(1) 経営方針
常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。
創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」
「われらの信条」
・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。
・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。
・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。
(2) 経営環境および対処すべき課題
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」(2018年4月~2024年3月)を策定し、取組みを推進しております。2021年3月期をもって前半3ヵ年が終了しましたので、折り返しとなるタイミングにおいて、方向性を再確認いたしました。基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野での事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を追求するという基本方針に変更はありません。一方、事業投資の進捗や新型コロナウイルス感染症拡大の影響などを踏まえ、定量目標の見直しを行うとともに、SDGsやDXへの取組みの推進を重点施策に加えております。
(定量目標)
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(当初最終年度目標) 2024年3月期 |
(見直し後最終年度目標)2024年3月期 |
2021年3月期実績 |
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連結当期利益※ |
250億円 |
200億円 |
133億円 |
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ROE |
13%~15% |
10%~12% |
9.7% |
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配当性向(総還元性向) |
25%~30% |
30%~35% |
37.6% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
(重点施策)
① 基盤となる事業における持続的成長と、事業投資による規模拡大、付加価値獲得
基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、健全な財務構造のもと、資本とリスクアセットのバランスを取りつつ成長投資を実行して参ります。強みを有する事業分野において、「規模拡大」型と「付加価値」型の二軸で事業投資を推進し、当連結会計年度においては、主に次のような分野で実行いたしました。
・ 規模拡大を主とする投資としては、ドイツのプリンター販売会社の設立、ICテストハンドラー事業譲受の締結、ベトナムの鉄骨・橋梁ファブリケーターへの持分法出資などを行いました。
・ 付加価値獲得を主とする投資としては、ウェハマーキング装置商社の買収、ドライブレコーダ開発・製造企業の買収などを行いました。
後半3ヵ年につきましては、上記の施策に加え、SDGs達成に向けて、環境、社会、安全をテーマとする事業分野での投資も推進いたします。
② 技術革新への対応
現行分野の周辺において将来に向けた「イノベーション」型の開発投資を行い、IoTやAIなど先進技術を軸とした新規事業を推進・拡大いたします。
当連結会計年度においては、ヘルスケア・イノベーション投資事業有限責任組合への出資、日本市場で今後期待されるデータの流通市場の形成に向けた新プロジェクトの開始、オープンイノベーションを推進するための事業共創プラットフォームの立ち上げなどを行いました。
後半3ヵ年につきましては、上記の施策に加え、グループを挙げたDX推進にも取り組んで参ります。
③ 持続的成長を実現するための経営インフラ確立
当連結会計年度においては、主に次のような取組みを推進いたしました。
第一に、経営人材育成の一環として、社内研修制度「兼松ユニバーシティ」において、経営者としての基礎知識を習得するための既存の約10年間のカリキュラムに加え、新たに高度な経営ノウハウを取得するために、約5年間の修士課程相当であるGraduate Schoolを設けました。これにより、当社の経営人材の更なる拡充を図ります。
第二に、働き方改革の一環として、リモートワークのための在宅勤務規程を制定しました。リモートワーク環境を充実させるため全社員にノートPCやスマートフォンの配布を開始し、社内稟議の電子化や各種データのクラウド化などの社内DXも推進しております。これからも多様な働き方が実現できる環境づくりに努めて参ります。
第三に、当社そして社会の持続的成長のため、サステナビリティ推進委員会とサステナビリティ推進室を中心として、SDGsをより一層意識した事業ならびに経営に取り組んでおります。
(今後の見通し)
次連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による不透明感は残るものの、ワクチン接種の進捗に応じて経済活動の正常化が各国において進み、世界経済はコロナ危機前の水準に回復するものと思われます。一方、我が国経済は、ワクチン普及の遅れも影響し、経済活動の正常化は主要国の中では緩やかなものに留まる見込みです。
このような環境のもと、中期ビジョン「future 135」の4年目にあたる2022年3月期に関しましては、収益7,000億円、営業活動に係る利益280億円、税引前利益280億円、親会社の所有者に帰属する当期利益150億円を見込んでおります。
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2021年3月期実績 |
2022年3月期見通し |
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連結当期利益※ |
133億円 |
150億円 |
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ROE |
9.7% |
10.4% |
