当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「創造と革新により『豊かさとやさしさ』のある暮らしの実現に貢献するヒューマンカンパニーを目指す」を経営理念に掲げ、消費者にご満足いただける付加価値の高い新商品・新サービスの提供に努めてまいります。
また、グループ会社が持つ経営資源をより一層効率的に活用することにより、グループ総合力の強化に努め、企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 中長期的な経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
主力のシルバービジネスを取り巻く環境として、日本国内の65歳以上の高齢者人口が36百万人を超え、高齢化率も29.3%となる中、都市部では、今後も後期高齢者の増加が予測され医療・介護ニーズが拡大する一方、国内の家具インテリア市場は人口減少などから縮小傾向が継続することが予測されております。
このような状況において、当社グループでは、2026年度を最終年度とする新中期経営計画をスタートさせ、以下の3つの基本政策に取り組んでおります。
①高齢者を対象としたレンタルビジネスに経営資源を重点投入(メディカルサービス事業)
②高付加価値商品の開発・品質に拘り、継続して利益を創出(インテリア健康事業)
③サステナビリティ経営の推進
主力の福祉用具貸与事業については、都市部において、営業員の増員や営業所の新規出店ならびにM&Aなどを行うとともに、高齢者が広域に居住する地方においては、介護ベッドなどの卸販売に注力してまいります。また、福祉用具貸与事業の拡大を支えるインフラの整備拡充に向け、レンタル資産の投下や倉庫・メンテナンス機能を有するサービスセンターの増強を継続的に行うとともに、AI活用による配送ルートの最適化や契約書類の電子化などのDX推進により労働生産性を向上させ営業効率を高めてまいります。
さらに、主力ビジネスの周辺領域である介護保険対象レンタル以外のレンタルサービスの展開にも取り組んでまいります。
引き続き、主力の福祉用具貸与事業を中心としたシルバービジネスへ経営資源を重点投入し、より一層深化させることで、福祉用具貸与事業者として国内シェアNo.1の地位を確立してまいります。
国内の家具インテリア市場は、大手家具販売店の寡占化や中小家具店の廃業、インターネットでの購入の増加など、流通構造も変化しております。このような競争環境の変化に対応するため、家庭向けベッドの製造及び卸販売が中心のインテリア健康事業では、独自の機能を持ち、付加価値の高い中・高価格帯の商品開発に注力するとともに、自社ショールームを活用した展示販売会などを通じて拡販してまいります。また、EC向けの商品開発および販売に注力するとともに、不確実な市場環境に対応するため、商品供給体制の最適化を進めてまいります。
さらに、国内ホテルや旅館などの法人向けに、客室定員以上に泊める際の追加ベッドや、マッサージ器の法人レンタルを拡大させるとともに、国内で培ってきた当社グループのノウハウを活かし、独自の機能を備えた付加価値の高い商品を、ベトナムをはじめとする海外市場へ展開してまいります。
当社グループが中長期的な企業価値の向上を図っていく上で、引き続き、事業ポートフォリオマネジメントの実践ならびに環境・社会・ガバナンスを意識したサステナビリティ経営の推進は必須であると認識しております。そのような中、具体的には、循環型経済への貢献と人的資本経営の推進に注力してまいります。一つ目は、全社を挙げてレンタル売上の獲得に取り組み、レンタル売上高の構成比率を増やし、製品の繰り返し利用や再生など、限りある資源を有効活用する循環型経済への貢献を目指します。二つ目は、各職種に必要な教育機会の提供や能力開発を行うとともに、働きやすい環境の整備や多様な人材が活躍するための制度の構築を通じた人的資本経営の推進です。これにより、従業員一人ひとりが成長と働きがいを実感し、社会に貢献できる持続可能な企業を目指してまいります。
以上のとおり、当社グループは、事業を通じて、人々の暮らしに役立つ製品やサービスを提供し、新たな価値の創造に挑戦し続けることで、社会から100年を超えて存続を期待される企業であると共に、サステナブルを重視した経営に努めることで、社会的な価値もあわせて創造する、「社会の役に立ち、社会に貢献する」企業を目指してまいります。
なお、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)における最終年度の業績目標は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
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2027年3月期 |
65,000 |
5,420 |
5,400 |
3,460 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティの基本方針と取組
フランスベッドグループは経営理念として、「創造と革新により『豊かさとやさしさ』のある暮らしの実現に貢献するヒューマンカンパニーを目指す」という経営理念を掲げています。この経営理念のもと、フランスベッドグループはステークホルダーの皆さまとの信頼を確立し、グループ内で共有する価値観に基づく公正かつ透明な企業経営の下で、持続可能な社会の発展に貢献するため、サステナビリティ経営を推進します。
サステナビリティの視点は多岐に亘り、企業の事業推進における社会に与える影響や社会要請に対応する視点に加え、事業を通じて社会価値創造に貢献する視点を持ったうえで、下記の基本方針に則り推進してまいります。
<サステナビリティ基本方針>
(1) 環境保全
当社グループは、環境負荷の削減を図り、地球環境を保全するため、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進など、積極的な取り組みを行います。
(2) 社会貢献
当社グループは、事業活動を通じて、社会課題の解決と安心・安全な地域社会や国際社会の発展に貢献します。
(3) ガバナンス
当社グループはコーポレート・ガバナンス方針を遵守し、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて透明性の高い経営を行うことで、社会の信頼と期待に応えます。
(4) 人材育成
当社グループは、社員が豊かな人間性を持ち、能力を最大限に発揮できるよう、健康で働きがいのある職場環境を整備し、人材育成に取り組みます。
(5) 人権尊重
