第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針等

 当社グループの企業理念、コーポレートスローガン、経営方針及び人事スローガンは以下のとおりです。

 

<企業理念>

  私たちは地球人の一員として、公正・誠実に誇りを持って行動し、顧客満足度の高いサービスを提供し続け、より良い社会の実現に貢献します。

 

<コーポレートスローガン>

  あなたの夢に挑戦します。

  英語:(We are) Making your dreams come true、中国語:挑戦你的夢想

 

<経営方針>

◆ 高機能・高専門性を基盤として常に進化する企業集団を目指す。

◆ 顧客満足度向上を第一義とし、景気変動に左右されない強固な事業体質を作り上げ、「利益ある持続的成長」を実現する。

◆ 自ら提案し、自ら創造し、自ら開拓する「自力・自立の経営」を旨とする。

◆ 「信用と確実」を旨とし、浮利を追わず、投機的取引を行わない。

◆ 目標達成への強い意志と行動力を持った構想力のある「人材を育成」し、常に切磋琢磨する「組織的活動」を通じて総合力を発揮する。

◆ 事業を不断に見直し、リスクに対する鋭敏な感覚を養うとともに、スピードをもって成長分野へ資源を投入し、「事業構造の継続的変革」を行う。

◆ コンプライアンス、環境保護など企業の「社会的責任」を常に心がけ、顧客、社員、株主、社会など「ステークホルダー」との関係を緊密に保つ。

 

<人事スローガン>

  人を活かし、人と活きる。人を育て、人と育つ。人を繋ぎ、人に繋げる。

 

上記の方針を実行することによって、将来に亘って「躍動感あふれる蝶理グループ」を形成します。

 

(2)中期経営計画

当社グループは、2025年度を最終年度とする中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」(2023年4月28日開示)を策定し、その基本戦略や諸施策を着実に推進しております。高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団を実現し、更なる企業価値の向上を図ります。

 

 


 


 

 

なお、繊維・化学品セグメントの経営戦略等は以下のとおりです。

 

繊維事業

① 独自のビジネスモデルの強化

② 3分野(素材・製品・資材)での安定的な成長

③ 成長分野(環境、健康・快適)での事業拡大

④ 事業のさらなるグローバル拡大

⑤ 高機能・高専門性の追求と差別化・競争力強化

化学品事業

① 連結グローバル事業軸運営の推進

② 高機能・高収益・環境配慮型ビジネスへの入替

③ 相場や景気に左右されにくい仕組み作り、商材領域の開発

④ 中国・インド・東南アジア・韓国・南米との取組み強化

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」に経営指標として、以下を掲げております。

 


 

なお、「Chori Innovation Plan 2025」における繊維・化学品の目標セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は以下のとおりです。

 

繊維事業

化学品事業

(2025年度中期経営計画目標)セグメント利益

75億円

95億円

 

 

 

(4)経営環境

今後の見通しにつきましては、日本では堅調な企業収益を背景にした雇用・所得環境の良化による個人消費の改善が見られる一方、米国の関税政策による世界経済への影響、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクの長期化、中国の景気低迷の長期化懸念等を背景に、先行きに注視が必要です。

このような事業環境の中、当社グループは2023年4月28日に開示しました中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の3つの基本戦略である「連結グローバル事業軸運営の推進」、「変化に即応したサステナブルなビジネスの創出」、「ESG経営の推進」を着実に実行します。中期経営計画最終年度となる次期(2026年3月期)の連結業績予想につきましては、売上高3,300億円(前期比5.9%増)、営業利益150億円(前期比3.5%増)、経常利益160億円(前期比1.2%減)、税金等調整前当期純利益160億円(前期比1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(前期比5.6%減)と見通しております。

(単位:百万円)

 

2026年3月期(予想)

2025年3月期(実績)

増減率(%)

売上高

330,000

311,546

5.9

営業利益

15,000

14,492

3.5

経常利益

16,000

16,198

△1.2

税金等調整前当期純利益

16,000

16,316

△1.9

親会社株主に帰属

する当期純利益

11,000

11,658

△5.6

 

上記予測を修正する必要が生じた場合には、速やかに公表致します。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、中期経営計画 「Chori Innovation Plan 2025」の3つの基本戦略である「連結グローバル事業軸運営の推進」、「変化に即応したサステナブルなビジネスの創出」、「ESG経営の推進」に加え、「DXによるビジネス変革・経営変革」を事業上及び財務上優先的に対処すべき課題と認識し、これを着実に推進していきます。

◆ 連結グローバル事業軸運営の推進

事業拡大のカギとなる海外事業の強化・拡大に注力しています。主要海外拠点の運営基盤強化、事業ポートフォリオの見直し・ブラッシュアップ、グループシナジーの強化による専門集団としての一体運営に注力し、海外収益力の積み上げを図っています。また、最重要拠点である中国をはじめ、各拠点へ積極的に駐在員を派遣し、既存事業の拡大・新規商材開発を実施し、事業拡大を図ってまいります。