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配当性向(総還元性向) |
37.6% |
33.4% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
セグメントの業績見通しおよび成長戦略は、次のとおりであります。
電子・デバイス
企業におけるIT投資需要の増加が期待されるICTソリューション事業や、前期における一過性のコスト増がなくなるモバイル事業などで回復を見ており、収益は当連結会計年度比239億円増加の2,500億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比16億円増加の192億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比5億円増加の90億円を見込んでおります。
リモートワークの普及・浸透によるテレワーク市場の拡大、AI・IoT、ロボティクスおよび5G普及による関連技術・サービス市場の創出・拡大、国内企業によるDXの取組みの加速という事業環境において、デスクトップ仮想化(VDI)を始めとするソリューションや回線等のサービス提供によりICTソリューション事業、モバイル事業での収益基盤の強化を図ります。また、ICTソリューション事業、モバイル事業では関連ソリューションを、半導体部品・装置や電子機器・電子材料事業では関連商材を取り扱うことで新たな価値提供による収益機会の拡大を図ります。さらに、ベンチャー企業を含むソリューション提供企業へのイノベーション投資、M&Aを促進し、既存ビジネスとのシナジーによる収益拡大に取り組んで参ります。
食料
当連結会計年度において外食需要の低迷や在庫調整等の影響を受けた畜産事業・食品事業を中心に回復を見ており、収益は当連結会計年度比154億円増加の2,600億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比20億円増加の35億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比8億円増加の23億円を見込んでおります。
食品事業は、消費者の高齢化と健康志向の高まり、食品業界における人材不足と人件費増加、アジアにおける食品需要拡大と量から質への転換という事業環境において、安全・安心で新鮮な農産物の産地開発、世界適所での簡便で美味しく調理可能な加工食品の開発・商品化、DXを活用した選別・加工の省力化と品質改善、日本的な高品質、安全・安心な食品を供給する仕組みづくりと地産地消ビジネスの拡大に取り組んで参ります。
畜産事業は、TPP11、日欧EPA、日米TAG等による輸入関税率低下を受けた畜産物の輸入量拡大、アジア市場における畜産物に対する需要の拡大、安全・安心に対する消費者意識の高まりという事業環境において、国内販売力強化のため、畜産グループ内の機能強化に向けた事業投資やM&Aを推進し、規模の拡大を目指します。また、アジア市場での畜産事業拡大に向け、日本におけるビジネスモデルの横展開を図ります。さらに、既存サプライヤーとの取組み深化および新産地開拓により安全・安心で付加価値の高い、安定供給可能な商品の開発を進めて参ります。
食糧事業は、世界的な需要拡大、異常気象の常態化、品質への要望の高まり、新技術の導入という事業環境において、グローバルネットワークを活かした供給地域の多様化と、需要が拡大する中国・アジア市場の取り込みを進めて参ります。また、配合飼料・肥料・大豆・牧草等の商品生産拠点における品質の向上、IoT技術やゲノム編集技術等による取引先の生産効率の向上に寄与して参ります。
鉄鋼・素材・プラント
設備投資需要の回復が見込まれる工作機械・産業機械事業での増益が期待でき、鋼管事業の事業環境も回復途上にあると見ており、収益は当連結会計年度比132億円増加の1,100億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比13億円増加の31億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比4億円増加の25億円を見込んでおります。
化石エネルギーの需要減少など世界的なエネルギー市場構造の変化、欧米、アジア、中国など主要国で展開される貿易摩擦の激化、SDGsに代表される世界的な環境問題への意識の高まりという事業環境において、再生可能エネルギービジネスへの取組みを加速化し、通商問題リスク軽減のための高機能商材、独自規格商品の取扱い拡大と事業パートナーとの関係強化による新たなビジネススキームの構築を進めて参ります。
車両・航空
航空宇宙事業は契約の端境期となるため低調に推移すると見ており、収益は当連結会計年度比11億円減少の700億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比7億円減少の14億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比6億円減少の9億円を見込んでおります。
新興国の自動車・二輪車需要の長期的な増加、CASE、MaaS進化に伴う新需要出現、グローバル化に伴う航空需要の拡大、先進国政府および民間の開発・先行投資による宇宙ビジネスの拡大、100年に1度と言われる技術革新、IT化の急速な流れで勃興するモビリティの多様化という事業環境において、グローバルネットワークを活かした既存案件の磨き、付加価値獲得と新規投資の実行を進めて参ります。また、パーツアウト、MRO事業を中心とした民間航空機アフターマーケット事業の深耕と規模の拡大を図ります。さらに、北米シリコンバレーの投資拠点を核にスタートアップとの協業を推進し、新規ビジネスを創出して参ります。
(業績見通し算定にあたっての前提条件)
・為替レート : 1米ドル=105円
・金利水準 : 横這い
(注意事項)
上記の見通し等の将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいて記載しており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があることにご留意ください。