当社グループは人権方針を遵守し、人種、国籍、性別、思想、宗教や、社会的身分を理由とした人権リスクに対応し、人権侵害に加担することのないように努めます。
(6) 安全衛生
当社グループは、安全で安心して働ける職場づくりと、心身の健康づくりを支援し、働き甲斐のある就業環境の整備を促進します。
<当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題)>
当社グループの事業戦略、ガバナンス、リスク管理の観点から重要性について検討した結果をもとに、当社のサステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題)を次のとおり取締役会で特定しております。
(重要課題)
・より安心で安全且つ高付加価値な製品とサービスの提供
・資源の効率的な利用
・CO2 排出削減とエネルギー転換
・人材の育成
・ダイバーシティおよびワークライフバランスの推進
・事業を支える基盤(ガバナンス・コンプライアンス・健全な財務)
2.ガバナンス
当社グループは、気候変動問題等をグループ横断で取り組むべき重要課題と考え、当社代表取締役会長兼社長を統括責任者とし、当社代表取締役副社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ推進体制を構築しております。
サステナビリティ委員会は、当社取締役および執行役員の他、委員長が指名するメンバーによって構成され、当社の社外取締役ならびに常勤監査等委員がオブザーバーとして参加しております。
サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する重点課題(マテリアリティ)の特定と目標設定、全体計画の立案、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価を行い、その状況につきましては、定期的に取締役会に対して報告を行っております。
3.リスク管理
当社グループにおける事業運営上関連するリスク及びコンプライアンスに関する重要事項についてはグループ情報管理委員会にて討議し、その結果を踏まえ、関係部門に対する助言、取締役会他経営に対する報告・提言を行うことにより、グループ全体のリスクマネジメントに努めております。
当社グループにとって重要なリスクへの対応は、サステナビリティ委員会で、取締役会が決定した方針に基づき、対応方針の策定、目標・施策の討議および進捗状況のモニタリングを行い、取締役会に報告・決定する仕組みとしております。
4.気候変動に対する取組
◆戦略
当社グループでは、気候変動がもたらす事業活動に係る重要なリスクと機会の明確化に向けて、信頼性のある外部機関によるシナリオ群を活用しつつ、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)」の2つのシナリオ分析を進め、重要なリスク(移行リスク、物理的リスク)と機会に対する対応を進めてまいります。
・2℃シナリオ
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リスク |
リスク種類/機会 |
要因 |
想定される当グループへの 財務的影響 |
戦略・対応 |
時期 |
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低炭素経済への「移行」に関するリスク |
政策・法規制リスク |
カーボンプライシングの導入拡大による負担増 |
当グループ事業における原材料には化石燃料由来があり、かつ、マットレススプリング材料である硬鋼線等上流の生産プロセスで排出されるCO2排出量も含めた場合、カーボンプライシング導入拡大による負担は甚大となる。 |
当グループならびにサプライチェーンと連携した生産プロセスで排出されるCO2も含めたCO2排出量の削減 |
中期 |
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技術リスク |
再生可能エネルギー利用義務化(利用が不可避) |
当グループ事業の生産工程で使用するエネルギーのうち、電力の占める割合は高く、再生可能エネルギー由来の電力購入は事業コストの増加につながる。 また、全世界でクリーンエネルギー需給の争奪が繰り広げられることでクリーンエネルギーが調達できないリスクもある。 |
・社会の再生可能エネルギーの普及が進むことに伴うCO2排出係数の低下 |
長期 |
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市場リスク |
・低炭素製品の需要増、化石燃料由来原料に対する消費者意識の変化 ・環境負荷/廃棄コストがかからない製品需要の高まり |
環境配慮型製品開発の遅れ、化石燃料由来の原料に代わる代替原料開発の遅れによる売上減少リスクがある。また、これら製品開発に係る開発費増加。 |
環境負荷に配慮した製品開発、製造時のCO2排出量を削減することによる製品等付加価値向上、カーボンプライシングの負担減少によるリスク要因極小化 |
中期 |
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機会 |
廃棄コストを抑えるレンタルや耐久消費製品需要が拡大するとともに、環境配慮型製品への志向が高まる。 |
・更なる高品質な製品生産 |
中期 |
・4℃シナリオ
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リスク |
リスク種類/機会 |
要因 |
想定される当グループへの 財務的影響 |
戦略・対応 |
時期 |
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気候変動による「物理的」変化に関するリスク |
急性リスク |
台風・洪水・集中豪雨の増加による生産活動の停止やサプライチェーン分断 |
事業拠点被災による復旧コストならびに保険料の増大による財務影響が考えられる。 また、サプライチェーン寸断による事業縮退や停止影響がある。 |
中長期的なBCP対策の実施および定期的な見直し |
中長期 |
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慢性リスク |
気温上昇、海面上昇といった長期的な気候パターンの変化における事業活動に与える影響 |
原材料の調達コストが上昇し続ける、あるいは調達停止による事業縮退リスクがある。 また、当社ならびにサプライチェーン従業員全体の健康脅威によるサービス提供に影響を与える恐れがある。 |
