(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、米国においては堅調な内需を背景に景気が順調に拡大した一方、中東・欧州での政情不安や世界経済を牽引してきた中国の成長鈍化、アジア・新興国経済の失速や原油価格の低迷を背景に、世界的に景気下振れリスクが高まるなど、不透明な状況が継続いたしました。
わが国経済は、個人消費の回復には伸び悩みが見られるものの、順調な企業業績や雇用の改善により、景気は緩やかながらも回復基調にあります。
このような環境のもと、当社グループは創業130周年に向け更なる成長を実現するための5ヵ年の中期ビジョン「VISION-130」を策定し取り組んでおります。VISION-130では、「健全な財務体質の維持」と「収益基盤の拡大」の両立を経営目標としており、当連結会計年度の進捗は次のとおりです。
収益基盤の拡大としては、VISION-130で掲げる主要重点6分野を中心に積極的な事業展開を進めました。具体的には、モバイル事業において、株式会社ダイヤモンドテレコムの買収を決定し、携帯販売代理店業界におけるシェア拡大に向けた取組みを進めました。また、食料分野では、酪農・畜産向けクラウドサービス開発を行う会社への出資によるスマートアグリ分野への進出、畜産業の6次産業化支援を進めるために長年の取引先などとの共同出資を実施しております。航空機関連では、米国セスナ社の人気の高いジェット機であるサイテーションシリーズの国内官公庁向け販売代理権を獲得いたしました。今後、より積極的な営業活動を展開して参ります。さらに、日系メーカーの海外進出支援の一環として、アジア進出支援ファンドを取引金融機関と共同で設立し、第一号案件への投資も実行いたしました。
健全な財務体質の維持としては、順調な利益剰余金の積上げ等により自己資本が増加した結果、当連結会計年度末の自己資本比率は20.6%となり、前連結会計年度末比で1.2ポイント改善いたしました。また、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.5倍の水準となりました。なお、2016年3月に約20年ぶりとなる普通社債100億円を発行し、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を図りました。
当連結会計年度の業績につきましては、収益は、前連結会計年度比358億37百万円(5.1%)減少の6,683億74百万円となりました。売上総利益は、前連結会計年度比16億42百万円(1.9%)減少の862億38百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加およびその他の収益・費用の悪化もあり、前連結会計年度比47億75百万円(20.3%)減少の187億72百万円となりました。税引前利益は、金融収支が改善したものの持分法による投資損益の悪化により、前連結会計年度比42億51百万円(19.0%)減少の181億22百万円となりました。当期純利益は、税引前利益から法人所得税費用73億13百万円を控除した結果、108億8百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期純利益は前連結会計年度比15億87百万円(15.0%)減少し、89億59百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
① 電子・デバイス
ICTソリューション事業は、製造業向け取引が順調に推移し、モバイル事業も好調に推移いたしました。一方、半導体部品・製造装置事業は、中国経済の停滞、スマートフォンの需要減速などのため、苦戦いたしました。
その結果、電子・デバイスセグメントの収益は前連結会計年度比37億98百万円増加の2,350億28百万円、営業活動に係る利益は5億6百万円増加の106億58百万円となりました。
② 食料
食品事業は、農産品取引を中心に堅調に推移いたしました。一方、畜産事業および食糧事業は、大幅な相場下落の影響により苦戦いたしました。
その結果、食料セグメントの収益は前連結会計年度比88億57百万円増加の2,225億77百万円、営業活動に係る利益は19億38百万円減少の14億27百万円となりました。
③ 鉄鋼・素材・プラント
エネルギー事業は、冬場の冷え込みを主因とする灯油・重油の堅調な国内需要により順調に推移いたしました。機能性化学品事業は、消費税増税後の落込みから回復いたしました。プラント事業は、工作機械・産業機械関連取引において堅調に推移いたしました。一方、鉄鋼事業は、原油価格の低迷により主力の油井管事業が苦戦いたしました。
その結果、鉄鋼・素材・プラントセグメントの収益は前連結会計年度比666億88百万円減少の1,352億69百万円、営業活動に係る利益は29億57百万円減少の33億88百万円となりました。
④ 車両・航空
車両・車載部品事業は、二輪・四輪車用部品取引を中心に順調に推移いたしました。航空・宇宙事業は、航空機部品取引が好調に推移したほか、宇宙関連取引も堅調でした。
その結果、車両・航空セグメントの収益は前連結会計年度比113億96百万円増加の637億92百万円、営業活動に係る利益は3億63百万円増加の29億64百万円となりました。
⑤ その他
収益は前連結会計年度比68億円増加の117億円6百万円、営業活動に係る利益は7億39百万円減少の3億29百万円となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが330億24百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが42億14百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが67億29百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は874億66百万円となり、前連結会計年度末比209億81百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げ等により、330億24百万円の収入(前連結会計年度は67億58百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の投資や有形固定資産の取得等により、42億14百万円の支出(前連結会計年度は66億49百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入の一方で、借入金の返済等により、67億29百万円の支出(前連結会計年度は100億46百万円の支出)となりました。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表およびIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2015年3月31日) |
当連結会計年度 (2016年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
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流動資産 |
|
366,811 |
347,135 |
|
固定資産 |
|
92,200 |
92,199 |
|
繰延資産 |
|
- |
74 |
|
資産合計 |
|
459,011 |
439,409 |
|
負債の部 |
|
|
|
|
流動負債 |
|
252,347 |
228,920 |
|
固定負債 |
|
87,931 |
88,602 |
|
負債合計 |
|
340,279 |
317,523 |
|
純資産の部 |
|
|
|
|
株主資本 |
|
99,906 |
