(1) 経営の基本方針について
国内最大の紙の専門商社として、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことの出来ない紙・板紙の安定供給を果たすとともに、社会の要請に応じた新たな事業を展開していくことを基本方針としております。
また、社会と地球環境のよりよい未来を拓くことをグループ全体の使命として、グループ役職員は積極的に自らを変革し、領域を超えた挑戦を続け、新たな価値を創造することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指してまいります。
なお、当社グループが目指すグループ企業理念等につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」に記載しております。
(2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境
当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、社会経済活動の大幅な停滞を余儀なくされ、非常に厳しい一年となりました。また、世界経済におきましても、同様に経済の大幅な減速・停滞を招く結果となり、ワクチン効果や経済対策への期待はあるものの、依然として、予断を許さない状況が続いております。
このような情勢のもと、当社グループは、取引先・従業員等関係者の安全に最大限の注意を払いつつ、紙・板紙の安定的な供給をはじめ、多角化した各事業に精力的に取り組みました。
(3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題
当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指して参ります。
(当社グループのあるべき姿)
「世界最強の紙流通企業グループ」
「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」
「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」
また、長期ビジョン2030の実現に向け、2021年度を初年度とした3年間の新たな中期経営計画『中期経営計画2023』を策定いたしました。
当中計期間におけるグループの基本方針として『New Normal、新たな価値観の中での付加価値の創造』、『紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニーへの進化』を掲げ、中計最終年度(2023年度)グループ連結経常利益の目標を150億円とし、ネットD/Eレシオを 1.4倍以下としつつ、ROAの向上とROE8%の達成を目指してまいります。
セグメント別には次の事業方針を掲げ、各事業のさらなる充実に向け挑戦を継続してまいります。
(セグメント別事業方針)
「国内卸売セグメント」
構造改革と合理化による収益回復
「海外卸売セグメント」
既存プラットフォームの強化と安定した収益体制の構築
「製紙加工セグメント」
製紙・加工事業におけるグループの総合力向上
「環境原材料セグメント」
安全操業のもとでの持続可能な社会と地球環境への貢献
「不動産賃貸セグメント」
保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化
なお、2022年3月期第1四半期より、「製紙及び加工」を「製紙加工」、「資源及び環境」を「環境原材料」へ報告セグメントの名称変更を行っておりますが、各報告セグメントの事業内容等については変更ありません。
(4) 財務上の対処すべき課題
当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROEの向上等、持続的な成長を目指してまいります。
当社の配当政策につきましては、安定的な株主還元を基本としており、こうした方針のもと、当連結会計年度において配当金の支払いを実施いたしました。また、自己株式の取得については、資本効率の向上に資する株主還元策として機動的に実施を検討することとしております。
なお、配当金の支払いについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結株主資本等変動計算書関係) 3 配当に関する事項」に記載しております。
(5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題
① 国内卸売セグメント
紙については、人口減少や紙から電子媒体へのシフト等の構造的要因を背景とした需要の減少傾向に加え、新型コロナウイルス感染拡大により、チラシやイベントのパンフレット等の広告向け商業印刷分野が大きく低迷しております。この先、ワクチン接種率の増加と社会経済活動の回復に向けた消費喚起策等により、同分野の需要の回復が見込まれますが、回復のタイミング、規模とも現時点では不透明な状況です。
一方、板紙についてはインバウンド需要や世界的な経済活動の再開による輸出梱包向けの出荷の回復については不透明な状況ではありますが、通販関連や加工食品向けに堅調な需要を見込んでおります。
当社グループは、販売規模の拡大以上に、適正な販売価格、利益、利益率の確保を重視し、更に業務効率や資本効率を高めることで収益の拡大を目指してまいります。
また、サステナブル素材である紙・板紙に対し、容器や包装資材としての注目が増している中、新たな需要への取り組みについても積極的に推進しております。
紙の専門商社である当社の機能と付加価値を提供し続け、市場での存在感を一層拡大させるとともに、紙・パルプ業界並びに広く社会に貢献してまいります。
② 海外卸売セグメント
当社グループは、世界最強の紙流通企業グループの実現に向けた事業体制の確立に向けて、海外においてはグローカリゼーションとして、グローバルネットワークと地場に根差した流通体制の構築に取り組み、現在では、アメリカ、イギリス、オセアニア、インド、香港、シンガポール、マレーシアで自前の在庫・物流機能を有する紙商を経営し、世界最強の紙流通企業グループの実現に必要なプラットフォームを有しており、今後それらのプラットフォームを一層強化することに注力してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界規模で紙需要は大きく落ち込んでおり、各事業拠点における社会経済活動の回復状況には地域差もあり、コロナ禍以前の水準までの需要回復については不透明な状況です。
