第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「事業を通じて社会に貢献する」ことを企業使命としており、持続的発展が可能な社会の実現に貢献することは企業使命に適うものであると認識しております。

 具体的には持続的発展が可能な社会の実現のために、温暖化などによる地球環境への影響を軽減する環境配慮事業を中核とする専門商社として、仕入先様・協力会社様などのご支援・ご協力をいただきながら、オリジナルな発想で当社ならではのソリューションをお客様に提供していくことが必要と認識しております。

 当社グループでは、2023年4月より中期経営計画「サステナV(バリュー)」(2023年4月より2026年3月までの3ヵ年計画)を遂行しております。「サステナV(バリュー)」では、「カーボンニュートラル社会の実現」に向けて変化する市場の成長機会を捉えた戦略組み立てによる価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目指します。

 市場成長機会と捉えている、サステナブルな社会の実現に貢献する「省エネ化」、「省力化」のニーズに対して、ターゲット市場で必要な機能・ソリューションを提供する機能商社として価値を創造、提供してまいります。価値創造を繰り返すことにより、機能商社として一大飛躍することを目指し、持続的な成長を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 中期経営計画「サステナV(バリュー)」では、以下の経営指標を掲げ、遂行しております。

総還元性向につきましては、ROE8%以上の達成に向けて資本効率性のさらなる向上が必要であるという認識のもと、サステナV(バリュー)の最終年度までの2年間(2025年3月期及び2026年3月期)の限定措置として、配当性向80%以上、総還元性向100%と変更する旨の方針を2024年8月8日に開示いたしております。

 

 

2026年3月期

親会社株主に帰属する当期純利益

19億円

ROE

8%以上

ROIC

6%以上

総還元性向

100%

 

(3)経営環境

 先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されておりますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっております。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がございます。

 建設関連市場においては、非住宅分野は着工床面積が概ね前年横ばいを予測されているなど、比較的堅調な市場推移が予想されます。住宅分野は住宅着工戸数が前年微減の予測など、前年に引き続き低調な推移となることが予想されます。また、再生可能エネルギー分野においては、日本政府がエネルギー政策の中で再生可能エネルギー導入の目標を掲げ、様々な施策を講じており、今後も、再生可能エネルギー市場は成長を続けることが予想されます。

 樹脂関連市場においては、米国の通商政策の影響により自動車市場に先行き不透明感が増しており、低調となることが予想されるため、関連する樹脂関連市場においても低調となることが予想されます。樹脂関連市場、繊維関連市場ともに、原材料費や労務費高騰による資材値上げ要請が続いており、原価の上昇圧力が続くことが予想されます。

 日本国内の民生電子機器市場及び白物家電市場は依然低調に推移しており、厳しい見通しが継続することが予想されます。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画「サステナV(バリュー)」では、事業ポートフォリオとして、縦軸に売上高成長率(ポテンシャル)を置き、横軸に収益性(営業利益)を置き、成長性と収益性の向上の両面を見据え、右上の基盤拡大注力事業と左上の将来投資事業を戦略領域と設定いたしました。投資枠としては「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」にて2022年3月期から2026年3月期の投資枠として設定した70億円を100億円超へと拡大したものを、2023年12月14日に150億円へとさらに拡大し、戦略領域に経営資源を投入してまいります。

 戦略領域では、これまで培ってきた様々な機能をもとに、将来的に大きな成長が見込める「省エネ化ニーズ」とターゲット市場において成長が顕在化している「省力化ニーズ」に焦点をあてております。具体的には、太陽光パネル、蓄電システム、V2H・急速充電器などの「再生可能エネルギー関連事業の拡大」、断熱材、省エネデバイスのモジュール化やアセンブリなどの「省エネルギー関連事業の拡大」、精密機器向け物流資材などの「環境対応」、耐火・断熱・耐震等の機能建材、省力工法などの「省力化貢献関連事業の拡大」などを推進してまいります。

 

0102010_001.png

 

2025年3月期は中期経営計画「サステナV(バリュー)」の2年目でありました。

 戦略領域を中心とした既存事業の拡大成長とともに、サンワホールディングスのM&Aを実行し、売上成長とともに利益成長を図ってまいりました。

将来投資事業領域において、再生可能エネルギー分野では、「電力のインターネット化」を可能とするデジタルグリッド技術による再生可能エネルギーの高度な普及を目指すDGキャピタルグループと、2023年4月に資本提携を行い、包括的に協業しデジタルグリッド技術の普及を図っております。2024年8月には、デジタルグリッド技術の普及をさらに加速するため、当社とデジタルグリッドルーターの開発・製造を行う株式会社DGパワーシステム(現:株式会社DGキャピタルグループ)との間で、デジタルグリッド関連機器の製造及び供給を行う合弁会社、株式会社DG Takashimaを設立いたしました。

