第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1.会社の経営の基本方針

当社は1918年に日本初の純国産万年筆を発売して以来、100年以上にわたり、筆記具製品の製造販売を中心とした事業を継続してまいりました。現在では万年筆のみならず、なめらかな書き味の油性ボールペン「アクロボール」や消せるボールペン「フリクションボールノック」をはじめとした各種ボールペン、「ドクターグリップ」をはじめとしたシャープペンシル等を、世界でも数少ない総合筆記具メーカーとして、広く世界190以上の国と地域で販売し、各地でご愛用いただいております。今後も「書く、を支える。」という基本理念の下、業界の水先案内人として、高付加価値、高品質かつ適正価格の製品の開発・製造・販売を継続し、「PILOT」及び蒔絵万年筆の「NAMIKI」ブランドを世界中で愛していただけるような経営を目指すとともに、持続的な成長と企業価値向上を追求してまいります。

 

2.目標とする経営指標

当社グループは、連結経営を重視する中で、連結売上高、連結営業利益並びに連結経常利益の伸長に努め、引き続き安定的な利益体質の構築に向けた経営基盤の強化を目指してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響は国や地域で異なることから、その収束時期を正確に見通すことは困難ですが、2021年度期末に向けて緩やかにコロナ禍が収束していくことを前提条件とした上で、市場の回復はそれ以上に長期化することも想定し、翌連結会計年度は、連結売上高920億円以上、売上高営業利益率15%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上の確保を目指してまいります。なお、中長期的な各種経営指標の目標数値につきましては、世界経済の状況等経営を取り巻く環境を精査したうえ、次期中期経営計画(2022~2024年)において開示させていただく予定です。

 

3.中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、他社と差別化した付加価値の高い製品を継続的に開発し、適正な価格で販売することにより、価格競争で消耗することなく利益を確保していくこと、世界各国の経済状況を見極め、適時かつ適所に製品を投入して販売エリアを拡大していくこと及び主力のステイショナリー用品事業により培った技術や販売ルートを活用した関連事業を展開することにより、事業領域と収益の拡大を図っていくことを中長期的な会社の経営戦略の基本としております。

また同時に、継続的な事業の推進に向け、経営基盤を盤石にするための人材確保や育成にも積極的に取り組んでまいります。当社グループは戦略をより具体化するための方策として、2019年を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定して進捗を図っております。

 

〔中期経営計画概要〕

(1) 経営方針:「変わらぬ想い、新たな挑戦、次の100年へ」

①  変わらぬ想い … 創立以来、築かれ培われてきた技術と伝統を大事にし、未来に継承していきます。

②  新たな挑戦 …… 常に市場と向き合い、最高の満足を顧客に提供できるような顧客中心企業として、新たな視点、新しい発想、斬新なアイディアを歓迎し、タブーなく議論し、変わるべきところは変わり、時代や環境の変化に対応します。

③  次の100年へ…… この3年間で次の進化へとつながる基盤を作り、世界の顧客に、この先も驚きと感動と満足を届けられるような、愛されるパイロットを創ってまいります。

 

(2) 将来的に目指す姿:「世界のそれぞれの国と地域でマーケットシェアトップの企業になる」

「当社が製造するすべての製品カテゴリーでトップとなるアイテムをつくる」

上記目標を実現するために、本中期経営計画においては

①  製品・サービス全般にわたり、顧客目線に立ち、顧客満足度の最大化を図ります。

②  ブランドが顧客に選ばれる商品力・販売力・供給力の充実を図ります。

③  目標の達成及び経営基盤の強化のためにグループ内の人材育成を図ります。

以上を重点施策として段階的に実施してまいります。

 

当社は、2018年10月に創立100周年を迎えましたが、それは決してゴールではなく、1つの通過点に過ぎないということをグループ社員一同が共通して認識し、その先も継続的、安定的に成長していけるような諸施策を策定・推進して、更なる企業価値の向上を図ってまいります。

 