当社グループは国内外製紙メーカーと連携し、グローバルなサプライチェーンを最大限に活用することで回復する需要を確実に取り込むと共に、パッケージング、化成品、機能性商品、環境対応素材の取り扱いを拡大してまいります。そして、その効果的な拡大のために、補完的なM&Aも必要に応じて実施してまいります。
③ 製紙加工セグメント
当社グループは、古紙を主原料とした家庭紙、段ボール原紙、印刷用紙の製紙事業を展開し、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、製紙加工セグメントでは原料調達、製造、販売のサプライチェーンを最適化するとともにコスト低減を図り、一層の競争力強化に努め、環境配慮型の商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。
再生家庭紙事業では、同分野国内最大手のコアレックスグループによる安定的な供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。一方、段ボール事業では、段ボール原紙生産設備の更新投資や、多様なニーズに対応する段ボール加工体制の構築にも注力し、市場が拡大している海外においては、2021年度中にインドネシアにおいて段ボール加工の新工場稼働を予定しております。
再生家庭紙については、新型コロナウイルス感染拡大によるオフィスや商業施設、インバウンド消費の減少に伴い、業務用需要の減少があったものの、引き続き底堅い需要を見込んでおります。
段ボール原紙については、コロナ禍においても通販関連や加工食品向けを中心とした日本国内の需要に加え、中国をはじめアジア諸国への輸出が増加しており、堅調な需要を見込んでおります。
再生家庭紙事業、段ボール事業ともに販売価格の維持に努め、安全操業と環境対応の管理を徹底し、安定した収益の確保を目指してまいります。
④ 環境原材料セグメント
イ 古紙再資源化事業:
古紙の国内市況と需給状況は、中国政府による古紙輸入規制とそれに伴うアジア諸国の需給の変動、米国や欧州の古紙発生量、為替レートの水準によって左右されております。中国向け輸出の減少により、日本国内の古紙在庫が滞留したことで、古紙価格は一時的に弱含みとなっておりましたが、コロナ禍において、米国や欧州の古紙発生量が減少したことと、アジア諸国への代替需要が急拡大したことに加え、海上コンテナの不足による運賃上昇も影響し、輸出価格が上昇する動きもあり、今後の国内市況と需給状況は不透明なものとなっております。
当社グループは、国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先し、国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行ってまいります。
ロ 環境事業:
当社グループは、環境事業を重点事業分野として位置付け、プラスチックや木質系廃棄物の再資源化事業、再生可能エネルギーによる発電事業等への投資、参画を進めております。
現在、当社グループが参画している発電事業会社は岩手県、島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県、宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社になっており、そこで発電したエネルギーはすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に供給しております。
今後は同事業分野におけるノウハウをさらに蓄積し、安全かつ安定操業の徹底により、脱炭素化をはじめとした持続可能な社会と地球環境に貢献する事業活動のさらなる拡大に取り組んでまいります。
⑤ 不動産賃貸セグメント
当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込んでおります。
コロナ禍においても、今後契約テナントの営業活動の変動により、契約テナントの退去、賃料レベルの低下等が懸念されるものの、保有テナントビルは高稼働を維持しております。
今後も所有不動産の価値最大化のため、稼働率の維持向上と所有不動産の有効活用を推し進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
リスク項目は、「特に重要なリスク」、「その他緊急性の高いリスク」、「その他のリスク」に区分しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、現時点では予見できないまたは重要と見なされていないリスクや、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があります。
2022年3月期第1四半期より、「製紙及び加工」を「製紙加工」、「資源及び環境」を「環境原材料」へ報告セグメントの名称変更を行っているため、「影響を受けるセグメントと対応」及び文中のセグメント名称を変更しております。ただし、各報告セグメントの事業内容等については変更ありません。
(1)特に重要なリスク
①市況・市場リスク
②取引関係に係るリスク
③その他の重要なリスク
(2)その他の緊急性の高いリスク
(3)その他のリスク
①経営環境に係るリスク
②金融市場に係るリスク
③気候変動・自然災害等に係るリスク
④その他のリスク
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なもの
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等の不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが困難な要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
① 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積り計上しておりますが、将来において、取引先の財務状況等が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
