第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当事業年度におけるわが国の経済は、米国経済の順調な回復などを背景に急激な円安が進行したことで、輸出環境の改善期待から株式市場が活況を呈したものの、消費税増税前の駆け込み需要の反動と天候不順による個人消費の伸び悩みに加え、円安に伴う輸入原材料価格の上昇、中東やウクライナ情勢、中国・ロシア経済の減速感など先行き不透明な状況が続き、6月にはギリシャの債務問題が再燃し混迷の度を深めました。

このような経済環境の中、各種電子部品や半導体の市況は、スマートフォンやタブレット端末関連需要に支えられて好調を維持し、リチウムタンタレート単結晶育成装置向けイリジウムルツボや、半導体製造装置向け温度センサーの受注も堅調に推移しました。また、人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注が回復し、サーバー向け需要などを背景にHD向けルテニウムターゲットの受注も第3四半期まで回復基調が続きました。また、触媒製造事業も本格稼働いたしました。一方、一部の貴金属価格の下落に伴い、たな卸資産の評価減を実施し、第1四半期会計期間に54百万円、第3四半期会計期間に77百万円、及び第4四半期会計期間に21百万円を製造原価に計上いたしました。

これらを背景といたしまして、当事業年度の業績は、売上高21,564百万円(前期比21.2%減)、売上総利益3,954百万円(前期比24.5%増)、営業利益1,924百万円(前期比56.7%増)、経常利益2,005百万円(前期比60.6%増)、当期純利益1,133百万円(前期は2,933百万円の当期純損失)となりました。

 なお、セグメント別の業績は以下のとおりであります

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

売上高(百万円)

構成比(%)

電子

11,368

52.7

薄膜

5,559

25.8

センサー

1,757

8.2

その他

2,878

13.3

合計

21,564

100.0

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,158百万円となり前事業年度末と比べて457百万円の増加となりました。これは主に、たな卸資産が680百万円、未収消費税等が338百万円それぞれ増加し、借入金が1,685百万円減少しましたが、税引前当期純利益が2,002百万円、減価償却費が591百万円、売上債権の減少が614百万円あったことによるものです。

  また、当事業年度中における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は2,703百万円(前年同期は2,053百万円の獲得)となりました。

 これは主に、たな卸資産の増加が680百万円、未収消費税等の増加が338百万円ありましたが、税引前当期純利益が2,002百万円、減価償却費が591百万円、売上債権の減少が614百万円、仕入債務の増加が311百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は281百万円(前年同期は941百万円の使用)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出が246百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は1,965百万円(前年同期は2,140百万円の使用)となりました。

 これは主に、長期借入金による収入が1,000百万円ありましたが、短期借入金の減少が800百万円、長期借入金の返済による支出が1,885百万円、配当金の支払額が286百万円あったことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

   対前期増減率(%)

電子(百万円)

11,220

△31.3

薄膜(百万円)

5,566

5.7

センサー(百万円)

1,775

11.9

その他(百万円)

2,915

△29.2

合計(百万円)

21,478

△21.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

受注高(百万円)

対前期増減率(%)

受注残高(百万円)

対前期増減率(%)

電子

11,436

△30.5

410

19.9

薄膜

5,652

8.3

406

29.7

センサー

1,871

14.4

301

60.5

その他

2,334

△48.9

65

△89.3

合計

21,295

△23.6

1,183

△18.6

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

対前期増減率(%)

電子(百万円)

11,368

△31.1

薄膜(百万円)

5,559

7.9

センサー(百万円)

1,757

11.4

その他(百万円)

2,878

△30.5

合計(百万円)

21,564

△21.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成25年7月1日

至 平成26年6月30日)

当事業年度

(自 平成26年7月1日

至 平成27年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事RtMジャパン株式会社

11,734

42.9

3,910

18.1

 

3【対処すべき課題】

 当社のおかれている環境といたしましては、電子デバイス情報通信機器関連市場のみならず、環境・エネルギー関連市場でプラチナグループメタルの用途や需要が、中長期的に更に拡大することが期待されています。

