(1) 経営方針
常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。
創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」
「われらの信条」
・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。
・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。
・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。
(2) 経営環境および対処すべき課題
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」(2018年4月~2024年3月)において、基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野での事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を追求する方針を掲げております。
加えて、「SDGsへの取組み」や「グループを挙げたデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)推進」を重点施策として掲げているほか、安定的で持続可能なサプライチェーンの構築に努めるとともに、脱炭素社会に向けて「グリーントランスフォーメーション(以下「GX」という。)」に関する積極的な取組みも進めております。
また、安定した収益構造および財務構造を背景に、配当性向(総還元性向)目標は30~35%とし、資本の効率性を重視した経営を推進しております。
(定量目標)
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「future135」最終年度 (2024年3月期)目標 |
2024年3月期予想 |
2023年3月期実績 |
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連結当期利益※ |
200億円 |
235億円 |
186億円 |
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ROE |
10%~12% |
17.2% |
12.9% |
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配当性向(総還元性向) |
30%~35% |
32.0% |
33.7% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
(重点施策)
① 基盤となる事業における持続的成長と、事業投資による規模拡大、付加価値獲得
基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、健全な財務構造のもと、資本とリスクアセットのバランスを取りつつ成長投資を実行して参ります。強みを有する事業分野、およびSDGs達成に向け、環境、社会、安全をテーマとする事業分野において、「規模拡大」型と「付加価値」型の二軸で事業投資を推進しております。当連結会計年度における主な実績は、次のとおりであります。
・ 規模拡大を主とする投資としては、兼松エレクトロニクス㈱による日本アクセス㈱の買収、携帯電話販売二次代理店の買収などを行いました。
・ 付加価値獲得を主とする投資としては、製造装置システムインテグレーターへの出資、日本式焼肉チェーンへの出資などを行いました。
② 技術革新への対応
現行分野の周辺において将来に向けた「イノベーション」型の開発投資を行い、IoTやAIなど先進技術を軸とした新規事業を推進・拡大し、加えてグループを挙げてDXも推進して参ります。
当連結会計年度においては、先進技術を軸とした新規事業の推進を目的としてカーボンナノチューブの社会実装を目指す新興メーカーへの追加出資や、プラスチックリサイクル技術を有するベンチャー企業への出資などを行いました。
③ 持続的成長を実現するための経営インフラ確立
当連結会計年度においては、2022年11月21日付で東京本社の移転を行いました。業務内容によって座席を選択するActivity Based Working(ABW)を導入し、業務の効率化を図るとともに部署やグループ会社の垣根を越えたコミュニケーションの活性化から新しいビジネスの創造を推進して参ります。また、当社そして社会の持続的成長に向け、サステナビリティ推進委員会とサステナビリティ推進室を中心として、SDGsをより一層意識した経営に取り組んでおり、当連結会計年度においては、国連グローバル・コンパクトに署名したほか、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンへの加入や、人権方針とそれに基づく重要な人権課題の策定を行いました。
(兼松エレクトロニクス㈱および兼松サステック㈱の完全子会社化を目的とした公開買付けの実施)
当社は、上場連結子会社である、兼松エレクトロニクス㈱および兼松サステック㈱を完全子会社化することを目的として、2023年1月から3月にかけて対象会社に対する公開買付けを実施いたしました。
DXおよびGX等の取組みを推し進めていくうえでは、DXの分野では豊富なICT・デジタル知見ならびにデジタル人材を有する兼松エレクトロニクス㈱と、GXの分野では脱炭素に資する技術・工法を有する兼松サステック㈱と当社との連携を加速させ、当社グループの経営戦略を機動的に実行できるよう、当社と対象会社との一体運営を強化することが必要不可欠であると考えております。
そのためには、対象会社との資本関係をより強固なものとし、また親子上場に伴う当社と対象会社の少数株主との間における利益相反の問題を解消しつつ、当社グループが有する情報・ノウハウ、人材、営業基盤、資金などの必要な経営資源を相互活用し、グループ間シナジーをより一層発揮できる体制を整備する必要があると認識しております。
そのような認識のもと、新中期経営計画の開始を見据えた最適のタイミングでグループ一体経営の実現を図り、経営資源の制限のない相互活用や意思決定の迅速化を通じて、DXおよびGXの取組みを一層加速させることで、当社グループの更なる企業価値の向上を図るために、上記公開買付けを実施したものです。
(今後の見通し)
次連結会計年度においては、中国は「ゼロコロナ」政策の解除により消費が急速に戻りつつあり景気の回復が期待される一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化と、それによるグローバル市場の分断やインフレの継続、各国での急速な金融引締めの副作用が金融システムにもたらしつつある影響が世界経済の減速要因として懸念されます。
日本経済は、海外経済の減速が下押し圧力となる一方で、インバウンド需要や個人消費の伸びにより景気は緩やかに回復すると見込まれます。
2024年3月期の業績見通しについては、収益9,600億円、営業活動に係る利益405億円、税引前利益360億円、親会社の所有者に帰属する当期利益235億円を見込んでおります。よって、ROEは17.2%となる見込みです。
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2023年3月期実績 |
2024年3月期見通し |
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連結当期利益※ |
186億円 |
235億円 |
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ROE |
12.9% |
17.2% |
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配当性向(総還元性向) |
33.7% |
32.0% |
(※)親会社の所有者に帰属する当期利益
セグメントの業績見通しおよび成長戦略は、次のとおりであります。
電子・デバイス
旺盛なデジタル投資需要を受け、ICTソリューション事業が引き続き好調に推移することや、モバイル事業における不採算店舗の閉鎖や家電量販店向けの販路拡大などにより、収益は当連結会計年度比75億円増加の2,900億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比12億円増加の215億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比53億円増加の141億円を見込んでおります。
市場は拡大しているものの変化が極めて速いビジネス環境にあり、選択と集中および先進技術のキャッチアップにより事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・ビジネスマッチングのプラットフォームを開設しプラットフォーマーになることによる付加価値の獲得。
・フロンティア領域の動向を見据えニッチメジャーを志向することで市場の変化に対応、また、ビジネスパートナーとの関係を深めることによる規模の拡大。
食料
