第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。

 

創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」

 

「われらの信条」

・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。

・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。

・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。

 

(2) 経営環境および対処すべき課題

中期ビジョン「future 135

当社グループは、創業135周年に向けた6ヵ年中期ビジョン「future 135」を掲げ、安定した収益基盤の事業分野において持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資による規模の拡大や付加価値の獲得を追求しており、連結当期利益250億円を目標としております。

また、収益構造および財務構造の安定性を背景に、配当性向(総還元性向)は25~30%とし、資本の効率性を重視した経営を推進いたします。

 

(定量目標)

 

(最終年度)2024年3月期

2020年3月期実績

連結当期利益

250億円

144億円

ROE

13%~15%

11.2%

配当性向(総還元性向)

25%~30%

34.8%

(※)親会社の所有者に帰属する当期利益

 

(重点施策)

(ⅰ)基盤となる事業における持続的成長と、事業投資による規模拡大、付加価値獲得

基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、健全な財務構造のもと、資本とリスクアセットのバランスを取りつつ成長投資を実行して参ります。強みを有する事業分野において、「規模拡大」型と「付加価値」型の二軸で事業投資を推進し、当連結会計年度においては、主に次のような分野で実行いたしました。

・ 規模拡大を主とする投資としては、ドイツの写真プリンター事業会社への持分法出資、中国大連における飼料原料製造工場の設立、インドネシアの加工食品製造工場の増資、アイルランドの航空機部品事業における中古機体購入、国内のサッシ専門メーカーの買収などを行いました。

・ 付加価値獲得を主とする投資としては、半導体イメージセンサーの後工程事業の譲受、プラントエンジニアリング会社の買収などを行いました。

 

(ⅱ)技術革新への対応

 現行分野の周辺において将来に向けた「イノベーション」型の開発投資を行い、IoTやAIなど先進技術を軸

とした新規事業を推進・拡大いたします。

当連結会計年度においては、日本市場で今後期待されるデータの流通や利活用の拡大に向け、データ取引サービスの開発・販売を行っているフランス企業と戦略的パートナーシップを締結、さらにデータ流通コンサルティングサービスを提供する日系企業との資本業務提携を締結し、国内におけるデータ流通の市場構築を推進いたしました。

 

(ⅲ)持続的成長を実現するための経営インフラ確立

当連結会計年度においては、主に次のような取組みを推進いたしました。

第一に、経営人材育成の一環として、社内研修制度を進化させた「兼松ユニバーシティ」を開始いたしました。これは事業投資やM&Aの実行および、その後のマネジメントを担っていく人材の育成を目的とした研修制度で、およそ10年でカリキュラム修了となります。

第二に、働き方改革の一環として、勤務環境の選択肢を増やし生産性を向上させる目的でサテライトオフィスの試験運用を行うなどリモートワークの有効性の検証を行いました。また、書類の電子化やセキュリティ強化などを進めて参りました。これらの取組みは新型コロナウイルス感染症拡大防止のための在宅勤務にも活用でき、今後もリモートワークの課題を解決しながら、従業員が働きやすい環境づくりに努め、多様な働き方への理解と実現を目指して参ります。

第三に、当社そして社会の持続的成長のため、従来のCSR推進委員会を発展させたサステナビリティ推進委員会を設置し、2020年4月より開始しております。また、企画部内にもサステナビリティ推進室を設置し、よりSDGsを意識した事業ならびに経営を推進して参ります。

 

② 翌連結会計年度の経営環境および見通し

中期ビジョン「future 135」の3年目にあたる2021年3月期に関しましては、全世界的に拡大する新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済の大きな落ち込みが予想され、厳しい状況が続くと予想しておりますが、収益7,000億円、営業活動に係る利益270億円、税引前利益260億円、親会社の所有者に帰属する当期利益145億円を見込んでおります。

 

 

2020年3月期実績

2021年3月期見通し

連結当期利益

144億円

145億円

ROE

11.2%

11.1%

配当性向(総還元性向)

34.8%

34.6%

(※)親会社の所有者に帰属する当期利益

 

セグメントの業績見通しは、次のとおりであります。

 

電子・デバイス

新型コロナウイルス感染症の影響による企業活動の停滞などがあり不透明な状況ではあるものの、経済活動再開後の回復を見込み、収益は当連結会計年度比95億円減少の2,450億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比4億円減少の186億円を見込んでおります。