また、2025年3月31日には、電気自動車の企画、開発、製造及び販売を行うスタートアップ企業であるASF株式会社への出資も実施しております。

 一方で、資本生産性向上のために、投資の実行とともに、政策保有株式売却を実行しております。加えて、ROE8%以上の達成に向けて資本効率性のさらなる向上が必要であるという認識のもと、還元方針の見直しを行っております。

 引き続き、資本生産性の向上を図るとともに、戦略領域を中心に既存事業の拡大とM&Aの実行による拡大を進めてまいります。

 

0102010_002.png

 

 さらに、持続的な成長を目指し、各本部では組織統合・再編を進めております。

 建材事業本部は、これまで地域別に統括していた組織を、対象市場へより直接的に対応するため、市場に応じた分野別の統括組織へと変更いたしました。具体的には、従来の東日本統括部、中日本統括部、西日本統括部、エネルギーソリューション事業推進統括部、建設ソリューション事業推進統括部を、建設事業統括部、基礎事業統括部、住建事業統括部、エネルギー事業統括部へと再編しております。

 また、組織力の強化と業務効率化を図るため、経営管理本部に属していた建材事業に関わる管理機能を、建材事業本部内に新たに設置した事業管理統括部へ移管いたしました。

 なお、経営管理本部は、グループ全体の統合をより強固にすることを目的に、経営統合本部へと名称を変更いたしました。

 産業資材事業本部では、まず、2025年4月1日付で、高島インダストリーズ株式会社を吸収合併存続会社、シーエルエス株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施いたしました。この吸収合併は、産業資材事業本部内の商社機能を一体化し、繊維事業において注力すべき市場への営業拡大や間接機能の統合などを実行することを目的としております

 加えて、同日付で、高島インダストリーズ株式会社を完全親会社とし、タクセル株式会社、ハイランド株式会社、及び株式会社信防エディックスを完全子会社とする株式交換も実施いたしました。この株式交換は、高島インダストリーズ株式会社が産業資材事業本部における親会社となることで、事業運営における意思決定の迅速化や、人材投資を行いやすい制度・環境の整備をより一層推進し、事業環境に適した運営体制を構築することで、事業本部の一体経営を推進し、発展を図ることを目的としております。

 電子・デバイス事業本部では、グループ会社であり中核企業であるiTak (International) Limitedにおいて、機能強化と役割の明確化を目的に、営業本部を電子デバイス事業本部と電子機器事業本部に組織変更いたしました。

 また、機能強化のため技術本部を開発本部に名称変更し、従来iTak (International) Limited 社長直轄組織であった品質管理推進室を品質管理部と改称し、開発本部の下に配置するとともに、技術部を新設いたしました。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社はサステナの先進商社として、サステナビリティ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目標としております。当社は下記のサステナビリティ基本方針を策定し、これをもとに継続的な活動を続けております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

サステナビリティ基本方針

 高島グループは、『事業を通じて社会に貢献する』という企業使命に基づき、持続的な価値創造と企業価値向上の好循環を創ることで、持続的成長を目指します。

 

・サステナビリティ社会実現に貢献する事業活動を行います。

 サステナビリティ社会の実現に貢献する商材の開発、拡販を行うとともに、温室効果ガスの排出削減や自然資源の効率的な利用など、環境保全に貢献することを目指します。

 

・社会課題に取り組むことで、企業としての持続性を高めます。

 従業員の働きがい向上、エンゲージメント向上により、持続的成長に不可欠な人財の確保・強化に努めます。

 

・企業統治の強化を図り、リスクマネジメントとコンプライアンスの徹底を行います。

 企業統治の強化を図り、透明性のある情報開示やコミュニケーションを行い、ステークホルダーと協働しともに新たな価値創造を目指します。

 

(1)気候変動への対応

①ガバナンス

 当社グループは、創業当時より「事業を通じて社会に貢献する」ことを企業使命として掲げており、オリジナルな発想を活かした当社グループならではの方法で社会にアプローチすることで世の中に役立ち、その結果として当社グループも発展したいと考え、長らく事業活動を行ってまいりました。