107,502 |
|
その他の包括利益累計額 |
|
△9,805 |
△14,246 |
|
非支配株主持分 |
|
28,630 |
28,629 |
|
純資産合計 |
|
118,731 |
121,885 |
|
負債純資産合計 |
|
459,011 |
439,409 |
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
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(単位:百万円) |
|
|
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前連結会計年度 (自2014年4月1日 至2015年3月31日) |
当連結会計年度 (自2015年4月1日 至2016年3月31日) |
|
売上高 |
|
1,117,096 |
1,062,822 |
|
売上原価 |
|
1,025,655 |
973,967 |
|
売上総利益 |
|
91,441 |
88,855 |
|
販売費及び一般管理費 |
|
69,315 |
71,616 |
|
営業利益 |
|
22,125 |
17,238 |
|
営業外収益 |
|
5,872 |
3,961 |
|
営業外費用 |
|
5,103 |
4,091 |
|
経常利益 |
|
22,895 |
17,108 |
|
特別利益 |
|
1,385 |
1,445 |
|
特別損失 |
|
985 |
1,792 |
|
税金等調整前当期純利益 |
|
23,294 |
16,761 |
|
法人税等 |
|
8,925 |
5,433 |
|
当期純利益 |
|
14,369 |
11,328 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益 |
|
2,898 |
1,937 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
|
11,470 |
9,391 |
要約連結包括利益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自2014年4月1日 至2015年3月31日) |
当連結会計年度 (自2015年4月1日 至2016年3月31日) |
|
当期純利益 |
|
14,369 |
11,328 |
|
その他の包括利益 |
|
10,339 |
△5,209 |
|
包括利益 |
|
24,708 |
6,118 |
|
(内訳) |
|
|
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
|
20,698 |
4,949 |
|
非支配株主に係る包括利益 |
|
4,009 |
1,168 |
③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自2014年4月1日 至2015年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
90,690 |
△19,033 |
24,547 |
96,204 |
|
当期変動額合計 |
9,897 |
9,228 |
4,238 |
23,364 |
|
当期末残高 |
99,906 |
△9,805 |
28,630 |
118,731 |
当連結会計年度(自2015年4月1日 至2016年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
99,906 |
△9,805 |
28,630 |
118,731 |
|
当期変動額合計 |
7,596 |
△4,441 |
△0 |
3,154 |
|
当期末残高 |
107,502 |
△14,246 |
28,629 |
121,885 |
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自2014年4月1日 至2015年3月31日) |
当連結会計年度 (自2015年4月1日 至2016年3月31日) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
|
10,115 |
31,488 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
|
△8,903 |
△4,489 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
|
△9,895 |
△5,830 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
|
2,511 |
△1,205 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
|
△6,171 |
19,962 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
|
73,548 |
67,377 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
|
67,377 |
87,466 |
⑤ 会計方針の変更(日本基準)
「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」とい
う。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)および「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等を当連結会計年度から適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しております。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しております。加えて、当期純利益等の表示の変更および少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っております。当該表示の変更を反映させるため、前連結会計年度については、連結財務諸表の組替えを行っております。
企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)および事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しております。
この結果、当連結会計年度末の資本剰余金が99百万円減少しております。また、当連結会計年度の営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益はそれぞれ177百万円減少しております。
当連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書においては、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得又は売却に係るキャッシュ・フローについては、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得関連費用もしくは連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得又は売却に関連して生じた費用に係るキャッシュ・フローは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載しております。
当連結会計年度の連結株主資本等変動計算書の資本剰余金の期末残高は99百万円減少しております。