◆ 変化に即応したサステナブルなビジネスの創出

目まぐるしい社会の変化に即応し、事業等のリスクを俯瞰的に捉え、機動的に対応し、新規開発・事業投資やM&Aを実行します。繊維事業では、2023年度に始動したサーキュラーエコノミーを実現する繊維to繊維の循環型スキーム「B-LOOP®」を推進し、環境問題への対応が課題となっている繊維産業において、サステナブルな事業展開に取り組んでいます。化学品事業では、市況に左右されないビジネスモデル構築を目指し、マーケットインの思考で新規事業・商材の開発を継続してまいります。

◆ ESG経営の推進

当社グループは、健全な経営と持続的成長を目指し、業務の適正性を確保するための体制整備に取り組んでいます。法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。

また、2024年4月に設置した「サステナビリティ推進委員会」においても、ESG経営の推進を図っています。

 

 

2024年度の取組

E:環境

2023年度のScope1~3実績値を公開。

TCFD提言に基づく開示の詳細については、当社HPをご参照ください。

https://www.chori.co.jp/sustainability/environment/tcfd.html

S:社会

サステナブルなサプライチェーンの構築のために蝶理グループCSR調達方針を策定。定期的にCSR調達アンケートを実施し、ESGに配慮した企業との取組みを強化。

従業員のウェルビーイングの実現を目指し、大阪本社の移転、エンゲージメント・サーベイを実施。

G:ガバナンス

企業倫理とコンプライアンス意識向上のため、社内研修及びサーベイを継続的に実施。

リスクマネジメント力強化のため、サステナビリティ推進委員会にて、リスクの洗出し・評価・リスクマップ作成を実施し、リスクマネジメント体制を整備。

 

  ◆ DXによるビジネス変革・経営変革

「蝶理を丸ごと変える」を目指し、2022年4月に始動した全社業務変革プロジェクト「CARAT(Chori Accelerate Renovation Achievement Transformation)」は、DX機能を全社横断的に展開し、業務の効率化・標準化、経営管理の高度化や生産性の向上を進め、持続的な成長を継続する基盤の構築を目指しています。システム開発が順調に進捗し、2025年4月から本格稼働しています。今後の安定稼働に向けた取組みを推進し、DX経営基盤構築に向け、引き続き取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.サステナビリティ全般に関する考え方

(1)ガバナンス

当社グループは、企業理念に掲げているように、「地球人の一員としてより良い社会の実現」に貢献できるようサステナビリティの実現に向けた経営を行っています。取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。

サステナビリティ全般への対応では、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」で掲げたサステナビリティ経営の推進に向け、2024年4月1日に「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、当社グループのサステナビリティ経営に関連する施策を具体的に推進し、持続的な企業価値向上に取り組むことを目的とし、委員長である代表取締役社長のもと、委員が議論を行っています。監査等委員もオブザーバー参加し、意見・諸施策を共有しています。サステナビリティ推進委員会は四半期に1回以上開催され、年1回、取締役会に報告しています。

 

<サステナビリティ推進体制>


 

(2)戦略

当社グループは、企業が持続的成長に向けた経営基盤を構築するうえで、環境問題への積極的な取り組み、CSR調達等における取引先との連携、労働安全管理に関わる取り組み、人材育成や地域・社会の発展に向けた取り組み等が重要であると認識しております。2023年4月28日に開示した中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」では、「Sustainable」「Well-being」「Innovation」をキーワードとしたVISION2030「ありたい姿」を掲げ、3つの基本戦略を着実に実行し、高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団を実現し、企業価値の向上を図っております。2024年4月26日の取締役会において、ステークホルダーと蝶理グループの双方にとって特に重要であり優先的に取り組むべき事項として、4つのマテリアリティ(重要課題)と関連する14の重点テーマを特定し、サステナビリティ基本方針とともに2024年4月に発表しました。

2024年6月より、マテリアリティに対処すべくワーキングチームが活動し、リスクマネジメントチームは企業経営等において発生し得るリスクを管理する体制の構築、サステナブル事業管理チームはSDGsと関連する事業活動の整理、方針、制度設計チームは、蝶理グループコンプライアンスポリシーの新設や蝶理グループ環境方針の改訂等、方針・制度の整理・設計を行い、サステナビリティ推進委員会で議論・決定しました。成果物については、各種媒体に掲載しています。

 

 

<サステナビリティ基本方針・マテリアリティ>


 

サステナブル(SDGs)商材の取扱拡大をさらに推進すべく、サステナブル事業管理チームにて定義を整理し分類しました。サステナブル商材を「環境保全」「豊かな暮らし」の大きく二つに分け、中分類・小分類を設けて具体的基準を設定し管理することに加え、当社グループが主体的に関与し、当社グループならではの知恵と工夫で付加価値を付けている商材をPlus Value商材と位置づけ、戦略的にさらなる拡大を図ります。

 

<サステナブル商材の分類>


 

 

(3)リスク管理

当社グループは、2024年4月に設置したサステナビリティ推進委員会の下部組織として、全社よりメンバーを選出したリスクマネジメントチームを設置し、人材確保に関するリスク、気候変動に関するリスク(移行リスク/物理リスク)、人権問題に関するリスク、環境汚染に関するリスク等、サステナビリティに関するリスクの洗い出しと対応策の策定を行いました。詳細については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

