文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
① 新規開拓に向けた営業力の強化
機能性精密成形品で培った強み・特徴を活かし、これまでの産業機器、レジャーに加えて、
ロボット、センサ、通信、医療などの他市場・他分野へ新規顧客開拓のためのアプローチを強化する。
② 環境への対応と未来への商品開発
環境方針、管理体制、規程類を整備し、環境に関わる全社的な体制づくりを行うとともに、
「未来への商品開発」を推進し、成果を出す。
③ 生産力の強化と人材育成
個別製品の原価低減に取り組むとともに、検査機やロボット等の導入による自動化と効率化を
さらに進める。
会社と社員の成長、成果の配分を徹底する。
(2)経営環境
わが国の経済の先行きにつきましては、前事業年度は、中国及び欧州経済の停滞は続いているものの、米国経済及び日本経済は堅調に推移しておりましたが、米政権による関税政策や地政学的緊張などの不透明要因が今後の世界経済にどのような影響を及ぼすのかが見通しにくくなりつつあります。
こうした中、当社は、売上高の拡大や設備の更新・個別原価低減等による収益力向上、研究開発投資、人的資本への投資に注力していくことを計画しております。
当社のセグメントごとの経営環境の認識は以下のとおりであります。
<ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業>
映像機器分野は、2024年のレンズ交換式デジタルカメラ出荷台数の約85%を占める「ミラーレス」が前年比116.1%となりました。2025年の「レンズ交換式デジタルカメラ」は前年比100.8%と予測されています(出典:一般社団法人カメラ映像機器工業会)。
当社においても、売上高は同出荷台数の親和性もあり、高水準で堅調に推移するものと思われます。
OA機器分野は、過去2期間は中国経済の影響で売上高が大幅に落込み、低迷した反動もあり、2026年3月期は、低迷前の売上高水準近くまで回復する見込みです。
産業機器分野は、遅れていた新機種(産業用インクジェットプリンターヘッド)が引き続き寄与するとともにその他受注も好調に推移することから2026年3月期も大幅に増加する見込みです。
レジャー分野は、海外のアウトドア需要や売れ筋機種の影響に売上高は左右される傾向はあります。当社においては、2026年3月期は新機種が売上高に寄与することから、増加するものと思われます。
<マクロ・テクノロジー関連事業>
機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子ともに景気動向の影響は受けにくいものの、ライフラインを支えるインフラ整備に使用される製品であるため、定期的な入れ替え需要のほか、電線の地中化や高圧受配電盤の樹脂絶縁部品が見込まれます。当面は国内の積極的な設備投資やバブル期からの受電設備のリニューアル需要もあり、底堅く推移する見込みです。さらには、2026年3月期以降は新規顧客からの受注が見込まれることから、2027年3月期に向け、売上高は増加するものと思われます。
(3)対処すべき課題
前中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の最終年度未達の振返り
当社は、前中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の最終年度(2024年3月期)に売上高10億円超、営業利益1.1億円を達成するという期初の数値目標が未達となり、以下の通りの実績となりました(2024年5月発表)。
中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の最終年度の結果 (単位:千円)
売上高については、ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、2024年3月期に新規受注品の量産移行が次年度以降へずれ込んだことや弱い中国経済の影響を受け、一部顧客からの大幅な受注減に見舞われました。当社は、新規の設備投資を当面の間抑制すると共に、2023年3月期に導入した設備の本格稼働に注力し、収益力を高める施策を実施しました。その結果、2024年3月期の売上高は前年同期比で微減となりましたが、売上総利益率は回復の目途が立ちました。
以上の改善状況を踏まえ、2025年3月期より、関東工場の設備を中心に更新投資を再開しました。
新中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)の初年度
当社は、2024年5月に、新中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)を適時開示しました(「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」 2024年5月17日適時開示)。
前中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の未達の反省を踏まえ、「経営方針」のスローガンは、「チームワークと実行力の強化!」とし、その取組内容を見直すとともに実行力を強化しながら、売上高が外部環境に大きく影響を受けにくい企業体質へ転換を図る計画を発表しました。「経営方針」としては、以下の通りです。
