第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当事業年度におけるわが国の経済は回復の動きに足踏みがみられる状況が続きましたが、長期的に堅調な成長が

続いている米国経済、英国のEU離脱問題の影響が懸念されたものの緩やかに回復している欧州経済、そして成長

ペースの鈍化が止まり底入れを窺わせる中国経済といった海外の経済動向の中で、為替相場が日米金利政策の動向

等により円安方向に振れ、株価も堅調に推移したことから、緩やかな回復の動きが出てきました。

      このような経済環境の中、ガラス溶解装置向け白金製品、触媒の受注が減少し、主力のイリジウムルツボについ

    ても顧客の在庫調整の影響から受注が減少しましたが、半導体製造装置向け温度センサーの受注が堅調で、HD向

    けのルテニウムターゲットや電極向け化合物及び有機EL向け化合物も持ち直してまいりました。その結果、当事

    業年度において、売上高14,742百万円(前期比15.2%減)、売上総利益2,911百万円(前期比1.7%増)、営業利益

    872百万円(前期比1.5%増)、経常利益937百万円(前期比14.8%増)、当期純利益501百万円(前期比46.9%増)

    となりました。

   なお、セグメント別の業績は以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

売上高(百万円)

構成比(%)

電子

5,439

36.9

薄膜

4,581

31.1

センサー

2,074

14.1

その他

2,646

17.9

合計

14,742

100.0

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,086百万円となり前事業年度末と比べて58百万円の増加となりました。これは主に、売上債権が852百万円増加し、配当金の支払額が358百万円ありましたが、税引前当期純利益が940百万円、減価償却費が515百万円それぞれあったことによるものです。

また、当事業年度中における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は423百万円(前期は1,044百万円の獲得)となりました。

 これは主に、売上債権が852百万円、未収消費税等が213百万円それぞれ増加しましたが、税引前当期純利益が940百万円、減価償却費が515百万円それぞれあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は109百万円(前期は250百万円の使用)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出が129百万円あったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は253百万円(前期は927百万円の使用)となりました。

  これは主に、短期借入金が300百万円増加し、長期借入れによる収入が900百万円ありましたが、長期借入金の返済による支出が1,095百万円、配当金の支払額が358百万円あったことによるものです。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

   対前期増減率(%)

電子(百万円)

8,994

3.3

薄膜(百万円)

4,551

2.5

センサー(百万円)

1,872

△4.1

その他(百万円)

1,975

△0.8

合計(百万円)

17,394

1.8

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

受注高(百万円)

対前期増減率(%)

受注残高(百万円)

対前期増減率(%)

電子

5,191

△42.9

328

△43.1

薄膜

4,530

1.0

286

△15.1

センサー

2,183

15.8

366

42.3

その他

2,754

41.9

140

327.9

合計

14,659

△15.8

1,122

△6.8

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

対前期増減率(%)

電子(百万円)

5,439

△39.1

薄膜(百万円)

4,581

0.6

センサー(百万円)

2,074

7.6

その他(百万円)

2,646

34.1

合計(百万円)

14,742

△15.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2事業年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成27年7月1日

至 平成28年6月30日)

当事業年度

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事RtMジャパン株式会社

2,085

12.0

881

6.0

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は「科学技術の発展に寄与し、社会の繁栄に貢献する」という企業理念のもと、次のとおり行動指針並びに基幹方針を定めております。

① 行動指針

・無限の可能性に、先見力と想像力で対応

② 基幹方針

・「人=社員」がフルヤの最重要経営資源と考え、社員を大切にする経営を目指す

・コンプライアンスを重視し、高いモラルとビジョンを持った社員を育成する

・PGMに経営資源を集中する

・受注から出荷までの工程において高い品質意識もって取り組み、顧客満足の最大化を図る

・顧客、株主に信頼される経営を目指す

 

 (2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社は如何なる事業環境でも利益を確保できる強固な経営基盤の確立に取り組んでまいります。そのために、収益力の強化、貴金属の安定確保及び研究開発体制を強化いたします。

 収益力の強化においては、営業力の強化、低コスト生産体制の追求、あらゆる角度からのコストダウンを図り利益を確保できる強靭な企業体質の構築を目指します。

 貴金属の安定確保においては、三菱商事株式会社、田中貴金属工業株式会社及び英国ロンミン社との緊密な取引関係の維持、向上を図るとともに、相場環境に左右されない強固な体質への転換を進めてまいります。