  ① リスクマネジメント規程の制定

当社グループは、当社グループの経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時より、リスクの低減、危機の未然防止に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす恐れのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスクマネジメント規程を定め、運用しております。

  ② 平常時のリスクマネジメント

リスクマネジメント総責任者は社長、リスクマネジメント推進責任者は経営政策本部長とし、リスクマネジメント推進責任者とリスクマネジメント担当組織(経営管理部)は、社内に潜在するリスクについて、重点課題を特定し、リスクを低減、未然防止、早期発見のための諸施策を立案し、必要な教育・訓練を自主的かつ計画的に実施すると共に、危機対応後の結果のフォロー、効果の検証と課題の抽出・改善を行います。

リスクマネジメント規程では、当社としてのリスクを下記大分類に基づき個別に定めています

大分類

 

 1.法令遵守 2.経営及び内部統制 3.社会、経済、政治等、外部経営環境 4.BCP 5.人事労務、労働安全衛生 

 6.取引 7.情報、通信、システム

 

 

 

  ③ 危機発生時の対応

危機発生時の対応は人命及び安全を最優先とし、リスクマネジメント規程に則り、危機発生時の連絡体制に基づく連絡・報告、リスクマネジメント総責任者による危機対策本部設置の判断、危機対策本部の任務遂行、緊急広報、調査報告並びに再発防止対策等を行います。

 

(4)指標及び目標

当社グループは、サステナビリティへの対応を継続課題と認識し、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の基本戦略の一つに掲げる「ESG経営の推進」の実現に向けて、非財務目標を設定しました。気候変動・人的資本以外の目標の進捗は以下のとおりです。

 

<KPI・KGI>

非財務目標

2024年度進捗

環境等に配慮したサステナブル商材(SDGs商材)の取扱い拡大

2024年度連結売上高:326億円

DX(SAP導入)総投資額:約50億円

2025年4月よりSAP稼働開始

 

 

 

2.人的資本(人材の多様性を含む。)に関する「戦略」並びに「指標及び目標」

(1)戦略

当社グループは、「人」を最重要経営資本と位置づけ、従業員一人ひとりが働きがいを感じ、成長を実感することにより、会社の成長と社会への貢献に繋がると考えます。従業員と会社の持続的成長のため、「人」への投資を推進します。

中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」では、人材に関する戦略として、人的資本投資、エンゲージメント向上、健康経営の推進の3つを掲げています。

 

① 人的資本投資  

a. 人材育成

以下のⅰ~ⅵの行動・資質が重要と考え、これらを具備できるように多様な業務経験と成長機会を従業員に提供し、役割に応じた研修を実施します。また、従業員が自己研鑽に積極的に取り組むため、適切な機会・サポートを提供します。

ⅰ. 当社の一員として常に責任ある行動をとる

当社グループの一員としての誇りを持ち、どんな時も環境や社会に対する責任を果し、法・ルールの遵守のみならず、倫理観をもった公正で誠実な行動をとる。

ⅱ. 自主独立の精神を持つ

過去や既成事実にとらわれず、変化を恐れず、自主独立の精神で、常に人生やキャリアを、より良いものにするための努力を続ける。

ⅲ. 日々の努力や工夫を重ね、結果にこだわるプロである

自分のミッションを理解し、目標に向かって情熱と強い意志をもち、日々の努力や工夫を重ね、結果を出すことに徹底的にこだわるプロフェッショナル。

ⅳ. 最善を期待し、最悪に備える

流れを的確にとらえ、リスクには注意深く備え、チャンスには大胆に迅速に行動できる。

ⅴ. 世界中どこでも相手の価値観や文化を尊重する

世界中どこでも、異なる価値観や文化を持つ相手を認め、尊重し、礼儀正しく、明るく、コミュニケーションができる。

ⅵ. 常に学び続け、社会の変化に適応する

社会のニーズが常に変化していることを理解し、知識を更新し、新しい環境に適応できる。

 

  b. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)

多様なバックグラウンドを持つ人材の採用、及び、多様な働き方の環境整備をDE&Iの重要な取り組みと捉えています。性別に関わらず育児・介護・看護等様々な事情を抱える従業員が最大限の力を発揮できる、働きやすい環境を実現することで、将来にわたり持続的に成長できる企業になると考えています。

ⅰ. 女性活躍推進

総合職採用人数に占める女性割合や、女性管理職の割合が低いことを課題として受け止め、女性活躍推進・次世代育成支援に尽力します。

ⅱ. 多様なバックグラウンドを持つ人材

多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を推進することで、新たに持ち込まれた視点が大きな刺激となり、ビジネスの幅をさらに拡大することに繋がると考えています。

     ⅲ. 多様な働き方

仕事と家庭の両立支援の制度・施策の拡充を行い、誰もが働きやすい環境を目指します。

 

② エンゲージメント向上  

トップダウン・ボトムアップの双方向からの「よく伝え・よく伝わるコミュニケーション」を意識し、風通しがよく、心理的安全性の高い職場環境を整備し、従業員一人ひとりが各々の働きがいを感じる企業風土の改善を重点施策として取り組みます。

