第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営の基本方針として、経営理念を掲げております。

[経営理念]

「絶えざる技術革新」と「ニーズを先取りした製品」の「スピードある提供」を通じ、お客様の「揺るぎない信頼のもとグローバル企業」を実現する。

 

「絶えざる技術革新」

三ツ知は、お客様のあらゆる要望にチャレンジし続けることで解決策を導き出してきました。より激しく変化する要求に対応するため、これからも新しい技術・新しい工法を開発し続けていきます。

 

「ニーズを先取りした製品」

お客様のニーズを先取りし、製品を通じて的確に応え続けられる提案型企業を目指します。

 

「スピードある提供」

お客様の要求に応え続けるためにも、トップダウンに負けない機動性の高いグループ組織を構築していきます。

 

「揺るぎない信頼のもとグローバル企業」

“困ったときは三ツ知に相談すれば何とかなる”といわれるような、お客様の良きパートナーとして成長し続けるグローバル企業の実現を目指します。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、第60期(2022年6月期)よりスタートいたしました中期経営計画「ビジョン21」では、第62期(2024年6月期)に達成すべき経営目標として、連結売上高130億円、営業利益率5%を目標に掲げ、目標達成に向けて努力してまいりましたが、中期経営計画期間中に発生した半導体をはじめとした部品供給不足の長期化による得意先の生産調整や、原材料、副資材の高騰など外部環境が大きく変化したことで、売上目標は達成いたしましたが、残念ながら利益目標は未達でした。第63期(2025年6月期)より新たな中期経営計画「ビジョン24」を策定し、第65期(2027年6月期)に達成すべき経営目標を連結売上高140億円、営業利益率5%とし、営業利益率5%を安定的に確保する体制を構築するとともに成長戦略に取組み、5年後に目指す姿としては連結売上高160億円、営業利益率5.5%を掲げております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

今日の世界経済は、国内経済において持ち直しの動きがあるものの、地政学的緊張の継続から資源価格が高止まりし、原材料をはじめとした価格高騰、インフレ抑制のための金融引き締めによる景気後退懸念など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。自動車部品業界においては、世界的に進む急速なEVシフトの流れの中で、大幅に変化していくニーズへの対応を求められております。

こうした環境変化の中で、当社グループにおいては、以下の項目を重点実施項目として取り組んでまいります。

①コーポレートガバナンス体制

経営の効率性と公平性・透明性を維持し、コーポレートガバナンス(企業統治)に積極的かつ確実に取組み、持続可能な成長と企業価値の向上に努めます。

②既存商権の営業力強化・技術力で圧倒的な優位に立つ

営業・技術の人材強化を実施し、技術営業活動の活発化を図ることによって機動力を底上げする。国内・海外における自動車部品関連の顧客ニーズを先取り・深掘りし、多様化する製品にスピード感を持って果敢に挑戦していきます。

 

③成長戦略

グローバル人材を育成・活用することによって情報収集力を強化して、インドを中心としたグローバルサウス市場への進出を本格化させます。

また発信力の更なる強化で建築土木・水素コネクタの非自動車関連売上比率を伸ばし、成長戦略の柱としていきます。

④効率化

人的資本を高付加価値業務に再配分する為に基幹システムの入替え・統合を中心としたデジタル化・DX化を促進し、間接業務の効率化を図ります。

モノづくりでは国内・海外の生産設備資産を再分配し有効活用することで更なる効率化を図ります。

⑤ESG経営への取組み

CN活動を最重要課題として捉え、CN推進チームを設立して組織的に活動していきます。多様性を認め外国人の積極採用、女性の活躍の推進や個性の尊重など「働きがい」「働きやすさ」と「やりがい」を高め企業全体の価値創造を高めていきます。

⑥資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

・現状分析

当社のPBRは1倍を下回る水準が継続し、2024年6月末時点で0.42倍と大きく1倍を下回っています。現状を分析してみますと、既存事業について価格競争の激化、コスト高など外部環境の悪化により、営業利益率が3.5%と収益率が伸び悩んでいます。

