第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を見ますと、これまでにない大きな変化、不確実な世界が到来しております。社会・人々の価値観の変容、デジタル革命といわれる技術革新の加速、産業構造の水平化・複層化、新たなエコシステムの出現等、これまでの既成概念のディスラプションが至るところで起こる時代であり、当社グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。

 

(2)会社の経営の基本方針

当社グループは、丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」を定めるとともに、経営戦略の基本方針「2030年に向けた長期的な企業価値向上を追求する」を明示した3ヵ年の中期経営戦略「GC2021」を策定し、2019年度よりスタートしております。

 

丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」

・時代が求める社会課題を先取りし、事業間、社内外、国境、あらゆる壁を突き破るタテの進化とヨコの拡張により、社会・顧客に向けてソリューションを創出します。

・丸紅グループを一つのプラットフォームとして捉え、グループの強み、社内外の知、一人一人の夢と夢、志と志、さまざまなものを縦横無尽にクロスさせて新たな価値を創造します。

 

また、2019年度の赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、当社グループの事業活動への影響が長期化することを覚悟し、世界各国のグループ社員、顧客・パートナーの安全確保を第一に、経営基盤の強化・再構築に徹底的に取り組むべく、2020年5月7日に公表した修正GC2021において、以下を基本方針としております。

 

<修正GC2021基本方針>

「財務基盤の再生・強化」

・2019年度の大幅赤字決算を受け、財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底

・3ヵ年累計株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字により債務返済を優先し、2021年度末のネットDEレシオ1.0倍程度へ

 

「事業戦略の強化」

・GC2021で掲げる成長戦略の基本方針は変えない

・既存事業基盤の強化と新たなビジネスモデル創出により中長期的な企業価値向上を追求する

● コスト削減を含む既存事業の強化・底上げを徹底し、持続的かつ強靭な事業基盤を構築する

● 新型コロナウイルス感染症収束後の世界経済、社会課題、成長領域、ビジネスモデルの変化を見据え、資産の入替え・優良化に取り組む

● 過去の事業投資パフォーマンスを総括し、リスクマネジメントの更なる拡充・強化を図る

 

(将来に関する記述等についてのご注意)

 本報告書に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

2【事業等のリスク】

当社及び連結子会社の営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しておりますが、当社及び連結子会社は広範にわたる事業活動を行っているため、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。なお、本項における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき合理的であると当社が判断したものです。

 

(1)リスク管理方針について

当社及び連結子会社は、多様な事業活動を営む中で、マクロ・ミクロ、定量・定性という多面的な視点でリスク管理を行っており、それぞれに関して、リスク管理の基本方針・社内規則を定め、それを遂行するための組織、管理体制、管理手法を整備しております。

個別リスクへのミクロの視点からは、稟議制度に基づき意思決定をした信用供与、投資等の個別案件のうち、重要案件を対象にモニタリングを行い、問題の早期発見と対策立案を徹底しております。経営会議体への定期的な現状報告が行われる中で、事業の戦略性、成長性、収益性に関する検証を行い、必要な案件については、多角的かつ複合的な要素を勘案し、その方向性について稟議制度のプロセスに従って決定を下す等、リスク管理の強化を図っております。

また、金融市場や商品市場における為替・資源価格等のボラティリティが依然として大きい環境下、当社グループ全般を見渡すマクロの視点に立ち、統合リスク管理を実施しております。統合リスク管理では、当社グループ全体の資産を俯瞰し、エクスポージャーごとに市場リスク・信用リスク・投資リスク等のリスク属性を分類のうえで、分散効果、相関係数を考慮したVaR(Value at Risk)の手法で最大リスク量を定量化し、自らの体力である連結資本の範囲内に収まっていることを確認しております。

一方で、コンプライアンスリスク等の定量化が困難なリスクについては、コーポレート・ガバナンスの強化、内部統制システムの整備、及びコンプライアンス体制の強化を通じて、リスクの顕在化を未然に防止する体制を整えております。

しかしながら、当社及び連結子会社の幅広い事業活動から生じる、又は将来新たに発生する可能性のある多種多様なリスクに対して、当社及び連結子会社のリスク管理の枠組みでは十分に対応しきれない可能性があり、その場合には当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)個別のリスクについて

① 世界経済及び産業構造の変化等が当社及び連結子会社に与える影響について

当社は、日本を含む60ヵ国以上の国々に拠点を置いて事業活動を展開している総合商社です。当社及び連結子会社は、日本及び海外の様々な国・地域における、幅広い産業分野において、一次産業の生産・調達や、製品の製造・販売、役務提供等、様々な商業活動及び投資活動を展開しております。

このため、当社では、世界経済に影響を与える事象、例えば米中対立の激化、中東情勢、気候変動・自然災害等が事業活動に及ぼす影響を検討し必要な対応を行っております。また、AI、ブロックチェーン、5Gサービス等の技術革新や、サステナビリティ、脱炭素化等価値観の変化・多様化による産業構造の変化に対し、既存ビジネスモデルの見直しや新たなビジネスモデルの構築を図っております。世界経済の悪化や低迷、あるいは、産業構造の変化等への不十分な対応は、当社及び連結子会社の営業活動、業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 取引先の信用リスクについて

当社及び連結子会社は、取引先に対し営業債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、また、営業活動の一環として取引先との間で商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の契約を締結しておりますので、取引先の債務不履行や契約不履行等による信用危険の負担(信用リスク)が生じた場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記の信用リスクの未然防止のため、取引先の信用状態、取引の利益率や戦略的な適合性等を見極めつつ、一取引先に対して供与する信用の最高限度である「信用限度」を設定し、その範囲内にて運用することを当社の与信管理の基本としております。

なお、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、当社及び連結子会社では取引先の信用状態に応じて判定した社内格付、担保価値、その他一定の前提と見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。

 

③ 投資等に係るリスクについて

当社及び連結子会社は、単独又は他社と共同で新会社の設立や既存会社の買収等の事業活動を行っております。これら事業投資の多くは多額の資本を必要とし、当社及び連結子会社が希望する時期や方法で撤退できない可能性や、追加資金拠出を余儀なくされる可能性があります。

投資等に係るリスクの未然防止のため、当社及び連結子会社は、新規投資等の実施に際して、IRR、回収期間、及びリスク調整後税引後利益であるPATRAC(*)等の社内で定められた投資基準に基づき、リスクに見合うリターンが得られているかの定量面・定性面の検証を含めたリスク管理を徹底しておりますが、これら投資等の価値が低下した場合、あるいは追加資金拠出が必要になる場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*) PATRAC:Profit After Tax less Risk Asset Costの略。リターンがリスクに対する最低限のリターン目標を上回っているかを計る、当社独自の経営指標。以下の計算式に基づき算出する。

PATRAC=税引後利益-リスクアセット(=必要株主資本)×10%(※)

(※)資本コストをベースとするハードルレート

 

④ 資金調達力及び調達コストについて

当社及び連結子会社は、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視した資金調達を行っております。しかしながら、国内及び海外の主要金融市場において大きな混乱が生じた場合、あるいは営業活動によるキャッシュ・フローの不足、収益性の低下又は資産及び負債管理の失敗、更には格付会社による当社及び連結子会社の信用格付の大幅な格下げが行われた場合には、資金調達が制約されるか、又は調達コストが増加する可能性があり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 市場リスクについて

当項目内において、親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)への影響額は、ほかに記載のない限り、当社の当連結会計年度の業績を踏まえて試算した翌連結会計年度に対する影響額を記載しております。

(a)各種商品価格の変動について

当社及び連結子会社は、様々な商品を扱っており、一部の商品、契約、予定取引については、それらに係る市況変動リスクを軽減するため、商品先物・先渡等の契約を締結しておりますが、食料本部が取り扱うトウモロコシや小麦等の穀物や鶏肉、化学品本部が取り扱うエチレンやプロピレン等の化学品、エネルギー本部が取り扱う原油やガス、金属本部が取り扱う非鉄金属、フォレストプロダクツ本部が取り扱うパルプといった商品は、その価格変動によって当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これら商品を輸送するためにドライバルク船やタンカー等の船舶を利用しておりますが、これら船舶市況も当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、商品売買取引における価格変動リスクに関し、商品ごとに設定したポジション限度の範囲内での取引実施、及び商品ごとのポジションの適時モニタリングを柱とする商品ポジション管理を通じて、各商品市場に対して過大なリスクを負うことのないように管理しております。

これらの商品売買取引における各種商品価格の変動の影響に加え、当社及び連結子会社は、資源・エネルギー開発事業やその他製造事業に参画しており、それらの事業を通じて販売する生産物や製品に関連する商品市況の変動が当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社及び連結子会社が参画する資源・エネルギー開発事業において、主な商品の価格変動の影響は以下のとおりです。

