第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1.会社の経営の基本方針

当社は1918年に日本初の純国産万年筆の製造、販売を開始して以来、100年にわたり「書く」という文化の一端を担う者としての自負を持ち、「書く、を支える。」企業として、製品の開発、新市場の開拓、新しいサービスの提供を行ってまいりました。現在では万年筆のみならずボールペンをはじめとした当社の筆記具全般が、当社グループにより世界180以上の国と地域で販売され、各地でご愛用いただいております。この「書く、を支える。」という基本理念は、創立100周年を超えても変わることなく、業界の水先案内人として、付加価値の高い高品質かつ適正な価格の製品の開発・製造・販売を継続し、お客様に満足いただける製品を広く供給することで、PILOT及びNAMIKIブランドを世界中で愛していただけるような経営を目指しております。

 

2.目標とする経営指標

当社グループの目標とする経営指標につきましては、連結経営を重視する中で、連結売上高、連結営業利益並びに連結経常利益の伸長に努め、引き続き安定的な利益体質の構築に向けた経営基盤の強化を目指してまいります。

 

3.中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、継続的に他社と差別化した付加価値の高い製品を開発し、適正な価格で販売することにより、価格競争で消耗することなく利益を確保していくこと、世界各国の経済状況を見極め、適時かつ適所に製品を投入し、販売エリアを拡大していくこと及び主力のステイショナリー用品事業により培った技術や販売ルートを活用した関連事業を展開することにより、事業領域と収益の拡大を図っていくことを中長期的な会社の経営戦略の基本としております。

また同時に、継続的に事業を推進し、企業基盤を盤石にするための人材確保、育成にも積極的に取り組んでまいります。それをより具体的にするため、当社グループは、2019年を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定し、その進捗を図っております。

 

〔中期経営計画概要〕

(1) 経営方針:「変わらぬ想い、新たな挑戦、次の100年へ」

①  変わらぬ想い … 創立以来、築かれ培われてきた技術と伝統を大事にし、未来に継承していきます。

②  新たな挑戦 …… 常に市場と向き合い、最高の満足を顧客に提供できるような顧客中心企業として、新たな視点、新しい発想、斬新なアイディアを歓迎し、タブーなく議論し、変わるべきところは変わり、時代や環境の変化に対応します。

③  次の100年へ…… この3年間で次の進化へとつながる基盤を作り、世界の顧客に、この先も驚きと感動と満足を届けられるような、愛されるパイロットを創ってまいります。

 

(2) 将来的に目指す姿:「世界のそれぞれの国と地域でマーケットシェアトップの企業になる」

                      「当社が製造するすべての製品カテゴリーでトップとなるアイテムをつくる」

上記目標を実現するために、本中期経営計画においては

①  製品・サービス全般にわたり、顧客目線に立ち、顧客満足度の最大化を図ります。

②  ブランドが顧客に選ばれる商品力・販売力・供給力の充実を図ります。

③  目標の達成及び経営基盤の強化のためにグループ内の人材育成を図ります。

以上を重点施策として段階的に実施してまいります。

 

当社は、2018年10月に創立100周年を迎えましたが、それは決してゴールではなく、1つの通過点に過ぎないという事をグループ社員一同が共通して認識し、その先も継続的、安定的に成長していけるような諸施策を策定し、推進して更なる企業価値の向上を図ってまいります。

 

4.会社の対処すべき課題

当社グループは「書く、を支える。」企業として、世界180以上の国と地域で製品を販売しております。世界経済が不透明感を増す中、グローバルに展開する際の為替の変動リスクにも耐えうる収益構造へと改善を進めてきた結果、近年では大幅な利益率の向上を実現し堅調な業績を維持しております。少子化に伴う国内市場の縮小や、世界的に進むデジタル化等の要因により、高い成長が見込まれにくい当社事業分野ではありますが、創立以来の普遍的価値である社是と、培われてきた伝統と技術力を礎に、今後起こりうる経営環境の変化にも適応した、さらなる成長へつながる基盤づくりをしていかなければならないと考えております。

そのために、「企業価値、ブランド力の向上」「経営資源の再配分」「経営基盤の強化」を中長期的な観点から経営施策の柱に据え、世界のトップブランドとなるべく、それぞれの国と地域で、筆記具カテゴリーにおけるトップシェアを目指し、販売シェアの拡大を図ってまいります。