研究開発体制においては、長年培ってきたイリジウム、ルテニウムに関する技術、知見、ノウハウを活かし、新規製品及び次世代製品の開発を迅速に進め競争力を高め、収益力を強化してまいります。

 

 (3) 経営環境

 IoT社会に向け電子機器の高機能化・多機能化需要により、世界的な半導体市場が拡大し、有機ELを搭載したスマートフォンや大型テレビの普及が見込まれます。また、環境・エネルギー分野において新たな用途や機能に適する触媒の重要性がさらに高まることが予想され、それに伴い、PGMやその化合物の需要並びに回収・精製ニーズが高まっていくことが期待されます。さらに海外市場においては、当社の技術力や調達力等の認知度が高まるにつれ需要が増えることが期待されます。

 

 (4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社の継続的課題といたしましては、低コスト操業の推進、貴金属の安定確保、環境・安全対策、ガバナンス体制の構築等がございます。

まず、低コスト操業を推進し、あらゆる角度からのコストダウンを図り利益を確保できる強靭な企業体質の構築を目指します。

次に、貴金属の安定確保においては、三菱商事株式会社、田中貴金属工業株式会社及び英国ロンミン社との緊密な取引関係の維持、向上を図るとともに、相場環境に左右されない強固な体質への転換を進めてまいります。

 また、当社は継続的な成長・発展と企業価値の増大を図るため、環境・安全対策に真摯に取り組むとともに、ガバナンス体制を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実及び内部統制システムの円滑な運用を重要な経営課題と認識し、鋭意取り組んでまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防又は回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載事項を併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんのでご留意下さい。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 業績の変動要因について

    当社の業績は、携帯電話、液晶ディスプレイ、電子部品及び電子デバイス関連等の電子機器メーカーや半導体、

  光学ガラス及び触媒関連業界における設備投資動向及び生産活動の影響を受ける傾向があります。従って、今後こ

  れらの業界動向が悪化した場合には、当社の業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 貴金属の変動価格について

   当社製品の原材料である貴金属は、国際商品市場で活発に取引されており、その価格は、供給国及び需要国の政

  治経済動向、為替相場等、世界のさまざまな要因により激しく変動しております。

    当社は、個別受注生産の形態をとっており、製品の販売価格は原材料の時価に連動する契約とし、仕入価格の変

  動を販売価格に反映させておりますが、全ての受注に対し個別に仕入を行うことは実際には不可能であり、受注・

 仕入間にタイムラグがある場合には、当社の仕入価格は貴金属相場の価格変動リスクに晒されること、また、期末

  日のたな卸資産としての貴金属在庫の評価額も貴金属相場の価格変動リスクに晒されることから、貴金属相場が当

  社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替変動の影響について

  当社の製品においては、全額ないし原材料相当額に関して、米ドル建てで販売する取引が存在しているため、当社の業績は為替変動の影響を受けております。当社は、為替予約を行うことで為替変動リスクを回避する方法を採っておりますが、米ドル安傾向が継続した場合、中長期的には邦貨転換に伴う利益率の低下により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、米ドル安に対応して米ドル建て価格の値上げを行う必要が生じた場合は、需要減少により当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

   一方、原材料の仕入に関しては、貴金属相場の主流が米ドル建てであり、為替を乗じて邦貨単価を算出すること

  から、円安状態が長期継続した場合には、仕入金額が高値を継続することとなり、当社の業績及び財務状態に影響

  を及ぼす可能性があります。

(4) 「主要株主」及び「その他の関係会社」の異動等によるリスク

 三菱商事株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の20.23%を占めており、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。

 また、田中貴金属工業株式会社は、当社の当事業年度末日現在の総議決権数の19.72%を占めており、田中貴金属工業株式会社が指名した当社非常勤取締役1名が選任され、実質的な影響力を持っていることから、同社は当社の「主要株主」及び「その他の関係会社」に該当しております。

