第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を見ますと、既成概念のディスラプションにより、経営環境の急激な変化に直面しております。新型コロナウイルス感染症の収束後の新たな行動様式の拡がり、デジタル化の拡大による新技術・ビジネスモデルのライフサイクル短期化、欧米を中心とした金融引き締め政策による金融不安・景気後退懸念、地政学的リスクの顕在化と更なる拡大の懸念、脱炭素への取組加速、情報開示や格付評価等におけるサステナビリティ経営への要請の高まり等、当社グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。

 

(2)会社の経営の基本方針

当社グループは、前中期経営戦略「GC2021」において定めた2030年に向けた丸紅グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。

 

<中期経営戦略「GC2024」基本方針>

○既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出を重層的に追求し、着実な収益の柱を育成・確立

○「グリーン事業(*1)の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーへ

「グリーン事業の強化」

・強固な事業基盤、高い競争力を有する既存グリーン事業の強化・拡大

・既存の事業基盤・ネットワークの活用、全社横断的な取組みの推進による新たなグリーン事業の創出

(*1)脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、及びそれらの事業が必要としかつ代替困難な原材料等を供給する周辺領域

「全事業のグリーン化推進」

・環境負荷の低減、循環経済への移行を全事業領域において追求

・顧客・パートナーとの協働による持続可能なサプライチェーンの構築

・脱炭素社会への移行に欠かせない取組み(天然ガス・LNG等)

 

<中期経営戦略「GC2024」の定量目標>

中期経営戦略「GC2024」における定量目標は以下のとおりとし、中長期的な企業価値向上を追求します。

経営指標

定量目標

連結純利益(2024年度)

4,000億円

基礎営業キャッシュ・フロー(*2)(3ヵ年累計)

13,000億円

ROE

15%

(ネットDEレシオ(*3)0.7~0.8倍程度)

(*2)調整後営業利益(売上総利益+販売費及び一般管理費)に、営業活動によるキャッシュ・フローのうち、「減価償却費等」、「利息の受取額及び支払額」、「配当金の受取額」及び「法人所得税の支払額」を合計した額。

(*3)「ネット有利子負債」/「親会社の所有者に帰属する持分合計」で算出。

 

<新たな株主還元方針>

収益基盤と財務基盤の充実・強化が進展したことを踏まえ、新たな株主還元方針(配当の基本方針及び中期経営戦略「GC2024」期間の株主還元)について、2023年2月3日に以下の内容を公表しております。

 

配当の基本方針

・株主に対して長期にわたり安定した配当を行いつつ、中長期的な利益成長の実現によって増配を目指す

 

中期経営戦略「GC2024」期間の株主還元

「配当」

・1株当たり年間配当金78円を基点とし、中長期的な利益成長に合わせて増配していく累進配当(*4)を実施

(*4)累進配当:減配せず、配当維持又は増配を行うこと

「自己株式の取得」

・資本効率の改善及び1株当たりの指標改善等を目的として、機動的に実施

・実施の金額・タイミングは総還元性向30%~35%程度を目安に経営環境等を踏まえて判断

 

<中期経営戦略「GC2024」の進捗状況>

「収益基盤の強化」

・2022年度の連結純利益は5,430億円と2年連続で最高益を更新。ROEは22%と2年連続で20%超

・2023年度の連結純利益見通しは4,200億円。世界景気の減速や事業環境の巡航化を前提に減益を見込むが、戦略の実践により収益基盤の強化を継続推進。特に非資源分野における、収益基盤の強化、資本効率の向上を追求

・ROIC(*5)/CROIC(*6)・RORA(*7)により資本効率・リスクリターン効率を定期的にモニタリング。資産の優良化を図り、ROEを向上

(*5)ROIC

:投下資本利益率(Return On Invested Capital)

(*6)CROIC

:投下資本キャッシュリターン(Cash Return On Invested Capital)

(*7)RORA

:リスクアセット利益率(Return On Risk Asset)

 

「資本配分」

・Gavilon穀物事業の回収資金約3,300億円は債務返済に充当済みだが、中期経営戦略「GC2024」期間ではフリーキャッシュとして活用

・基礎営業キャッシュ・フローも中期経営戦略「GC2024」の当初目標(3ヵ年累計1.3兆円)から上振れ余地が大きく、フリーキャッシュの拡大により経営の自由度は更に向上

・フリーキャッシュは一定程度を債務返済に活用し、その他を成長投資、株主還元の強化に充当

・当面のネットDEレシオは0.6~0.7倍程度を想定

 

「中期経営戦略「GC2024」における成長投資」

・中期経営戦略「GC2024」で計画した3ヵ年累計の成長投資(新規投資・CAPEX等)10,000億円に加えて、Gavilon穀物事業の回収資金を含めたフリーキャッシュを活用し、各営業セグメントの戦略実現に必要となる成長投資を実行する

・成長投資は、非資源分野を中心に当社が競争力を有する既存事業領域に重点配分。また、将来の収益の柱を育成すべく、新たな事業領域への取組みを強化。グリーン戦略を推進し、「グリーン事業」への投資も追求

・保有する成長投資パイプラインのなかから、2023年度は約4,000億円を新規投資・CAPEX等に配分する計画

 

「企業価値の向上に向けた取組み」

・中期経営戦略「GC2024」で取組む「稼ぐ力の継続強化」、「ROEの維持・向上」、「株主資本コストの低減」は着実に進捗

・「ROEの維持・向上」に加え、「株主資本コストの低減」に資する取組みを続けることで、株価・TSR、中長期的な企業価値の向上を目指す

 

「グリーン戦略」

・「グリーン」はビジネスの前提であり成長に不可欠な要素。丸紅グループ全体で「グリーン」の意識を共有し、グリーン事業の強化/全事業のグリーン化に向けた取組みが着実に進捗

・国際社会の目標「自然と共生する社会」をステークホルダーとともに実現することを通じて、グリーンのトップランナーを目指す

 

(3)ロシア関連ビジネスへの取組み方針

当社グループは日本政府が国際社会と協調するロシアに対する制裁方針を遵守しますロシア関連新規取引については制裁方針の対象とならないケースも含めて凍結とし既存取引についても可能な限り解約を交渉する方針としております

今後も個別案件への対応を含めて情報を収集し状況を精査しつつの安全確保を第一に考えながら政府をはじめとする関係各所とも協議のうえ適切な対応を検討してまいります

 

(将来に関する記述等についてのご注意)

本報告書に記載されている将来に関する記述は、当社が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループのサステナビリティ

 当社グループにとってのサステナビリティとは、社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じて、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指す経営理念の実践そのものです。環境・社会課題を先取りし、プロアクティブにソリューションを提供します。

 サステナビリティを実践するための、最も重要な要素として、人財、経営基盤、ガバナンスの3つを「基盤マテリアリティ」として特定しています。また重点的に取り組むべき環境・社会課題として、気候変動、森林経営、人権、サプライチェーンの4つを「環境・社会マテリアリティ」に特定しました。

 社会課題に真摯に向き合い、経済価値のみならず、環境・社会価値を創出し、企業価値最大化を追求していきます。

 当社グループのサステナビリティに関する取組みについては、当社ウェブサイト内サステナビリティサイトをご参照ください。

https://marubeni.disclosure.site/ja/

 

(2)ガバナンス

 当社グループはサステナビリティ関連の重要事項(対応方針、目標、アクションプラン等)について、経営会議及び取締役会にて審議・決定しており、取締役会の監督が十分に得られる体制を構築しています。2022年6月以降、独立社外取締役比率が60%(過半数)となり、取締役会の機能強化を行っています。

 社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」においては、サステナビリティに関連する幅広い事項を議論の対象としており、例えば、気候変動対応に関し、TCFD(*)提言に基づく気候関連の「機会」と「リスク」の評価、戦略、リスク管理、指標と目標の設定や見直し、モニタリングを、気候関連のイノベーションの進捗や外部環境の変化を踏まえて議論し、定期的(年1回以上)に取締役会への報告を行っています。2023年3月期はサステナビリティ推進委員会を3回開催し、中期経営戦略(「GC2024」、「グリーン戦略」)の推進やTCFD開示について議論しました。

 サステナビリティ推進委員会の構成について、委員長は代表取締役(Chief Sustainable Development Officer)が務め、関連する営業本部、コーポレートスタッフグループから委員を任命しています。社外役員もアドバイザーとしてメンバーに加わっており、独立した外部の視点も踏まえながらサステナビリティに関する事項の管理・統括を行っています。

 また、営業本部、コーポレートスタッフグループの各部、支社・支店・現地法人ごとに、サステナビリティ推進の責任者としてサステナビリティ・リーダーを、営業部ごとの責任者としてサステナビリティ・マネジャーを任命し、充実した現場体制があるなかでサステナビリティに関する事項の討議・推進を行っています。

 なお、当事業年度における提出会社のコーポレート・ガバナンスの取組みについては、「第4 提出会社の状況」における「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(*) 金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

 

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(3)リスク管理

 当社グループは、気候変動やサプライチェーン・マネジメントをはじめとする、サステナビリティの観点で重要度の高い機会・リスクについて、サステナビリティ推進委員会で管理・モニタリングを行っています。

 ビジネスのサステナビリティ面における潜在的なリスク評価として、環境、安全衛生、社会の3カテゴリ、27項目の多角的観点から分析・検討を行う仕組みを構築しています。リスク評価の基準を定めるにあたっては、関連法令、国際基準、類似ビジネスにおける過去の事故事例等も参照し、ビジネスの業種・業態や事業を行っている国・地域に応じて、それぞれの評価項目における潜在リスクの重要度と影響度を判断しています。

 

事業におけるサステナビリティに係るリスク評価項目(3カテゴリ27項目)

環境    気候変動/環境汚染/生物多様性/資源管理/対策・管理手順(環境)

安全衛生  機械安全/火災・爆発/有害物質との接触/感染/危険性のある作業/対策・管理手順(安全衛生)

社会    強制労働・人身取引/児童労働/労働時間/賃金・雇用契約/差別/ハラスメント・懲罰/多様性の尊重/結社の自由及び団体交渉権/土地の問題/地域コミュニティへの負の社会的影響/先住民・文化遺産/紛争鉱物/プライバシー/アニマルウェルフェア(動物福祉)/責任あるマーケティング/対策・管理手順(社会)

