第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、技術基盤であるバイオテクノロジーを活用し、「バイオ産業支援」と「遺伝子医療」の両事業を通じて、社会への貢献を果たしていくとともに、企業価値の向上を目指しております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および2022年度を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2022」を策定し、遂行しております。

 

(参考)「長期経営構想2025」のビジョン

 

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①事業領域の拡大

 アカデミアの研究支援から、産業応用、臨床関連分野、さらに創薬へと事業領域を拡大させる

 

②新技術の開発

 研究用試薬などの新製品開発やCDMO事業の新メニューの開発を通じ、創薬基盤技術開発を進める

 

「長期経営構想2025」の概要

(1) 位置づけ・目的

 「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、2025年における目指す姿を示し、持続的成長を実現する。

(2) 期間

 2020年度~2025年度(6年間)

(3) ビジョン(目指す姿)

 試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出し続ける創薬企業(注)を目指す。

(注)医薬品の研究開発、製造、販売のすべての機能を自社内で完結する完全統合型製薬企業のビジネスモデルではなく、新しく開発した治療法のライセンスを導出する等により収益を得ることをビジネスモデルとする企業

(4) 計画最終年度定量目標

 営業利益:100億円、ROE:8%以上

「中期経営計画2022」の概要

(1) 期間

 2020年度~2022年度(3年間)

(2) 全体方針

 事業成長戦略と経営基盤強化戦略を推進し、長期経営構想2025の実現(営業利益100億円)に向けた成長基盤の礎を構築する3年間とする。

(3) 計画最終年度定量目標

 営業利益:65億円、ROE:6%以上

 ※2022年度の業績予想では、営業利益:150億円、ROE:10.7%としております。

(4) 事業戦略

・コア事業である「試薬・機器事業」と「CDMO事業」の持続的成長

・将来の飛躍的成長に向けた創薬アライアンスの加速と新規臨床プロジェクトの創出

・伸び行くグローバル市場での展開の加速、事業領域の拡大

・事業部門制を廃止し、部門融合による成長加速へ向けた組織体へ再編

(5) 経営基盤強化

・積極的な成長投資、株主還元の充実、ROEの向上

・成長を支える人・組織・労働環境づくり

・技術・研究開発基盤の強化

・生産性向上によるあらたな収益基盤の構築

・企業理念の実践による社会的価値の創造

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 定量目標:計画最終年となる2025年度に、営業利益100億円、ROE8%以上

 

(4)経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、国内外ともに大きく変化し、厳しさを増しております。直近では、新型コロナウイルス感染症、米中貿易摩擦の長期化、ロシアのウクライナ侵攻等があげられます。また、当社グループが積極的に取り組んでいる遺伝子医療、再生医療等製品の分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーや製薬企業等、企業規模とは関係なく、世界的に競争が激化しております。

 さらに、環境・社会問題等、サステナビリティへの企業の取り組みに対し、社会的関心が高まり、企業は業績・財務だけではなく、社会課題解決への積極的な取り組みが求められております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当社グループは、「長期経営構想2025」および「中期経営計画2022」において、以下の課題に取り組み、持続的成長を実現してまいります。なお、当連結会計年度は新型コロナウイルスPCR検査関連試薬により収益が大きく上振れましたが、中期経営計画・長期経営構想に掲げた成長基盤の構築のための諸施策に引き続き取り組んでまいります。定量目標、KPIについては今後の推移を確認しながら必要に応じ適宜見直しを検討してまいります。

 

事業成長戦略

 コア事業である「試薬・機器事業」と「CDMO事業」の両輪で、持続的成長を目指すとともに、将来の飛躍的成長に向けて、バイオ創薬基盤開発、創薬アライアンスの加速と臨床開発プロジェクトの新規創出をはかります。

 

(1)試薬事業

・日本、米国、中国の各開発拠点の開発テーマの最適化をはかり開発効率の向上を目指します。

・日本、米国、中国、欧州における製造体制を分散・再編し、グループ全体での最適化、効率化をはかります。また、継続的なコストダウン、品質マネジメントシステムの取得範囲の拡大等により、価格・品質面での競争力向上をはかります。

