第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。

 

創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」

 

「われらの信条」

・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。

・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。

・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。

 

(2) 経営環境および対処すべき課題

① 経営環境

次連結会計年度の世界経済は、米国では、堅調な雇用環境や個人消費が期待されるものの、減税効果の剥落や

金融市場の変調も懸念されます。欧州では、英国のEU離脱問題や各国政治状況など引き続き不安視されます。中

国では、貿易摩擦の影響が続き、アジア・新興国においても中国減速の影響が生じつつあるなど、先行き不透明

な状況が続くと予想されます。

わが国経済は、堅調な設備投資需要や良好な雇用環境が続くとみられるものの、世界経済の動向による影響や10月の消費増税の影響が懸念されます。

 

② 対処すべき課題

・中期ビジョン「future 135

当社グループは、6ヵ年中期ビジョン「future 135」において、安定した収益構造の事業分野での持続的成長を

目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を追

求し、連結当期利益250億円を目標といたします。

また、収益構造および財務構造の安定性を背景に、配当性向(総還元性向)は25~30%とし、資本の効率性を重視した経営を推進いたします。

 

(定量目標)

 

(最終年度)2024年3月期

2019年3月期実績

連結当期利益

250億円

166億円

ROE

13%~15%

13.8%

配当性向(総還元性向)

25%~30%

30.3%

(※)親会社の所有者に帰属する当期利益

 

(重点施策)

(ⅰ)基盤となる事業における持続的成長と、事業投資による規模拡大

基盤となる事業における持続的成長と、健全な財務構造を活かし、資本とリスクアセットのバランスを取りつつ事業投資を実行して参ります。また、強みを有する事業分野で、「規模拡大」型と「付加価値」型の二軸で推進し、当連結会計年度においては、主に次のような事業投資を実行しました。

・ 電子・デバイスセグメントの主力事業の一つであるカードプリンタービジネスにおいて、多様な顧客ニーズに対応し、シナジーを発揮していくため、プリンターの設計・開発機能を有する株式会社ジー・プリンテックを完全子会社化しました。

・ 鉄鋼・素材セグメントにおいては、当社グループにおける鉄鋼ビジネスのシナジー拡大のため、韓国の鋼板加工メーカーと資本提携しました。

(ⅱ)技術革新への対応

現行分野の周辺において将来に向けた「イノベーション」型の開発投資を行い、IoTやAIなど先進技術を軸

とした新規事業を推進・拡大いたします。

当連結会計年度においては、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)、MaaS(Mobility as a

Service)時代に備え、先進技術の発掘やスタートアップ企業との協業に向けて、北米シリコンバレーに投資

拠点を設立し、サイバー・セキュリティ分野を主な投資対象とするファンドに参画しました。

 

(ⅲ)持続的成長を実現するための経営インフラ確立

主要海外拠点における事業会社の拡充などグローバルな体制構築を図ります。また、事業経営の担い手と

なる人材の育成も継続して取り組むとともに、働き方改革の推進など従業員満足度(ES)の向上を目指して参ります。

事業経営の担い手となる人材育成としては、経営者としての視点でのビジネスや組織を運営する能力を身

に付けるための経営者育成研修を前期より実施しており、主要海外拠点における事業会社の拡充などグローバルな体制に対応できる人材の育成を進めております。

働き方改革の推進や従業員満足度(ES)の向上としては、前期に引き続き年次有給休暇の計画的付与制度

「ブロンズウィーク制度」の拡充を進めるなど、働き方改革を進めました。

 

(注意事項)

上記の計画等の将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的

であると判断する一定の前提に基づいて記載しております。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、グローバルで幅広く事業活動を行っているため、市場リスク・信用リスク・投資リスクなど様々なリスクにさらされております。当社グループでは、それぞれのリスクに対して管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っておりますが、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)を積み上げて財務基盤を拡充することを基本方針としており、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から、リスクアセット倍率の上限を定めており、リスクアセットに対する自己資本の規模の妥当性を検証し、経営会議に定期的に報告しております。

 しかしながら、これらのリスクを完全に排除することは困難なため、事業の状況、経理の状況等に記載した事項のうち、有価証券報告書提出日現在において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは、次のとおりであります。

 