 

 このリスク評価手法を用いて、グループ内のサステナビリティ調査を実施しています。また、投融資決定プロセスにおいても、このリスク評価手法を用いて、既存事業のモニタリングを含め、グループの事業をサステナビリティの観点より継続的に評価する体制を構築しています。特にリスクの高い事業領域については、必要に応じ、投融資委員会・経営会議・取締役会で審議しています。

 リスク評価手法については、国際機関や各国政府・各産業セクターや産業団体を中心とした国内外のサステナビリティ関連動向、投資家、金融機関、非政府組織等ステークホルダーに関連する情報も参考としながら、定期的に見直しを実施しています。また、当社グループの経営に重要な影響を及ぼすリスク管理については、「第4 提出会社の状況」における「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 <コーポレート・ガバナンスに関する施策の実施状況> ② リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおりであります。

 なお、営業活動その他に係る環境・社会リスクについては、「3 事業等のリスク」の「(2) 個別のリスクについて ⑨ 環境・社会リスクについて」に記載のとおりであります。

 

(4)戦略

① グリーン戦略

 現在推進中の中期経営戦略「GC2024」において、グリーン戦略を基本方針の一つとして掲げています。「グリーン事業の強化」と「全事業のグリーン化推進」を両輪として、「グリーン」への貢献を通じた収益力の強化・企業価値の最大化を図ります。

 

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 当社グループが目指す「グリーン」とは、事業活動に伴う地球環境への影響をネットポジティブにすること(ネイチャーポジティブ)であり、国際社会の目標(*)である「自然と共生する社会」の実現にも貢献することです。具体的には、気候変動対策、資源の有効利用、土地利用効率化、環境汚染の抑制・防止等を通じて環境負荷を回避・軽減すること、及び事業を通じた森林保全・土壌改良等により自然生態系の回復・再生に貢献します。

 

 サステナビリティへの取組みは、あらゆる企業が果たすべき責任であり、解決すべき社会課題です。こうした社会課題の解決を現場レベルで実践するため、各営業本部でグリーン戦略を策定し、顧客・ビジネスパートナー等ステークホルダーの皆様とともに、グループ一丸となってグリーン戦略を着実に推進していきます。

 

(*) 国際社会の目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」

2022年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された2030年に向けたミッション「ネイチャーポジティブ」において、「自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の行動をとる」ものとされています。当社グループが目指す「グリーン」は、2030年に向けた国際目標「ネイチャーポジティブ」及び2050年ビジョン「自然と共生する社会」に合致しています。

 

 なお、中期経営戦略「GC2024」については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2) 会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。

 

② 気候変動対策への貢献

(a)気候変動長期ビジョン

 地球環境への影響をネットポジティブとするグリーン戦略のゴールのなかでも、脱炭素化に向けた動きは国境を越えた喫緊の課題の一つです。当社グループは、2021年3月に「気候変動長期ビジョン」を公表しました。2050年までにグループの温室効果ガス排出ネットゼロを達成するとともに、事業を通じて社会の低炭素化・脱炭素化に貢献していきます。当社グループは、脱炭素社会に向けてポジティブなインパクトを創出し、成長する企業グループを目指しています。

 

 詳細は、当社ウェブサイト内「『気候変動長期ビジョン』~温室効果ガス排出のネットゼロに向けて~」をご参照ください。

https://marubeni.disclosure.site/ja/sustainability/pdf/environment/approach/data1.pdf

 

(b)シナリオ分析

 当社グループでは、気候関連の機会・リスクに対して、戦略的な取組みを行うことに努めています。当社グループの事業ポートフォリオは多岐に分散されており、事業により事業リスク/機会が異なるため、気候変動の影響を受ける可能性及び当社グループへの影響度(資産規模、収益規模等)が相対的に高い事業を選定したうえで、基本的に2030年までを時間軸とし、現行シナリオと移行シナリオにおける事業環境を踏まえた、その事業リスク・機会への対応及び2030年までの業績への影響について、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しました(対象事業は下記マトリックスの右上部分)。

 

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 シナリオ分析の詳細は、当社ウェブサイト内TCFD提言に基づく情報開示(2022年9月公表)をご参照ください。

https://marubeni.disclosure.site/ja/themes/15/?id=anc_02

 

③ 人財戦略

人財は当社グループの最大の資本であり、価値創造の源泉です。

中期経営戦略「GC2024」では、「GC2021」で掲げた「丸紅人財エコシステム」を更に進化させていきます。

「丸紅人財エコシステム」は、当社の在り姿であるGlobal crossvalue platformを実現していくうえで人財戦略の基本となる概念であり、変革の方向性を示すものです。多様なバックグラウンドを持つマーケットバリューの高い人財が丸紅グループに「集い」、「活き」、「繋がり」、様々な知を掛け合わせることで、社会やお客様に向けた新たな価値の創造にチャレンジしている、そうした魅力溢れるエコシステムを創っていくことを示しています。そして、多様な人財が活躍する企業文化・風土づくりを一層推進していきます。

様々なバックグラウンドを持つ社員が成果を創出するためのインフラとして、ワークライフマネジメントを推進しています。ライフステージや属性にかかわらず、「持続的なキャリア形成」と「持続的なパフォーマンス発揮」の実現を目指し、社員が必要な時に、必要な制度を利用できるよう施策を展開しています。

 

「GC2024」グループ人財戦略の内容は、当社ホームページ及び統合報告書をご参照ください。

なお、当項目内において記載しております人員数・比率、スコアは提出会社のものです。

 

(a)多様性の理解・促進への取組み

2021年度以降、ダイバーシティ、アンコンシャスバイアス、障がい者、多文化共創、LGBTQをテーマにMarubeni Diversity Daysを開催し、全社員で様々な側面から多様性を考える機会としました。上記イベントに限らず、今後も多様性の理解・促進に繋がる取組みを続けていきます。

 

(b)女性活躍推進

2021年4月1日に制定した5ヵ年の行動計画(第2期)では、2026年3月末までに、総合職全体に占める女性比率を15%以上(2023年3月31日現在13.2%)、管理職全体に占める女性比率を10%以上(2023年3月31日現在8.2%)にすることを含む4つの数値目標を設定し、女性活躍推進に注力しています。

女性活躍推進に関する行動計画:

https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/planfile/202103251414514613827_1.pdf

2023年3月期には女性活躍推進の新たな方針「女性活躍推進2.0」を制定しました。女性が当社の経営やビジネスの意思決定により深く関わる状態を目指して、女性の成長機会をより充実させ、意思決定に関わるポストまでのキャリアパスを太く強固なものにします。女性総合職の採用を強化しており、2020年12月には新卒採用における総合職の女性比率を40~50%程度とする数値目標を決定し、2023年3月期新卒入社の総合職の女性比率は39.4%となりました。今後は目標を更に引き上げ、新卒・キャリアを合わせた採用全体の女性比率を自然比率の50%程度にすることを目指します。

また、「国際女性デー」に因み、2017年度から開催しているMarubeni International Women's Dayでは社長のメッセージを発信する等、グループを挙げて、女性の活躍を支援する風土醸成に取り組んでいます。

女性活躍推進2.0:

https://www.marubeni.com/jp/news/2022/release/data/20220812J.pdf

 

(c)外国人の活躍推進

2023年3月末時点で、約60名の外国籍の社員が在籍し、そのうち管理職は約30名です。今後も丸紅グループ人財戦略に則り、管理職・中核人財の多様性の確保を進めていきます。なお、丸紅グループは様々な国・地域における事業会社を多数擁しており、国籍を含め様々な属性の人財が活躍し、当社グループの企業価値向上に貢献しています。

 

(d)中途採用者の活躍推進

当社は年間をとおしてキャリア採用を実施しており、多様な経験・バックグラウンドを持つ人財の採用を推進しています。

2023年3月期の採用者全体に占める中途採用者の割合は21.7%であり、2022年10月1日時点の、管理職に占める中途採用者の割合は16.5%です。当社の中途採用は現場ニーズに基づき募集しているもので、数値目標はありませんが、社内にはない知見・経験を持つ人財を広く募集・採用しています。直近3年では新卒採用の年100名前後に対し、年30~50名程度で推移しています。今後も丸紅グループ人財戦略に則り、管理職・中核人財における多様性の確保を進めていく予定です。

 

(e)シニア人財、DX人財の活躍推進

シニア人財の一層の活躍を推進するため、60歳以降の継続雇用制度の導入や、人事部内に専任組織キャリア・カウンセリング課を設置するとともに、2022年3月期の人事制度改革では、シニアキャリア支援策を充実させました。また、2021年2月に公表したDX戦略「GC2021>>DX」においては、デジタル人財基盤の整備、充実に向けた各種施策を開示しています。

 

(f)多様な人財の活躍を支える取組

社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる環境づくりに注力します。2022年3月期から「ミッションを核とする人事制度」を本格導入しました。実力本位のミッション付与と大きなミッションへのチャレンジにより、組織の戦略実行と人財の成長を促します。2023年3月期の社員アンケートでは、80~90%からポジティブな回答を得ています。

多面観察や自己診断を通じて、一人ひとりの行動の特徴や強み、課題等を可視化します。アセスメントの対象を段階的に拡大しており、2023年3月期は全社員の約64.9%(総合職の82.5%強)に対して、実施しました。今後も対象を一層拡大していく予定です。可視化された情報は、各組織が異動・配置、ミッション付与や日々のチームマネジメントへ活用するとともに、各個人が、自身を振り返る気づきの機会、今後の能力開発やキャリアプランの検討へ活用しています。

また、多様な人財が新たな価値創造を生み出していくための自律的な働き方を推進・支援するため、勤務場所の選択肢を増やす「どこでもワーク(自宅やサテライトオフィスでの勤務を認める仕組み)」を全社的に活用、出社と「どこでもワーク」のベストミックスを追求することで、組織・個人のパフォーマンスの最大化を図っています。