当社グループは、グローバルで幅広く事業活動を行っているため、市場リスク・信用リスク・投資リスクなど様々なリスクにさらされております。当社グループでは、それぞれのリスクに対して管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っておりますが、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)を積み上げて財務基盤を拡充することを基本方針としており、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から、リスクアセット倍率の上限を定めており、リスクアセットに対する自己資本の規模の妥当性を検証し、経営会議に定期的に報告しております。
しかしながら、これらのリスクを完全に排除することは困難なため、事業の状況、経理の状況等に記載した事項のうち、有価証券報告書提出日現在において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは、次のとおりであります。
(1) マクロ経済環境の変化によるリスク
当社グループは、国内外における各種商品の商取引、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業をグローバルに展開しております。このため、日本、米国、中国、欧州およびアジア新興国や世界経済全般の景気が減速した場合、需要の停滞による売上減少や市場価格の大幅な落ち込みなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、提出日現在で当社グループが認識しているマクロ経済環境は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
(2) 市場リスク
当社グループにおいて、営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引先等との取引条件の中でヘッジしております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、これらの限度を超えた場合には速やかにポジションを縮減する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。これらのポジションの状況については、定期的に経営会議宛に報告され、ポジション枠を超過している場合は、速やかにその内容を分析のうえ、縮減させております。
なお、それぞれのリスクが一定の前提の中で変動した際に当社グループの経営成績に与える影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (5)市場リスク管理」に記載しております。
① 為替変動リスク
当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。
また、当社は海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は期末日の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額を通じて、親会社の所有者に帰属する持分を増減させる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利変動リスク
当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。
当社グループは、アセット・ライアビリティ・マネジメントを通じ、有価証券や固定資産等の非金利感応資産のうち変動金利で調達している部分を金利ポジションととらえ、一部は借入金の金利変動リスクを回避するために、金利スワップ取引を利用し金利変動リスクの軽減を図っておりますが、影響を完全に回避できるものではなく当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 取扱商品の需給・価格変動リスク
当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・畜産物・石油製品等の取扱いがあります。一部の相場商品は商品先物取引を利用し価格変動リスクの軽減を図っておりますが、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク
当社グループは、取引先との関係強化などの目的で有価証券を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動により、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 信用リスク
当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付けを付与し、格付けおよび与信種類に応じた与信限度額を設定し、また、必要に応じて保険を付保し、通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営し、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、コントロールしておりますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。また、取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの信用リスク管理の管理手法およびその予想信用損失の測定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (3)信用リスク管理」に記載しております。
(4) カントリーリスク
当社グループは、海外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付けを付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付けや案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該事業および取引の継続が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおける各国・地域に対する外部顧客からの収益および非流動資産の金額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記7 セグメント情報 (4)地域別情報」に記載しております。
(5) 事業投資等のリスク
当社グループは、中期ビジョン「future 135」において、安定した収益構造の事業分野における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を目標としております。