具体的には、2023年度に初めて、外部機関によるエンゲージメント・サーベイを実施、組織毎のエンゲージメントの状態を可視化することで、課題の認識・改善活動に繋げ、2024年度以降も継続して実施しています。また、2024年度は大阪本社を移転、「行きたくなるオフィス」をスローガンとしたオフィス設計により、従業員がより働きやすい環境を整備しています。

 

 

③ 健康経営の推進

当社は2018年2月に健康経営宣言を行い、トップ自らが健康経営の推進を強く発信しています。健康とコンプライアンスは当社の土台であるとの認識に立ち、全社改善活動CHOI活(CHORI Innovation活動)を通じ、社内の各組織、労働組合、独身寮、健康保険組合、社内診療所等が連携して、健康推進に関する各種セミナーや運動イベントを積極的に開催し、多くの従業員が楽しみながら参加しています。

東京・大阪の事業所内には診療所を設置し、医師と看護師による従業員の診療・健康管理を実施しています。また、健康経営優良法人の認定(経済産業省)、スポーツエールカンパニーの認定(スポーツ庁)を取得することで、当社の健康経営の取り組みを客観的に評価しています。

今後もこれらの取り組みを継続・充実させ、更に従業員の心身の健康増進に取り組みます。

 

(2)指標及び目標 

 当社グループにおける主要な事業を含む会社単体の指標及び目標は次のとおりです。

・総合職の採用人数、及び、総合職への職種転換の合計人数に占める女性割合

<目標>30%以上、<実績>2024年度 24.3%

・男性の育児休業等取得率

 <目標>50%以上、<実績>2024年度 53.8%

・健康経営優良法人の認定(経済産業省「健康経営優良法人認定制度」)

 <目標>健康経営優良法人の継続認定、<実績>2024年度 健康経営優良法人2024に認定

 

 

3.気候変動への対応(TCFD提言への取組)

当社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」といいます。)の枠組みに基づき適切な情報開示に努めています。「Chori Innovation Plan 2025」にて、当社グループとして2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを掲げました。これを踏まえ、2024年4月26日に発表したマテリアリティの一つとして「持続可能で豊かな社会の実現に資する事業の推進」を特定し、カーボンニュートラルの実現(2050年)に向けた気候変動による影響低減への貢献等を重点テーマとしました。

要求項目

当社対応

ガバナンス

気候変動を含む環境課題への全社的な対応にあたっては、取締役である経営政策本部長を責任者、経営管理部を所管部署とし、TCFDを含む気候変動に関する取り組みを管理・推進すると共に、全社の重要方針や施策等についての取り纏めを行い、取締役会へ報告・提案し、取締役会で議論を実施します。

戦略

当社は、気候変動における移行リスク及び物理リスクを検討するために、シナリオ分析を実施しております。1.5℃シナリオでは、物理的リスクの上昇は緩やかであり、環境負荷低減製品の開発・拡販の機会が増加することが想定されます。また、4℃シナリオでは、気候変動対策が十分に進展しないため、異常気象等の物理的リスクが高まることが想定されます。

リスク

当社グループは、2024年4月に設置したサステナビリティ推進委員会の下部組織として、全社よりメンバーを選出したリスクマネジメントチームを設置し、気候変動に関するリスク(移行リスク/物理リスク)を含めたサステナビリティに関するリスクの洗い出しと対応策の策定を行いました。詳細については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

指標と目標

当社グループでは、2020年度より温室効果ガス(以下、GHGといいます)の排出量実績値を集計しており、GHG排出量(Scope1とScope2)を削減し、2050年のカーボンニュートラルを目指しております。さらに、サプライチェーン全体のGHG排出量削減に向け、Scope3の削減も検討していきます。GHG排出量削減目標については、サステナビリティ推進委員会にて検討を進めていきます。

 

 

なお、TCFD提言に基づく情報開示の詳細については、当社ホームページをご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスクに対処するため、リスクマネジメント規程に則り、リスクマネジメントを推進しています。
 なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)リスクマネジメント体制、活動
 2024年4月に設置したサステナビリティ推進委員会の下部組織として、全社よりメンバーを選出したリスクマネジメントチームを設置し、リスクの洗い出しと対応策の策定を行いました。
 
①リスクの検出・評価
 リスクの網羅性を確保した上で、リスクを約30のカテゴリーに分類し、リスクの具体的内容とリスク評価についてアンケート調査を実施。アンケート調査で得られた情報を集約・分析。

 


 

 

②現状認識、対応策の洗い出し

 アンケートを元に、リスクの見える化(マッピング)を実施。それぞれのリスクについて、現行の対応状況、必要な対応策について検討。

 

③審議・決定

 当社グループのリスクの見える化(リスクマップ)、リスクマネジメントプロセス(PDCAサイクル)をサステナビリティ推進委員会で協議・確認し、取締役会に報告・決議。

 


 

2025年度以降については、上記プロセスに基づき、リスクの低減に向けて活動します。

 

 

(2) リスク項目

約30にカテゴライズしたリスクについて、アンケート結果に基づき評価・再分類を行い、23のリスク項目を発生可能性と深刻度をキーファクターとしてリスクマップに配置し、発生可能性・深刻度が高いと判断された項目(赤枠の12項目)を重要リスクとしました。