利益面においては、製品粗利率は現状維持を前提とするものの、将来的な販売拡大の過程において必要となる市場差別化のための高付加価値商品の開発、生産設備の増強やIT投資、広告を含めた各種マーケティングの強化、販売エリアの拡大に伴う人件費の増加等による販売管理費等の増加を見込んでおり、営業利益率につきましては現状よりは若干の低下を見込んでおります。なお、具体的な各種経営指標の目標数値につきましては、不透明な世界経済等経営を取り巻く環境を精査したうえ、次期中期経営計画(2022~2024年)において開示させていただく予定です。

また当社は、将来世代が豊かな生活を確保できるよう、地球環境に配慮した企業活動が重要であると認識しており、そのための各種施策を実施してまいります。

リサイクル材を使用したBEGREEN製品の販売、環境に配慮したパッケージ素材の使用、生産工程における廃棄物の削減や生産方法の見直しによる環境負荷の低減、そして率先してリデュース、リユース、リサイクルのための社会活動を行ってまいります。

持続可能な社会の実現に向けてグループ一体となって取り組み、貢献してまいります。

 

5.株式会社の支配に関する基本方針

当社は、2008年2月25日開催の当社取締役会において、下記(1)の基本方針を決定しております。当社は、かかる基本方針を踏まえ、下記(2)記載の各取組みを実施しております。

 

(1) 基本方針の内容の概要

当社は、当社の企業価値の源泉が、当社グループが永年に亘って培ってきた経営資源に存することに鑑み、特定の者又はグループが当社の総議決権の20%以上の議決権を有する株式を取得することにより、当社グループの企業価値又は株主の皆様の共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者又はグループは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令及び定款によって許容される限度において当社グループの企業価値又は株主の皆様の共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針といたします。

 

(2) 取組みの具体的な内容の概要

① 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、当社グループ全体の企業価値及び株主の皆様の共同の利益のさらなる確保及び向上を目指して、経営の効率化、コーポレート・ガバナンス体制及びコンプライアンス体制の強化並びに連結財務体質の改善等を図りつつ、「顧客主義」に立脚した新しい製商品の開発、市場の開拓、製造コストの低減等に日々研鑽を積んでおります。

とりわけ、当社グループの基幹である筆記具事業において、コスト競争力と技術開発力の向上を目的に生産拠点の再編を進めるとともに、グループ内の開発資源を集約することにより効率的かつスピード感のある商品開発が可能な体制を構築してまいりました。

当社グループは、今後も開発拠点のさらなる充実を図り、市場が求める高品質・高付加価値商品を続々と発信できる体制を固めるとともに、インドネシア、ブラジル等の海外生産拠点での現地生産能力を強化し、当社グループ製品の品質とブランドを世界各国において浸透・定着させるべく、新興国市場でのシェア向上を実現してまいる所存です。

 

② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、2008年3月28日開催の当社第6期定時株主総会において、株主の皆様に、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針をご承認いただいてこれを導入いたしました。その後、2011年3月30日開催の当社第9期定時株主総会、2014年3月28日開催の当社第12期定時株主総会及び2017年3月30日開催の当社第15期定時株主総会において、目的や基本的な仕組みに大きな変更なく継続すること(以下、当社第15期定時株主総会において承認された買収防衛策を「旧プラン」といいます。)をご承認いただきました。

さらに、当社は、旧プランが2020年3月27日開催の当社第18期定時株主総会の終結の時をもって終了することを受け、同第18期定時株主総会において、株主の皆様に、基本方針に基づき、情勢変化等を踏まえ内容を一部改めた「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新の件」をご承認いただきました(以下、更新後の対応方針を「本プラン」といいます。)。

本プランは、大規模買付者に対して事前に大規模買付行為に関する必要な情報の提供及び考慮・交渉のための期間の確保を求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、当社取締役会が独立委員会の勧告を尊重しつつ当該大規模買付行為に対する賛否の意見又は代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益の確保・向上を目的として導入されたものです。

本プランの詳細につきましては、当社ホームページに掲載の2020年2月12日付「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新に関するお知らせ」の本文をご覧ください。
(参考URL https://www.pilot.co.jp/company/ir/news/)

