当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの企業理念、コーポレートスローガン、経営方針及び人事スローガンは以下のとおりです。
<企業理念>
私たちは地球人の一員として、公正・誠実に誇りを持って行動し、顧客満足度の高いサービスを提供し続け、より良い社会の実現に貢献します。
<コーポレートスローガン>
あなたの夢に挑戦します。
英語:(We are) Making your dreams come true、中国語:挑戦你的夢想
<経営方針>
◆ 高機能・高専門性を基盤として常に進化する企業集団を目指す。
◆ 顧客満足度向上を第一義とし、景気変動に左右されない強固な事業体質を作り上げ、「利益ある持続的成長」を実現する。
◆ 自ら提案し、自ら創造し、自ら開拓する「自力・自立の経営」を旨とする。
◆ 「信用と確実」を旨とし、浮利を追わず、投機的取引を行わない。
◆ 目標達成への強い意志と行動力を持った構想力のある「人材を育成」し、常に切磋琢磨する「組織的活動」を通じて総合力を発揮する。
◆ 事業を不断に見直し、リスクに対する鋭敏な感覚を養うとともに、スピードをもって成長分野へ資源を投入し、「事業構造の継続的変革」を行う。
◆ コンプライアンス、環境保護など企業の「社会的責任」を常に心がけ、顧客、社員、株主、社会など「ステークホルダー」との関係を緊密に保つ。
<人事スローガン>
人を活かし、人と活きる。人を育て、人と育つ。人を繋ぎ、人に繋げる。
上記の方針を実行することによって、将来に亘って「躍動感あふれる蝶理グループ」を形成します。
(2)中期経営計画
当社グループは、2025年度を最終年度とする中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」(2023年4月28日開示)を策定し、その基本戦略や諸施策を着実に推進しております。高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団を実現し、更なる企業価値の向上を図ります。


なお、繊維・化学品セグメントの経営戦略等は以下のとおりです。
当社グループは中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」に経営指標として、以下を掲げております。

なお、「Chori Innovation Plan 2025」における繊維・化学品の目標セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は以下のとおりです。
今後の見通しにつきましては、日本では堅調な企業収益を背景にした雇用・所得環境の良化による個人消費の改善が見られる一方、米国の関税政策による世界経済への影響、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクの長期化、中国の景気低迷の長期化懸念等を背景に、先行きに注視が必要です。
このような事業環境の中、当社グループは2023年4月28日に開示しました中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の3つの基本戦略である「連結グローバル事業軸運営の推進」、「変化に即応したサステナブルなビジネスの創出」、「ESG経営の推進」を着実に実行します。中期経営計画最終年度となる次期(2026年3月期)の連結業績予想につきましては、売上高3,300億円(前期比5.9%増)、営業利益150億円(前期比3.5%増)、経常利益160億円(前期比1.2%減)、税金等調整前当期純利益160億円(前期比1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(前期比5.6%減)と見通しております。
(単位:百万円)
上記予測を修正する必要が生じた場合には、速やかに公表致します。
当社グループは、中期経営計画 「Chori Innovation Plan 2025」の3つの基本戦略である「連結グローバル事業軸運営の推進」、「変化に即応したサステナブルなビジネスの創出」、「ESG経営の推進」に加え、「DXによるビジネス変革・経営変革」を事業上及び財務上優先的に対処すべき課題と認識し、これを着実に推進していきます。
◆ 連結グローバル事業軸運営の推進
事業拡大のカギとなる海外事業の強化・拡大に注力しています。主要海外拠点の運営基盤強化、事業ポートフォリオの見直し・ブラッシュアップ、グループシナジーの強化による専門集団としての一体運営に注力し、海外収益力の積み上げを図っています。また、最重要拠点である中国をはじめ、各拠点へ積極的に駐在員を派遣し、既存事業の拡大・新規商材開発を実施し、事業拡大を図ってまいります。
◆ 変化に即応したサステナブルなビジネスの創出
目まぐるしい社会の変化に即応し、事業等のリスクを俯瞰的に捉え、機動的に対応し、新規開発・事業投資やM&Aを実行します。繊維事業では、2023年度に始動したサーキュラーエコノミーを実現する繊維to繊維の循環型スキーム「B-LOOP®」を推進し、環境問題への対応が課題となっている繊維産業において、サステナブルな事業展開に取り組んでいます。化学品事業では、市況に左右されないビジネスモデル構築を目指し、マーケットインの思考で新規事業・商材の開発を継続してまいります。
◆ ESG経営の推進
当社グループは、健全な経営と持続的成長を目指し、業務の適正性を確保するための体制整備に取り組んでいます。法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。
また、2024年4月に設置した「サステナビリティ推進委員会」においても、ESG経営の推進を図っています。
◆ DXによるビジネス変革・経営変革