(1) マクロ経済環境の変化によるリスク

 当社グループは、国内外における各種商品の商取引、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業をグローバルに展開しております。このため、日本、米国、中国、欧州およびアジア新興国や世界経済全般の景気が減速した場合、需要の停滞による売上減少や市場価格の大幅な落ち込みなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、提出日現在で当社グループが認識しているマクロ経済環境は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(2) 市場リスク

 当社グループにおいて、営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引先等との取引条件の中でヘッジしております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、これらの限度を超えた場合には速やかにポジションを縮減する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。これらのポジションの状況については、定期的に経営会議宛に報告され、ポジション枠を超過している場合は、速やかにその内容を分析のうえ、縮減させております。

 なお、それぞれのリスクが一定の前提の中で変動した際に当社グループの経営成績に与える影響は、「第5 経理の状況 注記30 金融商品 (5)市場リスク管理」に記載しております。

 

① 為替変動リスク

 当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。

 また、当社は海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は期末日の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額を通じて、親会社の所有者に帰属する持分を増減させる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利変動リスク

 当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。

 当社グループは、アセット・ライアビリティ・マネジメントを通じ、有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち変動金利で調達している部分を金利ポジションととらえ、一部は借入金の金利変動リスクを回避するために、金利スワップ取引を利用し金利変動リスクの軽減を図っておりますが、影響を完全に回避できるものではなく当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取扱商品の需給・価格変動リスク

 当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・畜産物・石油製品等の取扱いがあります。一部の相場商品は商品先物取引を利用し価格変動リスクの軽減を図っておりますが、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク

 当社グループは、取引先との関係強化などの目的で有価証券を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動により、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 信用リスク

 当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に、取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付けを付与し、格付けおよび与信種類に応じた与信限度額を設定し、また、必要に応じて保険を付保し、通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営し、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、コントロールしておりますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。また、取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループの信用リスク管理の管理手法およびその予想信用損失の測定については、「第5 経理の状況 注記30 金融商品 (3)信用リスク管理」に記載しております。

 

(4) カントリーリスク

 当社グループは、海外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に、各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付けを付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付けや案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該事業および取引の継続が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループにおける各国・地域に対する外部顧客からの収益および非流動資産の金額は、「第5 経理の状況 注記7 セグメント情報 (4)地域別情報」に記載しております。

 

 

(5) 事業投資等のリスク

 当社グループは、中期ビジョン「future 135」において、安定した収益構造の事業分野における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を目標としております。

 これら事業投資等の実行にあたっては、投資基準を定め、強みのある事業分野への投資を主として、投資目的・内容およびキャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析等を踏まえた審議を各職能部門が行い、一定規模以上の重要な案件については案件審議会での審議を行っております。また、事業撤退の基準も定めたうえで、投資実行後も、定期的に案件審議会において、その事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めております。しかしながら、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性があります。

 また、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社グループの方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もある中、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 固定資産に関する減損リスク

 当社グループが保有する有形固定資産、のれんおよび無形資産は減損リスクにさらされております。対象資産の資産価値が減少した場合、必要な減損処理を行うため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、中期ビジョン「future 135」において事業投資による成長を掲げており、企業結合に伴うのれんおよび識別可能な無形資産の金額が、今後、増加する可能性があります。

 対象となる固定資産およびリース資産については、「第5 経理の状況 注記10 有形固定資産」および「第5 経理の状況 注記11 のれんおよび無形資産」に記載しております。また、認識した減損損失については、「第5 経理の状況 注記22 減損損失」に記載しております。

 

(7) 資金調達に関するリスク

 当社グループは、事業資金を国内外に所在する金融機関からの借入金および社債等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持およびアセット・ライアビリティ・マネジメントに努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。

 なお、当社グループの資金調達の状況については、「第5 経理の状況 注記16 社債及び借入金」および「第5 経理の状況 注記30 金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載しております。

 

(8) 法令変更等に関するリスク

 当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。これらの遵守には最大限の注意を払っておりますが、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟・係争等に関するリスク

 当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) 法令遵守・不正行為に関するリスク

 当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対してわが国を含む世界各国で制定、施行されている安全保障貿易管理関連法令など輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。

 各種の法規制や規則遵守を包括的にモニタリングするために、内部統制・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス維持の状況について、定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、更には、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害等に関するリスク