なお、当連結会計年度の1株当たり純資産額および1株当たり当期純利益金額に与える影響は軽微であります。
⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりであります。
(前連結会計年度(自2014年4月1日 至2015年3月31日))
前連結会計年度における差異に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 37 IFRSへの移行に関する開示」を参照願います。
(当連結会計年度(自2015年4月1日 至2016年3月31日))
(収益の表示方法)
日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額および当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示いたしますが、IFRSでは、代理人として関与したと判断される取引については純額で収益を表示いたします。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度の収益および原価がそれぞれ382,772百万円減少しております。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、一定の期間で償却いたしますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度ののれん償却額(販売費及び一般管理費)が748百万円減少しております。
(1) 販売の状況
「1.業績等の概要 (1)業績」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6 セグメント情報」を参照願います。
(2) 受注の状況
受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
(3) 仕入の状況
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
① 中期ビジョン「VISION-130」(2014年4月~2019年3月)
当社は、次なるステージに向けた成長シナリオとして、2014年5月に「VISION-130」を発表して以降、その目標の具現化に向け、各種施策を着実に実行して参りました。今般、2016年3月期をもって従来の3ヵ年の中期経営計画が終了したこと、中国経済の減速や原油価格の低迷、為替・株式相場といった外部環境が大きく変化したことなどを受け、「VISION-130」の一部見直しを行いアップデートいたしました。
今後は、この「VISION-130」をベースに、引き続き健全な財務体質を維持し経営基盤の充実を図るとともに、お取引先との共生・発展による収益基盤の拡大を目指して参ります。「VISION-130」 を「兼松の挑戦」と位置付け、強みとする事業領域を深化させ、新規投資などを通じて更なる企業価値の向上を図る所存であります。
② 対処すべき課題
・商社の原点、当社の基本理念に立ち返り、「トレーディングの重視」「効率経営の推進」「お取引先との共生・発展」といった基本方針を維持し、投資リスク管理の高度化やガバナンスの強化をはじめとする「経営基盤の充実」を最重要経営課題として推進して参ります。
・そのうえで、「グローバルバリューチェーンの構築」を通じて、トレーディングの付加価値の向上・横展開・深掘りを進め、「新技術・新商品の開拓」、積極的な事業投資・M&Aを融合した「新たな挑戦」に取り組み、収益基盤の拡大を図って参ります。
・「ICTソリューション」「モバイル」「アジアの食市場」「北米シェール市場」「グローバル・モータリゼーション」「日系メーカー等の海外進出」などの強みを有する得意分野に注力し、事業の横展開・深掘りを進めて参ります。
・また、新機軸として、カメラ関連事業など「技術支援」や、食料分野での「TPP対応」に向けた機能強化など、新たな注力分野にも取り組んで参ります。
(注意事項)
上記に記載いたしました計画等の将来に関する記述は、当社が有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいて記載しております。
当社グループは、世界各国において、幅広く事業活動を行っているため、各国の政治情勢や需給の変動などによる景気動向の影響を直接・間接的に受けており、商品、為替、金利(資金)、株式などの価格変動・流動性リスク、債権の貸倒れ・回収遅延リスク、投資の回収リスク、カントリーリスク、法令・規制変更のリスクなど様々なリスクが存在しております。これらのリスクは、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを完全に排除することは困難ですが、当社グループでは内容に応じて、必要な管理体制および管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクとリスク管理体制は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に属する事項等については、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業活動全般に係るリスク
① 取扱商品の需給・価格変動リスク
当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・石油製品等や、競争による価格低下や技術革新に伴う陳腐化等が頻繁に発生する電子部品・ICT関連商品等の取扱いがあり、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生する可能性があります。
② 為替変動リスク
当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、取引条件として取引先へ転嫁するほか、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。
また、当社は海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は決算時の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により為替換算調整勘定を通じて、純資産を増減させる可能性があります。
③ 金利変動リスク
当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。
また、当社グループの退職給付債務の見積りにおいては、確定給付型の年金制度を採用している会社があり、退職給付債務計算に利用する割引率が低下することにより、退職給付債務が増加する可能性があります。
④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク
当社グループは、取引先との関係強化などの目的で株式を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他有価証券評価差額金を通じて、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの年金資産のポートフォリオには、中長期的な運用目的で株式等が組み入れられており、当該株式等の価格が下落すると運用利回りが悪化するため、予定運用利回りとの乖離が当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 貸倒れ・回収遅延リスク
当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。