「蝶理を丸ごと変える」を目指し、2022年4月に始動した全社業務変革プロジェクト「CARAT(Chori Accelerate Renovation Achievement Transformation)」は、DX機能を全社横断的に展開し、業務の効率化・標準化、経営管理の高度化や生産性の向上を進め、持続的な成長を継続する基盤の構築を目指しています。システム開発が順調に進捗し、2025年4月から本格稼働しています。今後の安定稼働に向けた取組みを推進し、DX経営基盤構築に向け、引き続き取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念に掲げているように、「地球人の一員としてより良い社会の実現」に貢献できるようサステナビリティの実現に向けた経営を行っています。取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。
サステナビリティ全般への対応では、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」で掲げたサステナビリティ経営の推進に向け、2024年4月1日に「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。サステナビリティ推進委員会は、当社グループのサステナビリティ経営に関連する施策を具体的に推進し、持続的な企業価値向上に取り組むことを目的とし、委員長である代表取締役社長のもと、委員が議論を行っています。監査等委員もオブザーバー参加し、意見・諸施策を共有しています。サステナビリティ推進委員会は四半期に1回以上開催され、年1回、取締役会に報告しています。
<サステナビリティ推進体制>

当社グループは、企業が持続的成長に向けた経営基盤を構築するうえで、環境問題への積極的な取り組み、CSR調達等における取引先との連携、労働安全管理に関わる取り組み、人材育成や地域・社会の発展に向けた取り組み等が重要であると認識しております。2023年4月28日に開示した中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」では、「Sustainable」「Well-being」「Innovation」をキーワードとしたVISION2030「ありたい姿」を掲げ、3つの基本戦略を着実に実行し、高機能・高専門性を基盤として、グローバルに進化・変化し続ける企業集団を実現し、企業価値の向上を図っております。2024年4月26日の取締役会において、ステークホルダーと蝶理グループの双方にとって特に重要であり優先的に取り組むべき事項として、4つのマテリアリティ(重要課題)と関連する14の重点テーマを特定し、サステナビリティ基本方針とともに2024年4月に発表しました。
2024年6月より、マテリアリティに対処すべくワーキングチームが活動し、リスクマネジメントチームは企業経営等において発生し得るリスクを管理する体制の構築、サステナブル事業管理チームはSDGsと関連する事業活動の整理、方針、制度設計チームは、蝶理グループコンプライアンスポリシーの新設や蝶理グループ環境方針の改訂等、方針・制度の整理・設計を行い、サステナビリティ推進委員会で議論・決定しました。成果物については、各種媒体に掲載しています。
<サステナビリティ基本方針・マテリアリティ>

サステナブル(SDGs)商材の取扱拡大をさらに推進すべく、サステナブル事業管理チームにて定義を整理し分類しました。サステナブル商材を「環境保全」「豊かな暮らし」の大きく二つに分け、中分類・小分類を設けて具体的基準を設定し管理することに加え、当社グループが主体的に関与し、当社グループならではの知恵と工夫で付加価値を付けている商材をPlus Value商材と位置づけ、戦略的にさらなる拡大を図ります。
<サステナブル商材の分類>

当社グループは、2024年4月に設置したサステナビリティ推進委員会の下部組織として、全社よりメンバーを選出したリスクマネジメントチームを設置し、人材確保に関するリスク、気候変動に関するリスク(移行リスク/物理リスク)、人権問題に関するリスク、環境汚染に関するリスク等、サステナビリティに関するリスクの洗い出しと対応策の策定を行いました。詳細については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
① リスクマネジメント規程の制定
当社グループは、当社グループの経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時より、リスクの低減、危機の未然防止に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす恐れのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスクマネジメント規程を定め、運用しております。
② 平常時のリスクマネジメント
リスクマネジメント総責任者は社長、リスクマネジメント推進責任者は経営政策本部長とし、リスクマネジメント推進責任者とリスクマネジメント担当組織(経営管理部)は、社内に潜在するリスクについて、重点課題を特定し、リスクを低減、未然防止、早期発見のための諸施策を立案し、必要な教育・訓練を自主的かつ計画的に実施すると共に、危機対応後の結果のフォロー、効果の検証と課題の抽出・改善を行います。
リスクマネジメント規程では、当社としてのリスクを下記大分類に基づき個別に定めています。
③ 危機発生時の対応
危機発生時の対応は人命及び安全を最優先とし、リスクマネジメント規程に則り、危機発生時の連絡体制に基づく連絡・報告、リスクマネジメント総責任者による危機対策本部設置の判断、危機対策本部の任務遂行、緊急広報、調査報告並びに再発防止対策等を行います。
当社グループは、サステナビリティへの対応を継続課題と認識し、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の基本戦略の一つに掲げる「ESG経営の推進」の実現に向けて、非財務目標を設定しました。気候変動・人的資本以外の目標の進捗は以下のとおりです。
<KPI・KGI>
(1)戦略
当社グループは、「人」を最重要経営資本と位置づけ、従業員一人ひとりが働きがいを感じ、成長を実感することにより、会社の成長と社会への貢献に繋がると考えます。従業員と会社の持続的成長のため、「人」への投資を推進します。