4.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは「書く、を支える。」企業として、世界190以上の国と地域で製品を販売しておりますが、その製造の多くは国内で行っているため、グローバルに展開する際の為替の変動リスクにも耐えうる収益構造が必要となります。これまでに生産・物流の効率化をはじめとした数々の改善を進めてきた結果、近年では大幅な利益率の向上を実現し堅調な業績を維持しておりますが、今後も継続して改善に取り組んでまいります。

収益面においては、新型コロナウイルス感染症の影響による販売数量の減少に伴う製品の粗利率の低下が見込まれる他、収益構造の改善により向上した利益率から得られる利益につきましても、市場差別化のための高付加価値商品の開発、生産設備の増強やITインフラの整備・充実、広告を含めた各種マーケティングの強化施策等への投資を行い、一時的な営業利益率の低下が見込まれるものの、将来的な成長に向けた施策を実施することで安定した事業の継続を図ってまいります。

また新型コロナウイルス感染症の感染拡大にあたり、当社グループで働く人々とその家族、ステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に、感染拡大防止に継続して注力いたします。その収束まで、各国政府等の要請に基づき適切に対処すると同時に、コロナ禍の長期化を想定する中で、グループ子会社を含む資金の手当てや経費の徹底的な削減を実施するとともに、各国の状況にあわせた事業継続への取り組みを進めてまいります。

同時にガバナンスの実効性を向上させるために、これまでに指名・報酬諮問委員会の設置、取締役会に占める社外取締役比率の増加等を実施してまいりました。今後もより実効性のあるガバナンス体制構築に向け、さらに取り組みを加速させてまいります。

加えて当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の発展に寄与するため、サステナビリティの取り組みを推進しております。将来世代が豊かな生活を継続的に営むためには、地球環境に配慮した企業活動が重要であると認識しております。リサイクル材を使用したBEGREEN製品の販売、生産工程における廃棄物の削減や生産方法の見直しによる環境負荷の低減、そして率先してリデュース、リユース、リサイクルのための社会活動を継続し、持続可能な社会の実現に向けてグループ一体となって取り組んでまいります。

当社グループの事業は、少子化に伴う国内市場の縮小や世界的に進むデジタル化等の要因により、高い成長が見込まれにくい分野に属しております。その中で当社グループはお客様に喜んでいただけるような付加価値の高い魅力的な製品の開発や、販路の整備による「企業価値、ブランド力の向上」、持続的な成長を支えるための「経営資源の再配分」、ガバナンスを向上させ将来的展望を見据えた「経営基盤の強化」を中長期的な観点から経営施策の柱に据え、世界のトップブランドとなるべく、販売しているそれぞれの国と地域で、筆記具カテゴリーにおけるトップシェアを目指し、販売シェアの拡大を図ってまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関連するリスク

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、国内を含めた各国及び地域における対策が想定以上に重い場合や長期化した場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える場合があります。特に市場封鎖等が実施され、消費行動が大幅に制限される状況が長期にわたり継続した場合には売上・利益計画に大きな乖離が発生する可能性があります。また当社グループ内でクラスター感染等の大規模な感染が発生した場合には、生産をはじめとした業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、当社グループで働く人々とその家族、ステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先とし、各国政府等の要請に基づき適切に対処して感染拡大防止に努めるとともに、グループ子会社の資金の手当てや経費の削減を実施し、各国の状況にあわせた事業継続への取り組みを進めております。

 

(2) 市場の変化に関連するリスク

当社グループの主となる事業であるステイショナリー用品事業において、各国及び地域のそれぞれの市場における競合他社との競争激化、大手通販会社や流通による販売の寡占化や再編等の要因による販売価格の下落が予想を超えて進行した場合、また、エンドユーザーとして大きな割合を占める学童・学生向けの販売が各国において、出生率の増減等の影響を受け想定外に変動した場合や、筆記具の用途を代替するようなデジタル機器等の開発・普及により市場環境が急変した場合、加えて新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会構造の変化によるオフィス需要の低下が想定を超えて進んだ場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。玩具事業においては国内の少子化傾向が継続した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループといたしましては、お客様に喜んでいただけるような付加価値の高い魅力的な製品の開発や、販路の整備による「企業価値、ブランド力の向上」に取り組んでおります。