◆指標と目標
当社グループでは、「持続可能な社会の実現とグループの成長」を目指し、「社会・環境価値」、「経済価値」の両面における持続的な価値向上を図るよう、気候変動に係る指標と目標を設定し、モニタリングを行ってまいります。
・CO2排出量の目標(対象:フランスベッド㈱)
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項目 |
2020年度実績 |
2024年度実績 |
2030年度目標 |
2050年度目標 |
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スコープ1(直接排出) |
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3,800 t-CO2 |
排出量ゼロ |
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スコープ2(間接排出) |
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2,800 t-CO2 |
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スコープ3(1,2以外のその他排出) |
サプライチェーンの温室効果ガス排出削減活動 |
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※2030年度の目標値は2020年度実績に対し、30%削減を目標としています。
5.人的資本・多様性に関する取組
◆戦略
企業を支えるのは人材であるという大前提に基づき、多様性を尊重し、なかでも当社グループの成長に不可欠となる女性の採用と継続的育成・活躍、障がい者の積極雇用と継続的なフォロー・育成に加え、外国人労働者の雇用創造、高齢労働者への能力開発とスキルアップの場を計画的に提供することで、社会の要請に応えられる社員の育成を図ってまいります。
これらの実行により、経営理念に掲げている『人にやさしいヒューマンカンパニーを目指します』の具現化を目指します。
<フランスベッドグループ 人材育成方針>
フランスベッドグループでは、経営理念の実践にむけ、グループ行動規範を体現できる人材を育成しています。教育プログラムを充実させ、フィードバックと評価により自分自身の成長やキャリア形成に取り組み、会社と共に成長していくことが出来る環境を整備しています。
(1) キャリアパスの設定
従業員がキャリアを積み、将来的にどうありたいかをタレントマネジメントシステムでヒアリングし、会社はそのサポートを担います。
(2) 社内教育プログラムの充実
社内教育プログラムまたは、外部教育機関等を通じて従業員の業務遂行に必要なスキルや知識、さらにはリーダーシップやコミュニケーションなどのスキルアップをサポートします。
(3) メンタリングプログラムの実施
メンタリングプログラムは、従業員の成長を支援するための重要な要素として、経験豊富な従業員が若手社員を指導しています。
(4) フィードバック文化の確立
従業員が自己評価を行い、改善点を見出すことを目的に、フィードバックの定着を図ります。
(5) ワークライフバランスの重視
従業員のストレスや疲労軽減、余暇の充実を目的に、仕事とプライベートの両方をバランスよく過ごせるような環境を整備します。
◆指標と目標
・ダイバーシティの目標(対象:連結会社)
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項目 |
2024年度実績 |
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・ |
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項目 |
2024年度実績 |
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全労働者 |
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うち、正社員 |
78.6% |
82.0% |
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うち、パート・有期社員 |
82.9% |
82.0% |
※男女の賃金差異(男性100%に対する女性の賃金割合)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループではこのようなリスク管理をはじめとして、会社情報の管理・統制、コンプライアンス等の内部統制に関する事項を検討する機関として「情報管理委員会」を設置し、情報の収集に当たり、取締役会への報告を行っております。
また、当社グループは「経営危機対策規程」を定め、「経営危機」と判断される事象が発生した場合には速やかに代表取締役会長兼社長を本部長とする危機管理対策本部を設置し、対策を実施することとしております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの事業環境に関するリスク
① 当社グループが行っているメディカルサービス事業は、介護保険法に基づく介護保険制度に大きく依存しており、介護保険に関連する当事業の売上高の5割以上を占めております。この対策として、当社グループでは介護保険制度に過度に依存しない収益基盤づくりを行い、アクティブシニアをターゲットとする製品の開発・販売や、一般向けレンタルを推進することで、介護保険関連以外の売上高の拡大を図っております。しかし、介護保険制度は3年ごとに改定が行われることから、その改定内容において当社グループが提供しているサービス等が保険適用外に指定されたり、適用率が減少した場合等には売上高が減少し、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループが行っているインテリア健康事業の取引先が属する家具小売市場は、景気動向やそれに伴う消費マインドの増減、地価動向及び住宅税制等の影響を比較的受け易い傾向にあります。この対策として、既存の家具販売店等との取引に加えて、EC企業やホームセンター、量販店など幅広く多業種への販路拡大を推進し売上高の維持と収益の確保を図っております。しかし、景気の低迷による所得の減少、市場金利の上昇、地価上昇及び住宅税制の課税強化、少子高齢化の進行等により市場の需要が減少した場合、また、製品の差別化を図るものの、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合には、売上高が減少し、取扱製商品の販売価格が下落する等により利幅が縮小する可能性がある他、取引先の経営状態の悪化や、貸倒れの発生等により当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 製品の欠陥に関するリスク