畜産事業における販路拡大や市況の回復、食品事業における円安や金利上昇の価格転嫁により、収益は当連結会計年度比246億円増加の3,650億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比28億円増加の69億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比4億円増加の26億円を見込んでおります。
食品事業は、ライフスタイルや価値観の変化により市場の消費者ニーズが多様化しているビジネス環境にあり、マーケットイン志向で事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・サステナビリティ認証の取得や新たな産地の開拓や付加価値の高い新商品の開発獲得。
・顧客のニーズを先取りした市場性の高い原料や製品の開発推進や、市場が拡大するインドネシアなどアジア諸国におけるバリューチェーンの横展開を通じた規模の拡大。
畜産事業は、国内市場は成熟しているものの、アジアを中心とした海外市場は成長が見込めるとして、国内外のビジネスパートナーとの信頼関係の維持・深化により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・加工機能の強化や環境負荷の少ない畜産物の開発、およびそれらの製品や原料取引を推進することによる付加価値の獲得。
・国内外のパートナー企業との提携・出資によるバリューチェーン(生産・加工・物流・販売)の横展開を通じた規模の拡大。
食糧事業は、タンパク質需要が拡大する一方、異常気象などにより供給リスクが高まるビジネス環境にあり、生産安定化と品質管理により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・各種認証により品質(安全性)が保証された食糧の安定供給による付加価値の獲得。
・商品ラインナップ拡充による市場占有率の拡大や、パートナー企業との連携・出資、海外市場への事業の横展開による規模の拡大。
鉄鋼・素材・プラント
工作機械・産業機械事業は、国内の投資需要が期待される一方で、当連結会計年度に好調であったエネルギー事業と鋼管事業の反動減により、収益は当連結会計年度比66億円増加の2,000億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比32億円減少の91億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比18億円減少の49億円を見込んでおります。
カーボンリスクの高まりにより、GXのニーズが拡大するビジネス環境にあり、顧客の「脱炭素」への様々な支援により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・社会インフラを支える部門として、当社グループ内の技術・知見を結集し、様々な視点から脱炭素に関する複数の機能を顧客に提供することによる付加価値の獲得。
・再生可能エネルギーのニーズの高まりに応え、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電といった再生可能エネルギー事業を世界中で展開することによる規模の拡大。
車両・航空
航空宇宙事業は、航空業界の需要回復や宇宙防衛産業の需要の増加を見込んでおります。また、車両・車載部品事業は、部品需要の回復傾向が見られることから、収益は当連結会計年度比87億円増加の900億円、営業活動に係る利益は当連結会計年度比5億円増加の20億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当連結会計年度比4億円増加の12億円を見込んでおります。
次世代モビリティや空飛ぶクルマ、ドローンの普及、モビリティ関連製品全般の軽量化や電動化などの技術革新による脱炭素化の動きも加速するビジネス環境にあり、「環境」「安全」「快適」をテーマとしたモビリティ事業の創造で事業を成長させて参ります。また、宇宙産業の復興に伴い、地球低軌道を利用した商用宇宙ステーションの事業開発などにも取り組んで参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。
・「環境」「安全」「快適」をテーマにした次世代モビリティ事業の創造と推進による付加価値の獲得。
・東南アジアでの需要の拡大にモビリティ×デジタルで応えることによる規模の拡大。
(業績見通し算定にあたっての前提条件)
・為替レート : 1米ドル=135円
・金利水準 : 円金利:横這い 外貨金利:上昇を見込む
(注意事項)
上記の見通しなどの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、創業者兼松房治郎の創業主意を基本理念としており、国際社会や経済の発展に寄与していくことを使命とし、国内のみならず広くグローバルにビジネスを展開しております。多岐にわたる事業において、あらゆるモノ・機能・サービスを提供し、多様なサプライチェーンを構築する中で、地球環境や人権への対応が喫緊の課題であると認識しております。当社グループは、お客さまやパートナーとの共生・発展を念頭に、これまでの長い歴史の中で培ってきた知見やノウハウを活かし、付加価値のあるモノやサービスを提供する企業活動を通じて、地球環境や社会・経済と、当社グループの持続的な発展を目指して参ります。
(1) サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社では、サステナビリティ経営を推進していく体制として、サステナビリティに関する基本的な方針、戦略、調査、業務の推進等についてサステナビリティ推進室が企画・立案し、サステナビリティ推進委員会にて討議・決定しております。サステナビリティ推進委員会は、営業部門の責任者および企画担当役員を中心に構成され、サステナビリティ推進室および広報・IR室が事務局となり、定期的に開催しております。当社が社会から期待される役割や課題を把握し、これを営業部門の意見とすり合わせるとともに、今後の事業活動の方向性に反映することでサステナビリティ経営の推進に活かしております。
② 戦略
当社は、持続可能な開発目標(SDGs)など国際社会の動向やステークホルダーからの期待、当社の基本理念、経営にとっての重要性を踏まえ、当社グループが企業活動を通じて注力する5つの重要課題(マテリアリティ)を設定しております。
当社は、事業活動を通じて「持続可能なサプライチェーンの構築」、「脱炭素社会に向けた取組み」、「地域社会との共生」に取り組むとともに、それらの事業活動を支える重要な経営基盤として「多様な働き方を実現する環境づくり」および「ガバナンスの強化&コンプライアンスの徹底」に取り組んで参ります。
③ リスク管理
(執行)
当社グループにおける事業活動は、営業部門(6部門)を中心に推進・執行され、気候関連のリスク識別および評価についても、各営業部門が事業活動と照らし合わせて行っております。
(管理)
当社は、事業内容を熟知する執行機関である営業部門の責任者(執行役員)と、当社グループの基本的な経営方針、経営戦略、および経営資源の配分を主管する企画担当役員(執行役員)でサステナビリティ推進委員会を構成し、企画担当役員が委員長を務めております。サステナビリティ推進委員会は、営業部門において識別・評価された気候関連のリスクについて討議しております。また当社グループのCO₂排出量を定期的に算定し、その増減要因や対策の方向性を協議することで総合的なリスク管理を行っております。
(監視監督)
取締役会は、サステナビリティ推進委員会より定期的な報告を受け、当社グループにおける気候関連の総合的なリスク管理について監視監督を行っております。
(2) 気候変動に関する取組み
当社は、2021年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同し、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、より分かりやすくお伝えできるようTCFDのフレームワークに沿った情報開示に努めております。
当社は、創業以降、事業の選択と集中を経て取組みを進めた結果、現在は火力発電や石炭事業をはじめとする環境負荷の高い事業のない事業ポートフォリオとなっております。また、すべての投資案件の実行、重要な契約の締結、および重要な資産の取得に際しては、当社グループのサステナビリティの考え方および重要課題(マテリアリティ)を踏まえており、今後も環境負荷の高い事業に取り組むことを回避できるよう、その執行を管理、監督するガバナンス体制も構築しております。
こうした長年にわたる環境負荷に対する管理・制御が奏功し、当社グループの事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2)は当社の事業規模に照らし合わせて極めて低い水準にあります。今後も大きくは増加させない仕組みとしてこのガバナンス体制を維持して参ります。
