプライアンス・リスク管理委員会を通じて、グループ全体でリスク管理体制をさらに強化していく所存です。

④指標及び目標

当社グループでは、現時点でサステナビリティに関する基本方針を定めておりません。しかしながら、地球温暖化と気候変動がもたらすリスクを認識し、まずは現状把握を目的として、GHG(温室効果ガス:CO2)排出量の把握を開始いたしました。

 

当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、事業活動に伴うGHG排出量(Scope1、Scope2)については2024年を基準年といたしました。2024年を基準年と設定したのは、EV向け部品の開発・生産を行う鈴鹿工場が同年から本格稼働を開始したためです。

今後の具体的な取り組みとして、各種省エネ施策の実施、社用車をより環境に優しい車種に変更、工場への太陽光パネル設置等を検討しております。また、Scope3についても削減目標を設定し、サプライチェーン全体でのGHG削減及び同排出量の開示に向けた取り組みを進めてまいります。

(イ)定義及び目標

定 義

Scope1及びScope2に該当するGHG排出量

目 標

《最終目標》2050年度までにカーボンニュートラル実現

(ロ)実績

当社では、集計した電気使用量を基にGHG排出量を算出し、取り組みの進捗状況を管理しております。しかし、当該データは第三者による検証を受けておらず、さらに工場の稼働状況によりデータ自体が大きく影響を受け、正確な比較が困難であることから、具体的な集計数値は公表しておりません。

今後は、より正確な削減効果の把握を目的として、社内独自の指標を用いた削減状況の可視化を検討してまいります。

(2)人的資本経営への取組

お客様に「安心をお届けする」当社グループにおいて、持続的な成長や企業価値向上を実現していくうえで、人材は最も重要な経営資源であると考えております。

①ガバナンス

当社グループでは、従業員の安全と健康を最優先に、内部統制及びリスクマネジメントの体制の強化に努めています。コンプライアンス・リスク管理委員会及び各工場の安全衛生委員会は、定例会議等を通じて、現場からの情報を収集し、人的資本の持続可能な成長の基盤を確保しています。

②戦略

当社グループでは、「人材は最も重要な経営資源」であるとの認識のもと、社内外問わず中核人材の登用に際しては多様性の確保とその育成が重要であり、従業員一人ひとりの成長が企業全体の競争力向上に直結すると考えております。今後は、不足人材層を明確化し、採用計画を検討しながら、具体的には多様性の確保とその育成に取り組んでまいります。

③リスク管理

当社グループでは、人的資本に関連する潜在リスクを早期に把握し、適切な対策を講じる体制を整備しています。安全衛生委員会は、定期的なストレスチェックの結果や現場からのフィードバックをもとに、健康リスクや労働環境上の課題を評価し、迅速な改善策を実行しております。また、e-ラーニングを活用したリスク認識向上研修により、全社員がリスク管理の重要性を理解し、潜在的な問題の早期解決に努めています。

④指標及び目標

当社グループでは、上記②戦略において記載した人材の多様性の確保とその育成及び職場環境の整備の方針について、現在、ストレスチェック受診率、e-ラーニング受講率・修了率といった具体的な指標及び目標の設定を検討しております。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループの事業等のリスクを必ずしも全て網羅するわけではないことにご留意願います。

(1) 政治・経済情勢

当社グループは、射出成形用精密金型及び成形システム、精密成形品その他製品を国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しております。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退が生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 重要な取引先の経営成績悪化、事業撤退等

当社グループは、射出成形用精密金型及び成形システム、精密成形品その他製品を国内外の様々な取引先に販売しておりますが、精密成形品の一部製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、経営成績の悪化や当該製品に関係する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求等が生じた場合には、当社グループの売上減少が生じる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 与信

当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。また、当社で定める与信管理規程に基づき、取引先の与信限度額を設定する等、与信リスクを最小化する努力を続けております。しかしながら、景気後退等により重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生する等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製品の欠陥等

当社グループは、製造物責任賠償については保険に加入しているほか、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するためにも、当社で定める品質管理規程に基づき、射出成形用精密金型及び成形システム、精密成形品その他製品を生産しております。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとは限りません。このため、重大な製品の欠陥等が発生した場合には、多額の損害賠償や当社グループの信用失墜が生じる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 原材料の購入