 その結果、三菱商事株式会社又は田中貴金属工業株式会社の当社の経営方針についてのそれぞれの考え方、議決権行使等が、当社の事業運営及びコーポレート・ガバナンスに影響を与える可能性があり、上記2社それぞれの当社の経営方針についての考え方又は株式保有方針について変更があった場合、当社の株価、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 大株主との関係について

  a.三菱商事株式会社との関係について

   当事業年度末日現在、三菱商事株式会社は当社発行済株式総数の19.99%を所有する大株主であります。

取引関係について

 当社は、主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を、南アフリカ共和国の鉱山会社Western Platinum Ltd.(ウエスタンプラチナム社)から供給を受けておりますが、対外決済及び輸入業務は三菱商事株式会社100%出資子会社である三菱商事RtМジャパン株式会社の商社機能を利用していることから、三菱商事RtМジャパン株式会社の名義での仕入取引を行っております。過去2期間における両社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。

 

平成28年6月期

平成29年6月期

 仕入高(百万円)

2,604

2,146

 総仕入高に占める比率(%)

24.2

25.0

 期末買掛金残高(百万円)

235

359

 また、過去2期間における両社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。

 

平成28年6月期

平成29年6月期

 売上高(百万円)

2,085

881

 総売上高に占める比率(%)

12.0

6.0

 期末売掛金残高(百万円)

0

0

 以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は両社の持つグローバルなネットワークや多様な販売ルートを活用しております。これは、両社の優れた商社機能を活用することにより、当社の仕入・販売等の業務が効率的に行えると考えるためであります。

 当社といたしましては、今後とも両社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、両社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

人的関係について

 当社は業務執行に資する助言を得るため、三菱商事RtMジャパン株式会社貴金属事業部長である油木田祐策氏を社外取締役として招聘しております。

 また、当社は、三菱商事株式会社金属グループ金属資源トレーディング本部RtM事業室より出向者2名を受入れております。

b.田中貴金属工業株式会社との関係について

 当事業年度末日現在、田中貴金属工業株式会社は当社発行済株式総数の19.49%を所有する大株主であります。

取引関係について

 当社は、平成23年2月7日開催の取締役会におきまして、田中貴金属工業株式会社との間で資本業務提携契約を締結いたしましたが、それに基づき、当社の主要原材料であるイリジウム等について、田中貴金属工業株式会社と仕入取引を行っております。過去2期間における同社からの仕入高及び総仕入高に占める比率と期末買掛金残高は次表のとおりであります。

 

平成28年6月期

平成29年6月期

 仕入高(百万円)

2,927

2,418

 総仕入高に占める比率(%)

27.3

28.2

 期末買掛金残高(百万円)

3

 また、過去2期間における田中貴金属工業株式会社への売上高及び総売上高に占める比率と期末売掛金残高は、次表のとおりであります。

 

平成28年6月期

平成29年6月期

 売上高(百万円)

33

336

 総売上高に占める比率(%)

0.2

2.3

 期末売掛金残高(百万円)

0

2

 以上のとおり、原材料の仕入及び製品の販売等において、当社は田中貴金属工業株式会社の持つ安定調達力や多様な販売ルートを活用しております。これは、同社の優れた調達力や販売力を活用することにより、拡大する工業用貴金属製品の需要に応えることができると考えるためであります。

 当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、同社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び製品の販売量の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

人的関係について

 上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を田中貴金属工業株式会社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社の取締役専務執行役員新事業カンパニープレジデントである平野伊三夫氏を社外取締役として招聘しております。

c.Lonmin Plc(英国ロンミン社)との関係について

 当事業年度末日現在、英国ロンミン社は当社発行済株式総数の5.51%を所有する大株主であります。

 同社は、当社主要原材料であるプラチナグループメタルの大半を当社に供給する南アフリカ共和国の鉱山会社ウエスタンプラチナム社の親会社であり、同社とは平成13年6月に資本提携を行っております。

 上記提携の際、当社は、当社取締役として指名される候補者1名の任命権を英国ロンミン社が有する旨を同社と合意しております。これは、当社の業務執行に資する助言を得るとともに、同社との良好な関係を維持することを主たる目的としたものであります。同社の販売市場開拓本部長であるウィルマ・スワーツ氏を社外取締役として招聘しております。

 当社といたしましては、今後とも同社との良好な関係の維持、取引の継続に努めていく所存ではありますが、当社と同社との関係及び同社とウエスタンプラチナム社との関係に変化が生じた場合には、原材料の仕入及び研究開発案件の変化等を通じて当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)人材の確保及び育成について