 当社グループは、国内外における地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員ならびに事業所、倉庫、工場などの設備機器、システム等といった資産が影響を受け、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しており、これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があります。当社では、社員の安否確認システムの導入、災害マニュアルおよびBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じておりますが、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、金融市場の変調や貿易摩擦の深刻化などが懸念されながらも、引き続き緩やかな成長が続きました。

米国においては、FRBの金融政策に端を発する金融市場の変調に見舞われつつも、堅調な個人消費や雇用・所得環境の改善、税制改革による減税効果などから戦後最長をうかがう持続的な景気拡大局面にあります。一方、欧州においては、英国のEU離脱問題やドイツ経済の失速、イタリアにおける財政不安の影響が懸念され、アジア新興国についても利上げなどの影響により緩やかな減速に転じ、中国においては貿易摩擦の激化により、経済成長は鈍化しました。

わが国経済は、世界経済の影響を受けつつも、設備投資や雇用の拡大、堅調な企業収益などにより、緩やかな成長を続けております。

 

このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。

 

原油価格下落の影響を受けたエネルギー事業や、米国による経済制裁の影響により中東向け取引の減退を受けた車両・車載部品事業、また、米中貿易摩擦の影響を受けた半導体部品・製造装置事業で減収減益となった一方、旺盛なIT投資需要を受けたICTソリューション事業や、携帯電話販売代理店子会社の統合効果が継続したモバイル事業、配合飼料価格が安定推移した食糧事業、官公庁向けや海外での航空機部品取引が好調だった航空・宇宙事業などが増収増益となり、全体を牽引しました。

収益は、前連結会計年度比90億59百万円1.3%増加7,238億49百万円となり、売上総利益も、前連結会計年度比36億43百万円3.4%増加1,100億14百万円となりました。営業活動に係る利益は、売上総利益の増加などにより、前連結会計年度比41億89百万円16.0%増加303億49百万円となりました。また、金融収支は良化した一方、持分法による投資損益が前期より悪化した結果、税引前利益は、前連結会計年度比31億34百万円12.0%増加291億77百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比2億88百万円1.8%増加166億5百万円となりました。その結果、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)は、13.8%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが246億98百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが65億75百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが71億58百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は889億41百万円となり、前連結会計年度末比112億10百万円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げ等により、246億98百万円の収入(前連結会計年度は4億34百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や㈱ジー・プリンテックの連結子会社化、持分法適用会社への出資等により65億75百万円の支出(前連結会計年度は11億3百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出や配当金の支払い、業績連動型株式報酬制度による株式交付信託の自己株式の取得等により71億58百万円の支出(前連結会計年度は8億42百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産実績

生産は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

(ⅱ) 受注実績

受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

(ⅲ) 販売実績

(1) 経営成績等の状況の概要」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 7 セグメント情報」を参照願います。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループにおける重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2 作成の基礎」を参照願います。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

収益

収益は、食料セグメント、車両・航空セグメントを中心に好調に推移し、前連結会計年度比90億59百万円増加7,238億49百万円となりました。

 

売上総利益

収益の増加に伴い、食料セグメント、電子・デバイスセグメントを中心に前連結会計年度比36億43百万円増加1,100億14百万円となりました。

 

営業活動に係る利益

販売費及び一般管理費の増加がありましたが、売上総利益の増加に伴い、前連結会計年度比41億89百万円増加303億49百万円となりました。

 

税引前利益

持分法による投資損益が前期より悪化したものの、営業活動に係る利益の増加により、前連結会計年度比31億34百万円増加291億77百万円となりました。

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

税引前利益から法人所得税費用87億28百万円控除した結果、当期利益は204億49百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比2億88百万円増加166億5百万円となりました。

 

財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比295億70百万円増加の5,494億59百万円となりました。

流動資産は、手持ち現預金の増加や前渡金を中心としたその他の流動資産の増加に伴い、前連結会計年度比297億81百万円増加の4,444億43百万円となりました。非流動資産は、新規投資に伴いのれん、無形資産および持分法投資残高が増加した一方で、株式相場の下落に伴いその他の投資が減少したため、前連結会計年度末比2億10百万円減少の1,050億16百万円となりました。

負債につきましては、社債の償還があった一方で、契約負債や前受金を中心としたその他の流動負債が増加したことに伴い、合計で前連結会計年度末比179億22百万円増加の3,907億60百万円となりました。