 

(3) 事業展開に関連するリスク

当社グループは、日本、米州、欧州、アジア等、190以上の国と地域で事業展開しており、各国においての新型コロナウイルス感染症の現時点における想定を超えた再拡大、主要販売国である日本、米国、欧州主要国、中国及びその他の国と地域の政治・経済環境の変動、環境規制をはじめとした各国特有の法的規制、戦争・暴動・テロ等による社会の混乱等、予測不能な事態による事業活動の制約が発生した場合には当社グループの業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) 為替相場の変動に関連するリスク

当社グループは、全世界で販売活動を展開しており、海外における売上高の割合が70%程度と非常に高くなっております。反面、その製造の多くは国内で行われており、各国における製品の原価は為替により変動し販売に影響を及ぼします。また連結財務諸表を作成するにあたり在外連結子会社の外貨建財務諸表を円換算しているため、為替レートの変動が当該外貨建財務諸表の換算に影響を与え、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グループ内外の取引において、外貨建の通貨による決済も存在することから、為替相場の変動リスクを負っております。なお、当社グループでは、各社の決済金額に応じた為替変動リスクのヘッジを行っておりますが、想定の範囲を超え各国通貨に対して円高が進行した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 投資有価証券及び固定資産に関連するリスク

当社グループは、「金融商品に関する会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。投資有価証券のうち時価のあるものについて、これらの時価が帳簿価額から著しく下落し回復の見込がない場合は減損処理を行う必要があります。また、経営環境の著しい悪化等により、固定資産の収益性が低下した場合には減損損失を認識する必要が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 金利変動に関連するリスク

当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状況及び金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断しております。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っておりますが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 債権管理に関連するリスク

当社グループでは、製品及びサービスの提供後に代金を回収する取引が多いため、債権回収等の社内規程を整備するとともに、外部機関の信用情報等も活用し適正な与信管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態により予測不能な貸倒損失が発生した場合には、当社グループの業績や財政状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(8) 製品の品質及び安全性に関連するリスク

当社グループは、社内の品質管理基準に基づき、製品の品質向上や安全性確保に取り組んでおりますが、製品の安全・品質上の重大問題や製造物責任法に基づく損害賠償、リコール等が発生した場合には、当社グループが持つブランド価値の低下を招くとともに、多額の費用負担が発生し、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 原材料等調達に関連するリスク

当社グループの製品の主要原材料であります金属及び樹脂等の購入価格は、国内及び海外の市況並びに為替相場の変動の影響を受けます。これらに予期せぬ異常な変動が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の製造機械や原材料の仕入においては、効率的、かつ安定的に調達するために、特定の取引先に大きく依存しており、その供給が断たれた場合には生産活動に大きな影響を受け、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権の保護及び訴訟に関連するリスク

当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得し、重要な経営資源の1つとして保有するとともに、その知的財産権を他社にライセンス供与する場合もあります。

これら知的財産権の維持・保護については最善の努力をしておりますが、当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、或いは、当社グループが競合他社等から知的財産権を侵害したとして提訴された場合には、当社グループの収益と財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 環境規制に関連するリスク

当社グループは、国内及び海外におけるエネルギー、温室効果ガス、大気、水、有害化学物質、製品、電池、容器包装材のリサイクル、廃棄物等様々な環境に関する法令及び規制等の適用を受けています。法規制遵守のために必要な処置を講じていますが、過去の環境責任が発生する可能性があります。また、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用量の大幅な削減や地球温暖化対策が求められた場合、当社グループにおいて、これら規制の強化に伴い、新たな税負担、事業活動における諸資材・燃料の変更、設備の変更等の対応費用が増加する可能性があります。これらに関する費用が多額となった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12) 情報システムに関連するリスク