原油の商品価格が1バレル当たり1米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約5億円と試算されますが、生産・操業状況、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、原油の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

銅の商品価格が1トン当たり100米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約11億円と試算されますが、生産・操業状況、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

 

(b)市場流動性について(流動性リスクについて)

当社及び連結子会社は、金融商品を含む市場で取引される様々な資産を保有しております。金融市場の混乱等
により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があり、その場合に
は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)為替変動について

当社及び連結子会社は、様々な通貨・条件での取引を行っており、主に外貨建取引及び外貨建債権・債務残高等に係る為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ契約を締結しておりますが、為替変動は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当期利益に占める海外連結子会社、持分法適用会社の持分損益や海外事業からの受取配当金の割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、為替変動は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に影響を与えます。米ドルに対して日本円が1円変動した場合における当期利益への影響額は、年間約13億円と試算されます。

 

(d)金利変動について

当社及び連結子会社は、金融機関からの借入及び社債等を通じた資本市場からの資金調達により事業資金を手当てしております。変動金利の調達は、その相当部分は変動の影響を転嫁できる営業資産に見合っておりますが、金利変動の影響を完全に回避できないものもあり、金利変動リスクにさらされております。

当社及び連結子会社は、Asset-Liability Managementを通じ、投資有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち、変動金利で調達している部分を金利ポジションとして捉え、市場動向を注視しつつ、金利スワップ契約等を活用することで、金利変動リスクの軽減を図っております。

しかしながら、これら手段の活用を通じても、金利の変動が与える影響を完全に回避できるものではなく、金利動向によっては、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(e)活発な市場のある有価証券の価格変動について

当社及び連結子会社は、関係強化あるいはその他の目的で、活発な市場のある有価証券に投資を行っております。活発な市場のある有価証券は、その公正価値の変動に伴い、本源的に価格変動リスクを有しており、公正価値の下落は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(f)退職後給付に係るリスクについて

当社及び連結子会社の年金資産には国内外の株式及び債券等が含まれております。その運用にあたっては、社内に設置した年金資産管理運用委員会で定期的なモニタリングを実施したうえで、許容できるリスクの範囲内で常に年金資産の極大化に努めております。しかしながら、当社の想定を超える証券市場の低迷等により年金資産の価値が減少した場合、退職給付費用が増加し、年金資産の積み増し等が必要となることがあります。また、確定給付債務の現在価値は割引率や昇給率等につき仮定をおいて算定しておりますが、当該仮定と実際の数値が異なる場合、確定給付債務の金額に変動が生じる可能性があります。これらの場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 長期性資産に係るリスクについて

当社及び連結子会社の保有する長期性資産の中には、不動産・機械装置等の事業用資産に加えて、資源権益への投資や、企業買収時に認識するのれんを含む無形資産、当社がマジョリティを持たずに持分法で会計処理される投資(以下「持分法投資」という。)等が含まれております。

当社及び連結子会社は、これらの長期性資産について、IFRSに準拠し、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。なお、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

しかしながら、経済及び業界環境の変化や、事業計画の見直し、保有方針の転換等の理由により、現時点の想定に比べて資産価値が著しく下落した場合には、減損損失や、投下資金の回収不能、撤退時の追加損失等が発生し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<資源権益への投資について>

当連結会計年度末における資源権益への投資について、商品別のエクスポージャーは以下のとおりです。

 

商品

エクスポージャー金額

主な内容

約2,300億円

持分法投資(チリ)

鉄鉱石

約1,700億円

持分法投資(豪州)

原油・ガス

約1,400億円

有形固定資産(米国メキシコ湾、英領北海等)

原料炭

約700億円

持分法投資・有形固定資産(豪州)

LNG

約400億円

持分法投資(パプアニューギニア等)、その他投資(カタール等)

合計

約6,600億円

 

(*) 概数で表示している関係で、合計値が合わない場合があります。

 

当社及び連結子会社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある石油・ガス開発事業及び銅事業・鉄鉱石事業への投資においては、以下の要因により資産価値の変動が生じる可能性があります。

 

石油・ガス開発事業

当社及び連結子会社が参画する石油・ガス開発事業において生産・販売する原油及び天然ガス等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動、主要産油国の政策・地政学的情勢や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社及び連結子会社が管理できない要因により変動する可能性があります。

なお、当社及び連結子会社の参画する石油・ガス開発事業における埋蔵量、生産量、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、また、これらを前提とする事業計画は、商品価格の変動や、技術的・経済的要因のほか、主導する共同事業者の方針、天候・環境、資材調達、資金調達、当局による規制等の影響により修正となる可能性があります。

 

銅事業・鉄鉱石事業

当社及び連結子会社が参画する銅事業・鉄鉱石事業において、銅価格や鉄鉱石価格等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、為替変動、地政学的情勢や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社及び連結子会社が管理できない要因により変動する可能性があります。

当社及び連結子会社の参画する銅事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(チリのミネラロスペランブレス銅鉱山、ミネラセンチネラ銅鉱山、ミネラアントコヤ銅鉱山)であります。また、鉄鉱石事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(豪州のロイヒル鉄鉱山)であります。

なお、これらの持分法投資は、第三者から提供されたデータや、市況状況、ファンダメンタル等を考慮のうえで、当社及び連結子会社にて策定した価格見通しを使用した事業計画に基づいて評価しておりますが、商品価格や生産量の変動、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出の高騰、事業環境の変化及び電力・水等のインフラに起因するオペレーション上の問題等が生じた場合には、事業計画が修正される可能性があります。

 

<Aircastleへの投資について>

当社の持分法適用会社であるAircastleは、全世界のエアラインに対し航空機のリースを行っております。このため、航空旅客需要の悪化、燃油価格の高騰、為替変動等によりエアラインの支払能力が著しく悪化又は倒産した場合、またリース料率の低下や保有する航空機の資産価値が著しく下落した場合に、同社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

航空旅客需要を悪化させる要因としては、戦争やテロ行為、伝染病や自然災害、航空機事故等が想定されます。また、リース先エアラインは世界各国に分散していることから、各国及び国際間の法規制の変更や、経済制裁等の地政学上のリスクの影響を受ける可能性があります。同社への投資にあたっては、これら事象による一時的な業績の悪化を考慮しながらも、中長期的な航空旅客需要の伸びに牽引されて成長を続ける前提での事業計画に基づいて評価をしておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により航空旅客需要の低迷が長期化し、それに伴う競争激化や、機体価値の下落等による収益率の悪化により、当社想定よりも成長が鈍化する場合には、事業計画を修正する可能性があります。

なお、当連結会計年度末における同社向けの投資金額は約1,403億円であります。

 

<事業計画に契約延長を織り込んでいる案件について>

当社及び連結子会社の電力IPP事業や、海外インフラコンセッション事業、長期傭船事業等において、一部の事業計画は、策定時における事業環境に鑑み、相応の蓋然性を確認のうえで、締結済みの長期販売契約等の契約の延長を前提としている場合があります。しかし、これらの前提は、事業環境の変化、世界及び地域での需給の不均衡、景気変動等、様々な要因による影響を受けるため、実際には契約の延長を実現できない場合や、延長後の契約条件が当初事業計画における想定よりも悪化する場合があり、それに伴う事業計画の見直しにより資産価値が著しく下落し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制等について

当社及び連結子会社の事業は、日本及び諸外国において、広範な法令及び規制に服しております。それらは、事業及び投資に関する許認可、国家安全保障上の規制を含む輸出入に関する規制、関税及び各種税法、独占禁止法を含む不公正取引規制、マネーロンダリング規制、汚職・贈収賄防止関連法、個人情報保護法・GDPR(EU一般データ保護規制)、環境保護関連法等の多岐の分野にわたります。例えば、事業及び投資に関する許認可に係るものとしては、日本における主なものとして、ライフスタイル本部では景品表示法等、情報・不動産本部では宅地建物取引業法及び電気通信事業法等、食料本部では食品衛生法及び飼料安全法等、化学品本部では毒物劇物取締法等、エネルギー本部では石油備蓄法等、電力本部では電気事業法等、航空・船舶本部では航空法及び海上運送法等、金融・リース事業本部では投資信託及び投資法人に関する法律等が挙げられ、諸外国においても、これらの法令及び規制と同一又は類似のものが存在します。

加えて、当社は、法令及び規制の遵守だけでなく、いち企業市民として高い倫理観を持ち、全てのステークホルダーの期待に応え社会的責任を果たすことをコンプライアンスと捉えております。法令及び規制の遵守を含むコンプライアンスの実践のため、当社は社長直轄のコンプライアンス委員会を設置しております。コンプライアンス委員会の詳細は、「第4 提出会社の状況」における「4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1) コーポレート・ガバナンスの概要 <コーポレート・ガバナンスに関する施策の実施状況> ① 会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況 (j)内部統制システムの整備の状況」に記載のとおりであります