当社グループは、射出成形用精密金型及び成形システム、精密成形品その他製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しております。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先からの購入を行っておりますが、取引先の都合等で必要な原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や、当該原材料の需給バランス等により、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 特許・知的財産

当社グループは、精密金型のコア技術をベースに、射出成形用精密金型及び成形システム、精密成形品その他製品等参入障壁の高い、高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っております。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めておりますが、金型については、一般消費財と異なり、模倣されても権利者が侵害された事実を把握することが難しいため、第三者による類似製品の生産販売を防止できない可能性があります。さらに、当社グループでは、他社の特許・知的財産権に配慮しながら、製品や技術の開発を行っておりますが、これらの開発等の成果が他社の特許・知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの特許・知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の特許・知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償金の支払いが生じる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 公的規制

当社グループは、国内外の各地で生産活動のほか企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連等様々な公的規制を受けております。そのような中、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や電力制限等が行われた場合、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 為替レートの大幅変動

当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売及び生産が相当程度含まれております。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上高の減少やコスト上昇、あるいは価格競争力の低下が発生すること、また会計上決算期末日のレートで債権債務の評価替えを実施することによる評価損益の発生等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 金利の大幅変動

当社グループは、資金を金融機関からの借入等により調達しており、金利変動リスクにさらされています。当社グループは,このような金利変動リスクを可能な限り回避するために様々な手段を講じていますが、現在の低金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれる等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 災害等

当社グループは、国内外の各地で生産、販売活動を行っており、災害等について、それぞれの工場ほか各事業所での安全・防災管理及び設備管理を徹底する等、可能な限り、その発生を未然に防ぐように努めております。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害等の自然災害や火災等が発生した場合には、生産活動ほかに著しい支障が出る等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 感染症の拡大等

当社グループは、国内外の各地で生産、販売活動を行っており、感染症の拡大等について、それぞれの工場ほか各事業所での衛生管理及び感染予防を徹底する等、可能な限り、その拡大を未然に防ぐように努めております。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な感染症の拡大等が発生した場合には、生産活動ほかに著しい支障が出る等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における我が国経済は、米国、中国の対立やロシアによるウクライナ侵攻の影響等により海外経済の不確実性が高まり、先行きは依然として不透明な状態で推移いたしました。

 このような環境の中、当社グループは、中期スローガンとして「安心をお届けする不二精機グループ」を掲げ、品質管理体制の徹底強化によるグループ一体となった顧客満足の更なる追求を図り、精密金型のコア技術をもとに自動車及び二輪車などの成形事業分野への積極的な展開を行い、顧客への高付加価値製品の提供による安定受注の拡大に努めてまいりました。

 また、「『考動』で価値を創る」をグループ全社員の行動理念とし、「お客様の利益の最大化」を目標に、新たな価値創造、また「5S活動」を基本とする着実な品質改善活動に取り組んでおります。

(1) 財政状態の状況

総資産は、前連結会計年度末に比べ9億35百万円(11.0%)増加し、94億37百万円となりました。

流動資産は、主に現金及び預金が2億96百万円、仕掛品が2億26百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ6億2百万円(14.4%)増加し、47億83百万円となりました。

固定資産は、主に機械装置及び運搬具が1億15百万円、建設仮勘定が2億84百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億32百万円(7.7%)増加し、46億53百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ6億2百万円(11.3%)増加し、59億25百万円となりました。

 流動負債は、主に契約負債が2億52百万円、電子記録債務が54百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億56百万円(9.7%)増加し、40億16百万円となりました。

 固定負債は、主に長期借入金が2億1百万増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2億45百万円(14.8%)増加し、19億8百万円となりました。

 純資産は、主に利益剰余金が82百万円、為替換算調整勘定が2億27百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億33百万円(10.5%)増加し、35億11百万円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.2ポイント減少し、37.2%となりました。

(2) 経営成績の状況

 当連結会計年度の売上高は、射出成形用精密金型及び成形システム事業の売上高が3億67百万円減少した一方で、精密成形品その他事業の売上高が3億55百万円増加したことにより、前連結会計年度比12百万円(同0.1%)減少の82億51百万円となりました。