当社グループの事業展開において、各拠点間のコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しております。従って、自然災害を含む予測不能な災害等の事由によりネットワークの機能が停止した場合、生産及び販売活動に多大な影響が出ることが予想されます。また、情報システムに対しては適切なセキュリティ対策を実施しておりますが、悪意を持って外部からの不正な手段によりコンピューターシステム内に侵入され、ホームページの改竄や個人情報等重要なデータの搾取、破壊がなされた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 自然災害に関連するリスク

当社グループは、国内及び海外の各地で事業展開しており、大規模地震等予測不能の自然災害により、生産拠点、販売拠点、物流拠点に甚大な被害を受けた場合、製品の生産、販売及び物流サービス等に遅延や停止が生じる可能性があります。その様な場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 人材の確保や育成及び退職に関するリスク

日本国内では恒常的な人手不足が問題となっており、人材の流動化は避けられないと懸念されております。当社グループでは、「今後も求人難が続き、退職者が増加する」という前提で、魅力ある会社・人事制度作りに取組み、着実な人材確保を目指しております。しかしながら、このような取組みや施策にもかかわらず、計画通りに人材を確保、育成ができず、また、退職者が増加した場合には、当社企業グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 年金債務に関連するリスク

当社グループでは、外部積立による退職年金制度を設けています。今後、金利の低下による退職給付債務に関する割引率の引き下げや、株価の下落による年金資産の目減りの可能性があります。その結果、数理計算上の差異(損失)が発生し、将来にわたる退職給付費用が増加する可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度(2020年1月1日~2020年12月31日)における経済環境は、国内では新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が残る中、段階的な経済活動の再開や各種政策の効果等により持ち直しの動きも見られましたが、コロナ禍の収束は未だ見えず、依然として厳しい状況が続きました。海外でも多くの国と地域で感染拡大防止による経済活動の制限が続いたため、市場の回復は緩やかなものとなり、国内外とも総体的に低調に推移しました。

このような環境の下、当社グループにおきましても、日本及び海外の多くの市場において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による直接的な影響や、自粛ムードの広がりに起因する消費マインドの冷え込み等の影響を受け、厳しい状況が続きました。この結果、当期間の連結売上高は870億96百万円(前期比84.0%)となりました。

国内外別では、国内市場における連結売上高は248億62百万円(前期比79.5%)、海外市場における連結売上高は622億34百万円(前期比85.9%)となりました。

また、損益につきましては連結営業利益が141億41百万円(前期比73.9%)、連結経常利益が143億56百万円(前期比74.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億33百万円(前期比74.8%)となりました。

 

各セグメント別の状況は以下のとおりです。

(日本セグメント)

国内のステイショナリー用品事業においては、販売店の休業や短縮営業が解除された後も新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費の冷え込みが回復せず、特に都市部で厳しい状況が続きました。その中においても「フリクション」シリーズや「ジュース」シリーズ等といった定番商品の売り場の維持に加え、激細油性ボールペン「アクロボール03」等の付加価値のある新製品を投入することにより、市場の活性化に努めました。

玩具事業においては、主力商品である「メルちゃん」シリーズや知育玩具の国内での販売は巣ごもり需要もありましたが、コロナ禍の影響で輸出が減少したこともあり、厳しい状況となりました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は300億55百万円(前期比76.7%)、セグメント利益は92億10百万円(前期比62.5%)となりました。

(米州セグメント)

米州地域につきましては、米国市場において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うオフィス環境の変化による需要の減少もあり、定番商品の「G-2(ジーツー)」等の販売が伸び悩みました。さらにブラジル市場においてもコロナ禍に加えて、為替の影響も大きく受けたため苦戦が続きました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は222億73百万円(前期比79.6%)、セグメント利益は10億50百万円(前期比71.2%)となりました。

(欧州セグメント)