① 新規開拓に向けた営業力の強化
② 環境への対応と未来への商品開発
③ 生産力の強化と人材育成
新中期経営計画の初年度(2025年3月期)の売上高は、前中期経営計画から1年遅れで、10億円超えが実現しました。2012年3月期の売上高1,018百万円を上回り、過去最高を更新しました。
前期に好調であったマクロ・テクノロジー関連事業は、減少しましたが、主力のナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業は、期初予想を上回りました。特に、映像機器分野(ミラーレス等や新機種)や産業機器分野(産業用インクジェットプリンターヘッド部品等)が好調に推移し、売上高の伸びを牽引しました。
営業利益及び経常利益は、売上高が好調に推移し工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調であったこと、製造費用や販売費及び一般管理費が抑えられたことから、期初予想を上回り、前中期経営計画の当初の最終目標値(2021年11月発表)にほぼ近づき、過去最高を更新しました。
同中期経営計画の2年度(2026年3月期)については、主力のナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野や産業機器分野の好調は持続すると思われます。一方、弱い中国経済の影響を受けやすいOA機器の回復は鈍く、同関連事業の売上高見通しを引き下げました。さらにマクロ・テクノロジー関連事業においては新規顧客や新製品の売上高の寄与が2027年3月期以降にずれ込むことから、同関連事業の売上高も引き下げました。
その結果、全体の売上高は、以下の通り下方修正いたしました。営業利益は、変更はございません。経常利益及び当期純利益については、金利の上昇に伴い、営業外収益(受取利息)の増加を反映させております。
新中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期) (単位:千円)
新中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)の達成に向けた課題
当社は、新中期経営計画の最終年度(2027年3月期)の数値目標達成のための対処すべき重点課題として以下の項目を更に推進する必要があると認識しております。
a. 営業力の強化と自社商品の強化
当社は、新規開拓に向けた営業力を強化してまいります(詳細は、(「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」 2025年5月19日適時開示)。
また、当社の開発方針:当社商品の特徴である「顧客の潜在的課題を顕在化し、解決策を樹脂製品で提案・開発する」を推進し、更なる新商品・新材料を模索・商品化を通して「自社商品」を開拓してまいります。
b. 新規設備投資及び生産力の強化
当社の工場の設備は、購入後年数も経過しており老朽化が散見されていましたが、安定的な利益確保の観点から、大幅な設備の更新に充分な手当がなされていなかったところがありました。そこで2023年3月期以降、当社の更なる発展には、設備の更新や生産工程の自動化が必須と考え、関東工場に自動検査機や成形機など比較的大型の投資を実施してまいりました。今後は、売上高拡大に向けて、上記の設備投資に加え、人員の増強、外注施策の強化を図ってまいります。
また環境投資としてLED照明設備及び関東工場での太陽光発電の設置を検討してまいります。
c. 人材の育成と外部人材採用による競争力の強化
当社は、人材が今後の収益力向上のカギとなると考えており、今後も更なる待遇改善を前提に経営を進めていく所存です。
また外部人材採用や人材の質的向上を図るための人材教育に注力していく方針です。
(4)事業方針
「高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供」
当社は高精度と高機能を軸として樹脂製品に機能を付加することにより、お客様の商品価値の向上に貢献します。
(5)当社の強み
① 樹脂製品の概念を変える
樹脂製品は「精度がでない」「物性が満足できない」今までの常識で樹脂化を断念していませんか。当社は新たな樹脂化の可能性を追求し、樹脂製品の概念を変えます。
② 樹脂製品のコーデイネーター
当社はお客様の樹脂製品の設計から生産に至るまでのプロセスをトータル的(材料、金型、成形、後加工に至るまで)にサポート提案します。お客様の商品価値向上と量産を視点にあらゆる角度から最適な樹脂製品を提案します。
③ 樹脂製品のカスタマイズ
熱硬化性・熱可塑性に関わらず、様々な種類の樹脂を取り扱う事が可能です。独自コンパウンド技術により、お客様商品にマッチしたオリジナル材料を提案・開発・製造することが可能です。
④ 樹脂製品の一貫生産