 この企業使命を念頭に、サステナビリティに関する取り組みを推進すべく、2022年1月1日付でサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会では、環境や社会といった当社グループのサステナビリティを推進するために、サステナビリティの推進に当たっての基本方針や目標などの検討課題について討議してまいります。

 サステナビリティ委員会で検討した内容等は、取締役会で適宜審議又は報告がなされるなど、取締役会による適切な監督体制を整えております。

②戦略

 当社は、気候変動を含むサステナビリティ関連のリスク及び機会を認識し、活動を行っております。気候変動に関しましては、世界中で異常気象による被害が相次いでおり、十分な対策を施さなければ被害はさらに深刻化し、地球規模の被害をもたらす危険性が指摘されております。こうした状況のもと、2016年に発効したパリ協定には、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが長期目標として定められております。

 このように『2℃未満』のシナリオの実現に向けて世界が動こうとする中、当社ではこれをリスクとともに機会と捉え、気候変動に対する具体的な行動指針・目標とする指標をサステナビリティ委員会で検討しております。

 当社では、中期経営計画「サステナV(バリュー)」において、カーボンニュートラル社会の実現に向けて変化する市場の中で、成長機会を捉えた戦略組み立てによる価値創造を実施してまいります。サステナブルな社会に貢献する省エネ化、省力化を通じ、ターゲット市場で必要な機能、ソリューションを提供し、持続的発展が可能な社会の構築に貢献してまいります。

③リスク管理

当社グループにとって、気候変動は重要なリスクのひとつであり、グループで取り組むリスクと認識しております。

 当社グループでは気候変動のリスク及び機会について、サステナビリティ委員会メンバーの参加するワーキンググループを設置し、TCFDの提言に基づいたシナリオ分析を行い、重要なリスク及び機会を特定し、影響の度合いを評価いたしました。引き続き、サステナビリティ委員会で、継続的にリスク分析、対策の立案、進捗管理をしてまいります。

 現在、当社では、全社的なリスクマネジメント体制の中のひとつとして、環境に関するリスクマネジメント体制を構築し、気候変動リスクへの対応を進めていくために、環境管理委員会、サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会で連携し、会社として統合的なリスク管理を行い、実効性を高めております。今後も引き続き、気候変動リスクを評価し、対応するための体制の充実に取り組んでまいります。

 

④指標及び目標

 サステナビリティ、特に気候変動に対する取り組みとして、当社ではGHG(温室効果ガス)の削減が重要であると考えております。当社では、2021年度分からScope1、2の排出量の算定を始めております。現在は国内グループ会社のみの算出・対応ですが、対象を順次拡大し、そのほかの国内外の当社グループ会社についても、排出量の算定を進めてまいります。

 Scope3については、当社はサプライチェーンの全体スキームを構築し、必要な機能・ソリューションを提供する機能商社として、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルを推進することが当社の社会的責任だと認識しております。

 GHG排出量削減に当たっての目標は、2022年度におけるGHG排出量実績(Scope1,2)を基準としたときの排出量を、2030年度に35%削減することとしております。引き続き定期的に排出量を点検し、削減に努めてまいります。

 

(2)人的資本に関する取組

①ガバナンス

 当社は創業当時より「誠実一筋」を経営姿勢として掲げており、当社で働く従業員が誠意をもって約束を守り、明るく素直で、また謙虚で、感謝の念を忘れず、法令遵守はもとより、規律を守り、正しいマナーを身につけることにより、信用と信頼を蓄積していくこと、を全ての従業員の共通認識として活動をしております。この活動を組織として推し進めるべく、各本部長を委員とした人事協議会にて人的資本に関する協議、検討を行っております。協議、検討した内容等は、取締役会や経営会議で適宜審議又は報告がなされるなど、適切な監督体制を整えております。

②戦略

 当社ビジネスの根幹を支える「人」への投資として、「キャリア型人財」(従業員一人ひとりが経営力と専門力を掛け合わせ、自身にあるキャリアオーナーシップを発揮し社内外で価値創造を実現できる人財)への成長を推進し支援することで、人財の充実を図り企業価値向上と持続的成長を実現してまいります。これを実現すべく、当社は従業員が自身の描くキャリアが築ける環境を整備し、上司はこれに伴走しメンバーに必要なキャリア形成の環境づくりと適正なフィードバックによるキャリアゴール達成をサポートしてまいります。