これら事業投資等の実行にあたっては、投資基準を定め、強みのある事業分野への投資を主として、投資目的・内容およびキャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析等を踏まえた審議を各職能部門が行い、一定規模以上の重要な案件については案件審議会での審議を行っております。また、事業撤退の基準も定めたうえで、投資実行後も、定期的に案件審議会において、その事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めております。しかしながら、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性があります。
また、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社グループの方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もある中、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 固定資産に関する減損リスク
当社グループが保有する有形固定資産、のれんおよび無形資産は減損リスクにさらされております。対象資産の資産価値が減少した場合、必要な減損処理を行うため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、中期ビジョン「future 135」において事業投資による成長を掲げており、企業結合に伴うのれんおよび識別可能な無形資産の金額が、今後、増加する可能性があります。
対象となる固定資産および使用権資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記10 有形固定資産」および「同 注記11 のれんおよび無形資産」に記載しております。また、認識した減損損失については、「同 注記22 減損損失」に記載しております。
(7) 資金調達に関するリスク
当社グループは、事業資金を国内外に所在する金融機関からの借入金および社債等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持およびアセット・ライアビリティ・マネジメントに努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。
なお、当社グループの資金調達の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記16 社債及び借入金」および「同 注記30 金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載しております。
(8) 法令変更等に関するリスク
当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。これらの遵守には最大限の注意を払っておりますが、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 訴訟・係争等に関するリスク
当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおける訴訟・係争等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記33 偶発債務」に記載しております。
(10) 法令遵守・不正行為に関するリスク
当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対して我が国を含む世界各国で制定、施行されている安全保障貿易管理関連法令など輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。
各種の法規制や規則遵守を包括的にモニタリングするために、内部統制・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス維持の状況について、定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、更には、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等に関するリスク
当社グループは、国内外における地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員ならびに事業所、倉庫、工場などの設備機器、システム等といった資産が影響を受け、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しており、これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があります。当社では、社員の安否確認システムの導入、災害マニュアルおよびBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じておりますが、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大局面においては、時差通勤・在宅勤務の実施、国内外への出張・渡航規制の強化、感染防止策の周知徹底、国内外のネットワークを通じた各地動向の把握など、当社グループおよびステークホルダーの皆様への感染拡大、ならびに事業継続に係るリスクを最小限に留めるべく各種対策を実施しております。特に各国政府等による外出禁止令・緊急事態宣言下においては、原則在宅勤務を行う方針としており、引き続き、政府の方針・行動計画・要請に基づいた感染予防・拡大防止に努めて参ります。
(13) 気候変動、社会・環境問題に関するリスク
当社グループは、国内外の幅広い分野で事業活動を行っており、気候変動や深刻化する社会・環境問題等の影響を受け、事業の継続に制限を受ける可能性があるほか、当社グループの事業に起因した環境汚染や労務問題等が発生した場合、事業の停止、汚染除去費用や損害賠償費用の発生、社会的評価の低下につながる可能性があります。