しかしながら、当社及び連結子会社が事業を行う国・地域によっては、法制度が十分に機能していない場合があり、予期しえない法令、規制、解釈の変更や、規制当局、司法機関等による一貫性のない法令の適用・解釈、運用の一方的な変更等が発生する可能性があること、当社及び連結子会社が行う事業(全く新しいビジネスモデルによるものを含む)の中には法令・規制が十分に整備されていない事業分野も含まれること、当社及び連結子会社は、リスクベース・アプローチに基づくコンプライアンスリスク管理を徹底しているものの、当社及び連結子会社の行う事業活動が極めて広範であること等から、コンプライアンス違反が生じる可能性があり、当社及び連結子会社のコンプライアンス遵守のための負担が増加する可能性があります。このような事態が発生した場合には、事業の中断を含む罰則の適用を受け、又は信用の低下等が発生し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります

 

<税制・税務リスクについて>

当社及び連結子会社は、様々な活動をグローバルに展開していることから、日本及び諸外国において納税義務を負っております。そのため、将来的に、各国税務当局による課税が強化され、課税ベースの拡大・税率変更といったルール変更が行われた場合には、当社及び連結子会社が納付すべき税額が増加する可能性があります

また、当社及び連結子会社は、各国の税法に従い適切な税務申告を行っておりますが、各国当局との見解の相違により、予想外の課税を受ける可能性があります。仮に課税問題が発生した場合には、外部専門家を起用し問題解決を図る等の対策を講じますが、追加的な課税が生じる可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります

 

⑧ 重要な訴訟について

当社及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続の対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社はインドネシアの企業グループであるSugar Groupに属する企業(以下「Sugar Group」という。)を相手にした訴訟(以下「旧訴訟」という。)について、2011年にインドネシア最高裁判所(以下「最高裁」という。)において当社の勝訴が確定したにもかかわらず、Sugar Groupから、旧訴訟と請求内容が同一である別途訴訟(以下「グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟」という。)を提起され、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟につき2017年に最高裁で当社の敗訴が一旦確定しておりますが、当社はインドネシア最高裁に対して司法審査(再審理)を申し立てました。このうち、南ジャカルタ訴訟については、当社は最高裁再審理決定の決定書を、2020年12月30日に受領しております。当該決定書には、2020年8月24日付で当社の司法審査(再審理)請求を認容し、当社が2017年5月17日に受領した当社敗訴の南ジャカルタ訴訟最高裁判決を取り消したうえで、原告であるSugar Groupの請求を全て棄却する旨が記載されております。他方、グヌンスギ訴訟については、当社は、2018年10月8日付で当社の司法審査(再審理)申立を不受理とする旨の最高裁再審理決定の決定書を、2020年2月3日に受領しております。当社は、2020年5月18日、最高裁に対して2回目の司法審査(再審理)を申し立てましたが、申立書類の提出先であるグヌンスギ地方裁判所は2020年5月20日付で、最高裁再審理決定と旧訴訟最高裁判決間の矛盾の不存在を理由に当社の申立を受理せず申立書類を最高裁に回付しないことを決定しました。当社は、当社が勝訴した南ジャカルタ訴訟司法審査(再審理)の結果を踏まえて、最高裁に対して、改めてグヌンスギ訴訟に関する2回目の司法審査(再審理)を2021年5月31日付で申し立て、グヌンスギ地裁に受理されました。

また、当社はSugar Groupの不法行為による当社の信用棄損等を原因としてSugar Groupに対し損害賠償請求訴訟を提起しておりますが、これに対し、Sugar Groupは当該訴訟(以下「本訴」という。)の手続の中で、当社に対して当該訴訟の提起が不法行為であるとして損害賠償請求訴訟(以下「反訴」という。)を提起しておりましたところ、インドネシア・中央ジャカルタ地方裁判所は、2020年12月3日、当社の本訴請求及びSugar Groupの反訴請求をいずれも棄却する旨の第一審判決を言い渡しました。当社は、2020年12月15日付で本訴につきジャカルタ高等裁判所に控訴し、現在も係争中です。

当社に不利な裁定を最高裁が下したグヌンスギ訴訟等Sugar Groupとの一連の訴訟の今後の趨勢や裁判手続次第では、敗訴判決に基づく損害賠償額・金利・訴訟費用の合計金額の全部又は一部について当社が負担を強いられ損失を蒙る等、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。各訴訟の詳細及び経緯については「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記26 約定及び偶発負債」に記載のとおりであります

(注)南ジャカルタ訴訟においては被告に丸紅欧州会社も含まれております。

 

⑨ 気候変動リスク及び環境リスクについて

当社及び連結子会社は、グローバルかつ幅広い産業分野に関連する営業活動を行っており、気候変動により自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇や海面の上昇等といった物理的リスクが顕在化した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、気候パターンの変化による穀物不作や、異常気象の激甚化による物流機能の麻痺が、穀物集荷ビジネスや農業資材ビジネスの収益を悪化させる可能性があります。

また、脱炭素社会に向けた、炭素税の導入及び強化等の温室効果ガス排出規制や急激な再生可能エネルギー技術の発展等の移行リスクは、発電事業や資源権益・販売事業等の化石燃料に関連する事業を中心に、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの気候変動リスクの発生可能性は、パリ協定の枠組みの下での気候変動の進行を防ぐ取り組みの状況に大きく左右されます。

当社は、社長直轄のサステナビリティ推進委員会を設置のうえ気候変動リスクの低減に努めており、2050年までに事業活動に伴う温室効果ガス排出ネットゼロ(*)の達成を目指すことを基本的方針としております。また、個別の事業に関しても、以下を中心とした取り組み方針を定めております。

・新規石炭火力発電事業には取り組まず、石炭火力発電事業によるネット発電容量を2018年度末対比2025年までに半減させ、2050年までにゼロとする

・一般炭権益に関して、新規の資産獲得は行わない

しかしながら、これらの取り組みが奏功しない場合や今後想定を上回る速度又は規模で気候変動が進行する場合、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*)温室効果ガス排出削減を行ったうえで、削減できない残余排出を、自然を基盤とした手段や技術的手段により除去し、大気中への人為的な温室効果ガス排出をネットゼロとすること。なお、ネットゼロの対象範囲は当社及び連結子会社のScope1(直接排出)及びScope2(間接排出)に加え、Scope3(その他の間接排出・サプライチェーン排出)カテゴリ15(投資)に含まれる持分法適用関連投資先(以下「関連投資先」という。)の排出としております。

更に、当社及び連結子会社の営業活動により、大気汚染、土壌汚染、水質汚染等による環境汚染等が生じた場合には、事業の停止、汚染除去費用、あるいは住民訴訟対応費用等が発生し、社会的評価の低下につながる可能性があります。これらの環境リスクに対応するため、環境マネジメントシステムを導入(1999年度)したほか、連結子会社並びに仕入先に対する調査を実施する等、環境負荷等の把握と環境リスクの低減に努めております。しかしながら、何らかの環境負荷が発生した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 自然災害等のリスクについて

当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震、津波、大雨、台風等の自然災害、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合、社員・事業所・設備やシステム等への被害及び交通、情報通信、水道・ガス・電力等の公共インフラに機能不全等が発生し、当社及び連結子会社の事業活動に支障が生じる可能性があります。

BCP(事業継続計画)の策定、耐震対策、防災訓練、必要物資の備蓄、各種保険への加入等、個々に対策を講じておりますが、自然災害等による被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ カントリーリスクについて

当社及び連結子会社はグローバルに営業活動を展開しているため、当該活動地域・国における政治状況の変化、テロ・暴動を含む社会情勢の悪化、経済環境の変化、営業活動に関わる法制度や政策の変更、天災等、様々なカントリーリスクにさらされており、これらの地域・国の事業環境が悪化した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社及び連結子会社が活動する国に対し、各国のリスク度を評価して国分類に区分し、国分類又は国ごとのカントリーリスク管理基準を設けております。

この基準の下で、国分類又は国ごとの取り組み方針を定め、また各国向けのリスク・エクスポージャーを集計して特定の国分類又は国へのエクスポージャー集中を防ぐ等の管理を行っております。

また、新規投資案件等の検討にあたっては、国分類又は国ごとのカントリーリスクに見合った適正なリターンが得られるのかという観点も考慮した投資基準を設定しております。

更に、案件ごとに必要に応じて、貿易保険や投資保険を付保する、第三国からの保証等を取得する等、適切なリスクヘッジ策を講じるべく努めております。

 

当連結会計年度末における主なカントリーリスクエクスポージャー(*)は以下のとおりです。

(*)当社及び連結子会社の保有資産のうち、長期与信、固定資産、投資等の長期性資産の金額の合計。

エクスポージャーが1,000億円以上の国を抽出。

 