当社グループは、各工場において、JIS(日本工業規格)及び同規格よりも厳しい独自の品質基準であるFES(FRANCEBED ENGINEERING STANDARDS)を制定し、それらに基づいて各種の製品を製造しております。しかし、すべての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。また、当社グループは製造物責任賠償に係る保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありませんし、引き続きこのような保険に加入できるとは限りません。
万一製品に欠陥が生じ、当社グループが賠償責任を負う場合、また、顧客の安全のために大規模なリコールを実施した場合等においては、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、製品回収や損害賠償責任等の費用の発生、さらに当社グループ及び製品に対する社会的信用を低下させ、ブランドを毀損した場合には、売上高が減少し、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 個人情報漏洩等に関するリスク
当社グループは、事業の特性上大量の顧客情報等の個人情報を取扱っており、個人情報保護には特に配慮して対策を進め事業活動を行っております。また、当該リスクによる各種損害の軽減、ならびに被害者の方への賠償を行う目的で、損害賠償保険に加入しております。しかし、万一サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生し個人情報の漏洩があれば、法的責任を負う可能性がある他、社会的信用を大きく毀損することとなり、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 信用に関するリスク
当社グループは、様々な営業取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っております。したがって、当該リスクを管理するために、取引先毎に取引限度額や代金決済方法等を定め、更に債権管理委員会を設置し、その動向を検証・管理することで機動的な運営を行っております。しかし、このリスクを全て排除することは困難でありますので、取引先の信用悪化や経営破綻等があれば、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替変動等に関するリスク
当社グループは、原材料及び取扱製商品の輸出入取引を行っており、それらに係る外貨建金銭債権債務(外貨建予定取引を含む。)は、為替相場の変動リスクを有しております。この対策として当社グループは、為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的でデリバティブ取引を行っておりますが、間接的な影響を含め、これをすべて排除することは困難であります。したがって、為替相場の変動が当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの輸出入取引は、アジア・ヨーロッパを中心とした複数の国々と行っており、今後もその取引は継続されます。したがって、各国の経済情勢の変化及び災害や暴動・テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱の発生等に伴う輸出入環境の変化が、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 災害に関するリスク
当社グループは日本国内を中心に多くの事業拠点を有しており、台風、地震などの自然災害、火災・停電などの事故、疫病の流行等が発生し、対象拠点等の休止により事業活動が停止した場合や施設の改修に多額の費用が発生するリスクを有しております。
また、新型コロナウイルス感染症のように、未曾有のウイルス感染が拡大したような場合には、当社の役職員や関係者の安全を最優先とし、さらには感染拡大防止のため、事業活動を大幅に縮小する必要が生じます。このような事態が生じた場合、当社グループでは、直ちに当社代表取締役会長兼社長を責任者とする危機管理対策本部を設置し、役職員個々人や部門別の行動レベルまで落とし込んだ事業継続計画に基づいて、対策を実施してまいります。しかしながら、影響が及ぶ期間や経済への影響度合いなどによっては、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 社会情勢の変化に関するリスク
当社グループが行っている事業活動は、主に海外の資源産出国における経済情勢の変化及び災害や暴動・テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱の発生等に伴い、資源需要や資源価格の変動等による影響を受けるリスクを有しております。これらに対して国内や海外各国の社会情勢については常に動向を注視しておりますが、原材料や商品仕入価格をはじめ、一般費用まで当社グループにかかるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材確保に関するリスク
当社グループは、継続的に事業の拡大を図り安定的な成長を達成するために、定期的な新卒採用や必要に応じたキャリア採用等を行い、またシニアの経験を活かした継続雇用制度、パート社員からの社員登用制度を通じて、安定的に人材を確保することに加え、社内外での研修受講などで人材育成を行うことにより、各事業において提供するモノとサービスの品質の維持と向上に努めております。
当社グループでは、今後も引き続き人材の確保と育成に努めてまいりますが、必要な人員計画の未達や想定以上の人員流出などによる人材不足が発生した場合、これらに起因する業務効率の低下などにより当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(以下「当期」という。)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の関税政策による影響や、継続的な物価上昇および人件費の高まりを受けたコストの増加など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループでは、新たに2024年4月から3カ年にわたる中期経営計画を策定し、引き続き経営資源をシルバービジネスに重点投入することで事業を深化させるとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブルな経営を通じて、企業価値の創出に取り組んでおります。