中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」では、人材に関する戦略として、人的資本投資、エンゲージメント向上、健康経営の推進の3つを掲げています。
① 人的資本投資
a. 人材育成
以下のⅰ~ⅵの行動・資質が重要と考え、これらを具備できるように多様な業務経験と成長機会を従業員に提供し、役割に応じた研修を実施します。また、従業員が自己研鑽に積極的に取り組むため、適切な機会・サポートを提供します。
ⅰ. 当社の一員として常に責任ある行動をとる
当社グループの一員としての誇りを持ち、どんな時も環境や社会に対する責任を果し、法・ルールの遵守のみならず、倫理観をもった公正で誠実な行動をとる。
ⅱ. 自主独立の精神を持つ
過去や既成事実にとらわれず、変化を恐れず、自主独立の精神で、常に人生やキャリアを、より良いものにするための努力を続ける。
ⅲ. 日々の努力や工夫を重ね、結果にこだわるプロである
自分のミッションを理解し、目標に向かって情熱と強い意志をもち、日々の努力や工夫を重ね、結果を出すことに徹底的にこだわるプロフェッショナル。
ⅳ. 最善を期待し、最悪に備える
流れを的確にとらえ、リスクには注意深く備え、チャンスには大胆に迅速に行動できる。
ⅴ. 世界中どこでも相手の価値観や文化を尊重する
世界中どこでも、異なる価値観や文化を持つ相手を認め、尊重し、礼儀正しく、明るく、コミュニケーションができる。
ⅵ. 常に学び続け、社会の変化に適応する
社会のニーズが常に変化していることを理解し、知識を更新し、新しい環境に適応できる。
b. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
多様なバックグラウンドを持つ人材の採用、及び、多様な働き方の環境整備をDE&Iの重要な取り組みと捉えています。性別に関わらず育児・介護・看護等様々な事情を抱える従業員が最大限の力を発揮できる、働きやすい環境を実現することで、将来にわたり持続的に成長できる企業になると考えています。
ⅰ. 女性活躍推進
総合職採用人数に占める女性割合や、女性管理職の割合が低いことを課題として受け止め、女性活躍推進・次世代育成支援に尽力します。
ⅱ. 多様なバックグラウンドを持つ人材
多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を推進することで、新たに持ち込まれた視点が大きな刺激となり、ビジネスの幅をさらに拡大することに繋がると考えています。
ⅲ. 多様な働き方
仕事と家庭の両立支援の制度・施策の拡充を行い、誰もが働きやすい環境を目指します。
② エンゲージメント向上
トップダウン・ボトムアップの双方向からの「よく伝え・よく伝わるコミュニケーション」を意識し、風通しがよく、心理的安全性の高い職場環境を整備し、従業員一人ひとりが各々の働きがいを感じる企業風土の改善を重点施策として取り組みます。
具体的には、2023年度に初めて、外部機関によるエンゲージメント・サーベイを実施、組織毎のエンゲージメントの状態を可視化することで、課題の認識・改善活動に繋げ、2024年度以降も継続して実施しています。また、2024年度は大阪本社を移転、「行きたくなるオフィス」をスローガンとしたオフィス設計により、従業員がより働きやすい環境を整備しています。
③ 健康経営の推進
当社は2018年2月に健康経営宣言を行い、トップ自らが健康経営の推進を強く発信しています。健康とコンプライアンスは当社の土台であるとの認識に立ち、全社改善活動CHOI活(CHORI Innovation活動)を通じ、社内の各組織、労働組合、独身寮、健康保険組合、社内診療所等が連携して、健康推進に関する各種セミナーや運動イベントを積極的に開催し、多くの従業員が楽しみながら参加しています。
東京・大阪の事業所内には診療所を設置し、医師と看護師による従業員の診療・健康管理を実施しています。また、健康経営優良法人の認定(経済産業省)、スポーツエールカンパニーの認定(スポーツ庁)を取得することで、当社の健康経営の取り組みを客観的に評価しています。
今後もこれらの取り組みを継続・充実させ、更に従業員の心身の健康増進に取り組みます。
(2)指標及び目標
当社グループにおける主要な事業を含む会社単体の指標及び目標は次のとおりです。
・総合職の採用人数、及び、総合職への職種転換の合計人数に占める女性割合
<目標>30%以上、<実績>2024年度 24.3%
・男性の育児休業等取得率
<目標>50%以上、<実績>2024年度 53.8%
・健康経営優良法人の認定(経済産業省「健康経営優良法人認定制度」)
<目標>健康経営優良法人の継続認定、<実績>2024年度 健康経営優良法人2024に認定
3.気候変動への対応(TCFD提言への取組)
当社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」といいます。)の枠組みに基づき適切な情報開示に努めています。「Chori Innovation Plan 2025」にて、当社グループとして2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを掲げました。これを踏まえ、2024年4月26日に発表したマテリアリティの一つとして「持続可能で豊かな社会の実現に資する事業の推進」を特定し、カーボンニュートラルの実現(2050年)に向けた気候変動による影響低減への貢献等を重点テーマとしました。
なお、TCFD提言に基づく情報開示の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスクに対処するため、リスクマネジメント規程に則り、リスクマネジメントを推進しています。
なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
②現状認識、対応策の洗い出し
アンケートを元に、リスクの見える化(マッピング)を実施。それぞれのリスクについて、現行の対応状況、必要な対応策について検討。
③審議・決定
当社グループのリスクの見える化(リスクマップ)、リスクマネジメントプロセス(PDCAサイクル)をサステナビリティ推進委員会で協議・確認し、取締役会に報告・決議。

