文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営の基本方針として、経営理念を掲げております。
[経営理念]
未来を「つなぐ」技術で世界中の人と想いを「つなぐ」
創業以来培ってきた冷間鍛造技術と品質保証体制を基盤に、自動車産業をはじめとする幅広い分野に信頼性の高い製品を提供し、持続可能な社会の実現に寄与してまいります。また、持続的成長と企業価値向上のため①生産性向上と収益力強化②新たな需要への対応を見据えた技術開発、設備投資③環境負荷低減や人材育成などサステナビリティ経営を重点課題として取組みます。
当社グループは、昨年に続き中期経営計画「ビジョン24」の取組みを継続してまいります。第65期(2027年6月期)に達成すべき経営目標を連結売上高140億円、営業利益率5%とし、営業利益率5%を安定的に確保する体制を構築すると共に成長戦略に取組み、第67期(2029年6月期)に目指す姿としては連結売上高160億円、営業利益率5.5%を掲げております。
今日の世界経済は、依然として地政学的リスクの継続や資源価格の高止まり、インフレ圧力の残存など不確実性を抱えながらも、各国の金融政策やサプライチェーンの安定化により緩やかな回復基調が見られつつあります。国内経済におきましても、設備投資や雇用の持ち直しの動きが見られる一方、個人消費や外需の動向には依然として慎重な見極めが求められる状況が続いております。当社が事業を展開する自動車部品業界におきましても、電動化や自動運転技術の進展、カーボンニュートラルへの対応といった構造的な変革が一層加速しており、部品メーカーにはこれまで以上に高精度・高強度かつ環境負荷の低い製品の開発・供給が求められております。
こうした環境変化の中で、当社グループにおいては、以下の項目を重点実施項目として取り組んでまいります。
①海外事業最適化に向けて具体的な施策を実行します
1.インドセグメント・・・新会社設立・量産体制確立。それに先駆けて既得商権以外の新規受注獲得の現地活動を開始する。
2.タイセグメント・・・大型設備投資による新規受注品立ち上げを成功させて利益確保を確実なものとする。
3.米国セグメント・・・大型設備投資を視野に入れた新規基軸商権を獲得する。
4.中国セグメント・・・経営のスリム化を加速する。
②新規事業の領域拡大に向けて具体的な施策を実行します
1.自社開発特殊ファスナー(クイックシリーズ)の用途拡大を図り新規顧客を獲得する。
2.クイックシリーズ、水素配管コネクターに次ぐ新規事業開拓に向けて、外部のベンチャー企業ステーションに常駐し情報収集を行う。
③既存事業(自動車部品関連)の収益力アップに向けて具体的な施策を実行します
1.顧客ポートフォリオ、製品ポートフォリオを見直して顧客の優先度・目標売上高に応じた営業活動を行う。
2.難加工品に果敢にチャレンジし続け‘ダントツ’の技術力を身に付ける。
3.技術営業活動をさらに活発化させ顧客ニーズにタイムリーに応えられる‘機動力’をアピールしていく。
4.製造経費の合理化に向けて、消耗工具費用低減と人時生産性向上を重要課題として取り組んでいく。
5.三ツ知グループと協力会社を含めた生産設備の最適な再配置を実施する。
④デジタル化を推進してDX実現に向けたスタートを切ります
1.新基幹システムの稼働開始により間接業務の合理化を図る。
2.DX推進メンバーを選抜し、製造現場の見える化からデジタル化・DX化を推進する。
⑤人材戦略を具体化し多様な人的資本を形成していきます
1.従業員各個人のスキルアッププランを立案・実施する。
2.グローバル人材を計画的に育成する。
3.社員のエンゲージメント向上を目的とした人事評価制度への見直しを開始する。
⑥ESG経営への取り組みを強化します
1.昨年度発足したCN推進チームを中心にCNに対して能動的に取り組んでいく。
2.地域社会に愛される企業を目指した活動に取り組む。
3.経営の効率性と公平性、透明性を維持し、コーポレートガバナンス(企業統治)に積極的且つ確実に取り組み、持続可能な成長と企業価値の向上に努める。
⑦資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
・現状分析
当社のPBRは1倍を下回る水準が継続し、2025年6月末時点で0.29倍と大きく1倍を下回っています。現状を分析してみますと、既存事業について価格競争の激化、コスト高など外部環境の悪化により、営業利益率が0.8%と収益率が伸び悩んでいます。
また、収益力低下と減損による当期純利益の赤字計上により、ROE-0.9%と資本効率が悪化しています。これに伴い株価も低迷しています。
・PBR改善へ向けて
現状分析を踏まえ、当社の課題を以下の通り明確にするとともに、具体的な取組みを推進してまいります。
[課題]
1)既存事業の更なる効率化と営業力の強化により収益力を強化
2)成長事業・成長市場への積極的・戦略的な投資
3)新たなビジネスへの挑戦
4)経営資源の効率的な活用
5)投資家との対話の充実
6)投資家に対する配分の適正化と安定化
[具体的な取組み]
1)省力化、DX化を取入れた生産の効率化
2)戦略的なポートフォリオの見直し
3)顧客関係性強化による価格競争力強化
4)自動車以外の建設用・土木用新締結部品への投資
5)新規事業・新規開発品への挑戦
6)日系以外の海外メーカーの開拓
7)特定投資株式の見直し(持ち合い株の解消)
8)人財戦略の推進と人財の多様化
9)機関投資家・個人投資家向け会社説明会への積極的な参加
10)IRエキスポへの積極的な参加
11)2050年カーボンニュートラル目標達成へ向け、カーボンニュートラル推進チームを設置し、
コーポレートガバナンスを評価し地域社会へ貢献