こうした中で、当期における財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当期末の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)と比較して2,313百万円増加し70,888百万円となりました。
当期末の負債合計は、前期末と比較して82百万円減少し30,281百万円となりました。
当期末の純資産合計は、前期末と比較して2,395百万円増加し40,607百万円となりました。
b.経営成績
円安の長期化による仕入原価の上昇や、賃上げによる人件費の増加、物流費高騰などの影響はございましたが、主力の福祉用具貸与事業が堅調に伸長したことや、病院・施設及びホテル向け物件取引が好調に推移した結果、当社グループの経営成績は、売上高は60,561百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
営業利益は4,696百万円(前年同期比2.3%増)、経常利益は4,686百万円(前年同期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,946百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
なお、第1四半期連結会計期間より連結子会社である株式会社ホームケアサービス山口の決算日を10月31日から3月31日に変更し、連結決算日と同一としております。この決算期変更に伴い、当期においては当該連結子会社の14ヶ月分の損益を連結決算に取り込んでおります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・メディカルサービス事業
メディカルサービス事業の売上高は40,509百万円(前年同期比4.2%増)、経常利益は3,592百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
・インテリア健康事業
インテリア健康事業の売上高は19,481百万円(前年同期比1.3%減)、経常利益は1,067百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物残高は、前期末と比較して20百万円増加し13,223百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、7,448百万円の収入(前年同期は7,829百万円の収入)となりました。主な要因として、収入については、税金等調整前当期純利益4,599百万円、非資金項目である減価償却費5,094百万円の計上、売上債権の減少205百万円などによるものであり、支出については、棚卸資産の増加851百万円、仕入債務の減少161百万円、法人税等の支払900百万円などによるものであります。
なお、前年同期と比較して収入が減少した主な要因は、減価償却費の減少や棚卸資産の増加などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,929百万円の支出(前年同期は5,616百万円の支出)となりました。主な要因は、有価証券の償還7,000百万円の収入などに対し、有価証券の取得7,500百万円、有形固定資産の取得4,736百万円の支出などによるものであります。
なお、前年同期と比較して支出が減少した主な要因は、有価証券の償還による収入が前期より増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,498百万円の支出(前年同期は633百万円の収入)となりました。収入については、セール・アンド・リースバック2,661百万円であり、支出については、短期借入金530百万円、長期借入金290百万円の返済、ファイナンス・リース債務の返済2,995百万円、配当金の支払額1,344百万円などによるものであります。
なお、前年同期と比較して支出超過となった主な要因は、前年同期に自己株式の取得による支出2,004百万円と転換社債型新株予約権付社債の発行による収入5,021百万円があり、収入超過となっていたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
・生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
メディカルサービス(百万円) |
1,889 |
88.7 |
|
インテリア健康(百万円) |
6,548 |
101.2 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
8,438 |
98.1 |
(注) 金額は製造原価によっております。
・外注実績
当連結会計年度の外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
メディカルサービス(百万円) |
4,065 |
135.5 |
|
インテリア健康(百万円) |
1,255 |
107.7 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
5,321 |
127.7 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
・仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
メディカルサービス(百万円) |
6,628 |
107.1 |
|
インテリア健康(百万円) |
1,388 |
90.3 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
8,017 |
103.7 |
(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.受注実績
当社グループの製品につきましては全般的に生産に要する期間が短く、また、同一製品において見込生産と受注生産を行っており、区分して算出するのが困難なため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