・地域特性を考慮した「グローカル」な販売戦略を構築します。

 

(2)機器事業

・ウイルス検査等の産業・医療分野向けのPCR関連製品の開発を強化し、さらに獣医・畜産、環境分野への展開をはかります。

・シングルセル解析装置等のアプリケーションの充実による拡販を目指すとともに、CDMO事業の新規メニューの開発にも活用します。

・製造・開発体制を再編し、機器と専用試薬のシステム化による付加価値の高い新製品開発を行います。

(3)CDMO事業

・遺伝子・細胞プロセッシングセンターの増設・拡張により、再生医療等製品等の製造能力が格段に向上したことを活用し、CDMO事業の拡大を目指します。

・再生医療等製品関連分野では、ウイルスベクター製造のスケールアップや、遺伝子導入細胞の生産性の向上、コストダウンも含めたGMP製造体制のさらなる強化を進めます。また、mRNA等新規モダリティへの対応が可能な製造体制を整えます。

・遺伝子解析・遺伝子検査分野では、臨床関連分野への参入、大型ゲノム解析プロジェクト対応能力の向上等に努めます。

 

(4)創薬アライアンス

・TBI-1301(NY-ESO-1・siTCR®)プロジェクトについては、提携企業と確実に臨床開発を進め、早期の上市を目指します。

 

(5)新規臨床開発プロジェクト

・TBI-2001(CD19・JAK/STAT・CAR)をはじめ、あらたな複数の遺伝子治療プロジェクトの開発を推進します。

・体外遺伝子治療では、治療効果がより高く、血液がん以外の固形がんへも応用可能なCARおよびsiTCR®治療法の開発を目指します。

・体内遺伝子治療では、治療効果がより高く、患者への負担が少なく投与できる新しいウイルスベクターの開発を目指します。

 

経営基盤強化戦略

事業戦略と連動した、5つの経営基盤戦略を推進することで、「長期経営構想2025」を実現する企業風土へと変革し、強固な成長基盤を確立します。同時に、サステナビリティに配慮した経営も実践します。

 

(1)財務

財務健全性を維持しながら、積極的な成長投資を継続し、株主還元の充実とROEの維持向上を目指します。

 

(2)人・組織

グローバル化、次世代を担うリーダーの人材育成に注力し、個々の能力を高める成長機会を充実させるとともに、ワークライフバランスとやりがいを実感できる労働環境づくりを実現します。

 

(3)技術

持続的成長の生命線である研究・開発力を強化し、オープンイノベーションも積極的に活用することにより、新技術創出の基盤を構築します。

 

(4)収益

業務管理・プロセスの見直し、IT基盤の一層の整備・活用による業務の効率化や生産性の向上をはかります。

 

(5)社会的価値の創造

企業理念に基づいた、先端研究用試薬の開発・実用化等を通じたライフサイエンス研究支援、遺伝子治療薬の開発によるアンメットメディカルニーズの充足等、当社グループならではの事業活動を行います。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 また、文中において、適宜用語の解説をしておりますが、当該用語解説は、投資者に本項の記載内容をご理解いただくための参考として、当社の判断と理解に基づき、当社が作成したものであります。

(1)市場および事業について

① 研究開発活動について

 バイオテクノロジーに関連する産業は多岐にわたり、遺伝子治療等の再生医療等製品分野、基礎研究や創薬等を目的とした大学、公的研究機関や企業、検査会社を直接のターゲット市場とする研究支援分野、その他、環境・エネルギー・食品・情報分野まで多岐にわたります。

 このような状況の中、当社グループにおいて競争優位性を維持していくためにも、広範囲にわたる研究開発活動は非常に重要であると考えております。しかしながら、研究開発活動は計画通りに進む保証はなく、特に遺伝子医療分野における臨床開発は長期間を要するため、研究開発活動の遅延により、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、バイオテクノロジー業界を取り巻く経営環境の変化は激しく、当社グループの事業環境は新たな技術革新や新規参入者等により大きな影響を受ける可能性があることから、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、計画する収益を獲得できない可能性があります。