欧州地域につきましては、主要国にて秋口に再び新型コロナウイルス感染症の感染拡大がみられ、緩和されていた感染拡大防止措置が再び強化される等、一時期復調していた「フリクション」シリーズをはじめとした主力商品の販売に影響が出ました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は185億45百万円(前期比94.0%)、セグメント利益は14億18百万円(前期比88.7%)となりました。

(アジアセグメント)

アジア地域につきましては、中国市場や台湾市場が復調傾向であり、「P-500/700」、「ジュース」シリーズ等の販売が堅調でありました。半面、その他の地域では依然としてコロナ禍の影響を大きく受け、厳しい状況が続きました。

以上の結果、当セグメントにおける外部顧客に対する売上高は162億22百万円(前期比96.3%)、セグメント利益は為替変動の影響を受けたこともあり8億7百万円(前期比58.2%)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ23億63百万円減少し、1,235億71百万円(前期比98.1%)となりました。

①  流動資産

流動資産は前連結会計年度末に比べ8億23百万円減少し、824億80百万円(前期比99.0%)となりました。これは主に、「現金及び預金」が54億97百万円増加した一方で、「受取手形及び売掛金」が49億26百万円、「商品及び製品」が12億63百万円それぞれ減少したことによるものです。

②  固定資産

固定資産は前連結会計年度末に比べ15億39百万円減少し、410億90百万円(前期比96.4%)となりました。これは主に、有形固定資産が7億71百万円、「繰延税金資産」が7億37百万円それぞれ減少したことによるものです。

③  流動負債

流動負債は前連結会計年度末に比べ55億46百万円減少し、272億29百万円(前期比83.1%)となりました。これは主に、「支払手形及び買掛金」が36億65百万円、「未払法人税等」が12億25百万円、「その他」に含まれる未払金が9億89百万円それぞれ減少した一方で、「1年内返済予定の長期借入金」が10億7百万円増加したことによるものです。

④  固定負債

固定負債は前連結会計年度末に比べ35億11百万円減少し、84億67百万円(前期比70.7%)となりました。これは主に、「長期借入金」が35億82百万円減少したことによるものです。

⑤  純資産

純資産は前連結会計年度末に比べ66億94百万円増加し、878億73百万円(前期比108.2%)となりました。これは主に、「利益剰余金」が79億61百万円増加した一方で、「為替換算調整勘定」が12億77百万円減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ52億35百万円増加し、377億24百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、151億37百万円(前連結会計年度は151億89百万円の増加)となりました。収入の主な内訳は、「税金等調整前当期純利益」143億23百万円、「減価償却費」40億7百万円、「売上債権の減少額」43億2百万円であり、支出の主な内訳は、「仕入債務の減少額」36億66百万円、「法人税等の支払額」47億98百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、44億61百万円(前連結会計年度は54億81百万円の減少)となりました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」47億19百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、53億97百万円(前連結会計年度は20億89百万円の減少)となりました。これは主に、「長期借入金の返済による支出」26億74百万円、「配当金の支払額」19億71百万円によるものであります。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当社グループにおきましては、「日本」セグメントが当社の生産活動の中心となっております。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

34,950

83.9

 

(注) 1 上記の金額は工場出荷価格によっており、消費税等は含まれておりません。

2 上記の金額には外部への製造委託を含めております。

3 当社グループの生産は、当社、連結子会社であるパイロットインキ㈱及び東海化学工業㈱でその大半を占めているため、上記の金額は3社の金額を表示しております。

 

(2) 受注実績

見込生産を主体としており、受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

30,055

76.7

米州

22,273

79.6

欧州

18,545

94.0

アジア

16,222

96.3

合計

87,096

84.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はないため、記載を省略しております。

4 「アジア」には、アフリカ、オセアニアを含んでおります。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

連結財務諸表の作成におきましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載されているとおりであります。

 

①  固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

②  棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。棚卸資産の収益性の低下、滞留、陳腐化が生じた場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