メディカルサービス(百万円) |
40,509 |
104.2 |
|
インテリア健康(百万円) |
19,481 |
98.6 |
|
その他(百万円) |
571 |
104.2 |
|
合計(百万円) |
60,561 |
102.3 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当期の売上高につきましては、メディカルサービス事業は増収、インテリア健康事業は減収となりました。
メディカルサービス事業においては、「福祉用具貸与事業」、「病院/施設向け事業」、「リネンサプライ事業」の全てで増収となり、特に「病院/施設向け事業」において、介護従事者の負担軽減に資する商品の販売が増収を牽引した結果、メディカルサービス事業の売上高は前年同期比1,646百万円の増収となりました。また、インテリア健康事業においては、継続的な物価上昇に伴う耐久消費財への消費マインドの低下や国内の家具専門店の減少が続いた結果、インテリア健康事業の売上高は前年同期比259百万円の減収となりました。
これらの結果、当期の売上高は、前年同期比1,410百万円増加(2.3%増)し、60,561百万円となりました。
営業損益につきましては、メディカルサービス事業においてレンタル資産を効率的に運用した結果、レンタル原価が低減したことなどにより、売上原価率は前年同期比0.6ポイント低減(45.4%)、一方、販管費は賃上げによる人件費の増加や物流費の増加などにより前年同期比1,057百万円増加(3.8%増)しましたが、増収と売上原価率低減により、販管費の増加分を吸収した結果、当期の営業利益は、前年同期比109百万円増加(2.3%増)し、4,696百万円となりました。
経常損益につきましては、営業外収支が前年同期と比して80百万円悪化したことにより、当期の経常利益は、前年同期比29百万円増加(0.6%増)に留まり、4,686百万円となりました。
特別損益につきましては、前期に連結子会社が保有する投資有価証券売却益214百万円の計上などがあった一方、当期は特段の特別利益の計上が無かったことにより、特別利益が前年同期比221百万円減少しました。また、同じく前期に固定資産処分損170百万円の計上などがあったことから、特別損失が前年同期比82百万円減少しました。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益につきましては、前年同期比109百万円減少(2.3%減)し、4,599百万円となりました。これより税金費用1,652百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年同期比187百万円減少(5.9%減)し、2,946百万円となりました。
<経営成績に重要な影響を与える要因について>
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関わる情報
当社グループにおける主な資金需要は、当社及び子会社が事業活動を行っていく上で必要な運転資金及び設備投資資金であります。設備投資の主なものは、メディカルサービス事業の福祉用具貸与事業に係るレンタル用の資産への投資や、インテリア健康事業の生産設備に対する投資等であります。
これらの資金需要に対しては、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債(私募債)、転換社債型新株予約権付社債、セール・アンド・リースバックにより調達しており、グループとして最適な資金調達を実現するために当社が中心となり調達を行っております。
また、当社グループではCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、グループ各社における余剰資金を当社に集中し、一元管理を行うことで金融費用の削減を図っております。当期末における当社グループの有利子負債残高は17,209百万円となりました。内訳としては、短期及び長期借入金6,350百万円(短期借入金1,540百万円、長期借入金4,810百万円(一年内返済予定を含む))、社債1,500百万円、転換社債型新株予約権付社債5,039百万円、リース債務4,319百万円(長期を含む)であります。
一方、当期末における現金及び現金同等物の残高は13,223百万円となり、前期末と比較して20百万円増加しております。将来発生し得る資金需要について、当社グループの主力事業であるメディカルサービス事業の福祉用具貸与事業に係るレンタル資産への投資に関しては、セール・アンド・リースバックにより、その他の大型設備投資に関しては、手元資金及び銀行借入により、また、運転資金、株主還元に関しては、営業活動によって得られるキャッシュ・フロー及び手元資金により対応可能と認識しております。
<経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等>
当社グループは、2024年4月から始まる3カ年の新中期経営計画をスタートさせ、事業を通じて、人々の暮らしに役立つ製品やサービスを提供し、新たな価値の創造に挑戦し続けることで、社会から100年を超えて存続を期待される企業であると共に、サステナブルを重視した経営に努めることで、社会的な価値もあわせて創造する、「社会の役に立ち、社会に貢献する」企業を目指し、主に、主力事業のメディカルサービス事業への経営資源集中による事業拡大と、インテリア健康事業における高付加価値商品の開発・品質に拘り、継続して利益の創出に取り組んでおります。
当中期経営計画において重視している点の1つはROEの向上です。ROEは、収益性(売上高純利益率)と効率性(総資産回転率)と財務レバレッジを掛け合わせたもので算出されますが、当社グループでは、当中期経営計画の中で、収益性の高い主力のメディカルサービス事業の福祉用具貸与売上を伸ばしていくこと、ならびにインテリア健康事業において継続的に利益を創出することにより、事業全体の収益性を改善していくことを最優先課題としております。
こうした中で、当期におきましては、前期と比較して親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったことを受けROEは7.4%となりましたが、当中期経営計画3年目にあたる2027年3月期においては、ROEを8.5%以上に向上していくことを目指しております。
中期経営計画の数値目標は以下のとおりであります。
|
指標 |
2025年3月期(実績) |
2027年3月期(目標) |
|
売上高 |
60,561百万円 |
65,000百万円 |
|
営業利益 |
4,696百万円 |