また、内部留保の積上げによる株主資本の増加の一方、業容は従来水準に留まっており、ROE4.4%と資本効率が悪化しています。これに伴い純資産対比の株価も低迷しています。

・PBR改善へ向けて

現状分析を踏まえ、当社の課題を以下の通り明確にするとともに、具体的な取組みを推進してまいります。

[課題]

1)既存事業の更なる効率化と営業力の強化により収益力を強化

2)成長事業・成長市場への積極的・戦略的な投資

3)新たなビジネスへの挑戦

4)経営資源の効率的な活用

5)投資家との対話の充実

6)投資家に対する配分の適正化と安定化

[具体的な取組み]

1)省力化、DX化を取入れた生産の効率化

2)戦略的なポートフォリオの見直し

3)顧客関係性強化による価格競争力強化

4)自動車以外の建設用・土木用新締結部品への投資

5)新規事業・新規開発品への挑戦

6)インドスーパースクリュー社とのJV事業

7)日系以外の海外メーカーの開拓

8)特定投資株式の見直し(持ち合い株の解消)

9)人財戦略の推進と人財の多様化

10)機関投資家・個人投資家向け会社説明会への積極的な参加

11)IRエキスポへの積極的な参加

12)配当政策の見直し(1株当たりの配当金額下限の設定)

13)2050年カーボンニュートラル目標達成へ向け、カーボンニュートラル推進チームを設置し、

コーポレートガバナンスを評価し地域社会へ貢献

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的に判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1)ガバナンス

当社グループは、企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題対応を経営戦略の重要な要素と認識しており、優先的に取組むべき中長期的な課題について議論を行っております。

毎月開催される中期経営計画フォロー会議の中で、当社グループのサステナビリティに関する様々な課題を含めリスクを識別し、対応策などを協議しています。

当協議結果に基づいて必要な場合には、経営会議や取締役会の議題に挙げ議論し決定しています。中期経営計画フォロー会議は管理部主体で代表取締役以下取締役、執行役員が出席しています。

経営会議及び取締役会は代表取締役が議長となり進めております。

 

(2)戦略

①環境配慮・脱炭素社会への取組

当社は気候変動への対応として中長期CO2排出量目標を策定し、CO2削減のために高効率機械入替えによる省エネルギー化及び電力使用量低減などに取組んでいます。

 

人財育成・社内環境整備への取組

当社グループにおいて、「人的資本」が当社グループの持続的な成長を行う上で重要かつ必要不可欠であると認識し、多様な人財が最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取組んでいます。

 

人財育成に関する方針、戦略

〈人事制度〉

当社は、会社が社員に期待する人財像(知識・スキル・役割)を明確にしたうえで、会社への貢献度に応じて評価、処理、配置を行うことで、社員の成長を促進するとともに会社の継続的な発展につなげることを目的としています。

〈教育制度〉

当社は、積極的な学びを促す仕掛けと組織的フィードバックにより自律・自走社員を育む土壌を作っています。教育システムを利用した階層別教育の実施及び教育受講後の上司と部下(受講者)のコミュニケーションとアドバイスにより外部教育と内部教育のコラボレーションを図ります。

〈キャリア人財の採用と登用〉

三ツ知単体における採用は、2020年~2024年までの4年間で累計71人を採用し、うち管理職採用は5人です。キャリア採用で高い専門性を持つ人財を採用しています。今後も事業強化のために必要な専門性や知識を有するキャリア採用を積極的に進めてまいります。

〈ダイバーシティ&インクルージョンの取組(多種多様性の受容の取組)〉

三ツ知グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンの取組を推進、多様な経験・専門知識・知見を有する多様な人財が、人間性を尊重し、性別・年齢/性的指向・国籍・宗教等を問わず、全ての人が能力を発揮して活躍できるようにする取組みの整備や支援体制の充実に取組んでいます。