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的に判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題対応を経営戦略の重要な要素と認識しており、優先的に取組むべき中長期的な課題について議論を行っております。
毎月開催される中期経営計画フォロー会議の中で、当社グループのサステナビリティに関する様々な課題を含めリスクを識別し、対応策などを協議しています。
当協議結果に基づいて必要な場合には、経営会議や取締役会の議題に挙げ議論し決定しています。中期経営計画フォロー会議は管理部主体で代表取締役以下取締役、執行役員が出席しています。
経営会議及び取締役会は代表取締役が議長となり進めております。
①環境配慮・脱炭素社会への取組
当社は気候変動への対応として中長期CO2排出量目標を策定し、CO2削減のために高効率機械入替えによる省エネルギー化及び電力使用量低減などに取組んでいます。
②人財育成・社内環境整備への取組
当社グループにおいて、「人的資本」が当社グループの持続的な成長を行う上で重要かつ必要不可欠であると認識し、多様な人財が最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取組んでいます。
人財育成に関する方針、戦略
〈人事制度〉
当社は、会社が社員に期待する人財像(知識・スキル・役割)を明確にしたうえで、会社への貢献度に応じて評価、処理、配置を行うことで、社員の成長を促進するとともに会社の継続的な発展につなげることを目的としています。
〈教育制度〉
当社は、積極的な学びを促す仕掛けと組織的フィードバックにより自律・自走社員を育む土壌を作っています。教育システムを利用した階層別教育の実施及び教育受講後の上司と部下(受講者)のコミュニケーションとアドバイスにより外部教育と内部教育のコラボレーションを図ります。
〈キャリア人財の採用と登用〉
三ツ知単体における採用は、2020年~2025年までの5年間で累計90人を採用し、うち管理職採用は6人です。キャリア採用で高い専門性を持つ人財を採用しています。今後も事業強化のために必要な専門性や知識を有するキャリア採用を積極的に進めてまいります。
〈ダイバーシティ&インクルージョンの取組(多種多様性の受容の取組)〉
三ツ知グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンの取組を推進、多様な経験・専門知識・知見を有する多様な人財が、人間性を尊重し、性別・年齢/性的指向・国籍・宗教等を問わず、全ての人が能力を発揮して活躍できるようにする取組みの整備や支援体制の充実に取組んでいます。
社内環境整備に関する方針、戦略
安全・安心で労務災害のない健康で働き甲斐のある環境づくりを推進しています。
また、安全衛生委員会により、全従業員が安全意識を高め、健康と安全を十分に確保できるように各種活動に取組んでいます。
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメント、マタニティハラスメント等については、人権侵害し職場環境を害する行為であり、必要に応じてハラスメント教育を実施しております。
経営戦略の取組の進捗管理、識別されたリスクの評価などについては、毎月開催される中期経営計画フォロー会議にて、各部から報告がなされ必要に応じて経営会議、取締役会に報告しています。
経営戦略の取組については、代表取締役以下役員・従業員一丸となってリスク低減に努めております。
①環境配慮・脱炭素社会への取組
〔当社のCO2排出量過去実績と目標値〕
(注)2019年度実績につきましては、新型コロナウイルスによる減産等の影響により生産量が不安定になる前の期を基準としました。
②人財育成・社内環境整備への取組
〔当社の有給休暇取得率の現状と目標値〕
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、当社グループとして、必ずしも事業上のリスクとは考えられない事項についても、投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末(2025年6月30日)現在において判断したものであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の内容は変化することが想定され、不確実性が高いことから、合理的に測定することが困難であるため、記載しておりません。
(1)特定の取引先への依存について
当社グループは、自動車部品に係る車体部品のうち、シート用部品、ウインドウレギュレーター用部品、ロック用部品等の機能部品(カスタムファスナー)の製造・販売を主な事業としております。当社グループにおける自動車部品に係る売上高の割合は当連結会計年度で82.7%となっており、販売先は自動車部品一次メーカーが中心であります。したがって、当社グループの経営成績は、国内外の自動車生産台数、自動車のモデルチェンジ等に伴う当社グループ製品の装着率及び各自動車部品一次メーカーへの納入価格等により影響を受ける傾向にあります。
(2)海外市場展開に潜在するリスクについて
当社グループの主要販売先である自動車部品メーカーは、日系自動車メーカーの積極的な生産のグローバル化に伴う自動車部品の世界的規模での調達に対応するため、事業の海外展開を進めております。
このような情勢の中、当社グループでは、現在、タイ国にてThai Mitchi Corporation Ltd.が、米国にてMitsuchi Corporation of Americaが、中国にて三之知通用零部件(蘇州)有限公司が、それぞれカスタムファスナーの製造・販売を行っており、当連結会計年度における海外売上高の比率は33.0%となっております。さらに、2025年6月にインドにMitsuchi India Pvt.Ltd.を設立しております。