社員一人ひとりの健康維持・増進を重要な経営課題と位置付け、丸紅グループの成長の源泉である社員の活躍を支えるため、人事部担当役員を最高責任者として、健康リテラシーの向上、がん・生活習慣病対策、メンタルヘルス対応、女性の健康維持・増進への取組みの強化等の健康経営施策を推進しています。丸紅の取組みは外部からも評価されており、2015年及び2023年には経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選ばれました。また、2018年から6年連続で、経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されています。

従業員エンゲージメントについては他社との比較を行っておりますが、今期は、スコア(*)が他社平均50.0に対し、当社は59.2となり、(株)リンクアンドモチベーションが発表した「ベストモチベーションカンパニーアワード2023」において、大手企業部門(2,000名以上)で「第3位」を受賞しました(昨年度は「第4位」を受賞)。多様な人財の活躍を支える取組が社員のやりがい、モチベーションの向上に繋がっていると考えています。

人的資本経営を深化させていくためには、経営自らが人財の力を引き出すことにより一層関与し、経営戦略に連動した人財戦略を推進していく必要があります。社長とCAO・CSO・CHROを主要メンバーとする人財戦略会議「タレントマネジメントコミッティ」を年間5~10回程度開催し、人財マネジメントに関わる様々な課題について議論を重ねています。丸紅グループ全体にとって最適な人財配置や人員構成、育成計画を含めた人事制度・施策の在り方を継続的に議論し、スピード感のある変革を実践していきます。

(*) 組織状態を示すエンゲージメントスコア(偏差値)。偏差値50は、株式会社リンクアンドモチベーションの提供するサービスを利用する企業の平均。

 

(5)気候変動に関連する指標及び目標

 当社グループは、気候変動リスクの低減に努めており、2050年までに事業活動に伴う温室効果ガス排出ネットゼロ(*1)の達成を目指すことを基本的方針としています。また、本方針を実効性のあるものとするため、2030年に向けたアクションプラン(行動計画)を策定しております。気候変動に対する機会・リスクへの対応の一環として、主に以下の指標と目標を定めています。

 

・石炭火力発電事業によるネット発電容量を2019年3月期末の約3GWから2025年までに半減、2030年までに約1.3GW、2050年までにゼロにする

・再生可能エネルギー電源の比率を、ネット発電容量ベースで2023年までに約20%へ拡大

・2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロ

 

2030年までに

① Scope1・Scope2のCO2 排出量を2020年3月期(約1百万トン)対比50%削減

② Scope3カテゴリ15(投資)のCO2排出量を2020年3月期(想定CO2排出量約36百万トン(*2))対比20%削減

 

(*1)温室効果ガス排出削減を行ったうえで、削減できない残余排出を、自然を基盤とした手段や技術的手段により除去し、大気中への人為的な温室効果ガス排出をネットゼロとすること。なお、ネットゼロの対象範囲は当社及び連結子会社のScope1(直接排出)及び Scope2(間接排出)に加え、Scope3(その他の間接排出・サプライチェーン排出)カテゴリ15(投資)に含まれる持分法適用関連投資先の排出としております。

(*2)既存投資先の2020年3月期実績に、2021年3月時点での約定済み案件(電力事業については売電契約締結済みで商業運転開始前の案件)からの想定排出量を加えた排出量

 

 気候変動のための指標と目標の進捗状況は、当社ウェブサイト内気候変動対策への貢献 データ及び最新の統合報告書をご参照ください。

当社ウェブサイト内気候変動対策への貢献 データ

https://marubeni.disclosure.site/ja/themes/15/?id=anc_04

最新の統合報告書

https://www.marubeni.com/jp/ir/reports/integrated_report/

 

3【事業等のリスク】

当社及び連結子会社の営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しておりますが、当社及び連結子会社は広範にわたる事業活動を行っているため、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。なお、本項における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき合理的であると当社が判断したものです。

 

(1)リスク管理方針について

当社及び連結子会社は、多様な事業活動を営むなかで、マクロ・ミクロ、定量・定性という多面的な視点でリスク管理を行っており、それぞれに関して、リスク管理の基本方針・社内規則を定め、それを遂行するための組織、管理体制、管理手法を整備しております。

個別リスクへのミクロの視点からは、稟議制度に基づき意思決定をした信用供与、投資等の個別案件のうち、重要案件を対象にモニタリングを行い、問題の早期発見と対策立案を徹底しております。経営会議体への定期的な現状報告が行われるなかで、事業の戦略性、成長性、収益性に関する検証を行い、必要な案件については、多角的かつ複合的な要素を勘案し、その方向性について稟議制度のプロセスに従って決定を下す等、リスク管理の強化を図っております。

また、当社グループ全般を見渡すマクロの視点からは統合リスク管理を実施しており、当社グループが抱える連結ベースのエクスポージャーについて、各資産項目のリスク特性に応じた想定最大損失率を乗じて最大下落リスク額(リスクアセット)を計量し、自らの体力である資本の範囲内に収めることを基本方針としております。

一方で、コンプライアンスリスク等の定量化が困難なリスクについては、コーポレート・ガバナンスの強化、内部統制システムの整備、及びコンプライアンス体制の強化を通じて、リスクの顕在化を未然に防止する体制を整えております。

しかしながら、当社及び連結子会社の幅広い事業活動から生じる、又は将来新たに発生する可能性のある多種多様なリスクに対して、当社及び連結子会社のリスク管理の枠組みでは十分に対応しきれない可能性があり、その場合には当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)個別のリスクについて

① 世界経済及び産業構造の変化等が当社及び連結子会社に与える影響について

当社は、日本を含む60ヵ国以上の国々に拠点を置いて事業活動を展開している総合商社です。当社及び連結子会社は、日本及び海外の様々な国・地域における、幅広い産業分野において、一次産業の生産・調達や、製品の製造・販売、役務提供等、様々な商業活動及び投資活動を展開しております。

このため、当社では、世界経済に影響を与える事象、例えば米中対立の激化、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、気候変動・自然災害、感染症の世界的流行等が事業活動に及ぼす影響を検討し必要な対応を行っております。また、AI等の技術革新や、サステナビリティ、脱炭素化等価値観の変化・多様化による産業構造の変化に対し、既存ビジネスモデルの見直しや新たなビジネスモデルの構築を図っております。世界経済の悪化や低迷、あるいは、産業構造の変化等への不十分な対応は、当社及び連結子会社の営業活動、業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 取引先の信用リスクについて

当社及び連結子会社は、取引先に対し営業債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、また、営業活動の一環として取引先との間で商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の契約を締結しておりますので、取引先の債務不履行や契約不履行等による信用危険の負担(信用リスク)が生じた場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

上記の信用リスクの未然防止のため、取引先の信用状態、取引の利益率や戦略的な適合性等を見極めつつ、一取引先に対して供与する信用の最高限度である「信用限度」を設定し、その範囲内にて運用することを当社の与信管理の基本としております。

なお、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、当社及び連結子会社では取引先の信用状態に応じて判定した社内格付、担保価値、その他一定の前提と見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。

 

③ 投資等に係るリスクについて

当社及び連結子会社は、単独又は他社と共同で新会社の設立や既存会社の買収等の事業活動を行っております。これら事業投資の多くは多額の資本を必要とし、当社及び連結子会社が希望する時期や方法で撤退できない可能性や、追加資金拠出を余儀なくされる可能性があります。

投資等に係るリスクの未然防止のため、当社及び連結子会社は、新規投資等の実施に際して、IRR、回収期間、及びリスク調整後税引後利益であるPATRAC(*)等の社内で定められた投資基準に基づき、リスクに見合うリターンが得られているかの定量面・定性面の検証を含めたリスク管理を徹底しておりますが、これら投資等の価値が低下した場合、あるいは追加資金拠出が必要になる場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*) PATRAC:Profit After Tax less Risk Asset Costの略。リターンがリスクに対する最低限のリターン目標を上回っているかを計る、当社独自の経営指標。以下の計算式に基づき算出する。

PATRAC=税引後利益-リスクアセット(=必要株主資本)×10%(※)

(※)資本コストをベースとするハードルレート

 

④ 資金調達力及び調達コストについて

当社及び連結子会社は、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視した資金調達を行っております。しかしながら、国内及び海外の主要金融市場において大きな混乱が生じた場合、あるいは営業活動によるキャッシュ・フローの不足、収益性の低下又は資産及び負債管理の失敗、更には格付会社による当社及び連結子会社の信用格付の大幅な格下げが行われた場合には、資金調達が制約されるか、又は調達コストが増加する可能性があり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 市場リスクについて

当項目内において、親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)への影響額は、ほかに記載のない限り、当社の当連結会計年度の業績を踏まえて試算した翌連結会計年度に対する影響額を記載しております。

(a)各種商品価格の変動について

当社及び連結子会社は、様々な商品を扱っており、一部の商品、契約、予定取引については、それらに係る市況変動リスクを軽減するため、商品先物・先渡等の契約を締結しておりますが、食料第二本部が取り扱うトウモロコシや小麦等の穀物、化学品本部が取り扱うエチレンやプロピレン等の化学品、エネルギー本部が取り扱う原油やガス、金属本部が取り扱う非鉄金属、電力本部が取り扱う電力、フォレストプロダクツ本部が取り扱うパルプといった商品は、その価格変動によって当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これら商品を輸送するためにドライバルク船やタンカー等の船舶を利用しておりますが、これら船舶市況も当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、商品売買取引における価格変動リスクに関し、商品ごとに設定したポジション限度の範囲内での取引実施、及び商品ごとのポジションの適時モニタリングを柱とする商品ポジション管理を通じて、各商品市場に対して過大なリスクを負うことのないように管理しております。

これらの商品売買取引における各種商品価格の変動の影響に加え、当社及び連結子会社は、資源・エネルギー開発事業やその他製造事業に参画しており、それらの事業を通じて販売する生産物や製品に関連する商品市況の変動が当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社及び連結子会社が参画する資源・エネルギー開発事業において、主な商品の価格変動の影響は以下のとおりであります。

原油の商品価格が1バレル当たり1米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約3億円と試算されますが、生産・操業状況、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、原油の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

銅の商品価格が1トン当たり100米ドル変動した場合における当期利益への影響額は、年間約13億円と試算されますが、生産・操業状況、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の商品価格のみで単純に決定されない場合があります。

 