企業活動にあたっては、注力すべき重要課題(市場の変化への対応、地域社会との共生、地球環境への配慮、ガバナンスの充実、人権の尊重、人材育成・ダイバーシティの推進)を設定・周知するとともに、サステナビリティ推進委員会を設置し主体的に課題解決を行う体制を構築しておりますが、予期せぬ事案の発生により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による過去最大の落ち込みに直面したのち、経済政策の総動員とワクチン開発・接種など感染抑制策の進展により、米中を中心に急回復を見る状況となりました。
米国においては、感染者数、死亡者数が世界最多を記録するとともに、政権交代に際しての政治的・社会的混乱も生じましたが、金融緩和や過去最大規模の財政出動により、国内経済は急速に回復しつつあります。新型コロナウイルス感染症による経済への影響がもっとも大きく生じた欧州においては、感染再拡大や変異株の出現により多数の主要国で活動制限が続いていますが、一部の国においては活動制限の効果が出始めています。一方、徹底した対策により感染抑え込みにいち早く成功した中国においては、生産面に続き消費活動も改善し、主要国で唯一の通年プラス成長を維持し、新型コロナウイルス感染症拡大前の経済水準を取り戻しています。
我が国経済は、二度にわたる緊急事態宣言の発令と、それに伴う経済活動の縮小により、特に年度前半において大きく落ち込みましたが、この急激な悪化は夏頃に底を打ち、二度目の緊急事態宣言に際しても消費の落ち込みは昨春と比べれば小さく、感染再拡大による経済への影響は今のところ限られた分野に留まっています。
このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。
当第1四半期から続く新型コロナウイルス感染症拡大下の内食需要を取り込んだ畜産事業は増収となりましたが、緊急事態宣言に伴う外出自粛や営業時間短縮により来店者が減少したモバイル事業や、外食関連販売が減少した食品事業、原油価格低迷を受けたエネルギー事業などで減収となりました。内食需要に加え市況が好転した食糧事業は増益となった一方、減収のモバイル事業、外食関連販売が大幅に減少した畜産事業、掘削需要低迷の影響が続いている鋼管事業などで減益となりました。
その結果、収益は、前連結会計年度比726億60百万円(10.1%)減少の6,491億42百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度比93億89百万円(8.5%)減収の1,015億15百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費は減少したものの売上総利益の減少により、前連結会計年度比47億17百万円(16.6%)減少の236億35百万円となりました。また、金融収支の良化と持分法による投資損益の良化で、税引前利益は、前連結会計年度比33億64百万円(12.5%)減少の235億80百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比10億84百万円(7.5%)減少の133億15百万円となりました。その結果、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)は、9.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが369億84百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが99億27百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが374億97百万円の支出となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は810億45百万円となり、前連結会計年度末比100億60百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げなどにより、369億84百万円の収入(前連結会計年度は242億59百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や持分法適用会社への出資などにより、99億27百万円の支出(前連結会計年度は102億15百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金やリース負債の返済、配当金の支払い、社債の償還による支出などにより、374億97百万円の支出(前連結会計年度は115億90百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(ⅰ) 生産実績
生産は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
(ⅱ) 受注実績
受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
(ⅲ) 販売実績
「(1) 経営成績等の状況の概要」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記7 セグメント情報」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債、偶発資産・偶発負債の開示および報告期間における収益・費用の金額を認識する際に、必要に応じて会計上の見積りおよび仮定を用いることが必要となります。この会計上の見積りや仮定は、決算日時点で入手可能な合理的な情報等に基づき設定しておりますが、不確実性を伴うため、その変動により将来の実績との間で差異が生じる可能性があります。
当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記2 作成の基礎」および「同 注記3 重要な会計方針」に記載しております。
なお、当連結会計年度末における非金融資産の減損判定においては、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、一定のストレスをかけたうえで回収可能価額の見積りを行っております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
収益
収益は、電子・デバイスセグメント、鉄鋼・素材・プラントセグメントを中心に減収となり、前連結会計年度比726億60百万円減少の6,491億42百万円となりました。
売上総利益
売上総利益は、電子・デバイスセグメント、鉄鋼・素材・プラントセグメントを中心に前連結会計年度比93億89百万円減少の1,015億15百万円となりました。