・多様性

 当社は社会変化や技術変化が大きい現代において、社会に価値を提供し続け、市場に選ばれ続ける企業となるには、強靭な経営力と他社よりも優れた専門性が不可欠と考えております。そのため、全ての従業員が経営力と専門性を培った「キャリア型人財」となり、サステナブルな企業価値を向上すべく多様な人財が活躍し、その役割を果たしていくことを目指しております。これを実現するため、当社の課題である職種ごとの人財の多様化に向け、総合職では外国人、女性、理系の採用を、事務職では外国人、男性の採用をそれぞれ積極的に取り組んでおります。

・人材育成方針

 当社は2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けたサステナブルな社会へ適応すべく、2030年を目標に機能商社としての一大飛躍を展望しております。2023年4月から始まった中期経営計画「サステナV(バリュー)」に掲げている企業価値向上を促進するため、当社は最重要資本である従業員が「キャリア型人財」に成長するための当社独自の育成モデルを展開しております。また、グループ会社を含めたあらゆる組織の中で、適所適材となるキャリアを築くことができる環境と役割を担う機会を提供してまいります。そして、戦略領域への事業展開を推進するため、多彩なキャリアを持つ人材を積極的に採用していくことで多様性を持つ「キャリア型人財」の育成も並行して取り組んでおります。

・社内環境整備方針

 2021年4月から始まった新人事制度は「キャリア型人財」育成を目指したツールと位置付けております。「ツールは磨かれることで初めて正しく機能する」との考えの下、適切な改善を迅速かつ適宜に実行し、急速に変化する社会情勢に適応し進化適合していくことで着実な成長を遂げる人財を育成していきます。このために、持続的な支援(キャリアサポート)に取り組み、多様な人財が能力を発揮し活躍できる職場環境づくりを推進してまいります。また、安心と安全を確保するために、介護休業や男性育児休業を希望する従業員が、仕事と個人の生活を統合させながら働き続けられる環境を整えるため、従業員の適正な労働時間管理と安全教育研修を継続してまいります。

③リスク管理

 当社は毎期人財データをもとに様々な視点で分析を行い、人的資本リスクを見出しております。この結果を人事協議会にてアセスメントを実施し、取締役会や経営会議で適宜審議又は報告がなされ、理解と対応策を講じております。また、サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会と連携し、会社として統合的なリスク管理を行い、実効性を高めております。

 現在、当社の最重要資源である人財の価値向上に資するため、積極的な採用活動による人材強化、人材成長を促進する人材育成策の着実な推進、新規入社者の早期離職防止策の実行、エンゲージメントサーベイを活用したエンゲージメント向上などに取り組んでおります。これらの取り組みにより、当社は人的資本のリスクを効果的に管理し、人財の価値向上に努めるとともに、企業全体での連携を強化し、持続可能な成長を目指してまいります。

④指標及び目標

 当社グループの管理職における女性比率は17.7%、中途採用者比率は75.9%、外国人比率は21.7%(全て2025年3月末時点)となっております。2025年度には当社グループの管理職における女性比率を20.0%、外国人比率を30.0%にそれぞれ達することを目標とし、これまで以上に多様性の促進を行ってまいります。

 

 当社グループは、サステナビリティ先進商社として、これからも持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組みを推進してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであります。

(1)経済状況

 当社グループの売上高のうち、重要な部分を占める建材セグメントについては、民間設備投資・公共事業・住宅着工戸数などの状況の変化により大きな影響を受けます。産業資材セグメントについては、国内民間設備投資の低迷が、加えて産業資材セグメント及び電子・デバイスセグメントについては、アジアをはじめとする海外諸国の経済状況の悪化などによる納入先の減産が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がございます。消費財並びにその材料については、個人消費の伸び悩みによる影響を受けることもございます。経済状況の変化に対応し、随時、営業施策の見直しを図り、対処しております。

(2)太陽光発電事業に対する政策変更

 電力会社の余剰電力買取価格(住宅用)並びに固定買取価格(産業用)の減額などの政策変更及び電力会社の再生エネルギー申請受理遅延、出力抑制規制などにより需要に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がございます。政策変更に応じた営業施策の構築・展開を図り、対処しております。

(3)為替レートの変動

 当社グループの取引の中には海外との輸出入取引、海外拠点での外貨での取引があり、その中の外貨建取引については、為替相場の変動によるリスクがございます。為替相場変動の影響を全て排除することは不可能であり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。為替レートの変動リスクをヘッジし、為替相場変動の影響を緩和する目的で、為替予約等の対策を講じて対処しております。