(b)為替変動について

当社及び連結子会社は、様々な通貨・条件での取引を行っており、主に外貨建取引及び外貨建債権・債務残高等に係る為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ契約を締結しておりますが、為替変動は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当期利益に占める海外連結子会社、持分法適用会社の持分損益や海外事業からの受取配当金の割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、為替変動は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に影響を与えます。米ドルに対して日本円が1円変動した場合における当期利益への影響額は、年間約16億円と試算されます。

 

(c)金利変動について

当社及び連結子会社は、金融機関からの借入及び社債等を通じた資本市場からの資金調達により事業資金を手当てしております。変動金利の調達は、その相当部分は変動の影響を転嫁できる営業資産に見合っておりますが、金利変動の影響を完全に回避できないものもあり、金利変動リスクにさらされております。

当社及び連結子会社は、Asset-Liability Managementを通じ、投資有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち、変動金利で調達している部分を金利ポジションとして捉え、ポジションの総量や市場動向を注視しつつ、金利スワップ契約等の活用も含めた金利変動リスクへの対応策を決定しております。

しかしながら、これら手段の活用を通じても、金利の変動が与える影響を完全に回避できるものではなく、金利動向によっては、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(d)活発な市場のある有価証券の価格変動について

当社及び連結子会社は、関係強化あるいはその他の目的で、活発な市場のある有価証券に投資を行っております。活発な市場のある有価証券は、その公正価値の変動に伴い、本源的に価格変動リスクを有しており、公正価値の下落は当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、過去一定期間の価格変動データをもとに、VaR(Value at Risk)の手法でリスク量を定量化し、統計的に計測した保有銘柄全体の予想最大損失額を定期的にモニタリングしております。

 

(e)退職後給付に係るリスクについて

当社及び連結子会社の年金資産には国内外の株式及び債券等が含まれております。その運用にあたっては、社内に設置した年金資産管理運用委員会で定期的なモニタリングを実施したうえで、許容できるリスクの範囲内で常に年金資産の極大化に努めております。しかしながら、当社の想定を超える証券市場の低迷等により年金資産の価値が減少した場合、退職給付費用が増加し、年金資産の積み増し等が必要となることがあります。また、確定給付債務の現在価値は割引率や昇給率等につき仮定をおいて算定しておりますが、当該仮定と実際の数値が異なる場合、確定給付債務の金額に変動が生じる可能性があります。これらの場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 長期性資産に係るリスクについて

当社及び連結子会社の保有する長期性資産のなかには、不動産・機械装置等の事業用資産に加えて、資源権益への投資や、企業買収時に認識するのれんを含む無形資産、当社がマジョリティを持たずに持分法で会計処理される投資(以下「持分法投資」という。)等が含まれております。

当社及び連結子会社は、これらの長期性資産について、IFRSに準拠し、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。なお、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

しかしながら、経済及び業界環境の変化や、事業計画の見直し、保有方針の転換等の理由により、現時点の想定に比べて資産価値が著しく下落した場合には、減損損失や、投下資金の回収不能、撤退時の追加損失等が発生し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<資源権益への投資について>

当連結会計年度末における資源権益への投資について、商品別のエクスポージャーは以下のとおりであります。

 

商品

エクスポージャー金額

主な内容

約3,100億円

持分法投資(チリ)

鉄鉱石

約1,800億円

持分法投資(豪州)

原料炭

約900億円

持分法投資・有形固定資産(豪州)

原油・ガス

約700億円

有形固定資産(米国メキシコ湾等)

LNG

約500億円

持分法投資(パプアニューギニア等)

合計

約6,900億円

 

(*) 概数で表示している関係で、合計値が合わない場合があります。

 

当社及び連結子会社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業への投資においては、以下の要因により資産価値の変動が生じる可能性があります。

 

銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業

当社及び連結子会社が参画する銅事業・鉄鉱石事業・原料炭事業において、銅価格、鉄鉱石価格や、原料炭価格等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、為替変動、地政学的情勢や、感染症の感染拡大の影響等、当社及び連結子会社が管理できない要因により変動する可能性があります。

当社及び連結子会社の参画する銅事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(チリのミネラロスペランブレス銅鉱山、ミネラセンチネラ銅鉱山、ミネラアントコヤ銅鉱山)であります。鉄鉱石事業の長期性資産の主な内容は持分法投資(豪州のロイヒル鉄鉱山)であります。また、原料炭事業の長期性資産の主な内容は持分法投資・有形固定資産(豪州のジェリンバイースト炭鉱、レイクバーモント炭鉱、ヘイルクリーク炭鉱)であります。

なお、これらの持分法投資・有形固定資産は、第三者から提供されたデータや、市況状況、ファンダメンタル等を考慮のうえで、当社及び連結子会社にて策定した価格見通しを使用した事業計画に基づいて評価しておりますが、商品価格や生産量の変動、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出の高騰、事業環境の変化及び電力・水等のインフラに起因するオペレーション上の問題等が生じた場合には、事業計画が修正される可能性があります。

 

<Aircastleへの投資について>

当社の持分法適用会社であるAircastleは、全世界のエアラインに対し航空機のリースを行っております。このため、航空旅客需要の悪化、燃油価格の高騰、為替変動、金利上昇等によりエアラインの支払能力が著しく悪化又は倒産した場合、またリース料率の低下や保有する航空機の資産価値が著しく下落した場合に、同社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

航空旅客需要を悪化させる要因としては、戦争やテロ行為、伝染病や自然災害、航空機事故等が想定されます。また、リース先エアラインは世界各国に分散していることから、各国及び国際間の法規制の変更や、経済制裁等の地政学上のリスクの影響を受ける可能性があります。同社への投資にあたっては、中長期的な航空旅客需要の伸びに牽引されて同社が成長を続ける前提での事業計画に基づいて評価をしておりますが、上記のリスク要因による影響が顕在化し、それに伴うリース先支払能力の著しい悪化や、機体価値の下落等による収益率の悪化により、当社想定よりも成長が鈍化する場合には、事業計画を修正する可能性があります。

なお、当連結会計年度末における同社向けの投資金額は約1,417億円であります。

 

<事業計画に契約延長を織り込んでいる案件について>

当社及び連結子会社の電力IPP事業や、海外インフラコンセッション事業、長期傭船事業等において、一部の事業計画は、策定時における事業環境に鑑み、相応の蓋然性を確認のうえで、締結済みの長期販売契約等の契約の延長を前提としている場合があります。しかし、これらの前提は、事業環境の変化、世界及び地域での需給の不均衡、景気変動等、様々な要因による影響を受けるため、実際には契約の延長を実現できない場合や、延長後の契約条件が当初事業計画における想定よりも悪化する場合があり、それに伴う事業計画の見直しにより資産価値が著しく下落し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制等について

当社及び連結子会社の事業は、日本及び諸外国において、広範な法令及び規制に服しております。それらは、事業及び投資に関する許認可、国家安全保障上の規制を含む輸出入に関する規制、関税及び各種税法、独占禁止法を含む不公正取引規制、マネーロンダリング規制、汚職・贈収賄防止関連法、個人情報保護法・GDPR(EU一般データ保護規制)、環境保護関連法等の多岐の分野にわたります。例えば、事業及び投資に関する許認可に係るものとしては、日本における主なものとして、ライフスタイル本部では景品表示法等、情報・物流本部では電気通信事業法等、食料第一本部及び食料第二本部では食品衛生法及び飼料安全法等、化学品本部では毒物劇物取締法等、エネルギー本部では石油備蓄法等、電力本部では電気事業法等、航空・船舶本部では航空法及び海上運送法等、金融・リース・不動産本部では投資信託及び投資法人に関する法律並びに宅地建物取引業法等が挙げられ、諸外国においても、これらの法令及び規制と同一又は類似のものが存在します。

加えて、当社は、法令及び規制の遵守だけでなく、いち企業市民として高い倫理観を持ち、全てのステークホルダーの期待に応え社会的責任を果たすことをコンプライアンスと捉えております。法令及び規制の遵守を含むコンプライアンスの実践のため、当社は社長直轄のコンプライアンス委員会を設置しております。コンプライアンス委員会の詳細は、「第4 提出会社の状況」における「4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 <コーポレート・ガバナンスに関する施策の実施状況> ① 会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況 (l)内部統制システムの整備の状況」に記載のとおりであります。

しかしながら、当社及び連結子会社が事業を行う国・地域によっては、法制度が十分に機能していない場合があり、予期しえない法令、規制、解釈の変更や、規制当局、司法機関等による一貫性のない法令の適用・解釈、運用の一方的な変更等が発生する可能性があること、当社及び連結子会社が行う事業(全く新しいビジネスモデルによるものを含む)のなかには法令・規制が十分に整備されていない事業分野も含まれること、当社及び連結子会社は、リスクベース・アプローチに基づくコンプライアンスリスク管理を徹底しているものの、当社及び連結子会社の行う事業活動が極めて広範であること等から、コンプライアンス違反が生じる可能性があり、当社及び連結子会社のコンプライアンス遵守のための負担が増加する可能性があります。このような事態が発生した場合には、事業の中断を含む罰則の適用を受け、又は信用の低下等が発生し、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

<税制・税務リスクについて>

当社及び連結子会社は、様々な活動をグローバルに展開していることから、日本及び諸外国において納税義務を負っております。そのため、将来的に、各国税務当局による課税が強化され、課税ベースの拡大・税率変更といったルール変更が行われた場合には、当社及び連結子会社が納付すべき税額が増加する可能性があります。

また、当社及び連結子会社は、必要に応じて外部専門家を活用し、各国の税法に従い適切な税務申告を行っておりますが、各国当局との見解の相違により、予想外の課税を受ける可能性があります。仮に課税問題が発生した場合には、外部専門家を起用し問題解決を図る等の対策を講じますが、追加的な課税が生じる可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 重要な訴訟について