③  繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

④  退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産

退職給付に係る負債、退職給付に係る資産及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度から減少し、870億96百万円となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への影響は、第1四半期は限定的でありましたが、第2四半期には多くの国と地域でロックダウンの実施や緊急事態宣言の発出がなされ、店舗の閉鎖、テレワーク実施による納品需要の激減など、販売面で大きく影響を受けました。また、第3、第4四半期は多くの国で経済活動の制限や自粛が緩和されたものの、消費は戻らず、業績の回復には至りませんでした。

ステイショナリーの外部顧客への売上高は、日本セグメント、米州セグメント、欧州セグメント、アジアセグメントの報告セグメントすべてにおいて、前年を下回り、その結果、前連結会計年度に比べ162億3百万円減少し、821億65百万円となりました。また、主に日本セグメントで行っている玩具を含むその他の製商品の外部顧客への売上高は、前連結会計年度を4億14百万円下回り、49億31百万円となりました。

なお、連結売上高は、当社及び連結子会社において外貨建ての売上高を換算する際、並びに海外連結子会社の個別財務諸表を円貨に換算する際に使用する為替レートの変動による影響を受けております。これにより当連結会計年度の連結売上高は16億48百万円減少したと試算しており、この影響を除きますと149億68百万円の減少となります。

②  営業利益

当連結会計年度の連結営業利益は前連結会計年度に比べ50億円減少し、141億41百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度より2.2%減少の16.2%となりました。これは主に、連結売上高の減少に加えて、売上総利益率が円高に推移したこと及びコロナ禍での販売減少に合わせ生産を縮小したことにより低下し、売上総利益が減少したことによるものです。

③  経常利益

当連結会計年度の連結経常利益は前連結会計年度に比べ48億58百万円減少し、143億56百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度より2.0%減少し、16.5%となりました。

④  親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ33億44百万円減少し、99億33百万円となりました。これは、連結経常利益が減少した一方、法人税等の額が減少したことによるものです。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(2) 財政状態の状況」をご参照ください。

なお、連結ベースの財政状態に関する主な指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2019年12月

2020年12月

流動比率(%)

254.2

302.9

固定比率(%)

53.4

47.4

有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)(倍)

0.2

0.2

 

(注)流動比率               : 流動資産/流動負債

固定比率                     : 固定資産/自己資本

有利子負債自己資本比率      : 有利子負債/自己資本

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

なお、連結ベースのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2019年12月

2020年12月

自己資本比率(%)

63.4

70.2

時価ベースの自己資本比率(%)

138.4

92.4

債務償還年数(年)

1.2

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

67.8

105.2

 

(注)自己資本比率           : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     : 株式時価総額/総資産

債務償還年数           : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

・株式時価総額は、期末株価数値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

・有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

・営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

②  財務政策

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資によるものであります。

運転資金につきましては主に自己資金により充当しており、必要に応じて金融機関からの短期借入金による調達も行っております。設備投資資金につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。

また、重要な設備投資の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」をご参照ください。

なお、資金の流動性を維持するため、主要取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン)及び当座貸越契約を締結しております。

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結経営を重視する中で、連結売上高、連結営業利益並びに連結経常利益の伸長に努め、引き続き安定的な利益体質の構築に向けた経営基盤の強化を目指してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響は国や地域で異なることから、その収束時期を正確に見通すことは困難ですが、2021年度期末に向けて緩やかにコロナ禍が収束していくことを前提条件とした上で、市場の回復はそれ以上に長期化することも想定し、翌連結会計年度は、連結売上高920億円以上、売上高営業利益率15%以上、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上の確保を目指してまいります。

なお、当連結会計年度の連結売上高は870億96百万円、売上高営業利益率は16.2%、ROE(自己資本当期純利益率)は11.9%となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2020年9月28日開催の当社取締役会において、2021年7月1日を効力発生日として、会社分割の方法により、当社の完全子会社であるパイロットインキ株式会社の玩具事業(以下「本事業」といいます。)を当社に承継させること(以下「本会社分割」といいます。)に関する基本合意書の締結を決議し、同日これを締結いたしました。