2025年度以降については、上記プロセスに基づき、リスクの低減に向けて活動します。
(2) リスク項目
約30にカテゴライズしたリスクについて、アンケート結果に基づき評価・再分類を行い、23のリスク項目を発生可能性と深刻度をキーファクターとしてリスクマップに配置し、発生可能性・深刻度が高いと判断された項目(赤枠の12項目)を重要リスクとしました。

<リスク項目とリスクの概要>
(3) 重要リスク
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
ⅰ.経営成績の概況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の良化による個人消費の改善や、訪日外客数の回復によるインバウンド消費の増加により、緩やかに回復しました。一方、世界経済は、米国は堅調な労働市場と個人消費の回復により底堅く推移しましたが、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクの長期化、中国の不動産市場の停滞をはじめとした景気の低迷等により、先行きが不透明な状況が続きました。
このような状況下、当社グループは、2023年4月28日に発表した中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」の基本戦略を着実に実行し、グローバルな持続的成長の実現とDXによるビジネス変革に取組んでおります。
その結果、当連結会計年度における連結業績は、経常利益、税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は4期連続で過去最高益を更新しました。売上高は前期比1.3%増の3,115億46百万円、営業利益は前期比3.6%減の144億92百万円、経常利益は前期比11.9%増の161億98百万円、税金等調整前当期純利益は前期比11.0%増の163億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比21.1%増の116億58百万円となりました。
ⅱ.セグメントごとの経営成績
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(繊維事業)
当セグメントにおきましては、繊維原料、テキスタイル(輸出)及び婦人衣料品関連が堅調に推移したこと等により、売上高は、前期比4.7%増の1,527億38百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、コロナ禍後の一部衣料品におけるオケージョン需要の反動等により、前期比4.2%減の76億90百万円となりました。
(化学品事業)
当セグメントにおきましては、全般的な需要減退と市況低迷等により、売上高は、前期比1.3%減の1,578億64百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、中国の化学品製造会社グループに係る債権の一部を回収し、貸倒引当金戻入額を計上したこと等により、前期比16.0%増の88億73百万円となりました。
(機械事業)
当セグメントにおきましては、事業の選択と集中を実施したこと等により、売上高は、前期比50.1%減の8億60百万円となりました。セグメント利益(税金等調整前当期純利益)は、前期に為替変動の影響による為替差損を計上したことの反動により、6億12百万円(前期は6億16百万円のセグメント損失(税金等調整前当期純損失))となりました。
ⅲ.仕入、成約及び売上の実績
仕入高は売上高と概ね連動しているため、記載は省略しております。
成約高と売上高との差額は僅少であるため、記載は省略しております。
セグメントごとの売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 ⅱ.セグメントごとの経営成績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照願います。
なお、取引形態別に示すと、次のとおりとなります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、1,460億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億25百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が48億51百万円、ソフトウエア仮勘定が19億55百万円、受取手形及び売掛金が18億24百万円増加し、関係会社預け金が24億97百万円、投資有価証券が23億25百万円、破産更生債権等が9億64百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債は、539億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ72億78百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が49億40百万円、短期借入金が12億39百万円、未払法人税等が6億69百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、921億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億4百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により116億58百万円、為替換算調整勘定が21億45百万円増加し、配当金の支払いにより29億98百万円、その他有価証券評価差額金が8億94百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ21億14百万円増加し、当連結会計年度末には、232億3百万円となりました。
<当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因>