 

(3) 具体的な取組みに対する取締役会の判断及びその理由

当社取締役会は、上記(2)①記載の基本方針の実現に資する特別な取組みは、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益を高めるための具体的方策であり、まさに当社の基本方針に沿うものと考えます。

また、本プランは、上記(2)②記載のとおり、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益の確保・向上を目的として導入されたものであり、基本方針に沿うものと考えます。さらに、①本プランは、株主及び投資家の皆様並びに大規模買付者の予見可能性を高め、株主の皆様に適切な選択の機会を確保するため、事前の開示がなされていること、②本プランの導入については当社第18期定時株主総会において株主の皆様のご承認を得ており、また、毎定時株主総会における当社取締役の選任を通じて本プランを廃止するか否かについての株主の皆様の意思が確認される点で、本プランの導入及び存続について株主の皆様の意思を重視していること、③取締役会の判断の客観性及び合理性を担保するため、当社取締役会が意見形成、代替案立案及び大規模買付者との交渉を行うにあたっては、必要に応じて、当社取締役会及び独立委員会から独立した第三者的立場にある専門家の助言を得るものとしていること、④本プランに基づく対抗措置の発動等の必要性及び相当性を確保し、経営者の保身のための濫用を防止するために、独立委員会を設置し、当社取締役会が対抗措置の発動等をする場合には、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしていること、⑤本プランは、当社の株主総会又は取締役会によりいつでも廃止することができるため、いわゆるデッドハンド型買収防衛策ではなく、また、当社はいわゆる期差任期制を採用していないため、スローハンド型買収防衛策でもないこと等から、当社取締役会は、本プランが、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益を損ない、又は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、株主・投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスク事項には、以下のようなものがあります。なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 
(1) 市場の変化に関連するリスク

当社グループの主となる事業であるステイショナリー用品事業において、各国市場における競争激化や販売網の寡占化等の要因による販売価格の下落が予想を超えて進行した場合、また、エンドユーザーとして大きな割合を占める学童・学生向けの販売が各国において、出生率の増減等の影響を受け想定外に変動した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、筆記具の用途を代替するようなデジタル機器等の開発・普及により市場環境が急変した場合、当社グループの業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 事業展開に関連するリスク

当社グループは、日本、米州、欧州、アジア等、180以上の国と地域で事業展開しており、各国において、経済環境の変動、環境規制をはじめとした各国特有の法的規制、戦争・暴動・テロ等による社会の混乱等、予測不能な事態による事業活動の制約が発生した場合には当社グループの業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 投資有価証券及び固定資産に関連するリスク

当社グループは、「金融商品に関する会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準」を適用いたしております。投資有価証券のうち時価のあるものについて、これらの時価が帳簿価額から著しく下落し回復の見込がない場合は減損処理を行う必要があります。また、経営環境の著しい悪化等により、固定資産の収益性が低下した場合には減損損失を認識する必要が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 為替相場の変動に関連するリスク

当社グループは、全世界で販売活動を展開しており、海外における売上高の割合が高くなっております。連結財務諸表を作成するにあたり在外連結子会社の外貨建財務諸表を円換算しているため、為替レートの変動が当該外貨建財務諸表の換算に影響を与え、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グループ内外の取引において、外貨建の通貨による決済も存在することから、為替相場の変動リスクを負っております。なお、当社グループでは、各社の決済金額に応じた為替変動リスクのヘッジを行っておりますが、想定の範囲を超え各国通貨に対して円高が進行した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 金利変動に関連するリスク

当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状況及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しております。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 債権管理に関連するリスク

当社グループでは、製品及びサービスの提供後に代金を回収する取引が多いため、債権回収等の社内規程を整備するとともに、外部機関の信用情報等も活用し適正な与信管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態により予測不能な貸倒損失が発生した場合には、当社グループの業績や財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 製品の品質及び安全性に関連するリスク

当社グループは、社内の品質管理基準に基づき、製品の品質向上や安全性確保に取り組んでおりますが、製品の安全・品質上の重大問題や製造物責任法に基づく損害賠償、リコール等が発生した場合には、当社グループが持つブランド価値の低下を招くとともに、多額の費用負担が発生し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 原材料等調達に関連するリスク