経営者は、貸倒引当金は十分に計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループにおいて貸倒引当金を増額又は減額する可能性もあります。
② のれんの減損
当社グループにおけるのれんの残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは、企業買収により取得した子会社の将来の超過収益力として連結貸借対照表にのれんを計上し、その効果が及ぶと見込まれる期間を5年間として、定額法にて償却を行っております。
経営者は当連結会計年度末におけるのれんの資産性について、償却期間及び金額は適切であると判断しております。ただし、これらの前提条件には子会社の業績や事業計画等を基にした判断が含まれており、経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、将来において当初想定した子会社の収益力等が見込めなくなった場合にはのれんの減損損失が計上される可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
当社グループは、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関、関係会社等、業務上密接な関係にある企業の株式等を保有しており、これらの有価証券の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
なお、当該株式の減損にあたり市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券については、個々の銘柄の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、「著しく下落し、回復可能性がないもの」と判定し処理しております。個々の銘柄の時価が取得原価に比べ30%以上50%未満下落した場合も「著しく下落した」とする判定基準を設け、この場合の時価の回復可能性について過去の時価の推移に基づく一定の形式基準により判定し処理しております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる株式については、個々の銘柄の1株当たり簿価純資産額が帳簿価額を50%以上下回っている場合及び保有資産に大幅な含み損がある可能性のある場合について、当該会社の資産の時価額を加味及び業績見通し等を勘案したうえで減損処理の要否を四半期ごとに判断し、決定しております。
将来において、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
経営者は、所有する有価証券の公正価値の評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により有価証券の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社グループにおける公正価値評価額が変動する可能性もあります。
④ 固定資産の減損
当社グループは、多くの有形固定資産及び無形固定資産を保有しており、これらの固定資産の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは固定資産の減損会計を適用しており、減損会計では、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識、減損損失の測定の各過程で、将来キャッシュ・フロー等の見積りを要します。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断に関する評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により固定資産の評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社グループが追加で減損損失を認識する可能性もあります。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループにおける繰延税金資産の残高は多額であるため、繰延税金資産の回収可能性に関する評価は会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積り、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限って繰延税金資産を認識しております。繰延税金資産の回収可能性は毎連結会計年度末日に見直し、課税所得の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、これらの見積りによる繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存し、経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件や仮定の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
⑥ 退職給付
当社グループにおける退職給付に係る負債の残高は多額であるため、会計上の見積りにおいて重要なものとなっております。
当社及び一部の連結子会社の従業員の退職給付に係る資産または負債及び費用の計算は、数理計算で設定される前提条件に基づいて原則法により算出されております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率、死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。これらの仮定と実際の結果との差額は、即時に退職給付に係る資産または負債として認識され、費用に関しては将来の連結会計年度にわたって処理しております。
また、一部の連結子会社の退職給付に係る資産または負債の計算は、主に期末自己都合要支給額から年金資産の額を控除した金額をもって計上する簡便法により算出されております。
経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しております。ただし、これらの前提条件には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
① 当期の財政状態の概況
イ 資産の部 (単位:百万円、%)