 


 

<リスク項目とリスクの概要>

リスク項目

リスクの概要

1. 中国地域・市場への集中に関するリスク

新規参入の脅威、売り手/買い手の交渉力、代替品の脅威、同業者間の競争環境の変化

2. 為替レート及び金利の変動に関するリスク

為替/金利の想定外の変動

3. 原材料価格変動に関するリスク

商品市況の変動、サプライチェーンの多様化

4. 在庫に関するリスク

販売価格の下落等に伴う在庫回転期間の長期化

5. 保有有価証券の減損に関するリスク

株式市場における保有有価証券の株価下落

6. 人材確保に関するリスク

自社戦略・事業計画を遂行する上で必要となる人材の不足

7. ITリスク(情報セキュリティ)

サイバー攻撃等に起因する情報・データセキュリティの侵害、事業活動における情報・データセキュリティ事故の発生等

8. 事業投資に関するリスク

過分なリスクテイク、事業経営・商取引に起因する事象(債務不履行、クレーム、争訟等)の発生

9. カントリーリスク(債権回収)

特定国の財政状況の悪化等による、銀行等の外貨送金・兌換停止

10. 事業環境の変化(法制・税制)に関するリスク

特定国の政策転換や政権交代による、当社事業における権利侵害の発生

11. 差別・ハラスメントに関するリスク

差別・ハラスメントの発生

12. 労働安全衛生に関するリスク

長時間労働・強制労働等の発生、労働災害(身体、メンタル不調)の発生

13. 気候変動に関するリスク(移行リスク)

脱炭素社会への移行に伴って生じる政策・法規制/技術/市場/レピュテーションの変化

14. コンプライアンスに関するリスク

  (法規制・コンプライアンス違反)

独禁法(カルテル・入札談合)違反事案、贈収賄違反事案、輸出管理・制裁違反事案の発生/役職員のコンプライアンス違反(会計不正・横領・窃取・その他刑事・不祥事等)の発生

15. 気候変動に関するリスク(物理的リスク)

気候変動により生じるハザード事象(洪水、冠水、森林火災、サイクロン、渇水等)の頻発/激甚化

16. カントリーリスク(事業基盤の棄損)

事業投資先/取引先所在国における、事業基盤を大きく毀損する戦争・内乱・テロ等の発生

17. カントリーリスク(人的安全)

事業投資先/取引先所在国における、人的被害等を及ぼすような戦争・内乱・テロ等の発生

18. 自然災害に関するリスク

本社・国内外拠点・事業投資先所在国・地域、原料調達・製品販売等を行っている地域での地震や自然災害の発生

19. ITリスク(システムダウン)

サーバー・ネットワーク停止に起因するITシステムダウンの発生等

20. メディア関連リスク

当社グループに関するネガティブ・過小評価/誤った情報のステークホルダーへの拡散(報道、メディア・SNS、機関投資家説明会等)

21. 新興感染症等に関するリスク

本社・国内外拠点・事業投資先所在国・地域における新興感染症の発生・感染拡大

22. 人権問題に関するリスク

トレーディングや投融資事業における人権侵害事例(児童労働、強制労働、劣悪な労働環境等)の発生

23. 環境汚染に関するリスク

操業、土地・建物購入等の事業活動を通じた水質汚染・大気汚染・土地汚染・地下水汚染の発生

 

 

(3) 重要リスク

1. 中国地域・市場への集中に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、中国を消費市場・製造拠点として重要な事業対象地域と位置づけ経営資源を投入しています(2024年度売上高 483億円)。そのため、人民元の変動、金融システム・税制・法制の変更、日中関係の悪化や米中貿易摩擦の動向等により、中国における事業環境が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、中国地域を統括する中国総代表を設置し、中国の法制・税制等に知見のある社外の専門家とも連携しながら政治・経済情勢や法規制の動向を適時に把握できる体制を整えています。また、連結事業軸運営を基盤として、事業環境整備、事業運営の統一を図り、適時に中国地域に関する情報を共有し、必要に応じリスク回避に努めています。加えて、グローバルな代替サプライチェーンを構築しリスク分散を行っています。

 

 

2. 為替レート及び金利の変動に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、グローバルに事業活動を展開し様々な通貨で取引を行っています。そのため、予測を超えた為替レート変動の影響により、当社グループの取扱う商材の仕入れコスト、製品の製造コスト、荷造費・運賃等の販売費が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内外の金融政策の変動に伴う金利の上昇により、金利負担の増加や資金調達が困難になる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、為替変動等の市場状況の動向を注視し、為替予約の締結等により為替レート変動の影響を軽減しています。また、金利については、定期的に金利動向を把握するとともに、当社グループのキャッシュマネジメントシステムを活用し、グループ全体の資金を効率的に管理・運用しております。

 

 

3. 原材料価格変動に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、繊維素材、テキスタイル・資材、アパレル製品、化学品、輸送機器等の商品の取扱いを行っており、各商品は需給バランス等の要因から固有の市況を形成しております。そのため、原材料価格の変動により、当社グループの取扱う商材の仕入れコストが変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、原材料価格の変動については、販売価格へ適時・適切な転嫁を実施することでリスク回避に努めています。