  当社が引き続き事業を拡大するにあたっては、貴金属加工にかかわる技術に精通した人材が不可欠であり、こ

 のような人材の確保と育成を重要な経営課題として捉えております。

  当社としては、中途採用や新規採用を通じて、優秀な人材を採用していく方針であります。今後とも採用活動

 の強化や教育・研修制度の充実に努めていく方針でありますが、当社が必要とする優秀な人材の育成・確保が当

 社事業展開に対応して進まない場合、あるいは、何らかの理由により人材が大量に社外流出した場合には、当社

 の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)同業他社との競争の激化による業績への影響

  当社の販売する製品のなかには、ルテニウムターゲット、金ターゲット、銀合金ターゲット、一般熱電対及び

 理化学用器具等、競合が激しく、価格競争も厳しい品目がありますが、当社は、「競合を制して、極端な価格競

 争に勝つこと」を目標とはしておらず、顧客ニーズを第一に提案型営業を目指して参りました。今後もこの方針

 に則り経営諸活動に注力いたしますが、結果として競合や価格競争に晒され、売上及び収益の低下により、業績

 に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)製品の開発等について

  当社は顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、製品のライフサイクルや市場動向の変化を見極め

 ると共に、新製品及び新素材の開発、新市場及び新用途の開拓に取り組んでおります。しかしながら、市場動向

 について、当社が予想する以上の変化があった場合、又は当社においてこれら開発等の活動が見込みどおりに進

 捗しない場合、当社の製品は競争力を喪失し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)製品の品質について

  当社の製品は、顧客より個別製品毎の仕様に基づく厳しい品質が要求されております。当社では、ISO9001に

 基づく製造プロセス管理及び品質管理システムを導入する等、品質の維持・向上を進めております。しかしなが

 ら、当社が顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合等が生じ

 た場合には重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。その際に、当社の製品に何らかの瑕疵が存在し

 た場合には代替品の納入に留まらず、代金弁済や損害賠償、さらには取引(納入)停止等が生ずる可能性があり

 ます。これらの事象が生じた場合には、製品納入先との取引が停止するほか、当社の製品に対する信頼性が損な

 われ、他の製品納入先との取引にも影響を及ぼす可能性があります。このような場合、特にそれが大口の製品納

 入先である場合には、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)生産拠点の集中について

 当社は、平成2年に工場を茨城県下館市(現筑西市)のつくば工場に移転・集約して以来、一貫してこの地で生産活動を行ってまいりましたが、生産拠点の集中が生産活動の効率化に寄与してきたものと考えております。一方では、平成19年12月に精製・回収の主力ラインとして土浦工場を、平成22年10月に北海道千歳市に石英保護管内製化のための千歳工場を立ち上げたほか、平成23年4月には土浦工場(第二期)を立ち上げ、イリジウム製品の回収精製ラインを増設いたしましたが、生産拠点の分散化は一部にとどまっております。今後、自然災害等の外的要因により生産活動の停止が余儀なくされた場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(11)事故による操業への影響

  プラズマ熔解炉、高周波溶解炉など主要設備では高温、高圧での操業を行なっており、貴金属の精製設備にお

 いては大量の薬品類を使用しております。これらを原因とする事故の防止対策には万全を期しておりますが、万

 一重大な事故が発生した場合には、当社の生産活動に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)環境リスクについて

  当社は、環境リスクに対して予防の大切さを認識し、つくば工場及び土浦工場においては、環境マネジメント

 システムISO14001の運用を通じて、リスクの低減を図っておりますが、自然災害、工場における設備の劣化、又

 は原材料、薬品の人的な取扱いのミス等により、薬品の漏洩等、環境へ悪影響を与える事象が発生する危険性が

 あります。この事象が大規模なものとなり新たな費用負担等が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響

 を及ぼす可能性があります。

(13)知的財産に係るリスクについて

  当社は、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得によ

 る保護を図るほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう、研究開発部を中心に、顧問弁護士や弁理士など

 の外部専門家の協力を得ながらリスク管理に取り組んでおります。しかしながら、当社が現在販売している製

 品、或いは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があ

 り、また、当社が認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされ

 る可能性があります。そのような場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(14)借入金依存度について

 当社は、原材料である貴金属の調達、設備投資等に必要とする資金を主として金融機関からの借入により調達してきましたが、平成28年6月期末に2,345百万円あった有利子負債残高は、平成29年6月期末に2,450百万円に増加した一方で平成28年6月期末に12.2%あった借入金依存度は、平成29年6月期末に12.1%に低下しております。また、当社の売上高に対する支払利息の比率は平成28年6月期に0.3%、平成29年6月期に0.2%となっております。今後、営業キャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金や増資による資金調達により、財務体質の強化に努めて参りますが、地金の仕入増加による借入金増加や、市場金利の上昇等があれば支払金利の負担増が生じ、当社の業績は影響を受ける可能性があります。