 当社といたしましては、既存製品の品質保持・改良はもちろんのこと、成長製品である薄膜関連製品、人工結晶関連製品、化合物関連製品、精製・リサイクル関連製品を含めた今後の成長を展望するに当たり、拡大する需要にスピーディに応えるべく、生産能力及び生産効率の更なる向上が不可欠であり、積極的な設備の増設により、生産力の増強を図って参りたいと考えております。また、貴金属の新規用途開発や新合金素材開発、リサイクル技術の確立は、今後の業容拡大のためには不可欠なものと考えており、これまで以上に研究開発体制を強化し、多様化する顧客ニーズに応えて参る所存であります。

 このような認識のもとで、当社としては、次のように具体的に取り組んで参ります。

① 貴金属の安定確保

 三菱商事株式会社、田中貴金属工業株式会社、及びロンミン社との緊密な取引関係の維持・向上のため、貴金属の用途拡大に積極的に取り組んで参ります。特にイリジウム・ルテニウムを中心とした希少貴金属に関しては、人工結晶育成装置やHD、各種触媒への使用等、新たな用途への需要が拡大しておりますが、当社は、希少貴金属のパイオニアとしての責務を果して参りたいと考えております。

② リサイクル技術の開発・確立

 貴金属の回収・精製技術の向上を常に心掛け、リサイクルも念頭に入れた有効活用に引き続き取り組んで参ります。特に、イリジウム及びルテニウムを中心としたリサイクル技術については、独自の技術開発に加え、国内外の技術も活用して開発・確立に努めてまいります。

③ 研究開発活動の推進

 プラチナグループメタルの可能性を探求し、新素材・新技術を提供することで、次世代を展望した先端技術の一翼を担うべく、自社での研究開発に加えて大学や企業との共同研究に積極的に取り組んでおります。

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載事項を併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 業績の変動要因について

    当社の業績は、携帯電話、液晶ディスプレイ、電子部品及び電子デバイス関連等の電子機器メーカーや半導体、

  光学ガラス及び触媒関連業界における設備投資動向及び生産活動の影響を受ける傾向があります。従って、今後こ

  れらの業界動向が悪化した場合には、当社の業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 貴金属の変動価格について

   当社製品の原材料である貴金属は、国際商品市場で活発に取引されており、その価格は、供給国及び需要国の政

  治経済動向、為替相場等、世界のさまざまな要因により激しく変動しております。

    当社は、個別受注生産の形態をとっており、製品の販売価格は原材料の時価に連動する契約とし、仕入価格の変

  動を販売価格に反映させておりますが、全ての受注に対し個別に仕入を行うことは実際には不可能であり、受注・

 仕入間にタイムラグがある場合には、当社の仕入価格は貴金属相場の価格変動リスクに晒されること、また、期末

  日のたな卸資産としての貴金属在庫の評価額も貴金属相場の価格変動リスクに晒されることから、貴金属相場が当

  社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替変動の影響について

  当社の製品においては、全額ないし原材料相当額に関して、米ドル建てで販売する取引が存在しているため、当社の業績は為替変動の影響を受けております。当社は、為替予約を行うことで為替変動リスクを回避する方法を採っておりますが、米ドル安傾向が継続した場合、中長期的には邦貨転換に伴う利益率の低下により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、米ドル安に対応して米ドル建て価格の値上げを行う必要が生じた場合は、需要減少により当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

   一方、原材料の仕入に関しては、貴金属相場の主流が米ドル建てであり、為替を乗じて邦貨単価を算出すること

  から、円安状態が長期継続した場合には、仕入金額が高値を継続することとなり、当社の業績及び財務状態に影響

  を及ぼす可能性があります。

(4) 「主要株主」及び「その他の関係会社」の異動等によるリスク

 三菱商事株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の20.27%を占めており、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。

 また、田中貴金属工業株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の19.77%を占めており、田中貴金属工業株式会社が指名した当社非常勤取締役1名が選任され、実質的な影響力を持っていることから、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。

 その結果、田中貴金属工業株式会社又は三菱商事株式会社の当社の経営方針についてのそれぞれの考え方、議決権行使等が、当社の事業運営及びコーポレート・ガバナンスに影響を与える可能性があり、上記2社それぞれの当社の経営方針についての考え方又は株式保有方針について変更があった場合、当社の株価、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 大株主との関係について

  a.三菱商事株式会社との関係について

   当事業年度末日現在、三菱商事株式会社は当社発行済株式総数の19.99%を所有する大株主であります。

取引関係について

 当社は、主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を、南アフリカ共和国の鉱山会社Western Platinum Ltd.(ウエスタンプラチナム社)から供給を受けておりますが、対外決済及び輸入業務は三菱商事株式会社(平成25年4月1日からは同社100%出資子会社である三菱商事RtМジャパン株式会社)の商社機能を利用していることから、三菱商事株式会社(平成25年4月1日からは同社100%出資子会社である三菱商事RtМジャパン株式会社)の名義での仕入取引を行っております。過去2期間における両社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。