資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)については、親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の積上げにより、前連結会計年度末比92億34百万円増加の1,252億46百万円となりました。

その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は22.8%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.4倍となりました。

 

親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)1,252億46百万円に対して、親会社の所有者に帰属する当期利益166億5百万円となったためROEは前連結会計年度末比1.3ポイント低下の13.8%となり、future 135」の目標である13~15%を維持しております。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

電子・デバイス

ICTソリューション事業は、製造業、サービス業、官公庁向けを中心としたサーバー、ストレージ分野でのIT投資需要を受け、引き続き堅調に推移しました。モバイル事業は、携帯電話販売代理店子会社の統合効果継続により順調に推移しました。電子機器事業は、昨年12月に当社が100%子会社化したカードプリンター事業会社にて、第4四半期に顕現した大口案件などにより、業績の底上げを図ることができました。一方で、半導体部品・製造装置事業は、需要の低下に伴い苦戦を強いられました。

その結果、電子・デバイスセグメントの収益は前連結会計年度比22億20百万円増加の2,655億30百万円、営業活動に係る利益は9億77百万円増加の185億33百万円となりました。

 

食料

食糧事業は、国内飼料価格が安定的に推移し、特に畜産飼料および水産飼料が好調に推移しました。食品事業は、農産加工品取引が安定した原料相場と健康志向の高まりによる旺盛な需要に支えられ順調に推移しました。畜産事業は、相場の変動がありましたが堅調に推移しました。

その結果、食料セグメントの収益は前連結会計年度比135億99百万円増加の2,448億59百万円、営業活動に係る利益は18億2百万円増加の39億51百万円となりました。

 

鉄鋼・素材・プラント

エネルギー事業は、原油価格の一時的な下落を背景に苦戦を強いられました。鉄鋼事業は、通商問題等を背景に一部輸出取引が影響を受けた一方で、堅調な内需を背景に国内取引は順調に推移しました。北米における油井管事業につきましても活発な掘削需要を背景に好調に推移しました。工作機械・産業機械事業は、国内を中心とした底堅い需要に支えられ、好調に推移しました。化学品事業は、特に医薬品関連取引が好調に推移しました。

その結果、鉄鋼・素材・プラントセグメントの収益は前連結会計年度比136億39百万円減少の1,394億36百万円、営業活動に係る利益は5億7百万円増加の44億37百万円となりました。

 

車両・航空

航空・宇宙事業は、主力取引である航空機部品ビジネスが順調に推移しました。また、ロケット打上げビジネスにも参画し、事業領域を拡大しました。車両・車載部品事業は、中東向け取引の減退はあったものの、アジア市場の拡大に伴い主力取引である部品ビジネスが堅調に推移しました。また、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)、MaaS(Mobility as a Service)時代に備え、先進技術に対応するため、北米のシリコンバレーに投資拠点を設立しました。

その結果、車両・航空セグメントの収益は前連結会計年度比76億10百万円増加の620億63百万円、営業活動に係る利益は8百万円増加の25億49百万円となりました。

 

その他

収益は前連結会計年度比7億31百万円減少の119億60百万円、営業活動に係る利益は前期においてゴルフ場売却による固定資産の減損損失を計上した反動により、8億70百万円増加の8億50百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容および資本の財源および資金の流動性についての分析

キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「第3 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照願います。

 

資金調達

当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で掲げている「持続的な成長」を実現するために必要な、低コストで安定的な資金調達を基本方針として資金調達活動に取り組んでおります。

当社グループの資金調達については、メインバンク、地銀、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融をベースに、長期資金の調達手段の一つとして普通社債を発行し、資本市場からの調達も実施しております。当連結会計年度では、50億円の普通社債償還を行い、連結有利子負債に占める直接金融からの負債調達割合は11%となりました。

これらの円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社グループに対する格付け(長期)は、JCRがBBB+(見通し安定的)、R&IがBBB(見通し安定的)となっております。

加えて、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現預金及び現金同等物を保有するほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しております。

また、連結ベースでの効率的な資金調達を実施するために、国内主要関係会社の資金調達を親会社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。当連結会計年度末では、連結有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は67%と、約7割の資金調達を親会社に集中しております。

このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末におけるグロス有利子負債残高は1,395億4百万円で、前連結会計年度末と比べ21億78百万円増加いたしました。現金及び現金同等物の残高が前連結会計年度末に比べ増加したため、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は499億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ90億76百万円減少いたしました。その結果、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.4倍と、健全な財務体質を維持しております。

また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債および長期借入金(1年以内に返済予定の長期借入金を含む。)の比率は65%(当社では89%)であり、資金調達の状況は安定しております。

 

配当性向(総還元性向)

当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で、安定した収益基盤の事業分野において持続的成長を実現するとともに、規模の拡大や付加価値の獲得のための事業投資により、連結当期利益の一段の伸長をめざしております。

このために、毎年持続的に創出される営業キャッシュ・フローおよび金融機関や資本市場から調達する財務キャッシュ・フローを重点分野への成長投資に充てるとともに、安定的かつ継続的に株主還元を実施し、資本の効率性にも目を配って参ります。

具体的には、過去平均して100~200億円程度の実績がある営業キャッシュ・フローを原資に成長投資を実行するとともに、株主還元については25~30%の配当性向(総還元性向)を実現することを目標にいたします。単年の営業キャッシュ・フローを超えるような多額の事業投資については、健全な財務体質による追加調達余力を活かして機動的に資金調達を実施し、連結当期利益250億円を目指して参ります。

なお、当連結会計年度における配当性向(総還元性向)は30.3%となりました。

 

④ 来期の見通し

中期ビジョン「future 135」の2年目にあたる2020年3月期の業績見通しに関しましては、収益7,400億円、営業活動に係る利益310億円、税引前利益300億円、親会社の所有者に帰属する当期利益170億円を見込んでおります。

 

 

(最終年度)2024年3月期

2019年3月期実績

2020年3月期見通し

連結当期利益

250億円

166億円

170億円

ROE

13%~15%

13.8%

13%~15%

配当性向(総還元性向)

25%~30%

30.3%

29.6%

(※)親会社の所有者に帰属する当期利益

 

セグメントの業績見通しは、次のとおりであります。

 

電子・デバイス

ICTソリューション事業は、引き続き堅調な推移を見込んでおります。モバイル事業は堅調な推移を見込むも通信料引き下げの影響を考慮しております。これらの見通しを踏まえ、収益は当連結会計年度比45億円増加の2,700億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度横這いの185億円を見込んでおります。

 

食料

食糧事業は、米中貿易摩擦の影響を受ける可能性もありますが、他産地への切替えにより堅調な収益確保を見込んでおります。畜産事業は、2019年2月に輸入を開始したウルグアイ産ビーフを含め堅調に推移する見込みであります。これらの見通しを踏まえ、収益は当連結会計年度比51億円増加の2,500億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度横這いの40億円を見込んでおります。

 

鉄鋼・素材・プラント

当連結会計年度に油価下落の影響を受けたエネルギー事業は、回復を見込んでおります。北米における油井管事業は、好調を維持できる見通しであります。これらの見通しを踏まえ、収益は当連結会計年度比106億円増加の1,500億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比11億円増加の55億円を見込んでおります。

 

車両・航空

航空・宇宙事業は、引き続き航空機部品ビジネスの拡大による伸びを見込んでおります。車両・車載部品事業は、中東向け取引減退の影響を見込んでおります。これらの見通しを踏まえ、収益は当連結会計年度比21億円減少の600億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度横這いの25億円を見込んでおります。

 

(業績見通し算定にあたっての前提条件

・為替レート : 1米ドル=110円

・金利水準  : 横這い

 

なお、ここに記載している業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在において入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があることにご留意ください。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

(収益の表示方法)

日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額および当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示いたしますが、IFRSでは、代理人として関与したと判断される取引については純額で収益を表示いたします。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、収益および原価が前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ4,913億44百万円および5,142億16百万円減少しております。

 

(のれんの償却)

日本基準では、のれんの償却については、一定の期間で償却いたしますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が前連結会計年度および当連結会計年度において、10億95百万円および6億56百万円減少しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費の総額は608百万円であり、電子・デバイスセグメントにおけるシステムソリューションの開発やストレージ関連の新製品の開発、サイバー攻撃対策の研究等、様々な研究開発活動を行っております。