当社グループの製品の主要原材料であります金属及び樹脂等の購入価格は、国内及び海外の市況並びに為替相場の変動の影響を受けます。これらに予期せぬ異常な変動が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の製造機械や原材料の仕入においては、効率的、かつ安定的に調達するために、特定の取引先に大きく依存しており、その供給が断たれた場合には生産活動に大きな影響を受け、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 知的財産権の保護及び訴訟に関連するリスク

当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得し、重要な経営資源の1つとして保有するとともに、その知的財産権を他社にライセンス供与する場合もあります。

これら知的財産権の維持・保護については最善の努力をしておりますが、当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、或いは、当社グループが競合他社などから知的財産権を侵害したとして提訴された場合には、当社グループの収益と財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 環境規制に関連するリスク

当社グループは、国内及び海外におけるエネルギー、温室効果ガス、大気、水、有害化学物質、製品、電池、容器包装材のリサイクル、廃棄物等様々な環境に関する法令及び規制等の適用を受けています。法規制遵守のために必要な処置を講じていますが、過去の環境責任が発生する可能性があります。また、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用量の大幅な削減や地球温暖化対策が求められた場合、当社グループにおいて、これら規制の強化に伴い、新たな税負担、事業活動における諸資材・燃料の変更、設備の変更等の対応費用が増加する可能性があります。これらに関する費用が多額となった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 情報システムに関連するリスク

当社グループの事業展開において、各拠点間のコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しております。従って、自然災害を含む予測不能な災害等の事由によりネットワークの機能が停止した場合、生産及び販売活動に多大な影響が出ることが予想されます。また、情報システムに対しては適切なセキュリティ対策を実施しておりますが、悪意を持って外部からの不正な手段によりコンピューターシステム内に侵入され、ホームページの改竄や個人情報等重要なデータの搾取、破壊がなされた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害に関連するリスク

当社グループは、国内及び海外の各地で事業展開しており、大規模地震等予測不能の自然災害により、生産拠点、販売拠点、物流拠点に甚大な被害を受けた場合、製品の生産、販売及び物流サービス等に遅延や停止が生じる可能性があります。その様な場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 人材の確保や育成及び退職に関するリスク

日本国内では恒常的な人手不足が問題となっており、人材の流動化は避けられないと懸念されております。当社グループでは、「今後も求人難が続き、退職者が増加する」という前提で、魅力ある会社・人事制度作りに取組み、着実な人材確保を目指しております。しかしながら、このような取組みや施策にもかかわらず、計画通りに人材を確保、育成ができず、また、退職者が増加した場合には、当社企業グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 年金債務に関連するリスク

当社グループでは、外部積立による退職年金制度を設けています。今後、金利の低下による退職給付債務に関する割引率の引き下げや、株価の下落による年金資産の目減りの可能性があります。その結果、数理計算上の差異(損失)が発生し、将来にわたる退職給付費用が増加する可能性があります。

 

(15) その他

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は当社グループの事業へマイナスの影響を与える可能性があります。今後の推移を注視し、対応してまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(2019年1月1日~2019年12月31日)における経済環境は、国内では金融政策の効果もあり緩やかな景気の上昇が継続したものの、消費税率の引き上げや天候不順が続いたことも影響し、個人消費については依然として予断を許さない状況が続きました。

海外では、年間を通して米国において底堅い消費による好景気が継続し、懸念されていた米中の通商問題も当面の安定を見た半面、中国経済の減速傾向、欧州各国における政情不安への懸念、加えて中東における地政学リスクが増したことにより、全般的には楽観できない状況で推移しました。

このような環境の下、当社グループにおいては、国内外で積極的に既存製品を拡販するとともに、付加価値の高い新製品を市場投入することで各市場におけるブランド価値の維持に努めました。

この結果、当期間の連結売上高は1,037億14百万円(前期比99.7%)となりました。

国内外別では、国内市場における連結売上高は312億54百万円(前期比93.8%)、海外市場における連結売上高は724億59百万円(前期比102.5%)となりました。

また、損益につきましては連結営業利益が191億41百万円(前期比91.4%)、連結経常利益が192億15百万円(前期比91.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は132億77百万円(前期比91.0%)となりました。