ロ 負債の部 (単位:百万円、%)
ハ 純資産の部 (単位:百万円、%)
ニ セグメントごとの資産の概況 (単位:百万円、%)
② 当期の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた売上高の減少による売上債権の減少及びたな卸資産の減少等により、前連結会計年度末に比べて19,953百万円減の321,986百万円となりました。
総負債は、仕入債務の減少に加え、長期借入金及び短期借入金の返済を進めたこと等により、前連結会計年度末に比べ22,578百万円減の232,114百万円となりました。
純資産は、連結子会社であるRADMS Paper Limitedの株式追加取得による資本剰余金の減少及び剰余金の配当等を行った一方、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと及びその他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末に比べ2,626百万円増の89,872百万円となりました。
(3) 経営成績の状況
① 経営成績の状況の概要
イ 経営成績の状況の概要 (単位:百万円、%)
ロ 当期の経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高462,922百万円(前連結会計年度比13.4%減)、営業利益8,896百万円(同18.6%減)、経常利益8,948百万円(同8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,649百万円(同27.8%減)となりました。
② セグメントごとの経営成績
イ 当期の経営成績のセグメント別の概況
当連結会計年度の経営成績をセグメント別に見ますと次のとおりであります。
外部売上高 (単位:百万円、%)
(注) 1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメント利益(経常利益) (単位:百万円、%)
ロ 当期の経営成績のセグメント別の分析
当連結会計年度の経営成績をセグメント別に見ますと次のとおりであります。
「国内卸売」
紙は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、第1四半期連結会計期間中に定期雑誌、チラシやイベントのパンフレット等の需要が大幅に減少しましたが、その後の政府による消費喚起策や、新しい生活様式に対応した社会経済活動の再開等により、当連結会計年度後半にかけて緩やかに改善の傾向が見られました。またコミックや学参書等、一部の紙需要の増加もありました。
板紙は、新しい生活様式に対応した通販関連や加工食品向けの需要は堅調に推移し、輸出梱包関連についても当連結会計年度後半にかけて持ち直しの動きが見られました。
これらの結果、売上高は前連結会計年度比13.7%減の249,825百万円となり、経常利益は26.7%減の3,720百万円となりました。
「海外卸売」
各事業拠点において新型コロナウイルスの感染拡大により紙需要は大きく落ち込みました。社会経済活動の回復時期には地域差があり、米国、中国、オセアニアでは第3四半期連結会計期間以降、それ以外の国や地域では第4四半期連結会計期間に経済が持ち直し紙需要も回復したものの、売上高は前連結会計年度比14.1%減の158,772百万円となりました。
経常利益は、新型コロナウイルスの感染拡大以前より取り組んでいた米国やオセアニアにおける事業構造改革による費用の削減等がありましたが、売上高の減少とRADMS Paper Limitedののれん償却費の増加等により426百万円の経常損失(前連結会計年度は763百万円の経常損失)となりました。
「製紙及び加工」
再生家庭紙事業において、新型コロナウイルスの感染拡大による前連結会計年度末の需要増に対する反動減があったことと、オフィス及びインバウンド消費の減少に伴う業務用需要の減少があり、売上高は前連結会計年度比16.1%減の21,977百万円となりました。経常利益は、再生家庭紙及び段ボール原紙の販売が減少したことにより、23.8%減の5,302百万円となりました。
「資源及び環境」
総合リサイクル事業、再生可能エネルギー発電関連事業が引き続き堅調に推移したものの、国内古紙事業において、国内製紙メーカーの生産数量減少に伴い原料古紙の販売数量が減少したことにより、売上高は前連結会計年度比7.1%減の27,142百万円となりました。一方、経常利益は、総合リサイクル事業の売上高が増加したことに加え、国内古紙事業において当連結会計年度を通じて販売価格が安定して推移したことと販売費及び一般管理費が減少したことによる利益の増加、さらに米国内の古紙事業における収益性の改善により190.5%増の854百万円となりました。
「不動産賃貸」
テナントビルの稼働率は高水準を継続しておりますが、一部テナントの退去があり、売上高は前連結会計年度比0.4%減の5,206百万円となりました。また経常利益は、テナント退去による賃貸料収入の減少と修繕費の増加により4.2%減の1,573百万円となりました。
③ 地域別・製品別の売上高
イ 地域別売上高 (単位:百万円、%)
ロ 製品及びサービス別売上高 (単位:百万円、%)
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2017年度からの3年間を対象とした『中期経営計画2019“Paper, and beyond”』の終了にあたり、前連結会計年度において、2020年度をスタートとする新たな中期経営計画を策定し公表する準備を進めておりました。しかしながら、前連結会計年度末日における見通しとして、新型コロナウイルスの当社グループ事業への影響が甚大なものになる可能性があり、その影響が長期化する可能性が見込まれていたことから、新たな中期経営計画のスタートを延期いたしました。
従いまして、当連結会計年度においては、2020年8月11日に公表いたしました2021年3月期の連結業績予想と実績との比較を行っております。
(単位:百万円、%)
なお、当社グループは2021年度を初年度とした3年間の新たな中期経営計画『中期経営計画2023』(以下、「中計2023」といいます。)を策定しております。中計2023最終年度である2023年度の目標としました連結財務指標目標と当連結会計年度実績との比較は以下のとおりです。