 

食料

当連結会計年度のペット関連取引や水産飼料取引における減益要因が解消されることから、収益は当連結会計年度比14億円減少の2,500億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比12億円増加の36億円を見込んでおります。新型コロナウイルス感染症の影響により、内食が好調の一方、外食は悪化という需要の大きな変化が起きており、変化を見極めながら、体制を整え安定供給に努めて参ります。

 

鉄鋼・素材・プラント

工作機械・産業機械事業が、長引く米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、また油井管事業も、原油価格低迷の影響により、苦戦が続くと見ており、収益は当連結会計年度比99億円減少の1,200億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比20億円減少の18億円を見込んでおります。

 

車両・航空

新型コロナウイルス感染症による全世界的な自動車需要の減退もあり二輪・四輪部品輸出への影響が想定されることから、収益は当連結会計年度比6億円減少の740億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比2億円減少の22億円を見込んでおります。

(業績見通し算定にあたっての前提条件

・為替レート : 1米ドル=110円

・金利水準  : 横這い

・新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、計画策定時において当社が把握している情報を基に、その時点の状況が6月まで継続すると仮定して算出しております。

 

(注意事項)

上記の見通し等の将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいて記載しており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期や、内外主要市場の経済環境、為替相場の変動など様々な要因により、変動する可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせいたします。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、グローバルで幅広く事業活動を行っているため、市場リスク・信用リスク・投資リスクなど様々なリスクにさらされております。当社グループでは、それぞれのリスクに対して管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っておりますが、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)を積み上げて財務基盤を拡充することを基本方針としており、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から、リスクアセット倍率の上限を定めており、リスクアセットに対する自己資本の規模の妥当性を検証し、経営会議に定期的に報告しております。

 しかしながら、これらのリスクを完全に排除することは困難なため、事業の状況、経理の状況等に記載した事項のうち、有価証券報告書提出日現在において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは、次のとおりであります。

 

(1) マクロ経済環境の変化によるリスク

 当社グループは、国内外における各種商品の商取引、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業をグローバルに展開しております。このため、日本、米国、中国、欧州およびアジア新興国や世界経済全般の景気が減速した場合、需要の停滞による売上減少や市場価格の大幅な落ち込みなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、提出日現在で当社グループが認識しているマクロ経済環境は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

 

(2) 市場リスク

 当社グループにおいて、営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引先等との取引条件の中でヘッジしております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、これらの限度を超えた場合には速やかにポジションを縮減する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。これらのポジションの状況については、定期的に経営会議宛に報告され、ポジション枠を超過している場合は、速やかにその内容を分析のうえ、縮減させております。

 なお、それぞれのリスクが一定の前提の中で変動した際に当社グループの経営成績に与える影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (5)市場リスク管理」に記載しております。

 

① 為替変動リスク

 当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。

 また、当社は海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は期末日の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額を通じて、親会社の所有者に帰属する持分を増減させる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金利変動リスク

 当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。

 当社グループは、アセット・ライアビリティ・マネジメントを通じ、有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち変動金利で調達している部分を金利ポジションととらえ、一部は借入金の金利変動リスクを回避するために、金利スワップ取引を利用し金利変動リスクの軽減を図っておりますが、影響を完全に回避できるものではなく当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取扱商品の需給・価格変動リスク

 当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・畜産物・石油製品等の取扱いがあります。一部の相場商品は商品先物取引を利用し価格変動リスクの軽減を図っておりますが、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク

 当社グループは、取引先との関係強化などの目的で有価証券を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動により、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 信用リスク

 当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に、取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付けを付与し、格付けおよび与信種類に応じた与信限度額を設定し、また、必要に応じて保険を付保し、通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営し、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、コントロールしておりますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。また、取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループの信用リスク管理の管理手法およびその予想信用損失の測定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (3)信用リスク管理」に記載しております。

 

(4) カントリーリスク

 当社グループは、海外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に、各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付けを付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付けや案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該事業および取引の継続が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループにおける各国・地域に対する外部顧客からの収益および非流動資産の金額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記7 セグメント情報 (4)地域別情報」に記載しております。

 

(5) 事業投資等のリスク

 当社グループは、中期ビジョン「future 135」において、安定した収益構造の事業分野における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を目標としております。