このため、当社グループの経営成績は、アジア地域及び北米地域における自動車業界及び自動車部品業界の動向、海外各市場の為替相場の変動、景気動向等の影響を受ける可能性があり、さらに、法律・規制の変更、政治・経済状況の変化、人財の採用確保の難しさ、税制の変更、テロ及び戦争その他要因による社会的混乱など、現時点では予測不可能なリスクが内在しております。
(3)価格競争への対応について
自動車部品業界は、価格競争が厳しい業界であると同時に、近年、完成車メーカーからの価格引下げ要請が特に強まってきており、当社グループにおいても自動車部品一次メーカーからの厳しい価格引下げ要請がなされております。
このような情勢の中、当社グループにおいては、これらの価格競争や価格引下げ要請に対して、①受注から量産開始に至るまでの設計、試作の段階で工程削減等のコスト低減策を得意先へ提案し、量産開始後における継続的な仕入コスト削減につなげる、②切削レスによる工程変更等を得意先へ提案し、生産全般における作業効率の改善につなげる等の恒久的な原価低減策を得意先に対して展開している他、高付加価値製品を提供し他社との差別化を図ることにより、採算の確保に努めております。
ただし、量産開始後においても得意先からの継続的な価格の引下げ要請があることに加えて、当社グループが想定したとおりに原価低減が進む保証はありません。
このため、価格面での更なる引下げ要請または有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料価格の変動について
当社グループの主要製品であるカスタムファスナーの主な原材料である鋼材の価格は、世界規模での需給バランスや各生産地域における経済情勢等により価格が変動しております。
当社グループでは、永年の継続的でかつ安定的な原材料メーカーの絞り込みによるスケールメリットの追求、販売価格への転嫁等により、仕入コスト上昇の回避に極力努めておりますが、使用している鋼材の価格が高騰し、販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の欠陥
当社グループは、経営理念において「顧客第一」(価格と品質で充分なる市場競争力を有する製品を提供し、顧客ニーズに応える。)を掲げ、総力をあげて品質向上に取組んでおります。当社及び株式会社三ツ知製作所はISO9001、株式会社三ツ知本社工場、Thai Mitchi Corporation Ltd.、Mitsuchi Corporation of America及び三之知通用零部件(蘇州)有限公司では、自動車産業における世界共通の品質管理・保証規格であるIATF16949に基づく品質管理基準に従い対応しております。
しかしながら、当社グループの全ての製品が将来において、欠陥がなく、製造物責任賠償等に伴う費用が発生しないという保証はありません。
当社グループでは製造物責任賠償について、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を完全にカバーできるという保証はありません。また、万一、当社の予測を超えた重大な品質上の問題が発生した場合に、製品の欠陥・リコール等に伴う費用が発生する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替レートの変動
当社グループにおける海外子会社であるThai Mitchi Corporation Ltd.及びMitsuchi Corporation of America並びに三之知通用零部件(蘇州)有限公司について、原則、当社とThai Mitchi Corporation Ltd.及び三之知通用零部件(蘇州)有限公司との間の販売及び仕入は円建て決済、当社からMitsuchi Corporation of Americaへの販売及びThai Mitchi Corporation Ltd.からMitsuchi Corporation of Americaへの販売並びにMitsuchi Corporation of Americaから三之知通用零部件(蘇州)有限公司への販売はドル建て決済にて行っております。
また、Thai Mitchi Corporation Ltd.及びMitsuchi Corporation of America並びに三之知通用零部件(蘇州)有限公司における売上、費用、資産、負債を含む外貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。これらの項目は換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなくても、円換算後の価値に影響を受ける可能性があります。
このため、為替レートの変動によっては、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)減損会計について
「固定資産の減損に関する会計基準」の適用に伴い、当社グループが所有する固定資産について減損の兆候があるものが存在した場合、減損の認識の要否の判定を実施しております。
今後についても、将来の固定資産の時価の動向、将来キャッシュ・フローの状況等によっては、減損損失の認識の必要性が生じる可能性があり、その場合には当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害のリスクについて
主たる製造拠点が所在する地域において、地震、落雷、水害等の災害が発生した場合、生産不能になる事態が予測され、その場合当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、地域ごとの情報収集及び状況に応じた体制を整備することにより、リスクの軽減に努めております。
なお、主な製造拠点については、次のとおりであります。
・株式会社三ツ知本社工場(愛知県春日井市)
・株式会社三ツ知製作所本社工場(三重県松阪市)