当社及び連結子会社の国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続の対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社はインドネシアの企業グループであるSugar Groupに属する企業(以下「Sugar Group」という。)を相手にした訴訟(以下「旧訴訟」という。)について、2011年にインドネシア最高裁判所(以下「最高裁」という。)において当社の勝訴が確定したにもかかわらず、Sugar Groupから、旧訴訟と請求内容が同一である別途訴訟(以下「グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟」という。)を提起され、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟につき2017年に最高裁で当社の敗訴が一旦確定しておりますが、当社はインドネシア最高裁に対して司法審査(再審理)を申し立てました。このうち、南ジャカルタ訴訟については、当社は最高裁再審理決定の決定書を、2020年12月30日に受領しております。当該決定書には、2020年8月24日付で当社の司法審査(再審理)請求を認容し、当社が2017年5月17日に受領した当社敗訴の南ジャカルタ訴訟最高裁判決を取り消したうえで、原告であるSugar Groupの請求を全て棄却する旨が記載されております。他方、グヌンスギ訴訟については、当社は、2018年10月8日付で当社の司法審査(再審理)申立を不受理とする旨の最高裁再審理決定の決定書を、2020年2月3日に受領しております。当社は、2020年5月18日、最高裁に対して2回目の司法審査(再審理)を申し立てましたが、申立書類の提出先であるグヌンスギ地方裁判所(以下「グヌンスギ地裁」という。)は2020年5月20日付で、最高裁再審理決定と旧訴訟最高裁判決間の矛盾の不存在を理由に当社の申立を受理せず申立書類を最高裁に回付しないことを決定しました。しかしながら、インドネシア最高裁判所法等関連法令上、かかる判断は司法審査(再審理)の実施機関である最高裁の職責に属する事項であるとされており、グヌンスギ地裁の決定が不当であることは明らかであること、また、上述のとおり当社が勝訴した南ジャカルタ訴訟司法審査(再審理)の結果を踏まえて、当社は最高裁に対して、改めてグヌンスギ訴訟に関する2回目の司法審査(再審理)を2021年5月31日付で申し立て、グヌンスギ地裁に受理されました。今般、当該2回目の司法審査(再審理)申立を2022年7月28日付で不受理とする旨の記載が、最高裁ホームページ(ただし、ホームページ上の情報は最高裁の公式記録ではない旨の注記あり)に掲示されましたが、当有価証券報告書提出日現在、当社は最高裁からの当該不受理の決定を受領しておらず、また、不受理の理由は最高裁ホームページに掲示されておりません。

また、当社はSugar Groupの不法行為による当社の信用毀損等を原因としてSugar Groupに対し損害賠償請求訴訟を提起しておりますが、これに対し、Sugar Groupは当該訴訟(以下「本訴」という。)の手続のなかで、当社に対して当該訴訟の提起が不法行為であるとして損害賠償請求訴訟(以下「反訴」という。)を提起しておりました。先般、第一審及び第二審にて本訴請求及び反訴請求いずれも棄却されたことを受け、当社は、2021年11月19日付で本訴につき最高裁に上告していたところ、本訴及び反訴について当社の本訴請求につき一部認容するとともに、Sugar Groupの反訴請求を全て棄却する内容の最高裁判決を2022年11月8日付で受領しました。

当社に不利な裁定を最高裁が下したグヌンスギ訴訟等Sugar Groupとの一連の訴訟の今後の趨勢や裁判手続次第では、敗訴判決に基づく損害賠償額・金利・訴訟費用の合計金額の全部又は一部について当社が負担を強いられ損失を蒙る等、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。各訴訟の詳細及び経緯については「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記27 約定及び偶発負債」に記載のとおりであります。

(注)南ジャカルタ訴訟においては被告に丸紅欧州会社も含まれております。

 

⑨ 環境・社会リスクについて

 当社及び連結子会社は、グローバルかつ幅広い産業分野に関連する営業活動を行っており、環境や社会、また取引先、従業員等のステークホルダーに対し様々な影響を及ぼします。当社は、社長直轄のサステナビリティ推進委員会を設置のうえ、サステナビリティの観点で重要度の高いリスクについて、サステナビリティ推進委員会で管理・モニタリングを行い、リスクの低減に努めています。また、リスク管理の一環として、環境、社会(労働安全衛生を含む)に関する潜在的リスク評価手法を構築し、投融資プロセス等において運用しております。サステナビリティの観点で重要度の高いリスクの管理については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「(3)リスク管理」に記載のとおりであります。

 

 喫緊の課題である気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候変動関連リスクの把握と業績への影響を同提言に基づき分析しています。気候変動により自然災害の激甚化や異常気象の深刻化、降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇や海面の上昇等といった物理的リスクが顕在化した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、気候パターンの変化による穀物不作や、異常気象の激甚化による物流機能の麻痺、乾燥化や落雷の増加による森林における山火事等が、穀物集荷ビジネスや農業資材ビジネス、植林事業や木質資源供給ビジネスの収益を悪化させる可能性があります。

 

 また、炭素税の導入及び強化等の温室効果ガス排出規制や脱炭素化に貢献する技術の急激な発展等による需要変化の移行リスクは、発電事業や資源権益・販売事業等の化石燃料に関連する事業を中心に、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの気候変動リスクの発生可能性は、パリ協定の枠組みの下での気候変動の進行を防ぐ取組みの状況に大きく左右されます。

 

 当社及び連結子会社は、気候変動リスクの低減に努めており、2050年までに事業活動に伴う温室効果ガス排出ネットゼロ(*)の達成を目指すことを基本的方針としております。また、本方針を実効性のあるものとするため、2030年に向けたアクションプラン(行動計画)を策定しております。更に、個別の事業に関しても、以下を中心とした取組み方針を定めております。

 

・新規石炭火力発電事業には取り組まず、石炭火力発電事業によるネット発電容量を2018年度末対比で2025年までに半減させ、2050年までにゼロとする

・一般炭権益に関して、新規の資産獲得は行わない

 

 しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合や今後想定を上回る速度又は規模で気候変動が進行する場合、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(*) 温室効果ガス排出削減を行ったうえで、削減できない残余排出を、自然を基盤とした手段や技術的手段により除去し、大気中への人為的な温室効果ガス排出をネットゼロとすること。なお、ネットゼロの対象範囲は当社及び連結子会社のScope1(直接排出)及びScope2(間接排出)に加え、Scope3(その他の間接排出・サプライチェーン排出)カテゴリ15(投資)に含まれる持分法適用関連投資先の排出としております。

 

 更に、当社及び連結子会社の営業活動により、大気汚染、土壌汚染、水質汚染等による環境汚染等が生じた場合には、事業の停止、汚染除去費用、あるいは住民訴訟対応費用等が発生し、社会的評価の低下につながる可能性があります。これらの環境リスクに対応するため、環境マネジメントシステムを導入(1999年度)したほか、連結子会社並びに仕入先に対する調査を実施する等、環境負荷等の把握と環境リスクの低減に努めております。

 しかしながら、何らかの環境負荷が発生した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 社会面では、丸紅グループ人権基本方針、サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針を策定のうえ、人権の尊重と持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、連結子会社へのサステナビリティ調査や、サプライヤーに向けた働きかけとその人権デューデリジェンスに取組んでおります。しかしながら、このようなリスク対策を実施したとしても、当社の事業活動により社会に対し負の影響が発生した場合には、事業の遅延や停止、損害賠償等の追加的費用、レピュテーション低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 自然災害等のリスクについて

当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震、津波、大雨、台風等の自然災害が発生した場合、また新型インフルエンザや新型コロナウイルス等による感染症が流行、拡大した場合、社員・事業所・設備やシステム等への被害及び交通、情報通信、水道・ガス・電力等の公共インフラに機能不全等が発生し、当社及び連結子会社の事業活動に支障が生じる可能性があります。

BCP(事業継続計画)の策定、耐震対策、感染症対策、防災訓練、必要物資の備蓄、各種保険への加入等、個々に対策を講じておりますが、自然災害等による被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ カントリーリスクについて

当社及び連結子会社はグローバルに営業活動を展開しているため、当該活動地域・国における政治状況の変化、戦争・テロ・暴動を含む社会情勢の悪化、経済環境の変化、営業活動に関わる法制度や政策の変更、天災等、様々なカントリーリスクにさらされており、これらの地域・国の事業環境が悪化した場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社及び連結子会社が活動する国に対し、各国のリスク度を評価して国分類に区分し、国分類又は国ごとのカントリーリスク管理基準を設けております。

この基準の下で、国分類又は国ごとの取組み方針を定め、また各国向けのリスク・エクスポージャーを集計して特定の国分類又は国へのエクスポージャー集中を防ぐ等の管理を行っております。

また、新規投資案件等の検討にあたっては、国分類又は国ごとのカントリーリスクに見合った適正なリターンが得られるのかという観点も考慮した投資基準を設定しております。

更に、案件ごとに必要に応じて、貿易保険や投資保険を付保する、第三国からの保証等を取得する等、適切なリスクヘッジ策を講じるべく努めております。

 

当連結会計年度末における主なカントリーリスクエクスポージャー(*)は以下のとおりであります。

(*) 当社及び連結子会社の保有資産のうち、長期与信、固定資産、投資等の長期性資産の金額の合計。

エクスポージャーが1,000億円以上の国を抽出。

 

米国

9,115億円

チリ

3,734億円

豪州

3,525億円

インドネシア

2,213億円

ブラジル

1,876億円

シンガポール

1,703億円

フィリピン

1,111億円

ベトナム

1,045億円

 

⑫ 情報システム及び情報セキュリティに関するリスクについて

当社及び連結子会社は、情報資産の適切な管理及び高い情報セキュリティレベルの確保を重要事項と認識し、グループ全体のセキュリティリスクの低減を図っております。CIOを委員長とする情報セキュリティ委員会を設け、セキュリティ面での課題把握及び対応方針の策定を行うとともに、セキュリティインシデント発生時にインシデントを統括管理するセキュリティマネジメントチーム(M-CSIRT)にて対応を行う体制を構築しています。また、対策の3つの柱として、① グループ各社が遵守すべき情報セキュリティ全般のグループ共通ITガバナンスルールを整備し、② 当該ルールに準拠したセキュアなグループ共通ITサービスのグループ会社への提供、③ 連結子会社・主要関連会社に対するITガバナンスルール遵守状況の検査(アセスメント)を定期的に実施しております。

加えて、当社では、リモートワークの定着に合わせたIT環境を整備すべく、仮想デスクトップ環境(*)の導入、ペーパレスを推進する社内ルールの変更と新ワークフローシステムの導入、グループへのリモートワーク環境でのIT対策ガイドラインの提供等を実施してきました。