一方、当社グループは、近年、森林保全事業や二国間クレジット事業を積極的に推進しており、これらの事業により当社グループが創出するクレジット、またはクレジット化予定のCO₂削減貢献量をCO₂排出量と早期に均衡させ(カーボンニュートラル (注)1)、更には排出量を上回る水準(カーボンネガティブ (注)2)を目指して取り組み、わが国および国際社会に貢献し続ける企業グループであり続けます。
(注)1.カーボンニュートラルとは、当社グループが排出したCO₂排出量(Scope1、2)と当社および当社グループによる森林保全事業や二国間クレジット事業で創出したクレジット、あるいは削減貢献量と均衡する状態を指します。
2.カーボンネガティブとは、当社グループが排出したCO₂排出量(Scope1、2)を、当社および当社グループによる森林保全事業や二国間クレジット事業で創出したクレジット、あるいは削減貢献量が上回る状態を指します。
① ガバナンス
② 戦略
当社グループは、当社グループが行う事業のうち、気候変動の影響が大きい事業を選定してシナリオ分析を行った結果、いずれのシナリオにおいてもリスクと機会が存在するものの、リスクの影響度を機会の影響度が上回ると捉えております。
当社グループは、中期ビジョン「future135」の重点施策として環境等をテーマとする事業分野での投資を推進することを掲げており、気候変動を積極的な事業機会と捉えております。
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項目 |
TCFD開示推奨項目 |
当社の取組み(要約) |
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戦略 |
(a)短・中・長期の気候関連のリスクおよび機会 |
(リスクと機会) 気候変動の影響の定性的側面と売上高・利益の定量的側面を軸とし、北米牛肉事業、鋼管事業、トウモロコシ事業、灯油事業の4事業でシナリオ分析を実施 各々の事業の最重要項目は、次のとおり |
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・北米牛肉事業(短・中・長期、4℃シナリオと2℃未満シナリオ) リスク:平均気温上昇による飼料・牧草の価格上昇(物理リスク) 機会 :新技術の開発・普及に伴う新たな機会(植物由来肉) |
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・鋼管事業(短・中・長期、4℃シナリオと2℃未満シナリオ) リスク:化石燃料の需要減少(移行リスク) 機会 :新技術の開発・普及に伴う新たな機会(CCUS、EOR) |
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・トウモロコシ事業(短・中・長期、4℃シナリオと2℃未満シナリオ) リスク:畜肉需要の低下に伴う売上高の減少、および飼料用途以外の需要拡大による調達コストの増加(移行リスク)、平均気温上昇や干ばつによる調達コストの増加(物理リスク) 機会 :新技術の開発普及に伴う新たな機会(バイオプラスチック) |
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・灯油事業(短・中・長期、4℃シナリオと2℃未満シナリオ) リスク:規制の強化による需要減少(移行リスク)、海面上昇に伴うサプライチェーンの分断(物理リスク) 機会 :再生可能エネルギー事業の拡大と低GHG排出製品の販売 |
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(b)気候関連のリスクおよび機会のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響 |
(影響) 大/中/小で整理 |
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(c)複数シナリオを活用したシナリオ分析および気候変動に対する戦略のレジリエンス |
(分析結果) 北米牛肉事業、鋼管事業、トウモロコシ事業、灯油事業いずれのシナリオにおいても、リスクと機会が存在し得る 分析を踏まえ、当社としては気候変動を機会と捉えて事業戦略を策定 当期の中期ビジョン「future135」の重点施策として環境等をテーマとする事業分野での投資を推進 |
③ リスク管理
④ 指標及び目標
(指標)
当社グループは、工場等の所有も少なく、CO₂以外の温室効果ガスの排出が少ない事から、気候関連のリスクと機会の評価指標にCO₂排出量を用いております。
(目標)
今後の目標として、まずは2025年のカーボンニュートラルを目指しております。再生可能エネルギーへの転換で排出量自体の削減を行い、それでも削減できない残余排出についてはGHG削減に貢献するREDD+事業のクレジット化、すなわち自社事業から創出されたクレジットにより均衡させるオフセットによるものです。その先もクリーン燃料や再生可能エネルギー事業、REDD+事業や二国間クレジット事業を拡大し、削減貢献量を積み増すことで、2030年のカーボンネガティブ15万t-CO₂、2050年の同100万t-CO₂を目指し、社会のGHG削減に寄与して参ります。
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項目 |
TCFD開示推奨項目 |
当社の取組み(要約) |
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指標と目標 |
(a)気候関連のリスクおよび機会を評価する際に用いる指標 |
(指標) CO₂排出量 |
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(b)Scope1、Scope2および当てはまる場合はScope3の温室効果ガス(GHG)排出量とその関連リスク |
(GHG排出量) 2021年度29,497t-CO₂(当社および当社グループ 合計95社) (保証値、内訳:Scope1:9,772t-CO₂ Scope2:19,725t-CO₂) 2020年度27,800t-CO₂(当社および当社グループ 合計94社) (概算値、内訳:Scope1:9,200t-CO₂ Scope2:18,600t-CO₂) |
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(c)気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標および目標に対するリスク |
(目標と実績) 2025年 カーボンニュートラル 2030年 カーボンネガティブ(△)150,000t-CO₂ 2050年 カーボンネガティブ(△)1,000,000t-CO₂ |
(3) 人的資本・多様性に関する取組み
数ある経営資源の中でも、人材は当社にとって大切な財産であり、事業戦略に沿った人材育成を行うことが、当社の持続的成長に不可欠であると考えております。当社は、価値創造の源泉となる人材育成に注力するとともに、個々人が能力を発揮しやすい組織・環境作りに取り組むことで、企業価値の向上に努めて参ります。
① ガバナンス
② 戦略
当社の戦略については、次のとおりであります。
(ⅰ)人的資本基本方針
(方針)
「価値」を持続的に創造していくために、価値創造の源泉となる人材を増やし、人材の能力を活かす組織・会社を作ることで企業価値を向上する。
(概要)
当社の価値創造の源泉は人材であると考えており、創業当時より大切にする以下の価値観を一人ひとりが主体的に体現することにより、持続的な「価値」の創造につなげております。
・お客さま・お取引先、社会の課題を解決する使命感、責任感
・一粒の種をまくための創意工夫と挑戦心
・お客さま・お取引先との共創共栄を大切にする誠実心
・働く情熱と共に同じ目的に向かって邁進する団結心
当社は時代の変化に合わせて常にビジネスモデルを変化させております。当社が大切にする価値観は変わらずとも、当社の成長の方向性に合わせて必要となる知識・経験は変わるため、常に研修・教育方法の見直しを行い、より大きな「価値」の創造に結びつけるための人材育成を継続的に行っております。
あわせて、人材の個の能力を活かす組織・会社作りも重要であると考えております。一人ひとりの人材の能力を最大化させるため、選択肢が豊富にあり、個々人の能力を活かすことができ、お互いが尊重し合い団結する組織作りに取り組んでおります。
(ⅱ)成長の方向性
当社は中期ビジョン「future135」において、基盤となる事業における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野において、付加価値創出や規模拡大を目指した事業投資を推進しております。また、新たな事業ポートフォリオの確立に向け、IoTやAIなどの先進技術を軸とした新規事業の推進・拡大にも取り組んでおります。加えて、グループを挙げたDXの推進を重点施策に掲げ、安定的かつ持続可能なサプライチェーンの構築に努めるとともに、持続的成長を実現するための経営インフラの確立にも取り組んでおります。
今後も中長期にわたって「価値」を持続的に創造していくために、「付加価値の獲得・規模の拡大」、「新たなポートフォリオ創出のための種まき」、「グループを挙げたDX推進」の3つを成長の方向性として設定しております。