また、これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあります。
⑥ 事業投資等に関するリスク
当社グループは、既存事業の深掘りおよび事業領域の拡大などを目的として、事業投資を行っております。これら事業投資等の実行にあたっては、投資内容および金額に応じて規定されている所定の手続きを経て実行の可否を決定しております。決定にあたっては、キャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析を行い、事業撤退の基準についても検討を行ったうえで、投資の可否を判断しております。また、投資実行後も、定期的にその事業性と投資価値の評価・見直しを行い、損失の極小化に努めております。これら事業投資については、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性がありますが、特に海外事業についてはマーケット変動の幅が大きい傾向があり、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社の方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もあります。
⑦ カントリーリスク
当社グループは、国外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に、各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付を付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付や案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該取引の継続が困難となり、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法令変更等に関するリスク
当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。しかしながら、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取り決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟・係争等に関するリスク
当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 情報システム・情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、さらには、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 自然災害等による商品・設備等の劣化リスクおよび事業中断リスク
当社グループは、国内外に事業所、倉庫、工場などの設備機器を有しております。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しております。これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があり、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 法令遵守・不正行為に関するリスク
当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対してわが国を含む世界各国で制定、施行されている輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) リスク管理について
① 為替・金利・商品ポジション管理
営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引条件として取引先等に転嫁しております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、事前に定めた限度を超えた場合には速やかにポジションを縮少する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。
② 取引与信管理
国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に、取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付を付与し、格付および与信種類に応じた与信限度額を設定しております。通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営することで、信用リスクをコントロールしております。また、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、意図しない信用リスクの拡大を防ぐ体制としております。
また、商品出荷時における取引先に対する与信限度のチェックをシステム化しており、限度超過の未然防止策を講じております。
③ 安全保障貿易管理
安全保障貿易管理関連法令に関しては、その遵守違反を未然に防止するため、「安全保障輸出管理規程」ならびに遵守プログラムを設け、細心の注意を払ってプロセスの管理、運営を行っております。
④ 自然災害・偶発的事故に対するリスクヘッジ
当社グループが保有する国内外の事業所、倉庫、工場などの設備機器ならびに国内外に保管中または輸送中の貨物に対する自然災害や偶発的事故による価値の毀損ならびに賠償責任リスクについては、個別の損害保険付保によりリスクヘッジを行っております。また、地震・火災・洪水・暴動等により、事業が中断するリスクについては、安全かつ迅速な対応ができるよう定期的な訓練を実施するとともに、対策本部の設置・運営を含むマニュアルを整備し、対応策を講じております。
⑤ 情報セキュリティ
情報システムにおける情報セキュリティについては、重要な情報の漏洩・流出防止の観点から、情報セキュリティ管理に関する規程を設け、企業情報ならびに個人情報の保護を行うため、PC、ネットワーク、電子メールなどの利用方法について統一的な規範を定めております。また、セキュリティレベルを高めるためのシステム的な基盤については常時見直しを行い、必要かつ適切なセキュリティレベルを確保するよう維持・運営を行っております。
⑥ コンプライアンス
各種の法規制や規則遵守を包括的にモニタリングするために、内部統制・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス維持の状況について、定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。また、コンプライアンスハンドブックを整備し、周知徹底を図るとともに、報告・相談窓口として、社内ホットラインおよび社外弁護士ホットラインを設置しております。
⑦ オペレーション管理
営業事務から生じるオペレーショナルリスクを防止するため、業務フロー改革(Business Process Re-engineering=BPR)を実施し、受渡業務以降のすべての起票行為を一括して処理するなど、業務フローにおける誤計上やルール違反、不正などを防止する体制を構築しております。
(3) 中期ビジョンについて
当社グループは、5ヵ年を対象とした中期ビジョン「VISION-130」(2014年4月~2019年3月)を策定しておりますが、定量目標については、一定の仮定や前提に基づき策定されたものであり、経済や産業の動向が想定されたものと大きく異なる場合や、それらの環境の変化に対して有効な施策を講ずることができなかった場合など、様々な要因によって、達成できない可能性があります。