(4)企画・開発・提案

 当社グループでは、商社であることの特徴を活かし、現場を重視した、それぞれの顧客に対して最適なソリューションを企画・開発・提案することで顧客満足を得ております。これらの機能においては、企画力・開発力・提案力などがキーポイントであり、その機能の複合的な活用ができない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。各事業本部にて企画・開発・提案をするのみならず、企画部門が支援することで、より最適なソリューションを提供することに努めております。

(5)価格競争力

 当社グループが関わるほとんどの業界において、大変厳しい価格競争を展開しております。競合する他社の中には、当社グループよりも多くの研究、開発、製造、販売の資源を保有しており、次々と低価格で新しい機能を持たせた商品を市場に投入してくるところもございます。価格競争力は、受注できるかどうかの要素として大きなウエイトを占めており、価格面での圧力による取引の減少あるいは利益率の低下は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。当社ならではの顧客へのソリューションを提供していくことで、価格競争のみに左右されない付加価値の提供に努めております。

(6)取引先の信用リスク

 当社グループの取引先の経営状況が市場の変動や業界の再編成などにより財務上の問題に直面した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。取引先の信用状況に応じた保全策を講じて対処しております。

(7)投資の減損処理

 当社グループでは、長期的な取引関係維持のために特定の取引先に対する出資を行っておりますが、これらの投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損処理をしております。従って、市況悪化などにより投資先の業績が不振となり、現在の簿価に反映されていない損失又は回収不能が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。取引先への投資価値については、定期的にその価値を検証し、継続出資の是非を判断しております。

(8)固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産を保有しておりますが、固定資産の減損に係る会計基準の対象となる資産又は資産グループについて減損損失を認識すべきであると判定した場合には、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当該期の損失とすることとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

(9)のれんの減損処理

 当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれん及び無形資産を計上しております。当該のれん及び無形資産につきましては事業価値を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の変化等により当初期待した成果が得られない場合、のれん及び無形資産の減損処理等が発生し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

 

(10)棚卸資産

 当社グループの棚卸資産は、景気後退に伴う需要の減少、各市場における競合他社の新製品の台頭、季節性商品の市場価格の下落などにより、その価値が減少することがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。在庫状況、特に長期滞留在庫状況については別枠にて把握し、事業部門及び管理部門の役職者を参加者として、長期滞留在庫状況の確認、対策を検討する定期的な会議体を開催しております。

(11)災害・事故等

 地震や水害などの自然災害、火災や事故等の発生により、社屋や所有資産の損壊、営業機能や本社機能の停止、その復旧費用の発生などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。グループ各社にて事業継続計画(BCP)を作成し、万が一の発生時の対応を明確にしております。

(12)品質管理

 当社グループは所定の品質管理基準に従って各種製品を提供しておりますが、予測しえない品質トラブルや製造物責任に関わる事故が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。継続反復的な取引を行う仕入先、製造委託先に対しては、取引基本契約の中で商品・製品の品質に関わる責任を明確にし、リスクヘッジの対策を講じております。

(13)法的規制等

 当社グループが営む事業は、建設業法、下請法、独占禁止法等の様々な法的規制を受けており、当社グループにおいて違法な行為があった場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。コンプライアンス遵守の会社方針に則って日々の業務を遂行しており、万が一の問題発覚時には賞罰を含む再発防止策を講じ、適正化を図って対処しております。

(14)情報セキュリティ

 当社グループは、技術、営業、その他の事業に関する営業機密を多数有しております。当社グループでは、情報管理において万全の態勢を構築しておりますが、予期せぬ事態によって情報が外部に流出し、これを第三者が不正に取得し、使用する可能性もございます。こうした事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。情報システム対応の専門組織を設置し、最新技術動向を踏まえた情報セキュリティ対策を講じております。

(15)内部管理体制

 当社グループは、グループ企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。しかしながら、事業の拡大や多角化等により、十分な内部管理体制の構築、整備、運用が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)当期の経営成績の概況

 当社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナV(バリュー)」において親会社株主に帰属する当期純利益1,900百万円、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の達成を目標として掲げております。

 当連結会計年度における当社グループの売上高は94,503百万円(前連結会計年度比4.9%増)、営業利益は2,129百万円(同21.8%増)となりました。各セグメントの経営成績については後述のとおりであります。

 経常利益につきましては、在外子会社における現地通貨安の影響による為替差損が増加したことなどによって横ばいとなり、2,024百万円(同1.0%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期に発生した賃貸ホテル等の売却益の影響で減少し、1,566百万円(同67.6%減)となりました。