 

 

4. 在庫に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、繊維素材、テキスタイル・資材、アパレル製品、化学品、輸送機器等の商品を取扱っており、市況の悪化等により、販売価格の下落や在庫回転期間の長期化が生じ、評価損の計上を余儀なくされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、過去の傾向等からの需要予測や取引先からの受注に基づいた仕入及び顧客の引取り保証の確保等によって在庫水準の適正化に努めています。

 

 

5. 保有有価証券の減損に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、事業上必要と判断した会社の株式の保有や出資を行っています(2025年3月末時点の帳簿価額104億円)。そのため、上場株式については、株式市場における時価下落、非上場株式等については対象会社の財政状態の悪化により、保有有価証券の評価損の計上を余儀なくされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、事業上必要と判断した会社の株式の保有や出資について、定期的に取締役会で保有意義及び保有効果等を検証し、保有の継続性の是非を判断しています。その結果、保有意義がないものに関しては売却を検討し縮減を図っています。

 

 

 

6. 人材確保に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、専門的な商材をグローバルに扱う専門商社であり、「人」を最重要経営資源と位置づけ、事業を推し進めるために必要不可欠な優秀な人材を確保・育成すべく、人事ポリシーを定め人材確保に努めています。しかしながら、労働市場の逼迫や少子高齢化等を背景に優秀な人材の確保が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  また、グローバルに事業を展開し、更なる成長を目指していますが、地域によっては現地での人材の採用と確保ができず、当初計画していた事業展開ができない可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、会社の持続的な成長を目指し、グローバルに活躍できる人材獲得(新卒採用、キャリア採用)及び女性活躍をはじめとしたダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進による人的資本の強化を図っています。新卒採用においては、オンラインイベントを定期的に開催し、幅広い地域からの応募に対応できる体制を整えています。キャリア採用も積極的に行い、2024年度は新卒採用と同程度の人数を採用しています。また、外部機関によるエンゲージメントサーベイを実施し、組織ごとのエンゲージメントの状態を可視化し、課題の認識・改善活動を実施しています。

 

 

7. ITリスク(情報セキュリティ)

リスクの概要

 当社グループは、セキュリティ対応に万全を期し、ネットワークを構築・運用した上で情報システムを活用し、グローバルに事業活動を展開しています。

 しかしながら、予期せぬ外部からの不正アクセス・サイバー攻撃等により、機密情報の漏洩や、業務が停止する事態に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、情報システムの安全性、情報セキュリティ対策を強化し、役員・従業員に対する研修やアタックテスト等のトレーニングを実施しています。加えて、「蝶理グループ情報セキュリティ基本方針」に従い、関連規程を整備し、役員・従業員への周知を図り、情報システムの保全や情報管理の徹底に取り組んでいます。

 

 

8. 事業投資に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、国内外の販売先に対して多様な商取引や投融資を通じて信用供与を行っています。そのため、取引先の業績悪化や投資先における事業計画の大幅遅延等により債権の回収遅延や回収不能が生じたり、投融資計画の見直しが必要になったりした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、信用リスクに関しては与信管理規程を制定し、取引先の内容を評価・判断した上で取引先別の与信限度額を設定し、必要に応じて担保・保証の取得及び取引信用保険による保全を図ることで、貸倒れリスクのミニマイズ化を図っています。

 また、投融資に関しては、既存事業との関連性やシナジーの発現の有無、投資採算、EXITのための諸条件、投融資事業の進捗等につき、十分な評価・検討を行った上で新規投資を行い、定期的に継続するか否かの判断を行っています。

 

 

9. カントリーリスク(債権回収)

リスクの概要

 当社グループは、海外に多くの拠点・取引先を有しており、これらの拠点・取引先に対し販売活動や投融資を行っています。そのため、各国における政治・経済・社会情勢・外貨規制の変化や国際的な貿易障壁・貿易紛争、国家間における自由貿易協定・多国間協定の変更、並びに地域紛争等に代表される国際情勢の変化により、債権の回収遅延や回収不能が生じた場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、各国の専門家と連携しながら政治・経済情勢や法規制の動向の把握、貿易保険の活用や海外現地法人からの配当を通じた日本国内への資金の還流等によるリスク軽減策を構築しています。また、カントリーリスク枠を設けて特定国の債権残高を管理し、適切な取引条件を設定する等してリスク回避に努めています。

 

 

10. 事業環境の変化(法制・税制)に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、日本国内のみならず海外においても事業を行っており、海外にも多くの拠点・取引先が所在しています。そのため、日本及び各国の政治・経済・社会情勢や国際的な貿易障壁・貿易紛争及び国家間における自由貿易協定・多国間協定等により、外部経営環境が悪化した場合、特に各国の税制等の変更や税務当局との見解の相違等により追加の税負担が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、「企業行動指針」をはじめとするコンプライアンス体制に関する規程を制定し、法令及び社会倫理の遵守を企業活動の行動規範としております。その上で、各国の政治経済状況や制度・政策等の変更について各国の専門家と連携しながら情報を収集・分析して適切な対応を取っています。