※ 2022年3月期第1四半期より、「製紙及び加工」を「製紙加工」、「資源及び環境」を「環境原材料」へ報告セグメントの名称変更を行っております。
「中計2023」につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題」をご参照ください。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ロ 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ハ 受注実績
当社グループは、主として需要等を勘案した見込生産を行っているため、記載を省略しております。
ニ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、「(3) 経営成績の状況 ② セグメントごとの経営成績 イ 当期の経営成績のセグメント別の概況」に記載しております。
① キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて3,998百万円増の11,587百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務が減少したものの、売上債権やたな卸資産の減少、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したことにより28,382百万円の収入となりました(前連結会計年度は22,488百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得によって4,440百万円の支出となりました。(前連結会計年度は13,239百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済による減少や、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出によって19,899百万円の支出となりました(前連結会計年度は9,712百万円の支出)。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、中計2023において策定した連結財務指標目標に掲げましたように、各事業活動に必要とされる運転資金及び投融資資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務状況の健全性維持の両立を基本方針としております。
イ 資金調達手段
当社グループは、上記の資金調達の基本方針に則り、M&Aや設備投資資金ならびに運転資金といった資金使途を踏まえ、営業活動によって獲得されたキャッシュ・フローをベースに、直接金融市場においては社債及びコマーシャル・ペーパーを発行し、間接金融市場では銀行借入による長期借入金や短期借入金に加えて十分な当座貸越枠を確保しております。
また、資金調達手段の多様化を図ることで、資金使途及び調達環境の情勢に応じた有利な手段を選択し、機動的な資金調達を実施しております。
「フリー・キャッシュ・フロー」 (単位:百万円)
「有利子負債明細」 (単位:百万円)
(※)一年内返済予定分の残高を含みます。
ロ 資金の効率化
当社グループは、グループ内の資金効率向上を目的として、グループ各社における余剰資金の集中と配分を行うべく、グループファイナンス制度を国内及び海外の各地域にて導入しております。
ハ 財務指標目標
当社グループは、中計2023にて策定した財務指標目標に対して、基幹事業である紙・板紙の卸売事業で必要な運転資金の安定的な調達と、事業の多角化及びグループ経営の強化につなげる成長投資資金の調達余力を確保するため、営業活動の収益性向上、保有資産の効率的活用、ネットD/Eレシオや自己資本比率といった財務の健全性を示す経営指標の向上に取り組んでまいります。
「財務指標」
ニ 株主還元
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策のひとつとして位置づけ、長期にわたる経営基盤の安定と強化に努め、企業価値の向上を目指しております。配当の方針につきましては、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向も勘案して実施しております。
なお、当社の剰余金の配当は、第158回定時株主総会(2020年6月29日開催)において定款を一部変更し、機動的な資本政策の実行を可能とするため、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当等を取締役会決議により行うことを可能としております。
(配当基準日 期末配当:毎年3月31日、中間配当:毎年9月30日)
連結の範囲につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)「1.連結の範囲に関する事項」及び「2.持分法の適用に関する事項」に記載しております。
国内及び先進国の紙需要は、人口の減少や紙から電子媒体へのシフト等構造的要因を背景に縮小が続いておりましたが、コロナ禍による社会経済活動の変化やテレワークの浸透等により、想定を3~5年前倒しした減少となりました。今後については、新型コロナウイルス感染症の収束時期については未だ見通せないものの、ワクチン接種率の増加と各国の経済対策等により景気はゆるやかに回復し、紙の需要も一定の回復を見込んでおります。また板紙については引き続き堅調な需要を見込んでおります。
このような状況の中、当社グループは多角化してきた5つの事業セグメントによる収益基盤の更なる強化とセグメント間の相乗効果の創出を図るとともに、所謂New Normalの下での価値観が求める機能を発揮し、新たな需要を的確かつ迅速に捉えてまいります。
これらにより、2022年3月期の連結業績予想については、営業利益9,800百万円(前期比10.2%増)、経常利益9,300百万円(前期比3.9%増)としております。親会社株主に帰属する当期純利益については、当社の退職金制度の移行に伴う、退職給付制度改定益の特別利益計上を見込み、9,400百万円(前期比157.6%増)としております。
なお、退職給付制度改定益の特別利益計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。
該当事項はありません。
特記事項はありません。