5,420百万円 |
|
経常利益 |
4,686百万円 |
5,400百万円 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,946百万円 |
3,460百万円 |
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ROE(自己資本利益率) |
7.4% |
8.5% |
<セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容>
財政状態の状況
・資産
当期末の総資産は、前期末と比較して2,313百万円増加し70,888百万円となりました。流動資産は前期末と比較して1,299百万円増加し38,483百万円となりました。主な要因として、増加については、有価証券4,000百万円、棚卸資産851百万円などであり、減少については、現金及び預金3,479百万円、受取手形、売掛金並びに電子記録債権205百万円などであります。固定資産は前期末と比較して1,026百万円増加し32,363百万円となりました。主な要因は、有形、無形固定資産の取得及び償却によるものや退職給付に係る資産の増加などによるものであります。
・負債
負債は、前期末と比較して82百万円減少し30,281百万円となりました。主な要因は、未払法人税等1,198百万円などの増加に対し、支払手形及び買掛金並びに電子記録債務161百万円、借入金(長期を含む)820百万円、リース債務(長期を含む)284百万円などの減少によるものであります。
・純資産
純資産は、前期末と比較して2,395百万円増加し40,607百万円となりました。主な要因として、増加については、親会社株主に帰属する当期純利益2,946百万円や自己株式の処分29百万円などによるものであり、減少については、剰余金の配当1,347百万円などによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前期末の55.7%から57.2%となりました。
経営成績の状況
・メディカルサービス事業
主力の福祉用具貸与事業においては、団塊の世代が75歳以上となり後期高齢者人口が増加する中、介護保険下における中重度者となりうる高齢者の方々の在宅介護需要に応えるべく、軽度者(要支援・要介護1)へのベッド貸出を増加させるとともに、継続的なレンタル契約拡大に向けた営業員の採用や配送車両の増強をおこなってまいりました。また、近時、後継者不足などの事業承継問題から、福祉用具貸与事業者からの顧客譲受を強化するなど、レンタル契約の獲得に注力しました。
商品展開においては、福祉用具貸与事業者向けの一人で納品と組み立てが可能な在宅介護ベッド「RaKuDa(らくだ)」の拡販を継続いたしました。また、11月からは、東洋紡エムシーが開発した素材「ブレスエアー®」を採用し、リバーシブル設計で寝心地の調整が可能な上に、衛生面に優れた介護用マットレス「ツインウェーブTW-80」の販売及びレンタルを開始いたしました。
病院・施設向けに関しましては、看護・介護現場での労働生産性向上を図るべく、労力軽減・省人化に係るIoT関連機器である「見守りセンサーM-2搭載ベッド」や、心拍・呼吸を検知し眠りを解析するセンサー「M-Sleep Bio」などの販売に注力するとともに、高齢者施設向けの家具や家電などのB to Bレンタル事業を軌道に乗せるべく、販促活動を継続いたしました。
以上の結果、メディカルサービス事業の売上高は40,509百万円(前年同期比4.2%増)、経常利益は3,592百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
・インテリア健康事業
インテリア健康事業においては、継続的な物価上昇に伴う耐久消費財への消費マインドの低下や国内の家具専門店の減少が続く中、自社ショールームを中心に電動ベッドシリーズや基幹商品である「LT(ライフトリートメント)マットレス」の上位モデル「LTレガシー」などの高機能、高価格帯商品の販売に注力するとともに、当社グループ商品を展示する場を増やすべく、「フランスベッドギャラリー船橋」及び「さいたまショールーム」を7月に開設いたしました。さらに、地方の高齢化率上昇等の背景を踏まえ、当社グループの2つのセグメント事業を融合させた地域密着型の新しい展示場として、「フランスベッド長野電動ベッド館」を11月に開設いたしました。
また、リビング商品の売上拡大を目指すべく、韓国を代表するソファメーカー「JAKOMO(ジャコモ)」をメインブランドとした初のソファ専門ショールームを5月に東京都港区に開設するとともに、当社グループの国内10箇所の展示場内にインショップソファスタジオ「JAKOMO Studio」を開設いたしました。
ホテル向け販売においては、訪日外国人旅行者数が過去最高を記録する中、ホテルの設備投資意欲の高まりを背景に販売は好調に推移しました。
以上の結果、インテリア健康事業の売上高は19,481百万円(前年同期比1.3%減)、経常利益は1,067百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。当社グループは特に下記の会計方針が重要な見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、売掛金等の債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、取引先の経営状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
b.棚卸資産
当社グループは、定期的に棚卸資産の処分又は評価替を行うことにしております。実際の将来需要又は市場状況が見積りより悪化した場合、追加の処分損及び評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、取引先及び金融機関の有価証券を所有しております。これらの有価証券の減損にあたっては、個別銘柄毎に、連結会計年度末における時価が期首取得原価に比べ30%以上下落したときは、連結会計年度中の時価の推移を勘案して、回復可能性があると認められる場合を除き減損処理を行っております。
将来の市況の悪化や投資先の業績の不振により、現在の簿価に回復する可能性が見込めない事態が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、将来年度の収益力及び慎重かつ継続的に検討した実現性の高いタックスプランニングに基づく課税所得の見積額により回収可能性を判断し繰延税金資産の計上を行っておりますが、繰延税金資産の全部又は一部が将来的に回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取り崩します。