 また、当社グループは、グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制や関税法の観点からも適切な取引価格となるよう細心の注意を払っており、各国の税制に則り、適正な納税額となるよう努めています。

 

 

 

11. 差別・ハラスメントに関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、「蝶理グループ人権方針」、「蝶理グループ人事運営方針」に定めている通り、あらゆる差別・ハラスメントを許しておりません。しかしながら、万が一、違反が生じた場合には、罰則・損害賠償・訴訟問題・信用の低下・風評による損失・人材の流出等の悪影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

当社グループは、ハラスメントを含めたコンプライアンスアンケートを毎年実施し、内部通報制度(KIITE、KOTAETE)の運用や、上司・部下の1on1ミーティングを定期的に実施する等して実態把握に努めるとともに、社内研修を実施して社員への徹底を図っています。

 

 

12. 労働安全衛生に関するリスク

リスクの概要

 当社グループは、国内外の法令・規則に則って労働環境を整備して業務を行っています。しかしながら、万が一、重大な違反が生じた場合には、罰則・損害賠償・訴訟問題・信用の低下・風評による損失・人材の流出等の悪影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対応策

 当社グループは、各種マニュアル整備による業務効率化、人員の確保・適正配置による業務量の分散で長時間労働にならないよう対応しています。また、上司・部下の1on1ミーティングを定期的に実施する等してコミュニケーションを取り、過重労働解消のため労働時間や業務負荷に対するチェックをしています。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

ⅰ.経営成績の概況

当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の良化による個人消費の改善や、訪日外客数の回復によるインバウンド消費の増加により、緩やかに回復しました。一方、世界経済は、米国は堅調な労働市場と個人消費の回復により底堅く推移しましたが、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクの長期化、中国の不動産市場の停滞をはじめとした景気の低迷等により、先行きが不透明な状況が続きました。

このような状況下、当社グループは、2023年4月28日に発表した中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の基本戦略を着実に実行し、グローバルな持続的成長の実現とDXによるビジネス変革に取組んでおります。

その結果、当連結会計年度における連結業績は、経常利益、税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は4期連続で過去最高益を更新しました。売上高は前期比1.3%増3,115億46百万円、営業利益は前期比3.6%減144億92百万円、経常利益は前期比11.9%増161億98百万円、税金等調整前当期純利益は前期比11.0%増163億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比21.1%増116億58百万円となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比(%)

売上高

307,699

311,546

3,846

1.3

営業利益

15,039

14,492

△547

△3.6

経常利益

14,476

16,198

1,722

11.9

税金等調整前当期純利益

14,698

16,316

1,618

11.0

親会社株主に帰属する

当期純利益

9,624

11,658

2,034

21.1

 

 

 

 

ⅱ.セグメントごとの経営成績

 セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

 

(繊維事業)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比(%)

売上高

145,892

152,738

6,845

4.7

税金等調整前当期純利益

8,030

7,690

△340

△4.2

 

当セグメントにおきましては、繊維原料、テキスタイル(輸出)及び婦人衣料品関連が堅調に推移したこと等により、売上高は、前期比4.7%増1,527億38百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、コロナ禍後の一部衣料品におけるオケージョン需要の反動等により、前期比4.2%減76億90百万円となりました。

 

(化学品事業)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比(%)

売上高

160,007

157,864

△2,142

△1.3

税金等調整前当期純利益

7,647

8,873

1,225

16.0

 

当セグメントにおきましては、全般的な需要減退と市況低迷等により、売上高は、前期比1.3%減1,578億64百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、中国の化学品製造会社グループに係る債権の一部を回収し、貸倒引当金戻入額を計上したこと等により、前期比16.0%増88億73百万円となりました。

 

(機械事業)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前期比(%)

売上高

1,724

860

△863

△50.1

税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失(△)

△616

612

1,229

 

当セグメントにおきましては、事業の選択と集中を実施したこと等により、売上高は、前期比50.1%減8億60百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、前期に為替変動の影響による為替差損を計上したことの反動により、6億12百万円(前期は6億16百万円のセグメント損失(税金等調整前当期純損失))となりました。

 

ⅲ.仕入、成約及び売上の実績

(仕入の実績)

仕入高は売上高と概ね連動しているため、記載は省略しております。

(成約の実績)

成約高と売上高との差額は僅少であるため、記載は省略しております。

 

(売上の実績)

セグメントごとの売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 ⅱ.セグメントごとの経営成績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照願います。

なお、取引形態別に示すと、次のとおりとなります。

 

形態

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内

101,151

32.9

99,716

32.0

輸入

93,218

30.3

88,580

28.4

輸出

37,630

12.2

40,942

13.1

海外

75,698

24.6

82,306

26.4

合計

307,699

100.0

311,546

100.0

 

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、1,460億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億25百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が48億51百万円、ソフトウエア仮勘定が19億55百万円、受取手形及び売掛金が18億24百万円増加し、関係会社預け金が24億97百万円、投資有価証券が23億25百万円、破産更生債権等が9億64百万円減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末における負債は、539億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ72億78百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が49億40百万円、短期借入金が12億39百万円、未払法人税等が6億69百万円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における純資産は、921億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億4百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により116億58百万円、為替換算調整勘定が21億45百万円増加し、配当金の支払いにより29億98百万円、その他有価証券評価差額金が8億94百万円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