当社の人的資本基本方針イメージ
(ⅲ)人材育成方針
(方針)
兼松の価値創造の源泉は人材であると考えており、兼松の人材が大切にする根底の価値観は変わらずとも、会社が目指す成長の方向性に合わせて人材に必要な知識・経験は変化していくため、より持続的に価値創造ができる人材を増やしていくための採用・研修・育成を実施する。
(概要)
上述の当社の大切にする価値観を体現するためには、どのような環境下でも実行力を発揮し、最後まで責任を持ってやり遂げる意欲を持ち、取引先や社内関係者と適切なコミュニケーションを取ることができる優れた人格が必要であると考えております。
当社の人材は、新規ビジネスを事業化していく熱意、挑戦心のある旺盛な冒険心、新たなビジネスモデルの構築、既存の概念に捉われない新しい発想の展開ができる革新的な思考を大切にしております。
当社では、持続的な価値創造のために、優れた人格を基盤として、会社が目指す成長の方向性に合わせた人材育成を行って参ります。
(重点テーマ)
人材育成に関する重点テーマは、次のとおりであります。
(a)付加価値の獲得・規模の拡大
・兼松ユニバーシティ
新たなビジネスを創造する経営人材の育成を目的として、従来の研修制度を強化・体系化した「兼松ユニバーシティ」(以下、「KGU」という。)を、2019年7月より開講しております。KGUのカリキュラムは、教養、対人知識・スキル、業務知識・スキルの3カテゴリーで構成されており、内容によってe-learningと集合研修に振り分けた豊富な講座を受講できる仕組みになっております。ビジネスマナーや語学など基礎的なものから、事業投資や法務、アンガーマネジメントなど専門的な知識も身に付けることができる内容となっており、次世代のマネジメント層となる人材の育成に努めております。
・経営者育成研修
KGUの一環である経営者育成研修は、経営者としての視点でビジネスや組織を運営する能力を身に付けるため、2017年度より導入した研修です。戦略策定力・人材マネジメント力の養成、経営者に必要な基礎知識の習得を目的とし、「付加価値の獲得・規模の拡大」を目指していく中で、組織をリードし、事業経営ができる人材の育成を行っております。
(b)新たなポートフォリオ創出のための種まき
・ダイバーシティ採用、キャリア採用
既存事業の延長にとどまらない、新たな事業ポートフォリオを創出するためには、当社内部の知識・経験だけではアプローチできない市場・商材・顧客にも進出していく必要があると考えており、多様な人材の確保に努めております。
新卒採用では多様なバックグラウンドを持つ学生を世界中から採用するため、日本における外国籍留学生や海外の大学を卒業した日本人学生を対象とした採用活動を実施しております。また当社内部とは異なる知識・経験の獲得を期待したキャリア採用の拡大も進めております。
・異動経験
様々な事業を展開する当社グループの特長を活かし、社内異動やグループ会社、出資先企業との人材交流により知識と経験の多様性を深めております。
(c)グループを挙げたDX推進
・DX人材の育成
当社が関わるサプライチェーンにおいて、デジタル技術や自動化技術を活用しながら次世代に適合したビジネスへのシフトを目指し、取引先と協力して共に変革への困難を克服するDXを推進しております。当社が求めるDX人材には、デジタルの知見だけではなく、ビジネスの知見との掛け合わせが必要と考えており、ITリテラシー向上のための研修のみならず、デジタル技術を扱うグループ内企業との人材交流等も通じて、取引先などのデジタル化段階に合わせたDXを推進できる人材を育成します。
(ⅳ)環境整備方針
(方針)
一人ひとりの能力を最大化させるために選択肢が豊富にあり、個々人の能力を活かし、お互いが尊重し合い、団結する組織を目指す。また、その基盤となる従業員の健康維持・増進および安全に働くことができる環境整備を推進する。
(概要)
価値創造の源泉となる人材を活かしサポートするためには、組織・会社の環境を充実させる必要があります。多様な人材がフラットな関係でお互いを尊重・協力し合い、多様なキャリアを築くことができ、チャレンジを促し、チャレンジした人が報われる環境が必要であると考えております。
当社では人材の能力を活かす組織・会社を作るためにはDE&Iの考え方が根底にあると考えております。また、社員エンゲージメント等の観点から、下図のとおり組織・会社作りをしていくうえで重要な価値観(コアバリュー)を4つ(個性を活かす、フラット&リスペクト、チャレンジをサポート、働き方にも選択肢)定めております。コアバリューは一人ひとりの能力を最大化させるために必要に応じて見直して参ります。
人材の能力を活かす組織・会社作りのコアバリューイメージ
(重点テーマ)
環境整備方針に関する重点テーマは、次のとおりであります。
(a)多様な個性を活かすDE&I
・DE&Iチームの取組み
世界に散らばる「違い」を積極的に取り込むべく2019年にD&I(現DE&I)チームを発足いたしました。これからの100年も存続し社会に貢献していくグローバル企業として強く大きくなり、誰もが公正・公平な処遇を得て多様な才能を輝かせ続けることができる柔軟な組織を目指し活動して参ります。
・タレントマネジメント
属人的な人材配置から脱却すべく、人材プールの可視化を目的としてタレントマネジメントを推進しております。一人ひとりのスキル、経験、特性といった人材情報を一元管理し、どのような人材が社内にいるのか適切に把握するよう努めております。
(b)エンゲージメント向上によるパフォーマンスの最大化
・エンゲージメント調査
当社では、中期ビジョン「future135」の重点施策に従業員満足度(ES)の向上を掲げ、2021年度に2回目となるエンゲージメント調査を実施いたしました。第1回目の調査と比較して、社員エンゲージメントの改善が見られたものの、未だ複数の課題が残っていることも分かり、これらの課題に対する施策を検討・実行することにより、更なるエンゲージメントの向上を図って参ります。
・エンゲージメント向上のための施策
(本社移転、ABW)
2022年11月に本社移転を行い、業務内容や目的に合わせて自由に働く場所や時間を選択するABW(Activity Based Working)を導入いたしました。今まで以上に効率よく業務ができ、部門を超えたコミュニケーションの活性化を促しております。
(ヒトツブクラブ)
新規事業のためのアイデア創出・事業化推進を行うコミュニティである「ヒトツブクラブ」を発足しております。研修ではなく、参加型イベントやTeamsグループを通じて、新規事業の創造に挑戦する「時間」と「場」を設けるだけでなく、参加者の熱意さえあれば、アイデアの具現化に向けた支援・サポートを実施しております。
(新人事制度)
各々がチャレンジングな目標を掲げ、組織全体の底上げを図るような土壌形成と、その取組み・成果に報いる仕組み作りを行うため、人事制度の改定に向け協議しております。
(c)多様な働き方
・フルフレックス制度
柔軟な働き方を推奨するため、2021年度よりコアタイムのないフルフレックスタイム制度を導入しております。従業員が業務の繁閑に合わせて出社・退社時刻を原則自由に設定でき、今まで以上に自身の業務に合わせた効率的な働き方が可能となりました。
・テレワーク制度
従業員のWell-beingの観点や、外出時の移動時間削減等による業務効率化の観点から、テレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務)を制度化いたしました。「従業員の自律的な働き方の尊重」と「会社業績の向上」を両輪で実現することを目指し、働き方の選択肢としてテレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務)を位置付けております。
・有給休暇取得推奨
「働きやすく、働きがいのある職場環境」の実現を目指し、従業員が有給休暇を取得しやすい制度として、年次有給休暇の計画的付与制度「ブロンズウィーク・プラス制度」を導入しております。より働きやすい職場環境を整え、公私のメリハリをつけて業務にあたることを目指しております。
(d)従業員のWell-beingを追求する健康経営、安心して働ける労働慣行
・健康経営宣言
従業員が能力を拡大し可能性を育てながら生き生きと働くためには、健康経営の推進が必須であると考えております。当社は2023年3月に、経済産業省および日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において「健康経営優良法人2023」の認定を受けております。
・健康状態の把握
当社では2023年度中に健康管理システムを用いて、従業員の健康に関するデータを可視化する取り組みを予定しております。兼松健康保険組合と連携してデータを分析し、従業員の健康状態に即したより効果的、効率的な活動を行って参ります。
・衛生委員会
従業員の健康を守り、明朗な職場環境をつくるため衛生委員会を設置しております。同委員会は総括安全衛生管理者(人事部長)の監督の下、産業医、衛生管理者、会社推薦の社員、そして労働組合が推薦した社員で構成されております。月に1度、委員会を開催し、産業医から助言を受けながら、労使共同で各施策を協議し、推進しております。
・ハラスメント対策