 EBITDAは3,744百万円(同21.2%増)となりました。

 ROEは6.6%となり資本コストを上回り、ROICは4.4%となりWACCを上回りました。ROEにつきましては、前期に発生した賃貸ホテル等の売却益の影響で15.8pt減少、ROICにつきましては、投下資本は増加しましたが、営業利益の増加に伴い0.2pt上昇、WACCにつきましては、株主資本コスト及び有利子負債コストの減少により1.0pt減少しております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減額

増減率

売上高

90,120

94,503

4,382

4.9%

営業利益

1,748

2,129

381

21.8%

経常利益

2,004

2,024

20

1.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

4,832

1,566

△3,265

△67.6%

EBITDA

3,091

3,744

653

21.2%

ROE

22.4%

6.6%

△15.8pt

ROIC

4.2%

4.4%

0.2pt

株主資本コスト

5.7%

5.0%

△0.7pt

WACC

4.5%

3.5%

△1.0pt

 EBITDA:営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

親会社株主に帰属する当期純利益の推移

0102010_003.png

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 なお、2024年3月期にアセットアロケーションの見直しを実施しており、産業資材セグメントの事業再編、主要な固定資産の売却に伴い、従来賃貸不動産セグメントに区分していた一部物件を「建材」、「産業資材」に変更しております。また、各セグメントにおける利益の状況及び各部門が直接的に担う利益水準をより明確にするため、従来セグメントごとに配賦していた全社費用を配賦する前のセグメント利益を開示しており、当該全社費用は調整額に含めて開示しております。

 前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分に基づき作成したものを記載しております。

<セグメント売上高>

 

 

 

 

(単位:百万円)

セグメント

前期

当期

増減額

増減率

売上高

構成比

売上高

構成比

建材

58,180

64.4%

61,017

64.5%

2,837

4.9%

産業資材

17,188

19.0%

17,998

19.0%

810

4.7%

電子・デバイス

14,795

16.4%

15,514

16.4%

719

4.9%

賃貸不動産

143

0.2%

△143

△100.0%

合計

90,307

100.0%

94,531

100.0%

4,223

4.7%

調整額

△187

△28

158

連結財務諸表計上額

90,120

94,503

4,382

4.9%

(注)調整額はセグメント間取引の消去であります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<セグメント利益>

 

 

 

 

(単位:百万円)

セグメント

前期

当期

増減額

増減率

営業利益

構成比

営業利益

構成比

建材

1,965

62.0%

1,671

48.4%

△293

△15.0%

産業資材

707

22.4%

1,054

30.5%

346

49.0%

電子・デバイス

411

13.0%

727

21.1%

316

77.0%

賃貸不動産

82

2.6%

△82

△100.0%

合計

3,166

100.0%

3,453

100.0%

286

9.1%

調整額

△1,418

△1,324

94

連結財務諸表計上額

1,748

2,129

381

21.8%

(注)調整額はセグメント間取引の消去及び各報告セグメントに配分していない全社経費であります。

 

①建材セグメント

 建材セグメント全体の売上高は61,017百万円(同4.9%増)、セグメント利益は1,671百万円(同15.0%減)となりました。

 建設資材分野は、案件獲得が堅調に推移したこと、及び2023年6月に連結子会社化した岩水開発株式会社について前期は8か月分の寄与であったものが当期については12か月分の寄与となったことにより増収となりました。また、再生可能エネルギー分野、断熱資材分野、住宅資材分野の各分野においても機能強化策が奏功し増収となりましたが、セグメント利益については、建設資材分野において一部物件の収益性が下振れたこと、及び間接経費の負担が増加したことにより減益となりました。

 

②産業資材セグメント

 産業資材セグメント全体の売上高は17,998百万円(同4.7%増)、セグメント利益は1,054百万円(同49.0%増)となりました。

 樹脂関連資材分野は、自動車関連や電子機器・精密機器関連の部材・物流資材を中心に受注が拡大したことにより増収となりました。繊維関連資材分野は、アパレル製品やランドセル資材の消費者向け繊維が縮小しましたが、運搬車両用資材を中心とする重布関連や、防衛省向け装備品等の産業用繊維の受注が大きく拡大したことにより増収となりました。セグメント利益については、樹脂資材・繊維資材の両分野で増収したことに加えて、連結子会社の工場稼働率が向上したことにより増益となりました。

 