e.退職給付に係る負債
当社グループは、当該連結会計年度末の退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、当該連結会計年度末において発生していると認められる額を計上しておりますが、前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。長期金利の変化、年金資産の運用状況等の年金を取り巻く市場環境の変化、医療環境の進歩、生活環境の向上等による統計数値の変化、また、報酬制度、退職金制度の見直し等の企業環境の変化等、様々な要因により将来的に退職給付に係る負債に影響を及ぼす可能性があります。
f.固定資産の減損
当社グループは、事業を行うにあたり固定資産を保有しておりますが、時価の下落や収益性の低下等により減損処理が必要となった場合、減損損失を計上する可能性があります。
g.のれんの減損
当社グループは、のれんについて四半期ごとに減損の兆候の判定を実施しております。なお、減損の兆候の判定には、将来の事業計画や市場の動向などを判断材料としており、これらの判断材料が大きく変化した場合、のれんの減損損失を認識する可能性があります。
技術援助契約の概況
当社グループの技術導入に関する契約の主なものは次のとおりであります。
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契約会社名 |
契約先 |
契約締結年月日 |
契約の内容 |
摘要 |
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国名 |
名称 |
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フランスベッド㈱ |
スウェーデン |
ヒルディング・アンダーズ・インターナショナル AB |
2021年1月26日 |
ベッドの製造技術及び商標使用権 |
(1)対価 実施料 (2)契約期間 2025年12月31日まで |
当社グループの研究開発活動は、「創造と革新により『豊かさとやさしさ』のある暮らしの実現に貢献するヒューマンカンパニーを目指す」という経営理念のもと、グループ会社であるフランスベッド株式会社生産開発本部の商品開発部とスリープ研究センターが担当しております。
商品開発部では、健康で快適な暮らしを実現するために、ご利用者様一人ひとりにふさわしい機能をもった創造性豊かな「付加価値のある商品」の提供を企業の使命と考え、子供から高齢者まで幅広いニーズに対応した製品開発に加え、ペット用家具の製品開発も行っております。また、開発した商品については、日本の国家標準「JIS規格」及び同規格よりも厳しい独自の品質基準である「FES(FRANCEBED ENGINEERING STANDARD)規格」を基に、商品だけではなく、商品に使用する素材に独自のテストを行うことで高品質なモノづくりを実践し、お客様から信頼される企業グループを目指しております。また、スリープ研究センターでは、健康な生活のための快眠はいかにあるべきか、医学的な睡眠の科学を追究・情報発信を行うとともに、商品の安全・安心への取り組みとして、「FES規格」に基づき、品質評価も行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
(メディカルサービス事業)
当事業においては、団塊の世代が75歳以上となり後期高齢者人口が増加する中、介護保険下における中重度者となりうる高齢者の方々の在宅介護需要に応えるべく、軽度者(要支援・要介護1)へ貸出できる商品の開発や、年々増加し続ける介護人材不足の対策のひとつとして挙げられている、介護職場の生産性向上・定着促進のための労力軽減につながる商品の開発を行っております。
軽度者へ貸出できる商品では、大きな車輪とティッピングバーが特徴の歩行器「スマートウォーカーNeo」の開発を行い、2024年12月より販売を開始しました。また、室内用手すりの「マルチフィットてすり」の耐水性をより高めた屋外用手すりの開発を行っております。
介護用マットレスでは、東洋紡エムシーが開発した素材「ブレスエアー®」を採用し、リバーシブル設計で寝心地の調整が可能な上に、衛生面に優れた「ツインウェーブTW-80」を2024年11月より販売を開始しました。また、スプリングを利用しご利用者の寝心地に拘った「サイクリン」の寝心地を更に向上させ、スプリングの支持層を3種の詰め物(ウレタン、ブレスエアー®、ラテックス)から選択できる「サイクリンN」を2024年12月より販売開始しました。
さらに、認知症老人徘徊感知器として、マットレスの下に設置するだけで離床を感知できる「マルチフィット離床センサーMFRS」を2024年7月より販売を開始しました。
今後も、様々な福祉用具貸与対象品目の開発をしている強みを生かし、介護を必要とされる方や介護に携わる方の利便性や安全性、労力軽減を追求した商品の開発を行うとともに、AIやセンサー技術を利用し、認知症の方をサポートする商品やアクティブシニア世代向け商品の開発を継続的に行ってまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は
(インテリア健康事業)
当事業においては、継続的な物価上昇に伴う耐久消費財への消費マインドの低下や国内の家具専門店の減少が続く中、ベッドを中心に「高齢化社会」への対応を図るとともに、高機能・高付加価値を追求した商品開発を行っております。また、世界的に問題となっている環境に配慮した商品開発にも取り組んでおります。
電動リクライニングベッドでは、世界的に信頼の高いモーターを採用しながら価格低減を図った「PLESUS(プレサス)」を開発し、2025年2月より販売を開始しました。
ベッドフレームでは、アブラヤシ廃材を利用した再生木質ボード「PALM LOOP®ボード」と環境にやさしい「水性塗料」を利用したエココンフォートベッド「TELLES(テレス)」を2025年4月より販売を開始します。
また、マットレスでは、ベースマットレスの上にトッパーを載せることで、継ぎ目のないワイドサイズを実現し、子育てファミリーにうれしいポイントを盛り込んだマットレス「FB-Plus」を2025年1月より販売開始しました。
今後も、さらなる高機能・高付加価値・環境を追求したインテリア商材を開発してまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は