ハラスメントについては、社内相談窓口を設置しており、ハンドブックの配布による啓蒙活動に加え、ハラスメント防止のための研修を実施しております。
③ リスク管理
④ 指標及び目標
当社の人材育成および環境整備に関する指標及び目標は、次のとおりであります。
(ⅰ)人材育成方針 (目標及び実績/当社)
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区分 |
重点テーマ |
KPI指標 |
2023年3月期実績 |
2027年3月期目標 |
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人材育成方針 |
付加価値の獲得・規模の拡大 |
経営者育成研修受講率 |
11年目以上 広域社員 72.2% |
11年目以上 広域社員 100% |
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新たなポートフォリオ創出のための種まき |
多様な人材の採用比率(女性・外国籍) |
27.1% (注)1 |
35% (4年平均) |
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グループを挙げたDX推進 |
ITパスポート取得率 |
- |
100% |
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DX関連研修受講率 (注)2 |
- |
70% |
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グループ内ICT・データビジネス企業等との人材交流 |
- |
60名 (4年累計) |
(注)1.中期ビジョン「future135」以降の5年平均値であります。
2.Business Process Management研修、DXプロジェクト推進研修のいずれかを受講した割合であります。
(ⅱ)環境整備方針 (目標及び実績/当社)
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区分 |
重点テーマ |
KPI指標 |
2023年3月期実績 |
2027年3月期目標 |
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環境整備方針 |
多様な個性を活かす DE&I |
女性管理職比率 |
4.9% |
7% |
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男性育児休業取得率 |
88% |
100% |
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エンゲージメント向上によるパフォーマンスの最大化 |
エンゲージメントスコア |
61% (注)1 |
グローバル企業 上位10%平均 (注)2 |
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多様な働き方 |
有給休暇取得率 |
70.4% |
75% |
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フルフレックス利用率 |
81.8% |
95% |
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従業員のWell-beingを追求する健康経営、安心して働ける労働慣行 |
定期健康診断受診率 |
97.2% |
100% |
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ストレスチェック受検率 |
98.1% |
100% |
||
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ハラスメント防止の研修受講率 |
100% |
100%維持 |
(注)1.2022年3月期の実績であります。
2.グローバル平均のデータベースに含まれる企業数は約700社、社員数約700万人(各業界で際立った財務実績を有するグローバル企業上位10%の平均スコア)であり、2021年の実績値は66%であります。
(注意事項)
上記の「指標及び目標」などの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実数値等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、グローバルで幅広く事業活動を行っているため、市場リスク・信用リスク・投資リスクなど様々なリスクにさらされております。当社グループでは、それぞれのリスクに対して管理手法を整備し、リスクのコントロールを行っておりますが、事業を推進するうえで予測困難な不確実性を内包していることから、当社グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)を積み上げて財務基盤を拡充することを基本方針としており、個々の事業における環境の悪化に起因する想定損失の最大額に対するリスクバッファーの観点から、リスクアセット倍率の上限を定めており、リスクアセットに対する自己資本の規模の妥当性を検証し、取締役会および経営会議に定期的に報告しております。
しかしながら、これらのリスクを完全に排除することは困難なため、事業の状況、経理の状況等に記載した事項のうち、有価証券報告書提出日現在において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは、次のとおりであります。
(1) マクロ経済環境の変化によるリスク
当社グループは、国内外における各種商品の商取引、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業をグローバルに展開しております。このため、日本、米国、中国、欧州およびアジア新興国や世界経済全般の景気が減速した場合、需要の停滞による売上減少や市場価格の大幅な落ち込みなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、提出日現在で当社グループが認識しているマクロ経済環境は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
(2) 市場リスク
当社グループにおいて、営業取引に付随する為替変動リスク、金利変動リスクおよび取扱商品の価格変動リスクは多くの場合、取引先等との取引条件の中でヘッジしております。あわせて、為替・金利(資金)・商品やそれらの派生商品について、社内組織単位および会社ごとにリスク量と収益を勘案のうえ、ポジション枠(限度枠)と損失限度額を定め、これらの限度を超えた場合には速やかにポジションを縮減する体制を整備しております。また、ヘッジ手段として派生商品を活用することで、これらのポジションの価格変動リスクを軽減させております。これらのポジションの状況については、定期的に経営会議宛に報告され、ポジション枠を超過している場合は、速やかにその内容を分析のうえ、縮減させております。
なお、それぞれのリスクが一定の前提の中で変動した際に当社グループの経営成績に与える影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (5)市場リスク管理」に記載しております。
① 為替変動リスク
当社グループは、輸出入取引などに付随して、様々な通貨・条件での外国通貨取引を行っており、これらの為替変動リスクを軽減するため、為替予約等のデリバティブ取引を行っております。
また、当社グループは海外に現地法人や事業会社を有しており、連結財務諸表上それらの会社の残高は期末日の為替レートにて換算されるため、為替レートの変動により在外営業活動体の換算差額を通じて、親会社の所有者に帰属する持分を増減させる可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利変動リスク
当社グループは、営業活動や財務活動に係る資金の大半を金融機関からの借入金により調達しており、これらの借入金の一部は変動金利となっております。これらの借入金や資金運用については金利変動リスクがあり、金利上昇によって支払利息が増加する可能性があります。
③ 取扱商品の需給・価格変動リスク
当社グループの主たる事業である国内外での商品売買取引においては、市況の影響を受ける穀物・畜産物・石油製品等の取扱いがあります。一部の相場商品は商品先物取引を利用し価格変動リスクの軽減を図っておりますが、これらの商品ポジションが拡大した場合に、商品相場の乱高下や需要の減少等によって、予期しない損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 市場性のある有価証券等の価格変動リスク
当社グループは、取引先との関係強化などの目的で有価証券を保有することがあります。これらには株価変動リスクが存在し、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の変動により、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 信用リスク