樹脂複合材料をコアとして、金型、成形、後加工に至るまで一貫した技術と生産体制を保有しており、提案力、スピード、完成度の優れた樹脂製品を提供できます。一貫体制ならではの安定した量産構築が可能であり、品質保証も一貫して行います。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社は、世界的な環境意識への対応は、今後の企業活動に不可欠であると判断し、2023年3月期以降の経営方針の一つとして「環境への対応と未来への商品開発」と掲げてまいりました。
具体的な取組としては、環境方針、管理体制、規程類を整備し、環境に関わる全社的な体制づくりを行うとともに、「未来への商品開発」を推進し、成果を出すこととしました。
当社は、2023年3月期を通じ、1.地球環境保護が全ての企業にとって重要な責務である、2.当社の化学物質に関するリスク管理が重要であるとの認識を明確化し、2023年3月の取締役会にて、気候変動に関わる環境方針・環境規程、製品含有化学物質管理規程、ガバナンス体制等を決議しました。
気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、環境保全委員会を設置し、取締役会からの指示、任命、同委員会から取締役会への報告を行ない、当社のリスク管理を行なっております。
[環境保全委員会 組織図]

b.戦略
<サステナビリティに関する戦略>
当社の環境保全委員会は、2025年3月期を通じ、1.気候変動、2.資源循環、3.生物多様性の3つの個別目標を定めました。
具体的には、気候変動については、Scope1及び2の把握、化石燃料起源の電力量の削減、資源循環については廃棄物の量(種類)の把握・管理や同廃棄物の削減、生物多様性については排出物の適正な把握、管理や生物への悪影響のない製品への置き換えに取り組んでおります。
<人的資本に関する戦略>
当社は、近年重要な経営資源の一つである人材(社員)の待遇改善等を推進してまいりました。年功序列の色彩が強かった従来制度から脱却し、人材活性化(優秀な人材確保を含む)を通じて会社を飛躍させるために給与体系・人事制度の見直しを行いました(2022年4月)。これにより、当社における男女間の給与格差はなくなりました。
当社は人材が今後の事業拡大のカギとなると考えており、今後も更なる待遇改善を前提に経営を進めていく所存です。
当社のリスク管理としては、「環境保全委員会」を設置し、環境方針の策定、環境関連の指揮、リスクの調査、識別、実施計画の確認・決定等を行い、取締役会にて報告し、環境関連リスク・機会の評価、経営戦略等への反映を協議してまいります。
<人的資本に関する指標及び目標>
当社は、人的資本に関する戦略を踏まえ、2025年3月期以降の取組として、
① 2025年3月期以降の中期経営計画の「経営方針」において実行力強化を掲げており、そのなかで「重点取組」の成果に向けた管理と教育システムの構築に取り組んでおります。
具体的には、企業風土の改革及び管理職及び現場責任者の研修を強化してまいります。
② 工場においては、技術継承方法の確立やワーキンググループ活動を強化し現場の意識改革をISO9001の品質目標と連動させて取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
顧客や市場の要求特性及び要求項目は常に変化しているため、製品開発の的を絞れず大幅な開発の遅れを引き起こしたり、具体的な製品の製造や販売前の研究開発段階で開発テーマが頓挫するリスクがあります。そのような場合には、当社の製品開発活動に係る費用が回収できず、当社の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
完成した技術について、価格、他社技術との差別化、タイミング、技術動向及び要求の変化のため、新製品が市場で受け入れられないリスクがあります。また、新製品が市場で受け入れられたとしても、当社の生産能力を上回る受注については対応できないことも想定されるため、機会損失が生じる可能性があります。
当社の保有する技術あるいは開発中の技術以外のまったく新しい技術により、当社技術の相対的な優位性、重要性が損なわれた場合は、当社製品の価値が損なわれ当社事業の収益に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
当社が現在推進しているテーマや開発案件について、時間的制約、他社の特許、未知の技術ゆえの難易度などのために、技術的な壁を打ち破ることができず開発を断念せざるを得ないリスクがあります。
当社は、主力商品であるデジタルカメラ向けの機能性部品で培った強み・特徴を活かし、他市場・他部品への水平展開を積極的に推進しております。具体的には産業機器、監視用カメラ、センサ、工業用プリンター、レジャー関連等の分野で展開を強化し、売上拡大を図っております。しかしながら、上記の製品開発の取組状況や市場動向の変化により、将来の事業展開へ大きな影響を及ぼす恐れがあります。
当社は、パルスインジェクター®関連製品や機能性精密成形品を提供するナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業を会社の大きな柱としていく考えであります。当社は、インクジェット樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の自社材料(開発)及び成形加工・生産技術を保有しており、そのなかでも強みを最大限活かせる付加価値の高い分野を中心にマーケティング活動を推進しております。当社は、ターゲットとする分野の成長予測には限界があり、それに伴い、同関連事業の売上実績の齟齬や課題発生のリスクが存在します。