米国

8,506億円

豪州

3,183億円

チリ

2,816億円

インドネシア

1,578億円

ブラジル

1,368億円

シンガポール

1,341億円

台湾

1,173億円

フィリピン

1,002億円

 

⑫ 情報システム及び情報セキュリティに関するリスクについて

当社及び連結子会社は、情報資産の適切な管理及び高い情報セキュリティレベルの確保を重要事項と認識し、関連規程を整備のうえ、役員・社員への教育・啓蒙活動を行うとともに、セキュリティ面での点検活動を実施しております。また、グループに対してセキュアなIT環境・サービスを提供してネットワーク監視を行うとともに、グループ全体のセキュリティインシデントを統括管理する組織(CSIRT)を設置する等、セキュリティリスクへの対策の強化に取り組んでおります。

また、当社では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による在宅勤務者の増加に合わせて、テレワークに関わるIT環境を整備してきました。事業継続性を担保しながら業務効率やセキュリティを損なうことがないよう、仮想デスクトップ環境(*)の導入、ペーパレスを推進する社内ルールの変更と新ワークフローシステムの導入、グループへのリモートワーク環境でのIT対策ガイドラインの提供等を実施してきました。

しかしながら、サイバー攻撃は年々巧妙化しているとともに、リモートワーク環境のセキュリティ不備を狙った攻撃も増加しており、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備・通信障害等による情報システム停止等の可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*)自宅PC等の接続元にデータを残さずに、セキュアに社内の情報資産にアクセス可能なシステムインフラ

 

⑬ 重要な会計方針及び見積りによるリスクについて

当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。

 

・棚卸資産の評価

・有形固定資産の減損

・無形資産の減損

・関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

・繰延税金資産の回収可能性

・確定給付制度債務

・引当金

・金融商品の評価

・偶発負債

 

当社の経営陣は、これらの見積りは合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすことがあります。

重要な会計方針の見積り及び仮定についての詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」の「③ 重要な会計方針及び見積り」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

(3)中期経営戦略について

当社及び連結子会社は、2019年度より3ヵ年の中期経営戦略「GC2021」をスタートしておりますが、2019年度の赤字決算により毀損した財務基盤の再生・強化を最優先課題とし、定量目標を修正しております。修正の内容については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(2)会社の経営の基本方針に記載のとおりであります。

これらの定量目標は、策定時において適切と考えられる一定の経済状況・産業動向その他様々な前提・仮定及び見通しに基づき策定されたものであり、経営環境の変化、上記個別リスクの発現、その他様々な要因により達成できない可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 当連結会計年度における経済環境及びオペレーティング・セグメント別の事業の状況

経済環境

当連結会計年度の経済環境を概観しますと、上半期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世界各国で外出制限等の感染拡大防止策が講じられました。その結果、早期に感染を抑止した中国を除き各国の経済活動は大幅に制限され、世界経済は急激に縮小しました。その後、各国は段階的に制限の緩和と経済活動の再開に着手し、多くの国で景気は一旦持ち直しました。

下半期に入ると、二大経済大国である米国と中国が比較的力強い景気回復をみせた一方、日本や欧州は制限の再強化により景気が悪化する等、方向感に違いがみられました。また、多くの国でワクチン接種が始まりましたが、供給の問題等から各国での接種ペースにばらつきがみられました。

戦後最悪とも言われる景気悪化を受け、各国政府・中銀は家計・企業・金融市場を支えるため、かつてない規模の財政出動を含むあらゆる政策手段を総動員しました。迅速かつ大規模な財政金融政策を受け、金融市場は混乱を回避し、株価は反発する等、大きく落ち込んだ実体経済との乖離がみられました。年明け以降は巨額の追加経済対策が可決された米国を中心に、経済見通しやインフレ期待の上方修正により長期金利の上昇が加速しました。

一次産品価格は、原油が昨年4月に一時大暴落したものの、その後は減産と経済活動再開への期待、世界的な金融緩和を受けて緩やかに持ち直しました。一方、中国経済の影響を強く受ける銅や鉄鉱石等の価格は総じて上昇が続きました。

 

オペレーティング・セグメント別の事業の状況

当連結会計年度におけるオペレーティング・セグメント別の事業の状況は、以下のとおりです。

 

・ライフスタイル

丸紅フットウェアでは、子ども靴ブランド「イフミー」の直営店を出店しました。ブランドコンセプトの発信、消費者との接点、ニーズの把握の場として活用し「イフミー」の販売拡大に繋げています。また、米国アウトドアブランド「メレル」では、自社ECサイトの開設、新アパレルライン「ジャパン カプセル」の展開等、消費者直販事業の強化、取扱商品の拡充に注力しました。

また、繊維リサイクル技術を有するサーク社(*)と共同で、当社のネットワークも活用し、衣料品等繊維製品のグローバルな循環型サプライチェーンの構築に取り組んでいます。

(*) サーク社は2020年11月にタイトンバイオサイエンス社から社名変更しました。

 

・情報・不動産

ICT、不動産、物流、保険といった人々の生活に関わる事業領域において、顧客のDX(*)化に資する高付加価値サービス・ソリューションの提供に注力しています。2020年12月には、顧客にビジネスとシステム両面の統合的なDX コンサルティングサービスを提供するドルビックスコンサルティング株式会社を設立しました。

また、既存事業では、「ミッドタワーグランド」(東京都中央区月島)が完売したほか、インドでの不動産開発第一号案件としてムンバイ市郊外の住宅開発・分譲事業に参画しました。更に、上場リートや私募リートを通じてオフィスビルや物流センター等への投資活動を行いました。

(*) デジタルトランスフォーメーション

 

・フォレストプロダクツ

インドネシアにおける植林・パルプ製造販売事業は、順調なオペレーションによって競争力を強化、国内の板紙製造販売事業は、通販及び加工食品向けパッケージ等巣ごもり需要を着実に取り込み堅調に推移しました。また、木質資源活用の一環として、ペレットの自社ソース開発等バイオマス燃料の取組みも進めています。ベトナム段ボール原紙製造工場は2020年11月に試運転を開始、2021年第1四半期に商業運転へ移行する予定です。衛生紙分野では、世界第4位の市場規模を有するブラジルにて衛生紙製造販売会社Santher - Fabrica de Papel Santa Therezinhaを買収して同国での事業を開始するとともに、今後は他地域への展開も推進していきます。

 

・食料

新型コロナウイルス感染症の発生により世界的に環境が激変する中、食料分野はエッセンシャルなビジネスとして業績を順調に伸長させました。

SDGsに対応した取組みも推進し、2020年4月にデンマークのDanish Salmonの株式の過半数を取得、サーモンの陸上養殖事業に参入しました。12月には植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するスタートアップ、ダイズ株式会社と出資契約を締結、米国植物肉市場への進出を図っていきます。

今後も社会課題の解決に貢献していくとともに、プレミアムビーフ等のスペシャリティ商品のマーケティングと生産製造機能の強化を戦略の柱として事業拡大と持続的成長を推進していきます。

 

・アグリ事業

アグリインプット事業では、ITを駆使した精密農業による顧客向けソリューション能力のさらなる向上と、北米を中心に蓄積してきたノウハウの他国での活用を通じ、世界における農業の近代化に貢献すべく一層の事業拡大を推進しました。その一環として、2019年度にブラジルの農業資材販売会社のADUBOS REALを買収、同国でも事業のさらなる展開を推進していきます。

北米穀物事業では、GavilonとColumbia Grain Internationalの既存事業(集荷・保管・配送)の拡充に注力するとともに、世界的な食の安心・安全、健康意識や環境意識の高まりに対応すべく、集荷能力の強みを生かした川下分野における新規事業開発に取り組んでいきます。

 

・化学品

長年にわたり業界でトップクラスの地位を維持している石油化学品トレードでの需給調整機能の高度化や、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス等のスペシャリティ分野でのソリューション提供型ビジネスの深化を国内外で推し進めています。

また、飼料添加剤ディストリビューターのOrffa International Holdingを軸に、人口増加に伴い持続的な成長が期待できるライフサイエンス分野での事業拡大に注力するとともに、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野への進出、サステナブル社会に向けた市場の変化から生まれる新しい顧客ニーズへの対応等、これまでの化学品の枠を超えた新しい仕組み作りにも取り組んでいます。

 

・エネルギー

気候変動対策に中長期的に貢献するため、新エネルギー分野では、国内外において、CO2フリーに繋がる水素や燃料アンモニアの製造・輸送・供給事業、バイオ燃料事業の検討や実証事業に取り組んでいます。また、エネルギー転換期においてその重要性を増す相対的に低炭素の天然ガス・LNG事業分野において、既存案件の安定操業に加え、LNG調達から発電まで一貫して行うLNG to Power事業等の実現可能性調査を開始しました。伝統的な強みを持つ石油製品、天然ガス・LNG、ウラン等のトレード&マーケティング分野でも収益が伸長しており、様々な事業分野で社会や顧客の課題・ニーズを捉え、事業基盤の強化・発展に注力しています。