 

社内環境整備に関する方針、戦略

安全・安心で労務災害のない健康で働き甲斐のある環境づくりを推進しています。

また、安全衛生委員会により、全従業員が安全意識を高め、健康と安全を十分に確保できるように各種活動に取組んでいます。

パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメント、マタニティハラスメント等については、人権侵害し職場環境を害する行為であり、必要に応じてハラスメント教育を実施しております。

 

(3)リスク管理

経営戦略の取組の進捗管理、識別されたリスクの評価などについては、毎月開催される中期経営計画フォロー会議にて、各部から報告がなされ必要に応じて経営会議、取締役会に報告しています。

経営戦略の取組については、代表取締役以下役員・従業員一丸となってリスク低減に努めております。

 

(4)指標及び目標

①環境配慮・脱炭素社会への取組

〔当社のCO2排出量過去実績と目標値〕

指標

2030年度目標

2019年度実績(注)

SCOPE1・2の
CO2排出量削減

1,050t

1,595t

 

(注)2019年度実績につきましては、新型コロナウイルスによる減産等の影響により生産量が不安定になる前の期を基準としました。

 

人財育成・社内環境整備への取組

〔当社の有給休暇取得率の現状と目標値〕

指標

2029年度目標

2023年度実績

有給休暇の取得率

90以上

73.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、当社グループとして、必ずしも事業上のリスクとは考えられない事項についても、投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末(2024年6月30日)現在において判断したものであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の内容は変化することが想定され、不確実性が高いことから、合理的に測定することが困難であるため、記載しておりません。

 

(1)特定の取引先への依存について

当社グループは、自動車部品に係る車体部品のうち、シート用部品、ウインドウレギュレーター用部品、ロック用部品等の機能部品(カスタムファスナー)の製造・販売を主な事業としております。当社グループにおける自動車部品に係る売上高の割合は当連結会計年度で80.3%となっており、販売先は自動車部品一次メーカーが中心であります。したがって、当社グループの経営成績は、国内外の自動車生産台数、自動車のモデルチェンジ等に伴う当社グループ製品の装着率及び各自動車部品一次メーカーへの納入価格等により影響を受ける傾向にあります。

 

(2)海外市場展開に潜在するリスクについて

当社グループの主要販売先である自動車部品メーカーは、日系自動車メーカーの積極的な生産のグローバル化に伴う自動車部品の世界的規模での調達に対応するため、事業の海外展開を進めております。

このような情勢の中、当社グループでは、現在、タイ国にてThai Mitchi Corporation Ltd.が、米国にてMitsuchi Corporation of Americaが、中国にて三之知通用零部件(蘇州)有限公司が、それぞれカスタムファスナーの製造・販売を行っており、当連結会計年度における海外売上高の比率は32.2%となっております。

このため、当社グループの経営成績は、アジア地域及び北米地域における自動車業界及び自動車部品業界の動向、海外各市場の為替相場の変動、景気動向等の影響を受ける可能性があり、さらに、法律・規制の変更、政治・経済状況の変化、人財の採用確保の難しさ、税制の変更、テロ及び戦争その他要因による社会的混乱など、現時点では予測不可能なリスクが内在しております。

 

(3)価格競争への対応について

自動車部品業界は、価格競争が厳しい業界であると同時に、近年、完成車メーカーからの価格引下げ要請が特に強まってきており、当社グループにおいても自動車部品一次メーカーからの厳しい価格引下げ要請がなされております。

このような情勢の中、当社グループにおいては、これらの価格競争や価格引下げ要請に対して、①受注から量産開始に至るまでの設計、試作の段階で工程削減等のコスト低減策を得意先へ提案し、量産開始後における継続的な仕入コスト削減につなげる、②切削レスによる工程変更等を得意先へ提案し、生産全般における作業効率の改善につなげる等の恒久的な原価低減策を得意先に対して展開している他、高付加価値製品を提供し他社との差別化を図ることにより、採算の確保に努めております。