当社グループは、国内外の取引先と多様な商取引を行う中で売掛金、前渡金、貸付金、保証その他の様々な形態での信用供与を行っており、取引先の財政状態の悪化などにより、回収遅延や債務不履行などが発生する可能性があります。また、商品供給契約、請負契約、業務委託契約等の締結・履行においては、理由の如何を問わず、取引先の債務不履行や契約不履行が発生した場合に、金銭的損失を伴う履行責任を負う可能性があります。これらの損失負担については、会計上、一定の見積りを用いて引当金の設定を行っておりますが、結果として損失が引当金の範囲を超え、追加的に損失が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
国内外の取引先への信用供与を行うにあたっては、定期的に取引先の財務データやその他の情報に基づき取引先ごとに格付けを付与し、格付けおよび与信種類に応じた与信限度額を設定し、また、必要に応じて保険を付保し、通常の営業取引から生じる取引与信のほか、融資、保証行為など、これらの信用供与の総額が、与信限度額内に収まるよう運営し、定期的に回収状況や滞留状況をモニタリングし、必要とされる保全策を講じることによって、コントロールしておりますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。また、取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの信用リスク管理の管理手法およびその予想信用損失の測定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記30 金融商品 (3)信用リスク管理」に記載しております。
(4) カントリーリスク
当社グループは、海外における取引や投融資を展開しており、その国の政治・経済情勢に起因する代金回収の遅延や不能が生じる可能性があります。こうしたカントリーリスクの顕在化による損失を極小化するため、定期的に各国・地域ごとのカントリーリスクの大きさに応じた格付けを付与したうえで限度額を設定し、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避けるべく運営しております。格付けや案件の内容に応じて貿易保険の付保などによる回収リスクの回避策も講じておりますが、実際に特定の国・地域においてこれらのリスクが顕在化した場合には、当該事業および取引の継続が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおける各国・地域に対する外部顧客からの収益および非流動資産の金額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6 セグメント情報 (4)地域別情報」に記載しております。
(5) 事業投資等のリスク
当社グループは、中期ビジョン「future 135」において、安定した収益構造の事業分野における持続的成長を目指すとともに、強みを有する事業分野への効果的かつ適切な事業投資により規模の拡大や付加価値の獲得を目標としております。
これら事業投資等の実行にあたっては、投資基準を定め、強みのある事業分野への投資を主として、投資目的・内容およびキャッシュ・フローをベースにした事業の採算性と様々なリスク要因の評価・分析等を踏まえた審議を各職能部門が行い、一定規模以上の重要な案件については案件審議会での審議を行っております。また、事業撤退の基準も定めたうえで、投資実行後も、定期的に案件審議会において、その事業性と投資価値の評価・見直しを行うことで、損失の極小化に努めております。しかしながら、投資先の財政状態や事業の成否によって、投資価値が変動する可能性があります。
また、現地の法令やパートナーなどとの関係において、当社グループの方針どおりに事業展開あるいは撤退ができない可能性もある中、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあり、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 固定資産に関する減損リスク
当社グループが保有する有形固定資産、のれんおよび無形資産は減損リスクにさらされております。対象資産の資産価値が減少した場合、必要な減損処理を行うため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、中期ビジョン「future 135」において事業投資による成長を掲げており、企業結合に伴うのれんおよび識別可能な無形資産の金額が、今後、増加する可能性があります。
対象となる固定資産および使用権資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記9 有形固定資産」および「同 注記10 のれんおよび無形資産」に記載しております。また、認識した減損損失については、「同 注記22 減損損失」に記載しております。
(7) 資金調達に関するリスク
当社グループは、事業資金を国内外に所在する金融機関からの借入金および社債等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持およびアセット・ライアビリティ・マネジメントに努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。
なお、当社グループの資金調達の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記15 社債及び借入金等」および「同 注記30 金融商品 (4)流動性リスク管理」に記載しております。
(8) 法令変更等に関するリスク
当社グループの国内外における事業活動は、日本および諸外国における広範な法規制の対象となっております。これらの遵守には最大限の注意を払っておりますが、予期し得ない各種法令等の変更、国際政治・情勢等の変化によって一方的に実施される懲罰的関税措置を含む輸出入規制および商品販売・取扱いに係る許認可等の規制変更などにより、当該取引を継続できなくなる可能性ならびに訴訟や当局の命令などから予期せぬ費用が発生する可能性があります。この中には、国際課税における当局や国家間の取決めおよび税率の変更による税務リスクも含まれており、これら法規制の変更は当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 訴訟・係争等に関するリスク
当社グループが国内外で事業活動を行うにあたっては、その営業活動や事業運営上の資産・負債等が、様々な形で、訴訟等の法的手続き上の、あるいはその他の係争の対象となることがあります。これらの訴訟・係争等の発生は予測困難であり、またそのような訴訟・係争等が発生した場合において、その解決には相当の時間を要することが多く、結果を予想することには不確実性が伴います。このような訴訟・係争等が発生し、予期せぬ結果となった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおける訴訟・係争等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記33 偶発債務」に記載しております。
(10) 法令遵守・不正行為に関するリスク
当社グループは、多岐にわたる商品・サービスを国内外で売買・提供する事業を営んでおり、その商品・サービスに対して我が国を含む世界各国で制定、施行されている安全保障貿易管理関連法令など輸出入関連法規をはじめとする各種法令および規則に、最大限の注意を払って事業を行っております。
各種の法規制や規則遵守に関して、内部統制・コンプライアンス委員会が、コンプライアンス維持の状況についての定期的なレビューを行うとともに、突発的に発生する諸問題に対応しております。しかしながら、複数の当事者を介して行う各種取引オペレーションにあたって、常に完全な手続きを実施することは難しく、複数の予防的措置を講じているにもかかわらず、結果として法令違反や不正行為を見逃し、それらの違反や不正行為が重大なものであった場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報共有や業務の効率化、事業の拡大発展のために情報システムを構築・運用しており、情報システム運営上の安全性確保のため、情報セキュリティ管理に関する規程を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおります。しかしながら、年々サイバー攻撃の手法が巧妙化し、件数も増加する中、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による企業機密情報・個人情報の漏洩、更には、自然災害、事故等による情報システム設備の損壊や通信回線のトラブルなどにより情報システムが不稼動となる可能性を完全に排除することはできません。このような場合は、システムに依存している業務の効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等に関するリスク