多業種、異業種の大手企業のナノ/マイクロ・テクノロジー業界への参入が当社事業へ影響を及ぼすリスクがあります。また、マクロ・テクノロジー関連事業でも、台湾、韓国、中国の低価格品がさらに日本市場へ流入した場合、当社の樹脂成形碍子事業に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
当社製品に何らかの不具合が発生した場合、当社製品及び当社のブランド・ネームに対する信頼感が著しく下落又は喪失する可能性があります。また、場合によっては、エンドユーザーから当社に対する製造物責任の追及がなされる可能性もあります。
当社の研究開発は、高分子化学、無機化学、充填材技術、精密成形技術、金型技術などの多彩な能力を持った技術者を必要としております。そのため必要とする人材(質と量)を確保できない場合、あるいは有能な人材が何らかの理由により社外に流出した場合、当社の事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社は、2025年3月末現在、役員6名並びに従業員69名と人員規模が小さく、内部管理体制もその規模に応じたものになっております。今後は事業規模の拡大に応じて、管理体制の充実を図っていく考えですが、人員規模の拡大等が順調に進まなかった場合、業務に支障をきたす可能性があります。
当社が保有している特許については権利の範囲が狭く限定されて解釈される可能性もあります。また、類似の技術や製品等が登場し、その商品化を当社が特許権等の行使によって効果的に阻止できない場合は、類似の技術や製品等による競合の激化により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社が実装している技術について他社が特許権等を取得するような事態が生じた場合には、他社が当社に対して特許権に基づく各種の権利を行使する可能性があります。その場合は、ロイヤリティ支払の要求、技術の使用差止及び損害賠償請求等によって、当社の事業が大きな影響を受けることになります。
当社の事業の強みの一つは、自社開発の複合材料を持っていることです。しかし、化学原料の安全規制が見直され、安全面の点から現在添加している素材が使用できなくなった場合には、当社の製品の製造に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
⑨ 大規模な自然災害・感染症について
当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、また、感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合においては、その直接的、間接的影響により、関係先の生産設備の休止、閉鎖、出荷規制などで関連部品の不足や外出規制による新規開拓営業の中止により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 石油、鉱物資源の価格変動について
当社は、石油や鉄、銅などの鉱物資源の急激な価格変動があった場合、当社製品の原材料や部品、電気料金などの製造原価の上昇により、製品の利益率が大幅に変動する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、中国及び欧州経済の停滞は続いているものの、米国経済は堅調に推移し、多くの国でインフレが落ち着き、実質賃金が改善し、底堅い成長を維持しております。
一方、米政権による関税政策や地政学的緊張など不透明要因は続いております。
わが国においては、大企業製造業の業況は改善し、インバウンド消費やデジタル化投資等も堅調に推移しております。大手企業の春闘交渉は、高額満額回答が相次ぎ、経済の好循環へ前進している気配です。また国内の長期金利(新発10年物国債利回り)は1.5%台と2008年10月以来の水準となり、更なる円安は一旦歯止めがかかりました。
原材料高及び人件費上昇によるコスト増や人手不足は続いており、中小企業への影響が懸念される状況です。また4月以降の米政権による高関税政策は今後の企業業績への懸念となっております。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業については、OA機器分野の売上高は伸び悩んだものの、映像機器分野、産業機器分野、レジャー分野の売上高は前年同期比で増加いたしました。
同関連事業の分野別状況は以下のとおりです。
映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの総出荷台数(2024年1-12月累計)は、約660万台となり、前年比110.2%と好調に推移しました。ミラーレスカメラはレンズ交換式デジタルカメラ全体の約85%を占め、同総出荷台数は約561万台となり、前年比116.1%と大幅な伸びとなりました。当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、売上高は前年同期比で予想を大幅に上回り増加いたしました。