ただし、量産開始後においても得意先からの継続的な価格の引下げ要請があることに加えて、当社グループが想定したとおりに原価低減が進む保証はありません。

このため、価格面での更なる引下げ要請または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料価格の変動について

当社グループの主要製品であるカスタムファスナーの主な原材料である鋼材の価格は、世界規模での需給バランスや各生産地域における経済情勢等により価格が変動しております。

当社グループでは、永年の継続的でかつ安定的な原材料メーカーの絞り込みによるスケールメリットの追求、販売価格への転嫁等により、仕入コスト上昇の回避に極力努めておりますが、使用している鋼材の価格が高騰し、販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の欠陥

当社グループは、経営理念において「顧客第一」(価格と品質で充分なる市場競争力を有する製品を提供し、顧客ニーズに応える。)を掲げ、総力をあげて品質向上に取組んでおります。当社及び株式会社三ツ知製作所はISO9001、株式会社三ツ知本社工場、Thai Mitchi Corporation Ltd.、Mitsuchi Corporation of America及び三之知通用零部件(蘇州)有限公司では、自動車産業における世界共通の品質管理・保証規格であるIATF16949に基づく品質管理基準に従い対応しております。

しかしながら、当社グループの全ての製品が将来において、欠陥がなく、製造物責任賠償等に伴う費用が発生しないという保証はありません。

当社グループでは製造物責任賠償について、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。また、万一、当社の予測を超えた重大な品質上の問題が発生した場合に、製品の欠陥・リコール等に伴う費用が発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)為替レートの変動

当社グループにおける海外子会社であるThai Mitchi Corporation Ltd.及びMitsuchi Corporation of America並びに三之知通用零部件(蘇州)有限公司について、原則、当社とThai Mitchi Corporation Ltd.及び三之知通用零部件(蘇州)有限公司との間の販売及び仕入は円建て決済、当社からMitsuchi Corporation of Americaへの販売及びThai Mitchi Corporation Ltd.からMitsuchi Corporation of Americaへの販売並びにMitsuchi Corporation of Americaから三之知通用零部件(蘇州)有限公司への販売はドル建て決済にて行っております。

また、Thai Mitchi Corporation Ltd.及びMitsuchi Corporation of America並びに三之知通用零部件(蘇州)有限公司における売上、費用、資産、負債を含む外貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これらの項目は換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなくても、円換算後の価値に影響を受ける可能性があります。

このため、為替レートの変動によっては、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)減損会計について

「固定資産の減損に関する会計基準」の適用に伴い、当社グループが所有する固定資産について減損の兆候があるものが存在した場合、減損の認識の要否の判定を実施しております。

今後についても、将来の固定資産の時価の動向、将来キャッシュ・フローの状況等によっては、減損損失の認識の必要性が生じる可能性があり、その場合には当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自然災害のリスクについて

主たる製造拠点が所在する地域において、地震、落雷、水害等の災害が発生した場合、生産不能になる事態が予測され、その場合当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その対応として、地域ごとの情報収集及び状況に応じた体制を整備することにより、リスクの軽減に努めております。

なお、主な製造拠点については、次のとおりであります。

・株式会社三ツ知本社工場(愛知県春日井市)

・株式会社三ツ知製作所本社工場(三重県松阪市)

・株式会社三ツ知部品工業作手第1工場(愛知県新城市)

・株式会社三ツ知部品工業作手第2工場(愛知県新城市)

・株式会社創世エンジニアリング久留米工場(福岡県久留米市)

・株式会社創世エンジニアリング鹿児島工場(鹿児島県鹿児島市)

・Thai Mitchi Corporation Ltd.本社工場(タイ国パトムタニ県)

・Mitsuchi Corporation of America本社工場(米国テネシー州)

・三之知通用零部件(蘇州)有限公司本社工場(中国江蘇省)