 

 

平成26年6月期

平成27年6月期

 仕入高(百万円)

9,679

6,198

 総仕入高に占める比率(%)

50.8

42.5

 期末買掛金残高(百万円)

300

1,151

 また、過去2期間における両社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。

 

平成26年6月期

平成27年6月期

 売上高(百万円)

11,734

3,910

 総売上高に占める比率(%)

42.9

18.1

 期末売掛金残高(百万円)

-

102

 以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は両社の持つグローバルなネットワークや多様な販売ルートを活用しております。これは、両社の優れた商社機能を活用することにより、当社の仕入・販売等の業務が効率的に行えると考えるためであります。

 当社といたしましては、今後とも両社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、両社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

人的関係について

 当社は業務執行に資する助言を得るため、三菱商事RtMジャパン株式会社ベースメタル・貴金属本部副本部長兼貴金属事業部長である油木田祐策氏を社外取締役として招聘しております。

 また、当社は、三菱商事株式会社金属グループ金属資源トレーディング本部RtM事業部より出向者3名を受入れております。

b.田中貴金属工業株式会社との関係について

 当事業年度末日現在、田中貴金属工業株式会社は当社発行済株式総数の19.49%を所有する大株主であります。

取引関係について

 当社は、平成23年2月7日開催の取締役会におきまして、田中貴金属工業株式会社との間で資本業務提携契約を締結いたしましたが、それに基づき、当社の主要原材料であるイリジウム等について、田中貴金属工業株式会社と仕入取引を行っております。過去2期間における同社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。

 

平成26年6月期

平成27年6月期

 仕入高(百万円)

2,517

2,639

 総仕入高に占める比率(%)

13.2

18.1

 期末買掛金残高(百万円)

45

 また、過去2期間における田中貴金属工業株式会社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。

 

平成26年6月期

平成27年6月期

 売上高(百万円)

    20

143

 総売上高に占める比率(%)

     0.1

0.7

 期末売掛金残高(百万円)

    8

4

 以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は田中貴金属工業株式会社の持つ安定調達力や多様な販売ルートを活用しております。これは、同社の優れた調達力や販売力を活用することにより、拡大する工業用貴金属製品の需要に応えることができると考えるためであります。

 当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、同社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

人的関係について

 上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を田中貴金属工業株式会社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社の親会社TANAKAホールディングス株式会社の取締役常務執行役員技術・マーケティング本部長である平野伊三夫氏を社外取締役として招聘しております。

c.Lonmin Plc(英国ロンミン社)との関係について

 当事業年度末日現在、英国ロンミン社は当社発行済株式総数の5.51%を所有する大株主であります。

 同社は、当社主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を当社に供給する南アフリカ共和国の鉱山会社ウエスタンプラチナム社の親会社であり、同社とは平成13年6月に資本提携を行っております。

 上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を英国ロンミン社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社のPLC販売市場開拓本部長であるウィルマ・スワーツ氏を社外取締役として招聘しております。

 当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、当社と同社との関係及び同社とウエスタンプラチナム社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び研究開発案件の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)人材の確保及び育成について

  当社が引き続き事業を拡大するにあたっては、貴金属加工にかかわる技術に精通した人材が不可欠であり、こ

 のような人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えております。

  当社としては、中途採用や新規採用を通じて、優秀な人材を採用していく方針であります。また、従業員に対

 しては、ストックオプション等のインセンティブ制度を導入しており、モラルの向上を図っております。

  当社といたしましては、今後とも採用活動の強化や教育・研修制度の充実に努めていく方針でありますが、当

  社が必要とする優秀な人材の育成・確保が当社事業展開に対応して進まない場合、あるいは、何らかの理由によ

  り人材が大量に社外流出した場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)同業他社との競争の激化による業績への影響