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は71億41百万円の増加(前期は96億93百万円の資金の増加)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益163億16百万円、棚卸資産の減少額13億94百万円、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額53億93百万円、法人税等の支払額53億70百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は10億27百万円の減少(前期は27億6百万円の資金の減少)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出21億20百万円、有形固定資産の取得による支出7億44百万円、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入23億90百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は47億75百万円(前期は53億81百万円の資金の減少)となりました。これは主に、配当金の支払額29億96百万円、短期借入金の純減額13億64百万円によるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ⅰ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、化学品事業における全般的な需要減退と市況低迷による減収があったものの、繊維事業が堅調に推移したこと等により、前期比38億46百万円増の3,115億46百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、化学品事業の減収に伴う減少がありましたが、繊維事業での原材料コストの増加等に対する適正な価格転嫁や、収益性の高い差別化商材の取扱いが増加したこと等を主因として、前期比17億82百万円増の405億15百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、従業員の処遇の改善や大阪本社移転に伴う費用の増加等を主因として、前期比23億29百万円増の260億22百万円となり、営業利益は前期比5億47百万円減の144億92百万円となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益(純額)は、貸倒引当金戻入額8億73百万円の計上等により、前期比22億69百万円増の17億5百万円の利益となりました。
経常利益は、営業外損益(純額)が増加したことにより、前期比17億22百万円増の161億98百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、経常利益が増加したことに加え、投資有価証券売却益7億83百万円等の計上で、前期比16億18百万円増の163億16百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等合計が前期比4億22百万円減の46億10百万円となった結果、前期比20億34百万円増の116億58百万円となりました。
なお、中期経営計画「Chori Innovation Plan 2025」における重要指標との比較につきましては、以下のとおりであります。
ⅱ.財政状態の分析
当社グループの財務健全性、収益性及び資本効率を示す指標の推移は以下のとおりです。
・ネット有利子負債=有利子負債-現金及び預金-関係会社預け金
・自己資本比率=自己資本÷総資産
・当期純利益ROA=親会社株主に帰属する当期純利益÷総資産期中平均
・当期純利益ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本期中平均
・ROIC=税引後営業利益÷投下資本(自己資本+有利子負債)期中平均
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ.資本の財源及び資金の流動性の分析
(資本の財源)
当社グループは、運転資金及び投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、資金調達の多様化・低利調達を目的として受取手形等の流動化を促進するとともに、一部資金を銀行借入等により調達しております。
また、資金調達の安定化を目的として株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする金融機関3社との間で、総額100億円のコミットメントライン契約を締結しており、将来において当社グループの成長のために多額の資金需要が生じた場合にも、外部からの資金調達は可能な体制を確保しております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、232億3百万円であります。
(資金の流動性)
当社と親会社及び当社と主要な国内連結子会社の間で、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、資金を一元管理し、流動的に余剰資金、不足資金の融通を行うことで、資金効率の向上と資金調達コストの削減に努めております。
また、事業活動等を通じて獲得した資金については、適時、資金繰り計画を策定・更新し、必要な運転資金を確保しつつ、成長投資・株主還元に振り分けております。
なお、株主還元については重要な経営課題の一つと位置づけており、親会社株主に帰属する当期純利益を基準に、連結配当性向30%(年間)かつ株主資本配当率(DOE)3.5%以上を満たす額とすることを基本方針としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
なお、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(繊維事業)
主として、繊維素材事業に関わる研究開発であり、当連結会計年度の研究開発費の金額は
(化学品事業)
化学品事業に関わる研究開発であり、当連結会計年度の研究開発費の金額は