当社グループは、国内外における地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員ならびに事業所、倉庫、工場などの設備機器、システム等といった資産が影響を受け、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。また、国内外に保管中または輸送中の貨物を有しており、これらの保有する資産が自然災害や偶発的事故等によって毀損・劣化する可能性に加え、地震・火災・洪水・暴動等により事業が中断する可能性があります。当社では、社員の安否確認システムの導入、災害マニュアルおよびBCP(事業継続計画)の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む。)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じておりますが、被害の規模によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 気候変動、社会・環境問題に関するリスク
当社グループは、国内外の幅広い分野で事業活動を行っており、気候変動や人権の尊重など、深刻化する社会・環境問題等の影響を受け、事業の継続に制限を受ける可能性があるほか、当社グループの事業に起因した環境汚染や労務問題等が発生した場合、事業の停止、汚染除去費用や損害賠償費用の発生、社会的評価の低下につながる可能性があります。
企業活動にあたっては、注力すべき重要課題(市場の変化への対応、地域社会との共生、地球環境への配慮、ガバナンスの充実、人権の尊重、人材育成・ダイバーシティの推進)を設定・周知するとともに、サステナビリティ推進委員会を設置し主体的に課題解決を行う体制を構築しておりますが、予期せぬ事案の発生により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、供給網の一部混乱など不安要素が長引く一方で、各国でのインフレと金融引締めが転換点を迎え景気の軟着陸に向けた兆しも見えつつありましたが、米国発の金融システムへの不安から下押し圧力が強まり、再び不透明感が強まる状況になっています。
米国では、インフレ抑制を最優先に急ピッチの金融引締めを進めてきた中、3月に発生した中堅銀行の破綻の影響により景気後退入りも懸念される一方で、依然として雇用情勢は堅調で個人消費も底堅く、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けてエネルギー投資も進むなど、強弱材料が交錯する状況です。
欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー需給の逼迫は回避された一方で、インフレ圧力が根強いことに加え、金融システムへの不安により先行き不透明な状況が続いています。
中国では、「ゼロコロナ」政策の解除後、感染拡大により消費も冷え込みましたが、感染状況の落ち着きに応じて消費が戻りつつあり、経済は回復基調にあります。
日本経済は、行動制限の緩和により個人消費やインバウンド需要が回復基調にあり、設備投資需要・IT投資需要なども堅調に推移していますが、資源高・商品高や円安に加えて海外経済の減速が下押し圧力となりました。
このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。
市況上昇を受けた食糧事業や鋼管事業、原油価格上昇により原油・石油製品取引高が増加したエネルギー事業を中心にほぼすべての事業において増収となりました。販売台数の伸び悩みなどによる手数料収入の減少が影響したモバイル事業や、畜産物全般の夏場以降の市況反落が影響した畜産事業などでは減益となった一方、需要の回復や市況上昇によりエネルギー事業や鋼管事業、顧客の旺盛なデジタル投資需要を受けたICTソリューション事業などを中心に増益となりました。
その結果、収益は、前連結会計年度比1,434億45百万円(18.7%)増加の9,114億8百万円となり、売上総利益は、前連結会計年度比190億93百万円(17.1%)増加の1,308億94百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが売上総利益の増加により、前連結会計年度比95億49百万円(32.5%)増加の388億96百万円となりました。また、営業活動に係る利益の増加などにより、税引前利益は、前連結会計年度比69億31百万円(24.1%)増加の356億96百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比25億89百万円(16.2%)増加の185億75百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)は、12.9%、投下資本利益率(ROIC)※は5.6%となりました。
※ROIC = 当期利益 ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローが2億96百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが166億84百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが47億51百万円の収入となりました。これらに、現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は794億62百万円となり、前連結会計年度末比119億58百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げなどによる収入があった一方で、棚卸資産を中心とした営業資金の増加などにより、2億96百万円の支出(前連結会計年度は153億82百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得などの事業投資の実行により、166億84百万円の支出(前連結会計年度は105億47百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、公開買付けに伴う兼松エレクトロニクス㈱および兼松サステック㈱の株式追加取得による支出などがあった一方、当該買付代金見合いの借入れを含む短期借入金の増加などにより、47億51百万円の収入(前連結会計年度は42億45百万円の収入)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(ⅰ) 生産実績
生産は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
(ⅱ) 受注実績
受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
(ⅲ) 販売実績
「(1) 経営成績等の状況の概要」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6 セグメント情報」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債、偶発資産・偶発負債の開示および報告期間における収益・費用の金額を認識する際に、必要に応じて会計上の見積りおよび仮定を用いることが必要となります。この会計上の見積りや仮定は、決算日時点で入手可能な合理的な情報等に基づき設定しておりますが、不確実性を伴うため、その変動により将来の実績との間で差異が生じる可能性があります。
当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記2 作成の基礎」および「同 注記3 重要な会計方針」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
収益
収益は、食料セグメント、鉄鋼・素材・プラントセグメントを中心に好調に推移し、前連結会計年度比1,434億45百万円増加の9,114億8百万円となりました。
売上総利益
売上総利益は、電子・デバイスセグメント、鉄鋼・素材・プラントセグメントを中心に前連結会計年度比190億93百万円増加の1,308億94百万円となりました。
営業活動に係る利益
営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費は増加したものの、売上総利益の増加により、前連結会計年度比95億49百万円増加の388億96百万円となりました。
税引前利益
税引前利益は、金融収支の悪化や持分法による投資損益の悪化があったものの、営業活動に係る利益の増加により、前連結会計年度比69億31百万円増加の356億96百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益
税引前利益から法人所得税費用109億87百万円を控除した結果、当期利益は247億9百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比25億89百万円増加の185億75百万円となりました。