② 海外展開について

 当社グループは、北米、欧州、中国を中心とするアジア等において、研究開発、製造、販売等の事業活動を展開しております。これらの国または地域における経済状況、政治および社会体制の著しい変化、移転価格税制等の国際税務問題等の事象が発生した場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの主力製品である試薬は、その大半を中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で製造しており、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止等により、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、効率性向上とリスク低減のバランスを考慮しつつ、グローバルで多極的な製造・研究開発体制を整備しております。

③ 競合について

 当社グループは、財務的な一定の基盤、アジア市場における確固としたプレゼンスおよび保有技術の幅広いラインナップを有する独自の産業的地位を占めていると考えております。

 しかしながら、研究用試薬や機器の製造・販売には医薬品や医療機器のような許可や承認を必要としないことから、特許等による障壁がない場合には、これらの事業への参入は比較的容易であり、国内のみならず海外においても多数の競合企業が存在しております。

 また、遺伝子医療分野においては、技術的進展により、安全性が高く治療成績に優れる治療薬が開発され、海外で製造販売承認が得られ始めております。当分野の市場規模の拡大を背景とし、欧米のバイオベンチャーや製薬企業等、多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組んでおります。

 このような環境の中、当社グループは、当社グループ独自もしくは大学等の外部団体や企業と協力して、技術や製品を開発しておりますが、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合、当社グループの製品開発や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループは開発した技術や製品を可能な限り知的財産権による保護にて、独占化あるいは差異化をはかるとともに、コストダウンの推進および製造体制の強化により、価格競争力の維持をはかってまいります。

④ 人材の確保について

 当社グループは研究開発型の企業であり、また、バイオテクノロジー業界は新たな技術革新や新規参入者等により大きな影響を受けることから、競争力の維持のためにも、専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保は必須であると考えております。しかしながら、計画通りに人材が確保できなかった場合、あるいは当社グループの人材が社外に流出する状況になった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループではダイバーシティやワークライフバランスを推進し、安全で働きやすい職場環境、労働環境の整備に努めております。

⑤ ライセンス契約等にかかる契約一時金およびマイルストーン達成金にかかる売上について

 当社グループは、顧客との契約に基づき、契約一時金については顧客に実施権を付与した時点等、マイルストーン達成金については契約上定められた条件が達成された時点等で履行義務が充足されたと判断し、収益を認識しております。これらの取引については、契約の複雑性等から、収益認識時点について誤謬が発生する恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループは内部統制の充実に努めるとともに、内部監査部門や財務部門によるチェックを実施しております。

⑥ 受託にかかる売上について

 当社グループは、受託にかかる売上について、契約に応じて、主に検収、受領、出荷等の支配が顧客に移転した時点で履行義務が充足されたと判断し、収益を認識しておりますが、契約の複雑性等から、収益認識時点について誤謬が発生する恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループは内部統制の充実に努めるとともに、内部監査部門や財務部門によるチェックを実施しております。

(2)金融および経済について

① 資金調達の実施について

 当社グループは、新規事業の立ち上げや事業規模の拡大を受けた研究開発、設備投資、運転資金等の資金需要の増加に対応するため、資金調達を行う可能性がありますが、資金が計画通りに調達できない場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループは健全な財務体質の維持・強化に努めるとともに、最新の情報に基づいた資金計画の見直しを適時に行っております。

② 為替レートの変動について

 当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益および外貨建債権・債務は、為替レートの変動リスクに晒されております。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、為替変動リスクを軽減する目的で為替予約等のヘッジ取引を行っております。

 また、在外連結子会社の収益、費用、資産等の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算しておりますが、決算時の為替レートの変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)財務について

① 減損について

 当社グループは、事業の用に供するさまざまな有形固定資産・企業買収にともなうのれん、技術資産等の無形固定資産を有しておりますが、事業環境の急激な変化にともなう生産設備の遊休化や稼働率の低下・買収事業の推移が当初計画を下回ること等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは買収後のシナジー実現に向けた買収事業のフォローアップや、マクロ経済環境の定期的なモニタリングを行っております。

(4)規制・法的手続き・災害・事故について

① 経営上の重要な契約等について

 当社グループの事業展開上、重要と思われる契約の概要は「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループにとって不利な改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 知的財産権について