OA機器分野は、複写機向け成形品が予想していたほどには回復せず、前年同期比で減少しました。
産業機器分野は、遅れていた新機種(産業用インクジェットプリンターヘッド)が量産に寄与したことなど前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、新機種の売上高が寄与したことから、成形品の売上高は当初予想より好調に推移し、前年同期比では増加となりました。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、引き続き、大学研究室及び各企業の研究・開発部門を中心に研究開発を支えるツールとして多分野への展開を推進いたします。
マクロ・テクノロジー関連事業については、国内の積極的な設備投資やバブル期からの受電設備のリニューアル需要もあり、樹脂成形品、樹脂成形材料ともに前期の売上高は堅調に推移しておりました。前期の反動もあり当事業年度前半の受注は低調に推移していましたが、当事業年度後半は回復し、前年同期比の減少幅は縮小しました。
その他事業は、主にインフルエンザ治療薬容器のキャップ検査を行っております。当第3四半期会計期間以降においては受注が増加し、前年同期比で大幅に増加しました。
「新規開拓に向けた営業力の強化」については、顧客訪問件数及び進捗状況の共有化、見える化を推進しております。自社活動と商社連携活動の両輪により、顧客との直接対話を増やしながら、積極的な受注活動を行ってまいります。
展示会(東京ビッグサイトにて開催)は、5月「New 環境展」、10月「エヌプラス(N-Plus)2024」に出展いたしました。
以上、ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業の映像機器分野や産業機器分野の売上高が当第3四半期会計期間以降、予想以上に好調に推移しました。またマクロ・テクノロジー関連事業においても当事業年度後半の売上高は回復しました。
その結果、全社の売上高は、前中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の最終年度2024年3月期売上高目標10億円超を1年遅れで達成するとともに過去最高を更新しました。
利益面におきましては、売上高が好調に推移し、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調に推移したこと、製造費用や販売費及び一般管理費は抑えられたことから、営業利益及び経常利益は過去最高を更新しました。
以上の結果、当事業年度の全社の売上高は1,022百万円(前年同期比11.3%増)、売上総利益433百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は108百万円(前年同期比57.9%増)、経常利益は110百万円(前年同期比57.6%増)、当期純利益は100百万円(前年同期比75.5%増)となりました。
当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は821百万円(前年同期比14.4%増)、セグメント利益は380百万円(前年同期比15.6%増)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は184百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益は50百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
その他事業
その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は16百万円(前年同期比120.5%増)、セグメント利益は2百万円(前年同期比192.8%増)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ96百万円増加し、当事業年度末には358百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、148百万円の増加となりました。
これは、主に税引前当期純利益と棚卸資産によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、49百万円の減少となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは2百万円の減少となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は1,022百万円(前年同期は918百万円)となりました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの総出荷台数は好調に推移しました。ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、売上高は前年同期比で予想を大幅に上回り増加いたしました。