 これら事業投資等の実行にあたっては、投資基準を定め、強みのある事業分野への投資を主として、投資目的・内容およびキャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析等を踏まえた審議を各職能部門が行い、一定規模以上の重要な案件については案件審議会での審議を行っております。また、事業撤退の基準も定めたうえで、投資実行後も、定期的に案件審議会において、その事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めております。しかしながら、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性があります。

 また、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社グループの方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もある中、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 固定資産に関する減損リスク

 当社グループが保有する有形固定資産、のれんおよび無形資産は減損リスクにさらされております。対象資産の資産価値が減少した場合、必要な減損処理を行うため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、中期ビジョン「future 135」において事業投資による成長を掲げており、企業結合に伴うのれんおよび識別可能な無形資産の金額が、今後、増加する可能性があります。

 対象となる固定資産および使用権資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記10 有形固定資産」および「同 注記11 のれんおよび無形資産」に記載しております。また、認識した減損損失については、「同 注記22 減損損失」に記載しております。

(7) 資金調達に関するリスク

 当社グループは、事業資金を国内外に所在する金融機関からの借入金および社債等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持およびアセット・ライアビリティ・マネジメントに努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。

 なお、当社グループの資金調達の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記16 社債及び借入金」および「同 注記30 金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載しております。

 

(8) 法令変更等に関するリスク

 当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。これらの遵守には最大限の注意を払っておりますが、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟・係争等に関するリスク

 当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法令遵守・不正行為に関するリスク

 当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対してわが国を含む世界各国で制定、施行されている安全保障貿易管理関連法令など輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。

 各種の法規制や規則遵守を包括的にモニタリングするために、内部統制・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス維持の状況について、定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、更には、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害等に関するリスク

 当社グループは、国内外における地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員ならびに事業所、倉庫、工場などの設備機器、システム等といった資産が影響を受け、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しており、これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があります。当社では、社員の安否確認システムの導入、災害マニュアルおよびBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じておりますが、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大局面においては、時差通勤・在宅勤務の実施、国内外への出張・渡航規制の強化、感染防止策の周知徹底、国内外のネットワークを通じた各地動向の把握など、当社グループおよびステークホルダーの皆様への感染拡大、ならびに事業継続に係るリスクを最小限に留めるべく各種対策を実施しております。特に各国政府等による外出禁止令・緊急事態宣言下においては、原則在宅勤務を行う方針としており、引き続き、政府の方針・行動計画・要請に基づいた感染予防・拡大防止に努めて参ります。

 

(13) 気候変動、社会・環境問題に関するリスク

 当社グループは、国内外の幅広い分野で事業活動を行っており、気候変動や深刻化する社会・環境問題等の影響を受け、事業の継続に制限を受ける可能性があるほか、当社グループの事業に起因した環境汚染や労務問題等が発生した場合、事業の停止、汚染除去費用や損害賠償費用の発生、社会的評価の低下につながる可能性があります。

企業活動にあたっては、注力すべき重要課題(市場の変化への対応、地域社会との共生、地球環境への配慮、ガバナンスの充実、人権の尊重、人材育成・ダイバーシティの推進)を設定・周知するとともに、サステナビリティ推進委員会を設置し主体的に課題解決を行う体制を構築しておりますが、予期せぬ事案の発生により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題、中東情勢の混迷などにより減速傾向が顕著になる中、第4四半期において新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、全世界的に急速に悪化しつつあります。

米国においては、良好な雇用環境や金融政策の転換により堅調な個人消費が維持されていたものの、新型コロナウイルス感染症が拡大した第4四半期には金融市場や雇用環境も大きく動揺し、経済は悪化局面に入りました。欧州においては、英国のEU離脱問題や中国経済減速による輸出低迷に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大も加わり、経済は急速に悪化しつつあります。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が最も早く表れた中国においては、生産停止など供給面が大きく落ち込んだ上に、人の移動制限など需要面の落ち込みも加わり、第4四半期において初のマイナス成長となりました。

わが国経済は、国内災害や消費増税の影響に加え、後半の全世界的な経済悪化の影響も受け、景気後退の兆しが顕著となりました。

 

このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。

 

TPPやEPAの発効に伴い国内販売が伸長した畜産事業や航空機本体および部品販売の伸長等により好調であった航空宇宙事業で増収となった一方、料金分離プラン導入による販売台数の減少に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で来店者数がスローダウンしたモバイル事業や、原油価格下落により販売単価が下落したエネルギー事業などで減収となりました。仮想化やセキュリティ分野などのIT投資需要が堅調なICTソリューション事業などで増益となった一方、ペット関連取引や水産飼料取引等が苦戦した食糧事業や、製造業の投資抑制の影響を受けた工作機械・産業機械事業などで減益となりました。