 当社グループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、競合他社を排除するため、自社の技術を特許で保護しております。また、当社グループは、研究開発を進めていくにあたって、特許出願・権利化を第一に考え対応していく方針であります。しかしながら、出願した特許がすべて登録されるとは限らず、また、登録特許が無効となる、消滅する等した場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループは、今後の事業展開の中で、必要な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生する可能性があります。また、必要な他者特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 製造物責任のリスクについて

 当社グループが取扱うすべての製品・商品について製造物責任賠償のリスクが内在しております。特に、医薬品、医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品、研究用製品、臨床試験に使用される治験薬、特定細胞加工物においては、健康障害を引き起こしたり、臨床試験、製造、販売において瑕疵が発見された場合には、製造物責任を負い、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、これらの製品・商品に何らかの問題が発生した場合には、人体への影響、被害を考慮して自主回収を行うことがあり、その場合には回収に多大な時間および費用を要する可能性があります。

④ 法的規制について

 研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)等の関連法規の規制を受けており、当社グループは当該法規制を遵守していく方針であります。また、試薬類の製造・販売および貿易にあたっては、毒物及び劇物取締法や検疫法等関連法規を遵守する必要がありますが、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という。)に定める医薬品や再生医療等製品ではないことから、同法の適用および規制は受けておりません。しかしながら、研究支援産業の拡大等にともない、将来、これらの規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 また、当社が開発・販売中の体外診断用医薬品や開発中の遺伝子治療薬は、医薬品医療機器等法をはじめとする関連の法規の規制を受けており、商業活動のためには所轄官公庁の承認または許可が必要になります。当社グループが研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、当社グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 訴訟等のリスクについて

 当社グループの事業に関連して、第三者との間で重要な訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。しかしながら、当社グループ各社に対して訴訟を提起される可能性があり、訴訟が提起されたこと自体や訴訟の結果によっては当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、国内外の事業活動の遂行に際し、内部統制の充実やコンプライアンスの強化に努めております。

 また、当社グループでは、事業展開にあたり知的財産権に関する訴訟を未然に防ぐため、特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社グループの製品等が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループのような研究開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であると考えており、かかる知的財産権侵害問題が発生した場合には、当社グループが損害賠償請求、差止請求またはロイヤリティの支払請求等を受ける可能性があり、その結果として当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社グループの取引先やライセンサーが紛争に巻き込まれた場合には、当社グループが該当する製品を販売できなくなったり、訴訟に巻き込まれたりする可能性があります。このような場合には、解決に多大な時間および費用を要する可能性があり、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 自然災害や事故災害について

 暴風、地震、落雷、洪水、渇水等の自然災害、火災等の事故災害や感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合には、災害による物的・人的被害により、当社グループの営業活動に支障が生じる可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めております。

⑦ 気候変動等環境課題

 気候変動や資源・エネルギーをはじめとする環境課題の包括的な解決に向けて、温室効果ガス(GHG)排出削減や省エネルギー活動の推進等への企業取組みが求められております。当社グループにおいても「タカラバイオグループ・サステナビリティ経営推進基本方針」を掲げ、課題解決に取り組んでおります。一方で、当社グループが事業展開する各地域で、今後、炭素税の賦課や排出権取引制度等の温室効果ガス排出規制が導入された場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。

⑧ 新型コロナウイルス感染症による影響の長期化について

2023年3月期につきまして、新型コロナウイルス感染症の影響を見込んでおりますが、これがさらに長期化し、取引先の一時営業停止や売掛金の回収が遅延する場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、十分な手元資金を確保するようにしております。

また、一部の地域において従業員が出社できない等の状況が発生する可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、リモートワークやソーシャルディスタンスを確保できる勤務体制を整備しております。

⑨ 情報セキュリティ

当社グループが保有する機密情報および個人情報については、厳正な管理に努めておりますが、これらの情報の流出により問題が発生した場合には、競争力や社会的信頼の低下等、業績に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃については、多様な防御対策を講じておりますが、万が一、研究開発、製造、情報システム等に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える場合があります。