③電子・デバイスセグメント

 電子・デバイスセグメント全体の売上高は15,514百万円(同4.9%増)、セグメント利益は727百万円(同77.0%増)となりました。

 日本国内の民生電子機器市場及び白物家電市場は依然低調に推移しております。デバイス分野は、電子部品の供給不足の反動で主要顧客に積みあがっていた部品在庫の出荷が進んだことにより、受注数が増加し、増収増益となりました。一方で、アセンブリ分野も、白物家電関連は低調に推移しましたが、デジタルカメラ関連が前年より受注が拡大し、増収増益となりました。

 

④賃貸不動産セグメント

 前連結会計年度において賃貸ホテルの売却を行っているため、当連結会計年度においては売上高、セグメント利益ともに発生しておりません。

 

売上高、営業利益のセグメント別構成比は次のとおりです。

0102010_004.png

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,065百万円となり前連結会計年度末と比べ3,259百万円の減少となりました。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動における資金の減少は、2,740百万円(前連結会計年度は6,057百万円の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払、仕入債務の減少により減少したこと等によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動における資金の減少は、1,282百万円(前連結会計年度は2,519百万円の増加)となりました。主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得、貸付けによる支出、有形固定資産の取得により減少したこと等によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動における資金の増加は、419百万円(前連結会計年度は4,128百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入金の増加により増加し、一方で長期借入金の返済、配当金の支払により減少したこと等によるものであります。

 

販売及び仕入の実績

(1)販売実績

 当連結会計年度における当社グループの販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建材

61,004

105.2

産業資材

17,998

104.7

電子・デバイス

15,500

104.9

合計

94,503

104.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.2024年3月期にアセットアロケーションの見直しを実施しており、産業資材セグメントの事業再編、主要な固定資産の売却に伴い、従来賃貸不動産セグメントに区分していた一部物件を「建材」、「産業資材」に変更しております。前年同期比のセグメント情報は変更後の区分に基づき作成したものを記載しております。

 

(2)仕入実績

 当連結会計年度における当社グループの仕入実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

建材

53,931

106.0

産業資材

15,172

107.3

電子・デバイス

12,451

99.6

合計

81,555

105.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.2024年3月期にアセットアロケーションの見直しを実施しており、産業資材セグメントの事業再編、主要な固定資産の売却に伴い、従来賃貸不動産セグメントに区分していた一部物件を「建材」、「産業資材」に変更しております。前年同期比のセグメント情報は変更後の区分に基づき作成したものを記載しております。

 

財政状態、経営成績の状況の分析

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末において、流動資産は41,351百万円(前連結会計年度末比5.8%減)となりました。主な要因は、売掛金が1,939百万円、現金及び預金が3,290百万円それぞれ減少し、一方で前渡金が875百万円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は18,693百万円(同13.1%増)となりました。主な要因は、長期貸付金が549百万円、有形固定資産が1,683百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 流動負債は27,808百万円(同14.0%減)となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が3,192百万円、一年内返済長期借入金が2,139百万円それぞれ減少し、一方で短期借入金が3,538百万円増加したこと等によるものであります。

 固定負債は8,311百万円(同85.5%増)となりました。主な要因は、長期借入金が3,067百万円、社債が480百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 純資産は23,924百万円(同1.5%増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,566百万円、為替換算調整勘定が756百万円それぞれ増加し、一方で配当金の支払いにより利益剰余金が1,377百万円減少したこと等によるものであります。

 

(2)経営成績の分析

 当社グループにおける売上高は、94,503百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。

 セグメント別の売上高については、「(経営成績等の状況の概要)(1)当期の経営成績の概況」をご参照ください。

 売上原価は81,471百万円(同4.7%増)、売上原価率は前連結会計年度より0.2ポイント減少し86.2%となり、売上総利益は13,032百万円(同6.0%増)となりました。

 販売費及び一般管理費は、従業員給料及び手当、のれん償却費の増加などにより、合計では10,903百万円(同3.4%増)となりました。

 以上の結果、2,129百万円の営業利益(同21.8%増)となりました。

 営業外収益は、受取利息73百万円、受取配当金119百万円等の発生により、328百万円(同10.0%減)となりました。

 営業外費用は、支払利息103百万円、為替差損249百万円等の発生により、432百万円(同297.5%増)となりました。

 以上の結果、2,024百万円の経常利益(同1.0%増)となりました。

 特別利益は、投資有価証券売却益381百万円等の発生により、418百万円(同92.3%減)となりました。

 特別損失は、退職給付制度終了損13百万円等の発生により、22百万円(同85.3%減)となりました。

 以上の結果、1,566百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(同67.6%減)となりました。