営業活動に係る利益
営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費は減少したものの売上総利益の減少により、前連結会計年度比47億17百万円減少の236億35百万円となりました。
税引前利益
税引前利益は、金融収支の良化や持分法による投資損益の良化があったものの、営業活動に係る利益の減少により、前連結会計年度比33億64百万円減少の235億80百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益
税引前利益から法人所得税費用73億29百万円を控除した結果、当期利益は162億51百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比10億84百万円減少の133億15百万円となりました。
財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比58億24百万円増加の5,574億95百万円となりました。
有利子負債については、借入金の返済や社債の償還等により、前連結会計年度比212億37百万円減少の1,221億57百万円となりました。現預金を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比112億87百万円減少の405億20百万円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めておりません。
資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分については、利益剰余金の積上げや円安と株高に伴うその他の資本の構成要素の増加などにより、前連結会計年度末比130億97百万円増加の1,439億26百万円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は25.8%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.3倍となりました。
親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)1,439億26百万円に対して、親会社の所有者に帰属する当期利益133億15百万円となったためROEは前連結会計年度末比1.5ポイント低下の9.7%となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
電子・デバイス
収益は前連結会計年度比284億7百万円減少の2,261億9百万円、営業活動に係る利益は13億88百万円減少の175億75百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は8億44百万円減少の84億84百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。ICTソリューション事業は、製造業やサービス業向けのサーバーおよびストレージ関連の販売が伸び悩んだものの、概ね堅調に推移しました。モバイル事業は、営業時間短縮でモバイルショップへの来店者数が減少したことなどにより低調に推移しました。半導体部品・製造装置事業は、液晶製造装置取引の中国向け出荷などが堅調に推移しました。
新型コロナウイルスの影響下、ICTソリューション事業では事業活動の制限や企業業績の悪化によるIT投資抑制が一部にみられた一方、リモートワークなどの戦略的なIT投資は需要が増加傾向にあり、VDI環境の構築やセキュリティソリューションに加え、サービス提供型ビジネスの更なる拡販を図りました。モバイル事業では時短営業が余儀なくされたほか、業界再編やネット専売プランの導入がありましたが、シェア向上による地位の確保、高収益体質の構築を目的に携帯電話販売代理店の獲得・連結化を促進しました。半導体部品・装置事業では、ICテストハンドラーメーカーからの事業譲受や、レーザーマーキング装置の販売・サービス提供を行う会社を連結化し、ポートフォリオを拡充しました。
食料
収益は前連結会計年度比67億86百万円減少の2,446億17百万円、営業活動に係る利益は8億83百万円減少の14億98百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2億41百万円増加の14億95百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。食糧事業は、内食需要に加え市況が好転したこともあり順調に推移しました。食品事業・畜産事業は、外食関連販売の苦戦などにより低調に推移しました。
食品事業は、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、良質な海外産原料の調達力を強化するため、各地サプライヤーとの独占契約や出資、設備貸与を引き続き推進しております。また、日本の消費者が求める品質水準を達成するため、日本人専門家による製造・品質管理体制を強化し、安全・安心な食の安定供給に努めております。畜産事業は、お客様のニーズに合った安全・安心な付加価値の高い商品の安定的な供給体制確立に向けて、バリューチェーンの構築を推進しており、ウルグアイ産牛の肥育農家への出資や大豆植物肉生産会社への出資を行いました。食糧事業は、中国の景気回復を受け、中国の現地資本と合弁で設立した大豆加工工場や北米の牧草生産加工工場が順調に稼働しております。海外取引の更なる拡大、ゲノム編集による品種改良、スマートファームの実現を目指して参ります。
鉄鋼・素材・プラント
収益は前連結会計年度比330億27百万円減少の968億31百万円、営業活動に係る利益は19億79百万円減少の18億40百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1億95百万円減少の20億60百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。エネルギー事業は、国内石油製品取引の採算良化などにより堅調に推移しました。一方、鉄鋼事業は、国内鉄鋼取引においてメーカーの値上げ政策による市況上昇がありましたが、原料価格の高騰や海外市場停滞の影響などで低調に推移しました。また、工作機械・産業機械事業も、設備投資計画の延期等の影響を受け低調、鋼管事業も、掘削需要低迷の影響が続き低調に推移しました。