新規に設立した当社の完全子会社である兼松テレコム・インベストメント株式会社は、2016年1月18日に当社と三菱電機株式会社(以下「三菱電機」という。)との間で締結した、三菱電機の完全子会社である株式会社ダイヤモンドテレコム(以下「ダイヤモンドテレコム」という。)の取得に向けた合併に係る契約に基づき、2016年4月1日付でダイヤモンドテレコムを吸収合併いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 36 後発事象」を参照願います。
当連結会計年度における研究開発費の総額は7億91百万円であり、電子・デバイスセグメントにおけるシステムソリューションの開発やストレージ関連の新製品の開発を中心に、様々な研究開発活動を行っております。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループにおける重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」を参照願います。
(2) 当連結会計年度における経営成績の分析
収益
収益は、車両・航空セグメントが好調だった一方、鉄鋼・素材・プラントセグメントの低調により前連結会計年度比358億37百万円減少の6,683億74百万円となりました。
売上総利益
収益の減少に伴い、前連結会計年度比16億42百万円減少の862億38百万円となりました。
営業活動に係る利益
販売費及び一般管理費の増加およびその他の収益・費用の悪化もあり、前連結会計年度比47億75百万円減少の187億72百万円となりました。
税引前利益
金融収支が改善したものの持分法による投資損益の悪化により、前連結会計年度比42億51百万円減少の181億22百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期純利益
税引前利益から法人所得税費用73億13百万円を控除した結果、当期純利益は108億8百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比15億87百万円減少の89億59百万円となりました。
(3) 次連結会計年度における見通し
次連結会計年度の世界経済は、米国は段階的な利上げが行われる中、個人消費の拡大に支えられた景気拡大が続く一方で、中国を始めとするアジア・新興国経済の成長鈍化や欧州経済の停滞など、引き続き先行き不透明な状況が続くと予想されます。
わが国経済は、金融緩和により経済が下支えされる中、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しや、企業の好業績継続による設備投資の増加が見込まれるなど、引き続き緩やかな景気回復基調を維持すると思われます。
このような環境のもと、2017年3月期の業績見通しに関しましては、連結売上高(日本基準)1兆2,500億円、営業活動に係る利益220億円、税引前利益210億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益115億円を見込んでおります。
なお、ここに記載いたしました業績見通し等の将来に関する記述は、当社が有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があることにご留意ください。
(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析
財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、営業債権及びその他の債権(流動)や棚卸資産の減少等により、前連結会計年度末比227億22百万円減少の4,435億92百万円となりました。
有利子負債については、前連結会計年度末比28億64百万円減少の1,368億67百万円となりました。そこから現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比238億44百万円減少の494億1百万円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計については、当期純利益による利益剰余金の積上げがあった一方、為替換算調整勘定の悪化等によるその他の資本の構成要素の悪化もあり、前連結会計年度末比13億55百万円増加の915億99百万円となりました。
その結果、自己資本比率は前連結会計年度末比1.2ポイント改善の20.6%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.5倍となりました。
キャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げ等により、330億24百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の投資や有形固定資産の取得等により、42億14百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入の一方で、借入金の返済等により、67億29百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は874億66百万円となり、前連結会計年度末比209億81百万円の増加となりました。
資金調達
当社グループでは、3ヵ年の中期経営計画(2013年4月~2016年3月)の中で重点施策として掲げている「経済環境に左右されない盤石な財務基盤の構築を図る」べく、低コストで安定的な資金調達を基本方針として取り組んでおります。
当社グループの資金調達については、メインバンク、地銀、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融を中心として参りました。また、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現金及び現金同等物を保有しているほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しております。余剰資金については、資金需要や金融情勢に応じて、機動的に安全性の高い短期金融商品で運用をしております。
当連結会計年度は、企業買収資金に充当するため、100億円の普通社債の発行を行い、直接市場からの調達も実施しております。
また、円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社に対する格付け(長期)は、JCRがBBB+(見通し安定的)、R&IがBBB(見通し安定的)となっております。
連結ベースでの資金管理については、原則として国内関係会社の資金調達を当社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。なお、当連結会計年度末では、連結ベースの有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は78%となっております。
このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,368億67百万円と、前連結会計年度末と比べて28億64百万円減少いたしました。また、現金及び預金の残高が前連結会計年度末に比べ増加したため、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は494億1百万円と、前連結会計年度末に比べ238億44百万円減少いたしました。
また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債及び長期借入金(1年以内に返済予定の長期借入金を含む)の比率は76%(当社では95%)と、資金調達の安定性は高いと考えております。