 

キャッシュ・フローの状況の分析及び資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(1)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は9,065百万円と、前連結会計年度末より3,259百万円の減少(前連結会計年度は4,552百万円の増加)となりました。

 なお、営業活動・投資活動・財務活動それぞれのキャッシュ・フローの詳細については「(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入高、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A及び設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 これらの資金需要については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入による資金調達を行うこととしております。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

①棚卸資産

 当社グループの棚卸資産の中の一部には、季節性のある商品も含まれるため、経年による陳腐化や市場価値の下落により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

②繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

③貸倒引当金

 当社グループ取引先の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当金の計上が必要になる場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

④退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼし、一層の割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

⑤固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

 

⑥のれんの減損

 当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社等の業績や事業計画をもとに毎期検討しておりますが、将来において当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合、のれんの減損を実施し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がございます。

 

5【重要な契約等】

 (取得による企業結合)

 当社は2025年1月23日に株式会社サンワホールディングスの全株式を取得(2025年2月3日株式取得完了)する株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載

のとおりであります。

 

 (合弁会社の設立)

 当社は、2024年8月8日開催の取締役会において、株式会社DGパワーシステム(現:株式会社DGキャピタルグループ。以下、「DGパワーシステム」という。)とデジタルグリッド技術の普及に向けた合弁会社の設立を前提とした合弁契約締結について決議し、当該決議に基づき株式譲渡契約書及び合弁契約書を締結いたしました。

 

1.設立の理由

 当社は企業使命として「事業を通じて社会に貢献する」を掲げ、建材事業、産業資材事業、電子・デバイス事業を展開しております。建材事業では、住宅市場、非住宅市場向けに壁材、基礎杭工法、断熱材、太陽光パネル関連資材、インテリアなど、建設・建装に関わる様々な商材を取り扱い、販売ネットワークを全国に構築し、企画、設計から施工までの幅広い工程を請け負っております。

 中でも、再生可能エネルギー分野では、1994年から再生可能エネルギー関連の商材の取り扱いを開始しており、業界トップクラスの実績を誇っております。当社ではさらなる再生可能エネルギーの普及に向け、太陽光発電システムのほか、「V2H」や「蓄電池」などの新たなエネルギー商材もお客様に提供しております。

 現在、当社の再生可能エネルギー分野では、「電力のインターネット化」を可能とするデジタルグリッド技術にて再生可能エネルギーの高度な普及を目指しているDGキャピタルグループと2023年4月に資本提携を行い、包括的に協業しデジタルグリッド技術の普及を図っております。この度、デジタルグリッド技術の普及をさらに加速するため、当社とデジタルグリッドルーターの開発及び製造を行っているDGパワーシステムとの間でデジタルグリッドの機器の製造及び機器の供給を行う合弁会社を設立する合弁契約を締結いたしました。

 今回の合弁契約のもと、新たに設立いたしました合弁会社においては、両社の強みを生かし、デジタルグリッド技術の普及が進むにつれ、需要の高まりが予想されるグリッドフォーミング機能を有するインバーターであるデジタルグリッドルーターを製造することで、業績の拡大を図ってまいります。

 

2.合弁会社(新会社)の概要

(1)

名称

株式会社DG Takashima

(2)

所在地

東京都大田区平和島6丁目1-1

東京流通センター物流ビルA棟AE2-7-2

(3)

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 新海 優

代表取締役副社長 南 貴之

(4)

事業内容

DGR(デジタルグリッドルーター)の製造・販売等

(5)

資本金

1,000万円

(6)

設立年月日

2024年8月28日

(7)

決算期

9月

(8)

出資比率

株式会社DGパワーシステム(現:株式会社DGキャピタルグループ):51%

高島株式会社:49%

 

 (連結子会社間の吸収合併)

 当社は2024年12月19日開催の取締役会において、当社の連結子会社である高島インダストリーズ株式会社を存続会社、当社の連結子会社であるシーエルエス株式会社を消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2024年12月23日付で吸収合併契約を締結し、2025年4月1日付で吸収合併いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

6【研究開発活動】

 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(建材セグメント)

 連結子会社である岩水開発㈱で地盤改良に関する新たな工法や技術を開発し、その成果を広く普及させることを主眼として研究開発活動を行っております。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は11百万円であります。

 

(産業資材セグメント)

 連結子会社であるタクセル㈱でプラスチック加工領域における独自技術を開発し、その成果を広く普及させることを主眼として研究開発活動を行っております。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は49百万円であります。