 また、借入金のうちには財務制限条項が付された借入があることから、将来において業績の悪化等により財務制限条項に抵触した場合等も含めて、新たな資金調達に障害が生じれば、事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)営業に関する重要な契約

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約期間

三菱商事RtM

ジャパン株式会社

 日本

貴金属地金

売買契約書

 貴金属地金売買に関する契約

自平成13年2月1日

至平成13年12月31日

以降1年毎に更新

Lonmin Plc
三菱商事RtM

ジャパン株式会社

英国

日本

覚書

 貴金属地金の長期継続供給に関する覚書

自平成16年2月20日

至平成19年2月19日

以降1年毎に更新

 

(2)その他経営上の重要な契約

相手方の名称

国名

契約名

契約内容

契約日

田中貴金属工業

株式会社

日本

資本業務提携契約

(1) イリジウム地金の安定供給等

(2) 非常勤取締役の派遣

(3) 新たに相手方に取得される株式の

  数及び発行株式数に対する割合

平成23年2月7日

 

6【研究開発活動】

 当社は、高度情報化社会の発展や省エネ・循環型の社会の確立に不可欠な素材である工業用貴金属の専業メーカーとして、多様化するユーザーのニーズに応えるとともに、社会と環境に貢献する次世代製品の開発に取り組んでおります。

 なお、研究開発費の金額は当社全体で管理しており、セグメント別に研究開発費の金額を表示することが困難なため、セグメント別の研究開発費の金額については、記載を省略しております。

 当社の研究開発活動は、社内外の開発情報を有機的に結合させ、収益に繋がる開発を迅速かつ効果的に進めるため、研究開発部を設置し、基礎研究開発のほか、省エネや環境のための次世代新素材の開発、触媒原料等の開発、新しい用途の開発、及び高品質・高強度の合金の開発、高度な回収精製技術の開発等に注力しており、貴重な素材をより効率的、かつ高品質に回収・再生できるリサイクルプロセスの開発にも力を注いでおります。

 当事業年度における研究開発費の総額は420百万円であり、研究開発の主な内容は以下のとおりであります。

(1) 各種高機能合金製品の開発

 顧客ニーズや新たな用途や機能に適する各種高機能合金製品の開発につとめ、量産化技術の開発も併行して積極的に取り組んで参りました。今後、量産化への展開が期待されます。

(2)貴金属化合物や触媒の開発への取り組み

 注目度の高い環境・エネルギー分野において、新たな用途や機能に適する触媒の重要性がさらに高まりつつある中で、有機EL向け材料としての貴金属化合物や、貴金属または貴金属化合物をベースとした環境浄化のための触媒材料ないし触媒の開発に引続き取り組んで参りました。

(3)スクラップからの貴金属回収技術の開発への取り組み

 廃触媒などのスクラップや使用済電極からの白金族金属回収については、当社に蓄積された技術、及び新たに導入した熔解設備を核に、新たな技術開発に取り組んでおります。

(4)大学・研究機関との共同研究

 環境やエネルギーに係わる技術開発や研究分野において、大学や研究機関との共同研究に積極的に参画しておりますが、その成果を当社の製品に生かすことを通じて次世代の環境やエネルギーへの貢献をすべく取り組んでおります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

①収益の認識基準

 当社の売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点で計上されます。

②貸倒引当金の計上基準

 当社は、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が必要となる可能性があります。

③たな卸資産の評価基準

 当社は、たな卸資産の収益性の低下に基づき評価減を計上しております。実際の将来需要または市場が悪化した場合、評価減が必要となる可能性があります。

④繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存いたしますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(2)財政状態の分析

①流動資産

 当事業年度末における流動資産残高は11,605百万円(前事業年度末は10,120百万円)となり、1,485百万円増加いたしました。これは、売掛金が759百万円、未収消費税等が213百万円、繰延税金資産が174百万円それぞれ増加したことが主たる要因であります。

②固定資産

 当事業年度末における固定資産残高は8,616百万円(前事業年度末は9,076百万円)となり、459百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が354百万円減少したことが主たる要因であります。