 

・金属

豪州・ロイヒル鉄鉱山、ジェリンバイースト等の原料炭炭鉱、チリ・センチネラ等の銅鉱山といった中核鉱山事業において、生産の最適化や厳格なコスト管理、AIやIoT等の先進技術の導入による操業の安定性や収益力の向上を図るとともに、既存事業の拡張や将来に向けた新規鉱区の開発も推進しています。また、カナダにおける100%水力発電由来の電力を利用したアルミニウム及びマグネシウム生産事業や、太陽光パネル及びリチウムイオン電池のリサイクルといった環境・循環型ビジネス、電池原材料の供給を通じて、グローバルな社会課題の解決に取り組んでいます。

 

・電力

発電事業分野では、台湾の子会社Chenya Energyを通じ世界最大規模の浮体式太陽光発電所の操業運転を開始、サウジアラビアではラービグ太陽光発電事業を受注、岐阜県にて国産木材のみのバイオマス発電事業の融資契約を締結、鳥取県では日本初の水力発電所PFI(*)事業を受注する等、事業基盤を拡大しました。英国SmartestEnergyの米国に次ぐ豪州展開、英国での太陽光発電・EVの車載蓄電池を用いた建物及び電力系統向けサービス実証実験の開始等、電力サービス事業分野でも再生可能エネルギーの取組みを推進しています。

(*) Private Finance Initiative(民間の資金・技術力等を活用し、公共施設等の建設・運営等を行う公共事業の手法)

 

・インフラプロジェクト

交通インフラ分野では、メキシコ南部2州を結ぶ135キロメートルの幹線道路の維持管理PPP(*)事業に参画しました。水分野では、フィリピンの浄水場プロジェクト及びサウジアラビアの造水プロジェクトそれぞれの最先端技術と資金調達能力が評価され、国際アワードで優秀賞を受賞しました。インフラファンド分野では、優良資産を順調に積み上げています。循環型エコノミー分野では、2019年度に出資した英国カーボンクリーンソリューションズ社のCO2分離・回収技術を利用した設備の販売を、丸紅プロテックスを通じて開始し、2021年中に日本初となる設備の稼働を予定しています。

(*) Public Private Partnership (官民連携による公共事業)

 

・航空・船舶

航空分野では、コロナ禍により厳しい事業環境となりましたが、空港内自動走行車両実証実験の継続実施やホンダジェット等のビジネスジェット事業の拡充、小型衛星打上サービスを提供する企業との業務提携といった宇宙事業の取組深化等、将来の事業領域拡大に向けた布石を着実に進めました。船舶分野では、世界経済の混迷により例年以上に不安定な市況であったものの、下半期にかけての市況回復に伴い、トレード・自営船事業は着実に回復基調にあり、また合弁で開始した船舶プール事業も堅調に推移しました。また、自律運航船の実証実験をはじめとした新機軸ビジネスの創出にも取り組む等、商社のオーガナイズ機能の極大化を推進しています。

 

・金融・リース事業

消費者向けデジタル金融サービスの世界的な需要拡大を見込み、モンゴルに本社及びフィンテック開発拠点を置くAND Globalに出資し、コロナ後を見据えた次世代金融事業へ参入しました。

米国の自動車販売金融事業では、組織再編によりIT機能及びDX推進の基盤を強化するとともに、大手金融機関やフィンテック企業との提携を推進し、さらなる事業領域の拡大を実現しました。

また、米国における冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業では、太陽光発電パネル/充電器/冷凍・冷蔵ユニットを備え、稼働時に二酸化炭素や窒素酸化物等の排出ガスを出さない環境に配慮した冷凍・冷蔵トレーラーの取扱いを開始しました。

 

・建機・産機・モビリティ

建設機械分野では、代理店事業の収益基盤強化・拡大に加え、機械販売に留まらない新たなサービス提供を拡充すべく、デジタル技術を用いた情報化施工関連サービスを開始しました。

産業システム・モビリティ分野では、米国における自動車アフターマーケット事業の拡大を推進するとともに、EV(*)用充電器の販売、蓄電池再利用の事業化検討等多角的に取り組んでいます。タイヤ・ゴム資材分野では、タイ・インドネシアを中心にタイヤ小売店舗を拡大しました。産業機械分野では、従来の産業機械・工作機械の販売のみならず、新たな取扱商品・機能・顧客基盤の拡充に向け取り組んでいます。

(*) Electric Vehicle(電気自動車)

 

・次世代事業開発

次世代事業開発本部は、次世代へ大きく成長する領域を捉え、次世代の収益基盤となる新たな事業の開発に取り組んでいます。世界の革新的なビジネスモデルを、コーポレート・ベンチャー・キャピタルの運営等をとおして取り込んでいるほか、事業開発では、ヘルスケア分野において中国での日本製医薬品卸販売事業の取扱品の拡大や、インドネシアでのデジタル母子手帳サービスを開始しました。また、日本の優れた技術・素材・商品を世界に発信するブランド「Japan Mastery Collection」の立上げや北欧の次世代蓄電池等の新技術への出資、東南アジアでのスマートシティの開発についても積極的に推進しています。

 

② 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」に記載のとおりであります。

 

③ 仕入、成約及び販売の実績

(a)仕入の実績

仕入と販売との差異は僅少であるため、仕入高の記載は省略しております。

(b)成約の実績

成約と販売との差異は僅少であるため、成約高の記載は省略しております。

(c)販売の実績

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記4 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績の分析

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

6,827,641

6,332,414

 

△495,227

売上総利益

696,808

675,418

 

△21,390

 販売費及び一般管理費

△558,487

△529,326

 

29,161

 貸倒引当金繰入額

△4,446

△4,539

 

△93

営業利益

133,875

141,553

 

7,678

 支払利息(受取利息控除後)

△31,355

△12,503

 

18,852

 受取配当金

27,631

16,209

 

△11,422

 その他の営業外損益

△240,936

△4,781

 

236,155

  有価証券損益

25,123

7,727

 

△17,396

  固定資産損益

△250,961

△8,825

 

242,136

  その他の損益

△15,098

△3,683

 

11,415

 持分法による投資損益

△55,150

141,285

 

196,435

税引前利益(損失)

△165,935

281,763

 

447,698

 法人所得税

△24,256

△48,695

 

△24,439

当期利益(損失)

△190,191

233,068

 

423,259

 親会社の所有者に帰属

△197,450

225,343

 

422,793

 非支配持分に帰属

7,259

7,725

 

466

(注)1. 「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。

2. 「その他の営業外損益」は、連結包括利益計算書における「有価証券損益」、「固定資産損益」及び「その他の損益」の合計額として表示しております。

 

収益は、主に食料の減収により、前連結会計年度比(以下「前年度比」という。)4,952億円7.3%減収6兆3,324億円となりました。

 

売上総利益

売上総利益は前年度比214億円3.1%減益6,754億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりです。

 

電力

121億円減益

電力市場価格高騰の影響等に伴う国内電力小売事業の減益等

航空・船舶

116億円減益

航空機部品及びエンジンの販売低迷並びに船舶運航収入の減少

金属

 94億円減益

原料炭価格の下落等に伴う豪州原料炭事業の減益

アグリ事業

295億円増益

穀物及び肥料価格の上昇を背景としたGavilonの増益

 

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、経費削減努力に加えて新型コロナウイルスの影響に伴う経費の減少もあり、前年度比292億円5.2%減少5,293億円となりました。

 

貸倒引当金繰入額

貸倒引当金繰入額は前年度比横這いの45億円となりました。

 

以上の結果、営業利益は前年度比77億円5.7%増益1,416億円となりました。

 

支払利息(受取利息控除後)

支払利息(受取利息控除後)は、米ドル金利の低下に伴う減少により、前年度比189億円60.1%減少125億円となりました。

 

受取配当金

受取配当金は、主にエネルギーの減少により、前年度比114億円41.3%減少162億円となりました。

 

有価証券損益

有価証券損益は、前年度に計上した米国冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業の一部売却に伴う利益の反動により、前年度比174億円69.2%減益77億円となりました。

 

固定資産損益

固定資産損益は、前年度に計上した石油・ガス開発事業及びGavilon穀物事業の減損損失の反動により、前年度比2,421億円96.5%)改善の88億円の損失となりました。

 

その他の損益

その他の損益は、前年度に計上した海外インフラ案件及び再保険事業の損失並びにGavilonの過年度決算修正に伴う損失の反動により、前年度比114億円75.6%)改善の37億円の損失となりました。

 

持分法による投資損益

持分法による投資損益は、前年度に計上した減損損失の反動により、前年度比1,964億円-%)改善1,413億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な改善は以下のとおりです。