(5)当社の親会社について

 2022年3月31日現在、宝ホールディングスは、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と同社との関係は以下のとおりであります。

① 宝ホールディングスグループ(同社および同社の関係会社)における当社の位置づけ

 寳酒造株式会社(以下、「寳酒造」という。現宝ホールディングス)は、2002年2月15日開催の臨時株主総会における承認決議に基づき、物的分割の方法により同社の100%子会社(設立以降に当社が実施した第三者割当増資および公募増資等により、親会社の当社議決権所有比率は60.93%になっております。)として、2002年4月1日に宝酒造株式会社(以下、「宝酒造」という。)および当社を設立いたしました。

 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社61社(子会社59社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)9社とともに、バイオ事業を推進しております。

 

② 宝ホールディングスのグループ会社管理について

 宝ホールディングスは、連結経営管理の観点から「グループ会社管理規程」を定めて運用しており、その目的はグループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、グループ全体の企業価値の最大化をはかることにあります。当社も同規程の適用を受けており、当社取締役会において決議された事項等を報告しておりますが、取締役会決議事項の事前承認等は求められておらず、当社が独自に事業運営を行っております。

 また、同社はグループ内に各種会議体を設けており、当社に関するものは以下のとおりであります。

 

 

会議名称

主な出席者

内容

開催頻度

(原則)

グループ戦略会議

宝ホールディングス㈱役員および執行役員

当社取締役および執行役員
宝酒造㈱取締役および執行役員

宝酒造インターナショナル㈱取締役

および執行役員

グループ全体に関わる

事項の確認

2カ月に1回

タカラバイオ連絡会議

宝ホールディングス㈱役員
当社役員および執行役員

当社活動状況等の報告

1カ月に1回

 上記の各種会議体は、グループ各社間の報告を目的としているものであり、当社の自主性・独立性を妨げるものではありません。

 

 また、有価証券報告書提出日現在、同社と当社との間で以下の役員の兼務関係があります。

氏名

当社での役職

宝ホールディングスでの役職

仲尾 功一

代表取締役社長

取締役

木村 睦

取締役

代表取締役社長

 上記の兼務関係は、仲尾 功一氏は、宝ホールディングスの持株会社体制における連結経営上の考えから同社に招聘されたことにより、木村 睦氏は、過去において当社の経営企画、財務、経理、広報、総務、人事等の分野で豊富な経験と実績を有し、かつ当社の代表取締役副社長としてリーダーシップを発揮してきたことにより、当社のコーポレート機能を強化させ、当社の持続的な成長と中期的な企業価値の向上を実現できるものとの判断から当社が招聘したことにより、それぞれ発生しており、宝ホールディングスが当社を支配することを目的としているものではありません。

 なお、同社のグループ会社管理の方針に変更が生じた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 宝ホールディングスグループとの取引について

1)営業拠点に関する不動産賃貸借取引について

 宝ホールディングスグループの宝酒造との間には以下の不動産賃貸借取引があります。当該賃貸借取引のうち、当社が賃借している営業拠点については以下のとおりであり、この取引継続が困難な状況になった場合は、当社が代替地を確保するまでの期間における収入、移転費用等において当社グループの経営成績に一時的に影響を及ぼす可能性があります。

物件

使用目的

貸主

取引金額

2022年3月期

(百万円)

取引条件等

宝明治安田ビル

6階および地階

(東京都中央区)

当社東京事業所

宝酒造㈱

13

面積:140.85㎡

契約形態:賃貸借契約

賃料算出根拠:土地・建物時価等

(注)取引条件および取引条件の決定方針等

不動産鑑定士による鑑定評価に基づき、協議の上決定しております。

2)商標権使用に関する取引について

 当社グループが使用する商標のうち、宝ホールディングスが所有・管理している商標については、同社との間で商標使用許諾契約を結び、使用許諾件数に応じて商標使用料を支払うこととしております。2022年3月31日現在で、国内海外あわせて登録商標64件および未登録商標1件の使用許諾を受けております。

 なお、宝ホールディングスから商標の使用許諾を受けられなくなった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

会社名

(所在地)

取引内容

取引金額

2022年3月期

(百万円)