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、国内経済活動が正常化へ向かう一方、原材料価格の高止まり、中国経済の減速やウクライナ・中東情勢等地政学リスク、インフレ収束に向けた各国政策、国内外の金融調整を見越した不安定な為替相場など、依然として不安定な状況が続いております。

当社グループの主要取引先である自動車部品業界におきましては、半導体供給不足による生産調整が解消しつつも、鋼材、副資材などのコスト上昇が続いている中、中国においては自動車市場の急減な構造変化に伴う日系顧客の減産の影響が続いております。

このような経営環境の中、当社グループでは、経営理念であります「絶えざる技術革新」と「ニーズを先取りした製品」の「スピードある提供」を通じ、お客様の「揺るぎない信頼のもとグローバル企業」を実現するために、中期経営計画「ビジョン21」の3年目として、対処すべき課題の解消に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は131億47百万円(前年同期比4.7%増)となりました。利益面につきましては、全社を挙げて原価低減活動に取り組んだ結果、営業利益は4億66百万円(前年同期は31百万円の営業損失)、経常利益は6億37百万円(前年同期は1億41百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億19百万円(前年同期は32百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

〔日本〕

得意先からの受注が増加し、売上高は101億86百万円(前年同期比3.7%増)となりました。利益面につきましても、増収及び原価低減活動と経費削減に取り組んだことにより、営業利益は1億7百万円(前年同期は2億93百万円の営業損失)となりました。

〔米国〕

得意先の受注回復と、為替変動による円安の影響により、売上高は15億30百万円(前年同期比31.0%増)となりました。利益面につきましても、増収及び原価低減活動と経費削減に取り組んだことにより、営業利益は5百万円(前年同期は74百万円の営業損失)となりました。

〔タイ〕

得意先の受注増加と、為替変動による円安の影響により、売上高は25億1百万円(前年同期比10.7%増)となりました。利益面につきましても、経費削減に努めた結果、営業利益は3億47百万円(前年同期比35.5%増)となりました。

〔中国〕

得意先の生産調整の影響により受注が減少し、売上高は4億11百万円(前年同期比31.5%減)となりました。利益面につきましても、経費削減に努めましたが、固定費を賄い切れず、24百万円の営業損失前年同期は33百万円の営業利益)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32百万円減少し、38億96百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少額3億78百万円等による資金減があり、一方で減価償却費6億95百万円、税金等調整前当期純利益6億37百万円、売上債権の減少額3億8百万円等による資金増により、13億24百万円の収入(前年同期比89.1%増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入1億25百万円等の資金増があり、一方で定期預金の預入による支出5億89百万円有形固定資産の取得による支出1億87百万円等による資金減により、5億11百万円の支出(前年同期比1.0%減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出8億18百万円社債の償還による支出89百万円等による資金減により、9億89百万円の支出(前連結会計年度は1億45百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

日  本

9,755,646

+4.4

米  国

1,561,158

+32.8

タ  イ

2,559,532

+13.4

中  国

313,521

△45.4

合  計

14,189,858

+6.2

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日  本

10,186,948

+1.4

752,406

+0.1

米  国

1,545,515

+32.3

31,882

+94.8

タ  イ

2,487,322

+9.2

162,238

△7.8

中  国

379,142

△37.2

18,783

△63.1

合  計

14,598,929

+3.6

965,310

△3.0

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日  本

8,959,636

+2.1

米  国

1,530,002

+31.0

タ  イ

2,251,587

+11.5

中  国

406,652

△31.9

合  計

13,147,879

+4.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相 手 先

前連結会計年度

(自 2022年7月1日

 至 2023年6月30日)

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

 至 2024年6月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アイシンシロキ株式会社

1,742,427

13.9

808,845

6.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」を、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」をご参照下さい。

 