 

各セグメント別の状況は以下のとおりです。

(日本セグメント)

国内のステイショナリー用品事業においては、低調な個人消費を受け、年間を通して厳しい状況が続きましたが、その中において“シナジーチップ”のフリクションボールペン「フリクションポイントノック04」、速乾性の筆ペン「瞬筆(しゅんぴつ)」、フレフレ機構やサスペンション機構等、当社独自の技術を盛り込んだ「ドクターグリップエース」等を発売し、次世代商品の育成に努めました。また、ゲルインキボールペン「ジュース」、「ジュースアップ」の販売が堅調であったほか、「アクロボール」シリーズ等の人気商品の販売にも注力しました。

玩具事業においては、市場の低迷を受け、女児向け玩具「メルちゃん」シリーズをはじめとした主力製品全般について販売が伸び悩みました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は391億63百万円(前期比95.7%)、セグメント利益は147億44百万円(前期比84.9%)となりました。

(米州セグメント)

米州地域につきましては、米国市場において定番商品の「G-2(ジーツー)」の販売が順調であることに加え、「フリクション」シリーズも伸長しました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は279億78百万円(前期比104.3%)、セグメント利益は14億75百万円(前期比195.1%)となりました。

(欧州セグメント)

欧州地域につきましては、「フリクション」シリーズ、「V5(ブイファイブ)」等の定番品の販売に加え、「ピントール(日本名「ジュースペイント」)」等の新製品の拡販に努めました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は、為替変動の影響を受けたこともあり197億31百万円(前期比94.7%)、セグメント利益は広告宣伝費及び販売促進費の減少により15億99百万円(前期比107.6%)となりました。

(アジアセグメント)

アジア地域につきましては、中国において引き続きゲルインキボールペン「P500/700」、「ジュース」等を中心に順調な販売が継続しました。反面、香港については政治的要因により市場が停滞し販売が伸び悩みました。

以上の結果と為替変動の影響を受けたこともあり、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は168億40百万円(前期比108.9%)、セグメント利益は13億88百万円(前期比79.6%)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ108億68百万円増加し、1,259億34百万円(前期比109.4%)となりました。

①  流動資産

流動資産は前連結会計年度末に比べ78億8百万円増加し、833億3百万円(前期比110.3%)となりました。これは主に、「現金及び預金」が77億27百万円増加したことによるものです。

②  固定資産

固定資産は前連結会計年度末に比べ30億59百万円増加し、426億30百万円(前期比107.7%)となりました。これは主に、有形固定資産が29億98百万円増加したことによるものです。

③  流動負債

流動負債は前連結会計年度末に比べ12億12百万円増加し、327億76百万円(前期比103.8%)となりました。これは主に、「短期借入金」が16億17百万円、「その他」に含まれる未払金が8億49百万円それぞれ増加した一方で、「未払法人税等」が11億51百万円減少したことによるものです。

④  固定負債

固定負債は前連結会計年度末に比べ18億35百万円減少し、119億78百万円(前期比86.7%)となりました。これは主に、「長期借入金」が17億83百万円減少したことによるものです。

⑤  純資産

純資産は前連結会計年度末に比べ114億91百万円増加し、811億79百万円(前期比116.5%)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益132億77百万円を計上した一方で、16億76百万円の配当を実行したことによるものです。なお、自己株式を137億69百万円消却しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ77億3百万円増加し、324億88百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、151億89百万円(前連結会計年度は141億16百万円の増加)となりました。収入の主な内訳は、「税金等調整前当期純利益」192億3百万円、「減価償却費」38億2百万円であり、支出の主な内訳は、「法人税等の支払額」64億93百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、54億81百万円(前連結会計年度は29億20百万円の減少)となりました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」51億97百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、20億89百万円(前連結会計年度は68億66百万円の減少)となりました。収入の主な内訳は、「短期借入金の純増加額」16億53百万円であり、支出の主な内訳は、「長期借入金の返済による支出」22億50百万円、「配当金の支払額」16億72百万円であります。

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当社グループにおきましては、「日本」セグメントが当社の生産活動の中心となっております。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

41,681

100.7

 