  当社の販売する製品のなかには、ルテニウムターゲット、金ターゲット、銀合金ターゲット、一般熱電対及び

 理化学用器具等、競合が激しく、価格競争も厳しい品目がありますが、当社は、「競合を制して、極端な価格競

 争に勝つこと」を目標とはしておらず、顧客ニーズを第一に提案型営業を目指して参りました。今後もこの方針

 に則り経営諸活動に注力いたしますが、結果として競合や価格競争に晒され、売上及び収益の低下により、業績

 に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)製品の開発等について

  当社は顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、製品のライフサイクルや市場動向の変化を見極め

 ると共に、新製品及び新素材の開発、新市場及び新用途の開拓に取り組んでおります。しかしながら、市場動向

 について、当社が予想する以上の変化があった場合、又は当社においてこれら開発等の活動が見込みどおりに進

 捗しない場合、当社の製品は競争力を喪失し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)製品の品質について

  当社の製品は、顧客より個別製品毎の仕様に基づく厳しい品質が要求されております。当社では、ISO9001に

 基づく製造プロセス管理及び品質管理システムを導入する等、品質の維持・向上を進めております。しかしなが

 ら、当社が顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合等が生じ

 た場合には重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。その際に、当社の製品に何らかの瑕疵が存在し

 た場合には代替品の納入に留まらず、代金弁済や損害賠償、さらには取引(納入)停止等が生ずる可能性があり

 ます。これらの事象が生じた場合には、製品納入先との取引が停止するほか、当社の製品に対する信頼性が損な

 われ、他の製品納入先との取引にも影響を及ぼす可能性があります。このような場合、特にそれが大口の製品納

 入先である場合には、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(10)生産拠点の集中について

 当社は、平成2年に工場を茨城県下館市(現筑西市)のつくば工場に移転・集約して以来、一貫してこの地で生産活動を行ってまいりましたが、生産拠点の集中が生産活動の効率化に寄与してきたものと考えております。一方では、平成19年12月に精製・回収の主力ラインとして土浦工場を、平成22年10月に北海道千歳市に石英保護管内製化のための千歳工場を立ち上げたほか、平成23年4月には土浦工場(第二期)を立ち上げ、イリジウム製品の回収精製ラインを増設いたしましたが、生産拠点の分散化は一部にとどまっております。今後、自然災害等の外的要因により生産活動の停止が余儀なくされた場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(11)事故による操業への影響

  プラズマ熔解炉、高周波溶解炉など主要設備では高温、高圧での操業を行なっており、貴金属の精製設備にお

 いては大量の薬品類を使用しております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期しておりますが、万

 一重大な事故が発生した場合には、当社の生産活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)環境リスクについて

  当社は、環境リスクに対して予防の大切さを認識し、つくば工場及び土浦工場においては、環境マネジメント

 システムISO14001の運用を通じて、リスクの低減を図っておりますが、自然災害、工場における設備の劣化、又

 は原材料、薬品の人的な取扱いのミス等により、薬品の漏洩等、環境へ悪影響を与える事象が発生する危険性が

 あります。この事象が大規模なものとなり新たな費用負担等が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響

 を及ぼす可能性があります。

(13)知的財産に係るリスクについて

  当社は、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得によ

 る保護を図るほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう、総務部知財グループを中心に、顧問弁護士や弁

 理士などの外部専門家の協力を得ながらリスク管理に取り組んでおります。しかしながら、当社が現在販売して

 いる製品、或いは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性

 があり、また、当社が認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こ

 される可能性があります。そのような場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(14)借入金依存度について

 当社は、原材料である貴金属の調達、設備投資等に必要とする資金を主として金融機関からの借入により調達してきましたが、平成26年6月期末に4,614百万円あった有利子負債残高は、平成27年6月期末に2,929百万円に減少し、平成26年6月期末に20.8%あった借入金依存度は、平成27年6月期末に13.5%に低下しております。また、当社の売上高に対する支払利息の比率は平成26年6月期に0.3%、平成27年6月期に0.3%となっております。今後、営業キャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金や増資による資金調達により、財務体質の強化に努めて参りますが、地金の仕入増加による借入金増加や、市場金利の上昇等があれば支払金利の負担増が生じ、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 また、借入金のうちには財務制限条項が付された借入があることから、将来において業績の悪化等により財務制限条項に抵触した場合等も含めて、新たな資金調達に障害が生じれば、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)営業に関する重要な契約