取引条件等

宝ホール

ディングス㈱

(京都市下京区)

商標権の使用許諾

6

契約形態:商標使用許諾契約(2004年3月29日付締結)

使用料算出根拠:商標権の出願、登録および今後も含めての維持・管理費用

1商標1国1区分の使用料月額:登録商標8,500円、未登録商標1,700円

 

3)コンピュータ関係業務の委託等に関する取引について

 当社は、宝ホールディングスとの間で、コンピュータ関係業務の委託ならびに機器の賃貸借契約を締結しております。

 なお、これらの取引継続が困難な状況になった場合は、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

会社名

(所在地)

取引内容

取引金額

2022年3月期

(百万円)

取引条件等

宝ホール

ディングス㈱

(京都市下京区)

コンピュータ関係業務の委託および機器の賃借等

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契約形態:業務の委託ならびに機器の賃貸借に関する基本契約

業務の内容:勘定系システム運用支援、クライアントサーバーシステム運用支援、パソコンの賃借、消耗品の購入、その他

 

4)その他

 宝ホールディングスグループ各社(当社グループ各社を除く)とは、包装資材の購入取引等があります。

 なお、これらの取引継続が困難な状況になった場合は、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症、米中貿易摩擦の長期化、ロシアのウクライナ侵攻等の影響により、先行きは不透明な状況となっております。

 このような状況の中、当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および2022年度を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2022」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを継続的に創出する創薬企業を目指した取り組みを推進いたしました。また、新型コロナウイルスのPCR検査関連製品の安定的な供給や、ワクチンを含む再生医療等製品の製造体制整備等に積極的に取り組みました。

 当連結会計年度の売上高は、機器および遺伝子医療が前期比で減少したものの、試薬および受託が前期比で増加いたしました。特に、試薬は、一般研究用試薬がコロナ禍から回復し売上高が過去最高となり、新型コロナウイルスのPCR検査関連試薬も大幅に伸長いたしました。売上高は、67,699百万円(前期比46.9%増)と増収となり、原価率も改善したことから、売上原価は18,488百万円(同30.1%増)となりましたので、売上総利益は、49,211百万円(同54.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費および研究開発費等が増加し、20,309百万円(同13.3%増)となり、営業利益は、28,902百万円(同107.1%増)と増益となりました。

 営業利益の増益にともない、経常利益は、28,459百万円(同101.0%増)、税金等調整前当期純利益は、27,532百万円(同103.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、19,849百万円(同107.9%増)とそれぞれ増益となりました。

 なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、115,712百万円となり、前連結会計年度末に比べて25,962百万円増加いたしました。これは主に、商品及び製品が13,999百万円、売上債権が5,218百万円増加したこと、また、Takara Bio USA, Inc.の新事業所建物の内装工事および当社の製造設備取得等により有形固定資産が6,629百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は、19,647百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,199百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が2,352百万円、未払金が1,531百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、96,064百万円となり、前連結会計年度末に比べて21,762百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が17,923百万円、為替換算調整勘定が円安の進行により3,737百万円それぞれ増加したことによるものであります。

③ キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益27,532百万円、減価償却費3,554百万円によるキャッシュ・イン、棚卸資産の増加14,233百万円、法人税等の支払額5,922百万円、売上債権の増加4,812百万円によるキャッシュ・アウト等により6,985百万円の収入と、前連結会計年度に比べて6,958百万円の収入減少となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入12,877百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出12,403百万円、定期預金の預入による支出11,406百万円、補助金の受取額3,960百万円等により7,071百万円の支出と、前連結会計年度に比べて3,292百万円の支出増加となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,923百万円等により2,070百万円の支出と、前連結会計年度に比べて966百万円の支出増加となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,148百万円減少し、22,160百万円となりました。

 

④ 生産、仕入、受注および販売の状況

1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

22,123

29.1

機器

57

△72.9

受託

11,952

44.8

遺伝子医療

148

△44.7

合計

34,281

32.5

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

2)仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

19,051

405.9

機器

1,248

△24.5

合計

20,300

274.6

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.当連結会計年度において、仕入実績に著しい変動がありました。これは、試薬カテゴリーにおける、抗原検査キットの輸入等の増加によるものであります。