・株式会社三ツ知部品工業作手第1工場(愛知県新城市)
・株式会社創世エンジニアリング久留米工場(福岡県久留米市)
・株式会社創世エンジニアリング鹿児島工場(鹿児島県鹿児島市)
・Thai Mitchi Corporation Ltd.本社工場(タイ国パトムタニ県)
・Mitsuchi Corporation of America本社工場(米国テネシー州)
・三之知通用零部件(蘇州)有限公司本社工場(中国江蘇省)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の持ち直しにより緩やかな回復が続いたものの、物価高や金利動向への懸念から企業活動・個人消費の回復には一部鈍化も見られました。
一方、海外経済においては、中東情勢の長期化や資源価格の高止まりを背景に、エネルギー・原材料コストの上昇が継続し、欧州・中国など主要市場では需要の伸び悩みが続きました。加えて、政策金利の高止まりや為替相場の不安定な動き、米国の政策運営への不透明感など、世界経済全体として依然として不確実性の高い状況となりました。
当社グループの主要取引先である自動車部品業界においても、東アジアでの日本車シェアの低下傾向は継続し、北米・東南アジアにおける生産も前年をやや下回る水準で推移いたしました。その結果、当社の受注環境は全体として厳しい局面が続きました。
このような経営環境の中、当社グループでは、中期経営計画「ビジョン24」の1年目として、対処すべき課題の解消に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は124億11百万円(前年同期比5.6%減)となりました。利益面につきましては、全社を挙げて原価低減活動に取り組んだ結果、営業利益は1億6百万円(前年同期比77.1%減)、経常利益は1億74百万円(前年同期比72.6%減)、特別損失として固定資産の減損損失1億80百万円(内、のれん46百万円)を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は1億17百万円(前年同期は4億19百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
〔日本〕
得意先からの受注が減少し、売上高は93億1百万円(前年同期比8.7%減)となりました。利益面につきましては、経費削減に努めましたが、1億40百万円の営業損失(前年同期は1億7百万円の営業利益)となりました。
〔米国〕
得意先の生産調整により受注が減少し、売上高は14億38百万円(前年同期比6.0%減)となりました。利益面につきましては、経費削減に努めましたが、85百万円の営業損失(前年同期は5百万円の営業利益)となりました。
〔タイ〕
得意先からの受注増加により、売上高は25億67百万円(前年同期比2.6%増)となりました。利益面につきましては、経費削減に努めた結果、営業利益は3億32百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
〔中国〕
得意先からの受注が減少し、売上高は2億68百万円(前年同期比34.7%減)となりました。利益面につきましては、経費削減に努めましたが、33百万円の営業損失(前年同期は24百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ92百万円増加し、39億88百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費6億49百万円、売上債権の減少額3億31百万円、棚卸資産の減少額3億12百万円による資金増があり、一方で法人税等の支払額2億57百万円等による資金減により、8億85百万円の収入(前連結会計年度比33.1%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入2億98百万円等の資金増があり、一方で定期預金の預入による支出6億40百万円、有形固定資産の取得による支出1億76百万円等による資金減により、5億21百万円の支出(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増減額6億円等の資金増があり、一方で長期借入金の返済による支出6億16百万円、自己株式の取得による支出2億72百万円、配当金の支払額1億26百万円等による資金減により、3億56百万円の支出(前連結会計年度比64.0%減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」を、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」をご参照下さい。
② 経営成績の分析
a.売上高
売上高は、タイでは増収となったものの、日本、米国及び中国において減収となった結果、売上高は124億11百万円(前年同期比5.6%減)となりました。
b.売上原価
売上原価は、材料費の減少及び労務費の減少等により104億5百万円(前年同期比4.3%減)となりました。売上原価率は費用の減少はあったものの、減収要因により前年同期の82.7%から83.8%となりました。
c.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、人件費の増加及び研究開発費の増加等により、18億99百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
d.営業利益
営業利益は、売上総利益が2億63百万円減少、販売費及び一般管理費が96百万円増加したことにより、3億59百万円減少の1億6百万円(前年同期比77.1%減)となりました。
e.経常利益