(注) 1 上記の金額は工場出荷価格によっており、消費税等は含まれておりません。

2 上記の金額には外部への製造委託を含めております。

3 当社グループの生産は、当社、連結子会社であるパイロットインキ㈱及び東海化学工業㈱でその大半を占めているため、上記の金額は3社の金額を表示しております。

 

(2) 受注実績

見込生産を主体としており、受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

39,163

95.7

米州

27,978

104.3

欧州

19,731

94.7

アジア

16,840

108.9

合計

103,714

99.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はないため、記載を省略しております。

4 「アジア」には、アフリカ、オセアニアを含んでおります。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

連結財務諸表の作成におきましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

ステイショナリーの外部顧客への売上高は、日本セグメント及び欧州セグメントにおいて前年割れとなったものの、米州セグメント及びアジアセグメントにおいてボールペン、万年筆等を中心に販売が好調であったため、前連結会計年度に比べ6億80百万円増加し、983億68百万円となりました。一方、主に日本セグメントで行っている玩具を含むその他の製商品の外部顧客への売上高は、前連結会計年度を10億4百万円下回り、53億45百万円となりました。その結果、当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度から微減の1,037億14百万円となりました。

なお、連結売上高は、当社及び連結子会社において外貨建ての売上高を換算する際、並びに海外連結子会社の個別財務諸表を円貨に換算する際に使用する為替レートの変動による影響を受けております。これにより当連結会計年度の連結売上高は23億10百万円減少したと試算しており、この影響を除きますと19億86百万円増加していたことになります。

②  営業利益

当連結会計年度の連結営業利益は前連結会計年度に比べ17億90百万円減少し、191億41百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度より1.6%減少の18.5%となりました。これは主に、連結売上高が実質的には増加していたにもかかわらず為替レート変動の影響を受けて微減となったため、売上総利益が減少したことによるものです。

③  経常利益

当連結会計年度の連結経常利益は前連結会計年度に比べ17億94百万円減少し、192億15百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度より1.7%減少し、18.5%となりました。

④  親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ13億11百万円減少し、132億77百万円となりました。これは、連結経常利益が減少した一方、法人税等の額が減少したことによるものです。

 

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(2) 財政状態の状況」をご参照ください。

なお、連結ベースの財政状態に関する主な指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2018年12月期

2019年12月期

流動比率(%)

239.2

254.2

固定比率(%)

57.9

53.4

有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)(倍)

0.3

0.2

 

(注)流動比率               : 流動資産/流動負債

固定比率                     : 固定資産/自己資本

有利子負債自己資本比率      : 有利子負債/自己資本

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

なお、連結ベースのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2018年12月期

2019年12月期

自己資本比率(%)

59.4

63.4

時価ベースの自己資本比率(%)

182.7

138.4

債務償還年数(年)

1.3

1.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

74.5

67.8

 

(注)自己資本比率           : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     : 株式時価総額/総資産

債務償還年数           : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・株式時価総額は、期末株価数値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

・営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

②  財務政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資によるものであります。

運転資金につきましては主に自己資金により充当しており、必要に応じて金融機関からの短期借入金による調達も行っております。設備投資資金につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。

また、重要な設備投資の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」をご参照ください。

なお、資金の流動性を維持するため、主要取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン)及び当座貸越契約を締結しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「書く、を支える。」企業として筆記具を原点とした基礎技術を基に、独創的であり安全性と環境保全に配慮した、お客様に充分満足いただける製品の開発に積極的に取り組んでおります。

ステイショナリー用品事業におきましては、当社グループ独自のインキ及び機構の設計技術、ボールペンチップ及びシャープ替芯等の加工技術を応用し、新規で付加価値の高い各種筆記具を中心とした開発を進めております。

また、その他事業におきましても当社グループ独自のインキ技術を応用した新しい玩具及び当社グループの原点である万年筆の製造技術で培った貴金属加工技術を応用した宝飾リングの製品化、さらにはゲルインキ技術を応用した測定装置のキーデバイス、シャープ替芯製造で培った技術を応用した高精度な微細孔・多孔のセラミックスで小型化が進む自動車部品、半導体製造装置等の市場に向けた産業資材関連を中心とした市場開拓を進めております。なお、当社グループは日本国内においてのみ研究開発を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額1,434百万円を、全額日本セグメントにおいて計上しております。