しかしながら、サイバー攻撃は年々巧妙化しているとともに、リモートワーク環境のセキュリティ不備を狙った攻撃も増加しており、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備・通信障害等による情報システム停止等の可能性を完全に排除できるものではありません。このような場合には、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(*) 自宅PC等の接続元にデータを残さずに、セキュアに社内の情報資産にアクセス可能なシステムインフラ

 

⑬ 重要な会計方針及び見積りによるリスクについて

当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりであります。

 

・棚卸資産の評価

・有形固定資産の減損

・無形資産の減損

・関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

・繰延税金資産の回収可能性

・確定給付制度債務

・引当金

・金融商品の評価

・偶発負債

 

当社の経営陣は、これらの見積りは合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすことがあります。

重要な会計方針の見積り及び仮定についての詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」の「③ 重要な会計方針及び見積り」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

(3)中期経営戦略について

当社及び連結子会社は、2022年度より3ヵ年の中期経営戦略「GC2024」をスタートしております。内容については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。

これらの定量目標は、策定時において適切と考えられる一定の経済状況・産業動向その他様々な前提・仮定及び見通しに基づき策定されたものであり、経営環境の変化、上記個別リスクの発現、その他様々な要因により達成できない可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 当連結会計年度における経済環境及びオペレーティング・セグメント別の事業の状況

経済環境

世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢の先行き不透明感が続くなか、世界的な物価上昇や中国で長期間続いた新型コロナウイルス感染症に対する厳格な防疫措置に伴い、景気の減速感が強まりました。先進国では、日本は内需主導の景気回復が続いた一方、前年度まで比較的堅調に拡大してきた米国の内需は減速し、欧州も景気停滞が鮮明となりました。新興国では、中国のほか、欧米等による制裁が強化されたロシアを中心に景気が大きく減速しました。

一次産品価格は、エネルギーと食料を中心に多くの商品が高値圏で推移しました。原油価格は6月頃まで上昇を続け、その後は世界経済の減速懸念に伴う需要鈍化が意識されて下落しました。中国が世界最大の輸入国である銅や鉄鉱石の価格は、同国の景気減速懸念を受けて軟調に推移した後、11月から上昇基調となりました。

世界の多くの中央銀行が高インフレに対処すべく金融引締めの動きを進めるなか、欧米の債券市場では金利上昇が顕著となりましたが、11月以降は上昇に一服感も見られました。また、為替市場では世界的なドル高が急速に進んだ後、米金利の上昇一服に伴いドル安方向に転換しました。

 

オペレーティング・セグメント別の事業の状況

当連結会計年度におけるオペレーティング・セグメント別の事業の状況は、以下のとおりであります。

 

・ライフスタイル

タイヤ・ゴム資材事業では、タイ・インドネシアを中心としたタイヤ小売店舗の拡大に加え、エアレスタイヤを開発するガリレオ社に出資する等、新たな取組みを開始しています。消費者直販事業では、子ども靴を展開する当社グループブランド「イフミー」より、“子どもたちの素肌を健やかに育む”をコンセプトとした幼児向けスキンケア用品の販売を開始しました。フェムテック事業では、働く女性の健康課題を改善し、誰もが働きやすい社会の実現を目指すべくLIFEMの設立に参画、環境配慮型事業では、繊維リサイクル技術を有するサーク社とグローバルな循環型サプライチェーンの構築に向けて取組む等、社会課題の解決にも注力しています。

 

・情報・物流

世界的にDX化が加速するなか、総合商社のIT・物流ビジネスで培ったデジタル領域のノウハウ・知見を活かし、顧客や社会の課題解決に資するソリューションを提供しています。システムソリューション分野では、従来からの取組領域に加え、顧客のDXへの取組みを支援するDXコンサルティング事業を推進したほか、企業のサステナビリティ向上を支援するコンサルティングサービスの提供を開始しました。また、クラウドシフトの進展でニーズが高まるクラウド事業を国内外で強化・拡大しました。物流分野では、国内ペットフード業界の共同配送事業が順調に伸長したほか、出版界にAIやIoTを活用したソリューションを提供するPubteXにおいて出版流通改革事業を推進しました。

 

・食料第一

多様化する食のニーズに応えるべく、スペシャリティ商品のマーケティングと生産製造機能の強化に注力しています。菓子分野では、高度な工場管理水準・製造技術を有する明治産業株式会社の全株式及び関連する商標権を取得しました。本株式取得に伴い新会社名をアトリオン製菓とし、多様化するマーケットニーズに応え、更なる成長を図ります。また、ノルウェーのプロキシマーシーフード社が静岡県小山町で生産する陸上養殖サーモンにつき、初出荷(2024年予定)以降10年間の独占販売契約を締結しました。サステナブルコーヒーや植物タンパクをはじめとした「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に貢献するビジネスも引き続き推進し、環境配慮型食料ビジネスを拡大していきます。

 

・食料第二

食の中心となる穀物、搾油原料、動物性タンパク質及び家畜の肥育に必要な飼料の安定供給を通じて、持続可能な農業・飼料製造販売業・畜産業への貢献及びこれらへのトータルソリューション提供に取り組んでいます。穀物分野では、穀物集荷・輸出事業に最新のデジタルプラットフォームを活用することで、生産地から消費地まで一貫したサプライチェーンの管理や効率化の実現を目指します。また、環境負荷に配慮した飼料開発等の取組みにより、新たな価値の創出を目指していきます。畜産分野では、高品質なプレミアム牛肉処理加工販売を行うCreekstone Holdingを中心として、食に不可欠な動物性タンパク質の安定供給と事業基盤の拡大に努めていきます。

 

・アグリ事業

アグリインプット事業では、ITを駆使した精密農業による顧客向けソリューション能力のさらなる向上と、Helena Agri-Enterprisesをはじめとしたグループ会社にて蓄積してきたノウハウの活用を通じ、米国・ブラジル・欧州・アジアにおける農業の発展に貢献すべく更なるリテール事業拡大を目指しています。また、2021年度にGavilon Agriculture Investmentから分社したMacroSourceは、北米を中心に南米・アフリカその他の地域にわたり肥料ホールセール事業を運営しており、当社グループの肥料供給能力の強化を図っています。一方、環境負荷に配慮した農業資材を取り扱う等、アグリインプット事業を通じて環境保全型農業の発展に寄与する取組みも推進していきます。

 

・フォレストプロダクツ

インドネシアにおける植林・パルプ製造販売事業は、順調なオペレーションによって競争力を強化、国内の板紙製造販売事業は、原燃料コストの高止まりを受けて、収益改善に向けた施策を進めています。また、木質資源活用の一環として、ペレットの自社ソース開発等バイオマス燃料の取組みやセルロースナノファイバー等新素材分野への展開も進めています。ベトナム段ボール原紙製造工場は、同国内市場の成長は鈍化したものの、着実に販売数量が拡大しています。衛生紙分野では、消費大国ブラジルにてSanther - Fabrica de Papel Santa Therezinhaを通じ衛生紙の製造販売事業を行っており、プレミアム商品の販売推進及び販売チャネルの拡充によって、消費者の安心・快適な生活の実現に寄与していきます。

 

・化学品

業界トップクラスのシェアを持つ石油化学品トレードでの需給調整機能の高度化、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス等のスペシャリティ分野でのソリューション提供型ビジネスの深化、食品機能材・飼料添加剤等のライフサイエンス分野のビジネス拡大を国内外で推し進めています。これらに加え、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野での事業を拡大するとともに、環境に配慮した素材、バイオ燃料を使用した化学品運搬船の運航をはじめとしたサステナブルな社会に向けた新しい顧客ニーズへの対応等、これまでの化学品の枠を超えた新しい商品や仕組み作りにも取り組んでいます。

 

・金属

チリ・センチネラ等の銅鉱山、豪州・ロイヒル鉄鉱山、ジェリンバイースト等の原料炭炭鉱等の中核鉱山権益において、生産の最適化や厳格なコスト管理、再生可能エネルギーの利用、先進技術の導入による操業の安定性や収益力の向上とグリーン化を推進し、既存事業の拡張や新規鉱区の開発にも取り組んでいます。また、EV(*)用廃電池リサイクル等の環境・循環型ビジネスにも積極的に取り組み、2023年1月に米国サーバ社への出資を実現しました。カナダでの100%水力発電由来電力を利用したアルミニウム生産事業及びグリーンな素材の供給等を通じ、責任ある生産に取り組み脱炭素社会の実現に貢献していきます。

(*) Electric Vehicle(電気自動車)

 

・エネルギー

相対的に低炭素でエネルギー転換期においてその重要性を増す天然ガス・LNG事業分野において、赤道ギニアでのLNGプロジェクト等の既存案件の安定操業や資産価値向上に資する取組みを着実に進めています。また、当社が強みを持つ石油、天然ガス・LNG、ウラン等でのトレード&マーケティング分野においても、着実に収益拡大に向けた取組みを推進しています。エネルギーや原料の安定供給への貢献と、バイオ燃料取引の拡充や環境価値取引の強化等の脱炭素化への取組みを両立しながら、様々な事業分野で社会や顧客の課題・ニーズを捉え、当社独自の機能を発揮しながら事業基盤の強化・発展に注力しています。

 

・電力

発電事業分野では、秋田県秋田港及び能代港における洋上風力発電事業の商業運転開始、カタールにおけるアル・カルサ太陽光発電所の電力供給開始、インドネシアにおけるチレボン1石炭火力発電所の事業期間短縮に向けた覚書締結等、脱炭素社会の実現に向けた取組みを強化しています。電力サービス事業分野では、英国・日本における再エネアグリゲーション事業(*)の拡充、送電線の監視・解析技術を提供する米国ラインビジョン社への出資、奄美大島における蓄電池併設型屋根置き太陽光発電の長期売電事業の実証等、電力産業における社会・環境課題の解決と持続可能な成長に寄与する取組みを推進しています。

(*) 再エネ電源を取り集め供給する事業

 