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約期間

 三菱商事株式会社

 日本

貴金属地金

売買契約書

 貴金属地金売買に関する契約

自平成13年2月1日

至平成13年12月31日

以降1年毎に更新

Lonmin Plc
三菱商事株式会社

英国

日本

覚書

 貴金属地金の長期継続供給に関する覚書

自平成16年2月20日

至平成19年2月19日

以降1年毎に更新

 

(2)その他経営上の重要な契約

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約日

田中貴金属工業㈱

日本

資本業務提携契約

(1) イリジウム地金の安定供給等

(2) 非常勤取締役の派遣

(3) 新たに相手方に取得される株式の

  数及び発行株式数に対する割合

平成23年2月7日

 

6【研究開発活動】

 当社は、高度情報化社会の発展や省エネ・循環型の社会の確立に不可欠な素材である工業用貴金属の専業メーカーとして、多様化するユーザーのニーズに応えるとともに、社会と環境に貢献する次世代製品の開発に取り組んでおります。

 なお、研究開発費の金額は当社全体で管理しており、セグメント別に研究開発費の金額を表示することが困難なため、セグメント別の研究開発費の金額については、記載を省略しております。

 当社の研究開発活動は、社内外の開発情報を有機的に結合させ、収益に繋がる開発を迅速かつ効果的に進めるため、研究開発部を設置し、基礎研究開発のほか、省エネや環境のための次世代新素材の開発、触媒原料等の開発、新しい用途の開発、及び高品質・高強度の合金の開発、高度な回収精製技術の開発等に注力しており、貴重な素材をより効率的、かつ高品質に回収・再生できるリサイクルプロセスの開発にも力を注いでおります。

 当事業年度における研究開発費の総額は297百万円であり、研究開発の主な内容は以下のとおりであります。

(1) 各種高機能合金製品の開発

 顧客ニーズや新たな用途や機能に適する各種高機能合金製品の開発につとめ、量産化技術の開発も併行して積極的に取り組んで参りました。今後、量産化への展開が期待されます。

(2)貴金属化合物の開発への取り組み

 注目度の高い環境・エネルギー分野において、新たな用途や機能に適する触媒の重要性がさらに高まりつつある中で、有機EL向け材料としての貴金属化合物や貴金属化合物をベースとした環境浄化のための触媒材料ないし触媒の開発に引続き取り組んで参りました。

(3)スクラップからの貴金属回収技術の開発への取り組み

 廃触媒などのスクラップや使用済電極からの白金族金属回収については、当社に蓄積された技術、及び新たに導入した熔解設備を核に、新たな技術開発に取り組んでおります。

(4)大学・研究機関との共同研究

 環境やエネルギーに係わる技術開発や研究分野において、大学や研究機関との共同研究に積極的に参画しておりますが、その成果を当社の製品に生かすことを通じて次世代の環境やエネルギーへの貢献をすべく取り組んでおります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

①収益の認識基準

 当社の売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点で計上されます。

②貸倒引当金の計上基準

 当社は、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が必要となる可能性があります。

③たな卸資産の評価基準

 当社は、たな卸資産の収益性の低下に基づき評価減を計上しております。実際の将来需要または市場が悪化した場合、評価減が必要となる可能性があります。

④繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存いたしますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(2)財政状態の分析

①流動資産

 当事業年度末における流動資産残高は12,620百万円(前事業年度末は11,785百万円)となり、834百万円増加いたしました。これは、売掛金が535百万円減少(3,357百万円から2,821百万円へ減少)しましたが、現金及び預金が457百万円(701百万円から1,158百万円へ増加)、たな卸資産が680百万円(6,653百万円から7,334百万円へ増加)各々増加したことが主たる要因であります。

②固定資産

 当事業年度末における固定資産残高は9,157百万円(前事業年度末は10,444百万円)となり、1,287百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が、641百万円、長期繰延税金資産が637百万円減少したことが主たる要因であります。

③流動負債

 当事業年度末における流動負債残高は4,340百万円(前事業年度末は5,252百万円)となり、912百万円減少いたしました。これは、短期借入金が800百万円減少(800百万円全額返済)したことが主たる要因であります。

④固定負債

 当事業年度末における固定負債残高は2,466百万円(前事業年度末は2,868百万円)となり、401百万円減少いたしました。これは、長期借入金が434百万円減少(2,079百万円から1,645百万円へ減少)したことが主たる要因であります。