収益は、前連結会計年度比20億47百万円0.3%減少7,218億2百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度比8億90百万円0.8%増加1,109億4百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加などにより、前連結会計年度比19億97百万円6.6%減少283億52百万円となりました。また、金融収支が若干悪化したこともあり、税引前利益は、前連結会計年度比22億33百万円7.7%減少269億44百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比22億6百万円13.3%減少143億99百万円となりました。その結果、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)は、11.2%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが242億59百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが102億15百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが115億90百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は911億5百万円となり、前連結会計年度末比21億64百万円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げ等により、242億59百万円の収入(前連結会計年度は246億98百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や敷金の差入れ等により102億15百万円の支出(前連結会計年度は65億75百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、リース負債の返済や配当金の支払い等により115億90百万円の支出(前連結会計年度は71億58百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産実績

生産は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

(ⅱ) 受注実績

受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。

 

(ⅲ) 販売実績

(1) 経営成績等の状況の概要」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記7 セグメント情報」に記載しております

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債、偶発資産・偶発負債の開示および報告期間における収益・費用の金額を認識する際に、必要に応じて会計上の見積りおよび仮定を用いることが必要となります。この会計上の見積りや仮定は、決算日時点で入手可能な合理的な情報等に基づき設定しておりますが、不確実性を伴うため、その変動により将来の実績との間で差異が生じる可能性があります。

当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記2 作成の基礎」および「同 注記3 重要な会計方針」に記載しております

なお、当連結会計年度末においては、金融商品の公正価値測定に際して参照する市場価格や測定に用いた観察不能インプットに新型コロナウイルス感染症拡大の影響が内包されているほか、非金融資産の減損判定においては、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、一定のストレスをかけたうえで回収可能価額の見積りを行っております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

収益

収益は、食料セグメント、車両・航空セグメントで増収となったものの、電子・デバイスセグメント、鉄鋼・素材・プラントセグメントで減収となり、前連結会計年度比20億47百万円減少7,218億2百万円となりました。

 

売上総利益

売上総利益は、電子・デバイスセグメントを中心に前連結会計年度比8億90百万円増加1,109億4百万円となりました。

 

営業活動に係る利益

営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加などにより、前連結会計年度比19億97百万円減少283億52百万円となりました。

 

税引前利益

税引前利益は、営業活動に係る利益の減少に加え、金融収支が若干悪化したこともあり、前連結会計年度比22億33百万円減少269億44百万円となりました。

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

税引前利益から法人所得税費用87億10百万円控除した結果、当期利益は182億33百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比22億6百万円減少143億99百万円となりました。

 

財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比22億12百万円増加の5,516億71百万円となりました。

流動資産は、主に営業債権及びその他の債権の減少により、前連結会計年度比176億87百万円減少の4,267億56百万円となりました。非流動資産は、IFRS第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)適用に伴う有形固定資産の増加や新規投資に伴うのれん、無形資産および持分法投資残高の増加があった一方、株式相場の下落に伴うその他の投資の減少もあり、前連結会計年度末比198億99百万円増加の1,249億15百万円となりました。

負債については、IFRS第16号の適用によりリース負債が増加した一方、主に営業債務及びその他の債務の減少により、前連結会計年度末比52億63百万円減少の3,854億97百万円となりました。

資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)については、円高・株安の影響によりその他の資本の構成要素が減少した一方、利益剰余金の積上げがあったことなどにより、前連結会計年度末比55億83百万円増加の1,308億29百万円となりました。

その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は23.7%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.4倍となりました。

 

親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)1,308億29百万円に対して、親会社の所有者に帰属する当期利益143億99百万円となったためROEは前連結会計年度末比2.6ポイント低下の11.2%となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

電子・デバイス

ICTソリューション事業は、製造業、流通業向けを中心としたサーバー、ストレージに加え、仮想化とセキュリティ分野におけるIT投資需要もあり、好調に推移しました。モバイル事業は、店舗運営の効率化や法人向けビジネスの増加等により、順調に推移しました。半導体・液晶製造装置事業は、中国での新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けました。