・インフラプロジェクト

社会インフラ分野では、川崎市が公募した等々力緑地再編整備・運営等事業に参画し、国内PFI(*)市場に進出しました。水分野では、チリ国営銅公社コデルコが保有する銅鉱山向け造水・送水事業案件において、ファイナンス・クローズを達成しました。交通インフラ分野では、豪州における路面電車システムの延伸に関わる官民連携事業に参画し、建設を進めています。循環型エコノミー分野では、英国で穀物・農業残渣等を原料とするバイオメタン製造・販売事業に進出しました。インフラファンド分野では、優良資産を積み上げるとともに、投資先のアセットマネジメントを着実に行っています。

(*) Private Finance Initiative(民間資金・ノウハウを活用した公共事業推進)

 

・航空・船舶

航空分野では、旅客需要の回復を見込み、航空機・エンジンの部品トレードや空港グランドハンドリング等、既存事業の基盤強化に注力しました。また、成田空港でのラウンジ事業や中部国際空港での貨物上屋事業を開始、大阪・関西万博において空飛ぶクルマの運航事業者に選定される等、新規事業分野への取組みも着々と進めました。船舶分野では、保有船事業が昨年度に続き堅調に推移しました。また、スペインのバウンド・フォー・ブルー社と共同で風力推進装置搭載プロジェクトを開始したほか、自律運航船や船員向け給与支給を電子通貨で行うことを可能にする電子通貨プラットフォームサービス事業等の新機軸ビジネスの創出・拡充にも積極的に取り組んでいます。

 

・金融・リース・不動産

自動車販売金融事業では、北米での提携先拡大等により業容が拡張しました。自動車フリートマネジメント事業では、将来的なEV普及も見据えた新規事業開発について、北米の有力企業と戦略的提携を行いました。次世代金融事業では、ブロックチェーン技術を用いて現物不動産を「電子記録移転権利」化して売買可能となるSTO(*)事業へ参画しました。国内中堅・中小企業を投資対象としたファンド運営事業では、アイ・シグマ事業支援ファンド4号を設立しました。不動産分野では、東京都でグランスイート世田谷仙川(分譲マンション)を販売、インドのプネ市での住宅開発・分譲事業へ参画しました。

(*) Security Token Offering(セキュリティー・トークン・オファリング)

 

・建機・産機・モビリティ

建設機械分野では、代理店事業の収益基盤強化・拡大に加え、デジタル技術を用いた情報化施工サービス等、機器販売に留まらない新たなサービス提供に取り組んでいます。産業システム・モビリティ分野では、米国における自動車アフターマーケット事業及び英国における自動車ディーラー事業の拡大に取り組むとともに、商用EVメーカーのフォロフライ株式会社との資本業務提携を通じた商用EV関連ビジネスへの参入や、モビリティ関連ビジネスの新規創出としてのオンデマンド交通・ラストマイル配送サービスの提供等、多角的な取組みを行っています。産業機械分野では、従来の産業機械・工作機械の販売のみならず、電子部品等の新たな取扱商品・機能・顧客基盤の拡充を進めています。

 

・次世代事業開発

2030年に向けて飛躍的な成長が見込める分野において、事業開発や事業投資を推進しています。スマートシティ・インフラ、新技術、医薬品、医療サービス、ウェルネス・ビューティー、教育、メタバース等の領域において世界の革新的なビジネスモデルを取り込むとともに、次世代消費者(Gen Z、ミレニアルズ)に嗜好されるプロダクトやサービスの開発にも注力しています。世の中の健康志向やウェルネスへの意識の高まりを背景に、中東での医薬品販売事業者Lunatus Marketing & Consultingに出資参画したほか、マレーシアにドラッグ&コスメティックストア「アインズ&トルぺ」を展開しています。また、東南アジアでのスマートシティ、次世代型工業団地開発等も積極的に推進しています。

 

・次世代コーポレートディベロップメント

コーポレートディベロップメント事業では、成長ポテンシャルの高い次世代消費者向けビジネスの取込みを目的とした投資活動を推進しています。シンガポールに設立した拠点を中心に活動を開始し、初号案件としてカナダ発大手コーヒーチェーンであるティムホートンズ社のフランチャイズ権を獲得、シンガポール、マレーシア、インドネシアで事業展開を進めていきます。今後は米国にも拠点を設立し、アジアと米国から次世代消費者向けビジネスの事業機会獲得に取り組みます。スタートアップ投資では、コーポレートベンチャーキャピタルをとおして、世界の革新的なビジネスモデルの取込みを推進しています。

 

② 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」に記載のとおりであります。

 

③ 仕入、成約及び販売の実績

(a)仕入の実績

仕入と販売との差異は僅少であるため、仕入高の記載は省略しております。

(b)成約の実績

成約と販売との差異は僅少であるため、成約高の記載は省略しております。

(c)販売の実績

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記4 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績の分析

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

8,508,591

9,190,472

 

681,881

売上総利益

895,331

1,051,295

 

155,964

営業利益

284,490

340,814

 

56,324

持分法による投資損益

236,555

286,767

 

50,212

親会社の所有者に帰属する

当期利益

424,320

543,001

 

118,681

(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。

 

収益は前連結会計年度比(以下「前年度比」という。)6,819億円(8.0%)増収の9兆1,905億円となりました。オペレーティング・セグメント別には主に、食料第二でGavilon穀物事業の売却に伴い減収となったものの、アグリ事業、エネルギー、食料第一で増収となりました。

 

売上総利益は前年度比1,560億円(17.4%)増益の1兆513億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。

 

電力

705億円増益

海外電力卸売・小売事業の増益及び台湾発電所EPC(建設請負)案件における工事遅延等に伴う追加コスト引当の前年度比減少

エネルギー

298億円増益

石油・LNGトレーディングにおける増益

 

食料第二

317億円減益

Gavilon穀物事業の売却に伴う連結除外による減益

 

営業利益は前年度比563億円(19.8%)増益の3,408億円となりました。

 

持分法による投資損益は前年度比502億円(21.2%)増益の2,868億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。

 

金融・リース・不動産

257億円増益

米国航空機リース事業の業績改善及び米国中古車販売金融事業の増益

電力

252億円増益

前年度に計上した電力IPP事業における一過性損失及びガス火力関連事業投資の減損損失の反動等

フォレストプロダクツ

120億円減益

国内洋紙製造・販売事業投資の減損損失等

 

上記に加えて、Gavilon穀物事業の売却が2022年10月3日に完了したことにより、当連結会計年度において売却益539億円を認識しております。なお、本株式譲渡に係る連結財務諸表への影響については、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記28 Gavilon Agriculture Investmentの再編及び株式譲渡について」に記載のとおりであります。

 

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度比1,187億円(28.0%)増益の5,430億円となりました。

 

当連結会計年度のオペレーティング・セグメント別の業績(親会社の所有者に帰属する当期利益)は以下のとおりであります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

ライフスタイル

5,454

4,466

 

△988

情報・物流

9,150

9,541

 

391

食料第一

14,509

11,553

 

△2,956

食料第二

46,438

76,934

 

30,496

アグリ事業

59,805

42,732

 

△17,073

フォレストプロダクツ

7,625

△9,382

 

△17,007

化学品

17,203

14,264

 

△2,939

金属

190,660

199,359

 

8,699

エネルギー

37,711

38,252

 

541

電力

△27,716

40,252

 

67,968

インフラプロジェクト

7,309

8,977

 

1,668

航空・船舶

26,642

28,198

 

1,556

金融・リース・不動産

7,019

43,775

 

36,756

建機・産機・モビリティ

22,546

23,846

 

1,300

次世代事業開発

△1,548

△2,809

 

△1,261

次世代コーポレートディベロップメント

865

△1,979

 

△2,844

その他

648

15,022

 

14,374

全社合計

424,320

543,001

 

118,681

(注)1. 当連結会計年度より、「情報・不動産」を「情報・物流」に、「金融・リース事業」を「金融・リース・不動産」に名称変更するとともに、「情報・不動産」の一部を「金融・リース・不動産」に、「アグリ事業」の一部を「食料第二」に、「電力」の一部を「建機・産機・モビリティ」に、「建機・産機・モビリティ」の一部を「ライフスタイル」に編入しております。また、「次世代コーポレートディベロップメント」を新設し、「次世代事業開発」の一部を「次世代コーポレートディベロップメント」に編入しております。これらに伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。

2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。

3. 「その他」には、特定のオペレーティング・セグメントに配賦されない本部経費等の損益、セグメント間の内部取引消去等が含まれております。

 

ライフスタイル

親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)は前年度比10億円減益の45億円となりました。これは、タイヤ・ゴム資材関連事業の増益があったものの、衣料品等の取引における貸倒費用及び衣料品等の企画・製造・販売事業に関連する一過性損失により減益となったものです。

 

情報・物流

当期利益は前年度比4億円増益の95億円となりました。

 

食料第一

当期利益は、前年度に計上した北米天然鮭鱒事業の売却益の反動等により、前年度比30億円減益の116億円となりました。

 

食料第二

当期利益は、肉牛処理加工・販売事業の減益があったものの、Gavilon穀物事業の売却益により、前年度比305億円増益の769億円となりました。

 

アグリ事業

当期利益は、旺盛な農業資材需要を背景としたHelena社の増益があったものの、肥料価格の下落に伴うMacroSource社の業績悪化により、前年度比171億円減益の427億円となりました。

 

フォレストプロダクツ

当期利益(損失)は前年度比170億円悪化の94億円の損失となりました。これは、パルプ市況の改善等に伴うムシパルプ事業の増益があったものの、ベトナム段ボール原紙製造・販売事業における需要低迷に伴う固定資産の減損損失及び国内洋紙製造・販売事業投資の減損損失等により悪化となったものです。

 

化学品

当期利益は、市況悪化に伴う石油化学品取引における減益及び飼料添加剤事業の業績悪化により、前年度比29億円減益の143億円となりました。

 

金属

当期利益は前年度比87億円増益の1,994億円となりました。これは、商品価格の下落に伴うチリ銅事業及び豪州鉄鉱石事業の減益があったものの、商品価格の上昇に伴う豪州原料炭事業の増益及び鉄鋼製品事業の増益により増益となったものです。

 