 

金属

780億円改善

前年度に計上したチリ銅事業投資の減損損失の反動等

金融・リース事業

409億円改善

前年度に計上した米国航空機リース事業投資の減損損失の反動等

アグリ事業

280億円改善

前年度に計上した米国西海岸穀物輸出事業投資の減損損失の反動

インフラプロジェクト

279億円改善

前年度に計上したフィリピンインフラ事業投資及び米国石油・ガス開発関連事業投資の減損損失の反動

 

以上の結果、税引前利益(損失)は前年度比4,477億円-%)改善の2,818億円の利益となりました。

 

法人所得税

法人所得税は前年度比244億円100.8%増加487億円となりました。

 

以上の結果、当期利益(損失)は前年度4,233億円-%)改善の2,331億円の利益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益(損失)は前年度比4,228億円-%)改善の2,253億円の利益となりました。

 

当連結会計年度のオペレーティング・セグメント別の経営成績は以下のとおりです。

 

・ライフスタイル

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

164,040

123,058

 

△40,982

売上総利益

22,602

18,233

 

△4,369

営業利益

4,202

2,048

 

△2,154

持分法による投資損益

437

55

 

△382

親会社の所有者に帰属する

当期利益

4,127

2,057

 

△2,070

セグメントに対応する資産(参考)

102,770

94,159

 

△8,611

売上総利益は、新型コロナウイルスの影響に伴う衣料品等の販売減少により、前年度比44億円19.3%減益182億円となり、営業利益は前年度比22億円51.3%減益20億円となりました。持分法による投資損益は前年度比4億円87.4%減益1億円となりました。以上により、親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)は前年度比21億円50.2%減益21億円となりました。

 

・情報・不動産

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

254,287

360,105

 

105,818

売上総利益

117,294

115,108

 

△2,186

営業利益

27,924

27,013

 

△911

持分法による投資損益

2,003

683

 

△1,320

親会社の所有者に帰属する

当期利益

11,944

18,556

 

6,612

セグメントに対応する資産(参考)

483,014

449,829

 

△33,185

売上総利益は、新型コロナウイルスの影響に伴う国内携帯電話販売事業の減益により、前年度比22億円1.9%減益1,151億円となり、営業利益は前年度比9億円3.3%減益270億円となりました。持分法による投資損益は、中国不動産販売事業の減益により、前年度比13億円65.9%減益7億円となりました。しかしながら、当期利益は、前年度に計上した再保険事業の損失の反動により、前年度比66億円55.4%増益186億円となりました。

 

・フォレストプロダクツ

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

266,461

231,800

 

△34,661

売上総利益

32,424

24,035

 

△8,389

営業利益

11,683

2,728

 

△8,955

持分法による投資損益

△1,227

△1,441

 

△214

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

3,298

△2,127

 

△5,425

セグメントに対応する資産(参考)

266,786

285,931

 

19,145

売上総利益は、パルプ市況の悪化等に伴うムシパルプ事業の減益及びチップ事業の減益により、前年度比84億円25.9%減益240億円となりました。これに加えて、海外における貸倒費用が増加したことから、営業利益は前年度90億円76.6%減益27億円となりました。持分法による投資損益は前年度比2億円17.4%)悪化の14億円の損失となりました。以上により、当期利益(損失)は前年度比54億円-%)悪化の21億円の損失となりました。

 

 

・食料

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

1,675,498

1,276,052

 

△399,446

売上総利益

102,313

109,083

 

6,770

営業利益

31,557

43,290

 

11,733

持分法による投資損益

6,307

8,133

 

1,826

親会社の所有者に帰属する

当期利益

19,467

28,320

 

8,853

セグメントに対応する資産(参考)

679,664

693,118

 

13,454

売上総利益は、食肉処理加工・販売事業が好調に推移したこと及び穀物トレードの採算改善等により、前年度比68億円6.6%増益1,091億円となりました。これに加えて、経費が減少したことから、営業利益は前年度117億円37.2%増益433億円となりました。持分法による投資損益は、国内小売事業の増益により、前年度比18億円(29.0%)増益の81億円となりました。以上により、当期利益は前年度比89億円45.5%増益283億円となりました。

 

・アグリ事業

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

2,767,156

2,795,466

 

28,310

売上総利益

169,146

198,680

 

29,534

営業利益

27,235

51,233

 

23,998

持分法による投資損益

△24,966

3,014

 

27,980

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

△77,062

42,426

 

119,488

セグメントに対応する資産(参考)

1,164,784

1,402,869

 

238,085

売上総利益は、穀物及び肥料価格の上昇を背景としたGavilonの増益により、前年度比295億円17.5%増益1,987億円となり、営業利益は前年度比240億円88.1%増益512億円となりました。持分法による投資損益は、前年度に計上した米国西海岸穀物輸出事業投資の減損損失の反動により、前年度比280億円(-%)改善の30億円となりました。これらに加えて、前年度に計上したGavilon穀物事業の減損損失の反動もあり、当期利益(損失)は前年度比1,195億円-%)改善の424億円の利益となりました。

 

・化学品

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

426,956

403,569

 

△23,387

売上総利益

29,913

38,955

 

9,042

営業利益

5,385

18,253

 

12,868

持分法による投資損益

1,468

1,375

 

△93

親会社の所有者に帰属する

当期利益

4,091

15,297

 

11,206

セグメントに対応する資産(参考)

267,098

283,728

 

16,630

売上総利益は、石油化学製品取引の採算改善により、前年度比90億円30.2%増益390億円となりました。これに加えて、経費及び貸倒費用が減少したことから、営業利益は前年度比129億円239.0%増益183億円となりました。持分法による投資損益は前年度比横這いの14億円となりました。以上により、当期利益は前年度比112億円273.9%増益153億円となりました。

 

 

・エネルギー

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

469,722

447,838

 

△21,884

売上総利益

37,343

37,281

 

△62

営業利益

3,345

3,543

 

198

持分法による投資損益

△13,228

1,109

 

14,337

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

△149,335

11,944

 

161,279

セグメントに対応する資産(参考)

572,001

546,627

 

△25,374

売上総利益は前年度比横這いの373億円となり、営業利益は前年度比2億円5.9%増益35億円となりました。持分法による投資損益は、前年度に計上したパプアニューギニアにおけるLNG事業投資の減損損失の反動により、前年度比143億円(-%)改善の11億円となりました。当期利益(損失)は、前年度に計上した石油・ガス開発事業の減損損失及び繰延税金資産の取り崩しの反動により、前年度比1,613億円-%)改善の119億円の利益となりました。

 

・金属

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

337,664

295,380

 

△42,284

売上総利益

30,412

20,979

 

△9,433

営業利益

11,719

2,935

 

△8,784

持分法による投資損益

△16,547

61,436

 

77,983

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

△5,719

61,382

 

67,101

セグメントに対応する資産(参考)

758,594

871,764

 

113,170

売上総利益は、原料炭価格の下落等に伴う豪州原料炭事業の減益により、前年度比94億円31.0%減益210億円となり、営業利益は前年度比88億円75.0%)減益の29億円となりました。持分法による投資損益は、豪州原料炭事業の減益があったものの、チリ銅事業及び豪州鉄鉱石事業の増益に加えて、前年度に計上したチリ銅事業投資の減損損失の反動により、前年度比780億円-%)改善の614億円となりました。以上により、当期利益(損失)は前年度比671億円-%)改善の614億円の利益となりました。

 

・電力

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

162,812

169,336

 

6,524

売上総利益

23,628

11,515

 

△12,113

営業損失

△13,916

△24,993

 

△11,077

持分法による投資損益

17,781

28,396

 

10,615

親会社の所有者に帰属する

当期利益

8,976

9,969

 

993

セグメントに対応する資産(参考)

704,279

741,162

 

36,883

売上総利益は、電力市場価格高騰の影響等に伴う国内電力小売事業の減益等により、前年度比121億円51.3%減益115億円となり、営業損失は前年度比111億円79.6%)悪化の250億円となりました。持分法による投資損益は、前年度に計上した英国洋上風力据付事業投資の減損損失の反動により、前年度比106億円59.7%増益284億円となりました。以上により、当期利益は前年度比10億円11.1%増益100億円となりました。

 

 

・インフラプロジェクト

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

19,795

22,154

 

2,359

売上総利益

11,901

10,006

 

△1,895

営業損失

△5,875

△5,469

 

406

持分法による投資損益

△16,938

11,002

 

27,940

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

△28,614

7,297

 

35,911

セグメントに対応する資産(参考)

236,751

231,519

 