会社分割の概要は、以下のとおりであります。

(1) 会社分割の目的

本事業は、パイロットインキ株式会社独自の技術である「メタモカラー(熱変色性材料)」の玩具分野への応用を起源として、現在は「メルちゃん」シリーズ、「バストイ」、「スイスイおえかき」シリーズや「アヒル隊長」シリーズ等の幼児向け玩具を中心に、キャラクター玩具等を製造・販売しております。

本会社分割は、「PILOT」ブランド及び関連商標を統一的に保有・管理することによるブランド価値のより一層の向上を目指し、当社グループ会社間の経営資源の最適配置と事業基盤の強化、一貫したブランド経験を提供する製品開発体制、品質管理体制の整備、加えて相互の持つバリューチェーンの強みを活用することによるシナジー効果の獲得に向けて、パイロットインキ株式会社が持つ玩具の製造、販売に係る事業を当社が承継するものです。

 

(2) 会社分割の方法

当社を承継会社とし、パイロットインキ株式会社を分割会社とする会社分割(簡易吸収分割)です。

 

(3) 会社分割の日程

基本合意書締結取締役会決議日

2020年9月28日

基本合意書締結日

2020年9月28日

分割契約書締結取締役会決議日

2021年4月26日(予定)

分割契約書締結日

2021年4月26日(予定)

実施予定日(効力発生日)

2021年7月1日(予定)

 

(注)本会社分割は、当社においては会社法第796条第2項の要件を満たす簡易吸収分割、パイロットインキ株式会社においては会社法第784条第1項の要件を満たす略式吸収分割のため、いずれにおいても本会社分割承認のための株主総会は開催いたしません。

 

(4) 分割に際して発行する株式及び割当

当社は、パイロットインキ株式会社の全株式を保有しており、本会社分割に際して株式その他の金銭等の交付は行いません。

 

(5) 割当株式数の算定根拠

該当事項はありません。

 

(6) 承継する本事業の経営成績(2020年12月期)

売上高

3,835百万円

 

 

(7) 承継会社が承継する権利義務

当社は、本会社分割に際して、パイロットインキ株式会社が本事業に関して有する資産・負債その他の権利義務のうち、分割契約書において定めるものを承継します。

 

(8) 株式会社パイロットコーポレーションの概要

代表者

代表取締役社長 伊藤 秀

住所

東京都中央区京橋二丁目6番21号

資本金

2,340百万円(2020年12月31日現在)

事業内容

筆記具等のステイショナリー用品、玩具、リング等の貴金属アクセサリー、セラミックス部品等の製造、仕入及び販売

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「書く、を支える。」企業として筆記具を中心とした品質重視の製品開発を行っています。

筆記具の開発と製造にて長年培った基礎技術を中心として、高品質で且つ安全性と環境保全にも配慮した、お客様が「快適に、安心して」ご愛用し続けて頂ける製品を、開発する事に取り組んでいます。

ステイショナリー用品事業におきましては、当社グループが長年開発と製造しているインキ技術、万年筆やボールペンをはじめとした各種筆記具の設計技術、万年筆やボールペンのペン先の加工及び開発技術、シャープ替芯等の固形芯の加工及び開発技術、これらの技術を応用して、高品質で付加価値の高い各種筆記具の開発を進めております。

その他事業におきましては、当社グループ独自のインキ技術を応用した新しい玩具の開発、当社グループの原点である万年筆の加工技術で培った貴金属加工技術を応用した宝飾リング製品の開発、シャープ替芯製造で培った技術を応用した高精度な微細孔・多孔のセラミックスの産業資材の開発を行っています。このセラミックの産業資材については、小型化が進む自動車部品、半導体製造装置等の市場に向けた付加価値の高い産業資材として、お客様にご愛顧いただいております。

なお、当社グループは日本国内においてのみで研究開発を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額1,467百万円を、全額日本セグメントにおいて計上しております。