エネルギー

当期利益は前年度比5億円増益の383億円となりました。これは、受取配当金の減少及び金利収支の悪化があったものの、石油・LNGトレーディングにおける増益により増益となったものです。

 

電力

当期利益(損失)は、海外電力卸売・小売事業の増益及び台湾発電所EPC(建設請負)案件における工事遅延等に伴う追加コスト引当の前年度比減少等により、前年度比680億円改善の403億円の利益となりました。

 

インフラプロジェクト

当期利益は、FPSO(※)事業の増益等により、前年度比17億円増益の90億円となりました。

 

(※)Floating Production, Storage & Offloading system:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備

 

航空・船舶

当期利益は、航空関連事業における需要回復に伴う増益により、前年度比16億円増益の282億円となりました。

 

金融・リース・不動産

当期利益は、米国航空機リース事業の業績改善及び米国中古車販売金融事業の増益により、前年度比368億円増益の438億円となりました。

 

建機・産機・モビリティ

当期利益は、前年度に計上した国内太陽光発電事業関連益の反動があったものの、建設機械事業の増益により、前年度比13億円増益の238億円となりました。

 

次世代事業開発

当期損失は前年度比13億円悪化の28億円となりました。

 

次世代コーポレートディベロップメント

当期利益(損失)は、ファンド投資の評価損益の減少等により、前年度比28億円悪化の20億円の損失となりました。

 

② 当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性

(a)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)303億円(5.2%)増加の6,089億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業収入及び配当収入並びに営業資金負担の改善等により、6,063億円の収入となりました。前年度比では2,944億円の収入の増加であります。

 

基礎営業キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、5,842億円となりました。その内訳は以下のとおりであります。

 

(収入:+、支出:△)

調整後営業利益

(売上総利益+販売費及び一般管理費)

+3,468億円

減価償却費等

+1,565億円

利息の受取額及び支払額

△320億円

配当金の受取額

+1,950億円

法人所得税の支払額

△821億円

基礎営業キャッシュ・フロー

+5,842億円

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

海外事業における資本的支出や持分法適用会社の株式取得等があったものの、Gavilon穀物事業の売却収入を主な要因として、1,568億円の収入となりました。前年度比では2,365億円の収入の増加であります。

 

回収

当連結会計年度における投資の回収等(*1)による収入は、4,045億円となりました。

(*1)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額

 

主な回収案件は以下のとおりであります。

・Gavilon穀物事業(約3,300億円)

・石油・ガス開発事業(米国 メキシコ湾)

・銅事業株主融資(チリ)

・政策保有株式

 

新規投資・CAPEX(資本的支出)

当連結会計年度における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、2,477億円となりました。

(*2)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額

 

ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりであります。

 

セールス&マーケティング事業

・香辛料・調味料の製造・販売事業(オランダ Euroma)

・医薬品・医療機器販売事業(UAE Lunatus Marketing & Consulting)

・廃電池リサイクル事業(米国 Cirba)

・農業資材関連事業(米国 Helena Agri-Enterprises)

・農業資材関連事業(ブラジル Adubos Real)

・インスタントコーヒー製造・販売事業(ベトナム Iguacu Vietnam)

・肉牛の処理加工・販売事業(米国 Creekstone Farms Premium Beef)

・自動車販売事業(英国 Marubeni Auto Investment (UK))

 

安定収益型事業

・再生可能エネルギー等発電事業

・FPSO事業(ブラジル)

 

以上により、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、7,631億円の収入となりました。前年度比では5,309億円の収入の増加であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債及び借入金等の返済、配当金の支払及び自己株式の取得を行った結果、7,666億円の支出となりました。前年同期比では3,470億円の支出の増加であります。

 

(b)財政状態の状況

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結

会計年度末

当連結

会計年度末

 

増減

総資産

8,255,583

7,953,604

 

△301,979

ネット有利子負債

1,859,961

1,483,085

 

△376,876

親会社の所有者に帰属する持分合計

2,242,180

2,877,747

 

635,567

ネットDEレシオ

0.83

0.52

 

△0.31

ポイント

(注)1.ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。

2.当連結会計年度よりネットDEレシオの算出式における分母を「資本合計」から「親会社の所有者に帰属する持分合計」に変更しております。これに伴い、前連結会計年度末のネットDEレシオを変更後の算出式に基づき算出しております。

 

当連結会計年度末における総資産は、円安の影響等による増加があったものの、Gavilon穀物事業の売却による減少により、前年度末比3,020億円減少の7兆9,536億円となりました。ネット有利子負債は、円安の影響や支払配当等があったものの、フリーキャッシュ・フローでの収入により、前年度末比3,769億円減少の1兆4,831億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は、純利益の積上げによる利益剰余金の増加に加えて、円安による在外営業活動体の換算差額の増加及び米ドル金利上昇によるキャッシュ・フロー・ヘッジの評価差額の改善があったこともあり、前年度末比6,356億円増加の2兆8,777億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.52倍となりました。

 

(c)資本政策及び資本コストに関する考え方

当社は、中長期的な企業価値の向上を追求するため、稼ぐ力の継続強化、ROEの維持・向上、株主資本コストの低減を目指しております。新中期経営戦略「GC2024」では、ROIC、CROIC、RORAにより資本効率・リスクリターン効率を定期的にモニタリングすることで資産の優良化を図るとともに、事業指針SPPに則った戦略的資本配分により基礎営業キャッシュ・フローの最大化を目指し、ROEの維持・向上に取り組んでいきます。また、株主資本コストを十分に意識した経営を実施すべく、財務レバレッジの適正化のみならず、投資規律の徹底や投資の精度向上といった業績変動の改善に向けた取組みを行っています。加えて、コーポレート・ガバナンスや気候変動対策を含むサステナビリティへの取組み、人財戦略等、非財務面での施策も推進することで、中長期的な企業価値向上に向けた株主資本コストの低減に取り組んでいます。

 

当連結会計年度における資本配分の状況は以下のとおりであります。

当連結会計年度における基礎営業キャッシュ・フローは5,842億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入(Gavilon穀物事業売却に伴う回収資金を含む)と合わせた収入合計額は9,887億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は2,477億円となり、更に親会社の株主に対する配当金と自己株式の取得資金を合わせた1,682億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金増減等を除く)(※)は、5,728億円の収入となっております。なお、Gavilon穀物事業売却に伴う回収資金に相当する約3,300億円については債務返済に充当しております。また、当社の資本配分方針、株主還元方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

(※)基礎営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金を控除したもの。

 

(d)資金調達の方針及び手段

当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。

銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年にわたり金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。

また、財務基盤の強化に資する調達として、当連結会計年度末において永久劣後特約付ローン1,500億円、ハイブリッド社債(劣後特約付)750億円、ハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)250億円を有しております。

 

連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。

 

格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。

当連結会計年度末現在の長期格付は、Moody'sがBaa2(見通し「ポジティブ」)、S&PがBBB+(見通し「安定的」)、R&IがA+(見通し「安定的」)、JCRがAA-(見通し「安定的」)となっております。

 

(e)流動性の状況

当社及び連結子会社では、基礎営業キャッシュ・フロー等の収入や手元流動性(現金及び現金同等物並びに定期預金の保有)の確保に加え、コミットメントラインの設定により、営業資金や新規投資・CAPEX(資本的支出)といった資金需要、並びに1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務に対する流動性を準備しております。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は6,103億円となっております。

設定しているコミットメントラインは以下のとおりであります。

 

・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)

・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による555百万米ドル(長期)

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しており、連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に特に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりであります。

 

有形固定資産及び無形資産の減損

当社及び連結子会社は、各報告期間の期末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判定しております。資産が減損している可能性を示す兆候の内容は、主に、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。

有形固定資産及び耐用年数を確定できる無形資産については、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。公正価値は独立の第三者による評価結果を使用する等市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。使用価値の算定に当たって使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された事業計画や、それが入手できない場合は、直近の資産状況を反映した事業計画によって見積っております。石油・原油等の資源事業に係る開発設備及び鉱業権においては、将来油価・ガス価、鉱区ごとの開発コスト及び埋蔵量等を主要な仮定としております。使用価値の評価にあたり、見積られた将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した割引率を用いて現在価値まで割り引いております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、各報告期間の期末日において、過去に認識した減損損失がもはや存在しないか、又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合は、資産の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額が資産の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。戻入れ後の帳簿価額は、過去において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の帳簿価額(減価償却累計額控除後又は償却累計額控除後)を超えない範囲で認識しております。減損損失の戻入額は純損益として認識しております。

なお、のれんについて認識した減損損失を戻入れることはしておりません。

 

関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

当社及び連結子会社が保有している関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に関して、総合的に判断を行い、減損の客観的証拠がある場合には、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額は減損損失として純損益で認識しております。減損の客観的証拠の内容は、主に、市場性のある投資の市場価格の下落、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。また、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。公正価値は主に、売却予定価格等に基づき算定しており、使用価値は主に、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、認識した減損損失がもはや存在しない、又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、各報告期間の期末日に判定しております。このような兆候が存在する場合は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額がその投資の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入額は、その投資の回収可能価額が減損損失認識後に増加した範囲で認識しており、過去に認識した減損損失の金額を上限として純損益として認識しております。

 

偶発負債及び引当金

引当金は、当社及び連結子会社が過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。

訴訟案件に関する重要な引当金や偶発負債の見積りにあたっては、見積時点における訴訟プロセスの状況、訴訟戦略上の様々な選択肢や想定される将来の訴訟の趨勢も考慮のうえ、関連する事実関係や法律関係について、社外専門家を起用のうえ、当社の主張する法的立場の客観的な分析及び評価を実施しております。訴訟において当社が最終的に損失を被る可能性が高い状況であると考えられる場合に、信頼性をもって見積ることができる金額の引当金を計上しております。

 

当社の経営陣は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。

その他、重要な会計方針についての詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

④ 経営戦略の現状と今後の見通し

当社は、前中期経営戦略「GC2021」において定めた、2030年に向けた当社グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。また、収益基盤と財務基盤の充実・強化が進展したことを踏まえ、新たな株主還元方針(配当の基本方針及び中期経営戦略「GC2024」期間の株主還元)を2023年2月3日に公表しております。

詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

6【研究開発活動】

特に記載すべき事項はありません。