原油相場の変動や通商問題など逆風の要素が多い環境下、鉄鋼事業は、将来性の高い建材分野において韓国企業に加えベトナム企業へも出資を実施し、建材に係る総合的な商品・サービスの営業力強化を実現しました。将来に向けたビジネス基盤安定化のため、化学品事業における付加価値の高い医薬品、ライフサイエンス分野への取組みの深化、鋼管事業における新工場の建設、エネルギー事業における太陽光発電、バイオマス燃料ビジネスへの取組みの拡大、プラント・船舶事業におけるパッケージ型のプロジェクト提案を軸とした差別化などの打ち手を講じております。
車両・航空
収益は前連結会計年度比35億19百万円減少の710億86百万円、営業活動に係る利益は3億28百万円減少の20億55百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1億69百万円減少の14億97百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。航空宇宙事業は、海外における航空機部品取引が不調であったものの、国内の官公庁向け航空機関連取引は堅調に推移しました。車両・車載部品事業は、世界的な需要減少からやや回復したものの、その影響が残り低調に推移しました。
車両・車載部品事業は、ビジネス領域拡大を目的として、ドライブレコーダ開発・製造企業の買収を行いました。これにより新たなデータビジネスを国内外で推進して参ります。航空宇宙事業は、次世代モビリティとして注目されるeVTOL(空飛ぶクルマ)の地上インフラ整備における協業を行いました。これにより日本国内での同分野での先行者となるべく、礎を築いて参ります。北米シリコンバレーに設立した投資拠点を軸に革新的ビジネスの立ち上げに向けて活動しており、事業投資、新規事業創造の取組みをさらに進化させて参ります。
その他
収益は前連結会計年度比9億21百万円減少の104億97百万円、営業活動に係る利益は1億23百万円減少の6億96百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は90百万円増加の3億80百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容および資本の財源および資金の流動性についての分析
キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資金調達
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で掲げている「持続的な成長」を実現するために必要な、低コストで安定的な資金調達を基本方針として資金調達活動に取り組んでおります。
当社グループの資金調達については、メインバンク、地銀、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融をベースに、長期資金の調達手段の一つとして普通社債を発行し、資本市場からの調達も実施しております。当連結会計年度では、連結有利子負債に占める直接金融からの負債調達割合は8%となりました。
これらの円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社グループに対する格付け(長期)は、JCRがBBB+(見通しポジティブ)、R&Iが前回からワンノッチ格上げとなるBBB+(安定的)となっております。
加えて、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現金及び現金同等物を保有するほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しております。
また、連結ベースでの効率的な資金調達を実施するために、国内主要関係会社の資金調達を親会社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。当連結会計年度末では、連結有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は65%と、約7割の資金調達を親会社に集中しております。
このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末におけるグロス有利子負債残高は1,221億57百万円で、前連結会計年度末と比べ212億37百万円減少いたしました。また、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は405億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ112億87百万円減少いたしました。その結果、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.3倍と、健全な財務体質を維持しております。
また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債および長期借入金(1年以内に返済予定の社債および長期借入金を含む。)の比率は69%(当社では99%)であり、資金調達の状況は安定しております。
配当性向(総還元性向)
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で、安定した収益基盤の事業分野において持続的成長を実現するとともに、規模の拡大や付加価値の獲得のための事業投資により、連結当期利益の一段の伸長を目指しております。
このために、毎年持続的に創出される営業キャッシュ・フローおよび金融機関や資本市場から調達する財務キャッシュ・フローを重点分野への成長投資に充てるとともに、安定的かつ継続的に株主還元を実施し、資本の効率性にも目を配って参ります。
具体的には、過去平均して100~200億円程度の実績がある営業キャッシュ・フローを原資に成長投資を実行するとともに、株主還元については中期ビジョン「future 135」の見直し後の目標である30~35%の配当性向(総還元性向)の実施を目指して参ります。単年の営業キャッシュ・フローを超えるような多額の事業投資については、健全な財務体質による追加調達余力を活かして機動的に資金調達を実施し、見直し後の連結当期利益目標となる200億円の達成を目指して参ります。
なお、当連結会計年度における配当性向(総還元性向)は37.6%となりました。
特記事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は