経常利益は、減収及び販売費及び一般管理費の増加による営業利益の減少等により、4億63百万円減少の1億74百万円(前年同期比72.6%減)となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純損失
親会社株主に帰属する当期純損失は、経常利益の減少、特別損失として固定資産の減損損失1億80百万円(内、のれん46百万円)を計上したこと等により、1億17百万円(前年同期は4億19百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、主要顧客である自動車関連業界の動向やそれらの企業の設備投資動向と密接な関係にあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
なお、事業に係るリスクについては「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、リスク発生の回避及びリスク発生時の対応に努めながら積極的な経営を心掛けていく所存であります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローについては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主要なものは、販売のための商品仕入、原材料費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払、及び当社グループの設備投資等であります。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資等の調達につきましては、自己資本及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は、3億10百万円となりました。その主なものといたしましては、株式会社三ツ知及び株式会社三ツ知製作所における機械装置の増設であり、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。
b.財政状態
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ5億92百万円減少し、158億58百万円となりました。
資産の部では、流動資産が現金及び預金の増加等があったものの、受取手形及び売掛金の減少、商品及び製品の減少等により前連結会計年度末に比べ1億21百万円減少し、103億52百万円となりました。また、固定資産については、投資有価証券の増加等があったものの、機械装置及び運搬具の減少、リース資産の減少等により前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少し、55億5百万円となりました。
負債の部では、流動負債は電子記録債務の減少、1年内返済予定の長期借入金の減少、未払法人税等の減少等があったものの、短期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ1億40百万円増加し、48億39百万円となりました。また、固定負債については、長期借入金の減少、社債の減少等により前連結会計年度末に比べ3億97百万円減少し、13億71百万円となりました。
純資産の部では、為替換算調整勘定の増加、その他有価証券評価差額金の増加等があったものの自己株式の取得等により前連結会計年度末に比べ3億35百万円減少し、96億47百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の60.7%から60.8%となりました。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの課題としましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますが、特に以下の事項が当社グループの成長に大きな影響を及ぼすと考えております。
a.自動車業界の生産動向
当社グループは、自動車用カスタムファスナー製品の製造・販売を主な事業としており、主要取引先は自動車部品一次メーカーであります。このため、自動車メーカー並びに自動車部品メーカーにおける生産状況、海外への拠点展開等これら業界の動向と密接な関係があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
b.グローバル化の推進
当社グループの主要得意先であります自動車部品メーカーは、海外での現地調達化を加速させております。その為、当社グループといたしましては、最適地での最適設備による高付加価値生産体制実現のために、海外戦略として、第1に海外拠点の収益力向上のための現地化及び最適設備の導入、第2に国内の海外拠点バックアップ体制強化、第3に人財採用、育成の強化を推進してまいります。
当社グループでは、企業価値及び経営効率の向上を図るため、第63期(2025年6月期)より中期経営計画(ビジョン24)をスタートし、下記の数値を主要な目標としております。
(単位:百万)
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は、当社グループが自動車部品の二次メーカーであることもあり、得意先からのコスト、品質等のニーズに対応した製品を作り出すためにいかに製造技術、加工技術を開発し、さらに改良・改善及びその応用をしていくかということに主眼を置いて活動しております。
当連結会計年度におきましては、シート用部品及びその他自動車部品における冷間鍛造成形、水素配管コネクタに関する研究開発等に取組みました。これは、冷間鍛造技術の向上、得意先への最新技術の提案、加工精度の向上をすることにより受注獲得につなげていくためのものであります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は