OA機器分野は、複写機向け成形品が予想していたほどには回復せず、前年同期比で減少しました。
産業機器分野は、遅れていた新機種(産業用インクジェットプリンターヘッド)が量産に寄与したことなど前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、新機種の売上高が寄与したことから、成形品の売上高は当初予想より好調に推移し、前年同期比では増加となりました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は433百万円(前年同期は391百万円)となりました。これは主に、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調に推移したこと、製造費用は抑えられたことによるものです。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は108百万円(前年同期は68百万円)なりました。これは主に、売上高の増加と販売管理費及び一般管理費が抑えられたことによるものです。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は110百万円(前年同期は70百万円)となり、営業利益及び経常利益ともに過去最高を更新しました。営業外収益は3百万円(前年同期は2百万円)、営業外費用は0百万円(前年同期は1百万円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は100百万円(前年同期は57百万円)となりました。法人税等合計は10百万円(前年同期は13百万円)となりました。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より92百万円増加し、1,836百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の増加96百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より7百万円減少し、184百万円となりました。
これは、主に未払消費税等の減少3百万円、未払費用の減少3百万円によるものです。
純資産は、前事業年度より100百万円増加し、1,651百万円となりました。
これは、当期純利益100百万円の計上によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2025年3月期の資産における流動比率は764.9%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。
該当事項はありません。
中期経営計画の初年度に当たる2024年4月より、開発本部は従来からの顧客の要求を重視した“顧客志向”の製品開発を継続しながら、新たに営業・マーケティング本部を主体として推進する「顧客の潜在的課題を顕在化し、解決策を樹脂製品で提案する」を実現するために、積極的に連携し、顧客への提案力を向上させる活動を実施しております。これらの活動と並行して、当社の数年先のビジネスに向けて請負形態から自社商品への展開を目指し「未来への商品開発」を推進する役割で活動を継続しております。
当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業は、顧客テーマによる機能性樹脂複合材料や成形加工を主とした開発、顧客の商品開発に対する技術提案及びパルスインジェクター®システム(PIJ)の改良に特化して活動しております。
機能性樹脂複合材料や成形加工を主とした開発については、顧客との新たなコミュニケーションの手段として提案型の材料や成形加工開発に取り組んでいます。潜在的な顧客要求に対し、金属部品を樹脂製部品に置き換えるメリットとそのための技術について様々な提案と試作を行い、顧客の真のニーズをいち早く発掘することを目指しています。
なお、PIJの開発は幅広い分野にむけた研究開発だけでなく、個々の顧客要求に対応したシステムのカスタマイズや使い易さの向上も進めてまいります。
また、既存顧客の次世代製品に向けた機能性樹脂複合材料の開発を顧客とともに進めています。当社の開発方針としては、当社商品の特徴である「顧客の潜在的課題を顕在化し、解決策を樹脂製品で提案・開発する」を推進し、更なる新商品・新材料を模索・商品化してまいります。
既存のマクロ関連材料につきましても、顧客の要求に応じて電気的特性の向上、物理的特性の向上のための材料開発に取り組んでいます。
現在、その他事業の開発活動は行っておりません。
(4)未来への商品開発
将来に向けた自社商品の開発については、営業・マーケティング本部とも連携を取りながらテーマ探索に取り組んでおります。各テーマはフィジビリティスタディにより、ニーズとシーズの検証を行いながら開発に取り組んでおります。同プロセスを経て開発中のバイオマスプラスチック複合材料「PasCom」及び「PASCOMB」についても、業績寄与はまだ難しい状況ですがマーケット・ポジショニング(市場における優位性)を見いだせるよう、更なるニーズ探索とニーズに応じた開発を行い、ビジネス化へ向けて改良を重ねてまいります。