財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比431億32百万円増加の6,775億88百万円となりました。
有利子負債については、公開買付けに伴う短期借入金の増加などにより、前連結会計年度末比844億42百万円増加の2,278億94百万円となりました。現預金を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比967億6百万円増加の1,479億48百万円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めておりません。
資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分については、兼松エレクトロニクス㈱の株式追加取得に伴う資本剰余金の減少などにより、前連結会計年度末比309億59百万円減少の1,285億25百万円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.0%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は1.15倍となりました。
親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)に対する親会社の所有者に帰属する当期利益率(ROE)
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)1,285億25百万円に対して、親会社の所有者に帰属する当期利益185億75百万円となったためROEは前連結会計年度末比2.4ポイント上昇の12.9%となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
電子・デバイス
収益はICTソリューション事業や電子機器・電子材料事業、半導体部品・製造装置事業の増収により前連結会計年度比270億50百万円増加の2,825億13百万円、営業活動に係る利益はICTソリューション事業や半導体部品・製造装置事業の増益により12億67百万円増加の203億31百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は8億32百万円増加の87億76百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。ICTソリューション事業は、セキュリティ関連やネットワーク関連の案件の増加や納期遅延の改善などもあり好調に推移しました。半導体部品・製造装置事業は、旺盛な需要を受けて半導体・液晶パネル関連の製造装置・消耗品の出荷が伸長し順調に推移しました。モバイル事業は、販売台数の伸び悩みに加えて、手数料条件の改定などにより手数料収入が減少し、低調に推移しました。
食料
収益は食糧事業や畜産事業の増収により前連結会計年度比551億64百万円増加の3,404億48百万円、営業活動に係る利益は食糧事業の増益により5億22百万円増加の40億63百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は3億26百万円減少の21億92百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。食糧事業は、採算改善もあり好調に推移しました。食品事業は、リテール市場向け商材の取引が堅調に推移しました。畜産事業は、畜産物全般の夏場以降の市況反落により低調に推移しました。
鉄鋼・素材・プラント
収益は鋼管事業やエネルギー事業の増収により前連結会計年度比454億円増加の1,933億93百万円、営業活動に係る利益は鋼管事業やエネルギー事業の増益により82億87百万円増加の123億39百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は34億35百万円増加の66億94百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。鋼管事業は、米国内エネルギー投資伸長と鋼管価格上昇により好調に推移しました。エネルギー事業は、市況の上昇や外航船向け船舶用燃料販売を中心に好調に推移しました。工作機械・産業機械事業は、国内設備投資需要の増加により、堅調に推移しました。
車両・航空
収益は航空宇宙事業の増収により前連結会計年度比155億17百万円増加の813億44百万円、営業活動に係る利益は車両・車載部品事業の減益により1億78百万円減少の14億85百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は6億53百万円減少の8億3百万円となりました。
営業活動に係る利益についての概況は、次のとおりであります。航空宇宙事業は、既契約品の納入や需要回復も受け、堅調に推移しました。車両・車載部品事業は、需要の回復傾向にはあるものの輸送コストの高騰が利益を圧迫し、低調に推移しました。
その他
収益は前連結会計年度比3億12百万円増加の137億7百万円、営業活動に係る利益は3億47百万円減少の6億62百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2億46百万円減少の2億19百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容および資本の財源および資金の流動性についての分析
キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資金調達
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で掲げている「持続的成長」を実現するために必要な、低コストで安定的な資金調達を基本方針として資金調達活動に取り組んでおります。
当社グループの資金調達については、各取引銀行、生損保等の金融機関との良好な関係を背景とした間接金融をベースに、長期資金の調達手段の一つとして普通社債を発行し、資本市場からの調達も実施しております。なお、当連結会計年度においては、当社にて兼松エレクトロニクス株式会社の普通株式を公開買付けにより取得することに要する資金として584億円を借入れました。また、期日の到来した普通社債50億円の償還を行っております。この結果、連結有利子負債に占める直接金融からの負債調達割合は7%となりました。
これらの円滑な資金調達を行うため、㈱日本格付研究所(JCR)、ならびに㈱格付投資情報センター(R&I)の2社から格付けを取得しており、当連結会計年度末の当社グループに対する格付け(長期)は、JCRがA-(安定的)、R&Iが前年からワンノッチ格上げとなるA-(安定的)となっております。
加えて、手元流動性の確保を図るため、十分な規模の現金及び現金同等物を保有するほか、主要金融機関においてコミットメントラインを設定しております。
また、連結ベースでの効率的な資金調達を実施するために、国内主要関係会社の資金調達を親会社に集中したうえで、資金需要に応じて配分を行うキャッシュマネジメントシステムを導入しております。当連結会計年度末では、連結有利子負債に占める当社の有利子負債の割合は74%と、約7割強の資金調達を親会社に集中しております。
このような資金調達活動の結果、当連結会計年度末におけるグロス有利子負債残高は2,278億94百万円で、前連結会計年度末と比べ844億42百万円増加いたしました。また、当連結会計年度末におけるネット有利子負債残高は1,479億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ967億6百万円増加いたしました。その結果、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は1.15倍となりました。
また、当連結会計年度末の有利子負債残高に占める社債および長期借入金(1年以内に返済予定の社債および長期借入金を含む。)の比率は38%(当社では48%)となりました。
配当性向(総還元性向)
当社グループは、6ヵ年の中期ビジョン「future 135」の中で、安定した収益基盤の事業分野において持続的成長を実現するとともに、規模の拡大や付加価値の獲得のための事業投資により、連結当期利益の一段の伸長を目指しております。
これを達成するために、創出される営業キャッシュ・フローおよび金融機関や資本市場から調達する財務キャッシュ・フローを重点分野への成長投資に充てるとともに、安定的かつ継続的に株主還元を実施し、資本の効率性と財務バランスにも目を配って参ります。
当社グループの営業キャッシュ・フローを原資に、成長分野における投資を実行するとともに、株主還元については中期ビジョン「future 135」の目標である30~35%の配当性向(総還元性向)の実施を目指して参ります。
なお、当連結会計年度における配当性向(総還元性向)は33.7%となりました。
(注意事項)
上記の見通しなどの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
特記事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は