損益につきましては、売上総利益率は前期からやや改善しましたが、鈴鹿工場でのEV向け部品の開発活動による研究開発費や人材採用費用等の増加により販管費が増加し、営業利益は前連結会計年度比20百万円(同4.7%)減少の4億4百万円となりました。経常利益は、為替差損や新規の資金調達に伴う手数料などにより営業外費用が37百万円増加したため、前連結会計年度比69百万円(同17.3%)減少の3億28百万円となりました。特別損益項目、法人税等を加え、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比93百万円(同40.2%)減少の1億39百万円となりました。

  当連結会計年度のセグメント別の経営成績については、以下のとおりであります。なお、以下の記載はセグメント間の内部売上高又は振替高を含んだ金額によっております。

<射出成形用精密金型及び成形システム事業>

  主力製品であり利益率の高い医療機器用精密金型の売上高が減少したことから、当セグメントの売上高は前連結会計年度比3億56百万円(同11.7%)減少の26億82百万円となりました。また、検収いただいた金型の利益率自体の低下により、セグメント利益は前連結会計年度比1億45百万円(同64.6%)減少の79百万円となりました。

 なお、個別受注生産である当事業の受注残高は、安定的に推移しております。

 

<精密成形品その他事業>

  主力製品である自動車部品用成形品は東南アジア市場を中心に中期的な受注をいただき、当セグメントの売上高は前連結会計年度比3億55百万円(同6.7%)増加の56億76百万円となりましたが、品質管理体制強化の効果もあり、セグメント利益は前連結会計年度比1億39百万円(同68.0%)増加の3億43百万円となりました。

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度に比べ2億96百万円増加し、14億58百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果、獲得した資金は、8億55百万円(前連結会計年度は10億97百万円の獲得)となりましたが、これは主として税金等調整前当期純利益3億13百万円、減価償却費6億10百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果、使用した資金は、6億17百万円(前連結会計年度は5億17百万円の使用)となりましたが、これは主として有形固定資産の取得による支出6億66百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、支出した資金は、19百万円(前連結会計年度は4億4百万円の支出)となりましたが、これは主として長期借入れによる収入7億87百万円があった一方、長期借入金の返済による支出5億44百万円、リース債務の返済による支出81百万円があったことによるものであります。

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、人件費のほか、その他の製造費用、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。一方で、投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入で調達することを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入で調達することを基本としております。

 当連結会計年度において、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載しておりますとおり提出会社において設備投資などを予定しておりますが、自己資金及び金融機関からの借入金により調達してまいります。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は35億33百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14億58百万円となっております。

(5) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

射出成形用精密金型及び成形システム事業

2,816,795千円

 97.7

精密成形品その他事業

5,659,349千円

106.4

合計

8,476,145千円

103.3

(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2. 金額は、販売価格で表示しております。

② 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

射出成形用精密金型及び

成形システム事業

2,879,082

104.6

1,405,522

132.4

精密成形品その他事業

5,667,250

107.1

 512,894

101.3

合計

8,546,333

106.3

1,918,417

122.4

(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2. 金額は、販売価格で表示しております。

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

前年同期比(%)

射出成形用精密金型及び成形システム事業

2,575,242千円

87.5

精密成形品その他事業

5,676,068千円

106.7

合計

8,251,311千円

99.9

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

   2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

PT. HITACHI ASTEMO BEKASI POWERTRAIN SYSTEMS

928,568

11.2

1,038,882

12.6

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループでは、高品質なプラスチック成形品を長期的・安定的に生産することができる精密金型技術を提供することによって、「お客様の利益の最大化」を目標に、生産性を高めるための金型構造の改善、新たに開発された樹脂の活用などの研究開発活動に取り組んでおります。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は86,473千円であります。

(1) 射出成形用精密金型及び成形システム事業

射出成形用精密金型及び成形システム事業では、医療用品関連分野で長期的に継続して大量生産が可能な、長寿命で生産性の高い金型の試作研究を実施し、自動車部品関連分野で耐熱性などを高めた新たな樹脂を使用することによって、自動車の軽量化につながるプラスチック部品の製造が可能になる金型の研究開発などを進めております。

射出成形用精密金型及び成形システム事業に係る研究開発費は18,631千円であります。

(2) 精密成形品その他事業

精密成型品その他事業では、鈴鹿工場のEV向け部品の開発活動が本格化しております。

精密成形品その他事業に係る研究開発費は、67,841千円であります。