9,693

7,141

△2,551

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,706

△1,027

1,678

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,381

△4,775

606

現金及び現金同等物の期末残高

21,088

23,203

2,114

 

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ21億14百万円増加し、当連結会計年度末には、232億3百万円となりました。

 

 

 <当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因>

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は71億41百万円の増加(前期は96億93百万円の資金の増加)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益163億16百万円、棚卸資産の減少額13億94百万円、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額53億93百万円、法人税等の支払額53億70百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は10億27百万円の減少(前期は27億6百万円の資金の減少)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出21億20百万円、有形固定資産の取得による支出7億44百万円、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入23億90百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は47億75百万円(前期は53億81百万円の資金の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額29億96百万円、短期借入金の純減額13億64百万円によるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ.経営成績の分析

(売上高)

売上高は、化学品事業における全般的な需要減退と市況低迷による減収があったものの、繊維事業が堅調に推移したこと等により、前期比38億46百万円増3,115億46百万円となりました。

(売上総利益)

売上総利益は、化学品事業の減収に伴う減少がありましたが、繊維事業での原材料コストの増加等に対する適正な価格転嫁や、収益性の高い差別化商材の取扱いが増加したこと等を主因として、前期比17億82百万円増405億15百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、従業員の処遇の改善や大阪本社移転に伴う費用の増加等を主因として、前期比23億29百万円増260億22百万円となり、営業利益は前期比5億47百万円減144億92百万円となりました。

(営業外損益、経常利益)

営業外損益(純額)は、貸倒引当金戻入額8億73百万円の計上等により、前期比22億69百万円増17億5百万円の利益となりました。

経常利益は、営業外損益(純額)が増加したことにより、前期比17億22百万円増161億98百万円となりました。

(税金等調整前当期純利益)

税金等調整前当期純利益は、経常利益が増加したことに加え、投資有価証券売却益7億83百万円等の計上で、前期比16億18百万円増163億16百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等合計が前期比4億22百万円減46億10百万円となった結果、前期比20億34百万円増116億58百万円となりました。 

 

 

なお、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」における重要指標との比較につきましては、以下のとおりであります。

 

 

2024年度

当連結会計年度

2025年度

次期業績予想

2025年度

中期経営計画目標値

売上高

3,115億円

3,300億円

3,600億円

税金等調整前当期純利益

163億円

160億円

160億円

親会社株主に帰属

する当期純利益

117億円

110億円

110億円

当期純利益ROA

8.1%

-

7%以上

当期純利益ROE

13.4%

-

12%以上

ROIC

11.1%

-

約10%

 

 

ⅱ.財政状態の分析

 当社グループの財務健全性、収益性及び資本効率を示す指標の推移は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

総資産

1,434億円

1,461億円

27億円

ネット有利子負債

△187億円

△224億円

△37億円

自己資本

821億円

920億円

100億円

自己資本比率

57.2%

63.0%

5.8pt

当期純利益ROA

6.7%

8.1%

1.4pt

当期純利益ROE

12.5%

13.4%

0.9pt

ROIC

12.4%

11.1%

△1.3pt

 

・ネット有利子負債=有利子負債-現金及び預金-関係会社預け金

・自己資本比率=自己資本÷総資産

・当期純利益ROA=親会社株主に帰属する当期純利益÷総資産期中平均

・当期純利益ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本期中平均

・ROIC=税引後営業利益÷投下資本(自己資本+有利子負債)期中平均

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ.キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ⅱ.資本の財源及び資金の流動性の分析

(資本の財源)

当社グループは、運転資金及び投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、資金調達の多様化・低利調達を目的として受取手形等の流動化を促進するとともに、一部資金を銀行借入等により調達しております。
 また、資金調達の安定化を目的として株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする金融機関3社との間で、総額100億円のコミットメントライン契約を締結しており、将来において当社グループの成長のために多額の資金需要が生じた場合にも、外部からの資金調達は可能な体制を確保しております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、232億3百万円であります。

 

(資金の流動性)

当社と親会社及び当社と主要な国内連結子会社の間で、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、資金を一元管理し、流動的に余剰資金、不足資金の融通を行うことで、資金効率の向上と資金調達コストの削減に努めております。

また、事業活動等を通じて獲得した資金については、適時、資金繰り計画を策定・更新し、必要な運転資金を確保しつつ、成長投資・株主還元に振り分けております。

なお、株主還元については重要な経営課題の一つと位置づけており、親会社株主に帰属する当期純利益を基準に、連結配当性向30%(年間)かつ株主資本配当率(DOE)3.5%以上を満たす額とすることを基本方針としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は65百万円であります。

なお、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(繊維事業)

主として、繊維素材事業に関わる研究開発であり、当連結会計年度の研究開発費の金額は60百万円であります。

(化学品事業)

化学品事業に関わる研究開発であり、当連結会計年度の研究開発費の金額は5百万円であります。