 

3)受注実績

 バイオ産業支援事業において受託を行っていることから、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

54,605

55.2

機器

1,518

△12.1

受託

11,426

28.4

遺伝子医療

148

△44.5

合計

67,699

46.9

(注)カテゴリー間の内部売上高は除いて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

1)当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高67,699百万円(前期比46.9%増)、営業利益28,902百万円(同107.1%増)、経常利益28,459百万円(同101.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19,849百万円(同107.9%増)で、増収増益となりました。売上高・各利益ともに過去最高業績を更新するとともに、営業利益および経常利益は、13期連続増益を達成いたしました。

 なお、経営成績等の概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

2)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

3)資本の財源および資金の流動性

 当社グループは、研究開発型企業として研究開発投資を積極的に実施し、また、今後の持続的成長のための戦略投資(設備投資やM&A投資等)も必要に応じて実施していく方針であることから、これらの資金需要に対応するため、内部留保の充実、十分な手元流動性の確保が必要であると考えております。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、22,160百万円であり、十分な手元流動性は維持できているものと認識しております。

 当社グループは、現在の十分な手元流動性と営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、財務健全性を維持しながら、今後の資金需要に対応可能であるものと考えております。

4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社グループの事業展開上、重要と思われる契約の概要は、以下のとおりであります。

(1)技術導出契約等

契約会社名

タカラバイオ株式会社(当社)

相手方名

大塚製薬株式会社

契約書名

NY-ESO-1 siTCR共同開発及び販売に関する契約書

契約締結日

2018年4月9日

契約期間

2018年4月9日から、契約所定の事由により解約されない限り、販売終了時点まで

主な

契約内容

当社と大塚製薬株式会社は、NY-ESO-1 siTCR®を用いた遺伝子治療剤(TBI-1301およびTBI-1301-A、以下、「本製剤」という。)の開発を国内において協力して実施いたします。当社は、同社に対し、すべての適応症を対象として本製剤の国内における独占販売権とアジア地域9か国の優先交渉権を付与し、契約一時金のほか開発進捗状況により一時金を受領するとともに、上市後は売上高に連動した一定のランニングロイヤリティおよび売上高の目標達成に応じた一時金を受領することとしております。また、当社は臨床試験用および市販用の製剤を製造し、同社に有償供給することとしております。

 

(2)契約の終了

当連結会計年度において、終了した契約は以下のとおりであります。

「HF10開発及び販売に関する契約書」

当社は、2016年12月15日に大塚製薬株式会社との間で、国内における腫瘍溶解性ウイルスHF10を用いた遺伝子治療剤の開発への協力と独占販売権を付与する契約を締結いたしましたが、臨床試験結果を踏まえ、両社で今後の方針を検討した結果、開発に要する期間等を考慮し、2021年11月9日開催の取締役会において本契約を終了することを決議し、同社と合意の上、同日付で契約を終了いたしました。

※契約時の名称、一般名canerpaturev(略称 C-REV)

 

「CD19CAR共同開発及び販売に関する契約書」

当社は、2018年4月9日に大塚製薬株式会社との間で、CD19・CARを用いた遺伝子治療剤の国内における開発への協力と独占販売権およびアジア地域9か国の優先交渉権を付与する契約を締結いたしましたが、治験期間の長期化や競合品の承認の状況等を踏まえ、2021年11月9日開催の取締役会において本契約を終了することを決議し、同社と合意の上、同日付で契約を終了いたしました。

5【研究開発活動】

(1)研究内容について

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は6,109百万円であり、各事業における研究内容等は次のとおりであります。

① バイオ産業支援

当事業では、国内でトップシェアを有する遺伝子増幅法関連試薬等の遺伝子工学研究用試薬をはじめ、ゲノム解析、遺伝子機能解析および遺伝子検査等に関する研究開発やiPS細胞等の幹細胞および再生・細胞医療等の研究分野に向けた新製品や受託に関連する新技術の研究開発を行っております。また、コロナ禍においては、新型コロナウイルス検出用PCR関連製品等の開発も進めております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス変異株の遺伝子検査試薬、下水試料を用いた新型コロナウイルス遺伝子検出試薬、ワクチン関連技術を開発いたしました。この他、高機能PCR用酵素、臨床応用を想定した研究用ウイルスベクター作製試薬等を開発いたしました。