△5,232

売上総利益は、海外プラント案件等の減益により、前年度比19億円15.9%減益100億円となったものの、経費が減少したことにより、営業損失は前年度4億円6.9%)改善の55億円となりました。持分法による投資損益は、前年度に計上したフィリピンインフラ事業投資及び米国石油・ガス開発関連事業投資の減損損失の反動により、前年度比279億円-%)改善の110億円となりました。これらに加えて、前年度に計上した海外インフラ案件の損失の反動もあり、当期利益(損失)は前年度比359億円-%)改善の73億円の利益となりました。

 

・航空・船舶

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

80,996

56,490

 

△24,506

売上総利益

26,220

14,615

 

△11,605

営業利益

14,058

4,190

 

△9,868

持分法による投資損益

2,832

3,059

 

227

親会社の所有者に帰属する

当期利益

11,641

3,190

 

△8,451

セグメントに対応する資産(参考)

274,961

265,669

 

△9,292

売上総利益は、新型コロナウイルスの影響に伴う航空機部品及びエンジンの販売低迷並びに船舶運航収入の減少により、前年度比116億円44.3%減益146億円となり、営業利益は前年度比99億円70.2%減益42億円となりました。持分法による投資損益は、船舶関連事業の減益及び新型コロナウイルスの影響に伴う空港グランドハンドリング関連事業の減益があったものの、前年度に計上した英国洋上風力据付事業投資の減損損失の反動により、前年度比2億円8.0%増益31億円となりました。以上により、当期利益は前年度85億円72.6%減益32億円となりました。

 

・金融・リース事業

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

25,095

6,864

 

△18,231

売上総利益

11,025

3,903

 

△7,122

営業損失

△493

△4,264

 

△3,771

持分法による投資損益

△20,092

20,788

 

40,880

親会社の所有者に帰属する

当期利益(損失)

△7,421

8,908

 

16,329

セグメントに対応する資産(参考)

307,267

341,105

 

33,838

売上総利益は、米国冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業における連結子会社を持分法適用会社化したことにより、前年度比71億円(64.6%)減益の39億円となり、営業損失は前年度比38億円764.9%)悪化の43億円となりました。持分法による投資損益は、新型コロナウイルスの影響に伴う米国航空機リース事業の業績悪化があったものの、米国中古車販売金融事業の増益及び前年度に計上した米国航空機リース事業投資の減損損失の反動により、前年度比409億円-%)改善の208億円となりました。当期利益(損失)は、前年度に計上した米国冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業の一部売却に伴う利益の反動があったものの、持分法による投資損益の改善により、前年度比163億円-%)改善の89億円の利益となりました。

 

 

・建機・産機・モビリティ

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

318,260

290,286

 

△27,974

売上総利益

89,559

80,826

 

△8,733

営業利益

20,017

16,081

 

△3,936

持分法による投資損益

6,027

3,572

 

△2,455

親会社の所有者に帰属する

当期利益

19,561

14,707

 

△4,854

セグメントに対応する資産(参考)

359,864

353,908

 

△5,956

売上総利益は、新型コロナウイルスの影響に伴う建設機械、産業設備及びタイヤ・ゴム資材関連事業の減益により、前年度比87億円9.8%減益808億円となり、営業利益は前年度比39億円19.7%減益161億円となりました。持分法による投資損益は前年度比25億円(40.7%)減益の36億円となりました。以上により、当期利益は前年度比49億円24.8%減益147億円となりました。

 

・次世代事業開発

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

3,377

2,759

 

△618

売上総利益

2,328

1,762

 

△566

営業損失

△2,130

△2,501

 

△371

持分法による投資損益

321

110

 

△211

親会社の所有者に帰属する

当期損失

△1,904

△2,095

 

△191

セグメントに対応する資産(参考)

13,906

16,598

 

2,692

売上総利益は前年度比6億円24.3%減益18億円となり、営業損失は前年度比4億円17.4%)悪化の25億円となりました。以上により、当期損失は前年度比2億円10.0%)悪化の21億円となりました。

 

(注)1. 当連結会計年度より、「プラント」を「インフラプロジェクト」に、「建機・自動車・産機」を「建機・産機・モビリティ」にそれぞれ名称変更するとともに、「プラント」の一部を「金融・リース事業」に、「プラント」と「その他」の一部を「次世代事業開発」に、「次世代事業開発」の一部を「その他」に編入しております。これらに伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。

2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。

 

② 当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性

(a)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)2,233億円(42.7%)増加の7,459億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業収入及び配当収入並びに営業資金負担の改善等により、3,971億円の収入となりました。前年度比では701億円の収入の増加であります。

 

基礎営業キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、3,696億円となりました。その内訳は以下のとおりです。

 

(収入:+、支出:△)

調整後営業利益

(売上総利益+販売費及び一般管理費)

+1,461億円

減価償却費等

+1,444億円

利息の受取額及び支払額

△153億円

配当金の受取額

+1,285億円

法人所得税の支払額

△342億円

基礎営業キャッシュ・フロー

3,696億円

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

株式の売却収入があったものの、持分法適用会社の株式取得及び海外事業における資本的支出等により、1,163億円の支出となりました。前年度比では935億円の支出の減少であります。

 

回収

当連結会計年度における投資の回収等(*1)による収入は、1,083億円となりました。

(*1) 投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額

 

主な売却案件は以下のとおりです。

・海外発電事業

・再保険事業

・政策保有株式

 

新規投資・CAPEX(資本的支出)

当連結会計年度における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、2,246億円となりました。

(*2) 投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「投資不動産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額

 

ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりです。

 

セールス&マーケティング事業

・衛生用品製造事業(ブラジル Santher - Fabrica de Papel Santa Therezinha

・段ボール原紙製造・販売事業(ベトナム Kraft of Asia Paperboard & Packaging

・インスタントコーヒー製造・販売事業(ベトナム Iguacu Vietnam

・肉牛の処理加工・販売事業拡張(米国 Creekstone Farms Premium Beef

安定収益型事業

・太陽光発電事業台湾 Chenya Energy)

 

以上により、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、2,808億円の収入となりました。前年度比では1,636億円の収入の増加であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債及び借入金等の返済並びに配当金の支払を行った結果、685億円の支出となりました。前年度比では248億円の支出の減少であります。

 

(b)財政状態の状況

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結

会計年度末

当連結

会計年度末

 

増減

総資産

6,320,037

6,938,958

 

618,921

資本合計

1,604,600

1,911,769

 

307,169

ネット有利子負債

1,859,125

1,687,885

 

△171,240

ネットDEレシオ

1.16

0.88

 

△0.28

ポイント

(注) ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。

 

当連結会計年度末における総資産は、持分法適用会社の株式取得及び海外事業における資本的支出に加えて、円安の影響により、前年度末比6,189億円増加6兆9,390億円となりました。ネット有利子負債は、フリーキャッシュ・フローでの収入等により、前年度末比1,712億円減少1兆6,879億円となりました。資本合計は、純利益の積上げによる利益剰余金の増加及び円安による在外営業活動体の換算差額の増加等により、前年度末比3,072億円増加1兆9,118億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.88倍となりました。

 

(c)資本政策及び資本コストに関する考え方

2019年度の赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことや、新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が不透明であったことから、経営基盤の強化・再構築に取り組むべく、2020年5月に中期経営戦略「GC2021」を修正しました。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針に記載のとおりであります。

当連結会計年度においては、財務基盤の再生・強化に資する具体策として、2016年8月16日に実行した永久劣後特約付ローンによる2,500億円(トランシェA 1,000億円、トランシェB 1,500億円)の資金調達のうち、トランシェAに関し、足元の不透明な金融環境と将来の環境変化を見据えて、2021年3月4日に750億円のハイブリッド社債(劣後特約付)を発行、2021年3月31日に総借入限度額250億円のハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)契約を締結し、任意弁済期限より前倒しでリファイナンスを実施しました。本調達は、負債であることから株式の希薄化は発生しない一方、利息の任意繰延、超長期の弁済・償還期限、清算手続及び倒産手続における劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有していることから資本と負債の中間的な性質を持ちます。このため、当社では格付機関から資金調達額の50%に対して資本性認定を予定しています。なお、永久劣後特約付ローンの内容については、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記14 その他資本性金融商品」に、ハイブリッド社債(劣後特約付)及びハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)の内容については、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記22 金融商品及び関連する開示」に記載のとおりであります。

 

当社は、中長期的な企業価値向上を追求するため、ROEの維持・向上と、株主資本コストの低減を目指しております。「GC2021」における経営指標としてROE10%以上を設定していますが、事業戦略の強化を通じた実態純利益、基礎営業キャッシュ・フローの継続的な拡大と、戦略的な資本配分により、今後もROEの維持・向上に取り組んでいきます。

また、株主資本コストを十分に意識した経営を実施すべく、財務レバレッジ(ネットDEレシオ)の適正化、投資規律の徹底や投資の精度向上による業績ボラティリティの低減、サステナビリティ向上に向けた取り組み(ガバナンス、人財の強化、気候変動対策等)の強化による非財務価値の向上を通じ、株主資本コストの低減を目指します。