⑤純資産

 当事業年度末における純資産の残高は14,970百万円(前事業年度末は14,109百万円)となり、861百万円増加いたしました。これは、繰越利益剰余金が836百万円増加(3,442百万円から4,279百万円へ増加)したことが主たる要因であります。

(3)経営成績の分析

当事業年度におけるわが国の経済は、米国経済の順調な回復などを背景に急激な円安が進行したことで、輸出環境の改善期待から株式市場が活況を呈したものの、消費税増税前の駆け込み需要の反動と天候不順による個人消費の伸び悩みに加え、円安に伴う輸入原材料価格の上昇、中東やウクライナ情勢、中国・ロシア経済の減速感など先行き不透明な状況が続き、6月にはギリシャの債務問題が再燃し混迷の度を深めました。

このような経済環境の中、各種電子部品や半導体の市況は、スマートフォンやタブレット端末関連需要に支えられて好調を維持し、リチウムタンタレート単結晶育成装置向けイリジウムルツボや、半導体製造装置向け温度センサーの受注も堅調に推移しました。また、人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注が回復し、サーバー向け需要などを背景にHD向けルテニウムターゲットの受注も第3四半期まで回復基調が続きました。また、触媒製造事業も本格稼働いたしました。一方、一部の貴金属価格の下落に伴い、たな卸資産の評価減を実施し、第1四半期会計期間に54百万円、第3四半期会計期間に77百万円、及び第4四半期会計期間に21百万円を製造原価に計上いたしました。

これらを背景といたしまして、当事業年度の業績は、売上高21,564百万円(前期比21.2%減)、売上総利益3,954百万円(前期比24.5%増)、営業利益1,924百万円(前期比56.7%増)、経常利益2,005百万円(前期比60.6%増)、当期純利益1,133百万円(前期は2,933百万円の当期純損失)となりました。

 以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

①売上高の分析

 当事業年度の売上高は21,564百万円であります。これをセグメント別に分析すると、「電子」の売上は11,368百万円(前事業年度比31.1%減)、「薄膜」の売上は5,559百万円(前事業年度比7.9%増)、「センサー」の売上は1,757百万円(前事業年度比11.4%増)、「その他」の売上は2,878百万円(前事業年度比30.5%減)となりました。「電子」につきましては、貴金属価格の下落から販売単価は下がったものの、スマートフォンなどのSAWフィルター(必要な周波数信号を取り出すデバイス)に使用されるリチウムタンタレート単結晶育成装置向けのイリジウムルツボや、ガラス溶解装置向け強化白金ルツボの受注が堅調に推移したほか、LED基板に使用される人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注も回復しました。「薄膜」につきましては、HD向けルテニウムターゲットは、サーバー向けの需要に加えて、マーケットシェアの拡大などから受注が回復し、スマートフォンなどのタッチパネル配線向け銀合金ターゲットの受注も一部回復しました。「センサー」につきましては、半導体製造装置メーカーや、台湾などの海外半導体メーカーからの受注が堅調に推移しました。「その他」につきましては、当第3四半期には触媒製造事業が本格稼働したものの、使用済み電極の回収精製や有機EL向け貴金属化合物が伸び悩みました。

②売上原価の分析

 当事業年度において、売上原価は17,610百万円、売上総利益は3,954百万円となり、原価率は81.7%と前事業年度比6.7ポイント下落いたしました。これは、前事業年度において20,571百万円を計上した材料費が14,327百万円に減少したことによるものです。

③販売費及び一般管理費の分析

 当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ4.2%増加し、2,029百万円となっております。これは主に支払手数料が前事業年度比62百万円増加したことによるものです。

④営業外損益の分析

 当事業年度の営業外収益は前事業年度に比べ51.5%増加し、145百万円となっております。これは主に為替差益が前事業年度比64百万円増加したことによるものです。また、当事業年度の営業外費用は前事業年度に比べ14.6%減少し64百万円となっております。これは主に支払利息が前事業年度比17百万円減少したことによるものです。

⑤特別損益の分析

 当事業年度の特別利益は前事業年度と同様、計上なしとなりました。また、当事業年度の特別損失は前事業年度に比べ6,486百万円減少し、2百万円となっております。これは前事業年度に6,480百万円計上したたな卸資産評価損が当事業年度は計上なしとなったことによるものです。