その結果、電子・デバイスセグメントの収益は前連結会計年度比110億14百万円減少の2,545億16百万円、営業活動に係る利益は4億30百万円増加の189億63百万円となりました。

 

食料

食糧事業は、食品大豆・米取引は引き続き好調であったものの、ペット関連取引や水産飼料取引等の不調により苦戦しました。食品事業は、消費者ニーズにマッチした原料調達および商品開発により農産加工品取引が堅調に推移しました。畜産事業は、世界的に需給バランスが不安定となり相場変動があったものの堅調に推移しました。

その結果、食料セグメントの収益は前連結会計年度比65億44百万円増加の2,514億3百万円、営業活動に係る利益は15億70百万円減少の23億81百万円となりました。

 

鉄鋼・素材・プラント

エネルギー事業は、前期は原油価格急落により苦戦を強いられましたが今期は回復し、国内取引を中心に順調に推移し、化学品事業も医薬品取引を中心に堅調に推移しました。一方、油井管事業は、原油価格低迷の影響を受けスローダウンの状況が続いています。また、工作機械・産業機械事業についても、主に中国、米国を中心とした海外取引が低迷し、プラントインフラ事業も中東向け取引の停止により減益となりました。

その結果、鉄鋼・素材・プラントセグメントの収益は前連結会計年度比95億78百万円減少の1,298億58百万円、営業活動に係る利益は6億18百万円減少の38億19百万円となりました。

 

車両・航空

航空宇宙事業は、主力である航空機部品取引が堅調に推移しました。車両・車載部品事業は、全般には堅調ながらも中東向け取引の停止により減益となりました。

その結果、車両・航空セグメントの収益は前連結会計年度比125億42百万円増加の746億5百万円、営業活動に係る利益は1億66百万円減少の23億83百万円となりました。

 

その他

収益は前連結会計年度比5億42百万円減少の114億18百万円、営業活動に係る利益は31百万円減少の8億19百万円となりました。

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容および資本の財源および資金の流動性についての分析

キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資金調達

当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で掲げている「持続的な成長」を実現するために必要な、低コストで安定的な資金調達を基本方針として資金調達活動に取り組んでおります。

当社グループの資金調達については、メインバンク、地銀、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融をベースに、長期資金の調達手段の一つとして普通社債を発行し、資本市場からの調達も実施しております。当連結会計年度では、連結有利子負債に占める直接金融からの負債調達割合は10%となりました。

これらの円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社グループに対する格付け(長期)は、JCRがBBB+(見通しポジティブ)、R&IがBBB(見通しポジティブ)となっております。

加えて、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現金及び現金同等物を保有するほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しております。

また、連結ベースでの効率的な資金調達を実施するために、国内主要関係会社の資金調達を親会社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。当連結会計年度末では、連結有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は66%と、約7割の資金調達を親会社に集中しております。

このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末におけるグロス有利子負債残高は1,433億94百万円で、前連結会計年度末と比べ38億90百万円増加いたしました。また、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は518億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億38百万円増加いたしました。その結果、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.4倍と、健全な財務体質を維持しております。

また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債および長期借入金(1年以内に返済予定の社債および長期借入金を含む。)の比率は63%(当社では89%)であり、資金調達の状況は安定しております。

 

配当性向(総還元性向)

当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で、安定した収益基盤の事業分野において持続的成長を実現するとともに、規模の拡大や付加価値の獲得のための事業投資により、連結当期利益の一段の伸長を目指しております。

このために、毎年持続的に創出される営業キャッシュ・フローおよび金融機関や資本市場から調達する財務キャッシュ・フローを重点分野への成長投資に充てるとともに、安定的かつ継続的に株主還元を実施し、資本の効率性にも目を配って参ります。

具体的には、過去平均して100~200億円程度の実績がある営業キャッシュ・フローを原資に成長投資を実行するとともに、株主還元については25~30%の配当性向(総還元性向)を実現することを目標にいたします。単年の営業キャッシュ・フローを超えるような多額の事業投資については、健全な財務体質による追加調達余力を活かして機動的に資金調達を実施し、連結当期利益250億円を目指して参ります。

なお、当連結会計年度における配当性向(総還元性向)は34.8%となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費の総額は881百万円であり、電子・デバイスセグメントにおけるシステムソリューションの開発やストレージ関連の新製品の開発、サイバー攻撃対策の研究等、様々な研究開発活動を行っております。