 

当連結会計年度における資本配分の状況は以下のとおりです。

当連結会計年度における基礎営業キャッシュ・フローは3,696億円の収入となり、営業資金の増減等による275億円の収入や、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による1,083億円の収入と合わせた収入合計額は5,054億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は2,246億円となり、フリーキャッシュ・フローは2,808億円の収入となりました。

フリーキャッシュ・フローから親会社の株主に対する配当金495億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フローは2,313億円の収入となり、社債及び借入金やリース負債等の返済に充当しております。当社は、「修正GC2021基本方針」に従い、GC2021期間中は財務基盤の再生・強化を優先し、株主還元後フリーキャッシュ・フローを債務の返済に優先的に充当する方針です。なお、当社の配当に関する基本方針等については、「第4 提出会社の状況」における「3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

(d)資金調達の方針及び手段

当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。

銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年に亘り金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。

 

当連結会計年度では、新型コロナウイルス感染症の発生・拡大に端を発する実体経済の悪化に伴う不測の事態に備え、必要資金の確保に機動的に対応しました。具体的には、コマーシャル・ペーパーの発行等を含む機動的な資金調達により、平時に比べて厚い手元流動性を確保しました。加えて、2020年9月には外貨資金調達多様化を目的として、無担保米ドル建社債(総額500百万米ドル)を発行しております。また、財務基盤の更なる強化を図るため、2016年8月16日に永久劣後特約付ローンによる2,500億円(トランシェA 1,000億円、トランシェB 1,500億円)の資金調達を実行しておりますが、前述のとおり、トランシェAの任意弁済の充当資金として、2021年3月4日に750億円のハイブリッド社債(劣後特約付)を発行し、2021年3月31日に総借入限度額250億円のハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)契約を締結し、任意弁済期限より前倒しでリファイナンスを実施しました。

 

翌連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症を背景とした不透明な経済環境を注視するとともに、各国中央銀行による金融政策の方針転換等が金融環境に与える影響等に適切に対応をしていくことが主要な資金調達の実施方針となります。具体的には、引き続き平時に比べて厚い手元流動性を保有し、機動的な資金調達を実施します。

 

連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。

格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。

当連結会計年度末現在の長期格付は、Moody'sがBaa2、S&PがBBB、R&IがA、JCRがA+となっております。

 

(e)流動性の状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は7,460億円となりました。また、金融機関にフィーを支払い、コミットメントラインを以下のとおり設定しております。

 

・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)

・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による555百万米ドル(短期)

 

当連結会計年度末において、1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務は6,235億円であり、連結ベースの流動比率は、前連結会計年度末の122.0%に対し、当連結会計年度末は125.6%となりました。現金及び現金同等物並びに定期預金の保有、コミットメントラインの設定により十分な流動性を確保しております。

前述したとおり、翌連結会計年度も当連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症を背景とした不透明な経済環境を注視するとともに、各国中央銀行による金融政策の方針転換等が金融機関に与える影響に対応し、直接・間接調達を併せた機動的な資金調達を実施することで、現預金等の手元流動性を十分に確保します。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しており、連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に特に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。

 

有形固定資産及び無形資産の減損

当社及び連結子会社は、各報告期間の期末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判定しております。資産が減損している可能性を示す兆候の内容は、主に、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。

有形固定資産及び耐用年数を確定できる無形資産については、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。公正価値は独立の第三者による評価結果を使用する等市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。使用価値の算定に当たって使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された事業計画や、それが入手できない場合は、直近の資産状況を反映した事業計画によって見積っております。石油・原油等の資源事業に係る開発設備及び鉱業権においては、将来油価・ガス価、鉱区ごとの開発コスト及び埋蔵量等を主要な仮定としております。使用価値の評価にあたり、見積られた将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した割引率を用いて現在価値まで割り引いております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、各報告期間の期末日において、過去に認識した減損損失がもはや存在しないか、又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合は、資産の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額が資産の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。戻入れ後の帳簿価額は、過去において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の帳簿価額(減価償却累計額控除後又は償却累計額控除後)を超えない範囲で認識しております。減損の戻入額は純損益として認識しております。

なお、のれんについて認識した減損損失を戻入れることはしておりません。

 

関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

当社及び連結子会社が保有している関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に関して、総合的に判断を行い、減損の客観的証拠がある場合には、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額は減損損失として純損益で認識しております。減損の客観的証拠の内容は、主に、市場性のある投資の市場価格の下落、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。また、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。公正価値は主に、売却予定価格等に基づき算定しており、使用価値は主に、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、認識した減損損失がもはや存在しない、又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、各報告期間の期末日に判定しております。このような兆候が存在する場合は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額がその投資の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入額は、その投資の回収可能価額が減損損失認識後に増加した範囲で認識しており、過去に認識した減損損失の金額を上限として純損益として認識しております。

 

偶発負債及び引当金

引当金は、当社及び連結子会社が過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。

訴訟案件に関する重要な引当金や偶発負債の見積りにあたっては、見積時点における訴訟プロセスの状況、訴訟戦略上の様々な選択肢や想定される将来の訴訟の趨勢も考慮のうえ、関連する事実関係や法律関係について、社外専門家を起用のうえ、当社の主張する法的立場の客観的な分析及び評価を実施しております。訴訟において当社が最終的に損失を蒙る可能性が高い状況であると考えられる場合に、信頼性をもって見積ることができる金額の引当金を計上しております。

 

当社の経営陣は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。

その他、重要な会計方針についての詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

④ 経営戦略の現状と今後の見通し

当社は、丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」を定めるとともに、3ヵ年の中期経営戦略「GC2021」を策定し、2019年度よりスタートしております。また、2019年度の赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、2020年5月7日に「修正GC2021」を公表しております。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります

 

「修正GC2021」の進捗は以下のとおりです。

 

「財務基盤の再生・強化」

(単位:億円)

 

2019年度

実績

2020年度

実績

2021年度

見通し

3ヵ年累計

基礎営業キャッシュ・フロー

+3,638

+3,696

+3,500

約+10,800

株主還元後フリーキャッシュ・フロー

+573

+2,313

+600

約+3,500

ネットDEレシオ

1.16倍

0.88倍

0.9倍程度

● 財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を継続

● 資本配分の源泉となる基礎営業キャッシュ・フローは、2020年度も2019年度と同水準を維持

● 2020年度末のネットDEレシオは0.88倍まで低下し、2021年度末目標である1.0倍程度を前倒しで達成

 

「事業戦略の強化」

事業環境の変化を見据えた資産の入替え・優良化

● 事業環境の変化を見据えた戦略的な投資・回収を推進

● コスト削減を含む既存事業の強化・底上げ(ホライゾン1・2)に加え、成長が期待できる新分野への種まき(ホライゾン3)が順調に進捗

(単位:億円)

 

2019-2020年度

 

 

(*1)

2021年度

2019-2021年度

 

2ヵ年合計

ホライゾン1

ホライゾン2

ホライゾン3

見通し

3ヵ年合計見通し

新規投資

△3,167

 

△2,692

△475

△1,500

約△4,700

CAPEX等

△2,185

△1,943

△241

 

△1,200

約△3,400

回収

+2,091

 

 

 

+1,000

約+3,100

(*1)ホライゾン1:既存事業の充実、ホライゾン2:既存事業領域の戦略追求、ホライゾン3:現状では取り込めていない成長領域、新たなビジネスモデル

 

リスクマネジメントの更なる充実・強化

● 過去の事業・投資パフォーマンスを総括・社内共有、投資規律の徹底に向けた投資制度を整備

● リスクエクスポージャー管理の強化、ROIC/RORA(*2)を用いた事業の収益性強化の推進

(*2)ROIC:投下資本利益率(Return On Invested Capital)、RORA:リスクアセット利益率(Return On Risk Assets)

 

「ROEの維持・向上と株主資本コストの低減により中長期的な企業価値向上を追求」

ROEの維持・向上

● 実態純利益、基礎営業キャッシュ・フローの継続的な拡大と戦略的な資本配分

● 資本効率を意識した事業戦略の強化により、強固な収益基盤を構築

 

株主資本コストの低減

● 財務レバレッジ(ネットDEレシオ)の適正化

● 業績ボラティリティの低減

● ガバナンス、人財の強化、気候変動対策等のサステナビリティ取り組み強化による非財務価値の向上

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、財務基盤の更なる強化を図るため、2016年8月に永久劣後特約付ローンによる2,500億円(トランシェA 1,000億円、トランシェB 1,500億円)の資金調達を実行しておりますが、トランシェAの任意弁済の充当資金として、2021年3月に総額750億円のハイブリッド社債(劣後特約付)を発行し、総借入限度額250億円のハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記22 金融商品及び関連する開示」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

特に記載すべき事項はありません。