③流動負債

 当事業年度末における流動負債残高は2,797百万円(前事業年度末は1,986百万円)となり、810百万円増加いたしました。これは、短期借入金が300百万円、未払法人税等が368百万円それぞれ増加したことが主たる要因であります。

④固定負債

 当事業年度末における固定負債残高は2,159百万円(前事業年度末は2,235百万円)となり、75百万円減少いたしました。これは、長期借入金が110百万円減少したことが主たる要因であります。

⑤純資産

 当事業年度末における純資産の残高は15,264百万円(前事業年度末は14,973百万円)となり、290百万円増加いたしました。これは、繰越利益剰余金が280百万円増加したことが主たる要因であります。

(3)経営成績の分析

  当事業年度におけるわが国の経済は回復の動きに足踏みがみられる状況が続きましたが、長期的に堅調な成長が

続いている米国経済、英国のEU離脱問題の影響が懸念されたものの緩やかに回復している欧州経済、そして成長

ペースの鈍化が止まり底入れを窺わせる中国経済といった海外の経済動向の中で、為替相場が日米金利政策の動向

等により円安方向に振れ、株価も堅調に推移したことから、緩やかな回復の動きが出てきました。

      このような経済環境の中、ガラス溶解装置向け白金製品、触媒の受注が減少し、主力のイリジウムルツボについ

    ても顧客の在庫調整の影響から受注が減少しましたが、半導体製造装置向け温度センサーの受注が堅調で、HD向

    けのルテニウムターゲットや電極向け化合物及び有機EL向け化合物も持ち直してまいりました。その結果、当事

    業年度において、売上高14,742百万円(前期比15.2%減)、売上総利益2,911百万円(前期比1.7%増)、営業利益

    872百万円(前期比1.5%増)、経常利益937百万円(前期比14.8%増)、当期純利益501百万円(前期比46.9%増と

    なりました。

 以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

①売上高の分析

 当事業年度の売上高は14,742百万円であります。これをセグメント別に分析すると、「電子」の売上は5,439百万円(前事業年度比39.1%減)、「薄膜」の売上は4,581百万円(前事業年度比0.6%増)、「センサー」の売上は2,074百万円(前事業年度比7.6%増)、「その他」の売上は2,646百万円(前事業年度比34.1%増)となりました。「電子」につきましては、ガラス溶解装置向け白金製品の受注が伸び悩み、スマートフォンなどのSAWデバイス(必要な周波数信号を取り出すデバイス)に使用されるリチウムタンタレート単結晶育成装置向けのイリジウムルツボの受注が、デバイスメーカーの在庫調整の影響を受けました。「薄膜」につきましては、スマートフォンなどのタッチパネル配線向け銀合金ターゲットの受注が堅調に推移し、HD向けルテニウムターゲットの受注が持ち直した一方で、BAWデバイス(高周波信号を取り出すデバイス)向けターゲットの受注が減少しました。「センサー」につきましては、半導体製造装置メーカーや台湾の半導体メーカーからの受注が堅調に推移したものの、国内や米国の半導体メーカーからの受注が鈍化しました。「その他」につきましては、有機EL向けや電極向けの貴金属化合物の受注が持ち直してきたものの、使用済み電極の回収精製が伸び悩んだことに加え、触媒の受注が低調でした。

②売上原価の分析

 当事業年度において、売上原価は11,830百万円、売上総利益は2,911百万円となり、原価率は80.3%と前事業年度比3.2ポイント低下いたしました。これは、前事業年度において9,828百万円を計上した材料費が8,086百万円に減少しましたが、前事業年度においてたな卸資産の評価減を436百万円計上したことによるものです。

③販売費及び一般管理費の分析

 当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ1.8%増加し、2,039百万円となっております。これは主に租税公課が前事業年度比74百万円増加したことによるものです。

④営業外損益の分析

 当事業年度の営業外収益は前事業年度に比べ14.0%増加し、96百万円となっております。これは主に為替差益が前事業年度比38百万円増加したことによるものです。また、当事業年度の営業外費用は前事業年度に比べ75.5%減少し31百万円となっております。これは主に為替差損が前事業年度比75百万円減少したことによるものです。

⑤特別損益の分析

 当事業年度の特別利益は4百万円となっております。また、当事業年度の特別損失は前事業年度に比べ56百万円減少し、2百万円となっております。これは主に前事業年度に関係会社株式評価損を49百万円計上したことによるものです。

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

  キャッシュ・フロー計算書の各項目をご参照ください。