② 遺伝子医療

当事業では、独自技術である高効率遺伝子導入技術レトロネクチン法、高効率リンパ球増殖技術であるレトロネクチン拡大培養法、siTCR技術を活用した遺伝子改変T細胞療法の臨床開発に加え、新規の基盤技術開発や臨床プロジェクトの創出等に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、既存のCAR遺伝子治療の課題解決を目指した次世代CAR遺伝子治療法の開発等に取り組み、新規臨床プロジェクトとして、CD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2001)のカナダでの臨床試験開始の準備等を進めました。その他、提携先企業へ導出したプロジェクトについて、提携先との緊密な連携のもと、上市に向けた薬事申請の準備、製造・供給体制の整備を進めてまいりました。

※導出したプロジェクト3件のうち、腫瘍溶解性ウイルス canerpaturev(略称 C-REV、開発コードTBI-1401)、CD19・CAR遺伝子治療(開発コードTBI-1501)の2件について、導出先企業と合意の上、2021年11月に開発を中止いたしました。なお、NY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療(開発コードTBI-1301)は引き続き提携先と共同開発を進めております。

また、上記の2事業に分類しきれない事業横断的な研究開発も推進しております。当社グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。

 

(2)知的財産権について

当社グループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、競合他社を排除するため、自社の技術を特許で保護しております。また、研究開発を進めていくにあたって、特許出願・権利化を第一に考え対応していくとともに、必要な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針であります。それらのうち各事業において特に重要なレトロネクチン拡大培養法、siTCR®、JAK/STAT・CARに関するものを、以下に記載しております。

 

① レトロネクチン拡大培養法

発明の名称:細胞傷害性リンパ球の製造方法

特許権者

特許番号

登録日

出願国

当社

4406566

2009年11月13日

日本

当社

1496109

2010年12月8日

ヨーロッパ(6カ国)(注)

当社

8728811

2014年5月20日

米国

当社

8975070

2015年3月10日

米国

当社

2479288

2015年2月24日

カナダ

当社

ZL03811464.X

2010年2月24日

中国

当社

786054

2007年12月10日

韓国

当社

I334442

2010年12月11日

台湾

当社

1079543

2010年9月17日

香港

(注)ヨーロッパ6カ国の内訳は、ドイツ、スペイン、フランス、イギリス、イタリア、オランダであります。

② siTCR®

発明の名称:特異的遺伝子発現方法

特許権者

特許番号

登録日

出願国

当社/

国立大学法人 三重大学

5271901

2013年5月17日

日本

当社/

国立大学法人 三重大学

5828861

2015年10月30日

日本

当社/

国立大学法人 三重大学

2172547

2016年1月6日

ヨーロッパ(5カ国)(注)

当社/

国立大学法人 三重大学

3031916

2017年6月7日

ヨーロッパ(5カ国)(注)

当社/

国立大学法人 三重大学

9051391

2015年6月9日

米国

当社/

国立大学法人 三重大学

9296807

2016年3月29日

米国

当社/

国立大学法人 三重大学

ZL200880102998.9

2013年6月19日

中国

当社/

国立大学法人 三重大学

1363928

2014年2月11日

韓国

当社/

国立大学法人 三重大学

1225068

2018年7月13日

香港

(注)ヨーロッパ5カ国の内訳は、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スウェーデンであります。

 

③ JAK/STAT・CAR

発明の名称:キメラ抗原受容体

特許権者

特許番号

登録日

出願国

当社/

University Health Network

6846352

2021年3月3日

日本

当社/

University Health Network

3256496

2020年12月30日

ヨーロッパ(8カ国)(注)

当社/

University Health Network

10336810

2019年7月2日

米国

当社/

University Health Network

10822392

2020年11月3日

米国

(注)ヨーロッパ8カ国の内訳は、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スウェーデン、オランダ、スイス、スペインであります。