② 経営成績の分析

a.売上高

売上高は、中国では減収となったものの、日本、米国及びタイにおいて増収となった結果、売上高は131億47百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

b.売上原価

売上原価は、材料費の増加及び消耗工具費の増加等により108億77百万円(前年同期比0.8%増)となりました。売上原価率は費用の増加はあったものの、増収要因により前年同期の86.0%から82.7%となりました。

c.販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、人件費の増加及び求人費の増加等により、18億3百万円(前年同期比0.6%増)となりました。

d.営業利益

営業利益は、販売費及び一般管理費が9百万円増加しましたが、売上総利益が5億7百万円増加した結果、4億97百万円増加4億66百万円(前年同期は31百万円の営業損失)となりました。

 

e.経常利益

経常利益は、営業利益の増加等により、4億95百万円増加6億37百万円(前年同期は1億41百万円の経常利益)となりました。

f.親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加等により、4億19百万円(前年同期は32百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、主要顧客である自動車関連業界の動向やそれらの企業の設備投資動向と密接な関係にあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

なお、事業に係るリスクについては「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、リスク発生の回避及びリスク発生時の対応に努めながら積極的な経営を心掛けていく所存であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主要なものは、販売のための商品仕入、原材料費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払、及び当社グループの設備投資等であります。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資等の調達につきましては、自己資本及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は、2億24百万円となりました。その主なものといたしましては、株式会社三ツ知及び株式会社三ツ知製作所における機械装置の増設であり、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。

b.財政状態

当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ2億32百万円減少し、164億50百万円となりました。

資産の部では、流動資産が受取手形及び売掛金の減少等があったものの、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末に比べ1億8百万円増加し、104億74百万円となりました。また、固定資産については、投資有価証券の増加等があったものの、機械装置及び運搬具の減少、建物及び構築物の減少等により前連結会計年度末に比べ3億40百万円減少し、59億76百万円となりました。

負債の部では、流動負債は未払法人税等の増加等があったものの、支払手形及び買掛金の減少、年内返済予定の長期借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ3億43百万円減少し、46億98百万円となりました。また、固定負債については、長期借入金の減少、社債の減少等により前連結会計年度末に比べ6億40百万円減少し、17億69百万円となりました。

純資産の部では、利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加等により前連結会計年度末に比べ7億51百万円増加し、99億82百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.3%から60.7%となりました。

 

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの課題としましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますが、特に以下の事項が当社グループの成長に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.自動車業界の生産動向

当社グループは、自動車用カスタムファスナー製品の製造・販売を主な事業としており、主要取引先は自動車部品一次メーカーであります。このため、自動車メーカー並びに自動車部品メーカーにおける生産状況、海外への拠点展開等これら業界の動向と密接な関係があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

b.グローバル化の推進

当社グループの主要得意先であります自動車部品メーカーは、海外での現地調達化を加速させております。その為、当社グループといたしましては、最適地での最適設備による高付加価値生産体制実現のために、海外戦略として、第1に海外拠点の収益力向上のための現地化及び最適設備の導入、第2に国内の海外拠点バックアップ体制強化、第3に人財採用、育成の強化を推進してまいります。

 

当社グループでは、企業価値及び経営効率の向上を図るため、第63期(2025年6月期)より中期経営計画(ビジョン24)をスタートし、下記の数値を主要な目標としております。

(単位:百万)

 

2024年6月期実績

2027年6月期目標

売上高

13,147

14,000

営業利益

466

700

営業利益率  (%)

3.5

5.0

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、当社グループが自動車部品の二次メーカーであることもあり、得意先からのコスト、品質等のニーズに対応した製品を作り出すためにいかに製造技術、加工技術を開発し、さらに改良・改善及びその応用をしていくかということに主眼を置いて活動しております。

当連結会計年度におきましては、シート用部品及びその他自動車部品における冷間鍛造成形、水素配管コネクタに関する研究開発等に取組みました。これは、冷間鍛造技術の向上、得意先への最新技術の提案、加工精度の向上をすることにより受注獲得につなげていくためのものであります。

なお、当連結会計年度における研究開発費は6,504千円であり、日本セグメントにおいて発生したものであります。